15:00 GC/MSによる汚染物質の包括的分析 中村 貞夫

GC/MS による汚染物質の包括的分析
アジレント・テクノロジー ○中村貞夫、東京電機産業
永澤憲彰
Comprehensive analysis of pollutants by GC/MS, by Sadao NAKAMURA (Agilent Technologies Japan) and Noriaki
NAGASAWA (Tokyo Denki Sangyo)
1. はじめに
そのクロマトグラムを示した。
危機管理として、水質汚染事故(原水水質悪化、テロ等)
標準水試料について、農薬 135 成分(標準水溶液濃度
への対応は迅速な前処理法が望まれる。本研究では、GC/MS
100ng/L)の検出の有無を確認した。125 農薬が検出可能で
を用い、VOC(揮発性有機化合物)から SVOC(中揮発性有機化
あった。検出できなかった農薬は 10 で、全体の約 7.4%であ
合物)をターゲットにした。前処理法として、VOC は固相マ
った。それらの農薬は、トリクロルホン、ジメトエート、ブ
イクロ抽出(SPME)法、SVOC は SPME 法及びスターバー
ロマシル、チアメトキサム、MPP オキソン、MPP オキソン
抽出(SBSE)法を検討した。VOC は MTBE、1,4-ジオキサ
スルホキシド、MPP オキソンスルホン、CNP-アミノ体、ア
ン、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレ
セタミプリド、チアクロプリドであった。検量線の直線性は、
ン、ベンセン、ジクロロメタン、cis-1,2-ジクロロエチレン、
標準水試料濃度 100、200、500、1000ng/L において、決定
trans-1,2-ジクロロエチレン、カビ臭など、SVOC は平成 25
係数で 0.936 以上(殆どは 0.99 以上)であった(上記 10 農
年 3 月の厚生労働省の農薬類の分類見直しにおける追加農薬
薬、メチルダイムロン、MPP スルホキシドを除く。ジクロベ
を含む水質規制農薬 135 成分について検討を行った。
ニル、エトリジアゾール、クロロネブの 3 農薬は検量線の測
定はせず)
。Fig.2 に、標準水試料 100ng/L のクロマトグラム
2. 実験方法
2.1
を示した。
VOC
18
前処理:SPME(100μm PDMS ファイバー)
23
24
90 00
カラム:DB-1 60m, 0.25mm, 1.0μm
80 00
サンプル:10ml(塩析 30%)/20ml バイアル
70 00
60℃、抽出時間 30 分間
オーブン温度:35℃(5min)-10℃/min-280℃(3min)
カラム流量:1.3ml/min(コンスタントフローモード)
*20ml バイアルに NaCl3g、
試料 10ml を入れ、
キャップをし、
NaCl を溶解。オートサンプラへ。
60 00
Abundance
SPME 条件:加熱温度
21
20
50 00
40 00
9
30 00
8
4
20 00
1 2
3
10 00
0
6.00
2.2 SVOC
8.00
5 6
7
10.0 0
26
10
14
15
19
12,13 16
11
17
12.00
14.00
25
22
16.00
18.00
20.00
22.00
24.00
26.00
Retention time / m in
Fig,1 VOC のクロマトグラム
前処理:SBSE(PDMS)
カラム:VF-5ms 30m,0.25mm,0.25μm
サンプル:10ml(塩析 30%)/10ml バイアル
オ ー ブ ン 温 度 : 70 ℃ (1min)-10 ℃ /min-200 ℃ (0min)-5 ℃
/min-290℃(0min)-10℃/min-310℃(1min)
カラム流量:1.2ml/min(コンスタントフローモード)
*10ml バイアルに NaCl3g、試料 10ml を入れ、NaCl を溶解
後、Twister を入れキャップ、1 時間オフラインで抽出。オー
トサンプラへ。20 サンプル同時抽出できるスターラーあり。
3. 結果と考察
検量線の直線性(r2)は、VOC 22 成分及び MTBE は 0.1
~50μg/L、1,4-ジオキサンは 5~100μg/L、2-MIB 及びジェ
Fig.2 SVOC のクロマトグラム
オスミンは 1~100ng/L の範囲において、0.992 以上であった。
標準水試料(VOC
キサン
22 成分及び MTBE 0.1μg/L、1,4-ジオ
5μg/L、2-MIB 及びジェオスミン
2ng/L)のピー
ク面積値の繰り返し再現性は、1.5~9.2%であった。Fig.1 に
4. まとめ
本法により、VOC から SVOC までの汚染物質の包括的分
析が可能であると期待できる。