非居住者に対する支払について(所得税の手引き抜粋)

参考資料9
非居住者に対する支払について
非居住者に対する支払について(所得税の手引き抜粋)
①「901」(非居住者について)
ⅰ.非居住者とは
非居住者とは日本国内での居住期間が1年未満の者をいい、通常一律20.42%課税します。
雇用契約や就学期間等によって1年以上滞在すると推定される場合は租税条約の届出をすることにより、
入国後最初の2年間または3年間は非課税とすることができます。適用期間を経過した時点で居住者と同
様に課税します。また、特別研究期間等で1年以上国外に居住する場合は非居住者扱いとなります。報
酬等を支払う際はご注意ください。
ⅱ.非居住者への旅費の支払い
通常、給与所得の範囲内に係る旅費(交通費、宿泊料、日当を含む。以下、旅費等と記載。)を支払
う場合、居住者についてはその金額が常識的な範囲で必要且つ妥当な金額である場合には、実費額を示
す領収書等がない場合でも非課税で支払ってよいとされています。
海外からの招聘講師等の非居住者に対して旅費等を支払う場合については、日当や宿泊料も20.42%
課税となります。非居住者に支払う旅費等については全て報酬扱いとなりますので、領収書の提出があ
り実費額であることが明らかな場合であっても、支払者が直接、旅行会社や航空会社、ホテルへ支払う
場合を除いて、本人へ支払う際には非居住者として20.42%課税となりますのでご注意願います。
非居住者本人へ旅費等を支払う場合でも、租税条約の届出があれば課税されません(租税条約につい
ては次項ⅲをご覧ください)。租税条約適用国に居住している方本人へ旅費を支払う際には、基本的に
事前に租税条約の届け出をしていただくようお願いいたします。
ただし、租税条約適用国以外に居住している方へ旅費等を支払う場合は、交通費についてのみ、
20.42%所得税分を上乗せして(実費分を本人が受け取る)支払ってもよいことといたします。(下表
※2)租税条約適用国以外の国の居住者へ宿泊料・日当を支払う場合は、所得税分を上乗せして支払う
ことはできません。また、租税条約適用国居住者へ旅費等を支払う場合にも、所得税分を上乗せして支
払うことはできません。
非居住者へ支給する交通費・滞在費等の支払表(概略)
非居住者の手取り額
租税条約適用国
租税条約非適用国
品目
事前の届出あり
交通費
実費
0%
実費-税額
※1
20.42%
実費
支給額
0%
支給額-税額
※3
20.42%
支給額-税額
講演料等支払額
0%
講演料等支払額-税額
20.42%
講演料等支払額-税額
滞在費(日
当・宿泊料)
講演料等
税率
届出なし
税率
税率
※1 ※2
20.42%
※3
20.42%
20.42%
*詳細については、『I:\20_教職員\27_人事厚生\10_人事\06_各種申請書・手引き\04_税務\01_所得税の手引
き』内「非居住者へ支給する交通費・滞在費等の支払表(詳細).pdf」をご確認ください。
※1
※2
※3
大学が直接、旅行会社・航空会社へ支払う場合には非課税となります。
租税条約非適用国招聘者の交通費を支払う際は、実費分が本人手取額となるように所得税分を上乗せしてから
20.42%課税してください。 (交通費+所得税分上乗せ)-20.42%課税=実費
大学が直接、宿泊料を宿泊施設等へ支払う場合には非課税となります。
参考資料9
非居住者に対する支払について
ⅲ.外国法人(非居住者)への著作権料/使用料の支払い
外国法人へ著作権料や使用料を支払う場合、外国法人も非居住者として20.42%課税されます。
ただし、租税条約の適用国の外国法人の場合、事前に租税条約の届出があれば課税率が軽減されます
(租税条約については次項②をご覧ください)。
外国法人の日本代理店等へ支払う場合については、その日本代理店が「免税許可書」を取得している
場合には非課税で支払うことができますので、事前にご確認いただき支払うようご注意ください。
ⅳ.日本の金融機関に本人口座がない非居住者への支払い
日本の金融機関に本人口座がない非居住者への支払の場合は、箇所口座に予め資金を用意して
現金で本人に支払います。その場合、毎月、月末までに、支払対象者の明細データを所定のファイル名で
給与厚生課所得税メーリングリスト宛([email protected])にご送付ください。尚、教職員
の立替払いはできません。
支払明細データは、支払請求番号・氏名・支払額・控除額・所得税コード・居住国・担当者名をエク
セルデータで作成し、支払請求番号毎の最終行に支払額合計・控除額合計を明記してください。
※氏名の入力の際、漢字氏名のない外国人についてはアルファベットで(姓名の順)で入力してください。
【非居住者の明細データ様式】
支払請求番号
5E4200800XXXX
氏名
Smith John
合計
支払総額
62500
62500
控除額
12500
12500
所得税コード
901
居住国
アメリカ
担当者
山田 71-2527
支払請求番号
5E4200800XXXX
氏名
張 偉
合計
支払総額
50000
50000
控除額
0
0
所得税コード
107
居住国
中国
担当者
山田 71-2527
【非居住者の明細データファイル名】
「非居住者_箇所コード_箇所名_支払入力月_支払請求番号」としてください。
(例)非居住者_E4_給厚_1 月_1891
②「107」(租税条約について)
租税条約は2国間(居住国と日本)での二重課税を避けるために締結されたものです。
租税条約の適用を受けると国内所得に関して一定期間(標準で入国から2年間)非課税となります。租
税条約では招聘理由によって申請方法(届出書)が異なります。招聘理由による区分ならびに使用する
届出書の様式は以下の通りです。
ⅰ「教育」・・・カリキュラムに沿った講義を含むもの
ⅱ「研究」・・・交換研究員等で「教育」以外のもの
ⅲ「講演」・・・国際会議や研究会等で短期間のもの
→ 「様式 8」
→ 「様式 7」
ⅰ、ⅱは「交換教授等の報酬」の届出書「様式8」、ⅲは「自由職業者給与」の届出書「様式7」を使用し
てください(用紙は公開フォルダ(I:)から入手してください)。適用を受ける場合、対象者の居住地・期
間・目的等で適用制限がありますので、給与厚生課まで必ず事前にご相談ください(適用国一覧参照)。
申請は給与厚生課が行いますので必要項目をすべてご記入の上、対象者1名につき2通(コピー不可)ご
提出ください。その際、査証申請用書類、具体的な講義、研究内容(国際会議の場合は名前入りパンフ
レットも可)を添付してください。なお、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、スイス、
オランダ居住者の場合「特典条項」および「居住者証明書」(過去1年以内に作成されていること)が更に必要
になります。特にアメリカの「居住者証明書」は申請者本人の申請から取得まで1ヶ月以上かかります
ので、必ず入国前に申請者本人が入手しておくようご指示ください。
Iドライブ:
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参考資料9
非居住者に対する支払について
租税条約の適用国一覧
国
名
期間
研究 教育 講演 学生
国
名
期間 研究 教育 講演 学生
アイルランド
2年
×
○ ○
×
タジキスタン
2年
○
○
×
×
アメリカ
2年
○
○ ○
×
中華人民共和国
3年
○
○
○
注6
アルメニア
2年
○
○ ×
×
チェコ
2年
○
○
○
×
2年
×
× ○
×
デンマーク
2年
○
○
○
×
イスラエル
2年
○
○ ○
×
ドイツ
2年
×
○
○
×
イタリア
2年
○
○ ○
×
トルクメニスタン
2年
○
○
×
×
インド
2年
○
○
○
×
トルコ
教授条項なし
○
×
インドネシア
2年
○
○
○
○
ニュージーランド
教授条項なし
○
×
ウズベギスタン
2年
○
○
×
ノールウェー
教授条項なし
○
×
○
×
ハンガリー
2年
○
○
○
○
2年
○
○
○
×
注3
×
イギリス
注5
ヴィエトナム
教授条項なし
×
ウクライナ
2年
○
○
×
×
バングラデシュ
エジプト
2年
○
○
○
×
パキスタン
○
×
フィリピン
2年
○
○
注4
×
○
×
フィンランド
2年
○
○
○
×
オーストラリア
オーストリア
教授条項なし
2年
×
○
教授条項なし
オランダ
教授条項なし
○
×
フランス
2年
○
○
○
×
カナダ
教授条項なし
○
×
ブラジル
2年
○
○
○
×
韓国
2年
○
○
○
○
ブルガリア
2年
○
○
○
×
キルギス
2年
○
○
×
×
ベラルーシ
2年
○
○
×
×
○
×
ベルギー
2年
×
○
○
×
×
×
ポルトガル
○
×
○
×
ポーランド
○
○
○
×
香港
教授条項なし
○
×
クウェート
グルジア
サウジアラビア
ザンビア
教授条項なし
2年
○
○
教授条項なし
2年
○
○
教授条項なし
2年
○
○
シンガポール
教授条項なし
注1
×
マレーシア
教授条項なし
○
×
スイス
教授条項なし
○
×
南アフリカ
教授条項なし
○
×
スウェーデン
教授条項なし
○
×
メキシコ
教授条項なし
○
×
○
×
モルドヴァ
2年
○
○
×
×
○
ルクセンブルグ
2年
○
○
○
×
スペイン
2年
○
○
スリ・ランカ
2年
○
○
スロヴァキア
2年
○
○
○
×
ルーマニア
2年
○
○
○
×
タイ
2年
○
○
×
○
ロシア連邦
2年
○
○
×
×
×
参考資料9
非居住者に対する支払について
*租税条約(講演・短期滞在者)を適用した場合
・滞在期間が課税年度を通じて 183 日を越えないこと。
※年をまたがって滞在する場合、滞在日数が 183 日を越えても、各年の滞在期間が 183 日以内で
あれば免税の要件を満たす場合があります。
※国によって滞在日数の数え方が異なりますので、必ず給与厚生課までご相談ください。
・報酬を支払う者が租税条約の適用国の居住者であること。
・報酬額の一部に適用国の負担が無いこと。
上記の特例に該当しない場合には、その給与、報酬、旅費については国内法に基づき20.42%の税率
となる。
(適用国一覧注釈)
注1.海外送金の場合のみ適用。日本国内で本人に支払う場合は非適用のため課税。
注2.台湾、マカオは非適用のため課税。
注3.90日超の滞在、または750,000円超の場合は非適用のため課税。
注4.120日超の滞在は非適用のため課税。
注5.スコットランドはイギリスに含まれる。
注6.中国からの留学生は租税条約届出書を提出することにより、学生である期間中は本学で発生する
所得について租税条約を適用することができます。ただし、学内で情報を共有するシステムが整
っていないため、租税条約届出書を提出された学生には、他箇所で就業する場合は租税条約の届
け出がある旨、処理担当者に伝えるよう周知をお願いします。
租税条約届出書の記入例については、「様式8_記入見本(留学生・中国)」を参照してください。
Iドライブ:¥20_教職員¥27_人事厚生¥10_人事¥06_各種申請書・手引き¥04_税務¥04_租税条約
¥【参考】記入見本(様式7,8,11)
不明な点等がありましたら、給与厚生課までお問い合わせください。
(適用国一覧補足事項)
・租税条約を締結している国からの留学生について、租税特別措置法の特例により課税を免除される国
があります。免除される国によっては期間の制限・金額の制限がありますので、給与厚生課までお問
い合わせください。
・国籍と居住地国が異なる方を招聘される場合は、居住地国との条約を適用してください。
・租税条約適用国居住者の方には住民税についての特例が認められている場合もあります。租税条約に
よる住民税の特例に関する問い合わせ・手続きは本人の居住している市区町村にてお願いいたします。
(その他注意事項)
*他大学等(他の支払者)が届け出た租税条約により滞在している教員に講演を依頼した場合などは、
再度、租税条約の届け出をする必要があります。届け出をせずに課税した場合、後日還付金請求をさ
れる場合がありますので、領収書をもらうようご注意ください。
*租税条約を提出した箇所とは別の箇所で勤務する場合、本人からの申告がない限り、租税条約が適用
されているかその箇所では判断できません。租税条約を提出したら、本人に別の箇所で働く場合は自
己申告するようお伝えください。
*教職員による立替は原則禁止されています。非居住者本人に課税して支払う招聘旅費・滞在費等を教
職員が立替えた場合は、所得税基本通達161条第8号に基づき課税対象となります。(箇所が直接業者
に支払う場合以外は課税対象となります。)
参考資料9
非居住者に対する支払について
*租税条約に関する届出書に記載の金額と実際に支払った金額に変更がある場合は、給与厚生課に該
当
者と変更後の金額をお知らせください。
*租税条約に関する届出書は、入国後から最初の支払の3日前までに給与厚生課までご提出ください。
但し、教職員番号を付与されている雇用契約のある方の場合は給与振込月の前月25日までに届出書を
ご提出ください。
*租税条約に関する届出書の届け出をせずに課税された場合で、後日手続きを希望される場合は還付請
求手続きをすることができます。また、租税条約適用国でないなど還付請求手続きが出来ない場合で
も、納税証明書の発行により、本国での二重課税を防止することができます。詳細は給与厚生課まで
お問い合わせください。