高圧噴射撹拌工法による格子状地盤改良の原位置施工実験(その2)

高圧噴射撹拌工法による格子状地盤改良の原位置施工実験(その2)
格子状地盤改良
変動係数
1.はじめに
その 2 では、その 1 で報告された施工実験の実験結果
として、改良体の強度や強度のばらつき、改良体同士の
密着部の一体性について述べる。
2.調査内容
改良体強度と密着部の連続性の調査位置を図-1 に示す。
1)改良体本体部の一軸圧縮強度とばらつきの調査
コア供試体は JC-C より 26 検体採取し、採取位置は平
面方向として改良体芯から 300mm ピッチ、深度方向と
して砂層を対象としたランダムサンプリングを行った。
2)改良体同士の密着部の連続性調査
密着部及びその両端本体部分の強度比較のため、鉛直
面より 30°の斜めボーリングを実施し(図-2)、密着部
及びその両端本体部の供試体をそれぞれ採取した。また、
密着部の目視による一体性を確認するため、密着部の鉛
直コアボーリング及び断面カットを行った。
3.改良体本体部の一軸圧縮強度とばらつき
JC-C から採取したコア供試体 26 検体の一軸圧縮試験結
果を図-3 に示す。日本建築センター指針 1)に準拠して、不
良 率 10% を 考 慮 し た 合 格 判 定 値 X は 、 (1) 式 よ り
X=3,445kN/m2 となり、設計基準強度 Fc=2,000kN/m2 を満足
した。また、変動係数は 27%となり、スラリー系機械式
攪拌工法のそれと同程度の変動係数となった。
(1)
X  q uf  1.3σ
同
同
同
同
田屋 裕司*
阿部 宏幸***
られないことから、高圧噴射により、原地盤とセメント
ミルクが十分に攪拌され、改良体全体が均一な品質を確
保できていると考えられる。
4.改良体密着部の連続性
4.1 高圧噴射攪拌工法同士の改良体密着部
1)連続性の目視確認
改良体天端(埋土部分)における密着部の断面状況を
写真-1 に示す。JC-D のセメントスラリーに添加した色
粉により、密着部は直線状ではなく、先行の改良体の形
状に合わせて後行の高圧噴射が、肌離れなく密実に一体
化していることが分かる。また、密着部の鉛直コアによ
るコア採取率が 100%であったことから、連続性が確保
できていると判断した。
合格判定値
合格判定値
X=3445KN/㎡
X=3445KN/㎡
10 10
9 9
平均強度
平均強度
quf
10%不良率強度
10%不良率強度
X
現場平均強度
現場平均強度
quf=5345KN/㎡
quf=5345KN/㎡
V f=27%
Fc=2000KN/㎡
Fc=2000KN/㎡
設計基準強度
設計基準強度
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1
0 0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
一軸圧縮強度(kN/㎡)
一軸圧縮強度(kN/㎡)
データ個数 n
26
最大
8,243 kN/㎡
最小
2,758 kN/㎡
5,345 kN/㎡
平均強度 quf
標準偏差 σ
1,462 kN/㎡
27%
変動係数 Vf
10%不良率強度 X
3,445 kN/㎡
設計基準強度
2,000 kN/㎡
一軸圧縮強度とコア供試体の採取位置の関係を図-4 に
示す。改良体芯からの距離や深度と圧縮強度に相関が見
写真-3
写真-2
写真-1
内田 明彦*
土屋 勉***
頻度
頻度
高圧噴射撹拌
コア強度
正会員 ○上枝 豊*
同
山中 龍**
原位置施工実験
密着部
図-3
本体部の一軸圧縮試験結果(JC-C)
圧縮強度(kN/m 2)
0
2000
1
8000
10000
杭芯から600mm
杭芯から900mm
1.4
1.6
調査位置
30°
埋土
1.8
2
2.2
改良範囲
採取深度(GL- m)
図-1
6000
杭芯から300mm
1.2
色粉を添加した改良体
断面カット
4000
砂
2.4
斜めコアボーリング
密着部
コア
2.6
コア (密着部)
2.8
コア
Fc =2000kN/m2
3
図-2
斜めコア採取
Field test about grid-form ground improvement using jet
grouting for existing buildings(Part 2)
図-4
圧縮強度と供試体採取位置の関係(JC-C)
UEDA Yutaka, UCHIDA Akihiko, TAYA Yuji
YAMANAKA Ryu, TSUCHIYA Tsutomu and ABE Hiroyuki