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4. 多様体 微分可能多様体の定義. M をハウスドルフ位相空間 M,m を

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2014 年度 幾何学演義 II 演習(担当:小西)
29
4. 多様体
微分可能多様体の定義. M をハウスドルフ位相空間 M ,m を非負の整数とする.M の開
被覆 {Uλ }λ∈Λ と連続写像 ϕλ : Uλ → Rm (λ ∈ Λ) が与えられているとする.これらが次の
条件 (i)(ii) を満たすとき、{(Uλ , ϕλ )}λ∈Λ は M の座標近傍系であるという.M と座標近傍
系 {(Uλ , ϕλ )}λ∈Λ の組を微分可能多様体といい,m を M の次元 (dim M ) という.座標近
傍系は省略して単に M を微分可能多様体ということも多い.
(i) ϕλ (Uλ ) は開集合で ϕλ : Uλ → ϕλ (Uλ ) は同相
(ii) Uλ ∩ Uμ = ∅ のとき
ϕλ ◦ ϕ−1
μ : ϕμ (Uλ ∩ Uμ ) → ϕλ (Uλ ∩ Uμ )
が C ∞ 級ベクトル値関数4.
(Uλ , ϕλ ) を M の座標近傍,ϕλ ⊂ Rm の自然な座標を Uλ ⊂ M の局所座標という.
(M, {(Uλ , ϕλ )}λ∈Λ ) が m 次元微分可能多様体とする.M の開集合 U と ϕ : U → Rm が,
{(Uλ , ϕλ )}λ∈Λ ) ∪ {(U, ϕ)} もまた座標近傍系になる、という条件をみたすときに (U, ϕ) も
この微分可能多様体の座標近傍であるという.
ここでは微分可能多様体のことを単に多様体ということにする.
4.1. n を正の整数とする.
(1) n 次元球面 S n = {x ∈ Rn+1 | |x| = 1} を考える.N = (0, . . . , 0, 1), S = −N とする.
U+ = S n \ {N }, U− = S n \ {S} とし,ϕ± : U± → Rn をそれぞれ N, S からの立体射影で
定める.すなわち + のとき点 N (− のとき点 S) と x を結ぶ直線と超平面 xn+1 = 0 との交
±
±
±
n
点を (u±
1 , . . . , un , 0) とすると ϕ± (x) = (u1 , . . . , un ) である.{(Uλ , ϕλ )}λ=± が S の座標近
傍系であることを確かめよ.
(2) n 次元複素射影空間 CPn を考える.Ui = {[z1 : . . . : zn+1 ] ∈ CPn | zi = 0}(1 ≤ i ≤ n+1)
とし,ϕi : Ui → Cn ∼
= R2n を
ϕi ([z1 : . . . : zn+1 ]) =
除く
zn+1 zi
1
,...,
,...,
zi
zi
zi
z
で定める.{(Ui , ϕi )}1≤i≤n+1 は CPn の座標近傍系であることを確かめよ.
4.2. 問 2.22 で定義した2次元トーラス T 2 = R2 /Z2 ) を考える.商写像 π : R2 → T 2 が被
覆射であることより.R2 の座標近傍系 {(R2 , Id)} から自然に T 2 の座標近傍系が定まる.
具体的に座標近傍系を構成することでこのことをみてみよう.
P˜ = (a, b) ∈ [0, 1) × [0, 1) ⊂ R2 に対して開集合 U˜P ⊂ R2 を U˜P = (a − 12 , a + 12 ) × (b −
1
, b + 1 ) とし,ιP : U˜P → R2 を包含写像とする.任意の点 P ∈ P˜ に対して P = π(P˜ ) と
2
2
4C ∞
ベクトル値関数とは Rm
⎛
⎞
F1
⎜ . ⎟
. ⎟
の開集合から Rn の開集合への連続写像 F = ⎜
⎝ . ⎠ であって各成分
Fn
Fi (x1 , . . . , xm ) は C ∞ 級関数となっているものとする.これは杉浦「解析入門 I,II」で用いられている用語.
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2014 年度 幾何学演義 II 演習(担当:小西)
˜P ) ととる.U˜P の決め方から
なる P˜ ∈ [0, 1) × [0, 1) がただ一つ存在するので,UP = π(U
UP と U˜P は同相である.よって写像 ϕP : UP → R2 を ιP = π ◦ ϕP によって定めることが
できる.{(UP , ϕP )}P ∈T 2 が T 2 の座標近傍系であることを確かめよ.
微分可能構造. U = (Uλ , ϕλ )λ ,V = (Vα , ψα )α がどちらも M の座標近傍系であるとする.
微分可能多様体の定義の条件 (ii) で Uμ , ϕμ を Vα , ψα に置き換えたものが成り立つとき,U
と V は同値であるという.また座標近傍系の同値類を M の微分可能構造という.
部分多様体. N を n 次元多様体とする.部分空間 M ⊂ N が次の条件 (i)(ii) を満たすとき
N の m 次元部分多様体であるという.
(i) m = n の場合は M は N の開集合である.
(ii) m < n のとき,M の任意の点 P に対して P を含む N の座標近傍 (VP , ψP ) で
ψP (M ∩ VP ) = ψP (VP ) ∩ ι(Rm )
を満たすものが存在する.ここで ι : Rm → Rn は ι(u1 , . . . , um ) = (u1 , . . . , um , 0, . . . , 0) と
いう写像である.
M が N の部分多様体であるとき,M には次のように N の微分可能構造から座標近
傍系が定まる.m = n のときは N の座標近傍系を M に制限したものを考えればよい.
m < n のときは,点 P ∈ M に対し,条件 (ii) を満たす VP , ψP を一組とり,UP = VP ∩ M ,
ϕP = ψP |UP : UP → Rm ととれば,{(UP , ϕP )P ∈M } は M の座標近傍系になる.M が N
の部分多様体であると言う場合はこの微分可能構造を考えることにする.
4.3. n, m は正の整数とする.
(1) 陰関数定理の主張を述べよ.
(2) F : Rm+n → Rn が C ∞ 級ベクトル値関数とする.a ∈ Rn に対し
rankF (x) = n (∀ x ∈ F −1 (a))
が成り立つならば F −1 (a) は Rn+m の m 次元部分多様体であることを示せ.ただし F (x)
は点 x = (x1 , . . . , xn+m ) ∈ Rn+m における F の微分係数
⎞
⎛
∂F1
∂F1
(x)
.
.
.
(x)
∂xn+m
⎟
⎜ ∂x1 .
..
⎟
⎜
.
F (x) = ⎝ .
.
⎠
∂Fn
∂Fn
(x) . . . ∂xn+m (x)
∂x1
である.
補足 4.1. 問 4.3 より,n 次元球面 S n = {(x1 , . . . , xn+1 ) ∈ Rn+1 | x21 + . . . + x2n+1 = 1} は
Rn+1 の部分多様体であり,その微分可能構造は次の座標近傍系 {(Ui,α , ϕi,α )}1≤i≤n+1,α=±
で与えられることが分かる:
除く
Ui,± = {x ∈ S n | ±xi > 0},
ϕi,± (x) = (x1 , . . . , xi , . . . , xn+1 )
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4.4. n 次元球面の,立体射影 (問 4.1) で定まる微分可能構造と補足 4.1 の微分可能構造は
一致することを確かめよ.
行列リー群. M (n, R) で n 次正方行列全体のなす集合を表す (n ≥ 1).行列に対して成分
2
を並べた n2 成分のベクトルを対応させる全単射 Ψ : M (n, R) → Rn ,
(1)
A = (aij ) → t (a11 , . . . , a1n , a21 , . . . , a2n , . . . , an1 , . . . , ann ) (t は転置)
2
によって M (n, R) を Rn と同一視し多様体とみなす.また,
GL(n, R) = {A ∈ M (n, R) | det A = 0}
(実 n 次一般線型群)
SL(n, R) := {A ∈ M (n, R) | det A = 1} (実 n 次特殊線形群)
t
= En }
O(n, R) := {A ∈ M (n, R) | AA
(実 n 次直交群)
SO(n, R) := {A ∈ O(n) | det A = 1} (実 n 次特殊直交群)
とする.ここで En は n 次単位行列である.
4.5. 陰関数定理 (と問 4.3) を用いて
(1) SL(n, R) は M (n, R) の n2 − 1 次元部分多様体であることを示せ.
(2) SO(3, R) は M (3, R) の 3 次元部分多様体であることを示せ.
C ∞ 級写像. M, N を m, n 次元多様体とする.連続写像 F : M → N が次の条件を満たす
とき,F は C ∞ 級写像であるという: 任意の点 P ∈ M に対して P まわりの M の座標近
傍 (UP , ϕP ) と F (P ) まわりの N の座標近傍 (VF (P ) , ψF (P ) ) で
(i) F (UP ) ⊂ VF (P )
∞
(ii) ψF (P ) ◦ F ◦ ϕ−1
級ベクトル値関数
P : ϕP (UP ) → ψF (P ) (VF (P ) ) が C
という条件をみたすものが存在する.
C ∞ 級写像 F : M → N が,全単射でありかつ F −1 も C ∞ 級写像であるとき F を微分
同相写像という.多様体 M から N への微分同相写像が存在するとき,M と N は微分同
相であるという.
4.6. 多様体の間の連続写像で,同相であるが微分同相でない例を挙げよ.
4.7. CP1 から S 2 への微分同相写像 Φ で Φ の U2 = CP1 \ {[1 : 0]} への制限が ϕ−1
+ ◦ ϕ2 :
U2 → U+ = S 2 \ {N } となるものを構成せよ.(ϕ+ , ϕ2 は問 4.1 参照.)
4.8. N, N を微分可能多様体,M, M をそれぞれ N, N の部分多様体とする.G : N → N が C ∞ 級写像で G(M ) ⊂ M を満たすとき,G を M に制限することで定まる M から M への写像 F も C ∞ 級となることを示せ.
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4.9. 複素 n 次正方行列全体のなすを M (n, C) で表す.その部分集合
SU (n) = {A ∈ M (n, C) | A† A = En , det A = 1}
は n 次特殊ユニタリ群と呼ばれる.ここで A† は A の転置行列の複素共役をとった行列で
ある.n = 2 の場合を考える.
(1) A ∈ SU (2) は
A=
z1 −z 2
z2
(z1 , z2 ∈ C, |z1 |2 + |z2 |2 = 1)
z1
と表せることを確かめよ.この対応によって SU (2) を3次元球面 S 3 = {(z1 , z2 ) ∈ C2 |
|z1 |2 + |z2 |2 = 1} と同一視する.
(2) 写像 SU (2) → SU (2), A → A2 に対応する S 3 から S 3 への写像を F とすると
F (z1 , z2 ) = (z12 − |z2 |2 , z1 z2 + z 1 z2 )
である (各自確かめよ).F が C ∞ 級写像であることを示せ.
4.10. (1) 2次特殊ユニタリリー代数
su(2) = {X ∈ M (2, C) | X † + X = O, tr X = 0}
は M (2, C) を複素ベクトル空間とみたときの部分空間ではないことを説明せよ.また
M (2, C) を実ベクトル空間とみたときには,その部分空間であることを示せ.
√
(2) Xi = − −1σi (1 ≤ i ≤ 3) は su(2) の基底であることを確かめよ.ただし σ1 , σ2 , σ3 は
パウリ行列とする:
σ1 =
0 1
1 0
√ 0
− −1
√
−1
0
σ2 =
σ3 =
1
0
0 −1
(3) su(2) への SU (2) の群作用 Ad : SU (2) × su(2) → su(2) を Ad(A, X) = A−1 XA で定
める.明らかに Ad(A, −) : su(2) → su(2) は線型写像である.記号を簡略化して,これを
AdA と書くことにする.基底 X1 , X2 , X3 に対する AdA の行列表示 (表現行列) を求めよ.
行列表示は SO(3, R) の元になることを示せ.
4.11. 上の問と同じ設定とする.
(1) A ∈ SU (2) に (1) の AdA の行列表示を対応させる写像を,問 4.9(1) で述べた SU (2) と
S 3 の同一視により,S 3 から SO(3, R) への写像 F とみなす.F は C ∞ 級写像であること
を示せ.
(2) SO(3) は RP2 と同相であることを示せ.
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接空間・座標基底. 以下では Rn の部分多様体である多様体のみを扱う.
M を Rn の m 次元部分多様体とする.ここでは,点 P ∈ M をとおる M 上の C ∞ 級曲線
という言い方で,0 を含む開区間 I から Rn への C ∞ 級写像 c で c(t) ∈ M (t ∈ I), c(0) = P
を満たすものを指すことにする.点 P ∈ M における M の接空間とは
TP M = {v ∈ Rn | v = c (0), ∃ P をとおる M 上の C ∞ 級曲線 c, }
で定まる Rn の部分空間とする.(部分空間となることは各自確かめよ). TP M の元を点 P
における接ベクトルという.
M の座標近傍 (U, ϕ) が与えられると,ϕ によって点 P ∈ U における接空間 TP M の基底
が次のようにして一組定まる.M が “入っている”Rn の座標を (x1 , . . . , xn ), ϕ : U → Rm
の行き先の Rm の座標を (u1 , . . . , um ) と表すことにしよう.このとき Rm 上の直線で点
ϕ(P ) をとおり ui 軸に平行なものを γi (t) とする.ci := ϕ−1 ◦ γi は P をとおる M 上の
C ∞ 級曲線になる.そして ci (0)(1 ≤ i ≤ m) は TP M の基底となる.ci (0) =:
∂
, . . . , ∂u∂m
∂u1
∂
∂ui
とかき,
を座標近傍 (U, ϕ) に関する TP M の座標基底とよぶ.
点 P ∈ M まわりの座標基底がふたつあるとき,TP M のふたつの座標基底の間の関係は変
数変換のヤコビ行列で与えられる:(U, ϕ), (V, ψ) を P まわりの座標近傍とし,ϕ : U → Rm
の Rm の座標を (u1 , . . . , um ), ψ の方は (v1 , . . . , vm ) とする.このとき ψ(U ∩ V ) 上で各 ui
は v1 , . . . , vm の C ∞ 級関数として表せることに注意.ψ(P ) = a ∈ Rm とすると座標基底
の変換則は
∂uk
∂
∂
=
(a)
,
∂vi
∂vi
∂uk
k=1
m
行列で書くと
∂
∂v1
...
∂
∂vm
⎛
=
∂
∂u1
...
∂
∂um
⎜
⎜
⎝
∂u1
(a)
∂v1
...
∂u1
(a)
∂vm
⎞
⎟ ⎟ = ∂ . . . ∂ (ϕ ◦ ψ −1 ) (a)
⎠
∂u1
∂um
∂um
∂um
(a) . . . ∂vm (a)
∂v1
..
.
..
.
である.
4.12. n ≥ 1 とする.
(1) Rn の任意の点 P における接空間は TP Rn = Rn であることを上の定義にしたがって
示せ.また座標近傍 (Rn , Id) に関する座標基底
n
∂
∂xi
(1 ≤ i ≤ n) を決定せよ.
(2) n 次元球面 S に対して,補足 4.1 の座標近傍 (Un+1,+ , ϕn+1,+ ) に関する座標基底 と問
4.1 の座標近傍 (U+ , ϕ+ ) に関する座標基底を求めよ.また U+ ∩ Un+1,+ においてそれらの
座標基底の間の変換行列を求めよ.
多様体の向き. 多様体 M に次の条件を満たす座標近傍系 {(Uλ , ϕλ )}λ が存在するとき,M
は向き付け可能であるという:Uλ ∩ Uμ = ∅ をみたす λ, μ に対して
(iii)
がなりたつ.
det(ϕλ ◦ ϕ−1
μ ) (a) > 0 (a ∈ ϕμ (Uλ ∩ Uμ ))
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上の条件 (iii) を満たす座標近傍系をひとつ選ぶことを多様体に向きを与える、といい,
多様体とその座標近傍系の組を向きをもつ多様体、または有向多様体などという.向きを
もつ多様体の座標近傍 (U, ϕ) としては,与えられた座標近傍系 {(Uλ , ϕλ )} に加えたとき
に {(Uλ , ϕλ )} ∪ {(U, ϕ)} もまた条件 (iii) を満たすようなもののみを考える.
問 4.1 で与えた立体射影による座標近傍系を用いて,ただし必要ならば適宜修正して S n
は向き付け可能であることを示せ.
接写像. M, M はそれぞれ Rn , Rn の部分多様体とし,F˜ は Rn (の M を含む開集合) から
Rn (の M を含む開集合) への C ∞ 級写像で F˜ (M ) ⊂ M をみたすとき,F ; M → M を F˜
の制限とする.このとき F の接写像 F∗ : TP M → TF (P ) M が次のようにして自然に定ま
る:接ベクトル v ∈ TP M に対して P をとおる M 上の C ∞ 級曲線 c で c (0) = v となるも
のをひとつとると F˜ ◦ c は点 F (P ) をとおる M 上の C ∞ 級曲線である.そこで
連鎖率
F∗ (v) := (F˜ ◦ c) (0) = F˜ (P )v
とおく.
接空間は Rn の部分多様体でない多様体でも定義される.また接写像は多様体 M から M への C ∞ 級写像に対しても定義される.しかしここではそういう一般の場合は割愛する.
4.13. S 3 から CP1 への写像 (z1 , z2 ) → [z1 : z2 ] と問 4.7 の微分同相写像 Φ を合成してでき
る S 3 から S 2 への写像を F とする.これをホップ写像という.
(1) C ∞ 級写像 F˜ : C2 → R3 で F˜ |S 3 = F となるものを求めよ.
(2) F の接写像 F∗ : TP S 3 → TF (P ) S 2 は任意の点 P ∈ S 3 について全射であることを示し,
核を求めよ.
4.14. 行列の指数関数. n 次正方行列 X の指数関数を
exp(X) = En + X +
Xk
X2
+ ··· +
+ ···
2!
k!
(X ∈ M (n, C))
で定める.
(1) exp(X) が収束することを示せ.
(2) det exp(X) = etr X が成り立つことを示せ.
(3) Y も n 次正方行列とする.X と Y が可換,つまり XY = Y X ならば exp(X) exp(Y ) =
exp(Y ) exp(X) が成り立つことを示せ.
行列リー群の接空間,左不変ベクトル場. Eij ∈ M (n, R) を第 (i, j) 成分のみ 1, 他の成分
は 0 である行列 (行列単位, matrix unit) とする (1 ≤ i, j ≤ n).
2
M (n, R) は式 (1) の全単射 Ψ によって Rn と同一視するので,接空間 TA M (n, R) も
M (n, R) と同一視できる.その基底として {Eij } (1 ≤ i, j ≤ n) がとれる.また実 n 次一
般線型群 GL(n, R) は M (n, R) の開集合であるからその接空間 TA GL(n, R) = TA M (n, R)
も M (n, R) とみなせることに注意.以下ではこの同一視を使う.
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4.15. 正方行列 X ∈ M (n, R) に対して cX (t) := exp(tX) で点 En (単位行列) をとおる
GL(n, R) 上の C ∞ 級曲線が定まる.
(1) cX (t) の定める TEn GL(n, R) の接ベクトルを求めよ.
(2) tr X = 0 となる n 次正方行列 X に対して cX (t) は SL(n, R) 上の曲線となることを確
かめよ.
(3) SL(n, R) の点 En における接空間 TEn SL(n, R) を求め,M (n, R) の部分空間として表せ.
4.16. SO(n, R) の点 En における接空間 TEn O(n, R) を求め,M (n, R) の部分空間として
表せ.
4.17. G ∈ GL(n, R) による左作用 LG : GL(n, R) → GL(n, R) を LG (A) = GA で定める.
(1) (LG )∗ (Eij )TG GL(n, R) を求めよ (M (n, R) の元として表せ).
(2) (LG )∗ (Eij ) (1 ≤ i, j ≤ n) は TG GL(n, R) の基底であることを示せ.
4.18. G ∈ SU (2) による左作用 LG : SU (2) → SU (2) を LG (A) = GA で定める.問 4.9(1)
で述べた S 3 と SU (2) の同一視を用いてこれを S 3 から S 3 への写像とみなす.
(1) P = (1, 0) ∈ S 3 ⊂ C2 における接空間 TP S 3 ∈ C2 ∼
= R4 の基底
√ 0
0
−1
v1 = √
v3 =
v2 =
1
0
−1
に対し,LG (vi ) (i = 1, 2, 3) を求めよ.
(2) LG (vi ) (i = 1, 2, 3) は TG S 3 の基底であることを示せ.
(3) S 3 の接ベクトル束 T S 3 は自明なベクトル束 S 3 × R3 に同型であることを同型写像を
構成して確かめよ.
4.19. 平成25年度大学院入試問題. 写像 F˜ : R4 → R4 を F (x, y, z, w) = (xy, y, z, w) と
定め,F : S 3 → R4 を F の3次元球面 S 3 への制限とする.S 3 の各点 P における F の接
写像 F∗ の階数を求めよ.
写像の臨界値と正則値. C ∞ 級写像 F : M → M が与えられているとする.F の臨界点と
は接写像 F∗ : TP M → TF (P ) M の階数が rank F∗ < dim M となる点 P ∈ M のことであ
る.臨界点 P の像 F (P ) ∈ M を F の臨界値といい,臨界値でない Q ∈ M を F の正則値
という.
4.20. 写像 f : M (n, R) → R を f (A) = det A で定める.f の臨界値と臨界点を求めよ.
また f はモース関数か?(C ∞ 級関数 f がモース関数であるとは,2回偏微分のなすヘッ
セ行列が f のすべての臨界点において正則行列である場合をいう.)
4.21. 写像 tr : SL(n, R) → R の臨界点と臨界値を求めよ.ただし正方行列 A に対し,
trA は対角成分の和とする.
4.22. 写像 f : SO(3, R) → R を f (A) = a11 (a11 は A の (1, 1) 成分) で定める.f の臨界
点と臨界値を求めよ.
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4.23. CP1 から CP1 への写像 [z1 : z2 ] → [z12 : z22 ] を問 4.7 の微分同相写像 Φ によって S 2
から S 2 への写像とみなし,これを F とする.F の臨界値と臨界点を求めよ.
4.24. 平成 21 年度大学院入試より. 問 4.9(2) の写像 F : S 3 → S 3 の臨界点と臨界値を求
めよ.また臨界点における F∗ の階数も求めよ.
4.25. 平成27年度大学院入試問題. 2次元球面 S 2 上の関数 f (x, y, z) = xy + yz + zx の
臨界点を全て求め,それらが非退化かどうかも答えよ.
ただし f の臨界点 P ∈ S 2 が非退化であるとは点 P まわりの局所座標 u, v に関して
∂f
∂f
(P
)
(P
)
2
∂u
∂u∂v
∂f
(P )
∂v∂u
∂f
(P )
∂v 2
が正則行列ということである.なおこの定義は局所座標のとり方によらない.
できなかったこと. 微分形式,コホモロジー,特にドラーム・コホモロジー,ベクトル束,
その特性類・
・
・.これらについては参考文献等を見てください.
参考文献
[1] ボット・トゥー「微分形式と代数トポロジー」Springer.
[2] Milnor, Stasheff “Characteristic Classes”, Princeton University Press.
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