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市販直後調査
平成26年5月~平成26年11月
2014 年 5月作成
-医薬品の適正使用に欠かせない情報です。必ずお読みください。-
新医薬品の「使用上の注意」の解説
抗ウイルス化学療法剤
劇薬 処方せん医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
【警
告】
本剤を含む B 型肝炎に対する治療を終了した患者で、肝炎の重度の急性増悪が報告されている。
そのため、B 型肝炎に対する治療を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ月間は患者の
臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行うこと。経過に応じて、B 型肝炎に対する再治療が必要
となることもある。
【禁
忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
はじめに
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(以下、TDF)は、米国 Gilead Sciences 社(以
下、Gilead 社)により開発されたテノホビル(以下、TFV)の経口プロドラッグであり、
B 型肝炎ウイルス(以下、HBV)の DNA ポリメラーゼ(逆転写活性を含む)及びヒト
免疫不全ウイルス 1 型(以下、HIV-1)の逆転写酵素に対する核酸系の選択的阻害薬です。
本邦においては、TDF は HIV-1 感染症治療薬として日本たばこ産業株式会社により開
発され、既に「ビリアード錠 300mg」として 2004 年 3 月に承認されています。その後、
同社により開発された、TDF 及びエムトリシタビン(以下、FTC)の配合剤である「ツル
バダ配合錠」が 2005 年 3 月に、TDF、FTC、エルビテグラビル及びコビシスタットの配
合剤である「スタリビルド配合錠」が 2013 年 3 月に、いずれも「HIV-1 感染症」を効
能・効果として承認されています。
B 型慢性肝疾患(以下、CHB)は、HBV が肝細胞に長期間持続感染した後、感染し
た細胞に対する免疫反応により持続的又は断続的な肝臓の炎症を繰り返すことにより増
悪します。一般的に病態が長期にわたり、未治療の場合、肝線維化が進展して肝硬変や
肝細胞癌を発症し、肝不全で死に至るリスクを有します 1)。HBV 持続感染者は、世界で
約 4 億人、本邦で約 130 万人存在すると推定され、そのうちの約 10~15%が CHB を発
症しています
2)
。HBV 持続感染者及び CHB 患者の体内から HBV を完全に排除する
ことは困難であり、CHB の治療は、ウイルス量を減少させ、血中アラニンアミノトラン
スフェラーゼ(以下、ALT)値を正常化させることにより、肝炎を鎮静化させることが
第一目的となります。CHB の治療薬として、インターフェロン製剤及び HBV の複製を
選択的に阻害する核酸アナログ製剤が使用されており、本邦では、核酸アナログ製剤と
してラミブジン(以下、LAM)、アデホビル ピボキシル(以下、ADV)及びエンテカ
ビル水和物(以下、ETV)が承認されています。
テノゼット錠(以下、本剤)は、CHB の治療薬としてグラクソ・スミスクライン株式
会社により開発され、未治療の日本人 CHB 患者を対象とした臨床試験において ETV に
対する非劣性が検証されたこと、前治療効果不良の日本人 CHB 患者に対して良好な有
効性が確認されたこと、及び安全性に特段の問題は認められなかったことから、今般、
製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は CHB に対して、海外では、欧州及び
米国でそれぞれ 2008 年 4 月及び 8 月に承認されており、平成 25 年 11 月時点で、113
の国又は地域で承認されています。
本冊子では、本剤のご使用に際しての注意事項を各項ごとに解説いたしました。本剤
の適正使用の一助として下さい。
目
次
効能・効果······························································ 1
用法・用量······························································ 1
警告 ··································································· 4
禁忌 ··································································· 6
効能・効果/用法・用量に関連する使用上の注意 ···························· 8
使用上の注意
1. 慎重投与························································ 10
2. 重要な基本的注意 ················································ 12
3. 相互作用························································ 14
4. 副作用·························································· 18
5. 高齢者への投与·················································· 24
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 ···································· 24
7. 小児等への投与·················································· 26
8. 過量投与························································ 26
9. その他の注意···················································· 26
解
説
【効能・効果】
B 型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認された B 型慢性肝疾患における B 型肝炎
ウイルスの増殖抑制
【用法・用量】
通常、成人にはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として 1 回 300 mg を 1 日 1 回経口
投与する。
1
解
説
⇒ 効能・効果
本申請に際し、評価資料として、計 10 試験(国内第 III 相試験 2 試験及び第 IV 相試験 1 試
験、並びに海外第 I / II 相試験 1 試験、第 II 相試験 3 試験及び第 III 相試験 3 試験)の成績
を提出し、参考資料として計 14 試験(海外第 I 相試験 13 試験及び第 IV 相試験 1 試験)の
成績を提出しました。
有効性及び安全性試験成績に関して提出された海外第 II 相試験 2 試験及び国内外第 III 相試
験 5 試験の概要は、以下のとおりです。
有効性及び安全性の検討を目的とした臨床試験(評価資料)
国
内
Ⅲ
試験番号
LOC115409
LOC115912
対象患者
未治療代償性 CHB 患者
他剤効果不良代償性
CHB 患者
主な目的
有効性、安全性
有効性、安全性
例数 a)
106
①13
②21
海
外
Ⅱ
GS-US-174-0106
有効性、安全性
53
Ⅲ
GS-US-174-0108
GS-US-174-0102
ADV 効果不良代償性
CHB 患者
非代償性 CHB 患者
未治療代償性 CHB 患者
(HBe 抗原陰性)
未治療代償性 CHB 患者
(HBe 抗原陽性)
LAM 耐性代償性 CHB
患者
安全性、忍容性
有効性、安全性
45
250
有効性、安全性
176
有効性、安全性
141
GS-US-174-0103
GS-US-174-0121
本剤の用法・用量 b)
本剤 300mg QD を 48 週間
①本剤 300mg QD 及び LAM 100mg
QD を 48 週間 c)
②本剤 300mg QD 及び ETV 0.5mg
QD を 48 週間
本剤 300mg QD を 168 週間
本剤 300mg QD を 168 週間
本剤 300mg QD を 384 週間(72 週
時以降は FTC200mg を追加投与可)
本剤 300mg QD を 384 週間(72 週
時以降は FTC200mg を追加投与可)
本剤 300mg QD を 240 週間
QD:1 日 1 回
a)本剤群の例数であり、LOC115409 試験では Per Protocol Set(PPS)、その他の試験では Full Analysis Set
(FAS)又は Randomized and Treated(RAT)の例数を記載。
b)国内臨床試験については、48 週間の投与後も継続投与され、承認後は製造販売後臨床試験に切り替える
予定とされている。
c)前治療の内容により、LAM/ADV 効果不良例には本剤及び LAM を、ETV 効果不良例及び ETV/ADV 効
果不良例には本剤及び ETV を投与。
以上の国内外で実施された臨床試験結果より、TDF のウイルス抑制効果はベースラインのウ
イルス量あるいは HBe 抗原の有無などのウイルス側因子、慢性肝炎から肝硬変に至る病態
の進展度、治療開始時の ALT 値、年齢、性別などの患者側因子などに大きな影響を受けず、
幅広い CHB 患者においてほぼ同様のウイルス抑制効果を示すことが確認されました。
更に、TDF は代償性 CHB 患者において、ウイルスの増殖を反映するマーカーである
HBV-DNA 量の減少作用、肝臓における炎症の指標である ALT 値の改善作用が確認され、
これらの効果の持続により肝組織学的改善効果も認められました。また、HBe 抗原/HBs 抗
原の消失及びセロコンバージョンを示しました。非代償性肝硬変患者においても、HBV-DNA
量の減少作用及び ALT 値の改善作用が示されました。
これらの臨床成績は、B 型慢性肝炎から代償性及び非代償性肝硬変までの一連の B 型慢性
肝疾患の病態すべてに対する TDF の B 型肝炎ウイルス増殖抑制作用に基づくものと考えら
れます。
したがって、TDF の効能・効果を「B 型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認さ
れた B 型慢性肝疾患における B 型肝炎ウイルスの増殖抑制」と設定しました。
2
解
説
⇒ 用法・用量
国内外で CHB 患者を対象とした用量設定試験は実施されていません。しかしながら、海外
ではヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染症患者を対象とした用量設定試験(GS-97-901
試験及び GS-98-902 試験)により、TDF の用法・用量として 300 mg 1 日 1 回投与が設定さ
れています。海外の CHB に対する開発では、HIV-1 治療薬として推奨された用法・用量で
ある 300 mg 1 日 1 回投与で第 III 相試験(GS-US-174-0102 試験及び GS-US-174-0103 試験)
を実施し、適応追加承認申請を行っています。
一方、日本人と外国人で血清中 TFV 濃度推移に明らかな違いは認められず、TFV の薬物動
態は人種や疾患の種類による影響をほとんど受けないと考えられています。TFV のヒト血漿
及び血清蛋白結合率は低く、チトクローム P450(CYP)の基質ではありません。また、TFV
の軽食摂食後の薬物動態は食事の影響を受けず、曝露量は投与量増加に比例して増加しまし
た。TFV の曝露量に蓄積性はみられず、主に腎臓を介して排泄されました。また、HBV
genotype 別の有効性解析では、いずれの genotype においても有効性に大きな違いはないこ
とが確認されました。
以上より、TDF の有効性及び安全性は民族的要因による影響を受けにくいと考えられます。
したがって、本邦においても海外と同様の用法・用量(300 mg 1 日 1 回)にて CHB 患者を
対象とした第 III 相試験(LOC115409 試験及び LOC115912 試験)を実施しました。その結
果、有効性の観点から本用法・用量の妥当性が示されました。
また、TDF 投与後 48 週までの期間において本用法・用量における特段の安全性上の問題は
認められておらず、安全性の観点からも本用法・用量の妥当性が確認されました。
なお、TDF 300 mg 1 日 1 回の安全性プロファイルは、国内外での HIV-1 感染症治療におけ
る市販後 8 年以上の使用経験(ビリアード®錠及びエムトリシタビンとの配合剤であるツルバ
ダ®配合錠)により裏付けられています。
これらより、TDF の用法・用量を「通常、成人にはテノホビル
ジソプロキシルフマル酸塩
として 1 回 300 mg を 1 日 1 回経口投与する。」と設定しました。
3
解
【警
説
告】
本剤を含む B 型肝炎に対する治療を終了した患者で、肝炎の重度の急性増悪が報告されてい
る。
そのため、B 型肝炎に対する治療を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ月間は患
者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行うこと。経過に応じて、B 型肝炎に対する再治
療が必要となることもある。
4
解
説
⇒ 警告
B 型肝炎に対する治療を終了した場合、抗 B 型肝炎ウイルス(HBV)薬により増殖を抑制さ
れていたウイルスが再増殖し肝炎が再燃するおそれがあります。海外第Ⅲ相試験において、
投与中止/終了 2~3 カ月後の追跡調査期間に肝炎再燃が認められたとの報告もされていま
す。
したがって、本剤を含む抗 HBV 薬の投与を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ
月間は患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行う必要があることから、B 型肝炎に対
する治療終了について設定しました。
なお、同様の注意は、アデホビル ピボキシル(ヘプセラ®錠 10)、ラミブジン(ゼフィック
ス®錠 100)及びエンテカビル水和物(バラクルード®錠 0.5mg)の「使用上の注意」にも記載
されています。
5
【禁
忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
6
解
説
⇒ 禁忌
医薬品全般に対する一般的な注意事項です。
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者では、本剤の投与により、さらに重篤な過敏
症状を発現するおそれがあります。本剤の投与に際しては問診等を行い、本剤の成分に対し
て過敏症の既往歴がある場合には、本剤を投与しないで下さい。
<本剤の成分>
本剤には、有効成分及び添加物として次の成分が含まれています。
有効成分
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
添加物
部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、乳
糖水和物、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロ
メロース、酸化チタン、トリアセチン
7
効能・効果に関連する使用上の注意
本剤投与開始に先立ち、HBV-DNA 定量により、ウイルスの増殖を確認すること。
用法・用量に関連する使用上の注意
1. 本剤は、投与中止により肝機能の悪化若しくは肝炎の重症化を起こすことがある。本内
容を患者に説明し、患者が自己の判断で投与を中止しないように十分指導すること(「警
告」の項参照)。
2. 本剤の投与開始時期、投与期間、併用薬、他の抗ウイルス剤に対する耐性がみられた患
者への使用等については、国内外のガイドライン等を参考にすること。
3. 本剤の有効成分であるテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しない
こと。
4. 腎機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇するので、腎機能の低下に応じて次の投与
方法を目安とする(外国人による薬物動態試験成績による)。
クレアチニンクリアランス
投与方法
50mL/min 以上
300mg を 1 日 1 回
30~49mL/min
300mg を 2 日に 1 回
10~29mL/min
300mg を 3~4 日に 1 回
血液透析患者
300mg を 7 日に 1 回注)又は累積約 12 時間の透析終了後に
300mg を投与
注)血液透析実施後。なお、クレアチニンクリアランスが 10mL/min 未満で、透析を行って
いない患者における薬物動態は検討されていない。
8
解
説
⇒ 効能・効果に関連する使用上の注意
本剤の投与対象患者は、HBV の増殖を伴う肝機能の異常が確認された B 型慢性肝疾患患者
です。本剤の投与を開始する前には、HBV-DNA 定量により HBV の増殖を確認して下さい。
⇒ 用法・用量に関連する使用上の注意 1
本剤は通常、投与を終了するまでに長期間を要する薬剤であり、また、投与中止後、肝機能
の悪化若しくは肝炎の重症化を起こした症例が報告されています(「警告」参照)。
したがって、患者が自己の判断で本剤の服用を中止した場合には、肝機能の悪化、肝炎の重
症化が起こる危険性があることを理解していただき、絶対に自己判断で服薬を中止しないよ
うに十分指導して下さい。
⇒ 用法・用量に関連する使用上の注意 2
本剤の投与に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考にして下さい。
⇒ 用法・用量に関連する使用上の注意 3
TDF を含有する製剤との併用は、TFV の過量投与となります。これらの薬剤と併用しないよ
うご注意下さい。
⇒
用法・用量に関連する使用上の注意 4
本剤はテノホビルとして主に腎排泄されるため、腎機能障害患者では本剤の排泄が遅延し、
血中濃度が上昇するおそれがあります。したがって、本剤を腎機能障害のある患者へ投与す
る場合には、患者の腎機能(クレアチニンクリアランス)に応じ用法・用量を調節して下さ
い。
<参考:腎機能が低下している成人の血中濃度(本剤の添付文書【薬物動態】から引用)>
腎機能低下者を対象に、本剤 300 mg を単回投与した場合、クレアチニンクリアランス(CLcr)が 50 mL/min
未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者において、テノホビルの Cmax 及び AUC が上昇した。
腎機能低下を有する患者に本剤 300 mg を単回経口投与した後の血清中テノホビルの薬物動態パラメータ
CLcr
(mL/min)
> 80
50~80
30~49
< 30
(12~28) 注 1)
末期腎不全患者
(透析前)
末期腎不全患者
(透析後)
例数
Cmax
(ng/mL)
AUC (0-inf)
(ng・hr/mL)
CL/F
(mL/min)
CLr
(mL/min)
3
10
8
11
335.5±31.8
330.4±61.0
372.1±156.1
601.6±185.3
2184.5±257.4
3063.8±927.0
6008.5±2504.7
15984.7±7223.0
1043.7±115.4
807.7±279.2
444.4±209.8
177.0±97.1
243.5±33.3
168.6±27.5
100.6±27.5
43.0±31.2
9
1061±252.8
44900.8±12956.8 注 2)
-
-
8
904.5±326.3
15768.1±5366.3 注 2)
-
Mean±SD
注 1)CLcr が 10mL/min 未満で、透析を行っていない患者における薬物動態は検討されていない。
注 2)AUC(0-t)
なお、血液透析による除去率は 54%で、本剤 300 mg 単回投与時には 4 時間の血液透析により投与量の約 10%
が除去された。
9
【使用上の注意】
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 腎機能障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある(「用法・用量に関連する
使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「薬物動態」の項参照)。]
(2) 非代償性肝硬変患者[国内における使用経験がない。]
10
解
説
⇒ 慎重投与 (1)
本剤はテノホビルとして主に腎排泄されるため、腎機能障害患者では排泄遅延により高い血
中濃度が持続するおそれがあります。したがって、本剤を腎機能障害のある患者へ投与する
場合には、患者の腎機能(クレアチニンクリアランス)に応じ用法・用量を調節して下さい
(「用法・用量に関連する使用上の注意」参照)。
⇒ 慎重投与 (2)
国内臨床試験では非代償性肝硬変患者における投与経験はなく、本剤の有効性・安全性は確
認されていません。参考として、海外で実施した非代償性肝硬変患者を対象とした海外第Ⅱ
相臨床試験結果を以下に示します。
<参考:非代償性肝硬変患者を対象とした海外第Ⅱ相臨床試験における、
投与 48 週時及び投与 168 週時における HBV-DNA のベースラインからの変化量>
HBV-DNA のベースラインからの変化量(log10 copies/mL)
例数
本剤群
45
評価例数
変化量
[95%信頼区間]
36
-3.30(1.553)
[-3.81, -2.79]
FTC/本薬群
45
投与 48 週時
38
-3.67(1.753)
[-4.23, -3.11]
投与 168 週時
31
-3.91(1.855)
[-4.56, -3.26]
ETV 群
22
全体
112
18
-3.50(1.968)
[-4.41, -2.59]
92
-3.49(1.711)
[-3.84, -3.14]
26
15
72
評価例数
変化量
-3.44(1.768)
-3.29(1.836)
-3.61(1.814)
[95%信頼区間]
[-4.12, -2.76]
[-4.22, -2.37]
[-4.03, -3.19]
平均値(標準偏差)
定量下限は 169 copies/mL(29 IU/mL)であり、定量下限未満の場合はすべて 168 copies/mL とみなした
肝移植を受けた被験者から収集した移植後来院時のデータは、解析から除外
11
【使用上の注意】
2. 重要な基本的注意
(1) 本剤による B 型慢性肝疾患の治療は、投与中のみでなく投与終了後も十分な経過観察が
必要であり、経過に応じて適切な処置が必要なため、B 型慢性肝疾患の治療に十分な知
識と経験を持つ医師のもとで使用すること。
(2) 本剤の投与に際しては、クレアチニンクリアランスを測定するなど、腎機能障害の有無
に注意すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察
し、腎機能障害のリスクを有する患者には血清リンの検査も実施すること。腎毒性を有
する薬剤との併用は避けることが望ましい(「用法・用量に関連する使用上の注意」、
「慎
重投与」及び「薬物動態」の項参照)。
(3) HIV/HBV重複感染患者では、薬剤耐性HIVが出現する可能性があるため、本剤のみの投与
は避けること。また、本剤を投与する前にHIV感染の有無を確認すること。
(4) 海外臨床試験において、本剤の 96 週間投与により、腰椎と大腿骨の骨密度の低下が認め
られている。主な骨密度の低下は、腰椎では投与開始後 24 週時にかけて、大腿骨では投
与開始後 72 週時にかけて発現した。病的骨折の既往のある患者又はその他の慢性骨疾患
を有する患者では、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止す
るなど適切な処置を行うこと。
(5) 体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処
置を行うこと。
12
解
説
⇒ 重要な基本的注意 (1)
本剤は、投与終了後に肝機能の悪化がみられることがあるため、投与終了後も経過観察を続
ける必要があり(「警告」参照)、患者の状態に応じ適切に処置を行って下さい。
なお、同様の注意は、アデホビル ピボキシル(ヘプセラ®錠 10)、ラミブジン(ゼフィック
ス®錠 100)及びエンテカビル水和物(パラクルード®錠 0.5 mg)の「使用上の注意」にも記載
されています。
⇒ 重要な基本的注意 (2)
腎機能障害を有する患者では本剤の投与間隔の調整が必要であるため、本剤を投与する前に
腎機能障害の有無を確認する必要があります。また、「重大な副作用」に記載のとおり、本
剤の副作用として腎機能障害が発現することが知られていますので、本剤の投与中は腎機能
検査値の測定を行う等、腎機能障害の発現に注意して下さい。特に、腎機能障害のリスクを
有する患者には血清リンの検査も実施して下さい。
⇒ 重要な基本的注意 (3)
HIV/HBV 重複感染患者に対し本剤のみを投与すると、薬剤耐性 HIV が出現する可能性があ
るため、本剤を投与する前に HIV 感染の有無を確認して下さい。
⇒ 重要な基本的注意 (4)
本剤の海外臨床試験で骨密度の減少が報告されています。病的骨折の既往のある患者又はそ
の他の慢性骨疾患を有する患者では、観察を十分に行い、異常が認められた場合には患者の
状態に応じ適切に処置を行って下さい。
⇒ 重要な基本的注意 (5)
海外で市販後にリポジストロフィーが報告されています。観察を十分に行い、異常が認めら
れた場合には患者の状態に応じ適切に処置を行って下さい。
13
【使用上の注意】
3. 相互作用
テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクローム P450 の基質ではない。
また、テノホビルは、糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排泄される(「薬物動態」
の項参照)。
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
逆転写酵素阻害剤
膵炎、乳酸アシドーシス等のジダ
機序不明だが、ジダノシンの AUC
ジダノシン
ノシンによる副作用を増強するお
及び Cmax が上昇する。
それがあるので、ジダノシンの減
量を考慮すること。
HIV プロテアーゼ阻
アタザナビルの治療効果が減弱す
機序不明だが、アタザナビルの
害剤
るおそれがあるので、本剤とアタ
AUC が 25%、Cmax が 21%、Cmin
アタザナビル硫酸
ザナビル硫酸塩を併用する場合に
が 40%低下し、テノホビルの AUC
塩
は、本剤とアタザナビル 300 mg
が 24%、Cmax が 14%、Cmin が 22%
をリトナビル 100 mg とともに投
上昇する。
与することが望ましい。また、本
剤による副作用を増強するおそれ
がある。
HIV プロテアーゼ阻
本剤による副作用を増強するおそ
機序不明だが、テノホビルの AUC
害剤
れがある。
が 32%、Cmin が 51%上昇する。
抗ウイルス化学療
これらの薬剤又は本剤による副作
尿細管への能動輸送により排泄さ
法剤
用を増強するおそれがある。
れる薬剤と併用する場合、排泄経
ロピナビル/リトナ
ビル
アシクロビル
路の競合により、排泄が遅延し、
バラシクロビル塩
これらの薬剤又は本剤の血中濃度
酸塩
が上昇するおそれがある。
抗サイトメガロウ
イルス化学療法剤
ガンシクロビル
バルガンシクロビ
ル塩酸塩
等
14
解
説
⇒ 併用注意 [逆転写酵素阻害剤:ジダノシン]
本剤との併用により、ジダノシンの AUC 及び Cmax が上昇し、ジダノシンによる副作用が増
強するおそれがあります。併用する場合には、ジダノシンの減量を考慮して下さい。
⇒ 併用注意 [HIV プロテアーゼ阻害剤:アタザナビル硫酸塩]
本剤との併用により、AUC、Cmax 及び Cmin が、アタザナビルでは低下し、TFV では上昇する
ため、アタザナビルの治療効果が減弱し、本剤の副作用が増強するおそれがあります。併用
する場合には、本剤とアタザナビル 300 mg をリトナビル 100 mg とともに投与することを検
討して下さい。
⇒ 併用注意 [HIV プロテアーゼ阻害剤:ロピナビル/リトナビル]
本剤との併用により、TFV の AUC 及び Cmin が上昇するため、本剤の副作用が増強するおそ
れがあります。併用する場合には、患者の状態を観察し副作用の発現にご注意下さい。
⇒ 併用注意 [抗ウイルス化学療法剤、抗サイトメガロウイルス化学療法剤]
尿細管への能動輸送により排泄される薬剤を併用すると、排泄経路の競合により、これらの
薬剤又は本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強するおそれがあります。併用する場合には、
患者の状態を観察し副作用の発現にご注意下さい。
15
解
説
<参考:臨床試験における、主な TFV
又は併用薬の薬物動態パラメータ(本剤の添付文書【薬物動態】から引用)>
併用薬投与時のテノホビルの薬物動態パラメータ
用法・用量
併用薬剤
併用薬
ジダノシン
アバカビル
ロピナビル/リト
ナビル配合剤
サキナビル/リト
ナビル
ネルフィナビル
ラミブジン
インジナビル
エファビレンツ
400 mg
単回
400 mg
単回
300 mg
単回
400/100mg
1日2回
1000/100mg
1日2回
1250mg
1日2回
150mg
1日2回
800mg
1日3回
600mg
1日1回
例数
テノホビルの薬物動態のパラメータの最小二乗
平均値の比(90%信頼区間)
;影響なし= 1.00
AUC
Cmin
Cmax
26
0.98
1.02
0.96
[0.93, 1.04] [0.98, 1.05] [0.90, 1.01]
本剤
ジダノシン
投与 2 時間後
300 mg1 日 1 回
300 mg
1日1回
300 mg 単回
26
8
300 mg
1日1回
300 mg
1日1回
300 mg
1日1回
300 mg
1日1回
300 mg
1日1回
300 mg
1日1回
27
35
29
15
13
29
16
1.03
[0.97, 1.09]
0.92
[0.76, 1.12]
1.15
[1.07, 1.22]
1.15
[1.07, 1.22]
0.98
[0.91, 1.05]
1.02
[0.96, 1.09]
1.14
[0.97, 1.33]
1.07
[0.94, 1.22]
1.05
[1.00, 1.09]
1.04
[0.86, 1.26]
1.32
[1.25, 1.38]
1.14
[1.09, 1.19]
1.01
[0.95, 1.07]
0.96
[0.85, 1.08]
1.07
[0.95, 1.19]
0.99
[0.92, 1.06]
1.05
[0.98, 1.12]
1.51
[1.37, 1.66]
1.23
[1.16, 1.30]
1.09
[1.02, 1.17]
-
解
説
本剤投与時の併用薬剤の薬物動態パラメータ
用法・用量
併用薬剤
併用薬
ジダノシン
アバカビル
ロピナビル/リト
ナビル配合剤 a)
ノルゲスチメート
/エチニルエスト
ラジオール配合剤
b)
リバビリン
サキナビル/リト
ナビル c)
400 mg
単回
400 mg
単回
300 mg
単回
400/100mg
1日2回
0.035/0.25mg
1日1回
例数
テノホビルの薬物動態のパラメータの最小二乗
平均値の比(90%信頼区間)
;影響なし= 1.00
AUC
Cmin
Cmax
26
1.48
1.48
1.09
[1.25, 1.76] [1.31, 1.67] [0.79, 1.52]
本剤
ジダノシン
投与 2 時間後
300 mg1 日 1 回
300 mg
1日1回
300 mg 単回
26
8
300 mg
1日1回
24
300 mg
1日1回
20
600 mg
単回
300mg
単回
22
1000/100mg
1日2回
300 mg
1日1回
32
1250mg
1日2回
300 mg
1日1回
29
ネルフィナビル d)
150mg
300 mg
15
1日2回
1日1回
800mg
300 mg
インジナビル
12
1日3回
1日1回
600mg
300 mg
エファビレンツ
30
1日1回
1日1回
a) 上段:ロピナビル、下段:リトナビル
b) 上段:ノルゲスチメート、中段:ジアセチルノルゲスチメート
下段:エチニルエストラジオール
c) 上段:サキナビル、下段:リトナビル
d) 上段:ネルフィナビル、下段:M8[ネルフィナビル活性代謝物]
ラミブジン
17
1.64
1.60
1.10
[1.41, 1.89] [1.44, 1.79] [0.77, 1.58]
1.12
1.11
[0.99, 1.26] [1.04, 1.19]
1.03
1.03
1.11
[0.97, 1.10] [0.96, 1.11] [0.98, 1.25]
1.04
1.04
1.10
[0.93, 1.16] [0.97, 1.10] [0.99, 1.22]
0.95
0.96
[0.73, 1.24] [0.69, 1.34]
-
0.94
0.60
[0.88, 1.00] [0.48, 0.74]
-
0.94
0.96
[0.88, 1.00] [0.91, 1.01]
-
0.95
1.12
[0.89, 1.01] [1.06, 1.17]
-
1.22
1.29
1.47
[1.06, 1.41] [1.12, 1.48] [1.23, 1.76]
1.10
[0.95, 1.28]
0.92
[0.85, 0.99]
0.92
[0.84, 1.00]
0.76
[0.66, 0.88]
0.88
[0.70, 1.12]
0.96
[0.91, 1.02]
1.11
1.23
[1.00, 1.22] [1.03, 1.46]
0.93
1.01
[0.85, 1.02] [0.85, 1.19]
0.93
0.98
[0.83, 1.05] [0.84, 1.15]
0.97
[0.82, 1.15]
0.95
[0.82, 1.10]
0.96
[0.93, 1.00]
【使用上の注意】
4. 副作用
国内臨床試験(投与期間 48 週間)において、総症例 143 例中 33 例(23.1%)に臨床検査値
異常を含む副作用が報告された。その主なものは、肝機能検査値異常(AST、ALT 及びγ-GTP
増加等)7 例(4.9%)、クレアチニン増加 4 例(2.8%)、アミラーゼ増加、リパーゼ増加及び
悪心各 3 例(2.1%)、腹痛 2 例(1.4%)であった(承認時)
。
(2) その他の副作用
1~5%未満
消化器
頻度不明注 1)
1%未満
下痢注 2)、嘔吐注 2)、鼓腸注 2)
悪心、腹痛
腎臓
蛋白尿、多尿
肝臓
肝炎
過敏症
アレルギー反応(血管浮腫)
代謝
低カリウム血症、低リン酸血症、後天性
リポジストロフィー
筋骨格
臨床検査
骨軟化症(骨痛、骨折)、ミオパチー
肝機能検査値異常(AST、ALT
及びγ-GTP 増加等)、クレア
チニン増加、アミラーゼ増加、
リパーゼ増加
その他
発疹
浮動性めまい注 2)、呼吸困難、無力症
注 1)海外のみで認められている副作用については頻度不明とした。
注 2)HIV 患者を対象とした海外臨床試験のみで認められている副作用。
18
解
説
⇒ 副作用
国内臨床試験に基づき、臨床検査値異常を含む副作用(本剤との因果関係が否定されない有
害事象)の発現頻度を算出しました。また、国内臨床試験において多く認められた副作用、
注意喚起が必要な副作用を記載しています。なお、海外で市販後に報告された副作用を、頻
度不明として記載しています。
以下に、国内臨床試験において本剤が投与された143例で認められた副作用の一覧表を示しま
す。
国内臨床試験において認められた副作用一覧
LOC115409
LOC115912
2 試験合算データ
調査症例数
109
34
143
副作用発現症例数
22
11
33
副作用発現症例率
20.18%
32.35%
23.1%
発現例数 (発現率 %)
副作用名
LOC115409
LOC115912
2 試験合算データ
アラニンアミノトランスフェラーゼ増加
1
(0.92)
3
(8.82)
4
(2.80)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
1
(0.92)
2
(5.88)
3
(2.10)
アミラーゼ増加
2
(1.83)
1
(2.94)
3
(2.10)
1
(2.94)
1
(0.70)
血中アルカリホスファターゼ増加
血中クレアチンホスホキナーゼ増加
2
(1.83)
1
(2.94)
3
(2.10)
血中クレアチニン増加
3
(2.75)
1
(2.94)
4
(2.80)
肝酵素上昇
1
(0.92)
1
(2.94)
2
(1.40)
リパーゼ増加
2
(1.83)
1
(2.94)
3
(2.10)
消化不良
1
(2.94)
1
(0.70)
小腸炎
1
(2.94)
1
(0.70)
心窩部不快感
1
(2.94)
1
(0.70)
胃炎
1
(2.94)
1
(0.70)
悪心
2
(1.83)
1
(2.94)
3
(2.10)
頭痛
1
(0.92)
1
(2.94)
2
(1.40)
1
(2.94)
1
(0.70)
1
(2.94)
3
(2.10)
鼻炎
1
(2.94)
1
(0.70)
高尿酸血症
1
(2.94)
1
(0.70)
頻尿
1
(2.94)
1
(0.70)
咳嗽
1
(2.94)
1
(0.70)
全身性そう痒症
1
(2.94)
1
(0.70)
嗅覚錯誤
傾眠
2
19
(1.83)
解
説
発現例数 (発現率 %)
副作用名
LOC115409
LOC115912
1
発疹
(2.94)
2 試験合算データ
1
(0.70)
血中尿酸増加
1
(0.92)
1
(0.70)
味覚異常
1
(0.92)
1
(0.70)
片頭痛
1
(0.92)
1
(0.70)
腹部膨満
1
(0.92)
1
(0.70)
上腹部痛
1
(0.92)
1
(0.70)
鼻咽頭炎
1
(0.92)
1
(0.70)
歯感染
1
(0.92)
1
(0.70)
不整脈
1
(0.92)
1
(0.70)
疲労
1
(0.92)
1
(0.70)
圧迫骨折
1
(0.92)
1
(0.70)
高コレステロール血症
1
(0.92)
1
(0.70)
筋肉痛
1
(0.92)
1
(0.70)
20
解
21
説
【使用上の注意】
4. 副作用
(1) 重大な副作用
1) 腎不全等の重度の腎機能障害(頻度不明注 1))
:腎機能不全、腎不全、急性腎不全、近位
腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の
重度の腎機能障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行う等観察を十分に行
い、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこ
と。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注
意すること。
2) 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明注 1)):乳酸ア
シドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が報告されている。観察を十分
に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
3) 膵炎(頻度不明注 1)):膵炎があらわれることがあるので、血中アミラーゼ、リパーゼ、
血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられ、膵炎と診断された場合には本剤の投与
を中止するなど適切な処置を行うこと。
注 1)海外のみで認められている副作用については頻度不明とした。
22
解
説
⇒ 重大な副作用 1)
本剤を含む TDF を含有する薬剤の投与により、腎不全等の重度の腎機能障害、腎尿細管障害
が報告されています。本剤の投与中には腎機能障害や腎不全があらわれる可能性があります
ので、腎機能検査を行う等、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中
止するなど適切に処置を行って下さい。
<参考:腎機能に及ぼす影響>
TFV は、近位尿細管においてヒト有機アニオントランスポーター1 型(hOAT1)を介して取り込まれ、トラ
ンスポーターの1つである multidrug resistance-associated protein 4(MRP4)を介して排出されることにより尿細
管分泌されます。腎機能障害に関連した TFV の分子メカニズムは現時点で完全に解明されていませんが、
本有害事象は、腎臓における MRP7 の遺伝子多型により、TFV の尿細管への取り込みと排出との輸送平衡
が崩れることによって引き起こされると考えられています 3)。
⇒ 重大な副作用 2)
海外において、市販後に乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が報
告されています。観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど
適切に処置を行って下さい。
<参考:ミトコンドリア障害>
一部の核酸誘導体において、ミトコンドリア DNA の複製に関与する DNA ポリメラーゼγ の阻害により乳
酸アシドーシスが発生すると考えられています 4)。TFV は核酸誘導体ですが、ヒト DNA ポリメラーゼγ に
対するテノホビル二リン酸の結合親和性は HBV-DNA ポリメラーゼと比較して非常に低く、また、in vitro 試
験において TFV のミトコンドリア障害作用は認められていません。
⇒ 重大な副作用 3)
海外において、市販後に膵炎が報告されています。血中アミラーゼ、リパーゼ、血中トリグ
リセリド等の検査値の上昇がみられ、膵炎と診断された場合には、本剤の投与を中止するな
ど適切に処置を行って下さい。
23
【使用上の注意】
5.高齢者への投与
本剤の高齢者における薬物動態は検討されていない。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、
一般に高齢者では生理機能が低下しているため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので注
意すること。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断さ
れる場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。テノ
ホビルはサルにおいて胎盤を通過することが認められているが、胎児組織への蓄積は認め
られていない。また、ラット及びウサギの胚・胎児発生に悪影響は認められなかった。]
(2) 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。
[テノホビルのヒト乳汁への移行
が報告されている。]
24
解
説
⇒ 高齢者への投与
高齢者に対する本剤の安全性及び有効性は確立していません。また、本剤は主として腎臓から
排泄されますが、一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いため、本剤の排泄が抑
制され、高い血中濃度が持続するおそれがありますのでご注意下さい。
⇒ 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)
妊婦、産婦を対象とした臨床試験は実施されておらず、安全性が確立されておりません。また、
ラット及びウサギの胚・胎児発生に関する試験では胎児に対して影響はありませんでしたが、
サルにおいては、胎児組織への蓄積は認められないものの TFV の胎盤通過が確認されており
ます。したがって、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に本剤を投与する場合は、治療上
の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するようにして下さい。
⇒ 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (2)
TFV のヒト乳汁への移行が確認されていますので、授乳中の患者には本剤投与中は授乳を避
けるよう指導して下さい。
25
【使用上の注意】
7.小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(国内における
使用経験がない)。
8.過量投与
本剤を過量投与した症例は報告されておらず、過量投与時に特有の徴候や症状は不明である。
過量投与時には、本剤の副作用(「副作用」の項参照)について十分に観察を行い、必要に応
じ対症療法を行うこと。本剤は血液透析により一部除去される(「薬物動態」の項参照)。腹膜
透析によるテノホビル除去については、検討されていない。
9.その他の注意
(1) マウスを用いたがん原性試験(2 年間)において、臨床用量における全身曝露量(日本人
健康成人男性)の 23 倍で雌に肝細胞腺腫が高頻度に発現したとの報告がある。
(2) In vitro 遺伝毒性試験では、細菌を用いる復帰突然変異試験の一菌株で不確か(equivocal)、
マウスリンフォーマ TK 試験及び不定期 DNA 合成試験でそれぞれ陽性及び弱陽性を示し
たが、in vivo マウス小核試験では陰性であった。
26
解
説
⇒ 小児等への投与
小児を対象とした国内臨床試験は実施しておらず、安全性が確立されていません。
⇒ 過量投与
本剤を過量投与した症例は報告されていませんが、過量投与時には患者の状態を十分観察し、
必要に応じ対症療法を行って下さい。
⇒ その他の注意 (1)
雌雄マウスを用いたがん原性試験において、対照群に比べて雌の本剤群のみで高頻度の肝細胞
腺腫の発現が報告されています。
⇒ その他の注意 (2)
一部の遺伝毒性試験において陽性結果が認められていましたが、本薬の遺伝毒性プロファイル
は類薬(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)とほぼ共通するものであり、臨床使用において遺
伝毒性を示す可能性は低いと考えられます。
参
考
文
献
1) 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編, B 型肝炎治療ガイドライン(第 1.2 版), 1-94, 2013
2) 岡上 武, 臨床と研究, 85: 985-991, 2008
3) Pushpakom SP, Liptrott NJ, Rodriguez-Novoa S, et al. Genetic variants of ABCC10, a novel
tenofovir transporter, are associated with kidney tubular dysfunction. Journal of Infectious
Diseases.2011;204:145-53.
4) Patel V, Hedayati SS. Lactic acidosis in an HIV-infected patient receiving highly active
antiretroviral therapy. Nat Clin Pract Nephrol. 2006;2:109-14.
27
【警告】
本剤を含むB型肝炎に対する治療を終了した患者で、肝炎の重度の急性増悪が報告されている。
そのため、B型肝炎に対する治療を終了する場合には、投与終了後少なくとも数ヵ月間は患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行うこ
と。経過に応じて、B型肝炎に対する再治療が必要となることもある。
28
29
〒151-8566 東京都渋谷区千駄ケ谷 4-6-15 GSK ビル
カスタマー・ケア・センター:
http://glaxosmithkline.co.jp
TZXTEP01-D1405D
改訂年月 2014 年 5 月