2014年、注目すべきはプレミアムなDOワイン

ヌエ
エスパーバ
ニャ
通信
Vol.6
2014·春
スペインワイン、新時代。
2014年、注目すべきはプレミアムなDOワイン
第一特集:スペイン北部に集積する4つの名醸地案内
第二特集:DOワインと相性のよい郷土料理とは?
コラム:人気ソムリエ、佐藤陽一さんが語るDOワイン
ここ数年、
ワイン通の間では、
品質が高く、
土地や造り手の個性がしっかり凝縮されたスペインの高級ワインが人気を集めています。
ハイエンドなワインといえば、DO(原産地呼称)
ワイン。
北部に集中する4つの名醸地から、
とくに評価が高いワイナリーを厳選して特集します。
また、DOワインをより深く楽しむためにおすすめの食材と郷土料理も、
各地のシェフに教えてもらいました。
進化するスペインワインの躍進に、
今年もどうぞご期待ください!
Riberadel Duero
リ ベ ラ・デ ル・ド ゥ エ ロ
最高のテンプラニーリョ種を生む、
高級スペインワイン産地のリーダー。
リオハと並ぶ高級赤ワインの産地として、今最も名
「この辺りは、大陸性気候と地中海性気候が混在する
声が高まっているのが「リベラ・デル・ドゥエロ(ドゥ
地域で、冬は長くて寒さが厳しく、夏は非常に暑くて
エロ河の川岸の意)
」です。カルトワインの代名詞であ
乾燥します。昼は40℃に達することも多く、
夜とは20
るベガ・シシリアの故郷といえば、ピンとくる人も多い
℃ほど寒暖の差が生まれるほど。この温度差がぶどう
でしょう。名前のとおり、マドリッドから北へ150km
の生育を促し糖度を増してくれます。土壌は、石灰質
離れた、ドゥエロ河岸に広がる標高750mのメセタ台
土壌の上に沈泥や粘土が堆積しているので、畑は湿度
地に位置しています。DOに認定されたのは、1982年
を保ちながらも水はけがよいのが特徴です」
のこと。この地で造るワインには、
テンプラニーリョを
ワインメーカーのハビエル・アラドロ氏は、まずリベ
75%使用することが義務づけられています。そのため、
ラ・デル・ドゥエロについて説明してくれました。曾祖
全般的に“どっしりとしたフルボディの赤”が特長的。
父の代からワイン造りを行ってきた家系に生まれたア
そのなかにあって、バランスのとれたタンニンと酸味
ラドロ氏。脈々と受け継がれてきた情熱を胸に、目指
るために、最先端の醸造技術を積極的に取り入れてい
を追求した飲みやすいワインの造り手として注目株ナ
すのは畑の特徴を表現したワインを完成させることで
ます。2011年からは、発酵に“コイノキュレーショ
ンバー1の呼び声が高い
す。そのために異なる区画の畑を選び、ワインの種類
ン”と呼ばれるシステムを導入。アルコール発酵と乳
のが、1997年に創業さ
に合わせて、プロセスを変えています。
酸菌が主役のマロラクティック発酵を同時に行うもの
れた「ボデガス・バルデ
「希少性のある品質の高いワインを提供することが
で、酸味がまろやかに仕上がります。また、3種類の
『バルデュボン』の使命であり、私の使命です。実現す
ワインのうち、樽熟成をしない『コセチャ』には、発酵
ュボン」です。
限定販売
限定販売
限定販売
バルデュボン
コセチャ 2013
バルデュボン
ロブレ2012
バルデュボン
クリアンサ 2011
テンプラニーリョ100%。濃く
深みのある赤色。ベリー系の
香りで、スパイスや乳酸品を
思わせる香りも含む。果実味
あふれるアタックで、キメ細
かいタンニンを感じる程よい
ボディのワイン。ニシンの酢
漬けや寿司と合う。2012年ML
ワインコンクール金賞。2013
年チャイナ・ワイン・アワード
金賞。2013年バッカス国際ワ
イン・コンクール銀賞。
テンプラニーリョ 100%。オ
ーク樽熟成4ヶ月。濃く深
みを持った紫色。香り豊か
で、ベリー系の香りとそれ
をコンポートした香り。アメ
リカンオーク由来のバニラ
やココナッツ香も感じる。
力
強く、凝縮感と構造力のあ
る味わい。ビーフシチュー
や豚の角煮と合う。2013年
チャイナ・ワイン・アワード
銀賞。
テンプラニーリョ100%。オー
ク樽熟成12 ヶ月。濃く深みを
持った紫色。熟成による華や
かさがあるベリー系の香りに
包まれる。空気に触れると甘
く複雑な香りに変化。柔らか
で、熟成感と力強さがある味
わい。ローストビーフやすき
焼きと合う。2013年ベルリン・
ワイン・トロフィー金賞。2013
年モンド・セレクション(ブリ
ュッセル)
金賞。
(左)
「ボデガス・バルデュボン」
のワイ
ンメーカー、ハビエル・アラドロ氏。
2003年より、
現職を務める。
(上)
リベ
ラ・デル・ドゥエロの中にある、ミラグ
ロス村に
「ボデガス・バルデュボン」
は
あります。
35軒の農家と契約し、
120ha
のぶどう畑を管理してワイン造りを
行っています。すべて若飲みタイプ
のワインです。
CA
ASTURIAS
トップクオリティのDOワインを生み出す
スペイン北部の黄金ベルト。
GALICIA
現在、60以上存在するスペインのDO(原産地呼称)ワイン。
面白いことに、そのなかでもスペインを代表するワイナリーの多くは、北部に点在しています。
カルトワインを生み出す産地として知られるリベラ・デル・ドゥエロ。
スペインでも2カ所しかない、DOワインでもさらに厳しい基準で昇格が認められたDOCa(特選原産地)
のリオハとプリオラート。
そして、
シーフードによく合う高品質な白ワインを造るリアスバイシャス。
この4地域から、
最も注目すべき4軒を訪ねました。
ワインに秘められた各醸造家たちの思いを知れば、より美味しさが増すはずです。
CASTILLA Y LEÓN
Rio Duero
ドゥエロ川
Rias Baixas
リ ア ス・バ イ シ ャ ス
エレガントな極上白ワインを造る、
アルバリーニョ種の故郷。
ンタ』です。アロウサ湾に面していて、大西洋の荒波
く、夏は乾燥して、秋と冬は雨が多い。そんな環境が、
を受けています。ぶどう畑が海に隣接しているのが大
優雅で繊細な心地よいアロマを生むそうです。
きな特長といえるでしょう
「花崗岩の土壌と海の荒々しさ、そしてアルバリーニ
穏やかな笑顔で語るのは、ワインメーカーのロジェ
ール・フェルナンデス氏。この地域独特の栽培法を見
せたいと、畑へと案内してくれました。
冷涼な気候のリアス・バイシャス。スペイン北西部
「高い位置にぶどうがあるでしょう? “ペルゴラ”
と
にあるガリシア州のじぐざぐと複雑に入り組んだ太平
呼ばれる方式で花崗
洋岸沿いにある地域で、スペイン随一の白ワイン産地
岩の支柱で支えて、棚
として定評があります。ここで造られるワインは、
“海
式で栽培するリアス・
のワイン”という愛称を持ち、清楚でエレガントな味
バイシャスならでは
わいが魅力的。シーフードとの愛称も抜群です。
の光景です」
「上品な味わいは、この地を代表するアルバリーニョ
大西洋気候で、冬も
品種からきています。その品種発祥の地、バル・ド・
温暖で日中と夜間の
サルネスの南にあるのが、私たちのワイナリー『ビオ
気温差はほとんどな
ョのぶどう。
『ビオンタ』を一口飲めば、この
土地を旅した気分を味わえます」
今夏の新定番ワインとして要注目です。
ビオンタ
アルバリーニョ(白)2013
昨年、限定数が日本上陸を果たし、大好評だったワイン。
嬉しいことに2014年、本格的に展開がスタート。アルバ
リーニョ100%。輝く淡いイエロー。トロピカルフルーツ
の香り。味わいは、はつらつとした果実の酸味にミネラ
ル感があり、余韻が長い。甲殻類や魚介類はもちろんエ
スニック料理とも不思議とよく合う。 6月発売予定
(左上)1.5mより高いところに葉が育つので、
生産者は
ぶどう棚の下ですべての作業を行います。
(左)
「醸造
家は地域の自然と独自性を伝える表現者」
。ワインメ
ーカーのフェルナンデス氏は誇りを持って言う。
S
EXTREMADURA
P
Priorato
プリオラート
若手が活躍する、芸術的な赤ワインと新世代のグルメ発信地。
スペインワインの“今”を感じるプリオラート。若い
生産者の意識が高く、個性を追求したワイン造りで知
られています。2009年、リオハに次いでDOCa(特
選原産地)に認定されたことでも有名です。ここで、
比
較的新しいワイナリーにも関わらず、
ファーストヴィン
テージから数々の受賞歴を持ち、同業者も一目置いて
いるのが「モランダ」です。2003年からは、若き女
性醸造家ジュディ・ロプさんが責任者を務めています。
「私たちがすべてを捧げているプリオラートの伝統的
時に“ガニメード”という、
つねに酸化から防ぐことが
品種、
ガルナッチャとカリニェナこそ『モランダ』の個
できる画期的なタンクを用いているのです。
性の原点です。この個性を最大限に引き出すのがプリ
革新的な技術を生かしながらも、ブドウの収穫はす
べて手摘み。最高の1本を生み出すためには、いかな
オラートの流儀。そのためには小規模で、生産者も限
定して丁寧な仕事を行っています」
生粋のプリオラートっ子のロプさん。
ワイン造りに携
呼ばれるスレート岩の土壌が特長で、ぶどうの樹が張
が高く、世界的に権威あるワイン雑誌では軒並み高得
わっていた父親の影響で幼い頃から、ぶどう栽培に親
りやすく急斜面での栽培や降雨量の少なさといった過
点を獲得。ここ数年は、様々な賞を受賞しています。
しんできました。土地のことも知り尽くしています。
酷な自然環境を補っているのです」
「何と言っても、リベラにあって親しみやすい味わい
「ごつごつした岩の多い、切り立った険しい斜面にテ
のワインというのが一番のポイント。つねに食事と合
ラス状に畑が切り開かれています。
“リコレーリャ”と
る手間も惜しみません。その努力は専門家からも評価
古くから続く大地と職人技が融合した味わいは、力
強く、私たちを惹きつけてやみません。
わせることを考えているからです。タパスや肉料理と
楽しめば、より一層美味しさが引き立ちますよ」
モランダ(赤)2009
ガルナッチャ 50%、カリニェナ50%。輝きのある
深い赤色。香りは、
黒い果実を彷彿させる。成熟
したタンニンと豊かな酸味を感じる味わい。昨年
は、
アジア最大規模のワイン審査会のひとつであ
る
「第16回ジャパン・ワイン・チャレンジ2013」
で、
「Best Spanish Wine」
と
「金賞」
の2冠を手にする快
挙を成し遂げました。
ANTABRIA
PAÍS
VASCO
NAVARRA
CATALUÑA
LA RIOJA
ARAGÓN
Barcelona
バルセロナ
(上)
プリオラートの土地を愛する、醸造責任者のロプさん。弱冠35歳。
(右上)20年前まで、プリオラートはカタルーニャ州で一番貧しい過疎の
土地でした。今では、
若者が移住するほどの一大ワイン生産地へと成長。
Rioja
Madrid
リオハ
マドリッド
MADRID
A
I
N
COMUNIDAD
VALENCIANA
スペイン産赤ワインの王様で有名な世界に誇る名醸地。
CASTILLA-LA MANCHA
MURCIA
ANDALUCÍA
「リオハで造られるワインの75%以上がテンプラニ
樽にはとくにこだわり、平均して3年以下のものだけ
ーリョを使用しています。この品種は、私たち醸造家
に限り、5年以上経った樽は使用しません。4ヶ月ご
がワインに求めるすべてが揃っている。新鮮さ、果実
とに洗浄を行うといった、手間と時間をかけて丁寧な
味、優雅さ、しっかりしたストラクチャーです」
作業を行っています。ぶどうもすべて手摘み。自社畑
1937年に創業した、リオハの名門のひとつ「ソラ
ール ビエホ」
。その醸造家、ヴァネッサ・インサウス
ティさんは生き生きと説明してくれました。
「ソラール
と長い間契約を結んでいる農家で栽培された果実を厳
選していることも、美味しさの秘密です」
実は、このワイナリーは歴史があるにも関わらず、
ビエホ」といえば、テンプラニーリョを知り尽くした
15名という少数精鋭で運営されています。
ワイン造りで定評があるワイナリーです。
「目指すのは、
「全員がワイナリーを熟知し、ワインを愛しているの
フルーティかつ樽の風
味も感じる絶妙のバラ
ンスで完成する味わい。
Photographs by Yusuke Moriya, Jordi Play and Ai Yoshikawa / Designed by Yamada Jimusyo
で、味には絶対の自信があります」
DOCaリオハの帝王とも言えるワインは、並々なら
ぬ愛情と時間を注いだ末の成果にほかなりません。
(上)
リオハで生まれ育ったインサウスティさん。
家族の多くがワイン醸造に従事し、ぶどう畑も所
有しています。ご主人も醸造家。
(左下)DOCaリ
オハは、マドリードの北北東250kmに位置し、カ
ンタブリア山脈のふもとに広がる。
ソラール ビエホ
コセチャ2012
ソラール ビエホ
クリアンサ2010
ソラール ビエホ
レセルバ 2008
テンプラニーリョ 100%。樽
熟成を行わない若飲みタイ
プで、宝石のように美しいル
ビーレッドが食卓に映えま
す。赤い実の香りを持ち、果
実そのものの味わいをスト
ーレトに楽しめます。おすす
めは、パエリアやポテトのオ
ムレツと一緒に食べること。
テンプラニーリョ100%。オーク
樽で12 ヶ月間熟成を行っていま
す。70%がアメリカンオーク、30
%がフレンチオークを使用。明る
いガーネットレッドカラー。濃い
ベリー系の果実にバニラのニュ
アンスが感じられる香りで、果実
味と樽のニュアンスがバランス
のよい上品な味わいです。仔羊
の骨付き肉の直火焼き、魚の赤
ピーマン詰めと合う。
テンプラニーリョ85%、同じくリ
オハ原産のグラシアーノ15%。
14
ヶ月間樽熟成した後、瓶内熟成
されます。樽はアメリカンオーク
50%、
フレンチオーク50%。熟成
感のあるガーネットカラー。ベリ
ー系を思わせる香りにスパイス
のニュアンスが。まろやかなタン
ニンと酸のバランスがよく複雑
味が魅力。
骨付きリブロースの炭
火焼きと合わせたい。
a
nuev
ña
espa
4地域のDOワインを引き立てる食材&郷土料理
4
201
ワインだけを味わうのもいいけれど、
仲間と一緒においしい食事を囲みながら飲むワインはまた格別。
前半で訪ねた、
スペインのプレミアムワインの産地で実際に合わせている食材と料理の組み合わせを教えてもらいました。
ついつい、
ワインが進んでしまうこと間違いありません。
食材
郷土料理
Lechazo de
Morcilla
Castilla y León モルシージャ
Quesos de oveja Lechazo asado
カスティーリャ・レオン
州産の仔羊
ソフト、セミハード、 カスティーリャ・レオン もともと、主な材料は
ハードなど、いろいろ 州産の生後21~25日 水、残り物の固くなっ
なタイプのものが揃う。 の仔羊の炭火焼。地元 たパン、ニンニク、パ
クアハードと呼ばれる の定番のごちそうです。 プリカという、非常に
カードチーズにハチミ アランダ・デル・ドゥエ 質素で素朴な料理。今
ツをかけて、デザート ロでは毎年、地元のレ は、卵を使ったものな
としていただくのも一 ストランがこの味を競 ど、レシピにバリエー
般的に楽しまれている。 うフェアが開催される。 ションもあります。
羊のチーズ
豚の血にタマネギ、ス
パイス、ラード、米、
カスティーリャ・レオ 松の実、パンなどを加
ン州産の母乳のみで育 えた、見た目はボリュ
った35日未満の子羊 ーム感があるが、柔ら
のことです。草食した かなテクスチャーの腸
仔羊とは肉質、香り、 詰め。カスティーリャ・
テイストが異なります。 レオン州が本場です。
仔羊のロースト
Sopa castellana Empiñonados
a
DOワインを楽しむ。
s p a スペインワインを
より美味しく提供するために
ñ
このエリアで有名な食材といえば、モルシージャやチョリソーなどのソーセージ類とチーズ。
郷土料理の代表格はレチャサ・アサードと呼ばれる羊肉料理です。生後21〜 25日の母乳のみ
で育った仔羊を炭火でローストします。
カードチーズの蜂蜜添えのデザートも有名。
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リベラ・デル・ドゥエロ
*n
Riberadel Duero
*
v
ue a
カスティーリャのスープ エンピニョナドス
半世紀以上前に、アラ
ンダ・デル・ドゥエロ
のペストリー職人が、
地元のお菓子として開
発した非常に甘い焼き
菓子です。主な原料は
卵の白身、砂糖、松の
実。まさに郷土菓子。
独自のソムリエ哲学やワイン論を展開し、
多くのファンを持つ、
ソムリエの佐藤陽一さん。
プロの立場から、DOワインの楽しみ方を
アドバイスいただきました。
スペインのワインは“ブドウ栽培面積が広
く、生産量が多い”という事はよく知られて
います。それぞれの土地の栽培品種毎の個性
の違いはもちろんの事、栽培面積の広さから
来るものなのですが、同じ「テンプラニーリ
ョ」と呼ばれる品種であっても
“多様性”
があ
RiasBaixas
リアス・バイシャス
リアス式海岸、
河川に生息する魚介類の種類が多く、
特に良質のマリスコス
(エビ、
カニ、
貝類など、
甲殻類を
指す言葉)
の宝庫です。
この地域の郷土料理に共通する要素は、家庭的で、飾り気がなく、ゆっくりと時間を
かけて調理され、
気前よく盛られること。
食材
郷土料理
Almeja de Carril Lamprea
カリル産アサリ
ヤツメウナギ
Pimientos de
Padrón
Pulpo a feira
Empanada
Merluza a la
gallega
プル ア フィエラ カチェロス エンパナーダ
最も品質が高いのが、 欧州でも生息地が非常 ピミエントス・デ・パドロン 1年中食される料理。柔
アルメハ・フィナ種。 に限られた魚種ですが、 ガリシア州パドロン産 らかく茹でたタコをハ
最も漁獲量の多い漁村 リアス・バイシャスでは、 のしし唐に似た青唐辛 サミでぶつ切りにし、
がカリルであることか ウリャ川、ミーニョ川で 子。オリーブオイルで 木の皿に盛って、ホッ
ら、アルメハ・デ・カ 収穫されます。具を詰 素揚げして、粗塩をふ トパプリカ、塩、オリー
リルと呼ばれています。 めるペストリー、エンパ ってタパスとしてつま ブオイルで調味する。
レモンをかけて生食す ナーダや衣揚げ、ボル んだり、料理のつけ合 ジャガイモが敷くプル
るのがおすすめです。 ドー風に調理します。
わせとして使われます。 ポ・コン・カチェロスも。
魚介、肉、野菜などを ガリシア風メルルーサ
詰めたパイ。ツナ、タ ジャガイモを一緒に塩ゆ
ラ、カツオ、帆立貝、 でした、
タラ目の魚メルル
ムール貝、牛肉などバ ーサに、
ガリシア風ソー
リエーションは多彩で スをかけたもの。
ガリシア
す。ガリシアのものは 風ソースは、
オリーブオイ
パイ生地がしっとりと ル、
ニンニク、
パプリカが
柔らかく薄いのが特長。 ベースとなっています。
り、産地によって名称も異なり、個性の違い
を表現しているため、品種の目安だけではひ
とくくりに理解していくことが難しいのです。
これだけ世界中のワインが手軽に入手でき
る現在の日本の環境の中で、スペインワイン
の理解を深めるためにはどうすればよいので
しょうか?そこで新たに注目していただきた
いのがDO(原産地呼称)なのです。
リアス・バイシャス、カヴァ、リベラ・デ
ル・ドゥエロ。などはすべてこのカテゴリー
に入るもので、
DOとは
“産地の個性をワイン
で表しています”といういわゆるお墨付きを
表しているのです。
(リオハとプリオラートは特選原産地呼称に
認められており、DOCaという格付けになり
Priorato
プリオラート
プリオラートは、海からそう遠くない場所で、昔からアクセスの悪い土地であったため、地元で採れる山の幸がこ
の地域の食文化を支えてきました。
海の幸は鮮魚ではなく、保存の利く塩漬けにした魚が日常的に使われていた
ことから、
今の料理にも生かされています。
食材
Charcutería
ハム、ソーセージ類
郷土料理
Avellanas
ヘーゼルナッツ
大きな肉の塊を使うハ 昔から暖をとるための
ムのグループと、ひき 高カロリー食として、ナ
肉を使う腸詰のグルー ッツを含むドライフル
プに2大別できます。 ーツが常用されてきま
後者は、さらに生のも した。デザートはもち
の、熟成させたもの、 ろん、料理の材料とし
加熱したものの3カテ ても、日常の食生活に
ゴリーに分けられます。 取り入れられています。
Aceite de
Oliva SIURANA
シウラナの
オリーブオイル
長いオリーブ作りの歴
史を持つキャンプ・デ・
タラゴナ一帯で生産さ
れるD.O.Pシウラナは、
カタルーニャ有数の高
品質オリーブオイル。
Coca de recapte Xatonada
レカプテのコカ
チャトナーダ
Truita amb suc
オムレツのスープ仕立て
コカは“カタルーニャ 縮れた葉野菜のエンダ プリオラートを代表す
風ピザ”。レカプテは イブ、水で戻した塩ダラ、 る郷土料理の一つ。イ
「常備食」的な意味合 アンチョビ、ツナ、アル ンゲン豆とほうれん草
いを持つ言葉です。パ ベキナ種のオリーブの のオムレツを、ニンニ
ン生地の上に焼きピー 実のサラダ。カタルーニ ク、トマト、パセリの
マンと焼きナスを載せ ャ地方のペネデスなど みじん切り炒めがベー
てオーブンで焼いたも が本場。専用のドレッシ スのスープで煮たもの。
のが基本形です。
ングをかける。
パンを浸して食します。
ます。
)
地図上では滑らかに平たく見えてしまうス
ペインですが、実際には、中央高地、海沿い、
雨の多い少ない、地質の違い、標高と、無数
の組み合わせが存在しています。
海水に似たニュアンスの塩水で茹でた新鮮
な魚介の料理にはやはり海のお塩を使い、海
沿いの産地を選び試してみたいし、内陸部の
仔羊の丁寧なローストであれば、草原のハー
ブなどをまぶし、その食材の採れた環境に近
いDOワインを選んでみる。
今までとは異なったワインと料理との展開
の奥深さが感じられ(長い目で見た場合の顧
客の満足度のアップにもつながり)スペイン
ワインとの付き合いがより楽しく感じられる
Rioja
リオハ
この地域の料理の特徴は、クオリティの高い素材を活かすシンプルなレシピが中心であること。
素材の代表格はエブロ川
流域で栽培される豊富な野菜、豆類、山間部から供給される羊、豚など。
ナバラ州のエブロ川流域は、地域特産の野菜がと
りわけ豊富です。
食材
郷土料理
Pimiento riojano Chorizo riojano Queso de
los Cameros
リオハ産ピーマン
リオハ産チョリソ
ピーマンはリオハを代
表する野菜。この地域
原産で、ほぼここでし
か栽培されていない種
類もあります。表面は
ごつごつした鮮やかな
赤色で、肉厚。辛味は
なく、甘味を感じます。
Menestra de verduras Pochas con
codornices
野菜のメネストラ
Embuchado
エンブチャード
欧州委員会の品質保証 カメロス産
いろいろな野菜をミッ ポチャスとウズラの
仔羊(まれに子ヤギ)
つき欧州産品リストに ゴートチーズ
クスしたメネストラは、 煮込み
のモツを筒型に巻いて
加えられています。ス リオハ州のカメロス山 リオハの野菜畑で採れ ポチャスは主にリオハ 作る、リオハ州独特の
イートパプリカあるい 地で昔から作られてい た旬の野菜の味わいを 州とナバラ州で栽培栽 腸詰。そのままオーブ
はホットパプリカを使 ます。生産量が少ない 楽しむのに理想的なレ 培されている白インゲ ンで焼いたり、輪切り
い、サイズはカスティ こともあり、地元以外 シピです。衣をつけて ン豆の一種。ウズラと にしてフライパンで焼
ージャやスペイン南部 ではほとんど流通して 揚げたアーティチョー 一緒に煮込む料理は、 きます。バルで人気の
のものと比べると細め。 いない貴重な食材です。 クを使った伝統料理も。 代表的な郷土料理です。 ピンチョス料理です。
ようになるでしょう。
まずは楽しみながら、様々な組み合わせを
試してみて行って下さい。
佐藤陽一(さとうよういち)
マクシヴァン代表。コンサルタント、ライターであり、同
名のダイニングスペースのオーナーソムリエとしてその才
能をいかんなく発揮し、様々な分野で活躍されています。
受賞歴も多数で、業界からの信頼も厚いことで有名です。
「フェイスブック」
も待望のデビューです。
ますます目が離せない「ヌエバ エスパーニャ」の情報を、
いち早く知ることのできるフェイスブックは要チェックです。
https://www.facebook.com/nuevaespanawine
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輸入・販売
サントリーワインインターナショナル株式会社
http://suntory.jp/WINE