皿 調 査 結 果

2エ
皿 調 査 結 果
1980年6月∼!1月にわたり,市内に存在するすべて植生について野外植生調査が行なわれ,約
350の植生調査資料が得られた。これらの資料は室内での組成表作業により57の群落単位にまと
められた。
植生単位の取扱いは現在広く国際的にも学界で認められている群集(Assoziation)に可能な隈
り輯応させたが,今まで未記録の群落単位であっても,本書の性格上,暫定的に群落(Gesellschaft)
として報告している植分もある。
群落の掲載額序は自然,代償植生の溺なく森林植生から草本植生へ,階層構造の発達したもの
から未発達のものへと配列した。
植生図は現存および潜在自然植生図ともに,野外植生調査と平行して進められた。空中写真で
の補正によって両図とも1:10,000で着色原図が完成された。
A. 植生単位
a.常緑広葉樹林 Immef望旋ne Laubho豆zwalder
半田市域は地下水位の高い沖積地をのぞく丘陵地はすべて,かつて常緑広葉樹林でおおわれて
いた。しかし現在そのほとんどが失なわれ,わずかに社寺林に面影を残すのみとなっている。
常緑広葉樹林(ヤブッバキクラス林)は各地に残存する社寺林や屋敷林の植生調査資料がまと
められた。林分内にはスダジイ,アラカシ,ヤマモモなど常緑広葉樹が優占するが,その大部分
は完全な姿とはいいがたく,時に亜高木林であったり,植栽されたクロマツが混生したりしてい
る。この項には種組成的に常緑広葉樹がひときわ高い常在度と三度で出現する三分がまとめられ
ている。ヤブコウジースダジイ群集とクロバイーアラカシ群落が記録された。
1. ヤブコウジースダジイ群集
Ard隻sio−Casta益opsiet双m sieboldii Suz。一Tok.1952(Tab.3)
半田市内の沖積地にはごくわずかながら,スダジイやヤマモモの優占する常緑広葉樹林が残さ
れている。これらの林分でヤブツバキ,スダジイ,ヤマモモによって特微づけられる林分はヤブ
コウジースダジイ群集にまとめられた。
ヤブコウジースダジイ群集は3∼4層群落であり,高木層は植生高,植被率ともに,それぞれ
!0∼20m,30∼80%と林分による差が大きい。高木層にはスダジイ,アラカシ,ヤマモモ,タブ
ノキのほか,クロマツやムクノキが混生している。亜高木層および低木層にはヤブッバキが優占
し,カクレミノ,モチノキ,サカキ,ネズミモチなどが生育している。草本層にはベニシダ,ビ
22
Fig.9 舞舞邸内に生育する常緑広葉樹林のヤブコウジースダジイ群集(北末広町)。
Ein Bestand des Ilnmergr積nen Laubwaldes;Ardis三〇一Castanops三etum
sieboldii als ein Hofwald in(ler Stadt Handa.(K1tasuehiro−cho),
Fig.10 同上の林内相観。ヤマモモ,モッコク,ヤブコウジなどが生育している。
Iln玉nHeren(les Ardislo−Castanopsietum s量eboldii.《《yノ安α〃’み’一α,
7彩’・〃5〃ηθ〃∼如g一),ノ〃〃αノz〃∼81・αund Aゾ‘∼∼∫1αノoρo〃∼‘u l《oエnmen als Unterwuchs vor.
23
ナンカズラ,ナガバジャノヒゲ,テイカカズラなどが生育している(Fig.11)。
ヤブコウジースダジイ群集は2亜群集に下位区分される。
シャシャンボ亜群集は,シャシャンボ,ヤブコウジ,モッコクにより区分される。シャシャソ
ボ亜群集は中旧邸の屋敷林から植生調査資料が得られた林分である。ここのスダジイやヤマモモ
はかつて植栽されたものであるが,現在では潜在自然植生の構成:種が復元しており,自然林とほ
とんど変わらない安定した群落となっている。この中埜邸のヤブコウジースダジイ群集は,遠方
より眺めるとこんもりとした緑の島のように見え,半田市の市街地で面的に残された唯一の自然
林となっている。植栽されたものでありながら安定した群落を形成している,この樹林は,半田
市の緑の環境創造のための生きた見本となるべきものである。
タブノキ亜群集は,タブノキ,ピサカキ,ウバメガシ,オニヤブソテツ,ヤツデによって区分
される。タブノキ亜群集は中埜邸,成岩神社,神前神社から植生調査資料が得られた。いつれの
林分も海岸近くの沖積地を生育地とする常緑広葉樹林である。わが国のヤブッバキクラス域の沿
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1
Fig.11ヤブコウジースダジィ群集断面模式図
Vegetat量onspro61 des Ardisio−Castanopsietum sieboldii,
ネズミモチ
ムどgκ諾1マ〃〃∫α/)o/z∼α〃μ 7 カクレミノ
/)6〃諭砂α〃礁々が6!∼で5
2
イヌビワ
乃’c醐ωで。彦α 8 ヤマモモ
Mツ’噂∼ごαノ’∼め1u
3
サカキ
α8ツ6ノ‘αブαρo癖。α g ヤブツバキ
αz〃’〃∫αノ妙。〃∼‘ノ‘z
4
ヤブコウジ
ノ1ノ‘読5如ノαρo廓。α !0 モチノキ
π8灘∠刀詑9γα
5
ベニシダ
Z)ノッ0μ8が581=露1ガ050ノ「α 11 シャシャンボ
スダジイ
Cα∫オαノZ・卿∫α‘頭4α‘αvar.∫’6∂oZ磁
1
6
IZ‘ταプ〃’,〃〃加・‘∼ぐ館‘だ,〃〃
24
岸低地の土壌条件のよい立地にはタブノキの優占する群落が知られている(宮脇・藤原・原田他
1971他)。タブノキ亜群集はそのタブノキ林に相平するものと考えられる。しかし,知多地:方は
乾燥気候下にあることと土壌の浅い花嵩岩風化土壌地帯であるため,タブノキの十分な生育が抑
えられているものと考えられる。神前神社の林分はタブノキが高木層に被度・群度3・2で生育し
て,その実生も多く,ムクノキやエノキも生育しており東海地方沿岸に生育するイノデータブノキ
群集と種組成的に近似している。そのため神前神社の林分はイノデータブノキ群集とすることも
考えられるが,断片的なものであるため,本報ではやブコウジースダジイ群集に含めて扱われた。
ヤブコウジースダジイ群集は,緑の少ない半田市の中にあって数少ない自然植生として貴重な
林分である。しかも中埜邸以外は断片的な林分が多く,破壊され易い状況に置かれている。した
がって,残存林分を保護すると同時に,積極的に復元に努めることが緊急の課題といえよう。
2. クロバイーアラカシ群落
S〃ηLμocos pr配πεfo髭α一Qπθrc配sμα駕。α一Gese1蚕schaft(Tab.4)
半田市内に見られる森林植生は,相観的にはクロマツ林の形態をとるものが多く,相観だけで
は夏緑広葉樹林(二次林)であるのか,回縁広葉樹林であるのか判定がむずかしい。
クロバイーアラカシ群落は高木層にクロマツが優占しているが,群落構成種として,マンリョ
ウ,クロガネモチ,クロバイ,ヤツデ,カナメモチ,アラカシなど常緑広葉樹が多く生育してい
る常緑広葉樹林である。
植生高は20mに達する林分もあるが,ほとんどが12∼14mである。群落の階層構造は3∼4層
となっているが,高木層の植:被率は一部を除いて30∼40%と低く,亜高木層の植被率が高くなっ
ているのが特徴である。
高木層にはクロマツのほか,クロガネモチ,クスノキ,アラカシ,クロバイ,サカキなどが生
育している。亜高木層および低木層にはサカキ,ピサカキ,アラカシ,カクレミノ,モチノキ,
ネズミモチ,ヤブニッケイ,ハゼノキなどが高い植被率を占めている。草本層には,ベニシダ,
シュロ,マンリョウ,ビナンカズラ,キヅタなどが生育している。
クロバイーアラカシ群落は夏緑広葉樹二次林に対する区分種となっているマンリョウ,クPガ
ネモチ,ヤツデ,クロバイ,カナメモチ,クスノキなどのクロマツ植林と共通した種群を伴って
いる。しかしアラカシ,ビナンカズラ,イヌビワ,キヅタ,アオキ,トベラによりクロマツ植林
と区分される。
クロバイーアラカシ群落はさらに以下の2下位群落に区分される。
ヒメユズリハ下位群落はヒメユズリハ,コナラ,ナツヅタによって区分される。高木層の植被
率は90%に達し,ヒメユズリハ,クロバイ,クロガネモチ,サカキ,クスノキなどの常緑広葉樹
により占められている。クロマツの生育はみられず,常緑広葉樹林の相観を示している。成石神
社で植生調査資料が得られている。
25
クロマツ下位群落はクロマツ,シャシャソボ,チャノキ,アカメガシワ,ヤブコウジによって
区分される。高木層の植被率は20∼40%と貧弱であり,クロマツが優占しているほか,クスノキ
やクロガネモチ,時にコジイが混生している。亜高木層にはアカメガシワ,ハゼノキなどの陽地
生植物群落の構成種が目立つ。
知多半島のようなヤブッバキクラス域の乾燥気候下に生育する自然林として,瀬戸内海沿岸か
ら琵琶湖湖南地方にかけて分布が報告されているカナメモチーコジイ群集が挙げられる(中西
1973,武田・服部1977,Nakanishi and Hattori!979,宮協・中村1981他)。 カナメモチーコジ
イ群集は乾燥気候である瀬戸内気候区を中心に生育するシイ型森林であり,主として花轟岩地帯
に生育している。知多地方も同様に乾燥気候下にあり,クロバイーアラカシ群落の生育立地はゆ
るやかな山足部や丘陵地の浅土地や花嵩岩風化土壌地帯である。このことから,クロバイーアラ
カシ群落がクロマツ植林から潜在自然植生へ遷移が進行して行く途中相であることを考えると,
クロバイーアラカシ群落は時間の経過にともなってカナメモチーコジイ群集,あるいはそれに類
似した群落となることが推察される。
b,夏緑広葉樹林 Som照erg函餓e Laubho蔓zw琶1der
シイ,タブノキなどの常緑広葉樹林に接し,傾斜地などのやや不安定な立地には高木層にムク
ノキ,ケヤキ,エノキなどの夏緑広葉樹の優占する林分がみられる。半田市内ではきわめて稀に
ムクノキの優占する林分が1ケ所調査された。常緑広葉樹林域のムクノキ林は一般に林床に多か
れ少なかれ常緑広葉樹を伴なっているが,斜面下部などの湿生立地では夏緑広葉樹林として自然
状態で持続生育することが可能である。
一方薪炭林として定期的な伐採によって持続する二次林は萌芽能力のあるコナラを主とする夏
緑広葉樹林となるが,半田市内では,夏緑広葉樹を主とする二次林はきわめて少なく,わずか3
ケ所からしか得られていない。しかし,外見上クロマツ植林であるが,人為的管理が強く働く林
分ではコナラ林とよく似た種組成を示している。本項では一つにまとめて扱われている。
3. ムクノキーエノキ群集
Apka譲antho・Celもidetum Okno1978(Tab.5)
神前神社境内に近い北西向きの斜面にムクノキ林が生育している。ムクノキは胸高直径が40cm
ほどで高さ20m内外に達している。林床は常緑植物でおおわれ,ピサカキ,カクレミノ,ヤブニ
ッケイ,ヤブツバキなどの低木,ベニシダ,イノデ,トウゴクシダ,オニヤブソテツ,キジノオ
シダなどの常緑シダ植物が国立っている(Fig.12)。このような組成をもつ,夏緑広葉樹と常緑
植物の混生林はムクノキーエノキ群集に含められる。しかし,常緑植物の種類数が夏緑植物のそ
れに比して多いことはなお検討を要する。
神前神社のムクノキーエノキ群集の立地は傾斜角20∼35。内外で土壌は海成層の未熟土とみら
26
れ,小∼中礫が多く,比較的排水のよい,しかも不安定立地と考えられる。
常緑広葉樹四域の沖積地にはムクノキとエ/キが比較的多くみられる。かつては自然植生とし
て低地のハンノキ林と,丘陵や台地の聞にムクノキの優占林が存在したと考えられている。半田
市においても,この神前神社の植分は不完全ではあるが,潜在自然植生の立地推定のきめてにな
っている。
Fig.12丘陵斜面の下端部に生育するムクノキーエノキ群集(神前神社海抜10m)
Aphanantho−CeltidetumamNordhangeinesH荘gels
(Kamisakijinla 10 m U. NN).
2ク
Tab.5 ムクノキーエノキ群i集
Aphanantho−Celtidetum
Auln. Nr・調査番号;321, H6he U. Meer:海抜高10m.
猛xpos三tめn u・Ne三gung:方位および傾斜NE,20∼35。, Gr6Be d. Probe飴che:調査藏i積300m2.
H6he u. Deckung d. Baumschicht−1:高木第1/習の高さと植被率21m,85%.
H6he u. Deckung d, Baumschicht−2:高木第2層の高さと樵:被率10m,60%.
Hdhe u. Deckung d. Strauchschicht:低木層の高さと植被率3m,30%.
H6he u・Deckung d・Klrautschicht:草本層の高さと植傷率0.6m,35%. Artenzah1;}二i二1一種数27.
Kennarten d. Ass.:
Aρ1ユ.α7π乙η‘1}eα5♪ε.’−α
群集町鳶種
ムクノキ
B!5・4
S十
α傭∫∫ノ∼8〃∫∫∫var.露ψ・ノ∼∼αZ
エノキ
S十
Arten亜.Camellie皇ea laponicae:一
Kα‘加‘ノ『αノψoノ∼∫‘α
ビナソカズラ
K十・2
q>η諺。〃多∫z’〃’プ∂1カ‘1zθ∠
ヤフソテツ
K十
qy’『孟。〃’々‘〃’ノ∼正Z(1α甜〃’
オニヤブソテツK十・2
..4,一415’αご1一(ノノ∼α’‘J
マンリヨウ
トウゴクシダ
Z)’ツ。μβフゴ∫ノzψρo〃θノ∼∫f5
ピサカキ
B23・3
πo灘。ノー6ノ∼α’α
カクレミノ
モチノキ
α朋α班。〃耀〃り‘‘ρo〃∼α〃〃ヤブニッケイ
丑1’‘痂∫αθ−∼功α
イノテ
K1。2
カラタチバナ
フモトシダ
παg”θ9ツ’ゴαノ‘ψo〃16α
キシノナシタ
K十
K十
K十
Sl・1
0♪1z!砂09’o〃ブ妙。/z∼α♂∫
ジヤノヒゲ
K十・2
S十・2
$9聾賠◎: その他の種
S1・!
R1耀5∫配躍‘Zα肥‘Z ハゼノキ
Bユ!・!
F廊〃58ノ・8‘・如 イヌビワ
B.2・1
S1・2
D召〃‘乃りραノ∼α2オηfぬ∫
K:!・2
%ら,∫々‘ゾπ〃〃ρoZ),ゐ♂‘ψ1∼α’w〃.
ヤブツバキクラスの種
乃‘アツαノ妙01∼ガαz
K十
B,2。2
M∫θηzψ忽〃∼α’ゆノ∼α‘α
Cα〃∼βZZ∼αノαρo/z∫ぐα
ヤブツバキ
S1・1
ぬ’5∫α∫妙。ノ∼∼ごα
ヤツデ
S!・1
ん4αめαノαρo〃ガ‘α
アオキ
:乃・αご1zツαzψ’‘∫ノbノカ〃∼8∼
ゐガ9螂’ノ’μ〃’ブ‘ψ‘フノ∼如〃π
不スミモチ
S十
S十
1)1ツ。μ61層ガ∫8’γ1Zノ’0∫01・α
ベニシタ
K2・3
∫そ〃≠/∼8ノ∼oc∫∬榔〃qぬ∬力雇諺αナツヅタ
伍漉ゾαノ・た0〃∼ゐ{∼α
キヅタ
K+・2
0∫〃∼o,・ん薦αα,ゴ5∫α’α
シュロ
S1・2
S十
K十・2
ヤフニソシン
K十
Kl・2
調査地 Fundort;Klamisakijinla神前神:社(12. Nov.1980)
4,ネジキーコナラ群落
L〃。πεαooα泥fo髭αvar. eπゆだ。α・Qπθrc配88θrrαfα・Gesellschaft(Tab.6)
丘陵の尾根筋や広い凸状地などの乾燥しやすく土壌形成の緩慢な貧弱な立地では,常緑植物の
活力度が低下し,サカキ,ヤブニッケイ,クPガネモチ,マンリョウ,ヤツデ,シュロ,ヤブツ
バキ,スダジイなど多くの常緑広葉樹が欠落する。このような立地には陽地生でしかも乾燥条件
に対して抵抗力のある夏緑広葉樹類が多く生育するようになる。調査対象地域ではやブコウジー
スダジイ群集,クロバイーアラカシ群落,常緑植物の多いクロマツ植林に対応してヤマツツジ,
サルトリイバラ,ヤマウルシ,ケネザサ,イヌツゲ,ネジキ,ネズミサシ,ヘクソカズラ,イソ
ノキ,サワフタギ,シハイスミレで区分されるネジキーコナラ群落がまとめられた(Fig.13)。
高木層は6∼!4mの高さで,40∼90%の植被率といずれも幅のある値を示している。ネジキー
コナラ群落はカナメモチーコジイ群集の.代.償植生に位置づけられ,伐採の影響,復元の程度によ
28
り群落梅造が大きく変化している。高木層には植栽されたクロマツかアカマツ,あるいは二次的
に生育するコナラが優尽する。その他にはハゼノキ,ヤマモモ,マルバアオダモ,ヤマハンノキ
などが混生する。亜高木層は高木層の発達した三分にみられ,ヤマウルシ,ピサカキ,ハゼノキ,
コナラなどが30∼40%の植被率で生育する。低木層は2∼5mの高さで,20∼80%の植被率を占
め,ピサカキが常在度高く優録して生育する。平均出現種数は14種で夏緑常緑混生形態を示す。
常在度の高い種にはネズミモチ,シャシャンボ,カクレミノ,イヌツゲ,ヤマツツジ,ヤマウル
シ,ネジキ,カマツカ,サワフタギなどがみられる。草本層は発達が悪く,植被率は10∼30%
(60%)にとどまり,ケネザサ,シハイスミレ,ベニシダ,ヤブコウジ,アオツヅラフジ,ワラ
ビ,トコロなどが生育している。
ネジキーコナラ群落はノブドウ下位群落,コウヤボウキ下位群落,典型下位群落に下位区分さ
れている。ノブドウ下位群落はナツヅタ,ノブドウ,シシガシラ,コシダで識別され,クロマツ
植林の多くを含む。生育地は広い凸状地で林床に発達した葉積層がみられる。コウヤボウキ下位
群落はコナラ優占林分を指標し,コウヤボウキ,マルバアオダモ,コチヂミザサで識別されてい
る。南川・矢頭(1962)のケネザサーコナラ群集に類似した組成を示すが,調査区数が限られる
こと,他のクPマツ優占林分からの独立性が少ないことなどから下位群落として扱かわれている。
コウヤボウキ下位群落には畑放棄からの遷移途上の繊分が含まれており,土壌はノブドウ下位群
蜜蝋羅嚢嚢
畿細鱗.
回忌二
二難銚
鍵灘灘難三隅騨纏灘
黙黙灘〆詫三1ξ蒙:1:発寒:1漏じ∫田・罷!忌
Fig.13傾斜地に生育する夏縁広葉樹二次林のネジキーコナラ群落(新野町)。
Sekundare sommergrane Laubwalder;Lツ。ノ∼’αo槻Zヴb♂∼αvar.〃旗∼oα一Q∼で6’τ〃5
50’γα診α.Gesellschaft an ieicht geneigtem Hang(Niino−cho 50m U. NN).
29
落より発達し,葉積層に松葉の厚く堆積することはない。典型下伎群落にはアカマツ林が1植分
含まれている。}」三種数は20種で3つの下位単位中もっとも少なく,とくに組成的に低木層と草
本層の発達が悪い。典型下位群落はピサカキが一斉林を形成した復元途上の植生で,林床は賭く,
ミツバアケビ,ワラビ,ツルウメモドキ,テリハノイバラ,ヘクソカズラなど陽地生の植物が生
育せず,また遷移時聞が短かいため,ベニシダ,ヤブコウジ,ヤブニッケイ,チャノキなど常緑
植物の侵入もみられない。
ネジキーコナラ群落は多くの常緑植物を有すること,アカメガシワ,ハゼノキなど暖地生夏緑
広葉樹を伴生し,関東地方で報告されたオニシバリーコナラ群集に似た組成,群落形態,群落動
態を示している。
ネジキーコナラ群落はコナラ,カマツカ,ナツハゼ,ウスノキ,ムラサキシキブなどを上級単
位の標徴種としてアカマツ群i調,コナラーミズナラオーダー,ブナクラスにまとめられる。
C.植 林Forsten
半田市の丘陵地には広くクロマツ植林がらみられる。クロマツは一般にわが国では海岸に近い
乾性立地に生育するが,半田市の気候,風土によく適合するため,各地に発達した植分が現存生
育している。
半田市のクロマツ林は植林としての管理を停止している植分が多いため,潜在立地能力に応じ
た常緑広葉樹の再生が潤立っている。市域の丘陵地全体が海風の影響を受けるため,潮風に弱い
アカマツの植林はごく稀である。また,スギ,ヒノキ植林は殆んどみられない。
丘陵下端に立地する集落周辺にはモウソウチクが植栽されている。また早期緑化を目的とした
ニセアカシア植林が局所的にみられる。
5. クロマツ植林
Pε朋s飾配π6θrgεε・Fors£(Tab.7)
半田市はかつてクロマツの植樹が奨励されたことがあり,そのため市内にはクロマツ林が広範
囲にみられる。現在では管理が粗放となり,一見林内は荒廃した相観を呈している。しかし植生
学の立場からみれば二次遷移が進行し,カクレミノ,クロガネモチ,クロバイ,モチノキなどの
潜在自然植生の構成種が復元し始め,立地本来の植生に戻りつつあるといえる(Fig.14)。
半田市内のクロマツ優占林は,二次遷移の進行の程度によって夏緑広葉樹三型と常緑広葉樹三
型の2つの型に分類されるが,本報では常緑広葉樹林型の中でもクロマツの優占度が高く,アラ
カシ,ビナンカズラ,イヌビワ,キヅタ,アオキ,トベラの生育が欠けている林分は,便宜的に
クロマツ植林として扱われている。
クロマツ植林は植生高が8∼14mであるが,20mに達する林分もみられる。階層構造は3∼4
層をとり,高木層あるいは亜高木層にはクロマツが被度・群度2・2∼4・4で生育している。高木層
30
何
懸’》5ツ寒
講
・li篇
回
魁ワr
Fig.14 クロマツ植林の内部。アカメガシワ,ハゼノキなどとともにピサカキ,
サカキなどの常緑広葉樹が生育している(下定光町)。
Innenansicht des P∫ημ∫彦1zz〃め6’一9’ゴーForstes. ImmergrUne Laubb益ume wie E1‘7ツα
ノ砂。ノ∼καundα8ッ81層αノ砂。/zガ。αkommen zusammen mit lichtbed銭rftigen Baume
wie 1眠♂伽∫ブψノ∼∼α6∫und Rんκ5∫・κ684αノ∼8αv・L(Kami−1・k・一Ch・)・
の植被率は30∼80%と幅があるが,亜高木層の植被率はほとんどの植分が80%を超える。亜高木
層および低木層にはピサカキが高い優占度で繁茂しているのが特微である。林内は管理の停止で
荒れた状態となった植分が多い。ピサカキの植被のため草本層の植被率は低く,木本植物の芽生
えが見られるほか,草本植物ではベニシダ,ジャノヒゲなどが散生しているに過ぎない(Fig.15)。
クロマツ植林は種の組合せによりさらに2つの下位群落に区分された。ベニシダ下位群落は,
ベニシダ,チャノキによって区分される。高木層,亜高木層にはアカメガシワ,ハゼノキなどの
陽地生の種のほか,コナラ,カマツカなどの夏緑広葉樹が生育している。モウソウチクやイボタ
ノキ,タブノキなども生育していることから適湿な立地と判定される。
アカマツ下位群落は,アカマツ,ヤブコウジ,ヤツデ,ムラサキシキブ,カミエビ,クサギ,
ネジキによって区分される。高木層,亜高木層にアカマツが混生しているのが特徴である。
クロマツ植林はクロガネモチ,マンリョウ,クスノキなど,クロバイーアラカシ群落とともに
夏緑広葉樹林型クロマツ林(ネジキーコナラ群落)に対する共通区分種をもち,しかもネズミモ
チ,ピサカキ,カクレミノ,シャシャソボ,モチノキなどヤブッバキクラスの種が多く生育する
などクロバイーアラカシ群落と種組成的に近似している。したがって,潜在自然植生はクロバイ
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2 3
2
1
F’ig.15 クロマツ射直林1新面模式図
Vegetationspro負l des I「1〃‘∫痂∼‘〃加’9”一Forstes.
シャシャンボ γαα,∠〃∼’〃π∼〃Uf’θα々〃〃 6 ネズミモチ ㍑gw∫オ〃〃πノ¢ρoノ’∼ビ∼’〃∼
ヒサカキ 君∼〃ッα露ψo〃16α 7 マンリョウ 五ノ’読∫∼αご1でノzα忽
クロマツ P加郡孟1耀ノめ8/9々 8 ハゼノキ Rノ昭5∫∼κc8滅z〃8α
アカメガシワ ム漁♂♂0加5ノ妙0雇6〃5 9 イヌツゲ ∫あん61でノ∼磁α
ナガバジャノヒゲ 0ρ1エ’砂090/zolzτ西1
一アラカシ群落同様,カナメモチーコジイ群集またはそれに類似した群落と考えられる。
6.モウソウチク林
Pん〃πosfαc1あ〃εhεfθroc〃cZαf.ρ麗6εscθπs−Besta無d (Tab,8)
モウソウチクは中園原産のタケであり,葡を食用とする他,材も有用なため全国のヤブツバキ
クラス域に広く植栽されている。半韻市においても小規模ながら山代町,稲荷町,新池町などに
モウソウチク林がみられる(Fig.16)。
32
Tab.8モウソウチク林
昂メZo漁ゾリ,∫ん幽一・り・6♂αf,μめ6溜・∫一Bestand
Aufn.一Nr.: 調査番号
11
1326
325
324
Grδ8e d. Probe飽che(m2): 調査面積
1150
64
400
H6he d. Baulnschicht−1(m): 高木第!層の高さ
8
9
90
90
Lfd. Nr.: 通し番号
Deckung d. Baumsch三cht−1(%): 高木第1層植被率
95
H6he d. Baumschicht−2(m): 高木第2層の高さ
2
3
!4
9
30
Deckung d. Baumschicht−2(%): 高木第2履植被率
H6he d・St「auchschiclユt(m): 低木層の高さ
L5 1
Deckung d. Stfauchsclユicht(弩)= 低木層植下率
5 5
30
H6he d. Krautsch圭cht(m)1 草本層の高さ
0.5 0.6
0.5
Deckung d, Krautschicht(%): 草本1蕾構:破率
10 30
60
Artenzah1: 出現回数
17 18
30
4
KulturpHanze・
栽培種
P乃メ♂05如01り,51Zθ∫6ノー0¢y4αf。μめ8568ノ∼5
モウソウチ.ク Bl
5。5
S
ヤブツバキクラスの種
!・1
●
●
チャノキ S
i+・2
o
●
K
12・2
0
o
2・2
2・2
!・1
●
ド
÷
1・2
A茎!e昇旦・.⊆amellietea laponicae:
7γ∼6α∫ガノ昭ノ∼∫∼∫
1)6η4ノ’oραノ1α諾言ノ・{ガ4μ∫
瓦z’∫ゴαノ‘ψo〃此α
Cか〃z召ノ〃。〃z〃〃3ノζψoノ∼∼‘∼〃ノ∼
カクレミノ B1, B2
S
ヤツデ S
ヤブニツケイ S
K:
Sonstige Arten:
●
,
十・2
i.
十
その他の種
Co〃〃〃.〔ぜカzαご。/2〃〃.z〃π5
ツユクサ
遼ぐ拠y1膚αノz訪{鴛ノ姥ρ01z此α
ヒカゲイノコヅチ
4♪ノエ‘zノ∼‘η∼〃影8α確)8’一α
ムクノキ
K
K
K
K
ωオご∫∫∫ノ∼8〃5∼∫var.ゴ砂・〃1αε
エノキ
S,K
αy・α距αノ召ρoノ.∼かごα
ヤブガラシ
K
Z)∫0∫‘01’8α’0々0’旧0
5・5 5・4
トコロ
1+‡2
i…
i‡
十
!・2
!。2
●
十
●
十
●
●
十
●
十
i+.2
出現1鳳の種AuBerdem je einmal in Laufende Nr.!:C6Zα∫か・∼‘∫o’・∂∼‘・z’♂α甜5ツルウメモドキS1・1,
且zβ‘∼冶ノ’1α∫6α1∼漉〃∫vaL〃∼.αか8∫ヘクソカズラK1・2, 飛56∼‘‘αρω層エ.,’gZ∼‘’〃αトボシガラK!・2, Rεめ♂’∫
/)α1vゲb々z∬ナワシロイチゴK1・2,β∠‘∼伽51)1Zo5αコセンダングサK十・2,0」〔α♂∫5‘,01づ1〃∼ゐ。∫αムラサキカ
タバミ K十・2, ・4ノ〃ク6」砂溶ん御加読.‘ノ∼α’∼α如 ノブドウ K:十・2, Rん♂∬甜ぐαノ。を醒6α /・ゼ’ノキ K十,
君〃〃∼α’6’7∼α‘αカラスビシャクK十, in 2;1)如∫ρy凹々α観カキノキB11・1, アb’51go/z♂〃〃”♂ゲbノ’〃∼8
ミズヒキK!・2,(も,〃05’6〃〃〃αρ御z’ζ4)1Lメ♂∼4〃zアマチャヅルKl!。2, 7》闇∼’θ〃’α6rθ605〃’.耀と〃−αヒメヒオウギ
ズイセン’K十・2,GM)加蝕ε加α∫妙。ノ∼∼ごαミツバK十, OjじαZ15‘o’8/z∫ご∼‘Z‘z’ζτカタバミK十, Mご々αα£8滅レ
78αぐノLセンダンK十, Aた8飯α〃ガb々α彦αミツバアケビK十, in 3:P’π’‘∫〃zz〃∼ゐε’9!∼クロマツB1!。1,
E∼α‘58’「βc彦αイヌビワS十, Hoμ畝4),ノz如60ノ¶‘ぬ’αドクダミKl十・2, /)∫05‘,o’r6αブ昭>o〃∼cαヤマノイモK
十・2,Coごα‘Zz4∫o’『飯6∼4α魏5アオツヅラフジK十, んら・go/zz‘〃z. cz‘5ρ∼6観甜班イタドリK十, Cα”ノごα厚)α
.ノ砂01∼∫(}αムラサキシキブK十,W’5妙∫αプわ1瀞∼〃∼ぬフジK十, Plz♪¢o♂αccαα〃∼ω‘∼α〃∼αヨウシュヤマゴボ
ウK十, GαZ々〃〃砂z〃’∼∼〃πf.∫孟’”go∫∼〃πヤエムグラK十, αβ”o(表η141w∼〃辱ゼぐ1L砿。〃’∼〃〃 クサギK:十,
Gramineae sp.イネ科の一種K十, (h〃’ε〃α.〆¢1>o疵。αヤブツ.バキS十, Ez〃つ∫αノαρo/1∫‘,αピサヵキB2
2・2,S2・3, IZθ必∫獅69ゾαモチノキB2!・1, S 1。2,π召エ1『oオ’〃π如クロガネモチS1・2,ムfgz’5’〃‘〃り4ρωzゴー
α‘ノπ’ネズミモチS1・1,ノレ’読∫観ノ砂。癖。αヤブコウジK!・2, Dノっ♪oμ8プお8ノγ1zノ’o∫01’αベニシダKl 1・2,
飾盈”αプ1zo〃め召αキヅタK!。2,0ρ1∼.∫oρ09『o〃ブ‘4)oノ∼∫α.’∫ジャノヒゲK十・2,1乃’αclz8Zo曜)81q〃㍑.’〃∼α∫∫α彦記’‘〃’
var,加如η〃z8読z‘〃’テイカカズラK十,」%噌∫8α♂1LZ〃めω4∠.タブノキK十,7}’αcんJlごαψ∼∠∫プb1≠♂〃∼8∫シュロK十.
調査地,調査年月日:Fundorte u.1)atum(1981):!:Shinlke−cho親也町(4Juli),2:Inari−cho稲荷町,
3;Yamashlro−cho l−Ll代町宮地(8. Juni)
33
鱗
講灘
薙
麹
撫灘轟
Fig.16 わが国の風土に適したモウソウチク林。食用,用材,立地保全など
有用性が高い(富士ケ丘)。
Physiognom量e eines Bestandes von摩り,〃05∫αζゾzツ∫1z6オ6”oの・cZαf.ノ)zめ8∫c6〃∫
(Fujigaoka 20 rn U. NN).
階層構造は3∼4層となり,高木層にはモウソウチクが高さ8∼14m,被度・難度5・4∼5・5で
優占し,時に常緑樹のカクレミノが混生している。モウソウチク林と結びつく特定の種はみられ
ず,各植分に共通した種も多くないが,亜高木層以下にはチャノキ,カクレミノ,ヤツデ,ヤブ
ニッケイ,ピサカキ,モチノキ,ネズミモチ,ベニシダ,キヅタ,ジャノヒゲなど潜在自然植生
の構成種であるヤブッバキクラスの種群が多数生育している。また草本層には,ツユクサ,ヒヵ
ゲイノコズチ,トボシガラ,ミツバ,ドクダミ,ヤエムグラ,カタバミ,カラスビシャクなど富
栄養立地に生育する林縁や路傍雑草群落,耕作地雑草群落などの構成種群も多く生育しており,
施肥や耕起などの管理の多様性が推測される。
モウソウチク林は葡や桿の採取など人為的管理が行なわれることによって維持されている。し
たがって管理が粗放になれぽ常緑植物が侵入してその生育割合が多くなり,管理が放棄されれば
次第に立地に対応した常緑広葉樹林へと二次的遷移が進行してゆく。
7, ニセアカシア植林
Roわεπεαpsθπdoαoαcεα一Forst(Tab.9)
ニセアカシアは北アメリカ原産のマメ科の落葉高木であるが,砂防用としてよく用いられたの
34
で,現在では全国各地に生育している。半田市におけるニセアカシア植林の植生調査資料は新野
町で得・られた。
階層構造は3層構造をとり,高木融こはニセアカシアが優出しているほか,アカメガシワ,キ
リが混生している。畿内は明るいため低木層にはノイバラ,テリハノイバラ,スイカズラ,サル
トリイバラ,ヘクソカズラなどのほか,クサギやアカメガシワなど林縁植物群落であるノイバラ
クラスやクサギーアカメガシワ群幽の構成種が多数生育している。草本層はケネザサが密生する
ほか,ススキ,オオアレチノギク,セイタカアワダチソウ,ヨモギ,ツユクサ,エゾノギシギシ,
カモジグサなど様々な草本植物が生育している(Fig,17)。
調査されたニセアカシア植林の生育立地は耕作地造成のために切り崩された丘陵地の斜面上部
に位置し,造成後の一時的な緑化の目的で植栽されたものと考えられる。ニセアカシアは窒素固
定をするため貧麗な崩壊地などでもよく生長し,短期間の緑化によく用いられた。しかし,生長
し群落を形成すると,過窒素化によって騒騒素性の雑草のみが繁茂して他の樹木の侵入をなかな
か許さず,遷移の進行を妨げるようになる。実際に,今回調査されたニセアカシア林の三分内に
は,潜在自然植生の構成種である常緑広葉樹はもとより常緑草本離物さえも生育が見出されなか
った。さらにニセアカシアは浅根性であるため強風などにより倒れ易く,立地保全機能はきわめ
鱒
.ぎ.「
醜
1譲轟;羨罫
ル
鳶鑑一茎
婆
騒・
=耀・
臨面懸、
灘紅軍i蕪醜
灘1…
・笹野麟訟繋蝋懸三
灘騰、
Fig.17 ニセアカシア植林。ニセアカシアは窒素固定を行うため林内には
好窒素性植物が繁茂し,遷移が進まない。(新野町海抜60m)
Physiognomie des Roろ々z∫α」ウ∫8μ60αぐα6∫α一FQrstes. In der Krautschicht kommen
zahlreiche nitrophile P員anzen voL (Niino−cho 60 m 廿. NN).
35
Tab.9 ニセアカシア植林
Roδどπ∼1α 〆)∫8ど‘obαCαCごα一月置rst
Lfd. Nr.:
通し番号
1
2
Aufn..Nr.;
調査番号
322
323
Exposit玉on;
方 位
L
S
Neigung (Q):
.傾 斜
Gr68e d. Probe舳che(m2):
調査面積
玉50
75
H6he d. Baumschicht(m):
高木層の高さ
8
70
80
10
10
Deckung d, Baumschicht(%):
高木層植被率
H6he d, Strauchschicht(孤)=
低木層の高さ
Deckung d. Strauchschicht(%)
低木層植被率
3
20
3
20
Hδhe (玉. Klrautschicht (m)=
草本層の高さ
1.2
王)eckung d.王(rautschicht (%);
草本層植被率
95
1
80
Artenzah1;
出現種畜
21
37
K:ulturpHanze:
植栽種
B
4。4
5・4
S
2・2
Roろかη∫αρ∫θ麗滅)α(7αごかα
ニセアカシア
K
Kennarten d. Rosetea multiHorae:
●
1。2
十。2
ノイバラクラスの種
R・∫αノπz4z孟仙ノ幽α
ノイバラ
Ro∫ατef61zz〃・α∫αノzα
テリハノイバラ
S
S
L・厩6ノ躍αブ砂ω∼ゼ。α
スイカズラ
K
2・3
3〃,ガzα露ご痂72α
サルトリイバラ
S
o
十
十
十
K
K
R∼8漉1ゴα ∫6αノZ(ゴθノZ5 var.〃,αカ・6∼
ヘクソカズラ
Sonstige Arten:
その他の種
α81−0漉ノZ4}一〇ノ碕・∫σ1ZO’01脚π
クサギ
S
窟6ガ0扉α5’μ∫ノわプψZ〃∼8∫f./>Zめ6∫(}8/Z∫
ケネザサ
Mガ∫6αη診んz‘5∫∫ノ18/z5f5
ススキ
左1ゴ9ぞゾ・ノz5κ〃励’8π5∠∫
オオアレチノギク
Rμ〃熈・伽∫卿♂∫π∫
エゾノギシギシ
Aノー∫6〃π∫ゴαカノ旧加。4>5
ヨモギ
Co〃〃π読ノzαco〃〃ノ,襯∫∫
ツユクサ
K
K
K
K
K
K
P’8’プ伽〃辺9μ勧zπ〃3vaτ.♂α‘如∫α4Zz‘・ノ’
ワラビ
K:
2・2
1・2
1。2
十・2
2・2
2・2
十・2
1・2
十・2
5・4
1・2
2。2
2・3
!・2
2。2
1。2
1。2
1・2
1・2
1。2
2・2
1・2
1・2
出現1回目種AuBerdem je einmal in Laufende Nr.1=α伽∫∫〃z8/z∫ガ5エノキS十,君9πψyo/zんα〃’(ワ’∫
カモジグサK3・3, Rμ〃3θ」じα‘8加∫αスイバK2。2,0躍αZ廊60ノ‘加α’♂α’αカタバミK1・2, D如κo耀αオ。た01℃
トコロK÷,Bノ書。〃躍∫ブ4ρo雇餌∫スズメノチャヒキK十, M8’彰)♂8」じ廊ノ砂。加‘αガガイモK十, in 2ニ
ハ広α♂♂o’z‘∫ノ砂。/z∫6μ5アカメガシワB1。1, S1・1,姦μ♂oτσ加α’o〃z8/z’05αキリB1・1,み〃.4)θ♂(4)∫∫5678ηゴー
ρ8嘉日α’Zα’αノブドウS十,K:十,趣〃ψ♂ooo5擁加6η5∫5 var, Zα460‘α1ψαf.μ♂05αサワフタギS十, R1置z‘∫
彦1ゼ。んocαノブ)4ヤマウルシS十,アbκア≠痂α8αu”05αvar.♂α8ηf∫カマツカS十, Rん。ゐ漉π4>’oπ々α8〃膿7』ゼ
ヤマツツジS十,%ご。加∫μノπoZ励α〃漉ナツハゼS十,(2z∠8ノー6κ∬87γα‘αコナラS→ト,50♂∫ぬg’oαZ6ガ∬∫ノπα
セイタカアワダチソウK3・3,%砂goπz‘〃〃∼o滅)躍ノ1zオオイヌタデK2・2,&”α7’如ノ溜読αコハコベK2。2,
Coεc∼4Zz岱07層擁。∼{Zαオ郡アオツヅラフジK1・2,」%)♪加Zαc‘αα∼πθ万。απαヨウシュヤマゴボウK!・2, Yo∼’ηgfα
ブ砺)o加。αナニタビラコK2・3, Aoんyαη痂85ノの)o加ごαヒカゲイノコヅチK1・2,穂oZαg2砂oc6プα3タチツ
ボスミレK十・2,(;ノz砂んα”絢πρκ厚)δ〃‘6μ〃zチチコグサモドキK十。2,rb砂ggo/zπ〃zρ81プ∂あα≠π〃zイシミカワ
1(十・2,Ez4)α彦01笠ど∼切zご痂η8/z∫6 var.∫∫〃.4)♂廊る弄b♂∫z6脚ヒヨドリバナK十・2,・E万gθノ弓。παπη酬∫ヒメジョオン
K十,ゐα‘伽‘α加読CαアキノノゲシK十,Rπ伽∫ραノ闇U加Z如5ナワシロイチゴK十.
調査地Fundorte u. Datum=1−2:Niino−cho新野町,海抜60m(8. Juni 1980).
36
て低い。したがって,ニセアカシアは長期的な緑化,立地保全の週的には適しておらず,かつて
盛んに植林されたニセアカシアは今日ではやっかいものとなっている。
d.湿生高木群落 Eτlen・u. Weide・GesellschafteR
丘陵間の低湿地や,ため池の水辺の地下水の高い立地にはハンノキやヤナギ類による高木林や
低木群落が形成される。わが国では北海道地方や長野県などの山地に現存林分が報告されている
が,ヤブッバキクラス域の海岸に近い低地ではきわめて稀にしか現存していない。
半田市内では椎ノ木町にわずか!ケ所ハンノキの幼令林が記録された。またヤナギ林も,上池
にごく小規模の林分がみられるのみである。ハンノキ林は谷戸状の排水不良な湿地や流水辺に生
じ,一般に貧養立地に生育する。一方ヤナギ林は大形の池沼や河川の氾濫原などに生育し,多少
とも富栄養条件下に発達する。
8. ヨシーハンノキ群落
Pゐrαρπεεεsα猷8‘rα距s・4伽κ8ノαpoπεcα一Gesellscka£t(Tab.10)
椎ノ木町の丘陵部の山足部を流れる小水系沿いに復元途上のハンノキ林が帯状にみられた。高
Tab.!0 ヨシーハンノキ群落
習L1一αg〃L∼∫8∫ακ5孟1一α傭.A♂2z∼‘∫ノ曜)oノ∼∼ごα一Gesellschaft
Aufn Nr.調査番号:271 Gr6Be d. ProbeHache調査面積:2×15m Artenzahl出羽白蝦数:20
R6he d. Baumschicht高木層の高さ:7m Deckung d. Baumschicllt高木層植被率190弩
H6he d. Strauchschicht低木層の高さ:2m Deckung d. Strauchschicht低木層植被率:30%
H6he d. Klrautschicht草本層の高さ:Im Deckung d. Klrautsc1ユicht草本層植被率;70%
黙e狸鍵興雄・.9釜鰻§⑳a!ti.群落区分種
・4伽z∬ノ砂。加。α ハンノキ
1Z8必561フ竃α ウメモドキ
80々4αgoα屠∫∫か〃α セイタカ
B5・5
S2・2
S2・2
Arten d. Phragmitetea austrahs:
K十・2
ハ必C1η∫陀9癬ノμ加ノノ’加α‘脚
var.ρoJツ立α‘1zツ∼‘〃ゐアシボソ
Ag1砂ッ1’0π如1〃0ゴ∫ カモジグサ
K2。2
K1・2
五♪ゴZoわ∫2〃ノzゑツ〃宏ゐoZρρノ〃〃〃
ヨシクラスの種
迎〃η9’〃漉e∫αZ醜rα傭ヨシ
アワダチソウ
K十・2
アカバナ
乃P1鵡Zα雄bZ忽 ガマ
K1。2
ぬ8漉1一ゼα∫侃η礁π5
5c〃ψ郡測∫漉π1書α8 アブラガヤ
K:十・2
K!。2
vaL〃∼α力窃 ヘクソカズラ
K十・2
§鱒§聖兜ム篁盤と その他の種
Cαノ’4α〃∼か∼6ガθ」じ‘ω5αタネツケバナ
1(2。2
Ro5α伽ヴα6 ヤマテリハノイバラS 1・2
RαノZ∼〃∼α’/Z’∫CαノZご0πガωZ∫ガ∫
瞼ZJo如5ブ碑)o加。㍑∫ アカメガシワ
S!・1
ケキツネノボタン
K十。2
Cocαぬ∬oノわf6認α診κ∫アオツヅラフジ
S十・2
Aノ癖Z6〃雄ん8∫∫漉 イボクサ
K十
Mo謡α読αη抗8”α ヒメジソ
K十・2
%Z:yg9ω2z〃∼μ01zg∫58’δ‘〃3
イヌタデ
K2・2
%Zッgoππノπ5ガ6ゐ。♂漉ガアキノウナギツカミK十
&ぬ〃Lゐz4う晒ノ躍π ’
コモチマソ不ソグサK:1・2
調査地Fundort:Shiinoki−cho椎ノ木町,調査年月日Datum:3. Juni 1980.
37
木層は7mでハンノキ1種が優閉して生育している。低木層は2mまでで30%の椥被率を有し,
ハンノキのほか,ウメモドキ,ヤマテリハノイバラ,アオツヅラフジ,アカメガシワなど陽地生
の夏緑低木植物が特徴的に生育している。しかし,林内での生育はまばらで,林縁部で植被率は
著しく増加する。草本層は植生高が!mで70%の植被率を有し,ヨシクラスのヨシ,ガマ,アブ
ラガヤ,アキノウナギツカミなどのほかに,コモチマンネングサ,アカバナ,アシボソ,ケキツ
ネノボタソ,ヘクソカズラなどが生育している。とくに流水沿いにはアカバナ,ケキツネノボタ
ンが帯状に分布している(Fig.18)。
この植分は,ハンノキ,ウメモドキを区分種とするほか,ヨシ,ガマ,アブラガヤなどヨシク
ラスの種群で特徴づけられるため,ヨシーハンノキ群落にまとめられた。
ヨシーハンノキ群落は,ヨシクラスの草原群落から森林植生に移行する復元途上の植生で,ハ
ンノキ林に一般に出現する懸隔スゲなどス州郵まみられない。半田市からは,1ケ所の調査資料
が得られただけであるが,現在,放棄される水田が多く,ヨシクラスの植生まで遷移の進んでい
る立地が半田市の各所にみられる。今後,造成など人為的な影響が与えられないかぎり,近い将
来,水田放棄地を中心にハンノキ林が形成される可能性が強い。
ヨシーハソノキ群落の上級単位は,ヨシクラスあるいはノイバラクラスの組成的な:影響が強く,
群落複合体としてまとめられる。
襯出
轟
.塾
面・艦
・疹総麺
豊静
葬’
羅慧
Fig.!8谷戸の小川ぞいに復元しつつあるヨシーハンノキ群落(椎ノ木Ill∫海抜50m)。
Junger Bestand eines Erien−Waides;P1〃τ乙g畠〃漉65α〃∫々冨∼5謡1Z∼∼z‘∫プ砂。ノ∼’6α.Gesellschaft
in einem Tal entlang eines kie1nen Baches(Shiinoki−cho 50 m茸. NN),
38
9. ジャヤナギーアカメヤナギ群集
Sa霊icetum eriocarpo−chaenomelo玉爵s(Tab.11)
池畔や河辺などの水位変動のはげしい水湿地には一般にヤナギ類が生育し,高木∼低木林を形
成する。ヤナギ類は材はもろいが初期生長が早いため,河辺や水辺などの不安定立地をいち早く
占有することができる。
半田市内には多数のため池と,市域を流れる阿久比川の岸部に,ヤナギ林の生育立地がある。
しかし,その残存凝議はきわめて少ない。
上池の池畔に発達途上のジャヤナギ林がみられるQ現存林分は細い帯状で,植生高も7m内外
である。ジャヤナギ(オオシロヤナギ)は高木性のヤナギで枝は散開して折れやすく,十分に生
長すれぽ高さ10∼15mに達する。現在林分内にはアカメヤナギは存在しないがイヌコリヤナギの
他ヤナギ林に多く生ずるコモチマンネングサ,シロバナサクラタデがみられる。林分面積が狭い
ため,周辺からの植物が侵入している。水生植物としてセリ,クサヨシなど,謹厳素性多年生草
本植物としてカモジグサ,ウシハコベ,ギシギシなど,1年生の路傍植物としてツユクサ,ヤエ
ムグラ,ヤブジラミなどが低被度で出現している。これらの隣接植生の種が多いことから,まだ
林分が未発達の状態にあることがわかる(Fig.!動。
Fig.19 ため池の岸部に発達中のジャヤナギーアカメヤナギ群集(上池 海抜18m)
E1nBestanddes Salicetum er玉ocarpo−chaenomeloidis
am Ufer des Te玉ches(Ka組iike l8 m廿. NN)
39
水辺にあってヤナギ林の存在価値は高い。水ぎわの安定性の維持と,水質浄化,池沼生物相の
確保のため,ヤナギ林の育成も今後の緑化行政の中にくみ入れる必要がある。
Tab.11 ジャヤナギーアカメヤナギ群集
Sahcetuln eriocarpo−chaenomeloid呈s
Lfd. Nr.
1
Aufn.一Nr.
272
通し番号
調査番号
H6he d. Baumsch三cht(m)=
高木層の高さ
Deckung d. Baumschicht(%)=
高木層雨樋率
H6he d. Strauchschicht(m):
低木層の高さ
Deckung d. Strauchschicht(%):
低木層植被率
Hδhe d. Krautsch三cht (1n):
草本層の高さ
Deckung(L Krautsch玉cht(%):
草本二六被率
Artenzahl:
出現種数
Kennart d. Ass.:
群集標微種
3α々二じ。々。ごαψα
ジャヤナギ
7
80
100
5
α8
90
20
B
Kennarterユd. Salicetea:
オノエヤナギクラスの種
5α々」じゼノ∼オ89フu
イヌコリヤナギ
S
&盈‘’πゐμあ旋ノマ‘〃∼
コモチマンネングサ
%Zツgo/zμ〃り妙。/zゴ。♂’〃∼
シロバナサクラタデ
ヨシクラスの種
K
K
Arten d. Phragm量tetea;
αノzα〃”zθノαταノzガ。α
セリ
習Lα♂ごz1・ご3απ‘ノz読ノ∼α(}βα
クサヨシ
キショウブ
1プご5カ∫α‘4αω1・z’5
K
K
K
4・4
1・!
4。4
1・2
2・2
1・2
十・2
Arten d. Agropyro−Rulnic三〇n:
カモジグサーギシギシ群団の種
A9γo熱ηリノz為α〃30ゴ∫
カモジグサ K
2・2
3オ〃α1”αα9μα彦∫cα
ウシハコベ K
1・2
R♂〃〃8κノ妙。/zぬ‘∫
ギシギシ K:
十
Arte皇_d二…Artg聖:lsletea princ玉pis:
ヨモギクラスの種
ツユクサ
ヤエムグラ
K
K
7bノ’灘5ゴ妙。/zゴぐα
ヤブジラミ
K:
αツ。ガ〃6∫(ヴα
ツルマメ
M如η惚9々槻励μガ〃ε∼‘〃’var.ρ・Zツ∫彪‘エ1り脚r
アシボソ
50/ゴぬgoθ〃翻∼ノ〃忍
セ.イタカアワダチソウ
Ubr玉ge Arten:
その他の種
Co〃〃〃。廃πα‘70〃〃1zz〃∼∫∫
Gα々μノπψ脚紐ノ〃f.5∫ガgo∫μ〃z
Ro5α〃’読zア。ノ’α
ル6漉1・ガα∫cαノz漉1∼5var.ノノ,αカーθど
ノイバラ
ヘクソカズラ
%砂g’o/z∼‘ノμ擁♂〃z加ノ習∼〆
ミソソハ
30〃ご1耀50♂8,一αCα’5
ノゲシ
アb♂:ygO1㍑〃π∫8麗’ご0∫Z‘〃3
イシミカワ
Eノゴ9θ1ηノz3μ〃’励でノz∫∫∫
オオアレチ/ギク
調査地Fundorte:Kamiike上池
調査i年月日1)atum:(9. Juni 1980)
K
K
K
S
S
K
K
K
K
2。3
!・2
十・2
÷・2
1・2
!・2
!。2
十・2
1・2
十
十
十
40
e.陽生低木林および無縁植物群落(ノイバラクラス他)
Vorwald u. MaRtel−Gesellschaften(Rosetea mul重iflorae u。 a.)
耕作地が放棄されて10数年経過した場所にも生長の早い陽生の低木や小高木が生育し,低木林
が発達する。アカメガシワ,ハゼノキなどが主要な群落構成種である。葡内ではこのような低木
林が各地にみられる。
一方森林が道路や河川・池沼などの開放水域に接する部分には陽生の低木やつる植物によって
独特な植物群落が形成される。この群落は林縁にあって森林内への日光や風などの透入を防ぎ,
森林を庇護する機能をもつことからマント群落といわれている。半田市内にはエビヅル,ノイバ
ラ,ヤマノイモなどが主な構成種となっている。
犯. アカメガシワーハゼノキ群落
伽〃。翻sノαpoπεcπs−1疏πs 8勘ccedαπθα一Gesellschaft(Tab.!2)
耕作畑地が放棄されて5∼6年経過した立地には,暖帯性の夏緑広葉樹の優帰する陽地生先駆
林の生育がみられるようになる。北ニッ坂町,君ケ橋町,南大矢知町から得られた植生調査資料
は,アカメガシワ,ハゼノキを区分種として,アカメガシワーハゼノキ群落にまとめられた。
アカメガシワーハゼノキ群落の初期相では,階層の発達していない2層構造の群落もみられる
が,潜在自然植生の構成種の十分に復元した退行相では,4層構造の群落まで生長する。半田市
内からは,2ないし3層構造の植分の調査高雅1が得られている。高木層は6∼9mで90%の植:被
率を有し,アカメガシワ,ハゼノキが優占するほか,エノキ,ツルウメモドキの生育がみられた。
低木層は,2∼3.5mで35∼80%の植被率を有し,アカメガシワ,ハゼノキのほか,ノイバラ,ス
イカズラ,ヘクソカズラ,ツルウメモドキ,アオツヅラフジなどノイバラクラスの種,さらに潜
在膚然植生に判定されるヤブツバキクラスのネズミモチ,ピサカキ,カクレミノ,ヤツデなどの
生育もみられる。草本層は,0.8∼1mの高さで50∼90%と比較的密生し, トボシガラ,ヨモ
ギ,ヤエムグラ,ツユクサ,セイタカアワダチソウなどヨモギクラスの種群が多く生育している
(Fig 20)o
ア昌昌ガシワーハゼノキ群落は,セイタカアワダチソウ群落,あるいはチガヤーススキ群落な
ど高言の多年生草本植物群落に隣接してみられるほか,高峰町の丘陵地では,山足部にクロバイ
ーアラカシ群落と隣接して生育しているのが確認されている。
アカメガシワーハゼノキ群落の立地は,もと耕作地であったところが多く,林床に石垣や肥料
溜跡のみられたところもある(南大矢知町,亀崎大洞町)。土壌は,ぼう軟で富養化しており,
隣接するクロバイーアラカシ群落の±壌にくらべ,暗褐色を呈している。
アカメガシワーハゼノキ群落は,クサギーアカメガシワ群団にまとめられるが,さらに上級単
位に関しては,まだ比較検討を必要としている。
41
乱
.欝〆
.覧き疑
簿.護
蟻
.ガ
ド
鱗
鞍
雲
糠禦
遍
歴.
藩
・媒
Fig.20 古い耕作放棄地に発達したアカメガシワーハゼノキ群落の内部(新講町)
Im Inneren der M‘〃。’∼’5ノ‘4,0〃∼‘・〃5−R1∼’∬5故買τ4α〃‘ノα・Gesellschaft, die sich auf
alten brachhegenden Aclくern entwickelt(Shlnike−cho 40 m U. NN).
11. エビヅル群落
ア髭ε8 £eεfo麗αvar・ioδαfα”Gesellschaft (Tab.13)
亀崎大一町の農道沿いに,つる植物を主としたマント群落の生育がみられた。この三分は,優
占するエビヅル,ノイバラのほか,ヤマノイモ,アオツヅラフジ,ナワシロイチゴ,ヘクソカズ
ラ,スイカズラなどのつる植物を区分種としてエビヅル群落にまとめられた。
42
エビヅル群落は,植生高!50cm,90%の植被率を占め,群落は1層で構成されている。これは,
つる植物がお互いを支持体として生長しているため,草本層の分離が不明瞭になっているためで
ある。
エビヅル群落は,農道側から帯状に踏跡群落のカゼクサーオオバコ群集や路傍雑草群落のヨモ
ギ群落の次に位置し,さらにメダケ群落に移行している。この帯状分布のパターンは半田市のと
くに住宅難をのぞいた田園景観域にみられ,奥町,三ッ池町,鵜ノ池町などでは,優占種がクズ
やスイカズラあるいはノイバラに置き換えられた幾分も発達している(Fig.21)。
エビヅル群落は,適湿で比較的ぼう軟な土壌上にみられ,道路にそって帯状分布するほか,畑
放棄地にも,セイタカアワダチソウ群落,あるいはユウガギクーヨモギ群集の次の遷移ステージ
としてあらわれることもある。しかし,放棄畑の二次的遷移として生育する植分は生育期間が短
く,2∼3年でアカメガシワー雌鶏ノキ群落に遷移する。
エビヅル群落は,スイカズラーヘクソカズラ群団,トコロークズオーダー,ノイバラクラスに
まとめられる。
Fig.21 林縁に生育するマント群落。クズ,エビヅル,ヤマノイモなどの
つる植物がみられる(亀崎大洞町 海抜43m)。
Lianenreiche Mantel.Gesellschaft mit.ぬ81一αノゼα♂oろα如, V癖∫卿ゲb磁var.
♂oわα孟α,Dゴ05coノでαブ砂。/2κα(Kamezakiohora−cho 43 m廿. NN).
43
Tab,13 エビヅノレ君羊落
V漉∫ガ。ゲ∂々αvar. Zoゐα彦α一Gesellschaft
Aufn・Nr・調査番号二U49, H6he O. Meer海抜高:30m. Gr6Be d. PrGbe儲che調査面積:lx6m.
H6he d. Vegetation植券1三高:ユ50cm. Deckung d. Vegetation椎〔被率:90%, Artenzahl出現種数:12.
Trennarten d. Gesellschaft=群落区分種
五〇2zかご8/uブ妙。π∼侃
スイカズラ
s鱒趣鍵…会填胆三
その他の種
ネザサ
1・2
1・2
琉∫f∫愈の磁var, Z・伽αエビヅル
3。4
π♂oう♂α∫∫ε‘∫読∫々ご1zz45
Ro5αア〃碗解orα
ノイバラ
3・3
vaL 9励6r
D∫0560ノでαノαρ0ノ∼加
ヤマノイモ
1・2
π8ガ。ゐZα伽45∫ど〃。ノ∼∫∫
メダケ
Co6α4♂z450ノー∂∫α4α’z‘∫
アオツヅラフジ
2・2
30々ぬ9’oα痂∬加α
セイタカ
R∠めz‘∫ρα7辺ぴb磁5
ナワシロイチゴ
ヘクソカズラ
1・2
Rz8漉1一∫α∫6αノz漉〃5
1・2
var.〃’αカ「θガ
1・2
アワダチソウ
十
ん覚〃zガ5∼αρプ加ビ砂5
ヨモギ
十
五),go漉ε6〃り妙。πガα4〃’
カニクサ
十・2
調査地Fundort:Kalnesakiohora・cho亀崎大出町,名画年月日1)atum=4. Juli 1980.
f.草原植物群落(ススキクラス)
Wisen−Gese1蓋schafもen(Miscantlletea si筑ensis)
本来森林が発達すべき立地でありながら人間による干渉,すなわち刈取り,火入れ,晶晶など
の人為的影響によって草原が形成される。半田甫内には家畜の放牧地は存在しないため,大規模
な草地はみられない。草原として存続する二分は路傍,空地,耕作放棄後数年経過した畑地,よ
く手入れされた公園の芝地などに断片的に存在するのみである。また造成後5∼6年経過した海
岸の埋立地の一部にもチガヤの草原が広がっている。
半田市内の草原はススキ,チガヤ,シバなどの代表的な草本植物で構成される。しかし局所的
にメリケンカルカヤが優占することは関東地方などではあまりみられない現象である。メリケン
カルカヤは主として貧養立地に繁茂する傾向がある。
控. チガヤーススキ群落
加Pθrα加。〃Zε認rεcαvar.ゐ。θ吻ε‘・照8cαπ漉πs 8επθπsεs−Gese董lsc厨も(Tab.14)
半田市の丘陵地を中心とした田園景観域で,路傍あるいは,耕作畑地が放棄されて3∼4年を
経た立地には,ススキやチガヤなど多年生の高茎草本植物の生育がみられる。これらの植分は,
ススキ,チガヤ,アオカモジグサ,ヤブマメを区分種としてチガヤーススキ群落にまとめられた。
チガヤーススキ群落は,60∼170cmの植生高を有し,90∼100%の植被率で密にススキ,チガヤ,
トダシバなど高茎の草本植物が生育するため,.、日射取得において不利な低茎のツユクサ,ヤハズ
ソウ,ネコハギなどは,わずかの下船で活力度も低く生育するに過ぎない。
チガヤーススキ群落の立地は,他の2つのススキ群団の植生にくらべ,もっとも富栄養で適潤
を指標し,ヨモギクラスの立地に近い性質を示す。また組成的にも,ヤブマメ,ヨモギ,ヒナタ
44
イノコズチなどヨモギクラスの種群の生奮がみられる。
チガヤーススキ群落は,タヌキマメ,ツクシハギで区分されるタヌキマメ下位群落と特別な区
分種を持たない典型下位群落に区分される。タヌキマメ下位群落は松掘町松掘池の中島のやや湿
潤で貧栄養な立地に生育が確認されている。ナンバンギセル,ワレモコウ,アキノキリンソウ,
トダシバなどススキクラスの種群が多く,比較的安定した持続群落を形成している。一方,典型
下位群落は,ススキの優占によって特徴づけられるススキファシスで,丘陵地の田園景観域に一
般にみられるススキ草原である。人為的な影響により,造成地や放棄畑に二次的に発達すること
が多い。長期間にわたって持続する群落ではなく,遷移の途中相として出現するため,ススキク
ラスの種群の増加をみないまま,クサギーアカメガシワ群団の低木群落に遷移することが多い。
チガヤーススキ群落は,ススキ群団,ススキオーダー,ススキクラスにまとめられるQ
13. チチコゲサモドキーメりケンカルカヤ群落
θπαP1εαZε配配P㏄}アπrεπηL−4π4ropogoπoかgεπεcπs−Gesel玉scha負(Tab.14B)
柊町の宅地造成地と十三塚田∫の水田放棄地から,ネジバナ,チチコグサモドキを区分種とする
チチコグサモドキーメリケンカルカや群落の植生調査資料が得られた。チチコグサモドキーメリ
ケソカルカや群落は50∼80cmの高さで,80∼90%の比較的高い植被率を有する。群落の構成種
群は,メリケンカルカヤが優占することもあるが,他にもヨモギ,ススキ,トダシバといったス
スキクラスあるいはヨモギクラスの高茎の草本植物が生育している。また,チチコグサモドキ,
セイタカアワダチソウ,ヒメコバソソウ,ニワゼキショウ,メリケンカルカヤなどの帰化植物も
多い。
チチコグサモドキーメリケソカルヵや群落の立地は,有機質を多く含む表層土がはぎとられた
あとの貧栄養な比較的湿性な土壌母材上であることが多い。したがって立地条件の似る貧栄養な
ため池の岸部にもみられることもある。同様にやや貧養立地で自然湧水により湿潤にたもたれて
いる椎ノ木町の造成地では,トラノハナヒゲ,ミミカキグサ,コモウセンゴケ,コウガイゼキシ
ョウなど比較的まれな草本植物が伴生している。
チチコグサモドキーメリケンカルヵや群落は,ススキ群団,ススキオーダー,ススキクラスに
まとめられる。
14. ヒメコバンソウーシバ群落
Br甜αη己επor−Zo〃8εαノαpoηεcα一Gesellschaft(Tab.14A)
比較的人の往来の少ない小道,あるいは農道上にシバの優占する草丈が10∼15cmの高さの路
上雑草群落がみられる。この群落は,シバ,ヒメコバソソウを区分種としてヒメコバンソウーシ
バ群落にまとめられた。ヒメコバソソゥーシバ群落は,踏圧という人為的影響下に発達する植生
であるが,踏圧の著るしくなる往来の頻繁な住宅密集域にはまれである。そのような立地は,カ
45
ゼクサーオオバコ群集の生育域あるいは裸地になっているのが普通である。したがってヒメコバ
ンソウーシバ群落は,田園景観域という適度な人為的影響の与えられる地域にとくに結びついて
生育分布する。ヒメコバンソウーシバ群落には,ほかにヤハズソウ,スズメノヤリ,ニワゼキシ
ョウ,ヌカボ,オオバコ,ネコハギなど叢生や糊劒性の生育形をもち,踏圧に対して抵抗力のあ
る種群が多く生育する。しかし,さらに二三の影響が強くなるとカゼクサーオオバコ群集へ,逆
に二三が弱まるとより高茎のススキクラスあるいはヨモギクラスの植生へ時間的には遷移,空間
的には成層的に移行あるいは隣接する。
ヒメコバンソウーシバ群落はシバ群団,シバスゲオーダー,さらにススキクラスにまとめられ
る。
15. ネジバナーチガヤ群落
3ρεrαπ餓θssεπθπ8εs.1ηψθrαオαc〃Z加(かεcαvar.ん。θπεgεε.Gese璽lsc1秘aft(Tab.15)
海岸埋立地の植生遷移は,ほかの地域と同様に,1年生草本植物から多年生草本植物へと移り
変る。埋立地の土壌は一般に植物には不適当な栄養状態と土性をもっており,植生の遷移は比較
的遅い。しぼしぽ埋立地の多年生植物群落はチガヤが優占種となっている。
ネジバナーチガヤ群落はネジバナ,イグサ,ノコンギクなどによって区分されるチガヤ草原の
一群落である。チガヤが優占する中でネジバナの淡桃色の花が美しい。出現種は!9種内外である。
ネジバナーチガヤ群落は1年生草本植物群落のイヌタデーイヌビエ群落,多年生広葉草本植物
群落のシロツメクサーヨモギ群落をへて形成される。チガヤは古い埋立地では普遍的に生じ,刈
取りなどで二次草原として持続する場合が多い。
ネジバナーチガヤ群落はこのまま放置されれぽススキ,ネコハギなどの生育がまし,ススキ草
原に発達するものと考えられる。
16。 オオジシバリーチガや群落
ム:θrεs(ぎe6ε麗8・乃πρθrαfαc〃’επdrεcαvar.た。θηεgεε一Gesellsc賑aft(Tab.16)
埋立地において,山砂が堆積されながら,排水が不良なため,降雨の際には常に湛水し,しか
も植生遷移が進んだ場所に,オオジシバリーチガや群落が生育する。群落区:分種にはオオジシバ
リ,スギナ,イタドリ,ヤハズソウなどがあげられる。全般的にチガヤは1∼2の被度でまんべ
んなく生育し,ススキ,ヌカボなどの多年草本植物も生じている。同時にイヌビエ,メヒシバ,
ホウキギクなどの1年生草本植物も高い常在度で出現している。
群落区分種のオオジシバリは,水田の畦や河辺に生育し,水位変動の影響を受けながら常に適
潤な土壌上にみられる。海岸埋立地では比較的まれで,まだこの群落についての報告がみられな
い○
オオジシバリーチガや群落は立地の乾燥化によって徐々にチガヤ草原に遷移が進行する。
46
下位群落としてはヒエガエリ下位群落とメリケンカルカヤ下位群落が区分された。前老は後者
に対し,より遷移初期の群落といえる。
Tab.15 ネジバナーチガヤ群落
彫》ガノ・αノz〃zθ∫∫∫アz8π5ゼ∫一痂ψ8ノ・αオα¢yZ加訪一廊αvar.々。θノz∫g’ゼーGesellschaft
Lfd. Nr。:
通 し番号
1 2 3
Aufn..Nr.=
調査番号
調査面積
216 214 215
Gr68e d. Probeflache(m2):
H6he d. Vegetation(cm):
6 9 9
植 生 高
全植被率
出現種数
Deckung d. Vegetation(%):
Artenzahl:
40 40 40
80 75 80
三5 19 19
Trennarten d. Gesellschaft=
群落区分種
i
助ガノ層αノz〃∼θ∫∫∫ノ∼6/z∫ガ5
ネジバナ
i2.2
」銘ηα‘∫励・5π5var.砒ψガ8/Z∫
イグサ
A5彦ω旧α98π乙’0読5 var,・ηα顔∫
ノコンギク
Arten d. Miscanthetea sinensis:
ススキクラスの種
i
乃妙87書磁6ツ伽漉噂加var.々・8ηfgガ
チガヤ
4。4
4・4
2・2
A2πわ’砂ogoητタカ9〃∼ゴごπ∫
メリケンカルカヤ
ヌカボ
1。2
1・2
3。3
1・2
1・2
●
十
o
十
●
・49?’・5オお四一αvar.η麗だαδ0
銑∫0ろ♂α伽∫読’5’勲z4∫var. gZα68ノー
ネザサ
磁’∫‘αη’んπ5∫〃∼{3ノ∼∫∫5
ススキ
ネコハギ
五θゆ6漉παがZo∫α
i+.2
i..2
●
o
■
2・2 2・3
十・2 十。2
十 十
1・2
●
随伴種
Begleiter:
E(μガ∫6彦κノπα7・辺8η∫θ
スギナ
2・2
2・2
3。3
ん’∫8〃zガ5∫α少ノ’∫ノ∼ご8ρ5
ヨモギ
1・2
2・2
2・2
εo距ぬgoαZ彦∫∬∫〃∼α
セイタカアワダチソウ
2・2
1・2
1・2
B1・詑αノノz〃z∫〃3α
ヒメコノミンソウ
十・2
1。2
7う’の々瑚診プ(ψ8π5
シロツメクサ
ヤハズエンドウ
4・4
2・3
v痂ααηgκ∫’グbZ∫α
&zg¶〃∼αブ砂。η∫cα
十・2
9
●
●
1。2
Bノ=yz〃πω9θη’甜〃z
ツメクサ
ギソゴケ
q塑6η‘5プ。’z〃z伽∫
ハマスゲ
■
十
Kτ〃ノZノ〃εrOη∫ζZ∫〃・∫α孟α
ヤハズソウ
o
十
十
G刀妙ゐα頗4〃z51y加磁∫6観π
タチチチコグサ
●
十
十
出現1回の種AuBerdem le einmal in Aufn. Nr.
1:Agノ’の)ツノ層。π々αノπ(ワ’f カモジグサ
十,A∫妙’5∼めμZα伽∫ ホウキギク 十,
in 2=Ezψα’02’如〃・cん〃z8η5θvar.珈ψ♂∫cびbZ加〃
ヒヨドリバナ 十,
in 3:08ノこ。’118’u 81γん740∫8ραZα オ’オマツヨイ
十,αッC加85の’α ツルマメ 十,
ム。加ce/8αノ忽)o加。α スイカズラ
十,・酵。ガ∫ゴ砺>o曜。α コオゾリナ 十,
08ηo功θプα♂α‘∫2短α孟α コ・マツヨイ(十).
調査地Lage d. Aufn.:1−3. Handafuto半田埠頭(3. Juli 1980).
十
●
〇
十・2
十・2
十。2
十
47
Tab.16 オオジシバリーチガや群落
Zτ8プゴ5漉う漉5−1>7ψθプα’αの痘刀諭一記αvar.ん。θπ∫gルGesellschaft
a.
ヒエガエリ下位群落 Unterelnheit VOn%♂塑090ημ9礁
b。
メリケンカルカヤ下位群落 Untereinheit voa A7zみ砂ogo2zηf7弓9謝。!‘5
Lfd..Nr.:
{ a
i
通 し 門 叫
1 2
Auf且. Nr.;
調
査
番
号
王)atum d. Aufn。(1980)=
調
査
月
Gr6Be d. Probefl註che(m2):
調
査
H6he d. Vegetation(cm):
植
Deckung d. Vegetation(%)
Artenzahl二
b
3 4 5 6
256 241
255 254 240 236
日
7/37/23
7/3 7/3 7/3 7/3
積
9 6
2 6 4 25
生
高
25 30
30 20 30 100
全
植 被
率
20 30
40 30 20 30
出
現 種
数
13 17
/7 17 18 20
Trennarten d. Gesellschaft:
群落区分種
鳶θアゴ∫通う漉∫
オオジシバリ
2●2 2・2 1●2 十・2 2・3 十・2
Egμゴ∫θ伽ηZα7’η67置5θ
スギナ
1・2 2・2 1・2
1・2 1・2十・2
Pb触0ππη30π5μ4α砲ノη
イタドリ
1・! 1・22・2
1・2 1・2 ・
K伽L規8ro麗α∫〃一ゴα’α
Trennarten d. Untereinheit:
ヤハズソウ
下位群落区分種
Pb♂砂090πノを49αエ
ヒエガエリ
.A7一孟8ノ加∫fα1)プfηα厚)5
ヨモギ
・ 十 十
十 十 十・2
す ヌ
{十●2 十●2 1・2 1●21 ●
●
ぼ
i+。2 ・ 十。2十。2: ・
●
軋一凶一一一幽π一一r一冒πππ耐門ππ嗣“囮伺一一一画
Trennarte且d, Untereinheit:
3・Zfぬ9・αzオ2∬加α
1一 一 一 阿 一 一 而 一 一 一 旧 価 h1
セイタカアワダチソウ
●
Aη4♪喧ρ1>090η魎ア9加fごZ‘5
メリケソカルカヤ
●
Arten d. Miscanthetea sinensis:
ススキクラスの種
乃ノ4・θア弓伽‘メ加伽0αvar.ん08ηガ9琵
チガヤ
2●2 2●2 1・2 2.3 1●2 1●2
ハ痂∫ごαη彦加∫5魏θη∫∫5
1・2 2・2十・2十・2 1・2 ・
Agブ0漉5‘伽α’αvar.ημ々αゐ・
ススキ
ヌカボ
Begleiter:
随 伴 種
十
の
・ }十 2・21
1 i
●
■
・1十・21・2i
.i
十 十●2 !92 →一●2 十。2 1・2
互。ゐ伽ご配0αC駕一9αZ♂fvar.ρ・’α彦∫60Zα
イヌビエ
十●2 十・2 十●2 十●2 十。2 十.2
D∫9加州α盈εη漉η5
ず
メヒシバ
十・2十・2
A5’θr 5μ伽zα灘5
ホウキギク
●
●
1・2
1gl 1●2 1。2 ●
●
十・2十・2 1。1十・2
君プゴ9θroηごαηα6あπ5f5
ヒメムカシヨモギ
E7』∫98プ。η5z切zαカ‘θ2z5ゴ∫
オオアレチノギク
●
。AZOφ8‘μrμ∫α89μα距5
スズメノテッポウ
十・2
Gηoρゐαたπηzφπ8
ハハコグサ
0
0θηo功8rαZα6∫2加∫α
コマツヨイ
50η‘伽∫oZ6rα66μ∫
/ゲシ
A5オ7’α9蜘55∫η加∫
ゲンゲ
i
1●2 十●2 1・2 十・2
十。2 十●2 1●1 2・2
十
●
十
●
十・2
十
●
十
十
十。2 十
●
〇
9
十
十
の
〇
●
十
●
●
■
1・1
●
十
十
●
●
出現1回の種AuBerdem le einmal in Aufn. Nr.2. Bo彦んガ。ゆθ14/7zπ2π‘62∼θ♂1z乙2πハナイバナ1・2,
αッσ加8αc麗轍)2闇αムツオレグサ 十, K㎡力罵プ露ρ加ηの哲ぬユウガギク 十, 魚3:.Fbりgoπτ槻
ρθげb♂∫α旗ηzイシミカワ十,in 4:Gり。加85(ワ’αツルマメ十, in 6:Co〃〃πε♂珈αco〃zη3κπ∫5ツユクサ
+・2,Lo謀㍑η1η耀Z6解bプπ纏ネズミムギ十, Z沼契>8漉之αρfZo£αネコハギ+, Gπ砂ゐα屍z6〃z 5メuα廊。π7π
タチチチコグサ十・2,Gπ妙んα♂加πブ砂。加。πη3チチコグサ十.
調査地Fund・rte:1∼6 Handafuto半田埠頭.
48
9.湿生草原植物群落(ヨシクラス)
R6h欝icht・GeseUschaften(P hragmitetea)
半田市の市域々こは低丘陵地間の谷部にきわめて多数のため池が分布している。ため池の岸部に
は水湿地の草本植物が生育するが,灌概にともなう水位の変動の程度によって植生の発達程度も
異なる。大部分のため池の岸部は丈の高いヨシ草原でおおわれている。ため池のヨシ群落は周辺
部からの栄養塩類が多い場合は,群落内に好窒素性草本植物が侵入,生育する。また水田耕作を
停止した場合にも数年後にはヨシ群落となり,ため池の富栄養立地と同様の湿生草本植物群落が
形成される○
一方,排水不良な海岸埋立地の一部には現在一面にヨシ草原が生育している。局所的にはヨシ,
ガマ類,フトイなどさまざまな抽水植物群落が水位と水質の差に対応しながら発達している。
1ア. ヨシ群落
p1げασ昌昌θ8απsかαεε8−Gesellschaf毛(Tab.17A)
埋立地の土砂の堆積は一般に排水を考慮していないため,降雨のたびにヒく水たまり”が出現し
ている。ヨシやヒメガマなどの風散布植物はいち早く侵入して生育地を確課し,その後の立地の
乾燥化にも二三をもっている。また,塩分濃度に舛してもある程度までの耐性をもっている。
ヨシ群落はヨシ1種で構i成される群落で,ヨシが密生し,高さ2m内外に達する。水位は30∼
1凝謹麹難灘烈彪
Fig.22一面ヨシ草原:でおおわれた海岸埋:立地(中億田町)
Weithi垣st auf den Landgewinnungs鉱chen R6hτicht entstanden.
49
磯甕畿蕪
講馨
灘1
「灘
Fig.23 ため池の岸部に発達するヨシ群落(横川池)
Gut entwickeltes R6hric}}t am Ufer eines Teiches(Teich Yokogawa).
50cm内外である。ヨシが単純な種組成で密集する場合は水深が20∼40cmと浅く,しかも水質が
過窒素化の影響を強く受けていることの指標となっている(Fig.22)。
ヨシの優占群落はため池にもみられ,西郷ケ池,七本青池,十三塚町,億田町の植生調査資料
も群落表にくみこまれている(Fig.23)。
18. コウキヤガラ群落:
Scεゆ麗ε」ρ」απεcωZ配ε8−Gesellschaft (Tab.17B)
コウキヤガラは高さ90内外のカヤツリグサ科植物であり,河口付近のわずかに塩分を含有する
水質条件下に生育し,しばしぼヨシと混生する。底質は泥質である。
四. ガマ群落
丁〃Pゐαεα‘εfo’εα一Gesellscha貴(Tab.17C)
ガマは高さ1.5∼!.8mに達する水生植物で,しぼしぼ池沼の岸部に大群落を形成する。海岸埋
立地には比較的少なく,半田埠頭の排水不良な立地の一部に小群落を形成している。
20. マコモ群落
Zε2απεαεαfザ。屍α・Gese茎lsc紮aft(Tab.17D)
マコモは沖積地の大型の沼や河口付近の水辺に生育し,大群落となる。半田市内では池田町大
50
池に1回分が記録された。マコモ群落は埋立地に生育することは稀であるが,ここに比較のため
に群落表にくみこまれている。植生高は120cmであるが,ときに2mを超える場合がある。
21. ヒメガマ群落
丁〃pんααπg麗8彦α彦α一Gesellschaft(Tab.17E)
ヒメガマ群落はガマと同属の高茎抽水植物群落である。ガマが内陸の池沼に分布するのと対照
的に,ヒメガマは沿海の低湿地に分布している。海岸の埋立地など,まだ残留塩分のある湿地にも
生育し,ヨシとともセこ150∼170cm内外の抽水植物群落を形成する。水深は10∼30cmと比較的深い。
ヒメガマは,ヨシ,フトイなどとともに埋立地や河口などの富栄養立地で,しかも湛水条件下
にある場合でも優占種となりうる数少ない植物の一つである。
22. フトイ群落
Scε疋pπs紬bεrπαθmo漉απε.Gesellschaft(Tab.17F)
ヒメガマ群落に接し,水深が1∼10Cm内外の湿地にフトイが生育している。フトイはヒメガ
マと同程度の高さをもち,団塊状に生育する。桿は軟弱なため,風旧地や水波の影響下では生育
できない。半田埠頭の一角でみられたが一般に海岸埋立地にはあまり出現しない群落である。
23.オオアレチノギクーヨシ群落
E吻εroπs駕〃‘αかθπ8ごs−mrαρ配甜θsαπ8frα」εs・GesellscLaft(Tab,17G)
埋立地の中でかつては水湿地であり,ヨシが繁茂していたが,その後土壌の乾燥化や,火入れ
などの人為的影響によって湛水が殆んどみられない植分が存在する。現在なおヨシが密生してい
るが,群落内にはオオアレチノギク,ネジバナ,ヒメムカシヨモギなどの空地雑草や,埋立地に
多いホウキギク,ヒエガエリなども生育している。
オオアレチノギクー・ヨシ群落は椙観的にヨシ湿原ではあるが,低湿地生の本来のヨシ群落とは
性質を異にするものである。
24. アシカキ群落
五eθr8εαノαpoπεcα一Gesellschaft(Tab.18)
アシカキはイネ科の多年生草本植物であり,湖沼や,河辺などの水湿地に群落を形成する。
松堀池の一角,および南ニッ坂町の水湿地にアシカキの優占植分が調査された。アシカキ群落
は15∼20cmの高さで水際をおおうが,ヨシと混生する場合は植生高も高くなる。出現種数は2
∼3種と少なく,一般に単純な種組成をもつ。
アシカキの生育地の土壌は比較的ち密でかたく,水位の変動を受け易い。河辺の粘土の堆積し
た砂礫地にもしぼしぼ群落を形成することがある。
Tab.17湿生草原植物群落一1 Rδhricht・Gesellschaξten−1
A=ヨシ群落勘rα9’ηf’8∫βπ5’雇f5・Geseilschaft, B:コウキヤガラ群落&fψ’‘∫ρ!α加。寵η∼∫5−Gesellschaft, C:ガマ群落恥加1α∫ヴbだα・Gesellschaft, D:マコモ群落Zfπαηfσ如∫ケb’fロ・Gesdl−
schaft, E:ヒメガマ群落7M》1ぬαη9μ∫’4故・Gesellschaf亡, F:フトイ群落&’ガ》μ∫‘αう8rηαθ’ηoη如ηf−GeseUsch鎮ft, G:オオアレチノギクーヨシ群落Erfg8roη∫1‘2ηα‘泥η5f∫・Pゐrσ9ノηf’85απ5’ハ薩1f∫一
Gesellschaft,
Spahe=
Lfd. Nr.:
Feld.・Nr.:
Wassertlefe(cm):
Grδβe d. Probenache(m2):
H6he d, Vegetatlon(cm):
B
C
D
8
9
10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
150 159 160 161 93 171 83
213
156
15
157 158 233 88 155 151 154 152 153 164 163 162
4G 22 20 15 3 3 8
4
12
25 25 16 16 4 8 9
2
90
6
群落区分
A
通 し 番 号
1 2 3 4 5 6 7
調麿 番 号
水 深
調嶽面積
植 生 高
130 170 180 180 220 170 180
70
1駒
70
Deckung d. Vcgetation(%):
全冊被孫く
Artenzahl=
謝現種数
Trennarten d. Gese}lschaften:
群落区分種
3f∼ψπ∫ρ∼βηノ‘マご∼”∼’∫
ロウキヤガラ
短1置α」αの勉Z∼α
ガマ
● o o ● ・ ● ● ●
〃9α刀ゴα∼α’ヴb1ノα
¶マコモ
●
加8/w’α5α〉・α川κα
サヤヌカグサ
● ● ●
台臨αα〃gz‘∫如’α
ヒメガマ
● ●
5ヒ∼’ア’‘∫!α加”〃駕〃」0〃如癖
フトイ
● 9 ● o ● ● o . ● ●
Eプ’9σ’w’5κ’〃α’砂謬5’5
オオアレチノギク
● ● .
勘∫ノ㍑ノ∼〃rβ55’〃θ〃∫∼∫
ネジバナ
o o o ● ● ● ● . ● o
1ヨプ’9θノ’o〃αz”α飽ノ’∫ノ∫
ヒ、メムカシヨモギ
o ● ●
30ノ∼(ヲ∼τ躍01βノτ∼‘82’∫
ノゲシ
o ・ o ●
Kennart d. Phragrnitetea:
70 100 95 1〔}0 95 90 100
2
1 1 1 1 1 1 3
14・4{
● ● ● ● ● ■
o
£ F G
20 28 10 2 10 3 4 − 1 一 一 一
6
120
90
3
2
二 0
86444166162025254
170 170 130 120 130 130 130 130 150 160 170 150
9G 80 80 60 80 80 70 50 70 95 100 95
2287346575710
o o ● ● 9 ● ■ o , ● ◎ ● ●
1塾
o
・ ● ● ●
5・5
十・2
● o ● o ●
・ ● o ・ ● σ , ● ● o
● ● ● o ●
十
● 9
● ● , ● ● ●
● ・ 1.3●3 2。2 4・4 3●3 4。41 ●
● ● ● ● ● ● ● ● ● o
● ● o
■ ●
■ ● ・
● ● 9
十
〇
● o ● ● ● ● ● ● ● ・ .
● ● ● ● ● o ● ● ● o ● ・
●
・
● ● o
1・2 2・3 2●3
十 十 十
十。2 1。2 ・
・ 十 十
ヨシクラスの種
1ヲ〃ug〃∼”げ∫α”∫ケρ1f∫
ヨシ
Begle三ter;
随伴種
4。4 5。5 505 5・5 5。5 5●5 5・5 五・2 4。4 1・2 2。2 2・3 5・5 4・4 3・3 4・4 1・2 。 1●2 5・5 5・5 5・5
o ● o ・ ●
十・2
● ● ● ● o
●
A∫’8,・∫,め〃α’∼ご∫
ホウキギク
● o
%触)090〃1を‘943
ヒエガエリ
● ● ● ● o ・
1∼κ〃∼8忽ノ妙07’∼‘エ∼’5
ギシギシ
● ● ● o . 9
●
・ ・ ,
乃ノψ8’η’αり,z’ノ’謝‘αvar,ゐ・8ノ∼∼9ガ
チガヤ
● o ● 9 ● .
十・2
● ● o ● ● ● o
50〃吻goζ∼1’∫∬’〃∼α
曜
。 。 O I5●5 4・4 1・2 十●21 ・
o o ・
● ■ o
● ● o ● ● g o
セイタカアワダチソウ
● o ●
● ● ● ● . ,
●
十
0
● ● ●
o o
1・2
十
●
■ , ・
■
1●2 1。2 3・3 2●2 2●3
o
2・3 2・2
十・2 1。2
・ 十●2 十●2 十。2 。
十 十
●
1・2
● o
■ ●
●
● ●
●
o ・
十 ・
o
・ 切
●
9
● o
盛縦割圓の極AuBerdem le einmal in Lfd. Nr,13.万g’ごゴ∫8‘κ〃‘α’甥’∼∫βスギナ十・2,(汐喫’畠’‘5確∬br〃謬’5タマガヤツリ十。2,(ら少8r”5〃∼’びofr’αカヤツリグサ十, qyPθ7’μ5∫α7rg編ηo!βηごμ∫
カワラスガナ十,」しτor’5飽ゐ’”∫オオジシバリ十, in工4. n〃ψr’∫‘)・”∬ゴ8δoZ幽イソヤマテンツキ1・2,&」ψ昭ρro∫〃郎召タカサブμウ十,!15‘θ”かψo”π濯ウラギク十, in 19. C乃8πc4)o漉㍑〃‘
91α’‘α‘〃8ウラジロアカザ十,in 22. A2勿〃∼f∫忽ρr加‘6ψ5ヨモギ2。2,0βηα2∼‘舵1配ゴηf配αコマツヨイ十r2・
調査地および調査年月日Fundorte u. Datum=2−4,8,9,11,12,15−221 Hafen Handa半田埠頭(3, Juli),13 u・14・:Kawasak三seitetsu川鉄(30・Sept・), ll Nishiumagaike西∠Fケ池(8・
Juni),5Hichihongi三ke七本木池(2. Okt.),6Jusanzuka・cho十三塚町(3.」ロni),70kuda・cho億田町(4」騰li),101keda・cho, Ooike池田町大池(5・Juli)・
団
52
Tab.18 アシカキ群落
Lθ8プ∫ガαノ砂。ηゼ。α一Gesellschaft
Lfd. Nr.=
Au魚..Nr.=
Datum d。 Aufn.:
H6he且, Meer(m):
Gr6Be d. ProbeHache(m2):
H6he d. Vegetation(cm):
Deckung d. Vegetat1Qn(%):
Artenzah互:
通 し 番
調 査 番
調 査 月
海 抜
調 査 面
植 生
全 植 被
出 現 種
Trennart d. Gesellschaft:
Lθθブ5fαノ妙。航α
号
1 2 3
号
24 166 165
日
10/1 10/1 10/!
高
一 20 30
積
4 6 4
高
30 40 15
率
95 80 40
数
2 2 3
群落区分種 i
Klen且art d. Phragmitetea:
アシカキ 5。4 5・4 3・4
ヨシクラスの種
飢ブα9〃諺85磁∫甜α〃∫
ヨシ ・ 1・2 十
Begユe三ter=
随伴種 i
Pbりgoη瑚z 5ゴ8ゐ。♂磁
アキノウナギツカミ il.2 . .
%り90駕〃Zη0405Z‘〃呂
材イ。タデ i..+
調査地Fundorte:1:Teich Matsuborl松堀池,
2,3:Minami−futatsuzaka−cho南ニツ坂町.
群落単位の所属はヨシクラスである。
25, イシミカワー一iヨシ群落
Po互〃ρoπ珈πpθrfoZεα‘μη己一P1εrαgη霧髭θ8α配sオrα配s・Gesellschaft(Tab.19A)
ため池の周辺,とくに上流側の岸部は上方から流下する泥土が堆積して水位が浅くなり,ヨシ
草原が発達する。ヨシは低層湿原の最も代表的な植物で常に優占種となり,とくに富栄養立地で
繁茂がいちじるしい。
ヨシの優占群落はすでに扱かわれたが,イシミカワーーヨシ群落はヨシ群落内にタデ科の半蔓性
植物であるイシミカワが生育することで特に区分された。群落構成種はきわめて少なく,アメリ
カセンダングサ,オオイヌタデなどの好窒素性の高茎1年生草本植物がみられる(Fig,24)。
イシミカワーヨシ群落の生育立地は,灌灘こよる水位変動と同時に,上方よりの栄養塩類の供
給を受けることで特徴的である。生育地は横川池,西午ケ池で記録されたが,市域の大部分のた
め池のヨシ群落はこの群落に含められる。
26. ミゾソバーヨシ群落
PoJ〃σoππ7π置ゐ麗πbθrgεε一Pゐrα⊆7ηε髭θ8απsεrα髭s鱒GeseHschaft(Tab.19B)
水田耕作地が,耕作を停止された場合に,それまで侵入をおさえられていた雑草が一時的に繁
茂しはじめる。水田が耕作放棄後も湛水状態にある場合には,ヨシの侵入も早い。
水田放棄地のミゾソバーヨシ群落は,一般に耕作停止4∼5年後に生ずる群落であり,水田に
53
ズ
溜轡
琴
蟹、
鍼
鷲緩羅
.鋤
轟畜考灘
曳・
鯉翫
灘鰹糊欝鞭
Fig.24 過窒素化のため,イシミカワの侵入をうけているイシミカワー
ヨシ群落(横川池 海抜20m)o
Poらgo/z’‘〃露ρ8ノプb々αオ∼‘〃z−IP11’噂αgη漉8∫αε醜ノ堀∫∫一Gesellschaft am
eutroph童ertem Gewasser(Yokokawaike 20 m琶. NN).
残溜する栄養塩類量によって,ミゾソバ,ヒメジソなどの好窒素性草本植物の植被率が決定され
る。同時にセイタカアワダチソウの侵入は,立地の乾燥化を,イ,スギナの生育量は放棄後の年
数経過を指標している。
27.チゴザサーアゼスゲ群集
Isachno−Caricetum thunbergii(Tab.20A)
水田は主に沖積地や縷縷地の低湿地に造成され,灌がい用水が発達する場合は丘陵の斜面部な
どの中生立地にも及んでいる。稲作は,常に湛水下にある低湿地よりも,排水がよく,地下水位
のあまり高くない立地の方が収穫量が高い。そのため,余剰米が生じた時などには生産量の低い,
谷戸状地の水田が最初に放置される。
地下水位の高い低湿地の水田放棄地には一般にミゾソバーヨシ群落が形成される。しかし谷状
地で他からの栄養塩類の供給の少ない立地では,チゴザサ,アゼスゲ,イ,アブラガヤなどが生
育する。
チゴザサーアゼスゲ群集は本来自然の池沼の水ぎわに生ずるスゲ型の湿生草原であるが,水田
耕作放棄地にもしぼしぼ生ずる。チゴザサ,アゼスゲの両種は優占種となり,ヨシが時にやや高
54
Tab.19 湿生草原植物群落一2
R6hricht−Gesellschaften−2
A イシミカワーヨシ群落PbZッg’oη〃π/)8ノブbZ∫α’μ〃レ1ヲz2’αg〃z∫記∫απ5∫2一α♂ガ5.Gesellschaft
B ミゾソバーヨシ群落 PoZ二yg’oηπ〃36んμろ召7「9∫∫一.翫ブα9〃漉θ∫αμ5々闇α♂∫5−Gesellschaft
A
B
8 9 10
1 2 3 4 5 6
7
調査番号
144 146 145 112 169 168
141
167 149 142
Datum d. Aufn.:
調査月日
6/9 6/9 6/9 6/8 6/8 6/8
6/8
6/8 6/8 6/8
Hδhe琶. Meer(m):
海抜高
30 20 − 20 一 一
Gr68e d. Probe且ache(m2):
調井面積
25 10 16 4 40 25
}【6he d. Vegetation(cm):
植生高
170 120 220 120 150 170
Deckung d. Vegetation(%):
野植被率
90 85 95 90 80 80
Artenzahl:
出現並数
4 4 4 5 3 4
Aufn. Nr,:
Trennarten d. Gesellschaft: 群落区分種
飢7’α9配∫詑∫硯45彦ザαZ∫∫ ヨシ
R}舷。ηz6〃zρθノブbあα孟πノノz イシミカワ
&肋・磁…勲 募5客アワ
」2〃ZOμ∫〔励4舗硲var.漉C∫汐f8ノ薦イ
PbZツ90,τ躍π≠ん麗ηろ8プ9だ ミゾソノミ
ハ4∂5Zα読αノz訪θ1喝α ヒメジソ
E〈∼ε4∫5(%z〃μαブ刀6’∼58 スギナ
30 16 20
150 200 170
80 100 90
8
10 18 13
1
5●5 4.4 5●5
4・4
註●2 2・2 2●2
2。3=
●
o
十・2
●
5●4 5●4 4。4 5●4 5●5
5。5
●
● o ● ● ●
…....; 十・2 2。2 1・2亭。2
@ ミ
1。2i
…
●
●
●
●
…1●2 。 1・2 2・2 十
ヒL・2 =L●2 。 3●3 ■
●
○
ら
]L。2
●
○
●
●
i..+.2÷3.3
1・2:
・1
.:
i.+.2.4.42.2
●
o
●
1。2
●
十
1・2
●
●
十。2
●
Begleiter: 随伴種
脆・吻・伽 窮持セン
●
●
泌6rO∫’θ9ピμ〃呂η∫〃擁ノ∼8μ〃’
アシボソ
ノミノフスマ
〆1η8ガ♂θ,πα々8∫5αた
イボクサ
ゑ9プ05孟∫∫c♂αηα’αvar.ノZμんαう・
ヌカボ
●
●
o
1・2 1・2
●
●
●
●
●
o
●
●
●
●
■
●
●
●
●
十・2
・ 1・2
●
o
●
●
■
●
●
●
var.♪吻勲‘んツ襯
3∫θZZαノ’ガαα♂5’刀θ var.∼〃Z4ε‘Zα彦α
1・2 1。2
十 十・2
●
●
十・2÷・2
出現1回の種AuBerdem le eimnal ln Aufn。 Nr.1.痂5カ∫8μぬ‘oア‘粥キショウブ十・2,アbZ)goημノπ
π04b5μ〃3オオイヌタデ十, in 2. Rω’∫”αゴ5Zαπ読。αスカシタゴボウ十, in 3. Gα読‘ノπゆz‘アー々∠ノμf.
5彦ノ4∫go∫z〃μヤエムグラ!・2, ln 4. R)Z:ygo7∼τ〃πんツ訪』砂ψεノ’ヤナギタデ十・2, in 7.7ンρんα彪雄blfα
ガマ3・3,in 8. A〃4漉∫‘αアψα8α‘1’∫ゆ818〃’αヤブマメ 十・2,(海”8認ρんαco如ヒメゴウソ +。2, in 9.
ん砂goηz〃π♂oノ∼g∫5θ’z‘〃‘イヌタデ2。2, G♂ッ‘−”∼8∫(加ツルマメ1・2, Pb如goη躍π∫f8δo♂読∫アキノウナギツ
カミ1・2,C砂α∫あ麗1π1LoZo∫’60ガ漉∫var.αηg9μ∫雄b♂諏〃‘ミミナグサ十・2, Coη〃∼6♂勿αω〃〃μμ7∼∫5ツユク
サ十・2,・4rご8〃L∫5fαヵ1僧”zc(ψ5ヨモギ十・2,且gノ閣砂yoη如〃z(ワ’∫カモジグサ十。2,(h7℃¢ぬπノz6θノ2’fガ
ァゼスゲ十・2,in 10.884z〃π劇中旋1‘μ〃zコモチマンネングサ3・3,1㌔β如1甲fα∬αη漉η5 var.ノノzα∫ノ窃
ヘクソカズラ1・2,Ac∫加。∫オε〃z〃3α♂o伽’∼4〃ゴキヅル1・2,%加α〃π飯∫πZ‘α抑〃ノ∼ヌカキビ十・2,
&カψz45”∫cんπノーα8アブラガや十,C⑳で¢〃〃説’〃。τ師。に’どゴウソ十,Cα1’面ノπ魏8」鞄のμo∫αタネツケバナ
十・2,Gη妙んαZ加ノπφπ8チチコグサ十・2,
調査地Fundorte 1−3:Yokokawalke横川池,4:Nishiumagaike西午ケ池,5−10:ShiiRoki−cho椎
ノ木町
い被度で共存する。他の構成種はきわめて少ない。八助谷,新生町,
地で記録された。
稲荷町などの水田耕作放棄
55
28.ゴウソーアブラガや群落
0αrθκη己α漉配。ωεczεε一8cε}㍗臨sωεcん郡rαθ一Gesellscha{t(Tab.20B)
チゴザサーアゼスゲ群集によく似た群落で,両者は接して轟現する場合が多い。ゴウソ,アブ
ラガヤで区分され,ヨシ,イなども鐵現性が高い。立地の質,とくに栄養条件は前者よりもきび
しいが,水位が浅く,ヤマテリハノイバラ,メリケンカルカヤ,ウメモドキなどの中性立地に生
ずる種もみられる。この群落は一時的なものであって,このまま自然状態におかれれぽハンノキ
群落に遷移するものと考えられる。
h.野冊地楼性草本植物群落(イヌノヒゲーコイヌノハナヒゲ群団)
Zwerg憂}i皿se盈gesel歪schaften auf annen Bδde皿
(Eriocaulo・Rhynchospoπion fujiiani)
わが国の低地帯は大部分都市化や,農耕地化によって人為的に改変され,自然状態の低湿地は
年々その面積を狭めている。とくに,食虫植物で代表される貧養地生の綾性草本植物群落の生育
地は,低地ではきわめて稀な存在となっている。
ヤブッバキクラス域の貧小地球性草本植物群落を構成する主要な種類にはミミカキグサ類,モ
ウセンゴケ類の他,ホシクサ類,イヌノハナヒゲ類があげられる。いずれも高さ約20cm未満の
小形植物である。
貧富で,湿潤という特殊な立地に生育するこれらの植物は,きわめて競争力が弱く,立地のわ
ずかな変化,とくに富栄養化によって,たちまち他の中性立地生の植物の侵入を受け,消滅する。
29. ミミカキグサーカリマタガや群落
翫rjc認α加rε9ε面・・0ε〃εεrεαorπ甜んopodα一Gesellschaft(Tab。21)
椎ノ木町の一角に,丘陵地のテラス化によって心土が露出し,さらに上方からの侵出水で,湿
地状態となっている場所がある。数年間の放置のため,多数の植物が侵入しているが,その中に
食虫植物のミミカキグサをはじめ,シロイヌノヒゲ,カリマタガヤ,ヒメオトギリなどの分布の
稀な草本植物が生育している(Fig。25)。
一方,松堀池の上流側に池に向ってわずかに突出した部分にもごく小面積に湿地が形成されて
おり,ミミカキグサ,カリマタガヤの他,食虫植物のコモウセンゴケが生育している。
両地域の等分は互いにヤマイ,ミミカキグサ,カリマタガヤなどを共有することで,ミミカキ
グサーカリマタガや群落としてまとめられた。しかし椎ノ木町の植分はテソッキ,コウガイゼキ
ショウ,ヒメオトギリなどが出現し,これらを区分種としてヒメオトギリ下位群落に区分される。
松堀池の三分はトダシバ,コモウセンゴケなどで区分され,コモウセンゴケ下位群落とした。コ
モウセソゴケ下位群落はヒメオトギリ下位群落よりやや乾燥した立地をしめている。
ミミカキグサーカリマタガや群落は本州各地に飛石状に残存する同位の群落をまとめたイヌノ
56
Tab.21 ミミカキグサーカリマタガや群落
び〃’1α4αプ∼αわ疹磁一1)∼ノ〃.ε〃α01フz∼〃颪砂。磁var.オβノ∼βノ’α一Gesellschaft
a
ヒメオトギザド.位群落 Untereinheit von疑}少8,・’α‘〃,ノ砂012∫α4〃,
b
コモウセンゴケ下位:群落 Untereinheit von Dノ・05召ノーαV>α’1耀Zα彦α
Spalte:
群 落 区.
分
Lfd.一Nr.:
通 し 番
号
Aufn. Nr.:
調 査 番
号
GrδBe d. Probe雌che(m2):
調 査 面
H6he d. Vegetation(cm):
Deckung d. Vegetation(%)
全 植 被
Artenzah1;
出 現 種
a
31
b
2
3 4 5 6
32
33 34 48 49
1
0.5
4
高
25
30
30 60 45 60
率
90
85
90 80 80 80
数
11
10
14 17 16 10
2 2 2 2
Trennarten d. Gesellschaft:
穰落区分種
ηηめノ¶瞬ψ5∫zめ醒ψ∼傭α
ヤマイ
2・2十・2
1・2 1。2 3・4 4・4
しな’ゴ。κzαノ’ガαゐウ管読z
ミミカキグサ
2・3 3・4
3●3 2●3 ● 3●3
Z)∼〃z8’伽01フz∫〃∼砂0ぬvar.彦β〃8’‘α
カリマタガヤ
4・4 ・
Eノ・∫0ごαZ‘ZωZ∫’た0たかαノZど〃〃
シロイヌノヒゲ
!・2 ・
Trennarten d. Unterenhe三tenl
下.位群落区分種
n〃め’層説ツ薦読凶.・ご・〃’α
テンツキ
1・2
3・4
十 ÷●2 十・2 3●4
2・3 …
3・3 3●31 ●
Jz〃∼α‘5♂8∫ご1∼8ノ∼α忍♂オ∼∼
コウガイゼキショウ
i十・2
遅〉ψ8’ゴα.’ノπノ砂0ノ亙ごZ‘ノ〃
ヒメオトギリ
耳 D
5αccガ。♂(桝∫〃∼読‘7αvar.ωづ・潔’0/8‘〃ノ’
ヌメリグサ
(汐少81’∼‘∫∫αノzgκか∼0♂β〃彦」‘∫
カワラスガナ
孟1w∼読刀8〃αノ証ノ・∫α
リ ベ
Z)ノ’0∫〔∼1’‘1宴)α孟/3∼.‘如オα
コモウセンゴケ
澱ノ〃酬吻臨‘・・〃’μαノπ勲
ノテンツキ
Begleiter:
;臼:亘 .1半 種
孟〃4’砂・9・〃漉1噌91ノ∼∫α∬
メジケンカルカヤ
コケオトギリ
●
十●2 十.2 魚z・1門卿51〃ガαw∼孟1・α
アリノトウグサ
2・2
・ ・ 1・2
¢}卿¶z{∫sp.
カヤツリグサの一.種
0
十 ・ ・
議.〃∼α‘∫ψ酬5var.漉6ψ∫8〃5
イ
遅)少θノ’加〃∼.♂α∬zρノ’
トタシ.ハ
l ●
十
1・2
十・2
●
十・2 十●2 ●
○
2・2 3。3i
1・2 2・21
●
●
:
.レ ●
十
1・2 +i
● ●
●
●
・ ●
…2。2 3。3 ●
●
●
o
●
●
○
●
!・!
2・2 2●2 3.3
!●2
・ 十・2十・2
出現1回の種AuBerdem je einmal in Lfd. Nr. L(汐少8ノ『μ5プ伽.c6∼4∼45ヒナガヤツリ十,
…3。3 2・2:
十 !・21
十
十
十
十
2。2
1・2
十
●
●
○
κ)・〃〃∼9α
9∼’α(二面∼雄ヒメクグ十。2,&カブ昭∫ん0如ノマ‘∫ホタルイ
十,重n3=五諺∫CCαμ.Z(〃乳ゐα∼(面ω.Z∫Cニツボソイヌ
ノヒゲ1・2, 1乃艦∼α‘如耀醒ノ‘ψo/z∼‘’zθ〃 ミズオトギリ 十, in 4=&ガ開脚5τθ∼61観ノ8αβ
アブラガヤ 1。2,
α塑8ノマ∬56フ『o如∼μ∫ミズガヤツリ
1・2,ノ:191’o∫々54ατ,磁‘zvar3π‘た‘治。ヌカボ十,孟τ8痒∫漉ノ∼’厩αニガ
in 5;1>〃少6ノ’α’α‘yfπ6か記αvar.ゐ06〃g密チガヤ3。4, Rlzッノz−
ナ十。2,1酵ノ擢5漉ノ∬φb1‘αアカマツ十,
論0功。”αノ8‘めノ『αイガクサ2・2,C冶〃’ノーα〃〃z8”αぐ。漉加01z加ε〃5おvar.々‘’8αゴマクサ十,
A/z訪ηρ・9・ア∼
∂1でuがb々∼∬ウシクサ十・2, G『o∫α♂αがα∫8∬μ耀。’uタヌキマメ
率・2,!5αc111∼8 gあ50∫αチゴザサ÷,
Mガ5侃鷹1zz‘55加εノz5∫5ススキ1・2, in 6:C>ψ6’曹照μZo∫z’5オニガヤツリ1・1.
調査地,
調査年月iヨFundorte u. Datum:1−4:Shlinoki−cho椿1ノ木町(1. Okt.1980),5,61 Matsu,
borilke松堀池(1. Okt.!980).
57
灘
麟
贋
Fig.25 貧養性の縫地に侵入,生育するミミカキグサーカリマタガや群落。
ミミカキグサ,ヒ逸球トギリ,シロイヌノヒゲなど分布の稀な植
物がみられる(椎ノ木町 海抜54m)。
Physiognom玉e derひ彦ノぜα♂Zα厚α1忽’認α一1)∼1〃召”∼α01フ∼∼〃zoρoぬvar.診θ∼8ノτレ
Gesellschaft auf armen, nassen Boden(Shiinoki−cho 54 m蓑. NN).
ヒゲーコイヌノハナヒゲ群団の標徴種を含むため,同群団に位置づけられる。
貧養立地に生育するイヌノヒゲーコイヌノハナヒゲ群団の群落はいずれも分布のごく稀な,競
争力の弱い植物で構成される。半田市では,前記2ケ所にのみ発見されたが,学術的な立場から
何らかの保護対策が必要である。
i.塩沼地草本植物群落(ウラギククラス他)
Salzwiesen−Gesel韮schafte蓋(Asteretea tripohi u.a.)
河口や波静かな遠浅の海岸や河霧部には,しばしぼ耐塩生の植物によって塩沼地植物群落が生
育する。半田市の海岸線は大部分,埋立地やコンクリートの護岸の構築が進められており,自然
の塩沼立地はほとんど見られない。しかし,排水路,埋立地,干拓地の一部などにはなお塩分を
含む泥地が嵩現し,小規模ながら1年生から多年生までのさまざまな塩沼地草本植物群落が生育
している。
58
Tab.22 塩沼地草本植物群落一1
Salzwiesengesellschafte頁一1
A シオクグ群集Caricetum scabrifoliae
B アイアシ群集1)haceluretum latifoliae
Spalte: 群落区分
A B
Lfd. Nr.: 通し番号
Aufn.一Nr.二 調査番号
1 2 3 4 5
120 123 170 126 125
Gr6Be d. Probe飴che(m2): 調査面積
9 6 3 2 2
H6he d. Vegetation(cm): 植生高
50 30 150 100 100
Deckung d。 Vegetation(%): 全植被率
90 45 80 90 50
Artenzahl: 出現種数
1 3 5 3 5
Kennart d. Ass。: 群集標微種
Cα鷲ぼ∫ごαろブ⑳たα シオクグ
15。5 3.4 4●5i 3・3 ●
Kennart d. Ass。= 群集標微種
盈αC6廊プ粥伽三蹟∬ アイアシ
・ ・ ● 14●4 3・3i
Kennart d. Phragmitetea: ヨシクラスの種
P毎α9〃痂8∫απ∫〃α々5 ヨシ
。 1・1 3。4 ・ ・
Begleiter; 随伴種
・舷がμαrg〃昭Z∫厩ゼ ホソバノハマアカザ
● ● 十・2 十●2 1・1
A5砂’かψoZ加π ウラギク
・ 十 ・ 。 1・1
R)如gωη‘ノπρoZ:yノ∼8柳η〃 アキノミチヤナギ
・ 。 十 ・ 十・2
A5∫θノ・5π6認α伽∫ ホウキギク
・ ・ !・! ・ ・
Xα22疏∫μノπ0αア∼α481∼58 オオオナモミ
・ … 十
i
調査地Fundorte:1,2,4,5:Nakaokuda−cho中億田町,3: Niihama−cho新浜町
30, シオクヴ群集
Caricetum scabrifol童ae(Tab.22A)
シオクグ群集は定期的に半かん水が冠水する立地に生育する多年生草本植物である。シオクグ
はスゲ属植物で,根茎が発達して細長い葉を叢生し,団塊状の密生群落を形成する。塩分含量の
少ないところではヨシが混生することがある。半田市内では中億田町の海岸線に小面積の植分が
記録された。半田市に隣接する武豊町にも水路にそって出現している。
31。 アイアシ群集
phaceluret賢m laもifoliae(Tab。22B)
シオクグ群集に接し,より陸側にアイアシの植分がみられる。アイアシは高さIm内外に達し,
発達した根茎で密生する華原を形成する。生育地は,半かん水にわずかに冠水する立地で,減水
時には生育地は露出する。市内では前記シオクグと同じ場所にわずかに生育している。
59
Tab.23 塩沼地草本植物群落一2
Salzwiese茸gesellschaften−2
A イソヤマテンツキ群集 Fimbristylidetum sieboldii
a ウシオツメクサ亜群集 Subass. von Spergularia marina
b 典「型!1亘¥洋集 Typische Subass.
B イガガヤツリ∼ハマガや群落 (漉81¶μ5♪o♂ツ5如61Lツ。∫一DψZα‘肋8ノ}‘5cα・Gesellschaft
Spalte: 群落区分
B
A
a b
Lfd. Nr.=
通 し番号
1 2 3 4 5 6
Aufn..Nr.;
調査番号
173 174 237 242 238 239
86 246
調査年月臼
7/3 7/3 7/4 9/30 7/4 7/4
9/30 9/30
Datum d. Aufn.(1980):
調査面積
2 2 1 2 1 4
H6he d. Vegetation(cm):
植 生 高
30 40 20 100 50 30
Deckung d. Vegetation(%):
全植被率
出現種数
60 60 20 80 50 50
Gr6Be d。 Probefl吾che(m2):
7 8
2.2 6
6 6 5 7 6 6
60 30
90 60
5 9
イソヤマテンツキ
12●3 2●2 1●2 4●4 3。3 3●31
1・2 十
助8プ9μ♂α痒αノ2zα7カ∼α
ウシオツメクサ
1ぎ♂3一一手∵2…1・1……
∠4∫彦θブ彦2’ψo々躍π
ウラギク
i十 十・2 ピ Trennarten d. Gesellschaft=
群落区分種
qyμ耀5汐。り5診αご1L:yo5
イガガヤツリ
● ○ ● ○ ● ●
Dψzαご1〃∼8プ2‘∬α
ハマガや
o o o ● ● ●
Artenzahl:
Kennarten d. Ass.:
群集標徴種
盈’ノπ6プ∫3オ1頭5∫∫θδo♂♂亙
Begleiter:
● ●
…
。 十
5・4 3・31
・ 2・31
随伴種
.A5‘8ノー5μう配α珈∫
ホウキギク
∫bZ砂ogωげセ‘9α記
ヒエガエリ
1・2
2・2十・2
即匙ノ闇α9’〃3舵∫α㍑5かu♂∫5
ヨシ
2・2
ユ・2 十
乃μρθ昭如6ツ♂∫π41廊αvar.ん0θπfg廊チガヤ
50πC1膨∫oZθノ・αC8∼4∫
ノゲシ
■
十 1・1
●
● ●
■
● ●
十 十 1●2 3。3 十
・ 十。2 十・2 1。2 ●
1●2 1●2 1・1 1●2 ●
2●3 1。2 ● 。 ・
・ 十 十 。 。
出現1回の種AuBerdem le einmal in Lfd. Nr.1:乃ρ1Lααアzgμ5’α臨ヒメガマ1。2,
ハ4ゴ56α漉1L郡5
5加εη5おススキ1・2,κz研〃ノ38mη∫α∫彦痒α頗ヤハズソウ十・2, Aπ8η3f5fαヵr加08ρ∫ヨモギ十・2, in 6:
勘かαノ∼漉85∫訪8π5∫5モジズリ十,in 8:C加πoPod如ノπα〃zう7η5∫of漉5ケアリタソウ 十・2, (砂8rκ5
ηψρ02zfα∬アオガヤツリ1・2, Cんθ7」0ρ04f∼4ノπgZ催6∼4〃zウラジロアカザ十, Ec肋∼oご1z♂oαc耀∫・gαZZゼ
var. cαμ4α顔ケイヌビエ十。2.
Fundorte.1−2:猛afen Handa半田埠頭,3,5,6:0kuda・cho億田町,4,7,8:Kawasakise玉tetsu/1【
崎製鉄
32. イソヤマテンツキ群集
Filnbr圭stylidetums圭ebo星di童(Tab.23A)
海岸埋立地の平坦地形の塩沼地の中で,比較的乾燥した安定立地にイソヤマテンツキ群集の植
分がみられる。群落内にはヨシ,ヒエガエリ,ホウキギクなども低下度で出現している。塩分含
量の多い泥地はウシオツメクサ,ウラギグなどを区:七種とするウシオツメクサ亜群集が生育する。
イソヤマテンツキ群集は半田埠頭,億田町などの埋立地に限って分布している。
Tab.24 塩沼地草本植物群落一3 Salzwiesengesellscha{ten−3
$
A
B
ホコガタアカザーウラギク群蔭 ノ:1’ノ’ψZ6ごτ1zα5‘ζ磁・孟5’醐ケψoZ癬ノルGesellschaft
ウシオツメクサーウラジロアカザ群落
5♪8ノτg’∼4α万α〃∼α7’〃∼α・C1∼召〃。♪o〔蕊∼‘〃∼g〒♂α”ビ∼〃〃.一Gesellschaft
Spalte:
群
落 区
分
L,fd. Nr.:
通
し 番
・号
Aufn.一Nr:
調
二番
号
1)atum d. Aufn.(1980);
調
査 月
Gr6βe d、 Probe飽che(m2):
調
H6he(L Vegetat三〇n(cm):
植
Deckung d. Vegetation(%):
全
Artenzahl;
}ヨ
i123456789
i A
{26。26、259262263230265266226
B
!0
!1 12 13
225
224 223 227
7/3
7/3 7/3 7/3
1
19/30 9/30 9/30 9/30 9/30 9/30 9/30 9/30 7/3
1 16 25 25 4 6 4 ! − 6
・査面
植被
率
現 種
数
i90100/0070703081520
1334555226
i 80 90 80 80 80 40 20 40 !0
i
6 4 6
15
20 20 15
10
80 !0 15
7 9 11
6
Trennarten d, Gesellschaften:
群落区分種
彫ω9〃α7・1α〃∼αノー∼ノ∼α
ウシオツメクサ
1・2 1・2
1・2
1・2十。2
A5’61’カ’ψ0♂∼∼4〃’
ウラギ.ク
5・4 5。4
5・5
3・3 5・4
測ガα9〃Z∼館5α∼’舘’8αZ/5
ヨシ
;十 十
十
1・2
0
〆1〃『ψz召灘んα∫’α’α
ホコガ.タアカザ
1 ● ●
十・2
1・2
1・2
C々6〃(ψo漉’〃μ8ゾα”α‘〃∼.
ウラジロアカザ
● o
●
●
o
E翫ノ∼・・乃.Z・α‘ワマ‘∫一9αZ〃var.ρ’一α々ぐ・・♂α
イヌビエ
●
●
PbJ説ρ090ノ∼〆2‘9α」じ
ヒエガエリ
o o
●
●
●
50ノ∼(ゾLμ30Z召ノ・α‘78,,∫
ノゲシ
● o
●
o
●
A5置(∼’・3〃ゐ〃」α々’5
ホウキギク
●
●
婆・g1・iter・
随 E(痂∼0ご〃・α6ノ膚”∫一9’ごz〃var.ビα∼κゐ面
ケイヌビエ
o
◎
o
十・2十。2
●
●
●
。
●
●
E望’廊部’〃〃αノ’7/8ノ∼5ε
.スギナ
o
■
●
● ●
●
●
十
●
●
÷
Eノ帰恕βノ・0/Z6α〃α49ノ∼∫∼5
ヒメムカシヨモギ
o
●
●
■ ●
●
o
●
十
十
0
Cノ∼召〃oρo読脚παZわ‘〃〃
シロザ
O
●
●
1・1
1。2 2・3
5●5 十・2 十●2 十・2
0
●
●
●
牽 。
●
●
●
●
0
o ●
1・1
2・2 1・2
●
十 十
o
1・2 2・2
●
十 1・1
十 十
●
十 十
十・2 十
。1.
● i+
. ●
3・4
● ●
÷
●
●
■
● o
I・1 1・1
十
ミ .
● ●
. i.
● :。
÷・2 十
十。2…
1・2 2・2
● :
.1半 .種
●
●
●
●
●
●
●
出現1回の種Auβerdem le einmal in Lfd, NL 4:3♂‘α6面〃α’81‘〃〃‘‘ハママツナ1・2, in 5:&々μα♪’闇05診1『αオαタカサブロウ十・2,
in 6:.4〃・.ψZ8の97〃擁ノz〃ホソ.バノハマアカザ÷, in 9:30Zα〃μη∂ノ∼61ノ〃L∫々α〃〃ムラサキイヌホオズキ十, ln l2:7》8ゲbZf∼f〃z漉‘ゐ々〃π
コメツブツメクサ十・2,in 13:Z)∼9∼’αノー如α論‘,θノ∼漉ノ∼5メヒシバ!。2,0ω∼o’1∼8ノーαZα‘〃∼∼α♂αコマツヨイ÷, qy/zo面η滅z‘あ,Zo’zギョウギ
シ.バ十・2,
調査地Fundorte 1−8;Kawasakiseitetsu川崎製鉄,9−!3:Hafen Handa半Hil埠頭.
61
33. イガガヤツリーハマガや群落
C翌per㏄s po勾8εαcん野os.1)εp毒αc為πg fu8c{ひGese至1sc気aft(Tab.23B)
イソヤマテンツキ群集とよく似た立地に生じ,イガガヤッリが高い被度で}=1親する。また塩沼
地では分布の稀なハマガヤも共存して生育している(Fig.26)。
34. ホコガタアカザーウラギク群落
∠4歩rεμθ訓じ1zαsオα‘α一。4s舌e}’重7ぜpoZ伽7π一Gese茎茎schaft(Tab.24A)
塩分が多量に残存する海岸泥地には,ウラギクやホコガタアカザが生育し,比較的密生した植
物群落を形成する。ウラギクは高さ90cm内外に達し,秋季紫色の花をつける。またホコガタア
ヵザは帰化種であり,在来のホソバノハマアカザが自然の塩沼地に生育するのに対し,埋立地な
どの人為的立地に生育する傾向がある。
ウラギクは塩沼植生を代表する種であり,ヨーロッパにも広く分布する。
35, ウシオツメクサーウラジ殿アカザ群落
SpωΨπZαrεα配αrεπα.Cんθπopo醗配ηzσZαπc麗ηL−Gesellschaft(Tab.24B)
海岸埋立地や河口部などの塩性地で,最も塩分含有量の低い臨地にウシオツメクサがカーペヅ
ト状に生育している。さらにウラジロアカザ,ヒエガエリ,ホウキギク,ノゲシ,イヌビエなど
も共存し,2∼9種のまぼらな群落を形成する(Fig.27)。土壌はふだんは乾きぎみであるが降
雨時は多湿となる。ヨシは侵入せず,玉年生草本植物のみの群落となっている。
36. ホソバノハマアカザーハママツナ群集
Atr玉plic量・S猛aedeもum mar圭timae(Tab.25)
常に多湿で塩分含量が高く,しかもひかくてき富栄養な泥土上にホソバノハマアカザ,ハママ
Tab.25 ホソバノハマアカザーハママツナ群集
Atτip
’C
’一
ruaedetuln maritimae
L{d. Nr.:
通 し 番 号
Aufn..Nr.:
Gr6Be d. Probe飴che(m2):
調査 番 号
調 査面
H6he d. Vegetatior1 (crn):
殖 生 高
1)eckung d. Vegetation(%)l
全植被率
60 50 90
Artenzahl;
鴫 現種数
! 2 1
Kennarten d. Ass.:
群集標付.種
Aオ1ψz8エ9’∼↓6♂加乞ピ
ホソバノハマアカザ
&君α84αノノzα7一鉱ゼ〃zα
ハママツナ
Begle量ter:
1ヲ〃噂α9’〃虚85α麗5カη臨
調査地Fundorte 1−3:Nakaokuda・cho中億田町,
1 2 3
122 121 !31
2 6 2
20 40 20
3・4 3・3 ・
。 。 5・5
随伴種
ヨシ
●
!・2 ・
62
霧.
繊、
霧
撒繋灘
Fig.26 海岸埋立地の凹状地で若干の塩分が残留する立地に生育する
イガガヤツリーハマガや群落(川崎製鉄構内)。
王)hysiognomie der(bゾ)6〃’5/)oZッ5如漉ッ05−Dψ彪6んノ∼6プ}‘∫αz−Gesellschaft
auf einer Landgewinnungs舩che(Kawasak量seitetsu).
魏1
。畿.
議
慈
Fig.27 まだ塩分が残留する海岸埋立地に生育するウシオツメクサー
ウラジロアカザ群落(川崎製鉄構内)。
Auf dem noch Salzhaltigen Boden wachst d重e趣)召ノ・g”♂αノゴα〃κ〃ゴ〃α一
Cノ∼8ノ∼oρo漉z〃〃gZαz‘α〃〃一Geseilschaξt(Kawasakiseitetsu).
63
ツナ,ウラギクなどによって1年生草本植物群落が形成される。調査された植分はホソバノハマ
アカザとハママツナが別の面分で優占しているが,両者は互いによく似た立地を要求する(宮脇
・奥田・鈴木1975)。半田市内では川崎製鉄構内の埋立地で記録された。
j.路傍雑草群落(ヨモギクラス)
Ausdauemde StraBenrand・GesellschafteR(A r t e m i s i e t e a p r i鳳cip玉s)
人間が絶えず往来する路上や,不定期ではあるが頻繁に刈取りが行なわれる路傍には,広葉の
多年生草本植物による群落が形成される。同様に耕作畑地で耕起が停止された場合にも,周辺部
よりいち早く多年生草本植物が侵入して旧地をおおいつくす。
路傍や路上は周辺部の林地や耕作地などから絶えず有機質の栄養塩類の供給を受ける。したが
ってそこにはヨモギ,イノコズチ,オオバコなど広葉の脱窒素性暦本植物が生育する。さらに生
活力の涯粋な帰化植物のセイタカアワダチソウも侵入し,一時的に純群落を形成する。半田市に
おけるセイタカアワダチソウの繁茂は他の地方と同様にすさまじい。帰化植物の急激な繁茂は自
然林の消滅などによる在来の植生の貧化による,自然に対する人為的干渉の強さを指標するもの
と考えられているQ
37. ユウガギクーヨモギ群集
Kalhner三do−Artem量sietum princ童pis(Tab。26B)
耕作地内の道路わきにおいて,刈取りや軽度のふみこみによって,多年生草本植物群落が生育
する。立地は多かれ少なかれ富栄養条件下にあるが,直接,間接の人為的影響下にあり,乾性地
ではイネ科植物が多く,湿性地では逆に広葉植物が多い。
ヨモギは全国の路傍に出現し,路傍雑草では最も代表的な種である。半田市においてはヨモギ
の他にはヒナタイノコズチ,ツユクサ,カモジグサがみられ,ユウガギクの出現頻度は低い。ヤ
ブガラシ,イシミカワ,ツルマメなどのつる植物の植被率はやや高い。つる植物は一般に林縁部
に生育するが,その立地の土壌も柔かく,含有酸素量も多い。出現種類は13∼王5種であり,やや
低い価を示している。
38. アキノノゲシーカナムグラ群集
Lactuco・Humuletum3apoRicae(Tab.26A)
林縁部や堤防の土手,河辺の氾濫原などの富栄養立地にカナムグラの優占するつる植物群落が
みられる。カナムグラは,植分域に一面に繁茂し,アキノノゲシが所々から抽出する。群落の持
続期間は短かく,数年後にはヤブガラシやクズの群落に移行する。
64
39. シロツメクサーヨモギ群落
TrがoZ融配rβpθπs一ゑr∫θ7πεsjαprεπc¢p8−Geseilschaft(Tab.26C)
シロツメクサーヨモギ群落は,主として海岸の埋立地に生育するヨモギ群落である。内陸の中
生立地におけるヨモギ群落からは,シロツメクサ,オオアレチノギク,チガヤ,ススキなどで区
分される。:立地の栄養条件は中位であるが,海岸埋立地内では他の群落立地よりもより好条件下
にある。
シロツメクサーヨモギ群落はヤブマメ,ヤナギハナガサ,スズメエンドウなどの区分種によっ
てヤブマメ下位群落と典型下位群落に区分される。ヤブマメ下位群落は帰化植物が多数みられ,
立地の撹乱を受けた路傍に生育する。
40。 セイタカアワダチソウ群落
SoZεdαgoα堀ssεηεα・Gesellschaft(Tab.27)
北米からの帰化植物であるセイタカアワダチソウは,わが国の暖帯全域にわたって繁茂し,
様々な話題をなげかけている。種子の散布力と,定着してからの強力な繁殖力は,またたくまに
都市周辺部に生育域を広げ,わが国のフロラの一員になろうとする勢いである。半田市内でも,
さ 、
_義欝;黙《
鋤漁勢筏鰹,囁、
’甑燃織㌧・’『
無1
職懇
りくドリ ロダ
灘
1難
霧.
Fig,28空地や耕作停止畑地に侵入,生育する帰化雑草群落の
セイタカアワダチソウ群落(新野町)。
Neophy亡en,GeseUschaft von 501ガぬgoαZ♂ガ∫5ガ〃38 auf brach1三egendem
Acker(Shinno−cho).
65
Tab。27 セイタカアワダチソウ群落 3読ぬgoαZ’∫5∫∫〃zα一Gesellschaft
a
スギナ下位群落 Untereinheit vOn Egz4∫θオ∼4〃zα7W/z∫6
b
典型下.位群落 Typische Untereinheit
C
アキノノゲシ下位群落 Untereinheit von加傭‘cαfη漉‘8
Spalte;
群
落 区
分
Lfd. Nr.=
順
し 調
号
1
AufH..Nr.=
調
査 番
号
186
191 147 190
185 !87 193
Datum d. Aufn.(1980)=
調
査 月
日
6/8
6/8 6/9 6/8
7/4 6/8 7/4
Gr6Be d. ProbeHache(m2)l
調
査 面
積
25 9 12 25
100 100 16
H6he d. Vegetation(cm):
植
玉
高
160
130 150 200
180 100 200
Deckung d. Vegetation(%)
全
植 被
歯
98
100 100 95
95 98 100
Artenzah1:
出
現 聞
数
13 10 5 15
14 14 13
a b
C
2 3 4
5 6 7
Trennart d. Gesellschaft: 群落区分種
50々伽ggoα臨∬∫〃雄 セイタカアワダチソウ
5・5 5・5 5。5 5・5 5・4 5●5 5●5
Trennarten d. Untereinheiten= 下.位群落区分種
Egz廊∫β友4ノπζzプ刀8/z∫8 スギナ
ま
i i2。3 2●2… ・
ゑc1リワwz疏θ∫プ詑κ1層凝 イノコズチ
+ +i ・
●
o
●
●
●
●
●
Trennarten d. Untereinheiten: 下.位群落区分種
五α6勘Cα田川‘α アキノノゲシ
Agプ0∫薦α乃α コヌカグサ
●
■
十 十 十1
2 1
●
11・2 十 ・:
; 1
R1切∼θ諾α06∫o∫α スイバ
●
ぬ8漉がα5ぐαπ漉ノz∫var.ノπα∫1窃 ヘクソカズラ
yoz4π9∫αノ昭)o刀此α オニタビラコ
■
●
■
9
●・.
●
o
●
÷ ÷ ・;
・ ÷●2 十●2i
! :
●
・ 十 十:
Arten d. Artemisietea: ヨモギクラスの種
A1『砂麗∫忽ρノ層加ωカ5 ヨモギ
G:αあz〃πゆz〃物‘〃’f.∫〃ゴgo叙f〃’ ヤエムグラ
!・2 十
1。2
1・2十・2
1・2 1・2。
α頭〃85のα ヤブマメ
十 ・
●
Vfc忽αノzgW立ぴb々α ヤハズエンドウ
十・2 ・
●
■
1・2。
2・2
3・3
1・2
●
十
十・20
1。2 ・
o
十
2・2
●
Begleiter; 随伴種
ハ4ゴ∫ごαη〃診μ∫5かz6ノ∼∫∼∫ ススキ
1・2
●
●
50〃ごんπ50甜∼一αごα‘∫ ノゲシ
十
o
■
●
!・2
●
十
●
●
十
o
■
●
■
●
●
o
十
o
●
十
●
●
十
■
●
■
●
●
十
P乃γα9〃漉θ5ω撹1旧α♂お ヨシ
五〇Z加π〃π野竹bノ’‘〃〃 ネズミムギ
1滋如∂♂α∫’Zf54説1clzz‘∫var. gZαゐ8r ネザサ
Eノ’ガ961侃α朋z臨∫ ヒメジョオン
&4∼〃μ伽必卿川〃Z コモチマンネングサ
Cωπ〃1協ηαcω澗♪.π硯お ツユクサ
十
●
●
2・2十・2
÷ 。
1。1
●
十
!・2 1・2
●
●
●
}二1二1現1回の種AuBerdem je einmahn Aufn. Nr.1:36〃α痒ααgz4漉6αウシハコベ2・2, A91・(ψツノ・oη
ノ’αc8〃脚ノ’z‘〃」ア竹田モジグサ十, V∼‘如1z∫ア45鷹αスズメノエンドウ十, in 2;P妙‘∫読z〃παgz4♂加‘〃凄var
Zα’認5α‘々〃μワラビ1・2,0澱Zおco1ツ〃め。∫αムラサキカタバミ十, in 3:1%砂goπ∼侃50π’∫60∫π〃3イシミカ
ワ十・2,in 4=ル5々4ぐαρα”η解07uトボシガラ2・2, Rπηz8」じαご砿058♂Zαヒメスイバ1・2, M詑♂♂o故5ブ妙。ル
∫α45アカメガシワ1・1, Rμ〃’8:む。玩κ5ぴb♂∫z‘∫エゾノギシギシ十・2, Ro∫α〃zz准解b1‘αノイバラ 十。2,
飢Z8μ〃4)’層α’8ノ∼∫8オオアワガエリ十・2,!万。∫co/8♂α」砂ωz∫‘αヤマノイモ十, B1’詑α規fノ∼orヒメコバソソウ
÷,Cocα4♂鷹01わ戯6♂磁若∫カミエビ十, in 5:Agノ’o漉5∫彦。♂oπケ診1』αハイコヌカグサ4・5,1乃ガb♂如〃L 7砂87z5
シロツメクサ2・2,A∫孟θ7¶灘∂μ♂α旗∫ホウキギク十, E1プgε’‘01z∫πノ照ケεノz∫∫5オオアレチノギク十,%ψαZz‘膨
彦1zπη6θノ9∫∫スズメノヒエ十, in 6:乃ノ4)8ノ’彪α砂Z∫7z6ゐ廊αvar.ん081∼磐だチガヤ十・2, エ万。∫60ノ‘6α加々。ノ・o
i・コロ十,30Z〃z’〃π6α1’oZ加8/z∫6ワルナスビ十・2, Ro∫ατ師。んz〃層α脇ノzαテリハノイバラ十, in 7=君g2‘〔4)’
醐。刀舷ノπの∫カモジグサ十・2,Rんπ∫∫zκ6θ威η∼θαハゼ’十.
調査地Fundorte l,2:Nishiumagaike西午ケ池,3:Yokokawaike横川目,4=Shinno−cho新野町,5,
6=Shiinoki・cho椎ノ木町,7:Midorigaoka−danchi緑ケ丘団地,
66
他の地方例にもれず,路傍,空地,水田や畑地の耕作放棄地などに繁茂している(Rg.28)。
セイタカアワダチソウの優託する植分内に共存可能な種はごく少ない。半田市ではヨモギ,ヤ
エムグラ,ヤブマメ,ヤハズエンドウなどがわずかに出現している。また帰化植物も多い。ヤエ
ムグラ,ヤハズエンドウは春季セイタカアワダチソウが生長するまでのわずかな期間内に生育し,
季節的なすみわけをしている。
セイタカアワダチソウは,在来の植生をまもるためにも,除去する必要があろう。刈取りの時
期と適当な回数によって,生態的に生活力を弱め,ススキ,チガヤ,ヨモギなどの在来植物への
移行を助長することが可能である。
41. ヌマカゼクサーーギョウギシバ群落
βrαρro8‘εsα9παfεcα・0〃πo♂oπdα吻ZoルGesellschaft(Tab.28)
半田市にはため池が多いが,ため池の水ぎわに,自然または半自然状態で様々の植物群落がみ
Tab.28 ヌマカゼクサーギョウギシバ群落
E7甲α9ブリ5彦f∫α9∼イαψ∫cα一qyπ040η磁‘む♂02z−Gesellschaft
a
b
典型下位群落 Typische Untereinheit
Spalte:
i
:
通 し
ク冒テンツキ下位群落 Untereinheit von凡ノノめr∫5彦メガ∫4ψ1LメZof漉5
Lfd. Nr.:
a b
Gr68e d. Probeaache(m2)二
調
番号
査 番号
査 面積
H6he d. Vegetation(cm):
即
生 高
Deckung d. Vegetation(%);
吟
植 被率
5 70
70 90
Artenzah1:
出
現 画数
2 4
Trennarten d. Gesellschaft=
群落区分種
qソη040η 4αC孟ッZO/Z
ギョウギシバ
伽zごπ5∫8∫・1z郡6π5乞5 var。励‘∫o漉5
ホソイ
● 5・4 2●2 十●2 2.3 2.2
Eグα9プ。∫’ガ∫α9槻彦ゼ。α
ヌマカゼクサ
下位群落区分種
・ ● ● 4・4 】L.2 3●3
Aufn..Nr.:
Trennarten d. Untereinheit:
調
1 2
3 4 5 6 7
89 98
92 90 91 94 96
9 4
一 一 L8 1.5 4
130 30 90 30 30
95 95 90 90 95
7 4 6 9 9
4●4 1●2 4●4 5・4 3・3 4・4
●
5。5
ド
Eノ♪めプガ∫孟メ∫54ψ11メ♂o’漉∫
クロテンツキ
o ● ● ●
漉〃3αプ〃z?・如5齢か∫6α
ウシノシッペイ
o ● ・ ●
Begleiter:
1・2
。 11●2 1●2:
i i
・ 1十・2十・2:
随伴種
盈ア・α9〃多∫彦65側5オ1一αzガ5
ヨシ
ん∼諭砂ogoη℃・f7ゆノz∫c㍑∫
メリケンカルカヤ
1〃ゆθrα‘α6メ〃z4漉αvar.たoeη∫9廊
チガヤ
」ぬ継げ配∫Z‘∫var.雄ψf87Z∫
イ
●
・ 2。2 十
・ 十 ・
●
・ 2・2 ・
十 十 ・
●
o ● ●
4●4 一ト.2 1●2
十
・ 2・3 ・
● ● ■
1園出現の種AuBerdem je einmahn Lfd. Nr.2:Co∫灘彪61ツ〃薦ヴ。祝ジュズダマ1・1, ム88ノ・5∫α
∫αッαη派αサヤヌカグサ十,ln 3:配∫ρ3εμ盈πo駕∫キショウブ十・2,ぬπ比π〃zう翻Zcα彦μノノ3
ヌカキ
ビ十,量n5:2『『〃め万∫’ヅお読61∼o≠o〃zαテンツキ十・2, ln 6:Xα漉雇躍μ‘αηα盈2z∫θオオオナモミ十,
in 7:五ッ∫∠2πα01z毎プb漉↓η8∫ヌマトラノオ+・2,1%砂goπオ‘〃墨ブ砂。πfo珈’シロバナサクラタデ+,(}か
8耀∫ピ万αコゴメガヤツジ十,Rz砂α如πZoηgがbZ如23ナガバスズメノヒエ十.
調査地Fundorte 1−7=Teich Hichihongi七本木池(20kt.1980)、
67
られる。ヌマカゼクサーギョウギシバ群落は,七本木瓜の岸部で得られた植物群落で,ギョウギ
シバ,ヌマカゼクサ,ホソイなどが岸部の水位の変動にそって帯状に生育している。植生高は30
∼70cmで,ギョウギシバが密生し,時にヌマカゼクサも高い植被率で生育している。ギョウギ
シバは長い旬枝を広げ,水位の深い方向へ群落域を広げている。
ヌマカゼクサ一計ョウギシバ群落は水位変動のはげしい立地に生育する水ぎわ植生としては,
他に報告がなく,新しい群落単位と考えられる。上級単位は現在のところ不明である。
42. カゼクサーオオバコ群集
Eragrostio ferrugi薮eae−P茎a無taginetum as圭at童cae(Tab.29)
農道やグラウンド,空地などの人が絶えず通行する場所に,地表1諦こ接して,わずかの種類に
よる群落が生育している。踏圧の継続によって,群落はまぼらになり,道路にそって帯状に,グ
ラウンドなどでは周辺部から中心部に向って帯状の配列となっている。
Tab.29 カゼクサーオオバコ群集
Eragrostio ferruginei−P互antaginetum asiaticae
蹴髭・ 鵜擁婁 :、漏・謡孟
Datum繭f且1
@ 調査課 17/46116/87/47/4
海 抜 岡
H6he U。 Meer(m):
4
3
0.8
植 生 高
15
10
20
20
20
網植被率
80
80
80
40
60
4
11
8
9
10
2
Gr6Be d. Probe飴che(m2):
0。5
H6he d. Vegetatlon(cm):
Deckung(1, Vegetation(%):
Artenzahl;
調査面積
出 現 種 数
Kennart d. Ass.;
群集標育種
Eヅα9ブ05”∫ノ診1γ∼‘9’加6α
カゼクサ
上級単位標微種
1。2 3。3 4・4 2●2 3・3
παノ∼’αgoα∫∼α痂α
オオバコ
4●4 1●2 2・2 2・2 3・3
Begleiter:
随伴種
Kennart d. h6heren Einheiten;
R)ααノηzz‘α
q:WO40/Z磁6言メ0ノ∼
スズメノカタビラ
ギョウギシバ
Z)ゴ9かごごτ’ゴα加oZα∫06/z5
アキメヒシバ
Eが98ノ’o/z6α刀α漉ノz舘∫
ヒメムカシヨモギ
シバ
Zの,5どαノα!)oη海α
十
●
●
!●2 2・3 十●2 1●2
. 】.●2 〕.●2 2●2
◎ 一{一●2 2・2 十●2
●
十。2 ÷ ・ ・
●
・ ・ 十●2 1●2
出現!國の種AuBerdem je einmal in Lfd. Nr.1:J」〃∼α’∫頗zz4’5クサイ3。4, in 2:0ぼαZおco初一
如4α’αカタバミ十・2,5αg加αノ砂。加‘αツメクサ十,ノ12艶ノπ露fαかぜノz紹ρ∫ヨモギ1・2,品5顔‘αノπッ醐05
ナギナタガや十・2,G/z昭)1エα盈‘脚ρ∼〃ψz〃ぞz〃μチチコグサモドキ十, Vゆη加。αα’4肥ノ説∫タチイヌノフ
グリ十, in 3=1%z/z∫∫躍‘〃3αZo♪8α〃ηf漉∫チカラシバ1・2, Ag’砂ッノリη舷〃’o頭カモジグサ十・2,
R醐∼躍ノ妙。加α∬ギシギジ十,in 4=凸∫♪α々〃〃痂μノz加’圃9々スズメノヒエ十・2,&5y’初訪如ηz副αノ漉α〃η
ニワービキショウ÷,Agフ『o漉∫cZαηα如var3z‘‘たα加ヌカボ十, in 5:EZ6∼‘∫加8∫π読。μオヒシバ2・3,
五〇♂加1πρθ1r8朋8ホソムギ十, Tノガb痂〃μ昭ρ例5シロツメクサ十, A∫妙”5zめ認α舐∫ホウキギク十.
調査地Lage d. Aufn. l u.4:Midorigaoka・danchi緑ケ丘団地,2,3u,51 Nishlumagaike西午
ケ池.
68
踏跡地にはオオバコが最も頻繁に繊現し,カゼクサがこれに加わる。カゼクサは比較的乾燥し
やすい立地で優占種となる。共存種にはスズメノカタビラ,ギョウギシバ,アキメヒシバなどが
あり,いずれも高い常在度で出現している。
半田市の踏跡群落は大部分がカゼクサを綾羅種とするカゼクサー綾羅バコ群集である。緑ケ丘
団地,西午ケ池で記録されたが,市域全域にもっとも普通に出現している。
k.耕作畑地雑草群落(シロザクラス)
Acker−UぬkrautgeseUsckaf重(C h e n o p o d i e t e a)
人間によってもっとも集約的に管理される耕作地では,栽培植物と共存する耕作地雑草の生育
形は多かれ少なかれ,耕作管理(耕起,施肥,除草,中耕など)に適応している。主に好窒素性
で初期生長が早く,強い種子散布能力をそなえ,短期間内に生活を終了する性質をそなえている。
43. カラスビシャクーニシキソウ群集
p量nellio 毛er飛atae−Euphorbietum pseudoc熱a加aesyc量s(Tab.30)
半田市内の各地(酒午ケ池付近,稲荷町など)における耕作地雑草群落は,メヒシバ,エノキ
難藁灘難
≒懇・
鱗1議、
認.
Fig。29 植えて間もないサトイモ畑に発達しはじめている畑地雑草群落
(カラスビシャクーニシキソウ群集) (平井町 海抜42m)。
Pinellio ternatae−Euphorbietum pseudochamaesycis
−Bestand kurz nach Pflanzung von Co♂o‘α5ゴα63α46/z’α(Hiτai−cho 42m.琶. NN).
69
Tab。30 カラスビシャクーニシキソウ群i集
Pinellio ternatae−Euphorbietum pseしldochamaesycis
Lfd. Nr. l
通
し番
牛
1 2
Aufn. Nr.:
画
二番
二
73 67
72 66 74
Datum d. Aufn.(1980)=
調
三月
日
6/310/1
6/13 6/8 6/3
H6he萌. Meer.(m)=
海
抜
渦
Gr6Be d. Probefl蓋che(m2):
調
査面
積
8 20
5 100 100
H6he d. Vegetation(cm);
植
高
!5 60
Deckung d.▽egetation(%):
全
Arむenzah1:
出
革被
現種
率
80 70
16 21
30 40 10
50 70 40
18 24 24
数
Kennarten〔1. Ass. u. Verbandes=
群集,群団標徴種
Ez4)んα’ゐ∼1α ∫’.4)ガ2∼α
コニシキソウ
ハ4ヒ)Z♂Z690カ8πご姥ρを)声ZZα
ザクロソウ
Rノ∼6z々αオ8,一〃α‘α
3 4 5
− 39 20
÷
●
2●2 十 十・2 十●2
・ 十・2 ・ ・
・ 1・2 ・
カラスビシャク
Kennarten d. Ordnung:
オーダー樗{徴種
%ノ・’κ♂αごαoZ〔ヲプζZビ8α
スベリヒユ
ホナガイヌビュ
十
2・2
1。1
2・2
2・3
2・2
8オ8〃αノゴαノ∼βgz6ご∫α
ノ、コヘ
2・2
2・2
2・2
PbZツ90/Zμ1πZO/19∼∫8甜〃Z
イヌタデ
十
●
十
Co〃〃π8たノzαco〃〃ノμθz∫∫
ツユクサ
シμザ
クラス標二種
●
1・2
●
2・3 十
●
0
●
・ 十
A〃zαノ・α〃’ゐz.∬・び∼1ノゴ漉∫
C1昭ノzgρo漉‘〃μαZわπノノ∼
Kennarten d. KlasSe=
1・2 十
・ 1・2
3・3 。
・ 十
z)’9’∼オωゴαζzゐ(’α’漉〃5
メヒシノ・
2・2
2・2 3・3
2・3 1・2
0躍α々∫‘o’フ∼∫αμ‘z’α
カタバミ
1・2
2・2+・2
2・2 十
Acα♂二〉少んααμ誕ゾαz∫5
エノキグサ
十
1。2十・2
!・2 。
〆1〃Zα1・αノ彦ん‘4∫Zゼ・乙ぜζゐ躍
イヌビユ
十・2
● ●
C‘ψ58ZZαゐ’‘’層5αプ)α∫’oが3
ナズナ
●
・ 十
&オζz,・∫αη〃・∫読∫
エノコログサ
Begleter:
随伴種
▽診1−0〃∫6α/)61膚∫∼ατ
o
● ●
1・2 2・2
。 十
1・2 ・
オオイヌノフグリ
十・2十・2
十
十・2
十
80ノκんκ50Z召rαα∼κ∫
ノゲシ
十・2
1・2
十
●
十
Eノ¶∫98ノ「0ノ∼5μ〃∼αオ1’8ノ∼∫ガ∫
オオアレチノギク
●
1・2
●
十
掬ααノz/z♂‘ζz
スズメノカタビラ
十
●
十・2
E9厩∫(須.〃παブz,oπ58
スギナ
α〃’α∫’々‘〃油・Z・∫記・漁5var.α〃9κ∫’{〆bZ∫1.〃〃
ミミナグサ
チチコグサモドキ
G/z妙11α々κ〃z/》∼〃ψ∠‘ノ88∼〃π
EC♂ψオαρrO∫オノ8α’α
タカサブロウ
Mα♂てノα sp.
アオイ属の一種
(汐ρ8ノマ‘5プ0ごZ〃κ∼セ‘5
ハマスゲ
メ1♂0ρ8αρ’Z‘5α6(μα々∫
スズメノテヅポウ
GαZfz〃〃畷)躍層∼μ〃’f.舘ノゴ905∼〃〃
ヤエムグラ
2・3
十・2
●
●
9
1。2
●
●
●
●
o
●
十
o
十・2
十
●
十・2
〇
十
2・3
0
●
■
十
十
o
●
●
●
●
■
十
●
÷
十。2
十
!・2
出現1回の種AuBerdem le einmal in Lfd.一Nr.1:左‘〕1z加oc11♂oαθ’∼‘∫・9αZ〃s.1,イヌビエ2・2, in 2;
A〃zαノ‘αノz”Lμ∫1>磁z4μ∫ホソアオゲイトウ!・2, EZ6z‘5加ε加4∫cαオヒシバ!・2, q)ゾ)8’層♂‘∫ガ1’∫αコゴメガ
ヤツリユ。2, yoz〃∼8’ぬブ4ρo加‘αオニタどうコ十, 三n 3:五μ〃∫z〃μα〃ψ/6誠ぐμ∼’∠6ホ}・ケノザ2・2,
Cαyα々αブ砧ρ07∼沈αヤブガラシ十・2, ゐα〃加4〃’ノ)z〃ソ)πノ「8z切’ヒメオドリコソウ十, 1n 4:0κα♂∫5
60ノ¶
b〃め03αムラサキカタバミ2・3,%1’o加。αα塑βη∫θタチイヌノフグリ2・3,君6/zッノ’αノz抗θ∫ノ詑‘〃僧忽イ
70
ノコズチ十,C醐α5親掛πgZo醒8∼り鷹κ尻オランダミミナグサ十, in 5:1晩読侃go 5α’加αムラサキウマ
ゴヤシ十, Eプαgフη∫診∼∫〃測Z彦此α配おニワホコリ十, C6漉ψθぬ.〃∼加加αトキンソウ十, ハ40腋‘go
麗ノ¶配認α雄クルマバザクロソウ十,GαZ加∫ogαご漉砿αハキダメギク十,搾り1孟。砲ぐ。αα〃下潮αノ∼αヨウ
シュヤマゴボウ十,
栽培植物KulturpHanzen:ln 2:孟ZZ’z〃μ’zめθro5♂‘〃多ニラ1・2, in 3=Z8α〃3α5}5トウモロコシ1・2,
in 4:・F}‘αgαr∼ααノzαノzα∫∫αオランダイチゴ1・2, R忽漉α〃zご5∫α口囲z‘3 vaLん。ノ惚ノz5∫∫ダイコン2・2,
Z)αz4‘κ5ごαノ窃αvar.∫α孟加αニンジン2・2, Z1”∼‘〃3ご砂αタマネギ2・3.
調査地Lage d. Aufn.1,3,4u.5:Nishiumagaike西午ケ池,2:Inari−cho稲荷町.
グサ,スベリヒユ,ホナガイヌビユ,コニシキソウなどの夏季雑草の常在度が高い。また調i査季
節が6月であるために,オオイヌノフグリ,ハコベ,ホトケノザなどの春季雑草が混生している。
半田市のこのような種組成をもつ雑草群落は,カラスビシャクーニシキソウ群集に含められる。
カラスビシャクの出現は比較的低いが,他の特有な区分種に欠けている。
耕作植物はダイコン,タマネギ,トウモロコシ,ニンジンなど様々な種類が栽培されている。
また家畜の飼育作物としてライ麦が栽培されているが,この畑地には春季雑草がみられる。現在
までの調査では,個々の栽培植物と雑草との種組成的な差はみられない。管理が粗放になるにし
たがってスギナ,ミミナグサなどの多年生草本植物が侵入,増加している(Fig.29)。
44. スズメガヤーヒメムカシヨモギ群落
Erαgrosだ8 c漉απeπ8js,Erεgεroπcαπαd8π8ε8.Gesellschaft(Tab.31)
川崎製鉄構内には,土砂堆積による海岸埋立地の他に,築堤によって海水を排水し,干拓化され
た広大な土地がある。この乾陸化した建地にはさまざまな植物が侵入生育しているが,やや凸状
の地形で砂土でおおわれた乾生立地にはヒメムカシヨモギが生育している。蒲生高は60∼170cm
に達し,時に密生する。他にメヒシバ,スズメガヤ,ケアリタソウ,アキメヒシバなどがみられ
る。またコマッヨイ,メマッヨィ,オオマツヨイグサなど,マツヨイグサ属植物が出現すること
が特徴の一つである。これらの種類は,海岸砂丘の人為的亡霊のあった場所に生ずることから,
川崎製鉄におけるこの群落域も,海岸砂丘によく似た立地条件をそなえているものと考えられる。
スズメガヤーヒメムカシヨモギ群落はシロザ,メヒシバなどの耕作地雑草群落と共通する種を
含むことにより,耕作地雑草群落のシロザクラスにまとめられる。
1.湿生埋立地1年生雑草群落(タウコギクラス)
Einjahτige PHanzengese1豆schaft auf Landgew茎nnungsn益che
(】Bidentetea 毛ripartiti)
海底砂や山砂などによって造成した海岸埋立地や干拓で生じた裸地は,一時的に1年生草本植
物によっておおわれるが,土砂の性質や状態によって成立する植物群落は様々である。海岸埋立
地の立地は一般に土壌構造が悪く,排水不良でしぼしぼ湛水状態となる。母材が山砂の場合は有
71
Tab.31 スズメガヤーヒメムカシヨモギ群落
Eノ僧αgプ05距5c漉αηθノz∫ゴ∫一Eガg’8roπ6αηα漉π5∫∫,Gesellschaft
a オヒシバ下.位群落 Untere1nheit von 8Z6z45∫2z8加漉Cα
b オオアレチノギク下位群落 Untereinheit von Eプガg82・ω∼5‘‘〃,αか8/z5f5
2黙: 晶晶 ila23b、
継:翻臨、 蕪鷺i覧樋遡
H6h・d. V・g・t・ti・n(・m)・ 植 生 高 i60120170150
Deckung d. V・g・…i・・(%)・ 全植被率 i 6・4・8・85
A,t。n、ahl、 出現種数 i16131211
Trennarten d. Gesellschaft l
群落区分種
Eがg8roηごαηα漉η∫∫5
ヒメムカシヨモギ
Erα9ノ℃∫‘ゴ∫‘漉αηo/z3ガ5
スズメガヤ
1●2十●2 十 0θηo訪θ’・αZασかzガα彦α
コマツヨイ
1・2 。 ・ 1・2
08πo〃z8ノーα ゐ∫8ηノz∫∫
メマツヨイ
08ηo孟1z8/uθプγ1〃η5θρ認α
オオマツヨイグサ
下位群落区分種
Trennarten d. Untereinheiten=
EZα∬ごノz6かz4/6α
オヒシバ
十●2 1●1 4●4 4●4
■
十 ・ 十 ・
3・3 ・ 。 ・
1±!3_1!3i ● ・
…
1 ・_.__._1
E痒9ε「oπ∫瑚’α’1でπ∫’∫ オオアレチノギク
i ・ ・i2・21・21
A、,、。,伽Z。飾 ホウキギク i.■+.21.1i
⑳・・岬卿・・励 イガガヤ・・ レ・画螺
Kennarten d. h6heren Einhe玉ten: 上級単位:の種 i
D∫・∫・・・…ゐ…蜘・・ メヒシ・・ i・・32・23・3…
C伽・汐・伽…〃・ム・η・∫・’4・・ ケアリタソウ i・3・32・21・2
α9’・・磁醐…・・ アキメヒシ・・ i・+・2+・21・2
ミ
qyρ8’・照ノ加61‘oか∫α カヤツリグサ ・ 十 十 十
C/18/zoρ04加μαあzzノπ シロザ ・ (十) 十 十
Begleiter: 随 イ半 種
ん伽醜加脚5 ヨモギ 12●2●++●2
出現1回の種Auβerdem le elnmal in Aufn. Nr.1:5伽ノ8∫α声うθ痒アキノエノコログサ2。3,%ら」
go〃泓η’π040∫z4〃」オオイヌタデ+・2, K%〃〃με’η麗α∫診ノ闇狡孟αヤハズソウ十, C1∼8ノ∼oρ04加πg♂側oz‘〃,
ウラジロアカザ1・2,5071911z‘〃ノ三αをρ6/z∫βセイバンモロコシ1・2,.8∫漉〃∫μ♂o∫αコセソダソグサ十,
58∫αプ∫α加r∫読∫エノコログサ十・2,(汐ノzo40/zぬ‘診ッZoηギョウギシバ十, in 2:Gπα助αZ∫z4〃z峨’28
ハハコグサ1・2, G/zαρ11α♂∫z〃πρ醐ψz41rα〃πチチコグサモドキ÷, 30/zc1臨∫oZ8ノ『ασ8zz∫ノゲシ十,
五♂‘4τ厩9’∼α8があ飯0ゴ漉5チョウジタデ+,(汐φ8耀∫加勿0加6μ∫アオガヤツリ+.
調査地Fundorte:;1−41 Kawasakiseitetsu川崎製鉄構内・埋立地.
機物の混入も多く,富栄養条件となりタデ類や耕作地雑草をはじめとする好窒素性の草本植物が
一時的に繁茂しやすい。一方海底砂の堆積上は一時的に塩生植物が生育するが,塩分含量:が少な
いところではオオクサキビやホウキギクなどが生育し,山砂:立地とは異なった別の群落が形成さ
れる。
72
45. イヌタデーイヌビエ群落
po匂goπ田πεoπgεsε如ηz.Ec配πoc配。αc凱s。gα互Zε一Gesellsc血aft(Tab.32)
海岸の埋立地は,海底砂をサンドポンプで吸上る場合と,陸地から山砂を運搬する場合とがあ
る。イヌタデーイヌビエ群落は主に山砂を運搬して堆積した埋立地に生育している!年生草本植
物群落の一つである。
イヌタデーイヌビェ群落は,イヌタデ,イヌビエ,オオイヌタデを区分種とする。さらに他の
類似群落と共通する植物としてメヒシバ,アキノエノコログサ,ツユクサ,ハコベ,ヤハズソウ,
スズメノカタビラなどの1年生草本植物が混生している。とi二1現種数は14∼27種(平均23種)であ
る。群落区:分種および他の随伴種の多くは,耕作地雑草である。したがって運搬された土壌は,
比較的栄養塩類に富む土と推定される。しかし,埋立地では土壌構造が悪く,排水不良となって
いるため,水田や河辺に多いイヌタデ,オオイヌタデなどのタデ属やイヌビエなどが多数嵐現す
ることになるQ
イヌタデーイヌビエ群落は,立地の質的なわずかな差によっていくつかの下位群落が区分され
る。オオクサキビ,ヒエガエリ,コニシキソウ,スズメガヤ,コマツヨイなどで区分される植物
は,群落内ではもっとも含有栄養塩類の少ない砂質土を主とする立地に生育する。ヨウシュヤマ
ゴボウ,ヤエムグラで区分される植分はもっとも當栄養な立地を指標している。またヒメムカシ
ヨモギ,アシボソ,ヨシで区分される下位群落は多年生草本植物が他よりわずかながら多く,遷
移が進んでいる植分と診断される。
いずれにしてもイヌタデーイヌビエ群落の生育する埋立地は,山砂を主体とする栄養塩類に富
んだ土壌で,塩分は全く含有していない。したがって排水を考慮すれぽ,環境保全林などの形成
に適した立地といえる。
46。 ケイヌビエーオオクサキビ群落
Ec1己επocんZoα cr郡s一σαπεvar. cα㏄dαfα一Pαπ’cπ7π dεcん。‘ωπε170rπηε・Gesellsc熱aft (Tab.33)
海岸埋立地にみられる先駆性1年生草本植物群落の一つにケイヌビエーオオクサキビ群落が生
育している。ケイヌビエーオオクサキビ群落は,干拓によって生じた裸地や,サンドポンプで吹
き上げられた海底砂の上で,常に湿った状態の土壌上に生育する。オオクサキビ,ホウキギク,
ケイヌビエ,メヒシバなどが高い常在度で出現し,相観が画一的で出現種数も6∼11種ときわめ
て少ない(Fig.30)。
ケイヌビエーオオクサキビ群落は,同じ埋立地に生育するイヌビエーイヌタデ群落とよく似た
相観と立地をもつ群落である。しかし,ケイヌビエーオオクサキビ群落はより貧養で極端な立地
条件下にある。両群落は同じ上級単位のタウコギクラスに所属している。
73
戴
唾
壷
鞭
購
嚢
鷺
感興磁
Fig.30 海岸埋立地に繁茂するケイヌビエーオオクサキビ群落(川崎製鉄構内)。
Auf feuch{en Landgewinnungsflachen w装chst die Eご乃1〃。ぐ1∼/0αθ・”5−g‘〃!var.
6αμ4αオα・んノ∼’ビ∼〃〃 (ゴ∼ごん。’o〃∼微〃・∼‘〃’一Gesellschaft(Kawasak重seitetsu).
Tab,33 ケイヌビエーオオクサキビ群落
Eclz〃∼o‘1∼♂oαご〃‘∫晋α〃∼var.α∼z’6厩α一Pαノ∼1α〃ノ∼漉ご1∼o’o〃∼確。〃〃〃一Gesellschaft
Lfd. Nτ.= 通し番号 i 1 2 3 4 5
Feld−Nr.: 言周 査 番 号 i 228 229 87 25! 244
Datum d. Aufn.: 調査年月日 :9/309/309/309/309/30
Gr6Be d. Probe飴che(m2): 調 査 tド1{積 i 9 9 5 8 2
H6he d. Vegetation (cm): 鋸{ d三 i高 1 130 150 40 80 40
Deckung d。 Vegetation(%): 全脳被率 ;7070708070
Artenzah1= 幽現種数 : 6 7 91011
Trennarten d. Gesellschaft:
群落区分種
ルノ∼∼α‘〃1読61ZO’0〃㌍0〃〃〃
胆嚢クサキビ
3●3 3●3 4●4 4.4 十。2
Ec伽・・1∼♂・αc燃一9α♂Z∼var.ごα∼κ伽α
ケイスビエ
1・2 1・2 1●2 2・2 !。2
Begleiter:
随伴種
孟∫置6ノ・説めz4αオ’‘5
3・3
十
1・2
メヒシバ
・ 十・2
十
1。2
十
オオアレチノギク
十・2十。2
●
●
〇
○
o
●
●
o
ホウキギク
D∼9’彦αノゴααゐ68〃盈ノ∼∫
E’躍∼961¶oη5z‘2/zα彦’鳥θ1z∫∼∫
盈1’α9〃漉85α‘‘∫彦1僧α♂∼∫
A5オθプオノ’ψo痂〃η
ヨシ
ウラギク
EoZψ∫αρ7’05孟ノ層α顔
タカサブロウ
CM,8ノ書κ5♪oZly∫診α61Zlyo∫
α∼θノ∼0♪0読μη多α〃1かノ’05ガ0∼漉∫
3・3 3。3
十
2・2
●
十
●
●
十
十
●
イガガヤツリ
●
o
十
〇
3・3
ケアリタソウ
●
●
●
十・2十・2
74
鵬現1回の種AuBerdem je einmal in Aufn. Nr.1;38‘α潭α9∼α鷹αキンエノコロ 1・2, in 3=
A彦1ψあん肱∫診α如ホコガタアカザ十。2,(砂61’μ5gのみ05κ∫アゼガヤツリ十,玉n4:5厩αがα∫励8万
アキノエノコロ2・2,%如goπ乏〃2けzo60∫z6アμオオイヌタデ十・2,%Z){go72z‘〃3 Zo/zg’∫∫6薦〃3イヌタデ1・1,
.4ブ∫8加5∫α少r〃z‘8♪∫ヨモギ十,in 51(勉少81躍∼∫∫ηψρo麗‘こ‘∫アオガヤツリ1・2, DψZα01Lη8/2‘5‘αハマ
ガヤ1・2,(漉ρ8ノ’∼∬力勿コゴメガヤツリ十。2,」酵〃zうノ『∫5’),々∫5詑う。♂漉ゼインヤマテンツキ十・2,E♂8∼‘∫加8
加4北αオヒシバ十.
調査地Fundorte:1−5:Klawasakiseitetsu IH崎製鉄構内.
m.水田雑草群落(イネクラス)
Reisfeld・Unkrautgese1蓋schaft(O r y z e t e a s a t i v a e)
水田には,畑地と同様にイネと共存する雑草が生育している。水田の場合,人為的な管理は耕
起,施肥,除草,中耕などの定期的な作業に加え,夏季のイネの栽培期間は5∼10cm内外の湛
水,秋季から春季にかけては排水,乾燥化という,水分条件が独特な立地条件となっている。
水田雑草は大部分1年生の水生植物であり,イネとよく似た生育形をもつ植物もある。夏季の
水田雑草はイヌビエの他は大部分小形植物で,地表面のわずかな空間をしめている。
47. ウリカワーコナギ群集
Sagittario−Monochorietum(Tab.34)
半田市には阿久比川にそう低地を広く水田地帯が占めている。水田雑草は,コナギ,ホタルイ,
マツバイ,ウリカワ,イヌビエ,チョウジタデなどが生育している。このような組成をもつ水田
雑草は本州に広く分布するウリカワーコナギ群集の特徴に一致する(Fig.31)。
半田市のウリカワーコナギ群集には3つの亜群集レベルの群落がみられる。ウリカワ亜群集は,
やや排水不良な水田に生育し,新生町で記録された。一方アゼナ亜群集は,排水がよく,乾燥化
しやすい水田を指標する。両者の中間的な性質をもつ水田は典型亜群集である。このような雑草
フロラ組成の差は,立地の質,さらには,イネの収穫量にも関係している。一般にアゼナ亜群集
の方が,ウリカワ亜群集よりイネの栽培に適した立地である(M1yawaki 1960)。
n.短期1年生草本植物群落(罎性イゲサ群落)
Kurz豆ebige Zwergp丘a蹴zengeseHschaften(N a n o j u n c e t e a・Gesellschafte皿)
河川の下流域や湖沼の岸部または水田のあぜなどにおいて,水位の季節的変化が徐々に行なわ
れる立地には,1年生の短1性草本植物による群落が一時的に形成される。一般に群落は,草丈の
低い,カーペット状の相観を示しており,10∼20種の比較的出現種数の多い編垂を形成している。
カヤツリグサ科のテンツキ属カヤツリグサ属,ゴマノバクサ科のアゼトウガラシ属,アカバナ
科のチョウジタデ属などが主要な群落構成種であり,立地の差,とくに土性と栄養分の多寡によ
って,様々な植物群落が形成されている。
75
Tab.34 ウリカワーコナギ群集
Sagittario−Monochorietum
a ウリカワ亜群集 Subass. von Sagittar玉a pygmaea
b 典型亜群集 Typische Subass.
c アゼナ亜群集Subass. von Lindernia procumbens
Spalte:
1二fd. Nr.=
Aufn..Nr.:
Datum d. Aufn.(1980):
Gr6Be d. PrGbe飴che(m2):
Hδhe d. Krautschicht−1(cm)=
Deckung d. Krautschlcht−!(%)l
H6he d. Krautschicht−2(cm):
Deckung d. Krautschicht−2(%)=
群落区分
通し番号
調査番号
a b c
! 2 3 4 5
29 30 2! 26 25
調査月 配
7/3 7/3 7/6 7/4 7/4
調査面積
草本第1層の高さ
草本第1層植下率
草本第2層の高さ
草本第2層植被率
Artenzah1:
幽三種数
Kennart d. Ass。:
群集標徴種
M∂220Cん0磁ηα9かzαZ∫5 var.μα・z’卿ノ∼θα
コナギ
Trennarten d. Subass.:
薫群集区分種
K−2
10 6
4
50
50
40 40
40 50
30
50
50
50
60
60
6 5
20
30
35 20
7 11
25
30
11
13
7
・ 1。2 3●3 1・2 1・2
3α9漉α1『ガαρ)!9〃雌。α
ウリカワ
K−2 08ηαノ∼〃∼8ノαηαノzたα
セリ
K−2 十 ÷: 。 ・ ・
㍑ノπ々ηz∫αρ”oα〃ノ3加ノz5
アゼナ
K−2
・ ・ 十 1十●2 1・2:
α♂々か・ガ。ん8”8ノブzα
ミズハコベ
K−2
… …十・2 十i
Klennarten d. Oryzetea:
イネクラスの種
&カψz451∼o彦αノ『z躍
ホタルイ
K−2
o
E♂εOC1∼αプおツ0ん0∫ごθノZ5∫∫
マツバイ
K−2
十
E而π・ご1∼.Z・α・プz43−9α〃ガvaLρ’¶αだω♂α
イヌビエ
K−!
●
Ro∫αZαゴη漉6α
キカシグサ
K−2
嚇,81¶ε‘∫漉卿ノ¶〃’ゼ5
タマガヤツリ
K−2
Begleiter:
随伴種
αツ潔5α‘加α
:3●3 2●3: ● 。 ・
1・2
●
2●3 十●2 十●2
・ !・2 2・2
十
・ 十 十
●
十
。 十・2 ・
●
●
・ ・ 十。2
イネ
K−1
3・3 3・3
2●3 4●4 4・4
A刀8πθ〃zαゐβゴ∫αた
イボクサ
K−2
÷ ・
1・2 十 十
々‘故θ∫9ガαメη阜05’ノ’α孟α
チョウジタデ
タカサブロウ
K−1
。 十・2
K−2
十・2十。2
ホシクサ
K−2
0 ●
E‘Zψ’α♪1’o∫か’碗α
E1−fo6αηZO/Z 3∼8ゐ0♂漉αノZ,〃π.
十 ÷ 十・2
・ ・ 十
1・2 ・ 十
出現1幽の種AuBerdem le einlnal in Lfd.一Nr.1:恥4ro‘o‘ツZoノノ’αノ痂〃’α ノチドメ K−2一十・2,
in 2:EZα‘加厩万αノz4>8αvar.ρ8漉ご8Z♂α彦αミゾハコベK:一2−!・1,.施1η麗。αz‘π6ゐ4α’‘zカワジシャK−2一
十・2,in 4:5α9・漉ω一fαα9〃zα5痂アギナシK−2一十, in 5:α漉ψθぬ7μ謝〃’αトキソソウK:一2一十。2.
調査地Fundorte l u.2=Shinsei・cho薪生町,3−5:Jusanzuka−cho十三塚町,
76
薇薦包遥遥
評幽鬼
犠
.脚継競灘麟。_覇 灘難鰭.i繋奪
Fig.31 阿久比川ぞいの低地に広がる水田(ウリカワーコナギ群集) (海抜10m)。
SommeraspektdesReisfeldes(Saglttario−Monochorletum)(10mU.NN).
48.アゼトウガラシ群集
Va装dellietum angusもifo1量ae(Tab、35A)
アゼトウガラシ群集はアゼトウガラシが総総種となり,スズメノハコベ,オオアブノメで区分さ
れる短期1年生草本植物群落で,おもに水照のあぜの水ぎわに発達し,秋季水田の水量が減少し
たあとの,水田土壌上にも一時的に繁茂する。また,過窒素化した河川の津部などにも生育する。
群落高は20Cm内外で50∼100%の植被をもち,アゼ;・ウガラシ,ヒデリコ,アゼナ,チョウジ
タデなどが主要な上級単位の標徴種である。
群落の分布は関東地方から遠く熱帯地方に及ぶ。半田市内では,八議谷池付近の水田地帯に出
現している。
49. アゼガヤツリ一議ワラスガナ群集
Cyperet穫m globoso−saRguinolent量σ’ab.35B)
アゼガヤツリーカワラスガナ群集はため池の岸部や放棄水田などの砂質土上に生育し,カワラ
スガナ,アゼガヤツリで標徴される。前記の群集より貧養な立地に生じる。植生高は40cm内外
で,主にカヤツリグサ属(qyρ87闇祝5)が多いことが特徴の一つである。川崎製鉄埋立地内で記録
された。
77
50. シロガヤツリーメアゼテンツキ群落
C翌pεr配spαc薦。πs一飛7πbrε8匂」ε80召‘αfα.Gesellscha{毛(Tab.35)
シロガヤツリーメアゼテンツキ群落は関東地方で報告されたアオテンツキ群集によく似た群落
である。水位変動のややはげしい河川や池沼の岸部にみられる。生育地の基質は粘性の強い土壌
であるが,栄養分は少ない。宝来町回三池で記録された。
51. ヌマカゼクサーコアゼガヤツリ群落
Elrαgms麗sα(μαだ。α一〇〃Pθrπ8んαεPα滞Gese茎呈sc数aft(Tab.51D)
ヌマカゼクサーコアゼガヤツリ群落はヌマカゼクサーギョウギシバ群落セこ隣接して,多少とも
有機質が堆積してより富栄養化した不安定な立地をしめる。ヌマガヤッリ,テンツキが優占種と
なり,ギョウギシバ,アゼムシロなどの多年生草本植物も多く,むしろ,ヌマカゼクサーギョウ
ギシバ群落の一下位単位として扱かうこともできる。七本木池で記録された。
o。浮葉・沈水草本植物群落(ヒルムシロクラス)
Schwimmbla畑中anzengese1韮schaf毛en(P o t a貰n o g eもoneもea)
半田市域は集水域の狭い低平な丘陵地形であるため,水利に恵まれてはいない。したがって,
谷部を人工的にせき止めた貯水池が各地にみられ,古くから農業用水の確保につとめている。こ
れらの池沼の大部分は水位変動がはげしいため,水生植物,とくに浮葉草本植物や沈水草本植物
の生育地は比較的まれである○
52. ヒメビシ群落
Trαpαεπcεsα.Gesellschaft(Tab.36A) ・
松堀池で調査されたヒメビシ群落はヒメビシ1種が湖面を60∼70%の被度でおおい,他の共存
種をもたない単純な組成となっている。水質は透明度が低く,富栄養化が進んでいるものと考え
られる。
53. ガガブタ群落
N〃η1pん。εdεsぎη4εcα・Gesellsc数aft(Tab,36B)
池韻町大池にはガガブタの密生した植分が調査された。水深は60cm内外である。
半田市におけるガガブタ群落はいずれも断片的であるが,広域的な種組成の比較では,ガガブ
ターヒシ群集Nymphoides indica−Trapa laponica−Ass.に所属するものであ
ろう。ガガブターヒシ群集は,本州∼九州の主としてヤブッバキクラス域の池沼(富栄養)に分
布域をもち,ガガブタ,ヒシ,アサザ,コウガイモ,ヤナギモ,ホザキノフサモなど10数種の水
生植物で構成されている。半田市の池沼の場合でも,湛排水を停止し,そのままの状態で保護さ
78
Tab.36 浮葉・沈水草本植物群落
Festwurzelnde Wasserp8anzen−Gesellschaften
Aヒメビシ群落1乃’dψα∫η6∫∫α.GeseUschaft
B ガガブタ群落 珊ηψん。ガ漉5∫η読6α一Gesellschaft
C ヒシ∼ク・モ群落:乃一砂αノ妙ω漉α一鈎緬ガ♂ατo漉ごぜZZα彦α一Gesellschaft
B
l A
Lfd. Nr.= 通し番号 1 2
Aufn.一Nr.: 調査番号 … 16 !7
Datum d. Aufn.(1980): 調 査 月 臼 7/6 7/6
Wasse・・i,f。(・m)、 水 深 1一一
G・・B・d・P・・b・…h・(m・)・ 調査面積 {94
Deckung d. Vegetation(%)= 全植被率 Trennart d。 Gesellschaft:
群落区分種
ヒメビシ
Trennart d. Gesellschaft:
群落区分種
ハ疋y〃ψん。∫漉∫カz読。α
ガガフタ
群落区分種
Trennarten d. Gesellschaft:
4
14
22
7/5
10/1
60
9
4
1
2
65 70
A…n・ah1・ 出現種数 i・・
1乃「砂α∫ノκノ5召
C
3
14・4 4。41
●
●
●
■
●
15・51
:乃一砂αノ砂。/z∫ごα
ヒシ
o
●
●
恥め層〃αηβ漉6〃漉α
クロモ
o
●
●
幽
調査地Lage d. Aufn.1,2u.4:Matsubori−ike松堀池,3:1keda−cho Oike,池田町大池.
れれぽ,ガガブターヒシ群集に発達する可能性がある。また,貧養性の池沼に分布するジュンサ
イーヒッジグサ群落に発達する池沼の存在も考えられる。
54. ヒシーク隣モ群落
Trαpαノαpoπεcα一17〃4rπ」α oθ∫∫εcεπαfα隔Gese難schaft (Tab.36C)
ヒメビシ群落の生育地と同じ松堀池の一角で,ヒシとクロモの生育する植分がみられた。ヒシ
は水面をおおい,その下に沈水植物のクロモが霜被度で生育している。
P.浮水植物群落(コウキクサクラス)
Wasserlinsendecken(L e Hm e毛ea・Gese貰玉schaf重en)
春から夏にかけて湛水された水田には,水面が緑のカーペット状におおわれる浮水植物群落
(コウキクサクラス)がみられる。コウキクサクラスの植生は,水湿,水分に含まれる栄養塩類
のちがいなどによってすみわけを行ない生育している。半田市からは3つの群落がまとめられて
いる。
55. アオウキクサーアカウキクサ群落
ゐε7ππαpα祝cjco8fα施・」4zo置互α」ηめrεcα加一Gesel監schaft(Tab,37A)
アカウキクサ1種で区分されるアオウキクサーアカウキクサ群落は,十三塚町の水田から調査
79
資料が得られている。アカウキクサは,西南日本の温暖地帯にみられる常緑のシダ植物である。
半田市では冬季も水温のあまり下がらない井戸水の湧く立地に生育がみられ,夏季に井戸水を利
用している水田地帯へ2次的に栄養繁殖を行なって生育域をひろげていると判定される。アオウ
キクサーアカウキクキ群落の立地は,他のコウキクサクラスの植生にくらべ,栄養塩類は多くな
く,冬季の水温によって生育域を限定される植生である。
56, アオウキクサーウキクサ群落
Lθη蹴αpαπcεcos∫α彦α.Spεro{」θ’αρoZ〃rんε2α・Geseilschafも(Tab.37B)
アオウキクサーウキクサ群落は,半田市の水田地帯にもっとも一般的な植生であってこの地に
かぎらず,日本全国に広くみられる。群落区分種となったウキクサのほか,構成種のアオウキク
サのどちらも1年生植物で冬季には枯死するため,秋季から春季にかけて,排水される耕作水田
にはよく適応した生活形となっている(Fig。32,33)。
アオウキクサーウキクサ群落はウキクサを区分種とする。ウキクサの優占する品分が多いが,
上定光町の肥料三跡にみられた植分では,アオウキクサのファシスが確認されている。アオウキ
クサーウキクサ群落の植被率は,いずれも80%以上と高く,とくに風の強い日では,水田の風下
側に100%近い植被を発達させる。アオウキクサーウキクサ群落の立地は,小河川からの栄養塩
類の多い水,あるいは人為的に投入された肥料により,極端に高窒素化している。生態的同位群
集と半ll定されるヨーロッパのウキクサ群集:Sp量rodeletum polyrhizae(Kelhofer
lg15)W. Koch lg54 em. R Tx. et Schwabe 1974では,環境汚染の指標植物群落としての有
効性が報告されている。
アオウキクサファシスの立地は前述されているように肥料鳥跡にみられたが,現在は水分収支
を降水にのみ依存し,他からの水分供給を受けず,やや貧養化している。
57. ウキクサーイチョウウキゴケ群落
Spεro4θZαpoJ〃r配zα・、Rεccεocα7pπ5πα施π8・Gesellschaft(Tab.37C)
ウキクサーイチ。ウウキゴケ群落は,クワイの栽培されている湿田から調査資料が得られてい
る。優騙するイチョウウキゴケを区分種とし,クワイの葉によって被陰された直射日光をさける
立地でとくにイチョウウキゴケの活力度は増大する。ウキクサーイチョウウキゴケ群落は80∼95
%の植被率を有し,他にウキクサを随伴することが多い。調査面積は,いずれも30×30cmで得
られ,水深は1∼6cmにおよぶ。ウキグサーイチョウウキゴケ群落の立地は,上述した被陰の
影響のほかに,とくに水中に浮遊物が多く,透明度が著しく悪い。栄養塩類の量は,アオウキク
サーウキクサ群落同様に多いのは,耕作地に共通した条件である。
ヨーロッパのイチョウウキゴケ群集:Ricciocarpetum natantis(Segal1963)em.R
Tx.1974は,ウキクサーイチョウウキゴケ群落の生態的同位群集と判定されるが,丁琶xen(1974)
讐
Tab.37 コウキクサクラス Lemnetea minoris
A
アオウキクサーアカウキクサ群落 ムβ1〃∼α♪αzκ’‘05診α’α一∠4.切Z♂α’〃めr∫‘漉α一GeseUschaft
B
アオウキクサーウキクサ群落 ゐ8〃〃∼π1ウα♂‘‘飴。∫’α如一5♪∼ノ’o漉♂α汐。むrノ∼∫照.GeseUschaft
bl
アオウキクサ ファシス Fazies vonゐε〃〃∼α♪α’κ’oo∫’α彪
C
ウキクサーイチョウウキゴケ群落5ρ∫ノ’o漉Zαpo♂y1ヱたα一R∼6c’o‘α’プ)”5ノ∼α’α〃∫.Gesellschaft
lb正l C
Spalte:
群
落
区
分
Laufende Nr.;
通
し
番
号
Al B Feld..Nr.:
調
査
番
号
27 20 12 13 !! 05 06 09 10 07 08 0! 02 03 04
Datum d. Aufn.(’80):
調
二
月
難
Gr6Be d. Probefiache(m2)二
調
丁
日i
Deckung d. Vegetatiom(%)
Artenzah1.:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 !0 11 !2 13 14 15
7/3 7/6 6/9 6/9 6/19 7/5 7/5 6/9 7/3 7/4 7/4 7/6 7/6 7/6 7/6
0.05 0.12 0,09 0.16 0.09 0.25 0.09 0.09 0.12 0.01 0.01 0.09 0,09 0.09 0.09
被
率
40 40 95 90 90 95 95 90 90 98 80 95 90 85 80
現 種
数
23!12223332222!
Trennarten d. Gesellschaften:
群落区分種
ノ1之。μα ガ〃z∂ノーガビα’α
アカウキクサ
5μ7・・認α♪めノ’鹸α
ウキクサ
R∫αゴ06αノブ)”5〃α‘αノ∼∫
イチョウウキゴケ
Arten d. Lemnetea;
コウキクサクラスの種
五{∼〃〃∼α/)α1κ’ビ05’α孟α
アオウキクサ
ゐ(∼〃〃∼α sp.
ウキクサ属の一種
調査地Fundorte:Lf(1. Nr.1,2:Jusanzuka−cho十三塚町,
9:Sh三nsei−cho新{:1 モIH∫,10,1L Kamlloko−cho一.1二定光町.
〔:巽亙1}31「 ・ ・ …
0 ● り ● ● ● .
2・2十・2
●
・ 2。3
o
●
●
●
・ ・俗三5、15・45・55・55・5
十 一1一〇2 4・4
r
2●3 363 4●4 ●
2●2 .; . 十・2 十
・ ● ● ●
2。3 2●2 1・2 ●
+甑妊4・54・4遍i
2・2 15.」^ら’...ら.」.ちi ・
● ● ● ● ● ● ● ●
●
●
3,4=Kitafutatsuzaka−cl}o珂ヒニツ坂111∫, 6,7:Sumiyoshi−cho佃三吉田」’,
●
●
●
81
Fig.32 水田の水面をおおうアオウキクサーウキクサ群落。栄養分が多量なため
ウキクサの繁茂がいちじるしい(十三塚町 海抜35m)。
Dichter Bestand der L8/2〃∼α1曜’‘‘∼‘o∫餓餓一碑)〃℃46Zα♪oZッrノ∼たα一Gesellschaft
auf einem Reis圭eld.(35 m U. NN).
Fig.33 アオウキクサーウキクサ群落の相観(上定光町 海抜43m)。
Physiognomie(lerムβ〃∼〃αカω∼6’60∫‘鷹α一β♪ガフη漉ZαρoZツ1流詑α一Gesellschaft
(Kami−joko・cho 43 m U. NN).
82
は,群落の生育を許容する主動要因として,被陰,冬季の水温のあたたかさ,風の影響の少ない,
そして汚染の進んでいない立地をあげている。
B 現存植生図 Karte der realen Vegetation
半田市域の現存植生図は縮尺1万分の1で原図が作製された。同時に,着色した現存植生図が
同縮尺で印刷された(付図1,2参照)。
半田市内で記録された56の植物群落は,群落形態や類似性,さらに分布の規模や重要性などを
考慮にいれ,群落数23,その他4,計27の凡例にまとめて図化された。
作製された現存植生図からは半田市の現在の姿,とくに植生で代表される自然環境の豊かさの
実態が一目で理解される。市域の西方の丘陵地や斜面部には代償植生ではあるが,比較的質の高
いクロバイーアラカシ群落やクロマツ高木植林が広く残存している。また,ため池周辺には一様
にヨシ群落をはじめとする池沼植物群落がみられる。沖積地はウリカワーコナギ群集域が広く分
布し,東部の低湿地に連続している。市街地から工場用地にかけて大部分灰色の無植生域となっ
ており,環境保全林形成の必要とされる地域がおのずから理解できる。海岸埋立地には土壌状態
に応じてさまざまな1年生草本植物群落が生育している。
1) 東部地区(亀崎地区)
阿久比川によって地理的に区分された半田市東部は地形的に丘陵地と稗田川水系沿いの沖積低
地,さらに臨海部の埋立地からなる。
有脇町,東生見町,平地馬場町,亀崎高根町,亀崎相生町などが位置する丘陵地は,住宅地あ
るいは,水田や畑地に多く利用されている。森林景観は平地馬場町から亀崎相生町にかけてみら
れ,クロバイーアラカシ群落 クロマツ植林,アメメガシワーハゼノキ群落などが草原景観のチ
ガヤやススキ油分とともに,モザイク状に分布している。ア下戸ガシワ一画ゼノキ群落のみられ
る立地は段々状になっており,かつて農耕地として利用されていた。亀崎町の神前神社には小面
積ながらヤブコウジースダジイ群集のタブノキ亜群集の現存林分がみられる。また東向きの斜面
には,ムクノキ一睡ノキ群集が湧水の多い斜面上に生育している。
有脇小学校,亀崎小学校,亀崎中学校など公共施設には,サンゴジュ,クロガネモチ,イチョ
ウ,ヤマモモ,マテバシイ,クスノキなど植栽樹の並木がみられる。同様に植栽されたモウソウ
チクは,都市開発の進んでいない農家の周辺部や丘陵斜面部にみられる。草原景観で特に多いの
は,カラスビシャクーニシキソウ群集の他,畑地雑草群落と住宅地に結びついてみられるセイタ
カアワダチソウ群落や,ユウガギクーヨモギ群集などヨモギクラスの植生で,宅地造成用に放棄
した耕作地に生育する。
上定光町,東大矢知町,北大矢知町,南大矢知町,さらに長根町,乙川西宮国丁に及ぶ丘陵地で
83
は森林景観が残されている。とくに弁論光町,新池町,乙川白山公園などの斜面に比較的よく残
されているクロバイーアラカシ群落がある。他には,クロマツ植林,アカメガシワーハゼノキ群
落モウソウチク林が点在してみられるが面積は少ない。草:本植生は耕作畑地のカラスビシャク
ーニシキソウ群集がもっとも多く,ついでウリカワーコナギ群集の分布が広い。放棄畑には,ヒ
メムカシヨモギ,オオアレチノギク,シロザなどが生育し,さらに時闇の経過した立地にはユウ
ガギクーヨモギ群集,セイタカアワダチソウ群落,チガヤーススキ群落,アキノノゲシーカナム
グラ群集などがみられる。三池町の丘陵には,チガヤーススキ群落が広く生育している。これら
の植分はクロマツ植林が伐採された跡地あるいは耕作畑放棄地に復元する途上の群落である。
籠池,葭池,雨池などタメ池を含む小水系沿いはウリカワーコナギ群集やウキクサクラスの生
育地になっているが,稲作管理の放棄された立地には,ミゾソバーヨシ群落ガマ群落,チゴザ
サーアゼスゲ群集などが侵入,生育している。
県道西尾一知多線の通る沖積低地と阿久大川東側の沖積低地は,広く水田に代表されるウリカ
ワーコナギ群集,ウキクサクラスの生育分布域になっている。灌概用あるいは防災用に水系をせ
きとめて作られた上池や七本木池にはヌマ日溜クサーコアゼガヤッリ群落,ヌマカゼクサーギョ
ウギシバ群落 ヨシ群落,ジャヤナギーアカメヤナギ群集などが水辺から帯状に生育分布してい
る。また宅地造成用に水系を埋め立てた美原町や庚申町の一部は無植生化している。現在も埋立
の進んでいる乙川太田町の水田埋立は完了しており現在,メヒシバ,オオクサキビ,イヌビエな
ど1年生の夏季雑草の生育地になっている。
乙川栄町,乙川市場町,乙川高良町,乙川吉野町,阿原町などの沖積低地は市街地化され無植
生域が多い。しかし,前田町,飯森町,乙川殿町の一部には,クスノキ,サンゴジュ,クロガネ
モチ,イチョウなど植栽樹が多く,緑の多い住宅地が発達している。
武豊線や国道336号線の走る臨海部は埋立地が多く,工場,住宅地あるいは水田と多目的に利
用されている。稲穂町,高砂町など比較的時代の古い埋立地はウリカワーコナギ群集やカラスビ
シャクーニシキソウ群集などの農耕地あるいは住宅地が広い面積を占めるのに対し,州の崎町,
日東町,乙川末広町,東億田町は主に工場地帯となっている。埋立作業は現在も進行中で,イヌ
タデ イヌビエ群落,スズメガヤーヒメムカシヨモギ群落,ケイヌビエーオオクサキビ群落,ヒ
メガマ群落,オオアレチノギクーヨシ群落,ネジバナーチガヤ群落,シロツメクサーヨモギ群落
など水分条件,埋立時期の違いにより多くの雑草群落が生育している。高砂町乙川防潮樋門より
海鳥の河口には,アイアシ群集,シオクグ群集が小面積ながらみられる。
2)西 部 地 区
矢勝川,阿久比川によって区分される半田市の西側は,丘陵部と矢勝川,阿久比川,神戸川に
よって形成された沖積低地と臨海埋立地に区分される。丘陵部はさらに神戸川によって南北に区
分される。北部は奥町,宝来町,鵜ノ池町,池田町,田代町,高峰町などが位置する。森林景観
84
Fig.34 ゆるい丘陵地にみられる代僕植生群。クロマツ植林,モウソウチク林
チガヤーススキ群落 カラスビシャクーニシキソウ群集(畑地),ウリカ
ワーコナギ群集(水田),ミゾソバーヨシ群落などがみられる(二二町)。
Agrariandschaft mit verschiedellen Ersatzgesellschaften. Auf den sanften HUgeln
kolnmen l酢ノz∼‘3〃zμノめ8ノμガ・Forsten und測1:ゾZo∫如6んツ31z6勘・ocyごZαf. P∼め85‘=8〃3−Best−
ande vor, und daneben Mガ∫cαノz彦ん∼ご∫∫ガ〃8〃5∫3−Wiesen und Acker (P i n e l 1重o
ternatae−Euphorbietum pseudochamaesycis).lnTalemwacl}sen
Reisfelder(Sagittario.Monochorietum)sowieπ〃ug〃漉8∫α∼‘5銀製∼∫一
R6hrichte entlang der Bache(Niike−cho).
は麹町,高峰町,西午ケ池周辺,北ニツ坂町,南ニッ坂町,懇懇公園など土地利用に不向きな傾
斜地に多く,クロバイーアラカシ群落,ネジキーコナラ群落,アカメガシワーハゼノキ群落,ク
ロマツ植林,モウソウチク林などがみられる。耕作地を主とする農村景観域はカラスビシャク∼
ニシキソウ群集とウリカワーコナギ群集が多く,南斜面にウジカワーコナギ群集が,北斜面にカ
ラスビシャクーニシキソウ群集が偏在している。またウジカワーコナギ群集は,鵜ノ池町,馬捨
町,吉田町,砂谷町の丘陵部に多く,沖積低地と異って水利条件が悪いため,ため池が点在して
いる。セイタカアワダチソウ群落,ユウカギクーヨモギ群集,チガヤーススキ群落は,入為的な
影響をたえず受けやすい農耕地と住宅地域にみられ,あらたに造成されている清城町と桐ケ丘で
はとくに多い。アキノノゲシ一門ナムグラ群集は半田市斎場下,吉田池下,知多半島道路沿いに
生育している。ヨシ群落は大池,吉田池,折戸池,東午ケ池,宮池などため池の周辺に生育する
他,水田放棄地にも二次的に出現する。松掘町の松掘池にはヒメビシ群落が生育するほか,コモ
ウセソゴケ,イシモチソウ,ミミカキグサなど食虫植物の多いミミカキグサーカリマタガや群落
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やタヌキマメの生育するチガヤーススキ群落が生育する。広三池をかこむ丘陵地や横山町周辺に
は,斜面に広くミカンなどの常緑果樹園がみられる。緑の多い集落は,新生町,平和町,雁宿町,
白山町,天神町などで沖積低地に接した丘陵下部に多い。最近では,柊町,清城町や桐ケ丘にみ
られるように丘陵地上部も大規模に造成され,宅地化されている。環境整備が不十分なためか新
興地の多くは緑の少ない住宅地に判別されている。
神戸川の南側の丘陵には芽鍔作畑地のカラスビシャクーニシキソウ群集が広く分布し,根菜類
葉菜類の他,ライ麦やカモガヤ,ホソムギなど家畜飼料植物の栽培も盛んである。ウリカワーコ
ナギ群集の分布は,他の丘陵部にくらべ少なく,したがってため池の数も少ない。セイタカアワ
ダチソウ群落,チガヤーススキ群落,アキノノゲシーカナムグラ群集など1年生∼多年生の雑草
群落は放棄畑地のほか,慰ケ橋町や冨士ケ丘にみられるように,あらたに住宅地用に造成された
立地にも多い。鴉根町ならわ学園,花園町花園小学校など人為的な三三がひんぱんに加えられる
地区にはカゼクサーオオバコ群集が発達しやすく,図化されないほど小さな分布域も含めれば,
都市域には普通な雑草群落である。大湯町の古池近くの斜面や三根町の武豊町に接した南側斜面
をこは,夏緑低木植物からなるアカメガシワーハゼノキ群落が小面積で生育して,ユウガギクーヨ
モギ群集やセイタカアワダチソウ群落などに隣接している。森林景観は新宮町1椎ノ木町や新野
町から稲荷町にかけての南側斜面あるいは小谷状地に発達し,カナメモチーコジィ群集の代償植
生であるクロバイーアラカシ萌芽林のほか,ネジキーコナラ群落,クロマツ植林,ニセアカシア
植林が分布する。モウソウチク林は稲荷町の農家の周辺に広くみられる。緑の多い集落は,工場
地あるいは翻地を除いて,大湯ll∫,板山町,稲荷町,花園町,青川1;」’などとくに昔から残されて
いる古い集落を中心に残されている。
国道247回線の通る神戸川沿いの沖積低地には,板i」」lli∫,東郷町,有楽町,春日町,栄町,畑
合町が位置し,また県道久米・乙川内山線の通る矢勝川,阿久比川沿いの沖積低地には,新生
町,平和町,欠ケ下町,岩滑中【町,三二東町,宮路rlij’,出口田∫,北末広町,山崎町,本町,銀座
本町,中村町など半田ア1テの多くの市街地が集中しているもっとも重要な商工業を中心とした市民
の活動の場となっている。また名鉄河和線や国鉄武豊線など鉄道のほか,多くの県道が通る交通
機関の中枢ともなっている。草原景観は,ほとんど水田にあたるウリカワーコナギ群集で神戸川
あるいは矢勝川上流域にみられる。しかし近年の減反政策と都市化の波により,放棄あるいは埋
立造成される水田が多く,神田町,宮本町,青山町付近には,いたるところに放棄水田雑草群落
のミゾソバーヨシ群落やチゴザサーアゼスゲ群集を確認することができる。沖積低地における森
林景観はきわめて少なく,板山公民館,成岩小学校,光照院,半田高校,岩滑小学校,神明社,
観音寺など各種の公共施設や神社仏閣に植栽されたクスノキ,クロガネモチ,サンゴジュ,イチ
ョウ,イヌマキ,クPマツ,キョウチクトウなどがわずかにみられるにすぎない。しかし例外的
に北末広町に屋敷林として残されているヤブコウジースダジイ群集は,半自然植生として貴重な
存在である。
86
Fig 35 排水不良な海岸埋立地。ケイヌビエーオオクサキビ群落がまぼらに生育する
(中慮田町)
Physi・gnomie der E‘励z・‘ゾ1Z・αび∼f5−9α麗∫var.むα∼‘4α診α一伽∼’czρ}∼砒1・oω〃∼耀・’¶∼’・ル
Gesellschaft auf stark ver(lrehtetem B6den auf den Landgewinnungs撮chen(Na・
kaokuda・chO)
東洋町,日ノ出町,康衛町,半田埠頭,神明町,前潟町,新浜町,川崎町などの位置する埋立
地の多くは工場地として利用されている。川崎町のように現在も埋立工事の進んでいる地区もあ
り,ネジバナーチガヤ群落,オオジシバリーチガや群落,コウキヤガラ群落,ガマ群落,ヒメガ
マ群落,オオアレチノギクーヨシ群落,ホコガタアカザーウラギク群落,イソヤマテンツキ群集,
イヌタデーイヌビエ群落,ケイヌビ一一オオクサキビ群落,スズメガヤーヒメムカシヨモギ群落
など多彩な雑草群落が,水分条件,塩分,母材の質,放棄されてからの時闘の購いによりモザイ
ク状に分布している。また半田埠頭も埋立後の期間が少なく,同じような群落が生育している。
日の出町,康衛町にはウリカワーコナギ群集やウキクサクラスの植生が分布しているほか,放棄
水田には,ヨシ群落やヒメガマ群落の生育もみられる。半田市役所を中心とする住宅地域は東洋
町,東雲町,源平町,幸町に多いが,緑地が少なく緑の少ない住宅地に判別されている。埋立地
であるため半自然的な森林景観は全くみられないが,滝上工業,日本車輔,川崎製鉄構内には,
キョウチクトウ,マテバシイ,サンゴジュ,ヤマモモ,クロマツなどの植栽樹種もみられる。と
くに滝上工業では,アラカシ,クロガネモチ,ヤブツパキ,マサキ,トベラ,クスノキなど郷土
種による植栽計画,ならびに実施もすすめられている。
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C.潜在自然植生図Karte der poもenもi磁e皿na伽lichen Vegetaもio蹴
潜在自然植生図はさまざまな人為的影響下に生育存続している現存植生にかかわりなく,現在
の時点において人為的影響を一さい停止した場合にどのような自然植生をささえ得る潜在的な能
力をもっかを調べ,その具体的な配分と広がりを地図上に示したものである。したがって潜在自
然植生図は植生の側からみた立地の質の配分図であり,土地利用や景観の保全管理,とくに緑化
計画の基礎図として有効である。しかし,現在半田市に存在する植生は,社寺に残されたわずか
な林分のほかは,大部分人間の影響下に存続する代償植生であり,立地の潜在的な質を判定する
には多くの困難がともなう。しかも凡例を細かく分けることによる誤差の危険性も生ずる。した
がって隣接地域の潜在自然植生の資料をも参考・検討した結果,以下にのべる12の凡例にまとめ
て示された。
1) 凡 {夢唖 解 言莞
1.ヤブコウジースダジイ群集(凡例1)
Ardisio・・Cas右anopsietumsieboldii(Legende1)
形態:高木層にスダジイの優占する常緑広葉樹林。調査対象域ではやブッバキ,スダジイ,ヤ
マモモを区分種に識別されている。
立地:気候の温和な沿海部の沖積低地から丘陵部の比較的乾性型土壌。
土地利用形態:宅地,耕作地。
分布:名鉄成岩駅周辺から南部の春日1町,昭和町,畑合町,有楽町,港本町,中町,北末広町,
勘内町。半園市東部の弥宣町,亀崎町,亀崎北浦町。
2. イノデータブノキ群集(凡例2)
Polysticho・1)erseetumもkunberg童i(Legende2)
形態=タブノキが優目し,エノキ,ムクノキなど湿生夏緑広葉樹の混生も一部みられる常緑広
葉樹林。イノデ類,キチジョウソウ,エノキ,ムクノキなどを標下種および区分種とする。
立地:気候が温和で海洋から湿った風を受ける沿岸部。沖積低地,丘陵の凹状地など適潤な土
壌の形成されやすい立地。
土地利用形態:工場地,宅地,水田,耕作畑地。
分布:川崎町,前潟町,神明町,日ノ出町,東洋町,康衛町,上浜町,日東町,中午町,新居
町などの多くの埋立地が含まれている。
88
3. カナメモチーコジイ群集(凡例3)
Photinio−Casta蔽ops三etum cuspiδatae(Legende3)
形態:コジイの優占する常緑広葉樹林。カナメモチ,ナナメノキ,タラヨウ,リンボク,クロ
バイを標徴種および区分種とする。
立地:花樹岩風化土壌の分布する丘陵や内陸部の乾燥した沖積低地。広域的には年降水量
1,600mm以下の瀬戸内型気候区を中心に,瀬戸内海から近畿地方に分布し,一部東海地方に及
んでいる。調査地域内には残存植分はなく代償植生の常緑繭芽林のクロバイーアラカシ群落の生
育域がこれにあたる。
土地利用形態:薪炭林,クロマツ植林,風致林,耕作畑地,宅地。
分布:海成沖積低地の後背に位置する丘陵を広く占めている。天王町,榎下町,乙川殿町など
沖積低地も一部含まれる。
4. マサキートベラ群集(凡例4)
Euonymo−Pitもosporetu凱 重obira(Legende4)
形態:マサキ,トベラ,マルバノシャリンバイなどの優占する常緑風衝低木林。シャリンバイ
ーウバメガシ群団の標徴種および区分種で識別される。ハマボウフウクラスやハマゴウクラスな
どの海浜植生に接し,ヤブツバキクラスの植生では海岸線の最前列に位置する。
立地=外洋からの風衝を直接受ける沿海部の母岩の露出した立地や砂礫上。
土地利用形態:工場地。
分布:川崎町,康衛町,日東町,東億田町,亀崎町の海岸線沿い。
5. ムクノキーエノキ群集(凡例5)
Aphanantho−Celtまdetum(Legende5)
形態:エノキ,ムクノキ,ケヤキなどニレ科植物の優占する夏緑広葉樹林。亜高木以下には常
緑植物が多く,シロダモ,ヤブニッケイ,アオキ,クロガネモチ,ヤブラン,イノデ類など適潤
指標種の活力度が高い。エノキ,ムクノキ,キチジョウソウを群集標徴種および区分種とする。
立地:イノデータブノキ群集やカナメモチーコジイ群集が成立困難な多湿地。湿地傾度はイノ
データブノキ群集とイボタノキーハンノキ群集の中間に位置する。沖積低地や丘陵の凹状地にみ
られ,沖積低地では増水により稀に湛水することもある。土壌は粘質性のある湿性土で比較的欝
養化している。
土地利用形態:水園,とくに丘陵地の溜池から水の供給を受ける水田が含まれる。耕作畑地,
宅地。
分布:半田市全域にみられ,市西部の桃山町,金山町,砂谷町,北滑草町,彦洲町にとくに広
く分布する。
89
6. オニスゲーハンノキ群集(凡例6)
Carici・AI簸etuln japonicae(Legende6)
形態:ハンノキの優占する夏緑広葉樹林。ハンノキ,イヌツゲ,ウメモドキ,コムラサキ,イ
ソノキ,タチスゲ,オニスゲ,ショウジョウバカマなどを標微種および区分種とする。半田市内
ではヨシーハソノキ群落として,オニスゲーハンノキ群集の発達途上への植分がみられる。
立地:河川沿いの沖積低地で表層水がしぼしぼみられるか,または地下水位のきわめて高い立
地。土壌はグライ化した罪質土壌。
土地利用形態:水田。
分布:神戸川,阿久比川,稗田川水系沿いの低湿地。
ア. ジャヤナギーアカメヤナギ群集(凡例7)
Sa}iceもum eriocarpo・c数aenomeioidis(Legende7)
形態:ジャヤナギ,アカメヤナギの優劃する夏緑広葉樹林。アカメヤナギは幹の途中より水平
方向に枝が分枝し,平円形状の樹冠を形成する。アカメヤナギ,ジャヤナギを標微種および区分
種とする。
立地:沖積低地の河川沿いに帯状に発達し,流水により運搬された富養な粘質土壌がみられる。
地下水位は約30cmで排水が悪くグライ化しやすい。増水時に湛水することがある。
土地利用形態:河畔や池畔の立地保全林。
分布:稗田川流域,七本木池。
8. シロガヤツリーメアゼテンツキ群落(アゼナ群団) (凡例8)
0〃Pθrμ8Pαcε泥。πs一窺〃εbrεs舌ψs oθ’α舌α・Geselischaf£
(L童ndernion pτocumbentis)(Legende8)
群落形態:カヤツリグサ科のテンツキ属,カヤツリグサ風ゴマノバグサ科のアゼナ属などの
植物で,綾性の1年生草本植物で構成される。群落高20cm以下でカーペット状に生育する。
立地:貯水池や河川の水際で,夏季減水によって露出した土壌上に,きわめて短期閾内に形成
される。
土地利用形態:灌概用貯水池。
分布:七本木池。
9. ミミカキグサーカリマタガや群落(イヌヒゲーコイヌノハナヒゲ群団) (凡例9)
σf「εcπ置α「εα 「ε9εdα脚エ)ε7πerεαorη琵んopodαvar。 fθπεrα齢Gesellsc数aft
(Er圭ocaulo−Rhy鷺chnsporion fuji玉anae)(Legende9)
群落形態:タヌキモ科,モウセンゴケ科などの食虫植物,およびイヌノハナヒゲ属,ホシクサ
90
属などの小形植物で構戒される。
立地:水分収支を降水と地下水の湧水に頼る貧栄養湿潤な立地。土壌の形成はみられず,表層
土のはぎとられた跡地などに現存植分が生育している。
土地利用形態:なし◎
分布:新野町造成跡地と松堀町松堀池。
給.ナガミノオ:ニシバ群集他(ウラギククラス) (凡例10)
Zoys圭etums隻n隻cae nipponicae(Asteretea tripoIii)(Legende10)
群落形態:ナガミノオニシバがカーペット状に生育する。さらにシオクグ,アイアシ,イソヤ
マテンツキなどの多年生草本植物が密生して高さ50cm∼1m内外の草原を形成する。
立地:遠浅な海岸の沿岸部や河口など,塩水や半かん水によって定期的に冠水する。また人工
的な埋立地で土中に塩分が残存する地域。
土地利用形態:工場立地内の排水路。
分布:衣浦港に面した埋立地,干拓地,阿久比川,稗田川ぞいの冠水地。
11. ウキヤガラーマコモ群集ほか(ヨシクラス) (凡例11)
Sc玉rpo fluv童aもi践s−Zizan董etum玉atifoliae u。a。
(P熱rag凱i£etea)(Legende 11)
群落形態:ウキヤガラーマコモ群集,ヒメガマ群落,カサスゲ群集,チゴザサーアゼスゲ群集
などヨシ,ガマ,コガマ,ヒメガマ,クサレダマ,ヒメシダ,チゴザサ,アゼスゲ,カサスゲな
どから構成される多年生草本植物群落(ヨシクラスの多年生草本植物群落が同一凡例でまとめら
れている)。
立地:流水,あるいは停滞水のある河川や池沼の水際。
土地利用形態:刈取草原。
分布:神戸川,阿久比川,稗田川流水域や上池,横川池,親池,折戸池,宮池,大池など大小
のため池。
12. ガガブターヒシ群集(ヒルムシロクラス) (凡例12)
Nympho圭di・里rapaetum japon圭cae(Poもamogetonetea)(Legende!2)
群落形態:ヒシ,ガガブタ,クロモなどの浮葉,沈水草本植物で構成される水中草原植生,標
徴種および区分種はヒシ,ヒメビシ,ガガブタ,クロモ,エビモ,ササバモ,ホザキノフサモな
ど多数ある。
立地:水深1.5∼2.Om以上の池沼。底質は泥質である。水質は富栄養で,貧栄養の場合は同じ
ヒルムシロクラスに属するが異なる群落が発達する。
9エ
土地利用形態:灌晶晶貯水池,防災用の遊水池。
分布:松堀池,新池ほかの溜池。
2) 潜在自然植生判定についての考察
半田市の丘陵部にはクロマツを混え,アラカシ,クPガネモチ,クロバイ,コジイなどで構成
されるクロバイーアラカシ群落が広がっている。各植分はいずれも萌芽形態で生育し,群落高も
低く,あきらかに代償植生と判定される。残存する自然植生はまったくみられず,潜在自然植生
の判定にはクロバイーアラカシ群落と半田市周辺地域に残されている自然植生との種組成の比較,
さらに気候条件や土地条件が加味された。自然度の高いクPバイーアラカシ群落は組成的にイズ
セソリョウ,タイミンタチバナ,ホルトノキなどイズセソリョウースダジイ幽幽の種群をもたず,
クロバイ,カナメモチ,チャノキ,ヒイラギ,ツクバネガシなどが生育することによってアカガ
シーシラカシ群団への所属が判定されている。したがって潜在自然植生も同一群団にまとめられ,
知多半島南部に暖流の影響を受けて分布するホソバカナワラビースダジイ群集(イズセンリョウ
ースダジイ群団)は対応しない。その点すでに報告されている東海地方の潜在自然植生図の知多
半島の部分は再検討される必要がある(宮脇他!977)。半田市周辺でアカガシーシラカシ群団に
1霧蟻簿灘こ
鍵
繋1撚
鰻
馬
降
ρ、
匁郭
窄、
奪 ミ
麻の
Fig・36八幡神社の社叢林。現存の林分は潜在自然植生判定のきめてになる
(神代田∫海抜40m)。
ShintQ玉stischer Schreinwald als potentieUe natUrliche Vegetation.
(Kamishiro−cho 40 m廿. NN)
92
含まれる自然植生にはヤブコウジースダジイ群集,サカキーコジイ群集,カナメモチーコジイ群
集が認められている。ヤブコウジースダジイ群集は半田市内にもみられ,沿岸部の沖積地や丘陵
に限られている。クロバィーアラカシ群落と分布的なすみわけがあきらかで,さらに組成的な差
も大きく,ヤブコウジースダジイ群集をクロバィーアラカシ群落の潜在自然植生にあてるのは適
当でない。サカキーコジイ群集は南川ら(1974)によって名古屋市より二丁調査資料が得られて
いるが,標二種・区分種の中のアリドオシとタカノツメはクロバイーアラヵシ群落内には出現し
ていない。逆にクロバイーアラカシ群落を特徴づけるクロバイ,カナメモチは名古屋市内のサカ
キーコジイ群集内にみられない。カナメモチ,クPバイは服部ら(1980)のカナメモチーコジイ
群集のとくにカクレミノ亜群集に組成的な結びつきが強い。また隣接地域の豊川市白鳥総社,隻
繰神社,砥鹿神社などにはカナメモチ,リンボク,クロバイの常在度の高いカナメモチーコジイ
群集の分布が確認されている(未発表資料)。 したがって種組成的にクロバイーアラカシ群落は
カナメモチーコジイ群集にもっとも近縁であると判定される。また気候,ならびに土地的条件は,
溜池による灌概用水の確保にもみられるように,カナメモチーコジイ群集の広く分布する瀬戸内
海地域と類似している。以上の観点からクロバイーアラカシ群落の潜在自然植生はカナメモチー
コジィ群集に判定された。
海岸付近の沖積低地の潜在自然値生がイノデータブノキ群集である根拠は,ヤブコウジースダ
ジイ群集,タブノキ瓶群集の残存林分が確認されたことから推定された。
潜在自然植生判定基準に,残存する常緑広葉樹による自然植生の分布のみられないもうひとつ
の潜在自然植生にマサキートベラ群集がある。近畿地方以北の太平洋沿海部には海岸風衝低木林
としてマサキートベラ群集,ウバメガシートベラ群集が分布する。マサキートベラ群集は北限が
東北地方南部に及び,知多半島周辺ではウバメガシートベラ群集の生育地より適潤な立地に生育
がみられる。ウバメガシーi・ベラ群集はホソバカナワラビースダジイ群集の北限付近まで分布し,
日当たりの良い露岩地に生育する。半田市の沿海部には露岩地はなく,またホソバカナワラビー
スダジイ群集の分布も及んでないことから海岸風衝低木林はマサキートベラ群集に判定されてい
る。
丘陵間の地下水位の高い低湿地はハンノキの先駆的野分が記録された(ヨシーハソノキ群落)。
この立地の潜在自然植生の推定は現存植分がきわめて少ないため困難を伴なう。愛知県名古屋市
付近で報告されているイヌツゲーハンノキ群集も種組成の貧弱な植分にもとずいている。常緑瓜
葉樹林域ではハンノキの発達はきわめて悪いが,コムラサキ,ウメモドキ,イソノキ,オニスゲ,
タチスゲなどを標徴種及び区分種とするオニスゲーハンノキ群集(奥田!978)に大きくまとめる
のが妥当と考えられる。
草原植生については残存自然植生が小規模ながら存在し,推定の手がかりとなった。ただ半田
布内には現存三分がみられないが,凡例のまとめ方により,塩沼地植生をナガミノオニシバ群集,
低層湿原をウキヤガラーマコモ群集,浮葉沈水草原をガガブターヒシ群集でそれぞれ代表させて
93
いる。これらの群落は隣接地における分布状況から,半田市内に十分生育が可能な群落単位であ
る。潜在自然植生とそれに対応する代償植生はTab.38にまとめて示されている。
IV’半田市における環境保全林形成のための植生学的提言
A 環境保全林形成の意義と現状
日本列島の大部分は多層群落の森で被われていた。半田市も含めて愛知県下の海抜800m以下
は冬も緑の常緑広葉樹林で占められていた。日本の森はヤブツバキ,スダジイ,コジイ,タブノ
キおよびシラカシ,アラカシ,イチイガシなどのカシ類で代表されるように葉に光沢があり,太
陽の光線を反射して照るので照葉樹林ともよぼれる。これは年雨量が少なく,しかも主に冬に多
く雨が降る地中海地方の葉が小形で厚く,毛葺が多い革質からなる地中海地方の硬葉樹林に対応
して,日本の中,南部,朝鮮半島南部から中国,ヒマラヤまで続く東亜の常緑広葉樹林などにつ
いて名付けられた(R廿bel 1930他)。
半田市域でも阿久比川,稗田川,神戸川などの河川沿いの定期的に冠水する地区や海岸線沿い
のかつての塩沼地を除いてカシ類,シイ類,タブノキなどを主とする照葉樹林で被われていたは
ずである。
まだ入間の自然に対する働きかけが素朴な時代には,このような昼なお賭いような照葉樹林は
人類にとっては利用しにくい,いわば敵であったろう。したがって,人類文明,それを支える技
術によって照葉樹林をはじめとする自然樹林との対決こそが長い間の自然への人間の干渉の歴史
であった。半田市も海岸沿いから内陸部の台地,丘陵部にいたるまでマサキートベラ群集,イノ
データブノキ群集,ヤブコウジースダジイ群集,カナメモチーコジイ群集などの照葉樹による雨
縁広葉樹林が,その大部分を占めていた(潜在自然植生図参照)。
しかし,この地に人類が定住しはじめて現代までの長い間の様々な自然に対する人間の働きか
けによって,半田市域でも今日では厳密な意味での自然林は全く見られない状態になっている。
逆に市域を南北に走っている名鉄河和線,武豊線周辺部の市街地域では,道路,住宅その他の施
設が密集して,局地的には鉄,セメントなどの死んだ材料だけによる人工環境化が進行している。
同様に各河川,海岸沿いはセメント堤防によって直線的に結ばれている。市街化が進んでいる
各幹線交通施設沿いの後背地にあたる台地,丘陵部は自然林に代って長い間地域住民の生活と共
存しながら存続してきた,いわゆる雑木林を形成しているネジキーーコナラ群落,あるいはクロマ
ツ植林,モウソウチク林などの代償植生としての二次林によって占められていた。さらに山地が
少なく,細長く伊勢湾と知多湾の間にせり出している知多半島に位置する半田市は,古くから多
くの溜池が台地上や丘陵の間につくられている。各河川や,これらの溜池の水を利用した水田や
畑地などの農耕地も,最:近の市の人口増加,都市化の波のもとに次第に基盤整備などによって減