歩数の増加が青壮年女性の身体不活動とメンタルヘルスに及ぼす影響

第 29 回健康医科学研究助成論文集
(20)
平成 24 年度 pp.20∼33(2014.3)
歩数の増加が青壮年女性の身体不活動とメンタルヘルスに及ぼす
影響 ―身体活動習慣の変化に伴う急性影響と慢性影響の検討―
熊 原 秀 晃*
綾 部 誠 也**
EFFECTS OF INCREASING THE DAILY STEP COUNT ON PHYSICAL
INACTIVITY AND MENTAL HEALTH IN YOUNG ADULT FEMALES:
A STUDY OF THE ACUTE AND CHRONIC EFFECTS OF
PHYSICAL ACTIVITY BEHAVIOR CHANGES
Hideaki Kumahara and Makoto Ayabe
SUMMARY
Objective: The understanding of the associations between the moderate-vigorous physical activity(MVPA),
sedentary activity(SA)and concomitant effects on mental health in increasing the daily step count is limited.
Therefore, the purpose of this study was to assess the effects of pedometer-based interventions on changes in physical
activity, including the SA, and explore whether there is a concomitant effect on mental health under free-living
conditions in young adult females.
Methods: Thirty young adult females, ranging from 21 to 37 years of age, were randomly assigned to an 8-week of
intervention group that wore an accelerometer and were instructed to increase their daily step count by 3000 or more
from baseline(n = 16)or a group that wore an accelerometer(with a blank display)and were instructed to maintain
their usual lifestyle(control)
(n = 14), followed by a 7-week observation period. The changes in the step count and
time spent engaging in physical activity of light intensity(LPA), MVPA and SA were measured by the accelerometer
and self-reported during sleep and the times not wearing the device. Depressive symptoms and mood were assessed
according to the Center for Epidemiological Studies-Depression(CES-D)Scale and the Profile of Mood States briefform(POMS-brief), respectively, at baseline, one and eight weeks of intervention and at the 7-week post
intervention follow-up. The health-related quality of life was assessed using the Short Form-36 version 2(SF-36v2).
A two-way repeated measures ANOVA(group period)was applied.
Results: After one and eight weeks of intervention and seven weeks of observation, the step count and %MVPA of
the total time during which the accelerometer was worn were significantly increased compared to the baseline values
(P < 0.05)
. The %SA was significantly decreased(P < 0.05), whereas the %LPA was significantly increased only at
one week of intervention(P < 0.05). Moreover, a significant correlation was found between the daily step count and
volume of MVPA(METs・hrs/wk)in the intervention group during each period of the assessment. No obvious
intervention effects on the CES-D or POMS-brief variables were observed. However, there was a significant
correlation between the changes in time for LPA and the CES-D scores(r = ­0.546, P < 0.05)in the intervention
group at eight weeks of the intervention. Following the 7-week observation period, both the physical and mental
component scores of the SF-36v2 tended to improve in the intervention group.
*
**
中村学園大学栄養科学部栄養科学科
Faculty of Nutritional Sciences, Nakamura Gakuen University, Fukuoka, Japan.
岡山県立大学情報工学部スポーツシステム工学科 Faculty of Computer Science and Systems Engineering, Okayama Prefectural University, Okayama,
Japan.
(21)
Conclusions: A pedometer-based intervention program increased both the daily step count and METs・hrs / wk,
accompanied by an increase in the proportion of MVPA and a decrease in the proportion of SA of day-time physical
activity in young adult females. However, interindividual variability in the interrelationship between the changes in the
step count and MVPA was also indicated. Further studies are needed to explore the effects of physical activity
interventions based on free-living conditions on mental health.
Key words: moderate-vigorous physical activity, sedentary, accelerometer, pedometer.
わち、実際に歩数を増加することで、横断研究よ
緒 言
り想定された身体活動量(METs・時)を充足で
活動的な日常生活、あるいは一定水準の全身持
きるかは明らかでない。
久力を保持することは生活習慣病等の罹患や死亡
最近では身体不活動、つまりデスクワークやテ
リスク、ロコモティブシンドローム等の加齢に伴
レビ視聴時間などの座位(sedentary)活動の時間
う生活機能低下のリスクを低減させることが明ら
が多いことが肥満や代謝性疾患のリスク、ひいて
かになってきている
。近年の疾病予防のため
は冠動脈疾患や全死亡の身体活動と独立した危険
の身体活動に関する指針は、3 metabolic equivalents
因子であることが報告されている4,10,33,37)。これら
(METs)以上の中等度強度の活動を増大すること
の先行研究に基づけば sedentary 活動の時間を減
を推奨している 。厚生労働省が策定した身体活
少するという視点も生活習慣病等の予防において
動基準2013においては、3 METs 以上の身体活動
重要かもしれない。これまでの身体活動介入研究
の実施時間と強度の積である「METs・時」を身
は、中等度強度の活動時間の延伸を観察したもの
体活動量と定義し、週当たり23 METs・時が癌を
は比較的多いものの、sedentary 活動時間の変化
含む生活習慣病およびロコモティブシンドロー
を観察したものは不足している。したがって、歩
ム、認知症の予防のための基準値と改めて示され
数の増加が上述の中等度強度の身体活動量の延伸
ている 。また、横断研究により8000∼10000歩
のみならず、sedentary 活動に及ぼす影響を明ら
日は、23 METs・時 週に相当することが示唆され
かにすることは今後の健康づくり支援において重
ており
、当該歩数値は、METs・時よりも平
要と考えられる。また、身体活動の増加を促した
易な言葉・単位であることから身体活動を国民に
際には、それを対象者自身が生活のなかに定着さ
広く普及・啓発していくための代替目標値として
せるまでの行動変容が変動することが推測され
示されている。
「健康日本21(第 2 次)」において
る。例えば、歩数の増加を促した直後にはこれま
は、現在の国民の身体活動状況を鑑みて歩数の増
での生活活動とは別に歩行時間を確保するが、歩
加を目標の 1 つとして掲げており 、当該歩数目
数を増加する習慣が形成される時期では生活のな
標値はそれをサポートする役割も担っている。ち
かで歩数を稼ぐ工夫ができるようになる可能性が
なみに歩数値は、比較的安価で一般でも入手しや
ある。つまり、身体活動習慣の変化の急性期と慢
すい歩数計により評価可能という特徴があり、そ
性期においては、日常身体活動の質や量に変動が
れを主体とした身体活動支援は、約2000∼2500歩
起こり得る可能性があり、身体活動習慣の形成支
日の歩数を増加させ、肥満度の低減を促す有効な
援を行ううえで必要な情報と考えられる。
身体活動促進ツールであることが報告されてい
ところで、生活習慣病に加え、抑うつや不安障
る
害といった精神疾患に関する健康問題の注目度が
9,15)
9)
15)
18,24,26)
13)
。
5,12,28)
一方、歩数は歩行や走行といった移動に関連す
高まってきている。健康日本21(第 2 次)ではメ
る活動の量を反映するが、強度やエネルギー消費
ンタルヘルス支援に関する方針が改めて示さ
量等の身体活動の質を必ずしも反映しないことが
れ13)、国民のメンタルヘルスの改善は、喫緊の健
示唆されており17,19)、上述の歩数 vs. METs・時の
康政策課題の 1 つとなっている。身体活動は、身
関連性の個人差における限界が危惧される。すな
体的恩恵のみならず、良好なメンタルヘルスを維
(22)
持するうえでも重要とされ、定期的な運動の実施
表 1 .対象者特性
Table 1.Subject characteristics.
は、不安や抑うつなどの気分状態を改善すること
Control group
(n = 14)
が期待される 32)。身体活動と抑うつに関するコ
ホート研究のレビューにて、余暇における身体活
動が多い成人では、抑うつの発生が少ないことが
認められている 。また、運動が感情・気分に好
35)
影響を及ぼすことは、一過性の運動 と定期的な
6)
運動
27)
の両方で示唆されている。しかし、これ
までの身体活動と抑うつ等のメンタルヘルスに関
する研究は、余暇活動時の運動などの積極的な活
Steps group
(n = 16)
Age, years
23.8
4.3
23.7
5.3
Height, cm
159.4
6.1
162.1
5.0
52.1
6.2
52.7
4.7
20.5
2.0
20.1
2.4
Body weight, kg
2
Body mass index, kg/m
Data are means SD.
No significant differences were observed between the two
groups in any variable.
動が主な対象であり、日常生活下にて歩数を増加
学生に対してその家族や機関外の知人を含めた範
させるなど生活活動の変化における検討は十分に
囲にて40歳未満の成人女性を募集した。その際の
なく、このような生活場面での身体活動とメンタ
除外基準は、外科的傷害および内科的疾患により
ルヘルスの関係について検証する必要性が指摘さ
日常の身体活動の実施が困難であるものとし、既
れている 。
往歴ならびに治療中の疾病等の有無を質問紙調査
健康日本21(第 2 次)においては、総人口に占
にて確認した。募集に対して研究協力の登録をし
める高齢者の割合が最も高くなる時期に高齢期を
た21歳から37歳の青壮年女性32名は、全員が循環
迎える現在の青壮年期世代への生活習慣改善に向
器系疾患や運動実施の妨げとなる傷害を呈さない
けた働きかけを重点的に行う必要性が強調されて
健常者であった。この32名が介入群と対照群の 2
いる 。しかし、青壮年期において運動習慣を有
群に無作為に割り付けされた。しかし、対照群の
する者は他の年代に比して低水準であり、とりわ
1 名は割り付け直後に本人の事情により不参加と
け20∼30歳代女性において顕著に低値を示してい
なり、他の 1 名は歩数計の紛失によりデータが欠
る
損したため、非解析対象者とした。したがって、
35)
13)
。また、歩数に関しても20歳代女性では平
13,14)
均7487
3914歩 日、30歳代女性では平均6930
本研究の解析は、介入群16名と対照群14名にて
3732歩 日と低水準であり 、歩数の増加が望ま
行った。対象者の身体的特性を表 1 に示した。
れる。青壮年期の女性は、近年の女性の社会進出
本研究のプロトコルは、中村学園大学研究倫理
の象徴であり、生活習慣病の予防とともに、就業
審査委員会の承認を得た(承認番号:倫理 -12-
等に関する社会的ストレスから心理的ストレス性
013)。なお、すべての対象者には、あらかじめ研
疾患リスク保有者の増加が危惧されることからも
究の目的や測定内容および本研究の参加によって
今後より一層の身体活動向上が望まれる。
研究者所属機関に属する対象者の職場環境や学業
以上の観点より本研究の目的は、歩数計を利用
に一切の利害は発生しないこと等を書面および口
した歩数量増加支援が日常の中等度強度活動時間
頭にて十分に説明し、書面にて研究協力への同意
や量(METs・時)
、および Sedentary 活動に及ぼ
を得た。また、本対象者に研究実施関係者(学生
す影響を急性影響と脱介入を含む慢性影響の視点
がかかわる卒業研究等)は含まなかった。
14)
より検討することを第 1 の目的とした。更に、そ
B.ベースライン測定と介入方法
のような生活場面での身体活動変容を意図した介
全対象者は、介入前に日常身体活動水準の評価
入がメンタルヘルスへ及ぼす影響を検討すること
を行った。身体活動水準は、加速度計内蔵歩数計
を第 2 の目的とした。
研 究 方 法
A.対象者
対象者は、研究者が所属する機関の職員および
(Lifecorder EX,スズケン)を用い評価した。対
象者は、表示部を閲覧できないよう開封防止シー
ルで厳封された歩数計を 9 日間、入浴時を除いた
終日にわたって腰部に装着し、歩数計配布日と回
収日を除く 7 日間の平均値をベースラインとして
(23)
解析に用いた。更に、対象者は、睡眠時間(就寝
時間記録表を用いて、ベースライン( 0 週目)と
時刻と起床時刻)および歩数計の未装着時間を確
介入開始 1 週目、 8 週目と15週目(観察期間)の
認するための記録表を配布され、入浴や睡眠時、
「歩数」、「低強度活動時間(light intensity physical
装着忘れを含み未装着の時間を少なくとも10分単
activity; LPA)」、「中等度強度活動時間(moderate-
位で毎日記録を行うよう指示された。本研究で用
vigorous physical activity; MVPA)」、「METs・ 時」
いた歩数計は、歩数、身体活動強度、エネルギー
および「座位活動時間(sedentary activity; SA)」
消費量を評価でき、測定の妥当性は先行研究にて
を評価した。更に、LPA、MVPA および SA は、
明らかにされている
先行研究4,10)に従い歩数計の日中「装着時間」の
。
2,16,29)
対象者は、事前の身体活動水準の調査後に 8 週
割合を算出した。なお、ベースラインと 1 週目は
間の本介入期間と 7 週間の観察期間の計15週間で
当該期間の 1 週間の平均値を評価し、 8 週目と15
構成された介入研究に参加した。介入群は、 8 週
週目は 7∼8 週目、14∼15週目のそれぞれ 2 週間
間の本介入期間に歩数値のみが表示されるよう設
の平均値にて評価した。歩数計の日中「装着時間」
定された加速度計内蔵歩数計(Lifecorder GS,ス
は、24時間から記録表より算出された未装着時間
ズケン)を腰部に装着し、セルフモニタリングし
と睡眠時間を減じることで求め、先行研究 22) に
ながら各個人のベースライン値プラス3000歩 日
従い 1 日の装着時間が覚醒時間(24時間 ­ 睡眠
を目標に日常生活下で歩数量を増やすよう指示さ
時間)の60%以上あればその日のデータを採用し
れた。本装置は、ベースラインで用いた装置と同
た。例えば、睡眠時間が 8 時間の対象者の場合、
じ測定アルゴリズムで同等の身体活動指標の評価
覚醒時間16時間の60%の装着は少なくとも約10時
が可能である。なお、歩数の増加方法は、毎日達
間に相当する。また、 1 週間当たり平日 3 日間、
成できなくとも 1 週間をとおして目標(プラス
土日 1 日以上の計 4 日以上の有効日数があった場
21000歩 週)を目指しても構わないとした。更に、
合に個人データとして採用した36)。すべての身体
週に 1 度、その週の達成状況を電子メールにて報
活動関連指標は、平日の平均値と土日の平均値を
告するよう依頼し、電子メールに返信する際に適
求め、それぞれ週当たり(平日: 0 ,1 週目は 5 日,
宜アドバイスを行った。また、本介入後に続く 7
8 週目と15週目は10日,土日: 0 ,1 週目は 2 日,
週間の観察期間においては、同歩数計を貸与し、
8 週目と15週目は 4 日)と重み付けし、各測定期
それまでに獲得した歩数増加の習慣を維持するよ
の個人データとした。
う勧めたうえで、15週目完了まで電子メールのや
加速度計内蔵歩数計は、加速度の頻度とサイズ
り取りを含めアドバイス等は行わなかった。一方、
に応じて身体活動強度を 4 秒ごとに 0∼9 までの
対照群は、全15週間にわたって、情報提供を含め
10段階の加速度指示強度に分類し、それぞれ 1 日
た一切の介入を受けず、通常の日常生活を維持す
当たりの積算値を出力することができる。先行研
るよう依頼された。同様に装着を依頼した加速度
究 16) に基づき、加速度指示強度 1∼3 を LPA、 4
計内蔵歩数計は、 8 週間の本介入期間は装置の表
∼9 を MVPA とした。また、SA は、24時間にお
示画面を見ることできないようブラインド設定し
ける加速度指示強度 1 未満の積算時間から記録表
たが、 7 週間の観察期間においては歩数表示を確
より算出された睡眠時間と未装着時間を減じるこ
認できるよう設定した。なお、両群ともに15週間
とにより評価した。なお、加速度指示強度 1 は1.8
にわたって、ベースラインの調査で用いた睡眠と
METs に相当する16)ので、SA 強度は1.8 METs 未
歩数計未装着時間の記録表の記入を行うよう指示
満と定義した。
された。なお、本介入研究は 6 月から10月にわた
2 .メンタルヘルス評価
り実施した。
抑うつ状態の評価は、抑うつ状態自己評価尺度
C.測定項目
(The Center for Epidemiologic Studies Depression
1 .身体活動評価
Scale; CES-D)日本語版を用いた。CES-D は、う
加速度計内蔵歩数計および睡眠・歩数計未装着
つ気分、対人関係、身体的症状等に関する16のネ
(24)
ガティブ項目と生活満足感、生活の楽しさ等の 4
あった場合は、t-test を用いて同時期の群間比較
のポテジティブ項目の設問より構成されており、
を行った。各測定項目のベースライン値における
過去 1 週間程度を振り返って回答する質問紙であ
群間の比較は、t-test を用いた。身体活動介入に
る。本法は、スクリーニングテストとして十分な
伴う METs・時と歩数の関係性の変化は、介入群
信頼性と妥当性が検証されている。集計は、マニ
のみについて期間ごとに回帰分析を行った。更に、
ュアル
各期で得られた回帰直線はそれぞれ、共分散分析
31)
に従って行い、CES-D 得点が16点以上
を抑うつ傾向、16点未満を正常とした。
によりベースライン期で得られた回帰式の傾きお
気 分 状 態 の 評 価 は、 気 分 プ ロ フ ィ ー ル 検 査
よび切片との比較を行った。また、METs・時と
Profile of Mood States 短 縮 版(POMS-brief) を 用
歩数の関係性(両者間の回帰式)に対する個人差
い評価した。POMS-brief は、過去 1 週間を振り
は、実測した歩数値と METs・時および回帰式に
返り回答することで「緊張−不安」
、「抑うつ−落
実測 METs・時を代入した推定歩数値の値を用い
込み」
、
「怒り−敵意」
、
「活気」
、「疲労」
、「混乱」
て下記の式より算出した。
の 6 項目の気分の状態を評価できる
(実測歩数値 ­ 推定歩数値)÷ 推定歩数値×
の尺度は、それぞれ年齢別換算表
。 6 項目
38,39)
38)
を用い T ス
コ ア で 評 価 し た。 更 に、Total Mood Disturbance
100
統計学的有意水準は 5 %とした。
(TMD)は、緊張−不安、抑うつ−落込み、怒り
結 果
−敵意、疲労、混乱の 5 項目の合計値から活気の
値を減じて算出した。
A.身体活動
健康関連 QOL の評価は、SF-36v2の日本語版を
1 .身体活動の変化
用いた。これは、身体機能、日常役割機能―身体、
日中において歩数計は、ベースラインが95.3
体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、
3.1%、 0 週目から15週目では94.8
日常生活機能―精神、心の健康の 8 つの健康概念
3.2%の時間装着された。また、歩数計装着有効
下位尺度の36問で構成されている。対象者は、過
日 数 は、 介 入 1 週 目 と 8 週 目 の 平 日 が 98.7
去 4 週間程度を振り返って各質問に対して 5 段階
5.1%、97.7
の反応尺度を選択した。採点方法および欠測値の
6.3 % で あ り、 観 察 期 間 15 週 目 の 平 日 が 96.3
処理は、マニュアル に準じて行った。尺度ごと
10.7%、土日が94.2
に 2007 年 国 民 標 準 値 に 基 づ い た ス コ ア(norm-
表 2 に介入期間および観察期間における各身体
based scoring; NBS 得 点)を 算 出 し、身 体 的 側 面
活動指標を示した。すべての指標のベースライン
(physical component summary; PCS)、精神的側面
値に有意な群間差は認められなかった。歩数に関
(mental component score; MCS)
、役割 社会的側面
して、ベースラインからの平均変化量およびプラ
(role-social component score; RCS)を評価する 3
ス3000歩 日以上を達成した人数は以下のとおり
8)
8.2%、土日が98.3
3.5∼96.0
9.1%、98.3
14.2%であった。
コンポーネント・サマリースコアを算出した。
であった。1 週目:3771
CES-D および POMS-brief は、ベースラインと
目:2657
1 週目、 8 週目、15週目の各週の最終日に、SF-
2873歩 日、 6 名。歩数に有意な交互作用および
36v2は 1 週目を除く時期に同様に記入するよう依
時期の主効果が認められ、介入群の 1 週目と 8 週
頼した。
目の歩数は、ベースラインから有意に増加し、対
D.統計処理
データは、平均
1420歩 日、12名。 8 週
1911 歩 日、 5 名。15 週 目:2048
照群より有意に高値を示した。観察期間の15週目
標準偏差(SD)で示した。
においては、ベースラインから高値を示したもの
身体活動およびメンタルヘルス関連尺度の経時的
の、対照群との間に有意な差は認められなかった。
変化は、二元配置分散分析(群×時期)および
METs・時および MVPA に有意な交互作用が認め
Dunnett 法を用いベースライン値からの差の検定
られ、すべての測定時期において、ベースライン
を行った。交互作用および群の主効果が有意で
よりも有意に増加し、対照群に比して高値を示し
15.7 5.4
909.8 60.6
69.2 23.8
32.0 10.9
Steps(steps/day)
METs・h(METs・hr/week)
SA time(minutes/day)
LPA time(minutes/day)
MVPA time(minutes/day)
32.8 12.9
72.4 26.5
851.0 62.5*
16.2 6.6
10073 3063
956.1 70.1*
1w
27.0 10.4
72.0 23.0
894.0 63.2
13.3 5.4
9332 2539
993.4 53.0
8w
29.3 14.0
70.6 25.0
885.1 72.7
14.5 7.2
9520 3193
985.1 67.4
31.0 14.5
62.5 17.4
876.5 75.9
15.9 8.0
9072 2986
970.1 77.6
15w(observation) 0w(baseline)
50.8 17.8*
††
77.7 16.7*
851.2 58.0
26.6 9.8*††
12843 2993*†
981.2 57.7
1w
†
41.7 16.8*
†
44.3 13.6*
††
69.9 24.6
855.6 62.9
21.7 9.3*†
11120 3788*
977.0 62.7
15w(observation)
73.4 17.4*
876.6 46.5
22.8 7.6*††
11729 2551*†
994.3 46.3
8w
Steps group(n = 16)
< 0.05
ns
ns
< 0.01
ns
ns
Group
effect
< 0.01
< 0.05
< 0.05
< 0.01
< 0.01
ns
Period
effect
< 0.01
ns
ns
< 0.01
< 0.01
0.057
Interaction
8.0
Data are means
12.0
9.4
5.9
1w
8.8
6.0
8w
10.9
7.4
15w(observation)
8.3
7.1
0w(baseline)
6.6
5.5
1w
7.8
7.5
8w
Steps group(n = 16)
10.7
7.4
15w(observation)
SD. No significant differences were observed in the changes from baseline(0 w)in each group or between the groups at the same period.
0w(baseline)
Control group(n = 14)
表 3 .CES-D で評価した抑うつスコアの変化
Table 3.Changes in the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)score.
††
ns
Group
effect
< 0.05
Period
effect
ns
Interaction
Data are means SD. *: Significantly different from baseline(0 w)in each group(according to Dunnett s test: P < 0.05)
. P < 0.01, P < 0.05: Different between the groups at the same period.
Total wear time: the entire time that the accelerometer was worn during a day-time period, SA; sedentary activity, LPA; light intensity physical activity, MVPA; moderate to vigorous intensity physical
activity.
1011 62.0
9701 2776
Total wear time(min/d)
0w(baseline)
Control group(n = 14)
表 2 .歩数、METs・時および座位活動と各身体活動強度時間の変化
Table 2.Changes in the step count, METs・h and time for sedentary, light and moderate to vigorous intensity physical activity.
(25)
(26)
96.0
%SA
90.0
88.0
86.0
84.0
*†
82.0
0w
Group effect: ns
Period effect: P < 0.01
Interaction: P < 0.05
*‡
1w
8w
18000
Step counts(steps/day)
92.0
80.0
20000
Control
Steps
94.0
16000
14000
12000
10000
0 W(baseline)
1W
8W
8000
6000
15w
15 W(observation)
4000
11.0
2000
0.0
10.0
METs・hour/week
8.0
7.0
6.0
Group effect: ns
Period effect: P < 0.05
Interaction: ns
*
5.0
0w
8.0
1w
8w
*††
7.0
*††
6.0
%MVPA
15w
*†
5.0
4.0
3.0
Group effect: P < 0.01
Period effect: P < 0.01
Interaction: P < 0.01
2.0
1.0
0.0
0w
1w
8w
15w
図 1 .15週間の歩数介入に伴う座位(Sedentary)、低強度
(LPA)および中等度(MVPA)の活動時間の割合の変化
Fig.1. Changes in the percentage of sedentary(%SA), lightintensity physical activity(%LPA)and moderate to vigorous
physical activity(%MVPA)during the entire time that the
accelerometer was worn, during the 15-week pedometerbased physical activity intervention.
Data are means SD. *: Significantly different from baseline
(0 w)in each group(according to Dunnett s test, P < 0.05).
P < 0.01, P < 0.05, P < 0.1: Different between the groups
at the same period.
た。LPA は、 1 週目と 8 週目がベースラインよ
り有意に増加したことが認められたが、交互作用
は有意でなかった。SA は、
対照群の 1 週目がベー
スラインよりも有意に低値を示したが、交互作用
は有意でなかった。
ただし、歩数計の装着時間に交互作用の傾向が
認められ、対照群の 1 週目がベースラインに比し
図 2 .各期における歩数(歩 日)と METs・時 週の関連性
Fig.2. Relationships between the number of daily steps and
moderate to vigorous physical activity(METs・h/week)in
the steps group(n = 16)during each period of intervention
and observation.
There was a significant correlation between the indices in each
period:
0 w: y = 345.6x + 3585(r = 0.921, P < 0.01)
, 1 w: y = 272.2x
+ 5611(r = 0.921, P < 0.01), 8 w: y = 284.2x + 5245(r =
0.848, P < 0.01), 15 w: y = 361.0x + 3282(r = 0.890, P <
0.01)
.
There were no significant differences in the slope or intercept
of the regression equations for 1 w, 8 w and 15 w in compared
with that observed at baseline(0 w)
.
Change in the CES-D score from the baseline
%LPA
9.0
4.0
5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 55.0 60.0
25
LPA
MVPA
15
5
−40 −30
−20 −10
30
40
−15
−25
Change in time for physical activity from the baseline(min)
図 3 . 介入8週目におけるベースラインからの身体活動
の変化と CES-D 得点の変化の関係
Fig.3. Relationships between the changes in physical activity
and CES-D scores in the steps group(n = 16)after the
8-week intervention period.
There was a significant correlation between the changes in time
for LPA and the CES-D scores(r = ­0.546, P < 0.05)
. However,
there were no significant relationships between the changes in
time for MVPA and the CES-D scores.
LPA; light intensity physical activity, MVPA; moderate to
v i g o r o u s p h y s i c a l a c t i v i t y, C E S - D ; T h e C e n t e r f o r
Epidemiologic Studies Depression Scale.
て装着時間が有意に短かった。また、睡眠時間に
有意な交互作用および時期の主効果が認められ、
を示した。そのため、SA、LPA、MVPA に関して、
対照群の 1 週目の睡眠時間(446.0
62分)がベー
日 中 装 着 時 間 に 対 す る 割 合(%SA, %LPA,
58.7分)に比して有意に高値
%MVPA)を算出した(図 1 )。%SA に有意な交
スライン(388.7
(27)
互作用が認められ、介入群の 1 週目および 8 週目
作用は認められず、両群ともにベースラインに比
はベースラインよりも低下し、有意な群間差を認
してすべての測定期に有意な変化は認められな
めた。15週目はベースラインよりも低値を示した
かった。ただし、 8 週目においてのみ LPA の変
が、群間差は認められなかった。%MVPA は、有
化量を独立変数、CES-D 得点の変化量を従属変
意な交互作用が認められ、介入群の全期間でベー
数にプロットした回帰分析にて有意な負の相関関
スラインより有意に増加し、対照群との間に有意
係が認められた(図 3 :r = ­0.546, P < 0.05)。そ
な群間差を認めた。一方、%LPA は介入群の 1 週
の他の身体活動指標との関連性はいずれの時期に
目のみベースラインより高値を示したが、交互作
おいても認められなかった。
用は有意でなかった。
表 4 に POMS-brief で評価した介入期間および
2 .歩数と身体活動量(METs・時)の関係
観察期間における気分状態を示した。「抑うつ−
身体活動介入に伴う METs・時と歩数の関係性
落込み」の尺度に有意な交互作用が認められた。
の変化を調べるために、介入群について期間ごと
1 週目においてベースラインからの有意な変化は
に回帰分析を行った。すべての期間において両者
認められなかったが、介入群は対照群よりも低い
の間に有意な相関関係が認められた(r = 0.921, r
傾向がみられた。「活気」に交互作用の傾向が認
= 0.921, r = 0.848, r = 0.890, P < 0.01; n = 16)(図
められ、 1 週目においてベースラインからの有意
2)
。 1 週目、 8 週目および15週目に得られた両
な変化は認められなかったが、介入群は対照群よ
者間で算出された回帰直線について、それぞれ
りも有意に高いことが認められた。「疲労」およ
ベースラインとの比較を行った結果、回帰式の傾
び「TMD」の交互作用は有意でなかったが、時
きおよび切片に有意な差は認められず、両者間の
期の主効果の傾向がみられ、 1 週目はベースライ
関連性はベースラインと同様であることが認めら
ンよりも有意な低値を示した。「怒り−敵意」に
れた。また、この METs・時と歩数の関係性の個
交互作用の傾向が認められ、観察期間の15週目は
人差を調べるために、個々人の実測 METs・時に
ベースラインに比して有意に低値を示した。一方、
対する実測歩数値と回帰式より推定した歩数値の
「緊張−不安」と「混乱」の尺度は、有意な交互
誤差を算出し検討した結果、ベースライン:­0.2
作用は認められなかったが、時期の主効果が有意
14.0% , ­23.4∼30.4%、 1 週目:0.0
­19.7∼22.7 %、 8 週 目:0.0
13.1 % , ­22.7
18.1% , ­29.5∼42.7%(平
27.2%、15週目:0.3
均
11.6% ,
標準偏差,最小∼最大)と偏差が認められた。
であり、 8 週目の評価値がベースラインに比して
有意に低値を示した。
表 5 に SF-36v2で評価した介入期間および観察
期間における健康関連 QOL の 3 種のサマリース
更に、この誤差率の要因を調べるために、歩数、
コアを示した。MCS に交互作用の傾向がみられ、
%SA、%LPA および %MVPA を独立変数とした
介入群の15週目のスコアが対照群よりも高値を示
ステップワイズ重回帰分析を施したところ、全期
す傾向が認められた。一方、PCS においては、交
間において %LPA が有意な第一説明変数に採用
互作用は認められなかったが、時期の主効果が認
され(ベースライン:r = 0.514,1 週目:r = 0.816,
められ、観察期15週目のスコアがベースラインよ
8 週目:r = 0.846,15週目:r = 0.544;P < 0.001)、
りも有意に高値を示した。また RCS においては
%LPA が大きくなるほどに誤差率が大きくなると
有意な交互作用が認められたが、ベースライン値
いう関連性が認められた。
に有意な群間差が認められたため、ベースライン
2
2
2
2
B.メンタルヘルス
からの変化量についてベースライン値を共変量と
表 3 に CES-D で評価した介入期間および観察
した共分散分析を施した結果、有意な群間差は認
期間における抑うつスコアを示した。ベースライ
められなかった。
ンの CES-D 得点に有意な群間差は認められず、
16点以上の抑うつ傾向を呈した者は介入群と対象
群それぞれ 3 名ずつと少数であった。有意な交互
44.6
41.6
49.8
45.0
50.3
Depression-Dejection(D)
Anger-Hostility(A-H)
Vigor(V)
Fatigue(F)
Confusion(C)
11.6
48.2
42.9
48.4
42.1
47.3
45.4
14.9
7.7
7.9
6.4
5.3
8.3
8.9
1w
4.9
44.8
43.8
51.9
41.5
42.9
39.9
14.0
6.6 *
7.4
9.5
5.2
5.9
5.9 *
8w
10.5
49.3
43.4
47.5
42.8
44.0
42.9
12.8
4.4
7.4
9.6
4.7
5.3
7.1
10.4
49.9
46.1
54.9
44.0
45.2
44.6
19.5
10.4
12.3
10.7
9.0
6.1
7.1
15w(observation) 0w(baseline)
3.8
46.7
41.9
58.6
43.0
42.8
42.8
†
14.1 *
7.5
6.0 *
10.8
6.3
4.6 ‡
5.7
1w
7.1
47.7
15.1
6.9
9.4
12.6
52.9
43.3
5.4
6.3
7.6
42.5
43.5
42.8
8w
Steps group(n = 16)
7.3
48.8
42.6
54.4
40.8
45.3
44.3
16.4
9.4
7.2
9.4
‡
4.5 *
6.6
9.2
15w(observation)
ns
ns
ns
0.057
ns
ns
ns
Group
effect
52.1
45.9
Role-social component score(RCS)
7.5
7.9
5.7
50.1
52.1
57.6
8w
9.6
9.1
4.3
48.6
49.8
60.1
7.8
10.2
5.3
50.9
53.2
55.5
5.3†
10.4
4.6
15w(observation) 0w(baseline)
48.0
56.3
58.3
11.3
8.7
5.9
8w
45.7
56.5
60.4
9.0*
8.1‡
5.5*
15w(observation)
Steps group(n = 16)
ns
ns
ns
Group
effect
ns
ns
< 0.05
Period
effect
ns
< 0.05
0.058
Data are means SD. *: Significantly different from baseline(0 w)in each group(according to Dunnett s test: P < 0.05)
. P < 0.05, P < 0.1: Different between the groups at the same period.
No significant differences between the groups from baseline(0 w)were observed during a 15-week period of RCS, analyzed using a repeated measures analysis of covariance(ANCOVA), adjusted for the
baseline values.
58.6
Mental component score(MCS)
0w(baseline)
Control group(n = 14)
表 5 .SF-36v2で評価した健康関連 QOL の変化
Table 5.Changes in the scores for the health-related quality of life assessed according to the SF-36v2.
ns
ns
ns
0.054
0.085
< 0.05
ns
Interaction
Interaction
0.087
< 0.05
0.078
ns
ns
ns
< 0.05
Period
effect
SD. *: Significantly different from baseline(0 w)in each group(according to Dunnett s test: P < 0.05)
. P < 0.05, P < 0.1: Different between the groups at the same period.
15.9
9.1
9.4
6.6
4.2
7.8
9.8
Physical component summary(PCS)
Data are means
Total Mood Disturbance(TMD) 12.2
46.9
Tension-Anxiety(T-A)
0w(baesline)
Control group(n = 14)
表 4 .POMS-brief で評価した気分状態の変化
Table 4.Changes in the Profile of Mood States(POMS-brief)scores.
(28)
(29)
歩数の増加は MVPA を有意に増大させるが、
考 察
想定される MVPA 時間の直接的な増加には繋が
A.身体活動
らないことが考えられた。つまり、プラス3000歩
1 .歩数が身体活動に及ぼす影響
がすべて MVPA で行われるのであれば、約30分
本研究は、歩数計を主体とした身体活動支援が
の MVPA が積算されることになるが(3 METs =
青壮年女性の歩数量を増加させることを示唆した。
約100歩 分3)であるので,3000歩÷100歩 分 = 約
ただし、介入急性期( 1 週目)においては平均的
30分と推定できる)、いずれの時期においても歩
にも歩数の増加目標を充足したが 8 週目において
数増加量から想定される MVPA 時間の変化は認
は達成度が減少し、電子メールでのコミュニケー
められず、LPA も含んだ活動量を増加させたも
ションを停止した観察期間(15週目)においては
のと考えられた(表 2 )。また、METs・時と歩数
更に減少する傾向がみられた(表 2 )
。これは、
の関係性は、介入の急性期( 1 週目)から形成期
歩数増加という行動変容を促した直後のやる気や
( 8 週目,15週目)にわたってベースラインと同
意欲といった動機付けが十分な急性期と、時間経
様であることが明らかとなった(図 1 )。これは、
過に伴う慣れや飽き、および外発的動機付けを消
身体活動促進を目的とした介入の際には、介入
失させたことによるモチベーションの減退が考え
前・中・後のいずれのタイミングにおいても歩数
られる時期の違いが要因として考えられ、身体活
の代替目標値18,24,26)を身体活動量のアセスメント
動支援の難しさを示唆する結果である。
に利用可能であることを示唆するものである。一
しかし、観察期間においてもなお対象者自身で
方で、歩数の増加は、対象者のモチベーションが
ベースラインより歩数を増加させ、それに伴い
高いと考えられる介入急性期においても、活動の
MVPA 時間を有意に増加させた点は、身体活動
質(歩行の際の強度)を向上させるものではなく、
習慣形成の観点から注目すべきである。本研究の
歩数の増加に伴う各強度時間の変化は、MVPA の
簡易な歩数量増加支援は、先行研究
で示さ
みならず LPA 時間の増加も内包されるといった、
れた歩数計利用により期待できる範囲内の歩数増
歩行活動の質の個人差に留意した身体活動支援が
加を示しており、身体活動支援における歩数計の
必要と考えられた。本研究結果において、全活動
有益性を確認できた。
に占める LPA の割合が多い者ほど、想定される
このような歩数量増加に対する SA 時間の絶対
身体活動量から乖離(過小評価)するという相関
的変化は、介入期から観察期にわたって、対照群
関係が認められた。すなわち、同じ青壮年層でも
との間に有意な交互作用は認められなかった。た
低体力の者や、一般的に歩行速度が低下する高齢
だし、覚醒時間(睡眠時間)および歩数計装着時
者層を対象とする場合は、本研究の成果を一般化
間に時期による差が認められたことから、その影
できない可能性に留意する必要がある。したがっ
響を除外するために各強度の身体活動時間を日中
て、MVPA の増加を目標とする場合は、直接的
の全身体活動時間(歩数計装着時間)で除した割
に MVPA の増加を促す仕組みが必要である。先
合 に て検 討 を行 っ た(図 1 )
。 本 歩 数介 入は、
行研究において、MVPA 時間を直接モニタリン
%SA 時間を介入期間から観察期間にわたって有
グする活動量計を利用した身体活動支援は MVPA
意に減少させた。先行研究において、%SA 時間
の増加に有効であることが報告されている1,23)。
5,12,28)
が短いほど代謝性疾患リスクを低減することが示
B.メンタルヘルス
唆されている 。歩数量増加を目標とした支援は、
本研究は、歩数の増加という生活場面での身体
青壮年女性の SA を減少に導く可能性が示唆さ
活動変化がメンタルヘルスへ及ぼす影響を検討し
れ、長期間持続できればそれに伴う疾病予防効果
た。
が期待できる。
抑うつ状態を評価する CES-D 得点は、介入期
2 .歩数と身体活動量(METs・時)の関連性
間から観察期間にわたり有意な変化は認められな
4)
への影響
かった(表 3 )。定期的な運動の実施は、不安や
(30)
抑うつなどの気分状態を改善することが期待され
関連性が認められなかった。これに関する要因を
ているが 、本研究でそのような影響が認められ
本研究から明らかにすることはできないが、LPA
なかった要因として、まず、本研究の対象者の多
の増加を継続したことによる慢性効果が得られた
くが抑うつの症状のないメンタルヘルスが良好な
のかもしれない。身体活動の抗うつ効果における
者であったことが考えられる。つまり、運動によ
運動強度の影響について、MVPA での検討はこ
る抑うつ軽減効果は、抑うつの程度が重い集団ほ
れまで多くされているが、LPA については十分
ど大きい
ので、ベースラインが正常範囲であ
な検証がなされていない。高齢者の抑うつと身体
る本対象者においては、変化し難かったことが推
活動に関する最近の研究において、LPA が MVPA
察される。次に、本研究では、自由な方法で歩数
と同様に抗うつと関連することが示唆されてい
を増加するよう指示したが、多くは日常生活活動
る21)。
のなかで歩数を増やしていたと考えられる。この
POMS-brief で評価した気分状態に関しても顕
ような生活場面での身体活動の促進は、抗うつに
著な介入効果は認められなかった。先行研究にて、
作用し難いのかもしれない。女性の身体活動と抑
介入開始前の気分状態の水準が低いほど運動によ
うつの関連性を調べた先行研究において、余暇活
る改善効果が大きいことが知られており27)、本対
動時の身体活動量が抑うつの低減に影響している
象者のベースライン時の尺度評価が正常の範囲内
一方で、職業上や移動における総歩行量や中等度
であったため、変化をとらえ難い集団とも考えら
強度の活動量は関係しないことを示し、女性の抑
れる。「TMD」においては、交互作用は認められ
うつ低減には身体活動の総量よりも身体活動を行
なかったが時期の主効果に傾向がみられ、介入群
う場面や社会的関係性が強く作用する可能性が示
の 1 週目の評価値がベースラインからポジティブ
唆されている 。日本人を対象としたコホート研
方向へ有意に変化したことが認められた。これは、
究においても通勤時の歩行時間は 1 年後の抑うつ
1 週目の「活気」が対照群より有意に高く、「抑
傾向の発生と関連しなかったことが報告されてい
うつ−落込み」が低い傾向を示したこと、更には
る 。推測の範囲であるが、余暇と生活場面での
「疲労」がベースラインよりも有意に低減したこ
身体活動の抗うつ効果の差の理由は、運動様式や
とが要因として考えられた。しかし、 8 週目にお
運動に伴う満足感に違いがあると考えられる。
い て は こ の よ う な 影 響 は 認 め ら れ ず、 上 述 の
本研究結果と先行研究を鑑みると、生活場面で
CES-D の結果とも一致しない。POMS-brief は、
単に歩数を増加するような身体活動促進では、肥
比較的短期的な気分状態を測定する評価尺度であ
満等の生活習慣病の予防には有効であるが、抗う
るため、新たに歩数介入を開始した急性期におけ
つ効果は期待できないのかもしれない。ただし、
るやる気、意欲、楽しみといった要因が反映され
健康や美容等に及ぼす好影響を期待して、対象者
た可能性が考えられる。ただし、生活場面での歩
自ら身体活動促進を実践した場合には、達成感や
数増加による身体活動促進の範囲では、少なくと
満足感、自己効力感を介して、感情・気分、ひい
もこのような急性の気分改善効果の積算による気
ては抗うつに作用する可能性もあり、このような
分への影響は考えられなかった。身体活動が心理
生活場面における身体活動促進がメンタルヘルス
状態に与える影響については、気晴らしや自己効
へ及ぼす影響については追検討する必要があると
力感などの心理的側面のみならず、ドーパミンや
考えられる。興味深いこととして、本研究では、
セロトニンなどの脳内神経伝達物質が関与する生
本介入終了の 8 週目において、ベースラインから
理学的側面による影響が考えられているが、いま
の LPA の変化量が大きいほど CES-D 得点がポジ
だ結論に至っておらず、今後の検討が待たれる。
ティブ方向に変化するという関連性がみられた
ただし、本研究のような歩数増加に伴う MVPA
(図 3 )
。この関連性は MVPA など他の身体活動
時間の増加を長期間継続することは、心身に好影
指標には認められず、また LPA がベースライン
響 を 及 ぼ す 可 能 性 が 考 え ら れ た。 精 神 的 側 面
より有意に増加した 1 週目においてはこのような
(MCS)と身体的側面(PCS)の健康関連 QOL に
32)
25)
34)
11)
(31)
おいて介入による影響が期待された(表 5 )。介
しかし、全期間の約 4 か月間をもってしても慢性
入後 8 週目、15週目と平均スコアが徐々に上昇し
影響と断定するには不十分かもしれない。身体活
ており、それぞれ15週目においてベースラインも
動と肥満や生活習慣病リスクの検討において、近
しくは対照群との間に差を認めた。両者ともに
年では、 1 年以上の長期間の介入研究による影響
ベースラインにおいて日本国民の標準点(標準値
を検討する研究デザインが増えてきており20)、介
を50点,標準偏差を10点)の範囲であったにもか
入 6 か月経過時と 1 年後とでは変化が観察される
かわらずこのような変化が観察でき、とりわけ
評価パラメータもある7)。したがって、更に長期
PCS においては標準値の上限を上回ったことは、
間観察することで、身体活動やメンタルヘルス、
青壮年者において日常生活場面での身体活動を促
また身体的健康度に関する実質的影響を検討する
進することの有益性が示唆されたものと考えられ
必要があると考えられる。
る。
総 括
C.本研究の限界点
本研究には、いくつかの限界がある。第 1 に、
健常青壮年女性を対象とした歩数計主体の簡易
身体活動評価に用いた加速度計内蔵歩数計は、上
な歩数量増加支援は、歩数の増加とともに、身体
肢の運動、階段昇降、自転車運動、水中運動など
活動量(METs・時)を有意に向上させ、日中の
を評価できないため、すべての身体活動を正確に
歩数計装着時間に占める MVPA 時間の割合を増
反映しているとはいえない。第 2 に、SA 時間の
大し、SA 時間の割合を減少させた。また、歩数
算出に用いた睡眠・歩数計未装着時間記録表は、
と身体活動量(METs・時)の関連性は、歩数増
対象者の主観に基づく点、また最大で10分間隔の
加の急性期( 1 週目)から形成期( 8 週目,15週
単位で記入するケースがあるなど時間分解能の点
目)にわたって同様であり、介入前・中・後のい
で限界が考えられる。つまり、SA 時間の変動を
ずれのタイミングにおいても歩数の代替目標値を
本歩数計データ( 4 秒ごとに評価)と同等の精度
身体活動量のアセスメントに利用可能であること
で反映できていない。しかし、近年の SA に関す
が示唆された。ただし、歩数の増加に伴う各強度
る研究で歩数計のみに依存したものでは、所定の
時間の変化は、歩行など身体活動の質の個人差に
アルゴリズムにて装置の未装着を判定したうえで
留意する必要があると考えられた。また、このよ
SA を評価する手法がとられており、実際の活動
うな生活場面での身体活動変容を意図した介入
の内容を反映できていない可能性も否めない。そ
は、メンタルヘルス状態が健全な集団においては、
の観点からは、本研究では加速度信号と主観的評
明らかな影響は認められなかった。ただし、健康
価を併用した利点は大きいと考えられる。また、
関連 QOL は身体的・精神的側面の両方でポジ
本研究の SA の定義は、測定法の限界により1.8
ティブな反応を示す傾向がみられた。このように、
METs 未満とした点には留意する必要がある。先
歩数増加といった生活場面での身体活動の変化が
行研究においても SA 判定の定義や手法はさまざ
メンタルヘルスへ及ぼす影響については、精神的
まであるが、最近、SA とする強度を1.5 METs 以
健康度が低水準の対象者や、更に長期間の身体活
下に統一しようとする提案がされており 、他の
動習慣の変化の影響について追検討していく必要
研究との比較や何らかの健康関連パラメータに対
がある。
30)
して SA 水準を標準化する際には留意すべき点で
謝 辞
あろう。第 3 に、本研究の対象者は、平均的にメ
ンタルヘルスの状態が健全な集団と考えられた。
つまり、抑うつ状態が高いなどメンタルヘルスの
低い対象者についての影響は明らかでない。最後
本研究は、公益財団法人明治安田厚生事業団の健康医
科学研究助成を受けて実施した。ここに記して深謝申し
上げます。
に、本研究課題は介入期間と脱介入期間を設定し
参 考 文 献
急性影響および慢性影響を検討しようと試みた。
1)Ayabe M, Brubaker PH, Mori Y, Kumahara H, Kiyonaga A,
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