DS-CDMA 通信システムにおける ZF-FDE の雑音強調を抑圧する

平成 25 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号: 104
DS-CDMA 通信システムにおける ZF-FDE の雑音強調を抑圧する
拡散符号生成法
B-5
Spreading Codes Generation Method to Suppress Noise Enhancement of ZF-FDE
for DS-CDMA Communication Systems
三浦 巧磨
小林 岳彦
Takuma Miura and Takehiko Kobayashi
東京電機大学 ワイヤレスシステム研究室
Wireless Systems Laboratory, Tokyo Denki University
1. はじめに
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周波数選択性フェージング環境において,その影響を
低減するための伝送路ひずみ補正方法として ZF(Zero
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BER
Forcing)等化がある.この方法はシンボル間干渉を完全
に補正することが可能であるが雑音強調が生じる場合
があるため十分な BER(Bit Error Rate)特性を確保できな
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い場合がある.本論文では DS-CDMA で使用される拡散
符号をシンボルが通過する一種の MIMO 伝搬路と見な
し,受信側で ZF アルゴリズムによる周波数領域等化を
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proposed method (SF=128)
proposed method (SF=64)
proposed method (SF=32)
ZF and despreading (SF=128)
ZF and despreading (SF=64)
ZF and despreading (SF=32)
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0
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行なうことにより雑音強調を抑える方法を提案する.
図1
2. 拡散符号を利用した ZF 等化処理
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周波数領域等化(Frequency Domain Equalization: FDE)
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SNR [dB]
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GI 処理の BER 特性
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を用いた DS-CDMA[1]の送信側は一般的な DS-CDMA
とほぼ同様である.唯一の異なる点は GI(Guard Interval)
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BER
をシンボル前に挿入または ZP(Zero Padding)をシンボル
後に挿入することである.受信側は推定された伝搬路の
情報を用いて周波数領域等化を行なう.受信信号は拡散
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率 SF と等しい値で FFT され,推定された伝搬路情報に
よる重みを乗算することにより等化を行う.拡散符号を
一種の MIMO 伝搬路と見なし ZF 等化を行なうと次式の
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ようになる.
は伝搬路, は各行が長さ
ボルを表す対角行列,
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図2
(1)
の拡散符号, は変調シン
は送信信号, は白色ガウ
ス雑音を表す.式(1)のように第 2 項に拡散符号の情報が
乗算される点が通常の ZF 等化と異なる.通常,ZF 等化
によって雑音強調が発生する原因は伝搬路行列 の行列
式が小さくなることにより生じる.よって,拡散符号行
列の行列式を大きくすればよい.拡散符号行列の行列式
を大きくするための手法として,拡散符号行列を特異値
分解したとき特異値が一定値であればよい.これは,任
意の拡散符号行列が
proposed method (SF=128)
proposed method (SF=64)
proposed method (SF=32)
ZF and despreading (SF=128)
ZF and despreading (SF=64)
ZF and despreading (SF=32)
のようにユニタリ行列 ,
および対角行列 を用いて特対異値分解されるとき,
対角行列 の特異値をすべて最大値で置き換えることに
より特異値を一定にする.今回は,任意の拡散符号行列
を生成するために式(2)のチェビシェフ写像によって生
成されるカオス信号から SF 個の符号を生成し,各シン
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SNR [dB]
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ZP 処理の BER 特性
3. シミュレーション結果
変調方式は BPSK,GI 長または ZP 長を 16,拡散率は
32,64,128,FFT ポイント数は拡散率に等しい値を使
用した.想定する伝搬路は等電力インパルス応答を有す
るパス数 10 を想定し,各インパルス応答の間隔はすべ
て 1 とする.なお,チャネル推定は理想的に行われたも
のとし,また通常の ZF 等化を行なうシステムは拡散符
号に Walsh 符号を使用し ZF 等化後逆拡散処理を行なう.
結果を図 1 および図 2 に示す.この結果より伝搬路情報
のみを使用して ZF 等化を行なう場合と比較し,特異値
が一定の拡散符号を等価的に MIMO 伝搬路と見なし ZF
等化する方が BER 特性に優れている.また GI 処理は伝
搬路行列が巡回行列,ZP 処理はテプリッツ行列で表現
することができることから,伝搬路行列の行列式が大き
くなる ZP 処理の方が優れた BER 特性を示す.
参考文献
ボルを拡散するために使用した.
(2)
[1]
F. Adachi, D. Grag, S. Takaoka, and K. Takeda, “Broadband CDMA
techniques, ” IEEE Wireless Commun. vol. 12, no. 2, pp. 8-18, 2005.
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