第 9 回グローバル COE 国際シンポジウム The 9th

スポーツ科学研究, 11, 1-5, 2014 年
グ ロ ー バ ル COE レ ポ ー ト 26
第 9 回グローバル COE 国際シンポジウム
Global COE Report 26
The 9th International Sport Sciences Symposium
⼩川哲也、曹振波、⼤嶋⾥美、⼩⽊曽航平、永⾒智⾏
早稲田大学スポーツ科学学術院
Tetsuya Ogawa, Zhen-Bo Cao, Satomi Oshima, Kohei Kogiso, Tomoyuki Nagami
Faculty of Sport Sciences, Waseda University
ス ポ ー ツ 科 学 研 究 11, 1-5, 2014 年 , 受 付 日 : 2014 年 3 月 10 日 , 受 理 ⽇ : 2014 年 3 月 10 日
2
2013 年 11 月 30 日( 土 )、12 月 1 日( 日 )の
日 目 の 午 前 に は 、 シ ン ポ ジ ウ ム
2 ⽇ 間 、 早 稲 ⽥ ⼤ 学 東 伏 ⾒ キ ャ ン パ ス 79 号 館 を
「 Neurophysiology of Motor Control」を 開 催 し 、
会 場 に 早 稲 田 大 学 グ ロ ー バ ル COE 国 際 シ ン ポ ジ
ヒトの運動における中枢神経系の調節について
ウ ム 「 The 9 th International Sport Science
野 崎 大 地 先 生( 東 京 大 学 )、Dr. Stefan Schneider
Symposium on “Active Life”」を 開 催 し た 。5 年
( ケ ル ン 体 育 大 学 )、 Dr. John Semmler( ア デ レ
間 に 及 ぶ 本 グ ロ ー バ ル COE プ ロ グ ラ ム に お け る
ー ド 大 学 )、 村 岡 哲 郎 先 ⽣ ( ⽇ 本 ⼤ 学 ) の 4 名 の
最 終 年 度 で あ る 本 年 度 は 、そ の 集 大 成 と し て 、海
先 ⽣ ⽅ に ⾏ 動 科 学 、脳 波 、筋 電 図 な ど 様 々 な 神 経
外 か ら の 9 名 を 含 む 13 名 の シ ン ポ ジ ス ト の 先 生
科学的アプローチを基にした研究内容をご紹介
方 と 、 海 外 協 定 校 か ら の 大 学 院 生 を 含 む 11 名 の
い た だ い た 。ま た 、午 後 に は 、ケ ル ン 体 育 大 学 学
若⼿シンポジストを招いて盛⼤に⾏われた。
⻑ で あ る Dr. Walter Tokarski に よ る 基 調 講 演
「 Sport and the European Union: historical
and current aspects」 が ⾏ な わ れ 、 欧 州 に お け
シンポジウムおよび基調講演
1 日目の午前の部では、シンポジウム
る 現 在 に 至 る ま で の ス ポ ー ツ の 歴 史 と EU( 欧 州
「 Biomechanics 」 を 開 催 し た 。 Dr. Walter
連 合 )の 関 わ り に つ い て ご 講 演 を い た だ い た 。さ
Herzog( カ ル ガ リ ー 大 学 )、 ⽮ 内 利 政 先 ⽣ ( 早 稲
らに、その後に⾏なわれたシンポジウム
田 大 学 )、 Dr. Michael Hiley (ラ フ バ ラ 大 学 )の 3
「 Sociology and Sport Management」 で は Dr.
名 の 先 生 方 よ り そ れ ぞ れ 、筋 、関 節 、体 操 競 技 の
Hyungil Harry Kwon( 中 央 大 学 校 )、松 岡 宏 高 先
パフォーマンスに関する最新の知⾒をご紹介い
生 ( 早 稲 田 大 学 )、 Dr. Dongfeng Liu( 上 海 体 育
た だ い た 。 午 後 に は 、 Dr. David Stensel (ラ フ バ
学 院 )、 Dr. Po-Hsiu Lin( 台 湾 師 範 大 学 ) の 4 名
ラ 大 学 )に よ る 基 調 講 演 「 Physical activity and
の 先 生 方 よ り 、自 国 に お け る ス ポ ー ツ 発 展 の 歴 史
Health:
的 過 程 を そ れ ぞ れ の 社 会・文 化 的 背 景 と の 関 連 か
opportunities and challenges」 が ⾏ な わ れ 、 先
らご講演いただいた。
各 講 演 後 に は 質 疑 応 答 が ⾏ わ れ 、い ず れ に お い
生のご専門である生化学的な観点から運動と健
ても聴衆との間で活発な議論が交わされる盛況
康 の 関 連 に つ い て ご 講 演 を い た だ い た( 写 真 1 )。
ぶりであった。
1
スポーツ科学研究, 11, 1-5, 2014 年
写真1.シンポジストによる発表の様子
(Day 2)
講演者および各講演内容は以下の通りである。
[Symposium B: Neurophysiology of Motor
(Day 1)
Control]
[Symposium A: Biomechanics]
“Context Dependent Formation and Retrieval
“Optimal Use of Muscles in Sports”
of Human Motor Memories”
Dr. Walter Herzog
Dr. Daichi Nozaki
University of Calgary
The University of Tokyo
“Common Features of Shoulder Joint
“X-treme EEG - Studying the Neurophysiology
Movements in Various Sports Techniques”
of Motor Control in Extreme Conditions:
Dr. Toshimasa Yanai
space, deep water and during maximal
Waseda University
exercise”
Dr. Stefan Schneider
German Sport University Cologne
“Optimal Technique, Variability, Control, and
Skilled Performance”
Dr. Michael Hiley
“Neuromotor Adjustments to Physical Activity
Loughborough University
and Exercise in Humans”
Dr. John G. Semmler
The University of Adelaide
[Keynote Lecture A]
“Physical Activity and Health: opportunities
and challenges”
“Context Dependent Constraint during
Dr. David Stensel
Interlimb Coordination”
Loughborough University
Dr. Tetsuro Muraoka
Nihon University
2
スポーツ科学研究, 11, 1-5, 2014 年
[Keynote Lecture B]
[Session 1]
“Sport and the European Union: historical and
“Using Pattern Recognition Techniques to
current aspects”
Identify Group-Specific Movement Patterns
Dr. Walter Tokarski
during Running”
German Sport University Cologne
Stefan Hoerzer
University of Calgary
[Symposium C: Sociology and Sport
Management]
“Kinematical Analysis of Phases of
“The Meaning of Program Satisfaction in
Double-push of In-line Speed Skating”
School Sport Club in the Republic of Korea”
Weiguang Ni
Dr. Hyungil Harry Kwon
Jilin University
Chung-Ang University
“Effects of High-intensity Training on Bone
“Examining the Latent Market for Professional
Mass in Adult Female Rats”
Sport Organizations as a Sociocultural
Xiaohong Chen
Resource”
Beijing Sport University
Dr. Hirotaka Matsuoka
Waseda University
“Inferior Muscularity of the Rectus Femoris to
Vasti in Varsity Cyclists: cross-sectional and
“Recent Developments and Prospects of
longitudinal observations”
China's Sports Industry”
Ryoichi Ema
Dr. Dongfeng Liu
Waseda University
Shanghai University of Sport
“Combined Strength and Endurance Training:
“The Genealogy of Taiwanese Baseball
perspectives for recreational endurance
(1951-2013)”
runners”
Dr. Po-Hsiu Lin
Ritva S. Taipale
National Taiwan Normal University
University of Jyväskylä
若⼿研究者による⼝頭発表
“Influence of Non-Circular Chainrings on
「 Young Investigators’ Symposium」 と 題 し
Physiological Parameters in Handcycling”
て 、 早 稲 田 大 学 グ ロ ー バ ル COE 登 録 者 を 代 表 す
Sebastian Zeller
る 3 名及び海外協定校からの⼤学院⽣を含む若⼿
German Sports University Cologne
シ ン ポ ジ ス ト 11 名 に よ る 口 頭 発 表 が 2 グ ル ー プ
に 分 か れ て ⾏ わ れ た 。い ず れ の 発 表 も 現 段 階 に お
“Fighting Against Cognitive Decline: exercise
け る 完 成 度 の ⾼ さ と と も に 、今 後 の さ ら な る 発 展
makes your brain brighter”
が ⾒ 込 ま れ る も の で あ っ た 。そ れ ぞ れ の 発 表 後 に
Lanya Chuang
は 聴 衆 と の 間 で 活 発 な 議 論 が 交 わ さ れ た 。詳 細 は
National Taiwan Normal University
以下の通りである。
3
スポーツ科学研究, 11, 1-5, 2014 年
[Session 2]
“How Professional Sports Impact on
“Cartilage Intermediate Layer Protein and
Subjective Well-being: case of Korean
Asporin Polymorphisms are Independent Risk
baseball”
Factors of Lumbar Disc Degeneration in Male
Taeyeon Oh
Collegiate Athletes”
Seoul National University
Seok-ki Min
Dong-A University
“Constraints of Spectator Sport -focusing on
the J League spectators”
“The Effects of Exercise during Haemodialysis”
Rei Yamashita
Maurice Dungey
Waseda University
Loughborough University
“Tourism and Economic Development through
ポスター発表
本 グ ロ ー バ ル COE プ ロ グ ラ ム の 全 研 究 推 進 担
International Sports Event Hosting? - a case
study from the Volvo Ocean Race in Sanya,
当者および登録学⽣によるポスター発表が⾏わ
China”
れ た 。登 録 学 生 に よ る 発 表 は 優 秀 ポ ス タ ー 賞 の 審
Chao Qi
査 対 象 で あ り 、審 査 の 一 環 と し て 1 人 あ た り 2 分
Shanghai University of Sport
間 の ⼝ 頭 発 表 が ⾏ な わ れ た 。海 外 よ り ご 参 加 の シ
ンポジストの先生方による厳正なる審査の結果、
“Sports Participation and Psychological
山 下 玲( 博 ⼠ 課 程 1 年 )、江 間 諒 ⼀( 博 ⼠ 課 程 2
Integration for Sedentary People”
年 )、 窪 ⽥ 千 恵 ( 博 ⼠ 課 程 3 年 ) の 3 名 に 優 秀 ポ
Fan Zhang
ス タ ー 賞 が 授 与 さ れ た 。上 記 の 受 賞 演 題 の 他 に も
Tsinghua University
学術的にレベルの⾼い発表が⼤変多く⾒受けら
れ 、ス ポ ー ツ 科 学 に お け る 高 い 専 門 性 と 幅 広 い 知
“Cardiorespiratory Fitness Modifies Genetic
識を兼ね備えた⼈材育成のための教育研究拠点
Risk of Hyperlipidemia: analysis of
を 形 成 す る こ と を 目 的 と し た 本 グ ロ ー バ ル COE
gene-fitness interaction”
プログラムの充実ぶりを窺い知ることのできる
Kumpei Tanisawa
内容であった。
Waseda University
4
スポーツ科学研究, 11, 1-5, 2014 年
写 真 2 . GCOE プ ロ グ ラ ム 登 録 学 生 に よ る ポ ス タ ー 発 表 の 様 子
き た と い う 点 に と ど ま ら ず 、ス ポ ー ツ 科 学 全 体 に
総括
対 す る 総 合 的 、且 つ 、国 際 的 な 視 点 か ら の 理 解 を
前 述 の よ う に 、 2013 年 度 は 5 年 間 に お よ ぶ 早
深めることのできる貴重な機会であった。
稲 田 大 学 の グ ロ ー バ ル COE プ ロ グ ラ ム 「 ア ク テ
ィ ヴ・ラ イ フ を 創 出 す る ス ポ ー ツ 科 学 」の 最 終 年
最 後 に 、本 シ ン ポ ジ ウ ム の 開 催 は す べ て グ ロ ー
度 で あ り 、よ っ て 本 シ ン ポ ジ ウ ム の 開 催 は そ の 集
バ ル COE 登 録 学 生 が 主 体 と な っ て 企 画 ・ 運 営 が
大 成 と し て の 位 置 づ け で あ っ た 。本 プ ロ グ ラ ム は
⾏ な わ れ た 。特 に 中 ⼼ 的 ⽴ 場 と し て ⾏ 動 し た 実 ⾏
「 ス ポ ー ツ 科 学 」と い う 学 際 的・複 合 的 な 学 問 領
委 員 ⻑ の 江 間 諒 ⼀ お よ び 実 ⾏ 委 員 の 原 怜 来 、⾈ 橋
域 を 対 象 と し て い る こ と か ら も 、多 く の 領 域 よ り 、
弘 晃 、⼲ 場 拓 真( す べ て 博 士 後 期 課 程 2 年 )に は 、
それぞれのリーダー的存在である先生方をお招
その尽⼒に敬意を表して本レポートの結びとす
き し 、ご 講 演 い た だ け た こ と は 、た だ 単 に 各 々 の
る。
学問領域における最新の知⾒に触れることがで
写真3.シンポジストの先⽣⽅を囲んで記念撮影
5