タンタル・ニオブ電解コンデンサのご使用上の注意事項

タンタル・ニオブ電解コンデンサのご使用上の注意事項
ただしESR(D)はリプル周波数により異なるため、ご使用の
周波数に応じて以下の補正が必要です。
(表2,図4参照)
タンタル・ニオブ固体電解コンデンサ(タンタル・ニオブコンデ
ンサ)の使用における主な条件として、
1)電気的条件
2)耐候性条件
3)機器への取り付けや基板実装の条件
4)機械的振動・衝撃・保管条件等
があります。上記、各条件の規定を外れた誤使用はショート、漏
れ電流大等の故障発生の確率を高めます。従いまして、下記の点
に注意してご使用ください。
ESR(D)=K・ESR(120)
K:使用周波数における係数(表2,図4)
ESR(120)=tanδ・Xc=
ESR(120):120Hzにおける等価直列抵抗(Ω)
Xc
:120Hzにおける容量リアクタンス(Ω)
C
:120Hzにおける静電容量(μF)
f
:使用周波数(Hz)
1. 使用電圧
可能な限り、電圧軽減率を大きくとってください。
下記範囲でのご使用を推奨します。
1.1
■表1 ケースサイズ別の許容電力損失値(PMAX)
周囲温度
(℃)
25
55
85
導電性高分子品(TNC形・TNF形)
定格電圧の85%以下でのご使用を推奨します。
(10V定格品は80%以下となります。)
1.2
ニオブ電解コンデンサ(NMC形・NMCU形)
周波数f
120
400
1k
10k
20k
40k
100k
1M
タンタル電解コンデンサ
定格電圧の50%以下でのご使用を推奨します。
上限
電圧軽減率
( 定格電圧 × %)
100
80
60
LP,P LA,UA,A
0.064
0.078
0.045
0.051
0.023
0.029
PMAX(W)
UB,B
C
0.096
0.100
0.062
0.065
0.035
0.037
E
0.120
0.078
0.044
F
0.160
0.104
0.059
K
1.0
0.8
0.65
0.50
0.45
0.43
0.40
0.35
推奨範囲
40
20
図 4 補正係数(K)
0
-55 -40 -20 0
20 40 60 85 105 125
使用温度 (℃)
図1 導電性高分子 品の電圧軽減率
2.2 リプル電圧
(1)直流電圧とリプル電圧の尖頭値の和が定格電圧を超えない
範囲で使用してください。
(図5)
上限
100
電圧軽減率
( 定格電圧 × %)
J
0.050
0.032
0.018
■表2
定格電圧の80%以下でのご使用を推奨します。
1.3
tanδ
2πfC
80
60
推奨範囲
40
20
0
-55 -40 -20 0
20 40 60 85 105 125
使用温度 (℃)
図2 ニオブ電解コンデンサの電圧軽減率
上限
電圧軽減率
( 定格電圧 × %)
100
80
60
40
推奨範囲
20
図5
0
-55 -40 -20 0
20 40 60 85 105 125
使用温度 (℃)
図3 タンタル電解コンデンサの電圧軽減率
(2)重畳の電圧の変動による逆電圧がコンデンサに印加されな
いようにしてください。
(3)許容リプル電圧は定格電圧により異なります。
図6,7の値以下におさえてください。
ただし、高温でご使用になる場合は、下式により許容リプ
ル電圧を算出してください。
2. リプルについて
タンタル・ニオブコンデンサに過度のリプル電流、電圧を印
加しますとジュール熱によりコンデンサ本体の温度が上昇し
て信頼性を低下させます。許容できるリプル電流・電圧は品
種・定格により異なりますので弊社にお問い合わせください。
Vrms(at 55℃) =0.8×Vrms(at 25℃)
Vrms(at 85℃) =0.6×Vrms(at 25℃)
Vrms(at 125℃) =0.4×Vrms(at 25℃)
2.1 リプル電流
ケースサイズ
J,LP,P,UAA,
UB,B
at 25℃
最大許容リプル電流IMAXは次の式より算出できます。
=
MAX
ケースサイズ
C,E,F
at 25℃
PMAX
ESR(D)�
IMAX
PMAX
:コンデンサの許容リプル電流(Arms)
:コンデンサの許容電力損失値(W)
周囲温度およびケースサイズにより異なります。
表1により算出してください。
ESR(D):コンデンサの等価直列抵抗(Ω)
図6 許容リプル電圧
(J,LP,P,UA,LA,A,UB,B)
2
図7 許容リプル電圧
(C,E,F)
タンタル・ニオブ電解コンデンサ 3. 逆電圧
5.4 チップ品のはんだ付け温度と時間
チップ品のはんだ付け温度および時間はコンデンサ本体で下
記の範囲で行ってください。
(1)タンタル・ニオブコンデンサには逆電圧は印加しないでく
ださい。また、純交流回路には使用できません。
(1)リフローによるはんだ付け(赤外線・熱風・ホットプレート)
コンデンサ本体の温度:260℃以下(TNC,TNF:240℃以下)
時
間:10秒以内
許容温度時間範囲:図11
(2)タンタル・ニオブコンデンサの誘電体は、整流特性を持つ
ため、逆電圧を印加すると低い逆電圧でも大きな電流が流
れその結果自己発熱し、ショートとなる場合があります。
注1) 赤外線による上方加熱の場合は、基板表面よりコンデンサ
本体の温度が高くなりますので、十分にご注意ください。
パワーの大きい熱風炉等による場合は、急激な熱上昇とな
りますので、できれば130~160℃、1分以上の予熱ゾー
ンを設け、リフロー最高温度との差が100℃以下となるよ
うにご配慮ください。
(図12)
(3)テスタを使用する時は極性と電圧を十分にご確認ください。
(逆電圧、過電圧印加の原因となる恐れがあります。)
(4)逆電圧が印加される回路等にご使用の場合には、お問い合
わせください。もし、止むを得ず印加される場合には、か
ならず下記の値以下におさえてください。
at 25℃:定格電圧の10%または1Vのいずれか小さな値。
at 85℃:定格電圧の5%または0.5Vのいずれか小さな値。
さらに、電源インピーダンスは33Ω以上とし、時間は
240時間以内としてください。ただし、上記の条件は逆
電圧印加を保証するものではございません。
時間(秒)�
50�
4. タンタル・ニオブ固体電解コンデンサの
信頼性
吸着ツールおよびセンターリングツイーザー等による製品へ
の加圧は、先端形状φ1.5で4.9N(加圧時間5秒以内)以下
としてください。特に高さ1mm以下のチップ部品と混載さ
れる場合、吸着ツールのセッティング位置が極端に低くなり
ますと、コンデンサに大きな力が加わるだけでなく、コンデ
ンサおよび他部品の飛散や、基板の断線およびクラックの原
因ともなります。
図11 リフローはんだ付け許容温度時間範囲�
250�
最高温度・時間は図11の�
範囲内としてください。�
�
[推奨値235~245℃5秒以内]�
200�
150�
200℃�
50秒以下�
100�
130~160℃�
60~120秒�
�
0
0 30 60 90 120 150
時間(秒)�
図12 許容温度プロファイルの例�
(1)塩素分やアミンの極力少ないフラックスを選定してください。
(2)フラックス中の塩素分やアミンが残渣となりますので、使
用後は取り除いてください。
5.3 はんだ付け推奨パターン寸法
(2)フローによるはんだ付け(TNC,TNF形でのご使用はできません)
はんだ浴温度 : 260℃以下
時 間 : J,LP,P,UA,LA,A,UB,Bケース 10秒以内
C,E,F
ケース 5秒以内
許容温度時間範囲: 図13
注1) 急熱を避けるため、予備加熱を実施してください。
予備加熱は130~160℃、1分以上にしてください。
(図14)
20�
時間(秒)�
チップ品のはんだ付け推奨パターン寸法は表4、図10の通
りです。ただし、リフロー条件、はんだの種類、基板サイズ
等により影響を受けますのでご注意ください。
また、パターン面積がコンデンサの端子面積に比べて大きす
ぎると、はんだが溶融する際にコンデンサが位置ズレをおこ
すことがあります。
(J,LP,P,UA,LA,A,�
UB,Bケース)�
10�
(C,E,Fケース)�
L
X W
0
200 220 240 260
温度(℃)�
G
Z
図13 フローはんだ付け許容温度時間範囲�
�
■表4 はんだ付け推奨パターン寸法例
パターン寸法例
G
(MAX) Z
(MIN) X
(MIN) Y
(参考)
0.7
2.5
1.0
0.9
1.05
2.05
0.8
0.5
0.5
2.6
1.2
1.05
1.65
3.25
1.2
0.8
1.1
3.8
1.5
1.35
1.4
4.1
2.7
1.35
2.9
6.9
2.7
2.0
4.1
7.2
2.9
2.05
温度(℃)�
寸法 タンタルコンデンサ
L
W
ケース
J
1.6
0.8
LP
2.0
1.25
P
2.0
1.25
LA
3.2
1.6
UA,A
3.2
1.6
UB,B
3.5
2.8
C
5.8
3.2
E
7.3
4.3
200 220 240 260 �
50�
5.2 フラックスの選定
Y
TNC , TNF�
(全ケース共通)�
�度(℃)�
温
温度(℃)�
5.1 マウント機による実装時の加圧限界
コンデンサ�
20�
0
5. 実装時の注意事項
パターン�
TMF, TMCS, M, P, J,�
U, H, R, TX, THC, NMC�
30� (全ケース共通)�
10�
タンタル・ニオブコンデンサの故障率は印加電圧比、周囲温度、
回路抵抗、使用回路等により異なります。したがって、余裕度
のある選択により、高い信頼性を維持することができます。
故障率の推定等につきましては弊社までお問い合わせください。
図10
40�
250�
200�
最高温度・時間は図13の�
範囲内としてください。�
[推奨値235~245℃5秒以内]�
150�
100�
130~160℃�
60~120秒�
�
0
0 30 60 90 120 150
50�
時間(秒)�
図14 許容温度プロファイルの例�
3
タンタル・ニオブ電解コンデンサ (3)はんだこてによるはんだ付け
はんだこてによるはんだ付けは極力避けてください。止むを
えず作業する場合は、表5を目安としてください。
■表5
品 種 TMCR,TMCS,TMCM,TMCP,TMCJ,TMCU,TMCH,THC,NMC TMCTX
こて先温度
350℃以下
290℃以下
時 間
3秒以内
3秒以内
こて出力
30W以下
30W以下
※TMCTX形は温度ヒューズ内蔵のため、高温長時間でのはんだごて
使用の場合はヒューズがオープンとなります。十分なご配慮をお願
いします。
※TMF形、TNF形およびTNC形で、はんだこてを使用する際はお問い
合せください。
(4)はんだ付け作業のくりかえし
上記(1)~(3)のはんだ付け条件は、はんだ付け作業1
回を基準としております。再リフローはんだ付け、フロー・
リフロー併用はんだ付け等くりかえしてはんだ付け作業する
場合には下記の条件を守ってください。
i) 一度実装されたコンデンサを取りはずして再利用しないでく
ださい。
ii) はんだ付け作業は2回を限度としてください。
iii) 次回のはんだ付け作業は初回作業後2時間以上放熱した後、
行ってください。
iv) 洗浄は最終のはんだ付け作業後に実施してください。
5.5 実装後の洗浄
下記の溶剤が使用できますが、活性度の高いものは避けてく
ださい。
・ハロゲン系有機溶剤(HCFC225等)
・アルコール系溶剤(IPA、エタノール等)
・その他石油系溶剤、アルカリ鹸化剤、水等
基板洗浄の際は、温度50℃以下、浸漬時間30分以内で実施
してください。また、超音波洗浄の場合は周波数48kHz以下、
発振子の出力0.02W/cm3、時間5分以内、温度40℃以下
で実施してください。
注1) 上記洗浄の際、実装されたコンデンサが他の洗浄物等とぶ
つかりあったり、毛先の硬いブラシ等でこすることのない
ようにしてください。特に超音波洗浄の場合には、端子切
れの原因となりますのでご注意ください。
注2) 上記条件以外で超音波洗浄をする場合には、事前の確認を
十分に行ってください
6. その他
(1)詳細はEIAJ RCR-2368B電子機器用固定タンタル固体電解
コンデンサ使用上の注意事項ガイドラインをご参照ください。
(2)ご不明な点はお問い合わせください。
4
タンタル・ニオブ電解コンデンサ タンタル・ニオブ電解コンデンサのテーピング仕様
1. 製品記号
6. 巻取りリールの寸法
図5の通りとします。
参照�
C
B�
�
A�
�
ラベル�
E�
2. テープ材質
透明または半透明のプラスチック。カバーテープは熱圧着による。
3. テープの寸法
送り丸穴�
φ1.5+0 0.1�
E�
�
F
引出方向�
(1)製品記号
(2)定格電圧
(3)公称静電容量値
(4)公称静電容量許容差
(5)数量
(6)製造ロット番号
(7)製造業者名
W
B�
�
P1
t
4.0±0.1
2.0±0.1
図1�
■表1
(単位:mm)
A±0.2
B±0.2
W±0.3
F±0.1
E±0.1
P1±0.1
tMAX
1.4
1.9
3.1
1.9
3.1
3.7
4.8
6.2
1.0
1.5
1.9
2.2
3.5
3.8
3.5
3.8
6.3
7.7
7.5
1.8
2.3
3.5
8.0
8.0
8.0
8.0
8.0
12.0
12.0
12.0
8.0
8.0
8.0
3.5
3.5
3.5
3.5
3.5
5.5
5.5
5.5
3.5
3.5
3.5
1.75
1.75
1.75
1.75
1.75
1.75
1.75
1.75
1.75
1.75
1.75
4.0
4.0
4.0
4.0
4.0
8.0
8.0
8.0
4.0
4.0
4.0
1.6
1.7
1.7
2.5
2.5
3.1
3.4
4.1
1.3
1.5
1.5
標準収容
数量(個)
3000
3000
3000
2000
2000
500
500
500
4000
3000
3000
W
コンデンサの挿入方法�
捺印面�
�
5. カバーテープの剥離強度
図4に示す方法で、カバーテープを剥離した時、F=0.3±0.2Nで剥
離すること。
1-9月:1-9
10月:X
11月:Y
12月:Z
製造年月が1年を経過し、弊社にご返却頂いたロットは、品
質確認した時点が新たな製造ロットとなり、この時点から更
に1年間の保管期間となります。
TNF形、TNC形コンデンサは吸湿を防ぐため防湿梱包されてい
ます。保管期間は常温常湿(30℃ 60%RH以下)において製造
後1年以内です。未開封のまま製造後1年を超えたものについて
はコンデンサの品質に問題ありませんが、吸湿によりリフロー実
装時に特性が変動する場合があります。
これは、基本的な特性の劣化ではございませんが、梱包状態や品
質の確認が必要となる場合がありますので、ご使用にならず弊社
までお問合せ下さい。
尚、製造年月は製品ロット番号を御参照下さい。
本製品はJEDEC LEVEL3相当品ですので、防湿梱包開封後は製
品を5~30℃ 60%RH以下の条件で保管し、168h以内にリフ
ロー実装してください。上記保管条件を越えた場合は実装不具合
が発生することがありますので、御注意下さい。
9. その他の項目
テープ進行方向�
JIS C 0806、EIAJ EXT-7001および打合せによる。
F
図 4�
2013:3
2014:4
2015:5
2016:6
0123
追番
保存期間は常温常湿中(30℃ 60%RH以下)において製造後1
年以内です。
製造年月より1年を経過したものは、ベーキング又は特性確認が
必要となる場合がありますので、弊社までご連絡お願いします。
図3
θ�
1
製造月
8.2 高信頼性品(TNCH形) 高耐熱性品(THC形)
難燃性(NMC形) 一般・小型品
取付け電極面(下側)� �
カバーテープ�
3
製造年
8.1 導電性高分子品(TNC形・TNF形)
コンデンサの極性方向は送り穴側が陰極となる図2を標準と
します。また、キャリアテープの底面にコンデンサの取付電
極面がくるように挿入します。(図3)
送り丸穴�
※ロット番号の読み方
8. 包装および保管
4. コンデンサの挿入方法
記号:R
図2
�
図5
1リールに収容されるコンデンサの数量は表1を標準としま
す。表示はリールの一方向側面に原則として下記の事項を表
記します。
コンデンサ挿入くぼみ角穴�
A�
�
コンデンサ
寸法記号
P
UA
UB
A
B
C
E
F
J
LP
LA
�
7. 数量および表示
図1、表1をご参照ください。
単位:mm�
�
D
�
�
(単位:mm)�
テープ巾� 8� 12�
0�
A�
φ180� ←�
-3�
+1�
B�
φ60� ←�
0
±0.2�
C�
φ13� ←�
±0.5�
D�
φ21� ←�
±0.5�
E�
2.0� ←�
W ±0.3�
13.0
9.0
θ=10~15度�
F=0.3±0.2N�
剥離速度 0.005m/s
5