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AN138 - ワイヤレス・パワー・ユーザー・ガイド

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Application Note 138
2013年10月
ワイヤレス・パワー・ユーザー・ガイド
Trevor Barcelo
概要
誘導性ワイヤレス・パワー・システムは、高周波交流磁界を発
生する送電器と、その磁界から電力を収集する受電器で構成
されます。本書で説明する共振結合型システムを使用すると、
結合コア不要で電力伝送距離を伸ばし、アライメントの感度
を小さくできます。
ワイヤレス・パワー・システムを構築するには、送電器の電子
回路、送電コイル、受電コイル、および受電器の電子回路の
4つが必要です。受電器の電子回路は、ワイヤレス同期降圧
チャージャLTC4120に最小限の外部回路を組み合わせて構
築します
(図 1を参照)。データシートおよびデモボード・デザ
イン・ファイルなどの詳細については、LTC4120の製品ページ
を参照してください。
L、LT、LTC、LTM、Linear Technologyおよび Linearのロゴは、リニアテクノロジー社の登録商
標です。その他すべての商標の所有権は、それぞれの所有者に帰属します。
図 1.LTC4120 受電器デモボード
(DC1969A キットの Rx 部分)
an138fb
AN138-1
Application Note 138
図 2.基本的な送電器のリファレンス・デザインの実装(DC1969A キットの Tx 部分)
図 3.Proxi-Point 送電器
図 4.Proxi-2D 送電器
an138fb
AN138-2
Application Note 138
送電器のソリューション
現在設計可能か既成で入手可能な送電器には、次の4 種類
があります。
1. 基本的な送電器:PowerbyProxi Inc.とリニアテクノロジー
が共同開発したワイヤレス・パワー・デザインです
(図 2を
参照)。オープン・ソースのリファレンス・デザインとして提供
されており、LTC4120をワイヤレス・パワー・システムに組み
込むために使用できます。このプッシュプル電流帰還共振
コンバータの詳細については本書で後述します。
2. Proxi-Point:PowerbyProxi から入手可能な先進の送電器
です
(図 3を参照)。詳細については、www.powerbyproxi.
comを参照してください。そのまま使用できるほか、別の製
品に直接組み込むことができます。1.の基本的な送電器と
異なり、金属異物検出機能、少ないスタンバイ電力、水晶
制御による安定した動作周波数などの特長を備えていま
す。送電コイルが内蔵されています。
3. Proxi-2D:PowerbyProxiから入手可能な先進の送電器です
(図 4を参照)。詳細については、www.powerbyproxi.com
を参照してください。そのまま使用できるほか、別の製品に
直接組み込むことができます。Proxi-Pointとは異なり、2 次
元の充電面上の任意の向きで複数の受電器を同時に充
電できます。送電コイルが内蔵されています。
基本的な送電器
以降のセクションで説明するLTC4120の基本的な送電器は、
受電コイルおよび LTC4120 ベースの受電器回路を合わせて
使用することで、ワイヤレス・バッテリ充電システムを構築で
きます。このワイヤレス・バッテリ充電システムを使用すると、
LTC4120を標準的部品を使用して評価できます。
この基本的な送電器は、共振 DC-AC 送電器です。LTC4120
とともに動作するよう設計された、シンプルかつ容易で安価な
送電器です。所定の受電要件一式を満たすのに比較的高精
度なDC 入力電圧を供給するための安定化した電源が前段
に必要です。基本的な送電器は金属異物検出機能がないた
め、金属異物が加熱される可能性があります。さらに、基本的
な送電器の動作周波数は、部品の選択と負荷によって変わる
可能性があります。
このシステムはDC 電源からの電力を使用して、マルチケミス
トリのバッテリをワイヤレスで充電できます。このシステムのブ
ロック図を図 5に示します。
基本的な送電器を使用してワイヤレス・バッテリ充電システ
ムを構築することは可能ですが、付録に記載するような高度
な機能が要求されるアプリケーションでは、Proxi-Pointや
Proxi-2Dの送電器を推奨します。
4. Proxi Custom:上述のオプションのいずれも適さないアプリ
ケーションでは、要件を満たすカスタムの送電器を設計お
よび製造できます。詳細や価格については、PowerbyProxi
にメール
([email protected])で問い合わせるか、
www.powerbyproxi.comをご覧ください。
COUPLING (Tx + Rx COIL)
DC POWER SUPPLY
Tx CIRCUIT
Tx
Tx COIL
LTC4120
CIRCUIT
Rx COIL
BATTERY
Rx
WIRELESS BATTERY CHARGING SYSTEM
an138 F05
図 5.ワイヤレス・バッテリ充電システムの機能ブロック図
an138fb
AN138-3
Application Note 138
システムの機能ブロックの説明
ます。受電器の反射インピーダンスは、送電器の動作周波数
に影響することがあります。同様に、送電器による電力出力
は、受電器での負荷に依存します。送電器とLTC4120 充電
器の両方で構成される充電システムは、効率的なワイヤレス・
バッテリ充電手法を提供します。送電器の出力電力は、バッ
テリを充電するのに使われる電力に基づいて自動的に変動し
ます。
LTC4120 ベースのワイヤレス・バッテリ充電システムは、動的
整合化制御(Dynamic Harmonization Control: DHC)
によるワ
イヤレス電力伝送テクノロジを使用しています。DHCは、さまざ
まな条件下で最適なワイヤレス電力伝送を可能にし、熱管理
および過電圧保護を提供する特許取得の技術です。本書で
説明する共振結合システムでは、高精度な機械的アライメン
トや、結合コアが不要です。充電システムは、送電器の電子回
路、送電コイル、受電コイル、受電器の電子回路によって構成
されます。
回路の説明
基本的な送電器は電流帰還プッシュプル送電器で、LTC4120
のバッテリ出力に2Wを供給できます。基本的な送電器の回
路を図 6に示します。プッシュプル送電器の各スイッチは、相
対する回路の電圧でドライブされ、そのドライブにその他の制
御回路は必要ありません。スイッチのドライブ回路は、各スイッ
チに対して抵抗、スイッチのターンオフ用ダイオード、ゲート・
コンデンサ、ツェナー・ダイオードで構成されます。
送電コイルLX は送電器の電子回路から通電され、高周波磁
界(動作周波数は受電器の負荷と受電コイルの結合によって
変動するが、通常は約 130kHz)
を発生します。この磁界によ
り、受電コイルLR に電圧が誘起されます。この誘起電圧はコ
ンデンサで調整された後、LTC4120によって管理され、電力
転送を制御します。標準的な送電器では、約 2.5A RMSのAC
コイル電流を発生します。
ツェナー・ダイオードD1および D4の電圧定格は、M1とM2
を完全にターンオンし、かつ過電圧から保護できるよう選択
します。
受電コイルLR は共振回路内に構成されており、その下流に
整流器とLTC4120 があります。データシートおよびデモボー
ド・デザイン・ファイルなどの詳細については、LTC4120の製
品ページを参照してください。受電コイルは、LRとLX の間の
相互インダクタンスを介して送電器に反射される負荷を表し
電流制限ゲート抵抗 R1および R2は、M1、M2の最大 VDSと
ツェナー・ダイオードの電流定格に従って選択します。
VDC
5V
•
LB1
68µH
TRANSMITTER
•
LB2
68µH
LX
CX
0.3µF 5µH
C4
0.01µF
C5
0.01µF
R1
100Ω
R2
100Ω
D3
D2
M1
M2
D1
BZX84C16
D4
BZX84C16
an138 F06
図 6.LTC4120 の基本的な送電器の回路図
an138fb
AN138-4
Application Note 138
LX の両端で得られる電圧波形を図 7に示します。
基本的な送電器の設計はシンプルで、容易に基板実装してテ
ストできます。基本的な送電器を構築するために使用される
部品のリストを表 1にまとめます。送電器の共振動作周波数
は、受電器の共振動作周波数と一致する必要があります。動
作周波数は次のように計算されます。
fO =
1
2π L X CX
基本的設計の推奨事項
送電器の電子回路が発生する高周波磁界により、送電コイル
の磁界の範囲内にある金属異物内で渦電流が誘起される可
能性があります。これらの渦電流により、金属異物に熱や低い
誘起電圧が発生することがあります。ユーザーやデバイスがこ
のような危険にさらされないよう、次のことを推奨します。
• 基本的な送電器に熱検出システムを内蔵すること。この検
出システムは、温度上昇を検出すると磁界をターンオフし
ます。
• 基本的な送電器とともに使用する電子素子を綿密にテスト
し、デバイスを損傷したり、ユーザーに危険を及ぼしたりし
ないことを確認すること。
• 基本的な送電器とともに使用する電子素子が LX コイル上
に配置されないよう、あらゆる現実的手段(ラベル貼付や
ユーザーへの指示)
を取ること。
TEK RUN
VLX
MATH FREQ
130.0kHz
VDS
(M1, M2)
MATH PK-PK
32.8V
an138 F07
図 7.システムの波形(受電器および 1.7W 負荷を使用)。M1 のドレイン
電圧(CH1)、M2 のドレイン電圧(CH4)、LX 両端の出力 AC 電圧
表 1. 基本的な送電器の構成部品
回路コード
説明
値(パラメータ)
メーカ
メーカの製品番号
LX
Tx Coil
5µH
TDK
WT-505060-8K2-LT
CX
CX Capacitors
2
0.15µF
Panasonic
ECHU1H154GX9
LB1, LB2
Inductors
68µH
TDK
VLCF5028T-680MR40-2
M1, M2
MOSFET
VDS = 60V, RDS(ON) = 11mΩ
Vishay
Si4108-TI-GE3
D1, D4
Zener Diode
VZ =16V, PD = 350mW
Diodes
BZX84C16
D2, D3
Schottky Diode
40V, 1A
On Semi
NSR10F40NXT5G
C4, C5
Gate Capacitor
0.01µF, 50V
Kemet
C0402C103K5RACTU
LR
Rx Coil
Rx Coil Ferrite
47µH
25mm Diameter
Embedded PCB Coil
TDK
Link to DC1967A Files
B67410-A223-X195
an138fb
AN138-5
Application Note 138
測定データ
基本的な送電器のテスト中に検証可能な回路パラメータのリ
ストを表 2 ∼ 4に示します。本書に記載するテストは、表 1に
示す部品を使用して実施しました。テストは、4.5mm、7.5mm、
10.5mmのギャップを持つTxコイルとRxコイルを使用して実
施しました。送電コイルと受電コイル間の距離と、コイルの中
心間オフセットに関するバッテリ・チャージャの電力曲線を
図 8に示します。このワイヤレス・パワー構成の標準的な充電
特性を図 9に示します。実際のデータは、部品の許容誤差や
個別のセットアップによって変動します。
デモボード・デザイン・
ファイルおよびドキュメントについては、www.linear-tech.co.jp/
product/LTC4120#demoboardsを参照してください。
表 3. 基本的な送電器の回路パラメータ
(ギャップ:7.5mm)
受電器あり
(無負荷)
129.5kHz
受電器あり
(負荷:1.535W)
128.8kHz
Input Voltage
4.99V
4.96V
Input Current
0.154A
0.602A
RMS Value of TX Output
AC Voltage
10.9V
10.5V
Peak Value of TX Output
AC Voltage
15.2V
15.2V
Receiver Output DC
Voltage
23.9V
17.5V
規定値
Operational Frequency
Standby Loss
Efficiency
0.768W
N/A
N/A
51.4%
表 2. 基本的な送電器の回路パラメータ
(ギャップ:4.5mm)
表 4. 基本的な送電器の回路パラメータ
(ギャップ:10.5mm)
仕様
Operational Frequency
仕様
Operational Frequency
受電器なし
受電器あり
受電器あり
(スタンバイ) (無負荷) (負荷:1.58W)
130.5kHz
128.7kHz
128.9kHz
受電器あり
(無負荷)
130.2kHz
受電器あり
(負荷:1.53W)
128.8kHz
Input Voltage
4.99V
4.99V
4.95V
Input Voltage
4.99V
4.95V
Input Current
0.15A
0.173A
0.676A
Input Current
0.156A
0.658A
RMS Value of TX
Output AC Voltage
10.9V
10.8V
10.4V
RMS Value of TX Output
AC Voltage
10.8V
10.5V
Peak Value of TX Output
AC Voltage
15.2V
15.2V
15.2V
Peak Value of TX Output
AC Voltage
15.2V
15.2V
N/A
34.9V
27V
Receiver Output
DC Voltage
17.4V
13.9V
0.75W
0.873W
N/A
Standby Loss
0.77W
N/A
N/A
N/A
47.1%
N/A
46.9%
Receiver Output DC
Voltage
Standby Loss
Efficiency
Efficiency
an138fb
AN138-6
Application Note 138
図 8.バッテリ・チャージャの電力とRX-TX コイル位置
5
1.75Ah LI-ION BATTERY
400
4
300
3
200
2
100
0
1
IBAT
VBAT
VCHRG
0
1
2
VBAT, VCHRG (V)
IBAT (mA)
500
3
4
TIME (HRS)
5
6
7
0
an138 F07
図 9.LTC4120と基本的な送電器を使用した場合の標準的バッテリ充電特性
an138fb
リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は一切負
いません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料はあくまで
も参考資料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
AN138-7
Application Note 138
付録:Proxi-PointとProxi-2D
送電器の種類による機能比較を表 5に示します。
特許を取得したProxi-Point 送電器とProxi-2D 送電器は、完
全にアセンブル済み、テスト済み、認定済みの既成ソリュー
ションとしてPowerbyProxi から提供されています。詳細につい
ては、www.powerbyproxi.comを参照してください。
Proxi-Point、Proxi-2D、Proxiカスタム・ソリューションの詳細
については、www.powerbyproxi.comを参照してください。
受電コイルは共振回路内に構成されており、その下流に整流
器とLTC4120 があります。送電器の周波数は、水晶発振器
によって制御されるため、設計値によって大きく変動すること
がありません。送電器による電力出力は、受電器での負荷に
依存します。共振受電器のインピーダンスによって負荷が送
電器に反射されるため、LTC4120によるバッテリ充電中、受
電器の電力に応じて伝送される電力が自動的に変動します。
Proxi-Point 送電器か Proxi-2D 送電器のいずれかとLTC4120
ベースの受電器を使用したワイヤレス・パワー充電システム
は、効率的なワイヤレス・バッテリ充電手法を提供します。
表 5. 各送電器の特長と機能
特長と機能
基本
Proxi-Point
Proxi-2D
Rated Power
2W
2W
2W per
Receiver
Single
Single
Multiple
Receivers per Transmitter
Freedom of Placement
Intelligent Foreign Metal Object
Detection*
EMC/EMI Compliant Off-The-Shelf
Fixed Operating Frequency
Supplied AC/DC Adaptor
Reverse-Polarity Protection
Built-In Transmit Coil
Low Power Standby**
Available for Purchase
* この機能は、金属異物が送電コイルの上部に配置されたときに、金属異物が加熱される
のを防ぐ方法の1つです。
** この機能を使用すると、送電器の充電範囲内に受電器がないとき、または充電範囲内の
受電器が電力を必要としないとき、送電器が自律的に低電力状態に遷移します。
an138fb
AN138-8
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〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F
TEL 03-5226-7291 ● FAX 03-5226-0268 ● www.linear-tech.co.jp
LT 0614 REV B • PRINTED IN JAPAN
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2013
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