顕微鏡について - メレスグリオ

光学システム
顕微鏡について
Microscope Components
顕微鏡の概念はシンプルです。2組のレンズを用いて
物体の 拡大像を観察します。対物レンズで拡大され
た像をさらに接眼 レンズで拡大します。全体の倍率
は、対物レンズと接眼レンズ の倍率の積になりま
す。
フォーカシング機構
メレスグリオの顕微鏡ボディは、全ての標準対物レンズ、 接眼レンズ、およびアクセサリを取り付ける
ことができます。 顕微鏡ボディには、ピントの粗調のみができるタイプと、粗調 と微調ができるタイプ
があります。寸法は、メインボディの長 さが142.5 mm、エクステンションリングが17.5 mm、全長
160 mmです。顕微鏡ボディは「モジュール構造」で、ノーズピ ースを付けてご使用になれます。
接眼レンズ
接眼レンズは対物レンズによる像を拡大して、観測者がその 拡大像を見られるようにします。接眼レン
ズとしてホイヘンス タイプ(ネガティブ)と、ラムスデンタイプ(ポジティブ)の2 種類があります。
ホイヘンスタイプの接眼レンズは、2枚の平凸レンズをそれ らの焦点距離の和だけ離して設置したもの
です。このタイプの 接眼レンズには、横の色収差がありません。通常のホイヘンス 接眼レンズは、像が
二つのレンズの間に来るために、レチクル が使えませんが、メレスグリオのホイヘンス接眼レンズは、
後ろ側のレンズの近くに位置する焦点面にレチクルを入れられ る構造で、しかも倍率誤差は小さくなっ
ています。
ラムスデン接眼レンズは、同一焦点距離の2枚の平凸レンズ の凸面側を向かい合わせに置いたもので
す。ラムスデン接眼レ ンズの焦点面は、レンズの外側(対物レンズ側)に位置します。
この焦点面にレチクルを置くと、接眼レンズで拡大されます。
レチクル
レチクルは、接眼レンズ焦点面に置き、像の長さ
測定と位置 確認に用います。メレスグリオのレチ
クルは、BK7研磨プ レート上に精密フォトクロー
ムパターン転写されたものです。
マシンビジョンでは問題となります。このような
場合の ためにLWDまたはELWDと呼ばれる、より
ワーキングディス タンスの長い対物レンズもあり
ますが、標準のレンズに比べサ イズが大きくなり
ます。
顕微鏡へのマウント用ネジには、いくつかの異な
対物レンズ
たいていの対物レンズは、共通の物像距離で最適
化されてい ますので、対物レンズの交換時にピン
ト再調整の必要がありま せん。同一の結像面(対
物レンズの取付け位置から150 mm)と良好な像
の質を得るには長焦点距離が必要となるため、メ
レスグリオの対物レンズの物像距離は(1×と
2.5×を除いて) 195mm となっています。
る、互換性 の無い規格(たとえばDIN、JIS、RMS
のような)が存在します。 ある規格のものを他の
規格のネジに取り付けることは、通常は 出来ませ
ん(無限補正対物レンズを除き)。同一シリーズ
の対物 レンズは通常同焦点となっており、レンズ
をマウントするフラ ンジと物体までの距離は同一
となっています。これは、顕微鏡 において対物レ
ンズ(倍率)を変更する場合に、大きなフォーカ
ス調整を必要としないことを意味しています。
対物レンズは全てアクロマチック(色消し)で、
国際規格に基 づくネジ切りが施され、互換性が保
たれています。
対物レンズのタイプ
対物レンズは、色収差、球面収差、像面湾曲がど
標準の対物レンズは、人間の眼の色感度に合わせ
の程度補正 されているかにより、あるグループに
て色補正さ れています。単色での顕微鏡撮影用途
分類されます。もっとも シンプルな対物レンズ(
には、03 FCG 039 のよ うなグリーンフィルターを
アクロマート)は、赤と青における色収 差、そし
お勧めします。フラットフィールド 対物レンズ
て緑における球面収差が補正されています。より
は、像面湾曲補正がなされ、カラーの顕微鏡写真
高度 な対物レンズ(アポクロマート)では、赤、
撮 影に向いています。
黄、青における色補 正と、2ないし3波長における
像の明るさは開口数(NA)の2乗に比例します。
対物レンズの 開口数で顕微鏡の分解能と焦点深度
が決まります。分解能は、 幾何光学的には
3600×NA(ラインペア/ mm )で与えられま す
が、回折限界値λ/ NA を越えることはできませ
ん。可視光 に対する焦点深度は、約λ/(4 NA2)
となります。
顕微鏡用対物レンズは、微小な物体の観察に使用
します。対 物レンズには、様々な価格と性能を持
つ製品が揃っています。
球面収差が補正されています。 視野全体にわたっ
て質の高い像を必要とする用途向けのPlan 対物レ
ンズ(PlanアクロマートおよびPlanアポクロマー
ト)は、像面湾曲も補正されています。また、一
般的にPlan対物レ ンズは、シンプルなタイプに比
べ長いワーキングディスタンス を持っています。
いくつかの対物レンズは、特定の用途に使用する
ためにデザ インされています。例えば生物顕微鏡
用対物レンズは、カバー スリップを通して物体を
観察するように補正されています。も し、特にNA
の大きいこの対物レンズをカバースリップ無しで
鏡筒の先端から物体までの距離であるワーキング
使用した場合には、像はシャープに結びません。
ディスタ ンス(WD)は、顕微鏡用対物レンズの
同様に、生物 用ではない対物レンズにおいて、レ
場合非常に小さくなって います。そのため対物レ
ンズと物体の間にガラスを 置いた場合には、適切
ンズと物体を接近させて配置しなければ ならず、
な機能は得られません。
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1980年以前の顕微鏡用対物レンズは、レンズをマ
割高となります。これらの兼ね 合いはアプリケー
ウントす るフランジ部分後段の距離(チューブの
ションにとって重要であり、対物レンズの NAの選
長さ)で像を形成する よう設計されていました。
択は注意して行なう必要があります。
この長さは、メーカーや用途により 160 mmから
210 mmの間の様々なものがありました。対物レ
ンズは、適切な長さのチューブにおいて仕様に掲
げる倍率の像 を形成します。現代の顕微鏡用対物
レンズは、無限遠補正され ています。これは像側
の光線が平行となるよう最適化されてお り、別途
デコリメートするかチューブレンズを使用するこ
とに より結像します。このデザインにより、対物
視野角(FOV: Field Of View)は、センサーのサイ
ズを倍率 で割った値となります。倍率(および
FOV)は、チューブの長さ もしくはデコリメート
レンズの焦点距離を変える事により調整 が可能で
す。対物レンズ上に記されたものと非常に異なる
倍率 での使用は、不十分に最適化されたシステム
における結果を一 般的に生じます。
レンズ後段のコリ メート領域に照明やビームスプ
リッターを配置する事が出来る 柔軟性が生まれま
した。仕様通りの対物レンズの倍率の像を形成 す
るには、適切な焦点距離を持つチューブレンズが
必要です。
特殊な用途向けの対物レンズも、多く存在しま
す。あるレン ズは、赤外もしくは紫外の波長領域
で色補正されています。低 蛍光の対物レンズは、
紫外線による蛍光分析の用途に使用しま す。スト
レスのかかっていない対物レンズは、イメージ光
の偏 光が保持されなければならない用途に使用し
ます。
対物レンズの選択
顕微鏡の対物レンズを選ぶための最も重要なパラ
メーター は、その開口数です。NAが大きいほど解
像力は増し、これは対 物レンズが近接する物体の
互いの特徴を識別できる事を意味し ます。NAは倍
率と関係しており、高い倍率の対物レンズは通常
mm
大きなNAを有しています。対物レンズは、適切な
チューブ長さ、
もしくは適切なデコリメートレンズと共に使用し
た場合に、仕 様に掲げる倍率が得られます。ま
た、対物レンズは異なる倍率 でも使用することが
できます。NAと倍率は、通常対物レンズの 鏡筒に
記されています。NAの大きな対物レンズは多くの
光を 集める事が出来ますが、被写界深度(DOF)
とワーキングディ スタンスは小さくなり、価格も
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