2014年度 東北大学(文系) 数学解答・解説および配点

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2014年度 東北大学(文系) 数学解答・解説および配点予想
ここでは文系数学の満点を 200 点満点で考えています。学部学科によっては満点が異なる場合が
ありますが、採点基準は共通であると考えられます。
1
配点予想
(50 点)
【解答】
(1) y = x 2
∴ y′ = 2 x より
2
接線の式が書け
2
曲線 C : y = x 上の点 P(a, a ) における接線 l1 の方程式は
て5点
2
y − a = 2a ( x − a )
整理して
l1 : y = 2ax − a 2
同様に
l2 : y = 2bx − b 2
とする.
l1 , l2 の交点 R の x 座標を求めると
2ax − a 2 = 2bx − b2
2(a − b) x = a 2 − b 2
交点 R が求め
= ( a + b)(a − b)
られて 5 点
a ≠ b より
x=
a+b
2
これを l1 に代入して
⎛ a+b⎞ 2
y = 2a⎜
⎟−a
⎝ 2 ⎠
⎛a+b
⎞
, ab ⎟
よって R ⎜
⎝ 2
⎠
∴ y = ab
(2) S =
=
a +b
2
a
2
a +b
2 (x
a
− a) 2 dx +
・・・(答)
∫ {x − (2ax − a )}dx + ∫ {x − (2bx − b )}dx
∫
b
2
∫
b
a +b ( x
2
2
a +b
2
2
積分の式が書け
て5点
− b) 2 dx
a +b
b
⎡1
⎤ 2 ⎡1
⎤
= ⎢ ( x − a )3 ⎥
+ ⎢ ( x − b)3 ⎥
⎣3
⎦a
⎣3
⎦ a +b
2
3
=
1 ⎛a+b
1 ⎛a+b
⎞
⎞
− a⎟ − ⎜
− b⎟
⎜
3⎝ 2
3⎝ 2
⎠
⎠
=
1
(b − a )3
12
3
計算ができて
15 点
・・・(答)
(c) 特訓予備校
養賢ゼミナール
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(3) l1 ⊥ l2 のとき
2a × 2b = −1
垂直条件が書け
∴ 4 ab = −1
て5点
ここで a と b の積が負なので a<0<b であることがわかる
a=−
1
を S に代入すると
4b
1 ⎛
1 ⎞
S = ⎜b + ⎟
12 ⎝
4b ⎠
となり, S が最小となるのは b +
b>0,
3
S を 1 文字で表
わして 5 点
1
が最小となるときである.
4b
1
>0 なので相加相乗平均の関係より
4b
b+
1
1
1
≧2 b ×
= 2× =1
4b
4b
2
(等号は b =
1
1
のとき,つまり b = のとき成立する)
4b
2
3
S=
1 ⎛
1 ⎞
1 3 1
⎜b +
⎟ ≧ ⋅1 =
12 ⎝
4b ⎠
12
12
S の最小値は
1
12
・・・(答)
(c) 特訓予備校
養賢ゼミナール
S の計算ができ
て 10 点
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1
【解説】
東北大を受験する生徒であれば,皆必ず解いたことのある典型問題である.
(1)は接線の公式をしっかりつくり,交点 R を出すだけである.
(2)では計算の工夫がかかる時間の差となって出てくるところである.
(3)の垂直条件からくる a<0<b に気づくことが大切で,あとは 1 文字にしてできた式の形から
相加相乗平均の関係を思いつき素直に計算すると完成する.
【角田幸二】
(c) 特訓予備校
養賢ゼミナール
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2
配点予想
(50 点)
【解答】
(1)2 つの数の積が 10 となるのは, 2× 5 の場合しかなく,それぞれ 2 個
(1) 説明 5 点
式・答 5 点
ずつ玉があるので,
2
2
4
=
45
10 C 4
・・・(答)
(2)4 つの数の積が 100 になるのは, 2 × 2 × 5 × 5 と 1 × 4 × 5 × 5 の場合があり, (2) 説明 5 点
前者は 1 通りしかないが,後者は 1 と 4 の選び方が 2 通りずつあるので,
1 + 22 1
=
42
10 C 4
式・答 5 点
・・・(答)
(3)2 つの場合に分ける.1 個目から 3 個目の玉を取り出す操作を“前半”
, (3)
4 個目から 6 個目の玉を取り出す操作を“後半”と表現することにする. (ⅰ) 説明 5 点
(ⅰ) 前半と後半で 3 つとも同じ数字が出るとき
式・答 5 点
前半に出るのは 5 個のうち 3 個の数字で,選び方は 2 通りずつある.
一方,後半は,前半に対して 1 通りに取り出される玉が決まるので,
23 ⋅ 5 C 3 1
2
⋅
=
105
10 C3
7 C3
(ⅱ) 前半 2 が 2 回,後半に 1 と 4 が出るとき(と、その逆順の場合)
前半に 2 が 2 回出るのは 1 通り,その他の数字の出方は 3 か 5 しかなく,
(ⅱ) 説明 5 点
式・答 5 点
それぞれ 2 通り.後半は 1 と 4 の出方がそれぞれ 2 通りずつあるが,
残りの玉の取り出し方は 1 通りしかない.あとは逆順を考えて,全体を
2 倍すればよい.
2⋅
22
22
4
⋅
=
525
10 C3 7 C3
(ⅰ) (ⅱ)
(ⅰ),(ⅱ)より,
2
4
2
+
=
105 525 75
式・答 10 点
・・・(答)
(c) 特訓予備校
養賢ゼミナール
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2
【解説】
(1),
(2)は一度に玉を取り出しているが,
(3)では前半と後半に分けて取り出しているこ
とになる.まずその点で(3)は注意が必要である.また,玉が 2 個ずつあることが問題を複雑
にしているが,具体的な場合を書き出して調べていくうちに,簡単な式にたどり着けるだろう.
東北大文系では確率は毎年出題されると考えておくべきだ.本問はその中で難しい方ではない
が,見落としがないか注意を要する問題だろう.確実に解けているところまで段階的に解答を作
っていった方がよいだろう.
【角田幸二】
(c) 特訓予備校
養賢ゼミナール
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3
配点予想
(50 点)
【解答】
(1)メネラウスの定理より
式が書けて 5 点
BP MA ON
⋅
⋅
=1
PM AO NB
であるから
BP 1 t
⋅ ⋅ = 1 ∴ BP : PM = 3 : t
PM 3 1
・・・
(*)
比が求められて
5点
よって
OP =
式が書けて 5 点
3 OM + t OB
t +3
=
3 2
t
⋅ OA +
OB
t +3 3
t +3
=
2
t
OA +
OB ・・・
(答)
t +3
t +3
答が求められて
5点
(2) ∠MOP = ∠BOP , ∠OPM = ∠OPB , OP は共通であるから
合同が示せて
△OMP ≡△OBP
5点
OM = OB
・・・①
式が書けて 5 点
MP = BP
・・・②
式が書けて 5 点
よって
①より
2
OA = OB
3
∴ OA : OB = 3 : 2
・・・
(答)
答が求められて
5点
②と(*)より
答が求められて
t = 3 ・・・
(答)
(c) 特訓予備校
5点
養賢ゼミナール
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3
【解説】
(1)〔解答〕はメネラウスの定理を使って解いたが,図形の性質を使う解法もあるだろう.
( △PAB の面積)
:( △PBO の面積) = AM : MO = 1 : 2
( △PAB の面積)
:( △PAO の面積) = BN : NO = 1 : t
であるから,( △PAB の面積)
:( △PBO の面積)
:( △PAO の面積) = 1 : 2 : t
である.したがって, OP の延長と AB の交点を Q とすると,
AQ : QB =△PAO : △PBO = t : 2 , OP : PQ = (t + 2) :1 となる.
(2)図を丁寧に描くと, △OMP ≡△OBP に気づく.もし気づかなければ,
OP ⊥ BM より OP ⋅ BM = 0 を利用して解く.すなわち,
OP ⋅ BM =
2
2
1 ⎧
⎫
⎨4 OA + 2(t − 3)OA ⋅ OB − 3t OB ⎬ = 0
3(t + 3) ⎩
⎭
2
2
より, 4 OA + 2(t − 3)OA ⋅ OB − 3t OB = 0 となる.
OA : OB = t : 2 より, OB = s とおくと OA =
t
s であり,上の式は t (t − 3)(1 + cos ∠AOB) = 0 と
2
変形できる. t ≠ 0 , cos ∠AOB ≠ −1 より t = 3 を得る.
(1),
(2)も解法がいくつかあって迷うかもしれないが,自分が自信をもっている解法で進
めよう.
(2)は図を丁寧に描くと,図形の性質を使ってはやく解ける解法が見えてくる.
【角田幸二】
(c) 特訓予備校
養賢ゼミナール
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4
(50 点)
【解答】
配点予想
(1) A と B の 2 乗の和を求めると,
2
2
2
A + B = (2 sin x + sin y ) + (2 cos x + cos y )
2
(1) 式変形
2
2
10 点
2
2
= 4(sin x + cos x) + 4(cos x cos y + sin x sin y ) + (sin y + cos y )
= 4 + 4 cos( x − y ) + 1
∴ cos( x − y ) =
A2 + B 2 − 5
4
答5点
・・・(答)
(2) A = 1 のとき,
(2)
⎧ sin y = 1 − 2 sin x
⎨
⎩ cos y = B − 2 cos x
より,
y を消去して
sin 2 y + cos2 y = (1 − 2 sin x)2 + ( B − 2 cos x)2 = 1
ここで
( X , Y ) = (cos x,
sin x ) とおくと,点 ( X , Y ) は単位円を表し,
10 点
x は動径の角度を表す.このとき上記の B の条件式は,
2
2
円の方程式を示
B⎞ ⎛
1⎞
1
⎛
⎜ X − ⎟ + ⎜Y − ⎟ =
2⎠ ⎝
2⎠
4
⎝
して 10 点
1
⎛B 1⎞
と変形できるので,中心: ⎜ , ⎟ ,半径: の円を表す.この2円が
2
⎝ 2 2⎠
周上の点を共有しつつ B が最大・最小になるのは下の図の場合である.
図を描いて
図より,
⎫
⎪
⎪
⎬
1
2 2
⎪
最小値 : sin x = , cos x = −
のとき,B = −2 2 ⎪
3
3
⎭
最大値 : sin x =
1
2 3
, cos x =
のとき,B = 2 2
3
3
(c) 特訓予備校
10 点
・・・(答)
養賢ゼミナール
答5点
9/9
4
【解説】
東北大の問題は難しい公式を一切使わないのが特徴である.本問も一見すると,積和・和積や
合成などの公式をどう使ったらよいか考える人が多いだろう.しかし,公式として使うのは加法
定理と正弦・余弦の 2 乗の和が 1 になることぐらいである.
(1) cos( x − y ) の展開式がうまく出てくるように, A と B を変形する.この場合は 2 乗の和を求
めるだけでよい.基本的な問題だろう.
(2)はいろいろな解法がありそうだ.(1)の結果を使うと cos( x − y ) =
B2 − 4
であることは直ち
4
にわかるが, A = 2 sin x + sin y = 1 の拘束条件があるから, − 1 ≦ cos( x − y ) ≦1 が成立しているの
か,すぐには判断できない.また,得られるのが B 2 の条件式であり,その条件の中で実際に B
が動いている範囲も自明ではない.厳密に論理を展開するには「つめ」が欠かせない.更に,
この問題は変数が多い.関係式はあるにせよ sin x, cos x, sin y , cos y をうまく操るのはなか
なか難しい.
そこで,ここで示した解法では(1)と独立に解くことにした.まず, y は結果に必要ない
ので消去した.(1)と同様,2 乗の和をとれば簡単に消去できる.得られた B を含む式は
( X , Y ) = (cos x, sin x) と考えると円の方程式である.中心の Y 座標と半径が一定の円である.B
の値によって, X 軸上を転がるように動く.最大・最小になる場合は図形的にすぐわかり,計
算もほとんどいらない.x が動径の角度を表わしているので,sin x, cos x の値も図形的に直接
求められる.
この解法は,はじめに多少の発想を要するかもしれない.ただし,その点さえ通り過ぎれば
見通しは非常によく,図形を描きながら一気に最後まで進めるだろう.計算量も少ない.
【角田幸二】
(c) 特訓予備校
養賢ゼミナール