DNA 断片化を評価する TaqMan® Assay の注意点

アプリケーションノート
TaqMan® Assay
DNA 断片化を評価する TaqMan Assay の注意点について
®
要約
アプリケーションノート
「次世代シークエンサーで測定を行うDNAの断片化を評価する TaqMan® Assay （ION070-A1302IH）」で紹介した
256 bp を増幅する FFPE DNA QC Assay において、使用するリアルタイム PCR マスターミックスにより増幅に違いが認められた。TaqMan®
Gene Expression Master Mix では増幅に問題がないが、TaqMan® Universal Master Mix II を使用した場合に増幅性が悪くなる現象が見
られた。そこで、TaqMan® Univarsal Master Mix II においても良好に増幅する FFPE DNA QC Assay v2 を再設計した。本アプリケーショ
ンノートでは 2 つの Assay の性能と配列情報を提供する。
イントロダクション
Formalin-Fixed Paraffin-Embedded
（ FFPE ）に代表される臨床サンプルから抽
出した DNA は断片化を受けている場合が
多い。DNA の断片化は PCR を阻害するた
め、次世代シーケンスで良好なデータを取得
するためには、サンプルDNA の断片化程度
を評価する必要がある。我々はDNA の断片
化を評価するTaqMan® Assayについて報告
した1。断片化したDNAを次世代シーケンス
で測定した場合、次世代シーケンスのデータ
クオリティが低下することが明らかになった2。
材料及び方法
前報で用いた TaqMan® Assay（FFPE DNA
QC Assay）は TaqMan® Gene Expression
Master Mixを用いた場合には反応性に問題が
生じないが、TaqMan® Univarsal Master
Mix II を用いた場合に反応性に問題が生じ
ることが明らかとなった。
TaqMan® RNase P Detection Kit に付属し
ている Human Control DNA（10ng /μL）
を使用し、5 点の検量線を作成した。FFPE
DNA QC Assay と FFPE DNA QC Assay
v2 を TaqMan® Universal Master Mix II
本アプリケーションノートでは、DNA 断片化
を評価する TaqMan® Assay を新たに設計
し、FFPE DNA QC Assay v2 とした。以前
に設計した FFPE DNA QC Assay と FFPE
DNA QC Assay v2の性能を評価した実験例
を紹介する。
次に、断片化している DNA サンプルを用意
FFPE DNA QC Assay と FFPE DNA
し、
QC Assay v2 の断片化の程度（相対値）を
比較した。この比較では、TaqMan® Gene
Expression Master Mix を用いて比較を行
った。
で増幅させ、増幅を評価した。
Amplification Plot
10
Long Assay
256-268bp
断片化していないDNA
1
△ Rn
RNase P
Short Assay
87bp
断片化した DNA
0.1
0.01
0.001
Assay
Amplicon Size
FFPE DNA QC Assay
256 bp
FFPE DNA QC Assay v2
268 bp
Fwd Primer
Rev Primer
TaqMan MGB Probe
Fwd Primer
Rev Primer
TaqMan MGB Probe
Sequence
5'-AGCTGAGTGCGTCCTGTCACT-3'
5'-ACCTCACCTCAGCCATTGAACT-3'
5'-CACTCCCATGTCCC-3'
5'-CCCTTGGGAAGGTCTGAGACTAG-3'
5'-CGGAGGAGAGTAGTCTGAATTGG-3'
5'-CTCACCTCAGCCATTG-3'
6
8
10
12
14
16
18
20 22
Cycle
24
26
28
30
32
34
36
38
40
24
26
28
30
32
34
36
38
40
Amplification Plot
断片化しているDNA
1
0.1
0.01
0.001
表1. 2 種類の DNA QC Assay の比較
4
10
△ Rn
図1. DNA の断片化を評価する仕組み
®
短い増幅断片を増幅する TaqMan Assay と長い増幅断片を増幅する TaqMan Assay で
増幅を比較することにより、DNA の断片化を評価することができる。Short Assay として
®
TaqMan RNase P Detection Kit を用い、Long Assay として FFPE DNA QC Assay も
しくは FFPE DNA QC Assay v2 を用いる。
2
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20 22
Cycle
図2. 断片化した DNA の short assay（緑）と
long asasy（青）の増幅
断片化している DNA では long assay の増幅が悪く
なる。
結果及び考察
3.25
FFPE DNA QC Assay v2
FFPE DNA QC Assay
3.00
2.75
2.50
2.25
2.00
1.75
1.50
1.25
RQ
用いた場合においては、両者で良好な増幅が
確認できている
（data not shown）。
3.50
△ Rn
FFPE DNA QC Assay と FFPE DNA QC
Assay v2 について TaqMan® Universal
Master Mix II の増幅を比較した。その結果、
FFPE DNA QC Assay において、増幅不良が
観察された
（図3）。
TaqMan® Gene Expression Master Mix を
1.00
FFPE DNA QC AssayとFFPE DNA QC Assay
v2を用いて、TaqMan® Gene Expression
Master Mix 用いた場合の断片化程度につい
て評価を行った。その結果、 FFPE DNA QC
Assay と FFPE DNA QC Assay v2 はほぼ同
様の断片化の相対値が観察された
（図4）。
結論
FFPE DNA QC Assay v2 は FFPE DNA QC
Assayの代替えが可能であり、また、TaqMan®
Universal Master Mix II を用いた場合でも良
0.75
0.50
0.25
0.00
2
4
6
8
10
12 14 16 18
20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44
Cycle
図3. TaqMan Universal Master Mix を用いた場合の
FFPE DNA QC Assay と FFPE DNA QC Assay v2 の
増幅の違い
®
TaqMan Universal Master Mix II を用いた場合にお
いて DNA QC Assay で増幅の不良が観察された。
®
1.25
1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
0.85
0.80
0.75
0.70
0.65
0.60
0.55
0.50
0.45
0.40
0.35
0.30
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
FFPE DNA QC Assay v2
FFPE DNA QC Assay
control
A
B
C
D
E
図4. 断片化した DNA を FFPE DNA QC Assay と
FFPE DNA QC Assay v2 で評価した場合の相対値
®
測定は TaqMan Gene Expression Master Mix を用
いて行った。 FFPE DNA QC Assay と FFPE DNA QC
Assay v2 を用いた場合でほぼ同様の相対値が見られた。
好な増幅が見られることが明らかとなった。
1）アプリケーションノート . 次世代シークエンサーで測定を行うDNA の断片化を評価する TaqMan Assay（ ION070-A1302IH）
®
2）DNA 断片化が次世代シークエンサーのデータに与える影響について（ION072-A1303IH）
Ordering information
製品名
反応数（20µL）
TaqMan® MGB 遺伝子発現検出キット（Small Size）
製品番号
1000 反応以上
4324034
TaqMan RNase P Detection Kit
100 反応
4316831
TaqMan Gene Expression Master Mix
500 反応
4369016
TaqMan® Universal Master Mix II, with UNG
500 反応
4440038
®
®
FFPE DNA QC Assay と FFPE DNA QC Assay v2 は TaqMan® MGB 遺伝子発現検出キットのカスタム合成品として注文をすることが可能です。
その際に、FFPE DNA QC Assay とFFPE DNA QC Assay v2 という名前で Primer 及び TaqMan® MGB Probe の 20X プレミックスでのご注文
となります。
注文には発送先などのユーザー登録等が必要になります。
本 Assay の注文等のお問い合わせに関しては、詳細は弊社 Webサイトもしくは下記まで連絡ください。
FFPE DNA QCアッセイ用TaqMan® MGB遺伝子発現キットオーダー方法（閲覧のためにはIon Community への登録が必要となります。）
http://ioncommunity.lifetechnologies.com/docs/DOC-7257
メールアドレス： [email protected]
電話番号： 03-6832-6980 （音声ガイダンス：①番プッシュ後、④番（アプライドバイオシステムズオリゴ・ウエブ受注品））
facebook.com/LifeTechnologiesJapan @LifetechJPN
研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用は出来ません。
記載の社名および製品名は、弊社または各社の商標または登録商標です。
標準販売条件はこちらをご覧ください。 www.lifetechnologies.com/TC For Research Use Only.
Not for use in diagnostic procedures. © 2014 Thermo Fisher Scientific Inc. All rights reserved.
All trademarks are the property of Thermo Fisher Scientific and its subsidiaries unless otherwise specified.
TaqMan is a registered trademark of Roche Molecular Systems, Inc. Used under permission and license.
Printed in Japan. SDR084-A1406IH
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本社：〒108-0023 東京都港区芝浦 4-2-8
TEL.03 (6832) 9300 FAX. 03 (6832) 9580
www.lifetechnologies.com
大阪：〒564-0052 大阪府吹田市広芝町 10-28
TEL.06 (6389) 1201 FAX. 06 (6389) 1206
取扱店

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