IATA 危険物規則書 2015年1月1日 第56版の主な変更点

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http://www.airtransport-tozai.com
2014 年 11 月 1 日
IATA 危 険 物 規 則 書 2015 年 1 月 1 日 第 56 版 の主 な変 更 点
IATA 危険物規則書第 56 版は、国連や ICAO の改訂時期に当たるため、大幅な改訂がある。ま
た、2014 年の第 55 版の発刊後に出された 2 回の補追版 (Addendum) の内容も第 56 版に組み込
まれている。
IATA DGR 第 56 版の内容は、 国連危険物輸送専門家小委員会 (UN Subcommittee of
Experts on the Transport of Dangerous Goods – UN SCoETDG) が発行している 2015 年 1
月 1 日より有効となる国連モデル規則書の第 18 改訂版 (UN Model Regulations, 18th Revised
Edition) と、その内容を ICAO が 2 年に一度発行している 「航空機による危険物の安全輸送に
関する技術指針 2015-2016 年版」 (Technical Instructions for the Safe Transport of Dangerous
Goods by Air 2015-2016 Edition) に反映させた変更事項も挿入されている。また、第 10 章の放射
性物質に関しては、IAEA (International Atomic Energy Agency – 国際原子力機構) の 「放射性
物質の安全輸送に関する規則書 2012 年版」 (Regulations on the Safe Transport of Radioactive
Material – 2012 Edition) の内容を含めたので、変更がある。このように、各章にわたり大幅な改
訂・変更があるので今回は特に注意してほしい。
危険物貨物を取扱う職員の作業の一助となるように、ここに掲示した変更点は、第 56 版の変更
点のうち、主なものと考えられるものを列記したのに過ぎず、決して全ての変更点を記したものでな
いことに留意されたい。細かい変更点のすべてについては第 56 版のページ欄外に所定の追加
(□)、修正(△)、削除(○の中に X) の各マークを付して注意を喚起してある。
1. – Applicability (適 用 )
1.2.7 – Exceptions (例 外 )
1.2.7.1 (c) を 「農業用、造園用、森林用、雪崩対策用、氷 結 除 去 用 と 地 滑 り 対 策 用 (ice
jam control and land slide clearance)、もしくは汚染除去用に飛行中に空中散布される
薬剤。」 と読み替える。
1.2.11 に Lam ps containing dangerous goods (危 険 物 を含 む ランプ ) の新しい項目
を追加する。ランプは放射性物質が含まれてなく、下記の条件を満たせば、危険物でない。
(a) ランプ 1 個当たりの危険物含有量が 1g を超さないこと、1 包装当たり危険物が 30g を超さな
いこと、品質管理プログラムの下で生産されていること。 1 個 1 個が個々の内装容器に仕切ら
れて包装され、1.2m の落下試験に耐えられる強固な外装容器に収納されていること。
(b) 区分 2.2 が入っているランプは、ランプが破損した場合でも、破片が外装容器の中に限定さ
れること。
1.4 – Operator Responsibilities (運 航 者 の責 任 )
1.4.3 – Provision of Information to Passengers (旅 客 へ の情 報 の提 供 ) に つ い て、チ ェ
ック・イン手続きが開始される以前の時点で、携行可能・不可能な危険物に関する情報を
旅 客 に 与 えて置 かなけれ ば ならないことを再 確 認 した。
1.5 – Training Requirements (教 育 訓 練 要 項 )
表 1.5.B の職種番号を表 1.5.A の職種番号に続けて 13, 14, 15, 16, 17 に変更する。表 1.5.B
の脚注の Category 番号も 13. 14. 15. 16, 17 と併せて変更する。
1
2. – Limitations(制 限 )
2.2.2 Hidden Dangerous Goods (隠 れ た危 険 物 ) に GHS (The Globally Harmonized System
of Classification and Labelling of Chemicals – 化学品の分類および表示に関する世界調和システ
ム) で使用されている 「絵文字」 (ピクトグラム - Pictogram) に関する説明を挿入した。
Note: 包 装 物 に 示 さ れ て い る ダ イ ヤ モ ン ド 型 の GHS ピ ク ト グ ラ ム ( 絵 文 字 ) は 危 険 物
の存在を表わしている場合もある。「感嘆符 (ビックリ・マーク)」 と 「人体の上半身」 の
絵 が 付 い て い る GHS ピ ク トグ ラ ム は 供 給 と 使 用 の 際 に の み 危 険 性 を 呈 す る と 言 う意 味 に
使 用 さ れ 、 他 の GHS 絵 文 字 は 、 輸 送 の 際 に 使 用 さ れ て い る 危 険 性 ラ ベ ル と ほ と ん ど 同
一の図柄が含まれている。従って、後者は危険物の分類に入ると見做せる。詳しい情報は
Table B.4.A 及 び
http://www.unece.org/trans/danger/publi/graphs_welcome_e.html を 参 照 の こ
と。
2.3 – Dangerous Goods carried by Passengers or Crew(乗 客 ・乗 員 が搬 送 す る危 険 物 )
2.3.2.2 防 漏 型 蓄 電 池 を 装 備 し た 車 椅 子 / 歩 行 補 助 装 置 も し く は 特 別 規 定 A123 も し く
は A199 を 満 た す バ ッ テ リ ー を 装 備 し た も の (Wheelchairs/Mobility Aids with
Non-spillable Wet Batteries or with Batteries which comply with Special Provision
A123 or A199) と UN 3496 Nickel-metal hydride batteries に 新 設 され た SP A199
に 関 す る項 を加 えた。
【訳 者 注 】
SP A199 は UN 3496 Batteries, nickel-metal hydride に 新 設 され た特 別 規 定 で 、
短 絡 防 止 、 誤 作 動 防 止 の 措 置 が 採 ら れ て い れ ば 、 適 用 除 外 扱 い に な る 。 AWB に “Not
Restricted” と “SP A199” の 文 言 を明 記 す ること。
2.3.3.2 Lithium Ion Batteries の 表 題 を Spare Lithium Batteries に 変 更 す る。
2.3.3.2 Spare Lithium Batteries (予 備 のリチウム・バッテリー )
予 備 のリチウム・バッテリー は 下 記 を満 たせ ば 、機 内 持 ち込 み 手 荷 物 としての み 認 める。
(a) 携 帯 可 能 な 医 療 用 の 電 子 機 器 〈 AED 、 Nebulizer 喘 息 用 吸 入 器 、 CPAP 持 続 的
気 道 陽 圧 法 による呼 吸 装 置 〉に付 いては
1. 100W h を超 え、160W h を超 えていなにリチウム・イオン・バッテリー を 2 個 まで、
も し く は 、 リ チ ウ ム 金 属 電 池 の 場 合 は 、 リ チ ウ ム 含 有 量 が 2g 以 上 、 8g 以 下 の も
の を 2 個 まで。
2. ス ペ ア の バ ッ テ リ ー は 個 別 に シ ョ ー ト し な い よ う 保 護 さ れ て い る こ と 。 ( 当 初 の 小 売
りの容器に収納するか、端末に例えば、テープを貼って絶縁するとか、個々のバッ
テリー を別 々 の プ ラステイックの 袋 または 保 護 パ ウチ に 収 納 す る)
3. バ ッテリー は 国 連 の M anual of Tests and Criteria, Part III, subsection
38.3 の 基 準 を満 たしてい なけれ ば ならない 。
(b) 携 帯 可 能 な電 子 装 置 (カメラ、パソコン、デ ジカメなど) に 付 い ては 、
1. 100W h を 超 え 、 160W h を 超 え て い な い リ チ ウ ム ・ イ オ ン ・ バ ッ テ リ ー を 2 個 ま
で。
2. ス ペ ア の バ ッ テ リ ー は 個 別 に シ ョ ー ト し な い よ う 保 護 さ れ て い る こ と 。 ( 当 初 の 小 売
2
りの容器に収納するか、端末に例えば、テープを貼って絶縁するとか、個々のバッ
テリー を別 々 の プ ラステイックの 袋 または 保 護 パ ウチ に 収 納 す る)
3. バ ッテリー は 国 連 の M anual of Tests and Criteria, Part III, subsection
38.3 の 基 準 を満 たしてい なけれ ば ならない 。
2.3.3.3 Portable Medical Electronic Devices (携 帯 可 能 な医 療 用 の電 子 機 器 ) を全 文
削 除 す る。
2.3.4.2 Non-flammable Gas Cartridges fitted into Devices (装 置 に装 着 され た非
引 火 性 のガス・カー トリッジ)
2.3.4.2.1 小 さなカー トリッジで Self-inflating Safety Device (ライフ・ジャケットや 救
命 胴 衣 ) に 装 着 され てい るもの
(a) 一 人 当 たり個 人 用 の安 全 装 置 は 1 個 まで。
(b) 個 人 用 の安 全 装 置 は、誤 作 動 しないように包 装 され ていること。
(c) 二 酸 化 炭 素 も し く は 区 分 2.2 の 他 の 適 切 な ガ ス で 副 次 危 険 性 の な い も の
に 限 定 され る。
(d) カー トリッジは膨 らませ る以 外 の 使 用 目 的 が ない こと。
(e) 安 全 装 置 に装 着 され ているカー トリッジは 小 さい もの が 2 個 まで。
(f) スペ アは 2 個 まで。
2.3.4.2.2 その 他 の 装 置
(a) 二 酸 化 炭 素 も し く は 、 区 分 2.2 の 他 の 適 切 な ガ ス で 副 次 危 険 性 の な い も
の で 、一 人 当 たり 4 個 の小 さなカー トリッジを限 度 とす る。
(b) 個 々 のカー トリッジの水 容 量 は 50m L を超 してはならない。
Note: 二 酸 化 炭 素 の ガ ス ・ カ ー ト リ ッ ジ に 関 し て は 、 水 容 量 50m L と 言 う こ と は 、 28g の
カー トリッジに 等 しい 。
2.3.4.7 を新 しく挿 入
2.3.4.7 Lithium Battery Powered Electronic Devices (リチ ウム電 池 作 動 の 電 子
装置)
運航者の許可があれば、リチウム・バッテリー作動の電子装置は預託手荷物もしくは機内
持 ち込 み 手 荷 物 として携 行 が許 され る。
(a) 携 帯 可 能 な医 療 用 の電 子 機 器 (Autom ated External Defibrillators – AED 自
動 体 外 式 助 細 動 器 ; Nebulizer 喘 息 用 吸 入 器 ; Continuous Positive Airway
Pressure – CPAP 持 続 的 気 道 陽 圧 法 に よ る 呼 吸 装 置 ) で リ チ ウ ム 金 属 も し く は 、 リ
チウム・イオン・セルまたはバッテリーが装着されているものは、下記のとおり医療用と
して旅 客 の 携 行 が 許 され る。
1. リチ ウ ム 金 属 もし くは リチ ウ ム 合 金 バ ッテ リー に 付 い て は リチ ウ ム 含 有 量 が 2g を 超
えて 8g まで
2. リ チ ウ ム ・ イ オ ン ・ バ ッ テ リ ー に 付 い て は 、 ワ ッ ト 時 レ ー テ イ ン グ が 100W h を 超 え
て、160W h 以 内 、
3. バ ッ テ リ ー は 国 連 の UN M anual of Tests and Criteria, Part III,
subsection 38.3 の 基 準 を満 たす もの で なけれ ば ならない 。
(b) 携 帯 可 能 な 電 子 装 置 (カ メラ 、パ ソ コ ン 、デ ジ カ メな ど )で リチ ウ ム ・イ オ ン ・バ ッテ リー を
含 む ものは、
1. リ チ ウ ム ・ イ オ ン ・ バ ッ テ リ ー に 付 い て は 、 ワ ッ ト 時 レ ー テ イ ン グ が 100W h を 超 え
て、160W h 以 内 、
2.
バ ッ テ リ ー は 国 連 の UN M anual of Tests and Criteria, Part III,
subsection 38.3 の 基 準 を満 たす もの で なけれ ば ならない 。
Note: ス ペ ア の リ チ ウ ム 金 属 バ ッ テ リ ー で リ チ ウ ム 含 有 量 が 2g を 超 し て い る も の 、 リ チ ウ
ム ・ イ オ ン ・ バ ッ テ リ ー で ワ ッ ト 時 レ ー テ イ ン グ が 100W h を 超 し て い る も の に 付 い て は 、
2.3.3.2 を 参 照 す る こ と 。 リ チ ウ ム 金 属 バ ッ テ リ ー が 装 着 さ れ て い る 電 子 装 置 に 付 い て は 、
リ チ ウ ム 含 有 量 が 2g を 超 さ な い も の 、 リ チ ウ ム ・イ オ ン ・バ ッ テ リ ー に 付 い て は 、 ワ ッ ト 時 レ
ー テイングが 100W h を超 さないもの。2.3.5.9 を参 照 す ること。
3
2.3.5.9 Portable Electronic Devices (including Medical Devices) containing
Batteries ( 携 帯 可 能 な 電 子 機 器 ( 医 療 用 の 器 具 も 含 む ) で バ ッ テ リ ー が 含 ま れ て い る も
の
新しい (c) を挿入、現在の (c) を (d) に変更
(c) 物 件 で リチ ウ ム 金 属 も し くは リチ ウ ム ・イ オ ン ・セ ル ま た は バ ッ テ リー を 含 む も の は 、そ の
主たる目的が他の装置の動力源であるものは、機内持ち込み手荷物としてのみ認める。
これ らの 物 件 は 、シ ョー トを しな い ように 個 別 に 保 護 され て い な け れ ば な らな い 。当 初 の
小売りの容器に収納するとか、端末をテープなどで絶縁するとか、個別にプラステイッ
クの 袋 に 入 れ るとか 、保 護 パ ウチ に 収 納 しなけれ ば ならない 。
2.4
Transport of Dangerous Goods by Post (郵 便 による危 険 物 輸 送 )
2.4.2 (c) 差 し換 え
1. 適 用 除 外 放 射 性 物 質 UN 2910 と UN 2911 に 限 り、Table 10.3.C の 値
の 10 分 の 1 を超 えていない限 り、且 つ 、Class 7 を除 く第 3 章 で 定 義 され て
いる他の分類の定義や基準に該当していないもの。包装物には、荷送人と荷
受 人 の名 前 が記 載 され 、”Radioactive m aterial – quantities perm itted
for m ovem ent by post” の 文 言 が 記 載 され 、適 用 除 外 放 射 性 物 質 の ラベ ル
(Fig. 10.7.8.A) が 貼 られ てい なけれ ば ならない 。
3.- Classification(分 類 )
3.0.3.3
- 物 件 (Articles) に 対 し て 「包 装 等 級 」 は 割 り当 て ら れ な い 。 包 装 の
た め の 、特 別 な 包 装 の 性 能 レ ベ ル 要 件 は 適 応 す る 個 々 の 包 装 基 準 に 示 さ れ て
い る。
3.2.1.2– ガ ス 類 の 輸 送 状 態 に お け る 物 理 的 な 状 態 に (e) 「 吸 収 さ れ て い る ガ ス 」
(adsorbed gas)を付 け加 えた。
e) Adsorbed Gas (吸 収 され ているガス) – 輸 送 のために包 装 され ているガスが多 孔
性 の 固 体 に 吸 収 さ れ て い る 場 合 で 、 結 果 と し て 、 温 度 20 ℃ の 時 、 内 容 器 の 圧 力
が 101.3kPa 以 下 であり、50℃ で は 、圧 力 が 300kPa 以 下 のものを言 う。
[ 訳 者 注 ] 危 険 物 リ ス ト に 多 く の Adsorbed Gas の 正 式 柚 須 品 目 名 が 追 加 さ れ た 。
例 : UN 3510 Adsorbed gas, flammable, n.o.s.★ ; UN 3511 Adsorbed
gas, n.o.s.★ ; その 他 、多 数 。
3.9.2.7 Miscellaneous Articles and Substances (その 他 の 有 害 物 件)
Asbestos を Asbestos, amphibole (amosite, tremolite, actinolite, anthophyllite,
crocidolite と Asbestos, chrysotile に 分 けて表 示 した。4.2 の 危 険 物 リストに もそれ ぞ れ
個 々 に 表 示 し て あ る 。 ア ス ベ ス ト は 自 然 に 産 出 す る 珪 酸 塩 の 鉱 物 フ ァ イ バ ー (mineral
silicate fibre) で Serpentine ( 蛇 紋 石 ) と Amphibole ( 角 閃 石 ) の 系 統 が あ る 。
Serpentine 系 統 で は Chrysotile ( ホ ワ イ ト ・ ア ス ベ ス ト ) が あ る 。 Amphibole 系 統 で は 、
Actinolite, Amosite (ブ ラウン・アスベ スト), Anthophyllite, Crocidolite (ブ ル ー ・アスベ
ス ト ) や Tremolite が あ る 。 す べ て の 種 類 の ア ス ベ ス ト は 健 康 に と っ て 危 険 で あ る 。
Amphibole (ブ ル ー とブ ラウン・アスベ スト) が 最 も危 険 な部 類 で ある。
4. Identification(分 類 )
4.2 – List of Dangerous Goods(危 険 物 リスト)
前 述 の と お り 、 数 多 く の Adsorbed Gas (吸 収 さ れ た ガ ス ) が 加 わ っ た 。
ま た 、 UN 0503 Air bag inflators, UN 0503 Air bag m odules や UN 0503
Seat belt pretensioner は 同 じ 国 連 番 号 で 正 式 輸 送 品 目 名 は Safety devices,
pyrotechnic と 品 目 名 が 変 わ っ た 。 UN 3268 Air bag inflators, UN 3268 Air
bag m odules や UN 3268 Seat belt pretensioner も 、 同 様 に 、 同 じ 国 連 番 号
4
で 正 式 輸 送 品 目 名 だ け が Safety devics, electrically initiated と 変 更 に な っ た 。
UN 3508 Capacitor, asym m etric (PI 971) が 追 加 に な っ た 。 陽 極 と 陰 極 の 材 質
が 同 一 で な い 「 非 対 称 キ ャ パ シ タ ー 」 で あ る 。 特 別 規 定 A196 が 新 設 さ れ た 。
UN 3480 Lithium ion batteries (PI 965), UN 3481 Lithium ion batteries
packed with equipm ent (PI 966), UN 3481 Lithium ion batteries contained
in equipm ent (PI 967) の ERG コ ー ド が 9FZ か ら 9F に 変 更 に な っ た 。これは、
リチウム火災そのものへの効果が薄くても、航空機に常備の消火剤は周辺の可燃物への類
焼を減少する効果はあると言う検証から、UN 3480 と UN 3481 に限り、ERG コードを
9F に修正したのである。これにより、乗員に対して心理的にもまだ策はあると言う観念
を持たせる効果がある。水がリチウム火災に対して最良の消火剤である事実が薄れてしま
うことは避けなければならない。
リチウム金属電池 (PI 968, PI 969, PI 970) の ERG コードは変更なく 9FZ である。
U N 3316 C hem ical K it, First A id K it に PG II と PG III の PG が 付 い た 。
UN 3507 Uranium hexafluoride, radioactive m aterial, excepted package.
less than 0.1kg per package, non-fissle or fissle excepted – Class 8 (7) PI 877 の
新 設 – 関 連 す る特 別 規 定 は A139 と A194.
4.4 – Special Provisions(特 別 規 定 )
特別規定には数多くの変更、修正、加筆、削除があるので、注意して見てほしい。
A 806 – この 例 外 規 定 は 、UN 3496 Batteries, nickel m etal hydride に 適 応 す る
も の で あ っ た が 、 新 し く A 199 を 新 設 し て 、 航 空 輸 送 の 際 の 条 件 を 記 し た の で 、 A 806
は 全 文 削 除 され た。
5.-Packing (包 装 )
5.0.1.5 – Overpacks (オ ー バ ー パ ック)
5.01.5.3 の CAO 貨 物 に 関 す る 項 目 が 全 文 削 除 に な り 、 5.0.1.5.1 (相 互 に 危 険 に
反 応 しな い ) 及 び (Table 9.3.A で 隔 離 の 必 要 が な い ); 5.0.1.5.2 (個 々 の 包 装 物 が
完 全 に 出 来 上 が っ て い る) の 3 点 を 満 た せ ば 、PAX 貨 物 も CAO 貨 物 もオ ー バ ー パ
ックして も差 し支 え な い とな っ た 。
以 前 の 5.0.1.5.4 は 一 つ 繰 り上 が っ て 5.0.1.5.3 に な った 。
5.0.2.12.3 Supplem entary Packagings (補 助 的 な 包 装 ) を新 設
外装容器の内側に補助的な包装 (例えば、中間容器、もしくは、規定の内装容器の
中に加える内容器) を包装基準で指定されているものに加えて使用して差し支えない。
但 し、5.0.2.5 (容 器 の 試 験 基 準 ) を 含 め 、す べ て の 指 定 され て い る条 件 が 満 た され 、
容 器 の 中 で 貨 物 が 移 動 しな い ように 適 宜 、クッシ ョン 材 を 加 え ること。
Packing Instructions(包 装 基 準 )
リチ ウム 電 池 に 関 す る包 装 基 準 PI 965 Section IB と PI 968 Section IB の 許 容 量
を Gross Weight か ら Net Weight に 変 更 し た 。 こ の 結 果 、 Gross Weight 表 示 は
Limited Quantity の 30kgG 以 外 は 皆 無 とな っ た 。
PI 968 Section IA, Section IB, Section II の リチ ウム金 属 電 池 の み を輸 送 す る場 合
は 、 旅 客 機 は 搭 載 禁 止 と な っ た 。 リ チ ウ ム 金 属 電 池 で も 、 PI 969 ( 使 用 す る 機 器 と 同
梱 )、PI 970 (使 用 す る機 器 に 装 着 ) の 場 合 、旅 客 機 搭 載 禁 止は 適 用 しな い 。
7. – Marking & Labelling(マ ー キングとラベ リング)
7.1.5.3 Environmentally Hazardous Substances (環 境 汚 染 物 )
5
7.1.5.3.1 に 記 載 さ れ て い た 5L 以 下 の 液 体 、 5kg 以 下 の 固 体 に 環 境 汚 染 物 の マ
ー ク は 不 要 と 言 う項 は 、新 た に 特 別 規 定 SP A197 に 移 さ れ て い る 。引 き 続 き 、5L 以
下 の 液 体 と 、 5kg 以 下 の 固 体 を 収 納 し た 単 一 容 器 も し く は 内 装 容 器 を 含 む 組 み 合 わ
せ 容 器 に は 環 境 汚 染 物 の マ ー クは 不 要 で ある。
各 種 の マ ー キ ン グ の 字 の 大 き さ (7.1.4.3 SALVAGE の 文 字 、 7.1.8.1 OVERPACK
の文字)
は 最 低 で も 12mm の 高 さの 文 字 、2016 年 1 月 1 日 より必 須 に な る。
7.1.5.5 – 地表輸送のために準備された少量危険物の貨物で、容器に地表輸送の少量危険物
のマークが付されている貨物を航空に切り替えるときには、航空輸送要件では国連容器を使用し
なければならないこともある。(例: UN 0012 Cartridges, small arms は地表輸送では少量危険物と
して輸送が認められているが、航空では LTD QTY は Forbidden となっているので、国連規格包
装に入れ替えなければならない。) 航空輸送に切り替えるときは少量危険物の容器ではなく、国連
規格の容器を使用し、必要なマーキングやラベルが完全に付いていれば、受託して差し支えな
い。
8. – Documentation(書 類 の 作 成 )
8.1.6.11.6 Viscous Flammable Liquids (粘 性 の 引 火 性 液 体 )
PG III に 割 り当 て て 輸 送 す る場 合 は 、申 告 書 の Additional Handling Information
の 欄 に “UN xxxx 3.3.3.1.1” の 文 字 が 記 載 され て い な け れ ば な らな い 。”xxxx” は
当 該 粘 性 物 質 の 国 連 番 号 を 当 て る。
8.2.6.2 付 録 の “B” (Appendix B) の Table B.4.A に 記 され て い る GHS の ピクト
グラムが表示されている包装物は包装物の中に危険物が収納されている可能性があ
る こ と を 意 味 し て い る 。 Table B.4.A に 記 さ れ て い る ピ ク ト グ ラ ム は 国 連 の 「化 学 品 の
分 類 お よび 表 示 に 関 す る世 界 調 和 シ ステ ム 」 (The Globally Harmonized System of
Classification and Labelling of Chemicals – GHS) の 規 定 に 従 っ た 絵 文 字 で ある。
危 険 物 申 告 書 が 添 付 さ れ ず に GHS の ピ ク ト グ ラ ム の 内 「 感 嘆 符 ( ビ ッ ク リ ・ マ ー ク ) 」
もしくは 「人体の上半身」のマークが表示されている貨物を搬入する時は、航空会社
の 手 続 き を 容 易 に す る た め 、 荷 送 人 は AWB も し く は 他 の 代 替 書 類 に 予 め ”Not
Restricted” と明 記 す る必 要 が ある。
9 – H andling ( 取 り 扱 い )
9.1.1.2 Cargo acceptance に Note 2 が追加になった。
Notes:
2. 包 装 物 に 示 さ れ て い る ダ イ ヤ モ ン ド 型 の GH S ピ ク ト グ ラ ム (絵 文 字 ) は 危
険 物 の 存 在 を 表 わ し て い る 場 合 も あ る 。或 る GH S ピ ク ト グ ラ ム は 供 給 と 使
用 の 際 に の み 危 険 性 を 呈 す る と 言 う 意 味 に 使 用 さ れ 、 他 の GH S 絵 文 字 は 、
輸送の際に使用されている危険性ラベルとほとんど同一の図柄が含まれてい
る 。従 っ て 、後 者 は 危 険 物 の 分 類 に 入 る と 見 做 せ る 。詳 し い 情 報 は Appendix
B の Table B.4.A 及 び
http://www.unece.org/trans/danger/publi/graphs_welcom e_e.htm l を
参照のこと。
9.1.7 Consum er Product W arning の 箇 所 に も 上 記 と 同 じ GH S の ピ ク ト グ
ラ ム に 関 す る N ote が 追 加 さ れ て い る 。
9.3.9 Stowage of Toxic and Infectious Substances (毒 物 と 病 毒 を 移 し や す
い 物 質 の 搭 載 ) と 9.3.14.3 の Div. 2.3 及 び Class 6 3 の 物 質 と 動 物 、食 料 、
飼料との積み合わせの項目は全面的に削除された。
9.5.1.1.3 (b) N OTOC に 正 式 輸 送 品 目 名 の 補 足 と し て 加 え ら れ て い る 技 術 名 ・
化学名は記載する必要はない。
10. – Radioactive M aterial ( 放 射 性 物 質 )
6
IAEA の 放 射 性 物 質 の 安 全 輸 送 に 関 す る 規 則 書 2012 年 版 を 土 台 に 改 訂 し て あ
る。色々と改訂されているが、大きな改訂はない。
10.0.3 Quality Assurance (品 質 保 証 ) を 10.0.3 M anagem ent System (管 理
シ ス テ ム ) と 呼 称 を 修 正 し 、よ り 積 極 的 に 生 産・使 用 面 に 関 与 す る 責 任 を 明 記 し
た。
Appendix A – Glossary ( 語 彙 ) 追加や改訂がある。
Appendix B.4 – 国 連 の 「 化 学 品 の 分 類 お よ び 表 示 に 関 す る 世 界 調 和 シ ス テ ム 」
(The Globally H arm onized System of Classification and Labelling of
Chem icals – GH S) が 定 め て い る ピ ク ト グ ラ ム (絵 文 字 ) と 概 略 の 説 明 文 が 掲
載されている。
Appendix D – 監督官庁の連絡電話番号などを最新のものに改訂した。
Appendix E – 国連規格容器の供給業者の表 (E 1) および容器の検査機関の情報 (E
2) を最新のものに改訂した。
Appendix F – 販売代理店 (F 2)、IATA 公認訓練校 (F 3 – F 5) および IATA 公認訓
練センター (F 6) の表を最新のものに改訂した。
以 上
航空機は世界の人々の平和と安寧を願って今日の繁栄を築いて来た。一部の過激な宗教
信奉者が扇動するテロ行為が航空輸送に暗い影を落としている。旅客輸送にも貨物輸送に
も危険物ルールは欠かすことの出来ない大切なルールである。いまのこの時期は、特に危
険物の安全輸送について強く思いをめぐらせる時である。諸兄姉も航空輸送業界のプロと
して是非安全輸送を心掛けて欲しい。
(終)
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