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2014年2月号(No.87)

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住商総研 ワールド・フォーカス
ISSN 1880-733X
WORLD FOCUS
2014.2
No.
景 観
1
刺激惹起性成長戦略
グローバル・ネットワーク
2
チリ、
韓国、
カタール
ワシントン・アウトルック
ワールド・オピニオン
北米自由貿易協定(NAFTA)発効20周年:メキシコから見たNAFTA
混迷が続くタイの政情
経済トレンド
8
日本経済と消費税増税
マーケットトレンド
12
潮は満ちてきているか
産業トレンド
14
日系食品メーカーはハラルフード市場を掴めるか
国内・海外経済指標
6
1月の主な動き
今月の焦点
株式会社 住友商事総合研究所
87
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
景 観
刺激惹起性成長戦略
瀧本 忠
今年も早2月となったが、この1カ月間での明るい話題といえば理化学研究
所などが発表した「STAP細胞」の発見である。普通の細胞を弱酸性の溶液
に浸すだけでiP S細胞のように様々な臓器や組織に育つ万能細胞が作り出
せるという発見そのものが 革命的であるばかりでなく、30歳の若い女性研
究者がリーダーであることも画期的であり、また自由で柔軟な発想の若手を
リーダーに抜擢した理化学研究所の「常識外れ」
も称賛に値するものである。
足許の世界経済はアルゼンチンの通貨ペソの急落に端を発した主要新興
国通貨の下落など新興国経済が揺れ波乱要因になっている。米国の量的金
融緩和の縮小が背景にあるが日本も株安、円高という形で影響が出ている。
1990年代後半の通貨危 機の再来を懸念する向きもあるが、為替制度や外
貨準備の潤沢さなど新興国各国は当時とはかなり状況も異なり、危機への
耐性も上がっており深刻な危機には陥らないとの見方が一般的と思われる。
ただ、先進国、新興国ともに金融政策に依存する中で、特に新興国それぞれ
の構造問題があぶり出された感がある。
日本では1月24日から始まった通常国会で、昨年に引き続き成長戦略と関
連法案の議論、審議が始まっている。これまで政権交代のたびに打ち出さ
れた数々の成長戦略は、具体的かつ有効な政策の実行が伴わず成果を上げ
ることができなかった。安倍政 権の今回の成長戦略では、1月24日に閣議
決定された「実行計画」で施策ごとに担当大臣と実施期限を明確化し、少な
くとも毎年1回施策の進捗状況を公表、国会に報告するなどある程度「実行」
を検証する設計になっている。また規制改革では、企業単位で特例的に規
制を緩和する企業実証特例制度やグレーゾーン解消制度など新しい試みも
なされようとしている。他国と同様昨年1年のアベノミクス効果は金融政策
に依存するところが大きく、今年は成長の好循環を確実なものにする為にも、
積み残した施策や更に踏み込むべき施策を加えた成長戦略の実行力が 真に
問われる1年となる。
経済成長の源はイノベーションであるが、イノベーションを生み出すには、
ネットワーク、つながりの拡大が重要な要素の一つである。人と人、企業と
企業、国と国のつながりの拡大による刺激が広い意味でのイノベーションを
生み出す原動力となる。
「STAP細胞」とは日本語では「刺激惹起性多能性獲
得細胞」というようだが、その言葉通り、研究成果もその研究過程において
も、外部からの新しい刺激が新しい革命的なものを生み出す源になったとい
える。規制改革、外国との経済連携協定、それらを含んだ成長戦略もまた新
しい刺激によるイノベーションへの期待である。足許の世界経済においても、
米国の量的緩和の縮小が新興国をはじめ各国の構造問題に対する取り組み
への良い意味での刺激になることが期待される。
(2014年2月5日)
1
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
グローバル・ネットワーク
チリ -大統領選挙-
バチェレ元大統領の返り咲き
バチェレ大統領返り咲き
1980年に改定された憲法により、連続の再選が 禁 止されているチリで、
昨年12月15日に大統領選挙の決選投票が行われ、左派のミチェル・バチェ
レ 元 大統 領(前任 期:2006-2010年)が 返り咲いた。チリでは、民 主的 選
挙によって選ばれた初の社会主義政権が1970年に成立したが、1973年に
クーデターによりピノチェト軍事独裁政権が 誕生、1990年に選挙によって
民政移管が行われた後は、スムーズな民主的選挙による政権交代が続いて
いる。新大統領の任期は2018年3月11日迄の4年間である。
高い棄 権 率の背景にある
無力感
選挙ではバチェレ次期大統領が6割強、現政権政党グループ中道右派の
エヴェリン・マッテイ候補は4割弱の得票率であった。但し、注目すべきは国
家行政のトップを選ぶ 直接選挙としては58%という異例ともいえる棄権率
の高さである。
考えうる理由として ①投票前からバチェレ候補の圧倒的優勢が伝えられ
ていた事、②市民一般に蔓延する政治に対する倦怠感、無力感の二点が挙
げられる。市民の意見を集約すると、ピノチェト軍事独裁 政 権が1973年9
月11日に始まって以来、独裁政権が倒れても、その後の政権交代があっても、
庶民の生活水準は何も変わらず、政治家(=金持ち)
が、自らが損をしないよ
うに政治を回しているだけだ、との見方が大勢を占める。
過去10年に及ぶ 所謂資源バブルで飛 躍的に安定 度を増した筈の世界一
の銅生産国チリではあるが、この間の国の歳入増が庶民の生活レベルの向
上に全く還元されていないとの認識が一般的であり、極端な格差が構造的
に固まってしまっているというのが、一般庶民の認識であるようだ。
低所得層を意識した公約
新大統領は、構造化している貧富の差の解消をマニフェストに掲げており、
具体的には ① 法 人税率を現行の20%から25%に引き上げる、② 教育の無
償化を実施するという、低所得 者層を意識した政策の実現を二大公約とし
ている。
一方で、銅のみならず国際的な金属資源の市況は2013年初頭から軟調
であり輸出のおよそ70%を鉱業資源に頼るチリ経済への影響は小さくない。
ビジネスへの影響
人件費の高騰、慢性的なエネルギーコストの上昇も相まって、相対的にチ
リ鉱山業の価格競争力は低下している。このような背景から、今回の新大
統領の公約はさらなる経費の節減圧力として産業界に作用するものと思わ
れる。従い、例えば鉱山企業にとっては、操業コストの低減につながるあら
ゆる合理化策の実行が焦眉の急として認識されつつある。逆に言えば、こ
のトレンドに上手く乗る形のビジネスモデル、例えば鉱山事業における消費
機材のリースといったものが求められるビジネスチャンスになりつつある。
(チリ住友商事 福原豊樹)
2
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
AI 韓国、勝利の方程式
AI の韓国
AIとは、Af ter IMFの略で、1997年の通貨危機発生以降の韓国(乃至は
韓国の人々)の体質変化を表す際にBI(Before IMF)との対比で使用される
言葉である。一 般的にAI の韓国では、国の存亡の危 機に直 面した経 験か
ら
「勝負に勝つこと・結果を出すこと」が何より優先されるようになったと言
われており、例えて言えばフィギュアスケートの浅田真央スタイルからキム・
ヨナスタイルへの変貌だそうだ。つまり、芸術性を極限まで突き詰めること
が重要であり、結果は自ずと付いてくるものだ、という前者のスタイルに比し
て、後者のそれは、事前に審査員の趣味趣向を徹底的に調べ上げ、それに合
致するものを、すなわち高得点が出るものだけを披露する、というもの。韓
国のアイドルグループが日本含め各国で目を見張る活躍をし続けているのは、
現地語を習得した上で、現地消費者の趣向に合致した曲・ダンスを提供し続
けているからであり、現代自動車が細部に渡るマーケティングに基づき、現地
に特化した商品開発を通じで現地の消費者の心を掴んでいることと本質を
同じくするのではないだろうか。
韓 国 南 部/ 造 船 業 の 雄、
現代重工
かようなAI の体質変化は、ここ釜山が位置する韓国南部地域でもはっき
りと確認することが出来る。それは、朝鮮戦争の休戦後1960年代に入り当
時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(パク・クネ現大統領の実父)が成し遂
げた「漢江
(ハンガン)
の奇跡」
の立役者、造船世界No.1の現代重工業である。
2000年に造船大国日本を抜いて世界一に君臨、昨今は中国の猛烈な追い
上げと日本造船業復活の挟み撃ちに合うものの、世界一の威信をかけ多角化
(海洋プラント等の非造船分野)
を図り、更なる発展を遂げている総合重工業
企業だ。特に海洋・陸上プラント分野における躍進は目覚ましく、前者にお
いては、他国の競合企業との激しい受注合戦を官民共同のトップセールスで
勝ち抜き、後者においては、時として不可能と思えるよう欧米オイルメジャー
からの要求を、トップダウンによる意思決定の早さ、あらゆる年齢層の社員
が標準装備している英語での意思伝達能力、現場の柔軟性を以てクリアし、
並み居る競合相手を抑えて連戦連勝を重ねている。筆者は、日韓の重工企
業とそれぞれ取引・実務経験を持つが、韓国の重工企業の社員一人一人が持
つ「何としても顧客要望に応える=勝負に勝つ」という迫力・意思の強さには
大きな驚きを覚えた。
今後の韓国
それでは、今後も韓国は勝ち続けていくことが出来るのだろうか? 筆者は
Yesと答えたい。確かに、財務脆弱性(外資への依存度が高い)
、高すぎる輸
出依存度(2012年で名目GDP比50%超)
、有力中小企業の不在(基幹部品・
素材の輸入依存)
、財閥への一極集中による国内格差等、克服すべき問題は
少なくない。しかし、AI を経て、IT・造船・自動車等の分野で世界との戦い
を制し積み上げてきた「勝利の方程式」は、他産業分野における厳しい国際
競争を勝ち抜いていく上で絶対的な武器になると思うからである。
(韓国住友商事 古澤隆太)
3
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
首長交代後のカタール
首長交代
昨年6月末、Hamad前首長(61歳)からTamim皇太子(33歳)への首長交
代が行われた。Ta m i m新首長は即位演説で政策の継承を宣言したが、一
方で近隣諸国との協調、組織や個人の自責と規律の強化、省庁改革の必要
性も訴えた。また前首長と二人三脚で権勢を振るったHamad bin Jasim
(HBJ)前首相兼外相を更迭し、Abdullahを首相兼内相に任命した。首相
が外相ではなく内相を兼務する事で、内政重視を内外に示した格好である。
カタールはこれまで積極的な地 域支援外交を展開してきたが、シリアでは
反政府勢力(シリア国民連合)への支援の主役の座をサウジアラビアに譲り、
エジプトではムスリム同胞団の政権崩壊に伴い資金援助の枠組みを縮小し
た。ダルフールやパレスチナなどでの仲裁外交も鳴りを潜め、身の丈にあっ
た役割に徹しているかに見える。殊に開催時期で揺れるF IFAワールドカッ
プ2022に向けたインフラ整備が焦眉の急であり、年内開港の新国際空港を
初め、大型プロジェクトが目白押しである。
カタール投 資 庁(Q I A)と
Q IAの投資残高1200億ドル弱の中身は開示されていないが、H a m a d前
カタール石油
(QP)の投資
首長やHB J前首相兼 外相の鶴の一声で投 資が決定されていたと言われて
姿勢
いる。そのため2トップの政治趣向が色濃く反映され、フランス系企業、金
融不安の欧州系銀行、F IFAワールドカップ関連、高級ブランドへの投資が
際立っていた。首長交代後は成長市場であるアジアへの投資を志向し、欧
州に偏ったポートフォリオの是正を図っている。Q PはL N G偏重型からGT L
(Gas-to -Liquid)や石油化学などの付加価値の高い製造業への転換を図
ると共に、外資出資比率を20%に押さえ自立経営に舵を切った。但し、外資
出資比率20%基準は海外からの技術移転を抑制する虞もあり、今後の動向
が注目される。海外ではLNG輸出設備や石油精製設備の建設、また石油化
学コンプレックスなどの裾野産業への投資にも余念が無い。
Game Changer
シェールガスは米国を天然ガス輸出国に転換し、石油化学産業を復活に
導くGame Changerと言われる。一方、過度に外国人労働力に依存した産
業の自立を促すため、自国民教育の充実が 不可欠とされる中東湾岸諸国で
は、教育がGame Changerになると言う人がいる。中東湾岸諸国では人口
増に伴い若年層の雇用確保が益々重要となる中、各国政府は自国民雇用の
数値目標を定め、その施策を下支えするため教育に力を入れている。カター
ル政 府も海外留学を奨励し、また米英系大学の誘致に心血を注いでいる。
その甲斐もあって英語に堪能な欧米流の経営者は増している。但し、下積
みからの叩上げの人材は少なく、教育の効果が社会の隅々に行き渡るまで
に時間を要する。何時の日か、カタールにとって教育がGame Changerで
あったと言える日がくる事を期待したい。
(ドーハ事務所 江崎竜一)
4
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
ワシントン・アウトルック
米国産原油輸出を巡る議論
輸出解禁を求める声
米国では年明け早々、原油輸出解禁を巡る議論が 沸き起こっている。ア
ラスカ州選出で米議 会上院エネルギー天然資源委員会の共和党 筆 頭委員
であるリサ・マカウスキ議員が米国のエネルギー輸出に関して自身の提言を
まとめたレポートを発表し、この中でシェール革命により米国の原油生産が
増える中、現在の輸出禁止措置を見直すべきだと述べている。
米国の石油事情
石油ショックの影 響を受け、1975年に制定された「エネルギー政 策・保
護法」では大統領が 国内産原油の輸出を制限するよう規定していることか
ら、米国からの輸出は事実上禁止されている状態にある。だが、ガソリンや
ディーゼルなどの石油製品はその対象ではない為、結果的に米国内の石油
精製業者の多くが国内産原油を安く買ってこれを精製し、国際価格で輸出
することによって、大きな恩恵を受けていると採掘業者などの上流企業は不
満をぶつける。上述のシェール革命により、米国の原油生産 量はここ数年
急増しており、2014年の総生産量は1日当り770万バレル、2019年までに
は960万バレルに達すると米エネルギー省エネルギー情報 局(E I A)は予想
する。また、EIAは原油・天然ガスを合わせた生産量では既に米国がロシア、
サウジアラビアを抜いて世界一に達している可能性も指摘している。一方、
これに対して世界最大の原油精製施設を擁する米国メキシコ湾岸一帯での
精製は現状ほぼフル稼働の状態に達しており、この結果、米国内では原油
がダブつき始めて国内原油価格の低下に繋がりつつあるとの声が 挙がって
いる。
輸出解禁を巡る意見
業界団体である米石油協会(A P I)は「現状の生産水準をみれば、原油の
禁輸政策が時代遅れであることは疑う余地がない。」として政府と議会に対
して輸出解禁を求めており、エネルギー省のモニッツ長官も前向きな姿勢を
示している。一方、
民主党のロバート・メネンデス上院議員(ニュージャージー
州)は「禁輸解除は石油メジャーを利するばかりで結果的に消費者に犠牲を
強いることになる。」として解禁に反対の立場を表明、また禁輸解除に伴う
油田開発が 環境に与える影響を訴える団体もあり、原油輸出を巡っては米
国内であらゆる利害関係 者を巻き込んだ 議論に発展していくことが予想さ
れる。
国際情勢に与える影響
さらに米国内のみならず、米国の原油輸出の可能性がエネルギーを巡る
国際 情勢に従 来とは異なった力学を及ぼしかねない点にも留意をしておく
必要がある。O P E Cに代表される産油国やエネルギー輸出大国であるロシ
アが受ける影響は無視できず、また石油輸入大国である中国や日本もその
影響を大きく受けよう。各国ともに今後の米国のエネルギー政策の議論の
行方は注意深く見守っていくことになりそうだ。
(2014年2月4日 米国住友商事ワシントン事務所 堂ノ脇 伸)
5
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
ワールド・オピニオン
北米自由貿易協定(NAFTA)発効20周年:メキシコから見たNAFTA
NAFTA発効
1994年1月1日に米国、カナダ、メキシコの三カ国による自由貿易協定が
発効して今年でちょうど20年目を迎えた。NAF TAが 調印された1992年8
月、メキシコのカルロス・サリナス大統領(当時)は、
「NAF TAはメキシコに
多くの資本や投 資を呼び 込むことから、高成長を促すだけでなく、多くの
雇用機会を生み、生活水準を引き上げる」というメッセージを国民に送った。
NAFTAはメキシコ経済にとって大きな成長エンジンになると期待された。
メキシコの市場開放を
促進
英エコノミスト誌は、過去20年間で一人当たりのGDPが最も急速に増加
したのは3カ国中、カナダであったが、最も恩恵を受けたのはメキシコだった
と評価している。輸入品と競争することで国内の製造業の生産性が向上し、
海外直接投資(FDI)が増加しただけでなく、NAF TAに加盟したことで市場
開放を促進させ、多くの国とのFTAの締結に結びつけている。また、米国と
カナダはNAFTAが発効する以前から経済統合が進んでいたため、両国間の
貿易が大幅に増加することはなかったが、米国とメキシコの貿易は、1993年
から2012年の間に506%増と、NAF TA非加盟国平均の279%増を大きく
上回った。
FDIの増加も、世界に
おけるシェアは低下
だが、メキシコへのFDIの流 入を見た場 合、額としては増加しているが、
UNCTADによると、世界に占める同国へのFDIの割合は、94年の4.3%から
12年には0.9%まで低下、発展途上国に占める割合でも同期間で10.6%から
1.8%まで低下している。
NAF TAは自動車など一部の産業の輸出を促進した一方、玩具などは壊
滅的な打撃を受けるなど、全分野で恩恵があったわけではないと英BB Cは
指摘している。メキシコ国立統計地理情報局によると、1994年から2012年
の貿易収支を見た場合、黒字であったのは1995年、1996年、1997年の僅
か3ヶ年だけであった。メキシコの輸出品のほとんどは付加価値の低い製品
で、部品や中間財の多くを輸入に依存しており、安価な労働力を使った組み
立てが中心となっている。そのため、輸出の増加は必然的に輸入の増加を招
くこととなる。
期待された成長率増や
雇用創出にはつながらず
NAF TA発効から20年が 経ち、メキシコは中南米で最も開放的な市場に
成長を遂げ、最大の製造拠点となっている。一方、残念ながら、サリナス元
大統 領が当初 掲げたような高い成長率と雇 用促 進には結びついていない
と地元紙は指摘している。同国の過去10年間の経済成長率は平均2%以下
と60年代、70年代の3分の1程度に留まっている。雇用に関しても、正規雇
用の創出が進まず、インフォーマル経済が拡大し、犯罪の温床となっている。
国民の半数近くが 貧困であるなど、国民生活の向上も当初目論んだように
は進んでいないのが現実である。
現在、TPPの交渉が進んでいるが、長期的な視点に立つ産業政策が欠け
ている状況では、結果としてメキシコには好ましくない結果が待っているか
も知れないとの懸念もある。
(2014年2月3日 国際部 大泉陽一)
6
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
混迷が続くタイの政情
首都バンコックを封鎖した
反政府勢力
汚職罪に問われタイを離れたタクシン元首相の帰国を可能にする恩赦法
案を提出したインラック政権への反発から勢いづいた反政 府デモは、最大
野党である民主党の議員総辞職をきっかけに、2013年12月、政府は下院の
解散へと火がついた。しかし、総選挙の実施を阻みたい反政府勢力が 首都
バンコックの一部を封鎖したことから、政府は2014年1月21日、バンコック
に非常事態宣言を発した。政 府の建物や銀行が 封 鎖された事態に対処す
る必要があったと理由を語る労働相の発言を引用したフィナンシャルタイム
ズ紙は、タクシン元首相が、補助金によるヘルスケアや小口金融などで地方
の支持基盤を強化することで選挙に勝利してきた過去を説明した。自身の
クローンだと称した妹のインラック首相に対する影響力は知られるところだ。
タイ経済に与える重圧
エコノミスト誌は、首都の一部封鎖に発展した政治闘争が、タイ経済の重
石になっていること、また、デモが長引いたり、クーデターなどで民主主義
国家体制への疑念が 高まるようだと、経済に与える影響は長期的なものと
なる可能性が 高いと指摘した。
投 票が 妨 害された2月2日
の総選挙
総選挙のボイコットを訴えた野党の妨害を受けて28区に立候補者がいな
いまま、インラック政権は予定通り総選挙を強行した。しかし、結局、68県
の内、9県で投票が行われず、更に、デモ隊の妨害を受けた67選挙区では投
票が 完了出来なかった。
「このような事態がタイで起こるとは思わなかった。
デモ隊は国を愛していると言うが、彼らはタイ国を人質にしている」。勤務地
チェンマイから遠く離れた地元に戻ってみると投票所が 破壊されていた現実
に失望する銀行員の声をフィナンシャルタイムズ紙は伝えている。
不安定の 長 期 化が与える
輸出主導型経済への打撃
全地域で投票が 完了し、議会が招集されるまでには時間を要すると予想
される。仮に投票が実施されても政治的懸案は解決されていないと説明す
るエコノミスト誌は、選挙の無効を訴えたり、与党議員の汚職を追及するな
ど、反政府勢力が 準備する法的手段に訴えれば、タイの不安定な状態は長
期的なものとなりかねないと分析する。選挙翌日のフィナンシャルタイムズ
紙は、中国と東南アジア地域のハブとしての位置付けを確立するための投資
を必要とするタイの輸出主導経済にとって打撃になるだろうと締め括った。
(2014年2月4日 国際部 林 幹雄)
7
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
経済トレンド
日本経済と消費税増税
着実に回復する日本経済
内閣府は13年1月の月例報告書で 景気の現状を示す基調判断を「緩やか
に回復している」に上方修正した。
「回復している」と明記されたのは2008
年1月以 来。2014年4月の消費税 増税に向けて、自動車や高 級品を中心に
駆け込み需要も顕在化しつつある。
97年増税後は景気低迷が
長期化
前回消費税が引き上げられた97年も、バブル崩壊後の景気回復 局面に
あった。しかし、前回の増税後には自動車販売や住宅着工戸数を中心とし
た駆け込み需要の反動に加え、特別減税の廃止や社会保険料の引き下げ、
金融システム不安により景気が低迷した。
増税に向けた経済対策
政 府は97年時のような増税による景気失 速を回避するために、13年12
月には国費5.5兆円規模の「好循環実現のための経済対策」を閣議決定する
(2月6日補正予算成立)など、積極的に需要喚起策を打ち出した。約3兆円
規模の公共投資は7-9月期には効果が顕在化すると見られる。個人消費や
住宅投資においても、自動車取得税の引き下げや住宅ローン減税の拡充が
増税後の落ち込みを小さくするほか、家計への給付金が低所得者の需要を
サポートしよう。
また持続的な景気回復に向けて、政府は投資促進税制の拡充や復興特別
法人税の前倒し廃止により、企業負担の軽減を図り、企業の投資意欲や賃
上げへの意欲を後押している。
増税をこなして緩やかな
回復へ
1月新車販売台数、12月住宅着工戸数は各々、過去5年間の平均と比較し
て33.9%、29.5%高く、駆け込み需要が 顕在化している。4月以降は反動
が 避けられないが、建 設経済研究所によれば14年度住宅 着工 戸数の見通
しは前年比 ▲6.5%減と、97年度の同▲17.7%減の減少に比較して反動は
小さいと見られている。14年度実質GDP成長率は第2四半期の落ち込み後、
第3四半期以降は消費税増税の影響を吸収して緩やかに回復に向かうと見
られる。
(図表1)
実質GDP成長率
(前年同期比、寄与度%)
3
(見通し)
(図表2)
住宅着工戸数における消費税増税の影響
(1994∼95年=100、2011∼12年=100)
130
2
120
1
110
0
100
-1
-2
-3
(消費税増税)
90
その他
公共投資
個人消費
前期比
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2011
2012
2013
2014
(注)2013年Q4以降はESPフォーキャストによる予測
(出所)内閣府
95年∼
80
70
12年∼
1
7
1995/2012
1
7
1996/2013
1
4 7
1997/2014
1
7
12
1998/2015
(出所)国土交通省
(2014年2月7日 経済部 種田康人)
8
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
日本
日本経済は拡大が 続いている。雇用・所得環境の改善に伴い個人消費が堅調に推移していることに加
え、住宅投資や自動車販売に消費増税を控えた駆け込み需要が顕在化している。設備投資も企業収益
や景況感の改善を受けて回復し、輸出も円安の効果により緩やかに持ち直しつつある。消費税増税後
は一時的な成長鈍化は避けられないが、経済対策や海外需要の持ち直しに伴い回復していくと見られる。
● 小売業販売額・消費者マインド
● 住宅着工戸数
(前年同月比%) (D.I.,%)
50
10
30
(前年同月比%)
(万戸)
45
5
15
0
40
-5
35
100
0
80
住宅着工件数(目盛右)
前年同月比
小売業販売額
消費者態度指数(目盛右)
-10
11/1
120
11/7
12/1
12/7
13/1
30
13/7
-15
11/1
(出所)経済産業省、内閣府
11/7
12/1
12/7
13/1
13/7
60
(出所)国土交通省
12月小売業 販 売は前年同月比2.6%増と2カ月連続で8
12月住宅着工戸数は年率105.5万戸
(前年同月比18.0%
業種全てが増加した。自動車が 駆け込み需要を背景に
増)と景況感の改善に加えて低 水準の住宅ローン金利、
同14.2%増と堅調に推移したほか、価格上昇を受けて飲
14年4月の消費税増税を見据えた動きを受け、増加。13
食料品が同2.3%増となった。一方、12月消費者態度指
年通年では98万戸
(前年比11.2%増)と08年以来の水準
数は41.3と1.2ポイント下 落。主 因は「耐久 消 費 財の買
となった。13年9月以前の契約工事(消費税5%適用)が
い時判断」の悪 化で消費増税後の消費環 境を見越した
労働力不足により遅れていることから、当面住宅投資は
ものであり、4月以降は買い控えも予想される。
堅調を持続しよう。
● 公共工事請負金額
● 雇用
(前年同月比%)
40
(兆円)
1.8
5.0
(%)
金額(目盛右)
前年同月比
(前年同月比%)
1.3
失業率
常用雇用者数(目盛右)
20
1.2
4.5
1.0
0
0.6
4.0
0.7
0
3.5
11/1
11/7
12/1
(出所)総務省、厚生労働省
-20
11/1
11/7
12/1
12/7
(出所)東日本建設業保証株式会社
13/1
13/7
12/7
13/1
13/7
0.4
公共投資の先行指標である公共工事請負金額は12月に
12月失業率は3.7%と前月から0.3%低下し07年11月以来
前年同月比7.5%増となったものの、13年1月の緊 急 経
の低水準となった。完全失業者のうち
「勤め先や事業の
済対策が一巡し、増勢が鈍化しつつある。しかし、14年
都合による離職」
が前月差10万人減少しており、雇用環境
4-6月期以降は、13年12月に閣議決定された経済対策
が改善している様子がうかがえる。12月常用雇用指数も
の効果が顕在化し、引き続き高水準の公共投資が14年
パートタイム労働者の増加に加え、減少傾向が続いてい
の景気を下支えすると見られる。
た一般労働者も増加し、前年同月比1.2%増加した。
9
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
米国
米国では10月の政府機関一部閉鎖や寒波の影響にもかかわらず、10-12月期も高成長が続いた。所得環境
の改善を受けて個人消費が好調を持続していることに加え、輸出も欧州・中国向け等を中心に増加している。
FRBは1月も量的緩和縮小を実施したが、今後は2月に就任したイエレン新議長の政策運営が注目される。
● 実質GDP成長率
(前期比年率%)
8
6
● 住宅投資
個人消費
その他
純輸出
GDP
政府支出
(年率、千件)
1200
1000
4
2
住宅着工戸数
中古住宅在庫率(目盛右)
(在庫/販売、月数)
10
8.5
800
7
600
5.5
0
-2
-4
1Q
2Q 3Q
2011
(出所)米商務省
4Q
1Q
2Q 3Q
2012
4Q
1Q
2Q 3Q
2013
4Q
400
11/1
11/7
12/1
12/7
(出所)商務省、全米不動産業者協会
13/1
4
13/7
10-12月期実質GDP成長率は前 期 比 年 率3.2%増。10
12月住宅 着工 戸数は 大寒波の 影 響で前月比9.8%減に
月の政 府機関一 部閉鎖の影 響で政 府 支出が 同▲4.9%
留まったが、11月の高い伸びもあり10-12月期では前期
減となったものの、年末商戦の好調などに見られたよう
比13.6%増となった。住宅ローン金利上昇や住宅価格上
に個人消費が同3.3%増と成長を牽引した。また、輸出
昇により住宅投資の増勢が鈍化しているという見方もあ
も同11.4%増と高い伸びになり、外需寄与度(+1.3%)が
るが、12月中古住宅在庫率は4.6カ月に留まっており、住
政府支出のマイナス寄与(▲0.9%)
を相殺した。
宅需要が依然、底堅いことを示している。
ユーロ圏
ユーロ圏経済は、最悪期を脱しつつある。足元ではマインドの改善に続いて、個人消費や生産活動が増
加に転じつつある。但し、雇用環境の改善は遅れており、景気回復力に欠ける。ドラギECB総裁は弱い
回復力、低水準のインフレ率を背景に追加緩和の用意があることを示唆している。
● 小売売上数量
6
ユーロ圏
(前年同月比%)
ドイツ
スペイン
● 消費者物価
4
(前年同月比%、%)
消費者物価
3
政策金利(レポレート)
3
0
-3
2
-6
-9
1
-12
-15
11/1
11/7
(出所)Eurostat
12/1
12/7
13/1
13/7
小売売上数量は11月に11年4月以来の増加(前年同月比
0
11/1
11/7
12/1
(出所)欧州中央銀行、Eurostat
12/7
13/1
13/7
14/1
1月消費者物価はエネルギーが 前年比下落に転じたこと
1.3%増)となったが、12月は再び 前年割れとなった(同
により上昇幅が 縮小し、前年同月比0.7%上昇となった。
▲1.0%減)。
ドイツが同▲2.4%減、
スペインが同▲1.2%
コア消費者物価(除くエネルギー、食品)も同0.8%上昇
減となったほか、フランスも同0.4%増と増 加したもの
と増勢 鈍 化が 鈍 化している。高水準の失 業 率やユーロ
の増加幅が 縮小。雇用環境の改善が遅れる中、回復力
高が続いており、ディスインフレの長期化が懸念される。
は弱い。
10
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
中国
中国では10-12月期の実質GDP成長率が前年比7.7%増となるなど、緩やかな回復が続いている。固定
資産投資については夏場の景気対策の影響が剥落しつつあり、個人消費の一部には政府による倹約指
針の影響も残っているが、輸出は欧米需要の持ち直しを受けて徐々に回復傾向が明らかになっている。
● 実質GDP成長率
11
● 貿易
(前年同期比%)
54
(前年同月比%、3カ月移動平均)
30
その他
香港
EU
実質GDP
PMI景況指数(目盛右)
9
52
ASEAN
米国
20
10
7
50
0
5
11/1
11/7
12/1
(出所)中国国家統計局
12/7
13/1
13/7
48
-10
11/1
11/7
12/1
(出所)中国国家統計局
12/7
13/1
13/7
10-12月期の実質GDP成長率は、政策需要が幾分弱まっ
12月輸出は前年同月比4.3%増に留まり、二桁増だった
たことを受けて前年同期比7.7%増に留まった。13年通
11月からは急減速。但し、3カ月移動平均で見ると先進
年でも7.7%成長となり、2年連続で8%割れとなったが、
国経済の持ち直しを反映して欧米向け輸出の回復傾向
政 府目標(7.5%)は上回った。先行きについては、製造
が 続く。今後は前年の水増し輸出の反動が 表れる可能
業企業景況感は2カ月連続で低下しており、回復は引き
性があるが、海外需要の持ち直しに支えられ、実態とし
続き緩やかと見られる。
ては輸出増が続くとの見方が多い。
インド
インドでは、インフレ率の高止まりとルピー下落に対応した昨夏以降の引き締め政策が個人消費や設備
投資の重石となっており、景気は低迷している。足元でも米国Q E3縮小により再び金融市場への圧力
が増しているほか、4-5月には総選挙を控えており、先行き不透明感も強い。
● 鉱工業生産
● 貿易
(前年同月比%、
3カ月移動平均)
(前年同月比%)
60
20
貿易収支(目盛右)
輸出
輸入
(10億ドル)
0
10
30
-10
0
-20
0
-10
全体
耐久消費財
非耐久消費財
-20
11/1
11/7
12/1
(出所)インド統計計画省
12/7
13/1
13/7
-30
11/1
11/7
12/1
(出所)インド商工省
12/7
13/1
13/7
-30
11月鉱工業生産は10月に続いて減少し、前年同月比 ▲
ルピー安による輸出増と金輸入 抑制措置による輸入減
2.1%減。国内需要の低迷により自動車、映像・通信機
で、貿易収支の改善傾向が続いている。12月輸出は、製
器等の耐久 消費財の落ち込みが 続いているほか、設備
油所の定期修理により石油化学製品が一時的に落ち込
投 資 の 軟 調 を反 映して資 本 財 も 一 進 一 退 の 動きに留
み、前年同月比3.5%増に留まった。輸入は、金銀輸入
まっている。一方、輸出が好調な繊維製品を中心に非耐
が同69%減少しており、全体でも同15.3%減となった。
久消費財は増加傾向が続いている。
(2014年2月4日 経済部 経済分析チーム)
11
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
マーケットトレンド
潮は満ちてきているか
先進国主導の景気回復継
1月の国際商品市況は、総じて方向感に乏しい展開に留まった。
続も、新興国リスク増大
I M Fは1月公 表の世界経済見通しで、昨年10月時点で 示した先進国主導
の回復シナリオを踏襲し、成長率は7四半期ぶりに上方修正したが、同報告
書の副題が「潮は満ちてきているか?」
と疑問形であるとおり、回復を予想し
つつもまだ十分な確信が持てない心情も覗わせた。米F R Bの金融緩和策
縮小開始に伴い、市場でも経常赤字分の資金調達を海外に依存する新興国
経済への不安は高まっており、1月下旬にはトルコ・南アフリカ・インド等が
急激な通貨安に見舞われ、緊急利上げを余儀なくされた。こうした中で市
場のリスク選好は冷え込んでいる。
新興国の経常収 支改善策
と商品市況
経済基盤が 脆 弱な新興国は、昨年来の通貨安 進行を受けて相次いで国
内産業育成策・経常収支改善策を強化している。この影響は商品需給にも
及ぶが、2014年は多くの国で選挙を控え、政策 面の不透明感も燻る。イ
ンドネシアでは1月12日から新鉱業 法が 施行。土壇場で規制は一部緩和さ
れたが、鉱物生産・輸出は混乱が 続く。インドは金輸入規制強化が貿易赤
字縮小に寄与し、規制緩和の期待が浮上しているが、経済情勢はなお脆弱。
南アフリカでは経済構造改革が進まず、社会格差が拡大する中、労働争議
が頻発している。ブラジルでは穀物生産が拡大しているが、国内インフラ不
足による出荷遅延が危惧される。
2月も上値重い展開
世界経済は先 進国主導の回復が 続くが、新興国市場の混乱が成長を阻
害するリスクは燻り、2月も相場の上値は抑制される見通し。中国では昨年、
原油・鉄鉱石・銅輸入が予想以上の高水準を記録したが、在庫復元は一服。
成長が鈍化する中、地方政 府の債務問題やなお過熱し続ける不動産価格、
シャドーバンキング問題等のリスクも警戒される。
原 油は 季 節 要因による下
原 油:新規材料 難から方向感の無い動きが 続く。米国需要 拡大が 期待さ
支え弱まる
れるが、中国経済の減速、新興国市場の混乱・通貨安が需要下振れリスク。
また米国製油所の春季定修期が始まることもあり、上昇余地は限定的。
非鉄市場の構造変化進む
非鉄金属:世界全体の需給バランスは変わらず、LME価格はもみあい。但し、
鉱山増産・鉱石禁輸問題等を受けた鉱石需給の動向や、LME在庫取引・製
錬所の生産移転に伴う供給フロー変化で地金現物プレミアムに注目。
貴金属は逃 避 需要と鉱山
貴金属:株式・為替市場が 不安定化する中では金に対する逃避需要も見ら
ストの動向を注視
れたが、金融市場の混乱が拡大し投資需要をさらに喚起しない限り、相場
上昇の持続性には疑問が残る。白金族も労働争議リスクは織り込み済み。
穀物は南米の天候相場
穀物:南米の天候を睨んだ相場展開が中心で、他の手掛かりに乏しい。南
米出荷が始まり、米国輸出需要は減退期に入る。2月20日の米農務省アウ
トルックフォーラムに向けて、次第に米国作付動向にも注目が集まる。
(2014年2月4日 経済部 マーケットチーム)
12
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
主要国際商品
■エネルギー(ブレント原油)
■貴金属(COMEX金)
ブレント原油[ICE]
$120
金[COMEX]
$1,450
$1,400
$115
$1,350
$1,300
$110
$1,250
$105
$1,200
$100
8/1
8/22
9/12
10/3
10/24
11/14
12/5
12/27
$1,150
8/1
1/20
原 油 相場は年明けから急 落スタート。ブレントは反 発力
8/22
9/13
10/4
10/25
11/15
12/9
12/31
1/23
1月は旧正月前の中国実需に加え、新 興 国通 貨安・世界
鈍く月末まで揉み合いに終始したが、W T Iは月中盤 以降
株 安を背景とする逃 避 買いもあってじり高で推 移。過去
に反発、W T I -ブレントの値差は9ドルに縮小した。米国
12年にも及 ぶ長 期 上昇 相 場に 対 する調 整 局面を迎 えて
需要の底堅さが相場を下支えてきたが、暖房需要が 峠を
いることで先高 期待乏しく投 資 資 金の戻りは 鈍いが、混
越し、米国製 油所は春季定修 期を迎えることで、上値は
乱長期化なら金への逃避買いが強まる。
抑制される見込み。
■非鉄金属(LMEアルミ)
■農産品(CBOT大豆)
アルミ
[LME(3ヶ月物)]
$2,000
大豆[CBOT(2014年3月限)]
¢1,400
$1,950
¢1,350
$1,900
¢1,300
$1,850
$1,800
¢1,250
$1,750
¢1,200
$1,700
$1,650
8/1
8/22
9/13
10/4
10/25
11/15
12/6
12/31
¢1,150
8/1
1/22
8/22
9/13
10/4
10/25
11/15
12/9
12/31
1/23
LME価格は4年ぶり安値を更新したが、現物プレミアムは
南米の収穫本 格 化に伴う供給 増 加、中国など 輸入国の南
急 騰。米ミッドウエストではトン400ドル超の史上最高値
米シフトに加え、4月以降に作付を開始する米国においても、
をつけた。世界全体の需給バランスは安定的でも、L ME
過去最高の作付面積が見込まれるなど、需給緩和観測強い。
在 庫 取引の 影 響や生 産 移 転に伴う調 達 先変化 など で 地
投機筋は依然買い越しである点も勘案すると、他の穀物と
域需給格差がプレミアムに反映。
比べ大豆は下落余地があり、買われにくい状況が続く。
前月末比
25%
株価指数
為替
エネルギー
貴金属
基準日:2014/1/31 vs 2013/12/31
非鉄金属
農産物
20%
15%
10%
5%
0%
-5%
粗糖
小麦
トウモロコシ
大豆
鉛
亜鉛
ニッケル
アルミ
銅
プラチナ
パラジウム
銀
金
暖房油
天然ガス
ガソリン
ブレント原油
WTI原油
CRB指数
豪ドル︵対米ドル︶
ユーロ︵対ドル︶
円︵対ユーロ︶
円︵対ドル︶
ロシアRTS︵$︶
インドSENSEX
ブラジルボベスパ
上海総合
日経平均
S&P500
-10%
(出所)Bloomberg
13
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
産業トレンド
今月のフォーカス : 日系食品メーカーはハラルフード市場を掴めるか
世界 の25%の市 場をもつ
イスラム教徒
現在、世界の約4人に1人がイスラム教徒(以下、ムスリム)と言われている。
2014年のムスリム人口は約20億人に達し、今後も加速度的に増加して2030
年には22億人に迫る見通しだ。イスラム教は聖典コーランの厳格な戒律を重
んじる宗教であり、ムスリムらはその戒律に従い日常生活を営んでいる。日
に5回の礼拝や断食などは広く知られているが、その他にもイスラム教の戒律
には禁忌とされる物・事が存在している。その中で今注目されているのはハ
ラルフードと呼ばれるムスリム向け食品である。国内にムスリムを多く抱える
国々では、食品スーパーにハラルフードの専用売り場が設置されるなど、ムス
リム人口の増加に伴いハラルフードの存在感は大きくなりつつある。この独
自の宗教文化を有する巨大市場が今、日系食品メーカーの注目を浴びている。
60兆円のハラルフード市場
「ハラル」とはアラビア語で「合法的なもの」や「許されたもの」を意味する。
ムスリムが口にできるのはハラルフードのみで、その市場規模は足許で約60
兆円と見られる。ムスリムが食べる事を許されない非ハラルフードには、豚や
アルコールなどの様々な食品に加え、これら非ハラルフードを調理した器具を
使用した食品についても口にすることは出来ない。その為、食品工場におい
てはハラルフードの為の別ラインの製造工程を設置しなければならず、食品
メーカーの参入に対し一定の障壁となっている。これらの規定をクリアした
食品は認証機関からハラルフード認証マークが付され、漸く小売市場でハラル
フードとして流通することとなる。
待たれるハラルフード統一
認証基準
近年、各国の経済発展が進み、調味料や冷凍食品などの加工食品が世界
的に拡がりつつある中で、ハラルと非ハラルフードを見極める事は非常に難し
くなっている。その為、商品にハラル認証が付されているか否かがムスリムに
とっては非常に重要な判断基準となる。然し、ハラル認証には未だ世界統一
ルールが存在せず、国や認証機関により制度や基準が異なるなどの課題もあ
り、厳格なムスリムは一刻も早い統一基準の制定を願っている。世界の認証
機関を見ると、最も厳しい認証基準は聖地メッカを有するサウジアラビアとさ
れ、次にハラルフード製造を国策として進めるマレーシアが続く。日本でもハ
ラルフード認証機関は4つ存在するが、これらの認証をとっても海外へハラル
フードとして輸出できるかどうかは個別に確認が必要であり、販売先国でのハ
ラル認証への理解がハラルフード製造において非常に重要である。
日系企業が狙うアジア・中
東ハラル市場
国内や先進諸国が人口転換期を迎える今、日系食品メーカーにとって人口
増と急速な経済発展を遂げるアジアは重要な戦略ターゲットとなっている。
〈2014年 地域別ムスリム人口予測〉
北米 0.4%
南米 0.1%
オセアニア 0.1%
ヨーロッパ 2.8%
アフリカ
28.5%
スリムへの対応は欠かせない。足許で急速にアジア展開を進める大
手日系食品メーカー等は、当該国のハラル認証を取得してアジア域
内の需要取り込みを進めると共に、アジアを拠点とした中東など域
外の市場取り込みをも模索している。近年の経済発展により、アジ
2014年
ムスリム総数
20.4億人
ア諸国では日系食品メーカーが競争力を有する加工食品の需要が急
拡大している。この機を捉え、巨大ハラルフード市場開拓の糸口を
アジア
68.1%
(出所)Muslim Population
14
そして、アジアは世界のムスリムの6割超を内包する地域であり、ム
掴むことが出来るか、日系企業の今後の動向に注目したい。
(2014年2月3日 産業部 増本万里子)
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
産業景気:加工組立型産業・非製造業
150
100
一般機械
(前年比増減,%)
250
工作機械受注計
自動車
(前年比増減,%)
200
建機出荷額
150
50
輸出台数
生産台数
100
50
0
0
-50
-50
産業機械受注計
-100
10/12
11/6
11/12
(出所)
日本工作機械工業会等
12/6
12/12
13/6
12月の建機出荷額は内需拡大を主因に5ヶ月連続の増加(前年
比22.9%増)。工作機械受注額も、内・外需ともに回復基調が続
き3ヶ月連続の増加(同28.0%増)。一方、11月の産業機械受注
額は前年同月にボイラー・原動機の大型受注があった反動減で2ヶ
月連続の減少(同13.5%減)。
半導体
(前年比増減、
%)
40
30
(千円/個)
0.25
半導体集積回路
生産額(左)
20
新車登録台数
-100
10/12
11/6
11/12
13/12
(出所)日本自動車工業会等
0.20
10
0.15
0
0.10
-10
12/6
12/12
13/6
12月の自動車生産台数は前年比12.2%増と4ヶ月連続で増加。
消費増税前の駆け込み需要が影響し、軽自動車の生産が大幅
拡大(同28.8%増)
するなど、全ての車種で増加した。一方、自
動車輸出台数は現地生産化が進むアジアや景気低迷が 続く欧
州向けの輸出が低調に推移し、同5.1%減。
建
(年率換算・千戸)
1,300
建設工事
1,200
受注額官公需
(右)
1,100
設
(前年比増減、
%)
建設工事
受注額民需(右)
1,000
900
800
-20
1ギガDRAM
価格(右)
-30
-40
10/12
11/6
11/12
(出所)経済産業調査会等
12/6
12/12
13/6
0.05
0.00
13/12
11月の半導体集積回路生産額は、新興国向けのスマートフォン
市場の拡がりが需要を牽引し、前年比1.9%増。12月のDRAM
価格は、昨年9月の韓国半導体メモリー大手の中国工場での火
災に起因した供給不足から、高値の状態。完全な生 産回復に
至るまで当面は高値が続く可能性あり。
(前年比増減、
%)
200
電子・電機
100
700
600
10/12
11/6
(出所)国土交通省
12/12
13/6
小
売
コンビニエンスストア
総販売額(既存店)
大型小売店
総販売額
5
0
0
-50
-100
10/12
11/6
11/12
(出所)JEITA、
JEMA
12/6
10
民生用電気機器
国内出荷額
50
11/12
140
120
100
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
-120
13/12
12月の建設工事受注額は1兆1,351億円(前年比4.9%増)で9ヶ
月連 続 の 増 加。民 間 建 設 工 事 受 注 額は2カ月連 続 の 減 少(同
比3.5%減)となったものの、復興 本格化により官需が9ヶ月連
続で増加(同31.6%増)したことが主因。新設住宅着工戸数も
16ヶ月連続の増加(同18.0%増)
と好調続く。
15
薄型テレビ
出荷台数
新設住宅着工戸数(左)
(店舗調整済・前年比増減、
%)
20
150
13/12
携帯電話
国内出荷台数
12/6
12/12
13/6
-5
チェーンストア販売額
(食料品)
-10
13/12
10/12
11/6
11/12
12/6
(出所)経済産業省等
12月の民生用電気機器国内出荷額は、住宅着工増加に伴う需要
拡大を主因に7ヶ月連続の増加(前年比12.7%増)
。11月の携帯電
話出荷額は、冬商戦モデルが好調に推移し2カ月連続の増加(同
29.9%増)
。一方、12月の薄型テレビ出荷台数は3カ月連続の減
少(同10.4%減)
となったが、今後回復が期待される。
12/12
13/6
13/12
12月の大型小売店総販売額は、百貨店・スーパーともに好調に
推移し、5ヶ月連続の増加(前年比0.9%増)
。チェーンストア販売
額(食料品)も農産品の相場高により7ヶ月連続の増加(同0.7%
増)
。一方、コンビニエンスストア総販売額(既存店)は新規出店
の増加や天候不順が影響し2ヶ月ぶりに減少(同0.3%減)
。
(2014年2月3日 産業部)
15
住商総研 WORLD FOCUS 2014.2
国内・海外経済指標
主要国の概要、経済成長率
基礎指標(12 年)
面積
(千㎢)
IMF 経済見通し(%)
(2014.1)
名目 GDP 同、一人
人口
輸出
輸入
(百万人) (10 億ドル) 当たり(ドル)(10 億ドル) (10 億ドル)
実質 GDP 成長率(前年同期比%)
2013
2014f
2015f
12.3Q
4Q
13.1Q
2Q
3Q
4Q
日本
378
128
5,960
46,707
799
886
1.7
1.7
1.0
-0.2
-0.3
0.1
1.2
米国
9,629
314
16,245
51,704
1,546
2,336
1.9
2.8
3.0
3.1
2.0
1.3
1.6
2.0
ユーロ圏
2,509
331
12,199
33,762
2,404
2,303
-0.4
1.0
1.4
-0.7
-1.0
-1.2
-0.6
-0.3
ドイツ
357
82
3,430
41,866
1,321
1,149
0.5
1.6
1.4
0.9
0.3
-0.3
0.5
0.6
フランス
552
63
2,614
41,223
557
661
0.2
0.9
1.5
0.0
-0.3
-0.4
0.5
0.2
英国
244
63
2,477
39,161
431
656
1.7
2.4
2.2
0.2
0.2
0.7
2.0
1.9
オーストラリア
7,741
23
1,542
67,304
257
276
2.5
2.8
3.0
3.2
2.8
2.1
2.4
2.3
中国
9,598
1,354
8,221
6,071
2,050
1,817
7.7
7.5
7.3
7.4
7.9
7.7
7.5
7.8
7.7
韓国
99
50
1,130
22,589
548
520
2.8
3.7
4.0
1.6
1.5
1.5
2.3
3.3
3.9
台湾
36
23
474
20,336
301
270
2.2
3.8
3.9
1.4
3.9
1.4
2.7
1.7
2.9
1,905
244
879
3,594
190
192
5.3
5.5
6.0
6.2
6.1
6.1
5.8
5.6
5.7
513
68
366
5,390
228
251
3.1
5.2
5.0
3.1
19.1
5.4
2.9
2.7
インド
3,287
1,227
1,842
1,501
297
490
4.4
5.4
6.4
5.2
4.7
4.8
4.4
4.8
ロシア
17,098
142
2,030
14,302
524
317
1.5
2.0
2.5
3.0
2.1
1.6
1.2
1.2
313
39
490
12,709
180
190
1.3
2.4
2.7
1.3
0.7
0.5
0.8
1.9
メキシコ
1,958
117
1,177
10,059
371
408
1.2
3.0
3.5
3.1
3.3
0.6
1.6
1.3
ブラジル
8,515
198
2,253
11,359
242
245
2.3
2.3
2.8
0.9
1.8
1.8
3.3
2.2
アルゼンチン
2,780
41
475
11,582
79
69
3.5
2.8
2.8
0.7
2.1
3.0
8.3
5.5
インドネシア
タイ
ポーランド
2.4
2.7
2.8
(備考) ユーロ圏の一人当たり GDP は PPP ベース、輸出入は域外貿易
IMF経済見通し:下線は 2013.10 の数字
(出所)
世界銀行、IMF、Bloomberg ほか
主要マクロ指標、金融指標、商品市況
13.1Q
2Q
3Q
4Q
13/11
12
14/1
鉱工業生産(前年同期比%)
13.1Q
2Q
3Q
4Q
13/11
12
14/1
政策金利(%、月末)
日本
-7.9
-3.1
2.3
5.8
4.8
7.3
日本
0.10
0.10
0.10
0.10
0.10
0.10
0.10
米国
2.4
2.1
2.4
3.6
3.4
3.7
米国
0.25
0.25
0.25
0.25
0.25
0.25
0.25
-2.2
-0.9
-1.1
3.0
ユーロ圏
0.75
0.50
0.50
0.25
0.25
0.25
0.25
9.5
9.3
9.6
10.0
英国
0.50
0.50
0.50
0.50
0.50
0.50
0.50
ユーロ圏
中国
9.7
貿易収支(財収支、10 億ドル)
-22.5
主要株価指数(月末)
日本
-29.4
米国
-175.2 -171.8 -175.8
-29.4
ユーロ圏
32.7
56.1
49.2
中国
42.0
66.1
61.1
-35.0
-12.6
-10.9
-53.9
23.3
90.5
33.8
日本(日経平均)
12,398 13,677 14,456 16,291 15,662 16,291 14,915
米国(NY ダウ)
14,579 14,910 15,130 16,577 16,086 16,577 15,699
英国(FT100)
25.6
香港(ハンセン)
消費者物価(前年同期比%)
6,412
6,215
6,462
6,749
6,651
6,749
6,510
22,300 20,803 22,860 23,306 23,881 23,306 22,035
為替レート(月末)
日本(除く生鮮) -0.3
0.0
0.7
1.1
1.2
1.3
ドル・円
94.2
99.1
98.3
105.3
102.4
105.3
102.0
米国(コア)
2.0
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
ユーロ・ドル
1.28
1.30
1.35
1.37
1.36
1.37
1.35
ユーロ圏(コア)
1.4
1.1
1.1
0.8
0.9
0.7
ユーロ・円
120.8
129.0
132.9
144.7
139.2
144.7
137.6
中国
2.4
2.4
2.8
2.9
3.0
2.5
CRB 指数
296
276
286
280
275
280
283
日本
4.2
4.0
4.0
3.9
4.0
3.7
原油(WTI、ドル / バレル)
97.2
96.6
102.3
98.4
92.7
98.4
97.5
米国
7.7
7.5
7.2
7.0
7.0
6.7
金(ドル / オンス)
1,595
1,224
1,327
1,202
1,251
1,202
1,240
12.0
12.1
12.1
12.0
12.0
12.0
銅(ドル /トン)
7,540
6,750
7,302
7,360
7,055
7,360
7,065
失業率(%)
ユーロ圏
(備考)中国の鉱工業生産四半期データは累積ベース
(出所)世界銀行、IMF、Bloomberg ほか
16
0.8
主要商品市況(期近物、月末)
(2014年2月6日 経済部 道山弘美)
2014年1月の主な動き
〈米州〉
米国
●オバマ大統領が「一般教書演説」で大統領権限の行使により優先課題を実現する方針を
表明
●国家安全保障局(NSA)や連邦捜査局(FBI)による米国政府の監視プログラムの見直し
案が公表
〈中南米〉
中南米
●米国とカナダを除く米州33カ国でつくる第2回中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)の
首脳会議がキューバで開催され、
加盟国全域を、
すべての国際紛争を平和的な手段で解決
する「平和地域」と定める宣言などが採択
〈アジア・大洋州〉
中国
●南シナ海における外国船の活動を制限する新たな漁業法を施行。米、
比、
越などが反発
●2013年の貿易額が437兆円、
米を抜き、
世界一となった
●H7N9型鳥インフルエンザが流行、
中国各地、
香港を合わせて感染者が100名を超える
韓国
●大手クレジットカード3社から延べ1.4億人分の個人情報が流出していたことが発覚
●昨年末、
安倍総理が靖国神社を参拝したことに中国、
韓国が強く抗議
タイ
●総選挙実施を阻みたい反政府勢力のバンコックの一部封鎖に対し、
インラック政権は非常
事態宣言を発した
インドネシア ●ニッケルなど未精錬鉱石の輸出の原則禁止が発効、
2009年の新鉱業法に基づき、
産業育
成を目指す
〈中東・アフリカ〉
イラン
●濃縮度20%の高濃縮ウランの製造を停止、
昨年11月にP5+1との暫定合意の履行開始が
確認された
トルコ
●中銀は政策金利を4.5%から10%へと引き上げ、
米金融緩和縮小を受けた資金逃避から通
貨防衛を図った
エジプト
●憲法改正案の国民投票は、
有効投票数の95%以上の圧倒的多数の賛成で承認、
軍最高評
議会はシーシー国防相に次期大統領選への立候補を要請
シリア
●スイスで国際和平会議が開催され、
政府代表と反体制派のシリア国民連合が初めて同席、
内戦解決を目指す
マダガスカル●12月に行われた大統領選挙決選投票の結果、
ラジャオナリマンピアニナ氏が当選、
大統領
に就任
〈欧州・CIS〉
ロシア
●南部、
ボルゴグラード市にてイスラム武装勢力による爆発事件が連続で発生、
30人以上が
死亡
ウクライナ ●首都キエフで続いている大規模な反政府デモに対する責任を取ってアザロフ内閣は総辞
職、
新内閣は3カ月以内に任命される予定
ユーロ圏
●ラトビアが欧州統一通貨ユーロを導入、
これによりユーロ圏は18カ国体制となった
今月の焦点 2014年2月のスケジュール
2月7〜23日
★ロシア・ソチ五輪
2月7〜23日、
黒海に面するロシア・ソチでは第22回冬季五輪が開催される。1980年のモ
スクワ五輪はソ連のアフガニスタン侵攻に反対する西側諸国にボイコットされた。威信回
復を図るプーチン大統領は、
オリンピック開催に向けた会場施設に巨額を投じて準備を進
めた。
しかし、
ソチに近いボルゴグラードでテロが発生、
過激派の活動が警戒される状況下、
安全確保が重要な課題となっている。人権問題に抗議する西側諸国の首脳が相次いで欠
席を表明する中、
安倍首相が開会式参加を決定した。
2月7日
2月7〜23日
2月10日
2月22〜23日
○米国連邦債務の上限到達期限
○第22回冬季五輪(ロシア・ソチ)
○太平洋同盟首脳会合(コロンビア・カルタヘナ市)
○G20財務相・中央銀行総裁会議(オーストラリア・シドニー)
(2014年2月5日 国際部 林 幹雄)
住商総研 ワールド・フォーカス
2014年 2月号 No.87
編集・発行 株式会社 住友商事総合研究所
東京都中央区晴海 1−8−11(〒104−6136)
電話 03−5166−3181
E-MAIL. [email protected]
URL. http://www.sumitomocorp.co.jp/souken/wf/
※本誌記載のデータは各種の情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するもの
ではありません。住友商事総合研究所の同意なしに本誌を複写、引用、配布することを禁じます。
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