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4820 EMシステムズ

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(株)日本ベル投資研究所
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ベル企業レポート
IRアナリストレポート
Independent Research Analyst Report
4820 EMシステムズ
~調剤薬局と診療所を繋ぎ、EHR(電子ヘルスデータ)の独自活用を目指す~
2014 年 9 月 19 日
東証 1 部
ポイント
・國光社長が目指す本命のビジネスは、EHR(Electronic Health Record、電子的健康記
録)、PHR(Personal Health Record、個人健康記録)にある。アベノミクスで EHR が促進
される。EHR による医療の効率化、医者と薬局で患者の薬のデータが共有できれば、医
療改革の一つの柱になる。新大阪ブリックビルにある本社のデータセンターには、業界
トップの薬局データ、患者服薬データが蓄積されている。これを電子カルテと結び付け
ることで、患者の健康を守る PHR まで持って行く構想である。
・8 月にデータホライゾン(コード 3628)と業務提携し、その子会社コスモシステムズを
買収した。データホライゾンは保険者サービスを得意とするので、当社が目指す医療デ
ータネットワークの強化で連携を図ることになろう。医療・薬局システム開発のコスモ
システムは、2600 件の顧客を有するので、販路拡大に直接結びつこう。
・当社は調剤薬局向けレセプトコンピュータ(レセコン)のシステム販売で業界トップ、
国内シェア 30%を握る。従来のシステム売り切り型フロービジネスから、処方箋の処理
枚数に従って利用料金が課金されるストック型ビジネスに業界で初めて転換した。業績
は 2012 年 3 月期から急回復に入り、2014 年 3 月期は 2 期連続で最高益を更新した。
・業績は踊り場を迎えている。主力の調剤向けシステムの自社リプレースが一巡してき
たことによる。今期から新中期 3 ヵ年計画を策定し、調剤システムではシェア 40%に向
けて、他社システムのリプレースや新規顧客の開拓を進める営業体制を強化した。また、
医者とのネットワークを強化する電子カルテは、シェア 10%を獲得することを目指し
て、電子カルテに強いユニコンを買収、4 月に営業体制を統合して拡販に入っている。
まだ先行投資期にあるが、2 年後には黒字化が見えてくるものと予想される。
・調剤システムはキャッシュカウ(金のなる木)に育っており、課金型ビジネスのウエイ
トが上がっているので、業績の安定度は高い。ROE も 15%は十分確保できよう。電子カ
ルテがどこまで収益化してくるか。その先に当社のデータセンターの活用による新ビジ
ネスモデルの確立がある。新たな成長軌道をめざす勝負の局面にあるが、勝算は十分あ
る。株式市場での評価も、電子カルテの収益向上とともに高まってこよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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目 次
1.特色
調剤薬局向け処方箋処理システム(レセコン)で業界トップ
2.強み
他社に真似のできない課金システムの確立で収益は安定
3.中期経営計画
4.当面の業績
5.企業評価
電子カルテの拡大で、医者と薬局を結ぶ EHR を推進
新中期 3 ヵ年計画の 1~2 年はやや踊り場
電子カルテの黒字化のタイミングに注目
企業レーティング B
株価(14 年 9 月 19 日) 1802 円
PBR 1.59 倍
時価総額 147 億円 (8.166 百万株)
ROE 15.5%
PER
10.2 倍
配当利回り 2.5%
(百万円、円)
決算期
売上高
営業利益
経常利益
2007.3
11395
1740
1763
2008.3
11288
1010
2009.3
8776
2010.3
当期純利益
EPS
配当
995
125.8
23.0
997
496
62.6
23.0
-1316
-1355
-1241
-156.2
13.0
9818
-720
-493
-516
-65.0
13.0
2011.3
8202
86
318
1149
145.3
18.0
2012.3
9013
835
977
447
58.0
21.0
2013.3
10257
1209
1766
1076
140.1
30.0
2014.3
11369
1672
2284
1420
182.3
37.0
2015.3(予)
12100
1670
2200
1410
176.1
45.0
2016.3(予)
12700
1740
2260
1450
181.1
45.0
(14.6 ベース)
総資産 16849 百万円
純資産 9081 百万円
自己資本比率 53.4%
BPS 1133.8 円
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。
担当アナリスト
鈴木行生
(日本ベル投資研究所 主席アナリスト)
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力・持続力、③業績下方修正の
可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要す
る、D:極めて厳しい局面にある、という 4 段階で示す。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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1.特色
調剤薬局向け処方箋処理システム(レセコン)で業界トップ
調剤薬局向けレセコンでシェア 30%
医療事務用のオフィスコンピュータの販売からスタートして、自社でソフトウェアを開
発する実力を養い、現在では調剤薬局向け処方箋処理システム(レセコン:レセプトコンピ
ュータシステム)で業界シェア 30%と、No.1 である。
調剤薬局向けシステムは、全国 5.5 万件の薬局中、当社は 1.3 万件を顧客としており、
当社のようなシステムを必要とする薬局の中でのシェアは約 30%である。今後は 1.5 万件に
上げることを目指している。2 位はパナソニックメディコムネットワークス(旧三洋メディ
コム)
、3 位三菱メルフィン、4 位ユニケソフトウエアリサーチである。
薬局側から見ると、日本調剤は自社開発、アインファーマシーズはパナソニックのシス
テムを使っている。当社もさまざまな大手薬局を顧客としている。また、メディカルシス
テムネットワーク(MSNW)(コード 4350)とは、調剤薬局向けシステムといっても直接競合
しているわけではない。仕入れ・発注・在庫管理などのシステムと処方箋処理システムで
は内容が異なっている。MSNW もレセコンを扱っているので競合する部分は多少あるが、む
しろ顧客の紹介で協調している。また、
調剤薬局の祥漢堂は現在 17 店を有し、三井物産 90%、
当社 10%という資本構成である。
EMシステムズの事業内容
(百万円、%)
調剤システム
2013.3
2014.3
売上高 (構成比) 売上高 (構成比)
7449
72.9
7631
66.6
内
容
調剤薬局向け医療事務処理コンピュータシステム
自社開発のソフトウエアを市販のパソコンに導入
クリニック、診療所向け電子カルテシステム及び医療事務処理コンピュータシステム
合弁企業のメデファクトからOEM供給、M&Aしたユニコンのシステムも含む
ASPによるインターネットを利用した調剤レセプト支援システム
グループ薬局間の情報共有を支援
調剤システム、医科システムで使用するレセプト用紙、薬袋、プリンターインクなど
医科システム
346
3.4
969
8.5
ネットワークシステム
266
2.6
217
1.9
1657
16.2
1910
16.7
保守サービス
431
4.2
506
4.4
提供するシステムの保守サービス
その他
175
1.7
217
1.9
新大阪ブリックビルの運営管理、スポーツジム、保育園などの経営
100.0 11369
100.0
サプライ
合計
10257
(注)売上合計には、調整額-68百万円(2013.3期)、-84百万円(2014.3期)を含む
電子カルテも自社開発であるが、開発力を強化するために連携をとってきた。2010 年に
ビー・エム・エル(BML、コード 4694、臨床検査)と合弁で、電子カルテ開発の企業メデファ
クトを設立し、診療所やクリニック向けの電子カルテシステムに本格参入した。後発なの
でまだ市場開拓期にあるが、将来は第 2 の柱にしようと力を入れている。
BML 社との開発共同会社メデファクトへの出資率は 50:50 であるが、社長は当社から出
していた。このメデファクトは所期の目的を達成したので、解散することが 6 月に決定し
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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た。さらに、この分野では、2013 年にユニコンを買収し、強化を図った。
國光浩三社長(68 歳)は、当社創業のオーナーとして常にリーダーシップを発揮してきた
が、医療ビジネスに第 2 の発展期となるチャンスが到来したと確信し、大いなる情熱を持
って新たな挑戦を開始した。
EMシステムズの主要商品
調剤システム Recepty Next
Type1
(保険請求機能)
Type2
(電子薬歴機能)
ユニファーマシー (保険薬局)
医科システム MRN
カルテスタイル
クラークスタイル
ユニカルテ
ユニメディカル
ASPサービス
介護
常にデータセンターでバックアップ対応
保険薬局システム
(電子カルテ)
(医事会計システム)
(電子カルテ)
(レセコンシステム)
お薬できましたサービス
NET-α
SHIFT Manager
Mobility
Net-Core
ユニケア・ネオ2
常にデータセンターでバックアップ対応
拡張性とパフォーマンス
診療所向け電子カルテシステム
診療所向けレセプトコンピュータシステム
患者に調剤完了をメールで知らせる
グループの情報共有、本部統括管理用
チェーン店の勤務シフト管理
スマホ、タブレットで医薬品、患者データを閲覧可能
調剤チェーン薬局のリアルタイム売上・在庫管理
介護業務支援システム
(注)ASP:アプリケーション・サービス・プロバイダー。ユニはM&Aしたユニコン社の製品。
医療用パッケージソフトで発展
國光社長の父もビジネスマンであった。銀行は大事にせよ、しかし銀行に頭を下げるよ
うなことはないように、という姿勢であった。ホンダのディーラーを経営しており、当時
兵庫県のスーパーカブの総代理店であった。
國光社長は大学(青山学院)を出た後、輸入車販売のヤナセに入ってベンツを販売した。
売り先は事業主や医者であった。その後、父の会社に入って、ホンダ N360 など車の販売を
10 年ほどやった。根っからの営業マンである。しかし、三男であることもあり、いずれ独
立して事業を起こすことを考えていた。
その時、信州精器(今のセイコーエプソン)が医者向けのパッケージソフトを販売して
おり、その販路拡大を目指していた。人のやらないことをやる、というのが信条なので、
このビジネスで会社を立ち上げた。
医療機関はオフコン導入の時代であった。その後、医療用のソフトが PC(パソコン)に入
っていくという局面を迎えた。その頃、信州精器はプリンターに特化しており、医療向け
パッケージソフトをやめることになった。そこで、当社はソフトの販売だけでなく、当時
市場が拡大していた調剤薬局向けの分野で、ソフト開発を自ら手掛ける決断をした。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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当時 500~600 万円(リースで月 9 万円程度)のシステムに対して、当社は自社開発で 300
万円という廉価な価格で市場を開拓した。これを東京にも展開し、この分野で業界№1と
なる地歩を固めた。
当社の歴史を正式にみると、
1980 年に兵庫県姫路市において MCS(当時の社名)を創業し、
医療事務処理専用オフィスコンピュータの販売を開始した。84 年に MCS とエプソン販売の
合弁で、関西エプソンメディカルを大阪に設立、その後 90 年に合弁を解消し、エプソンメ
ディカル(EM)に社名変更した。そして、91 年に調剤薬局向け保険請求事務処理システム
「Recepty」(初代)を発表した、という流れである。
社長の長男、國光宏昌氏は現在取締役で 39 歳、チェーン薬局(20 店以上)の新規開拓に
力を入れている。中国の大学に留学経験があり、中国でのシステム開発拠点作りで実績を
上げてきた。
フローからストック型へ事業モデルを転換
2000 年にジャスダックに上場し、2003 年に東証 2 部に上場した。
その頃から國光社長は、
毎月の売り上げ目標を立て、システムを一から売って行くのはしんどいと考えていた。フ
ローの売り切りビジネスから、ストック型のネットワークビジネスに切り替えていくこと
を考えていた。
フロー型からストック型に切り換えるには勇気がいる。顧客基盤はあるとしても、スト
ック型はシステムのイニシャルフィーとランニングフィーを分けて課金し回収するので、
切り替えが順調に行ったとしても、しばらくの間収入は減少する。業績が一時的に大幅に
落ち込むことになるが、それを覚悟でビジネスモデルの転換を図った。本社ビルへの大型
投資と課金ビジネスへの転換を準備した。それがスタートした 2008 年に、リーマンショッ
クにぶつかったので、その後数年は実に苦しい思いをした。
それから 5 年、ストック型ビジネスに変えて黒字も 4 期となり、収益は安定してきた。
おかげで次年度の 4 月には、年度売上げのかなりの部分は読めるようになった。そこで東
証 1 部に行く決断をし、2012 年 11 月に実現した。
2.強み
他社に真似のできない課金システムの確立で収益は安定
本社ビルの効用
2008 年に本社ビルが完成した。新大阪ブリックビルという名称で、新大阪駅のすぐ近く
にある。ブリックという名前がついているように、こだわりのレンガが使われている。EM
システムズの本社やグループ企業が入っているだけでなく、テナントとして多くの企業も
利用している。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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國光社長は、このビルこそ当社のビジネスモデルのシンボルであると強調する。エレベ
ーターを降りると、オフィスの玄関受付が通しガラスで、向こう側が見える。オフィスで
働く人々の仕事の状況が総て見える。外部の来訪者が受付に来て、オフィスの中が丸見え
になる会社は普通ない。
実は、ここにコールセンターがおいてある。当社のユーザーのメンテナンスを行うため
の対応窓口である。薬局やクリニックからさまざまな問い合わせがくる。きめ細やかな対
応が求められる。当社は、システムの売り切りからストック型ビジネスに、仕事のやり方
を変えた。このビジネスモデルの転換において、最も大事な機能を担っているのがコール
センターである。それを、どこか離れた場所におくのではなく、本社の入り口正面に配置
したというわけだ。来訪する顧客と働くスタッフへの明確なメッセージである。
また、本社ビル内にサーバー室がある。ここもネットワーク型ビジネスにおいて、最も
大事なデータセンターの核である。相当の投資をしてある。システム開発は本社で行うと
ともに、中国(上海、南京など)も活用しているが、データセンターは免震構造に優れた
本社ビルに設置した。ビルには医療モールや薬局、保育園、スポーツジムも入っている。
このビルの建設は、
2003 年に東証 2 部に上場し、
業績が好調だった 2005 年頃に構想した。
そして、2008 年 3 月に完成した。その年の秋にリーマンショックがきた。その期の総資産
186 億円に対して、投資不動産(テナント向け不動産賃貸)99 億円、短期借入金 75 億円と
いう状況であった。銀行の対応には厳しいものがあり、薬局事業を三井物産に売却する中
で、資金的には凌いでいった。
業界トップの調剤薬局向けレセコンは独自の課金システムで一段と強みを発揮
当社のビジネスモデルは、かつてレセコン(レセプトコンピュータ)の販売であった。300
万円ほどのレセプトコンピュータを調剤薬局に販売する、処方箋のデータをこのコンピュ
ータに入力すると、国に提出する書類が作成される。このコンピュータは買取りでもリー
スでもよい。当社はメンテナンスも含めて、サービスを直接提供する。この分野で当社は
業界トップになっていた。請求書類はオンラインになり、保存書類以外の紙の需要も減っ
ていた。
これに対して、2008 年 11 月からスタートしたレセプティネクスト(Recepty Next)という
システムでは、課金システムが導入された。従来の半額程度でレセコンのハードとシステ
ムを購入してもらう。リースもありうる。後は、月 8000 円の基本料金と従量課金となる。
つまり、処方箋 300 枚までは基本料金だが、それ以上は処理した枚数に見合って薬局サイ
ドが支払うというシステムである。
従来のやり方は、レセコンのシステムを販売して、5 年保証をつけた。その間、薬価改定
時のソフトの更新も含め、メンテナンスサービスをした。粗利は高いが、値引きもあった。
一方、新課金システムは初期費用が安いので、150 万円の価格に対して値引きはない。処
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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方箋枚数に応じて課金収入が入る。買い替え期間が 5 年から延びても、課金による収入は
きちんと入る。ハードというシステム販売への依存を減らし、処方箋枚数の利用に応じて
稼ぐという仕組みである。
長期的にみて当社の収益性は上がり安定化する。顧客の薬局サイドも、利用に応じて支
払いというのは、収入見合いなので合理的と納得できる。しかも、従来の 5 年保証と違っ
て、システムとしての機能は毎月でもバージョンアップしていく。常に最新のシステムに
なっている。
薬局チェーンは、通常、数多くの薬局を抱えている。従来の 5 年保証だと、購入がばら
ばらであると、5 年間は十分な機能アップができないので、会社全体では古いもの、新しい
ものが混在していた。それが常に新しいシステムで統一されることになる。5 年の買い替え
ではなく、6~7 年使えば、それは薬局にとってメリットは大きい。
当社も従来は 5 年経つと一生懸命買い替えを促進して売上げを立てようとしたが、今で
は、課金によって利用料金がコンスタントに入ってくる。このような課金システムを持っ
ているのは当社のみで、他社は従来通り、レセコンの売り切り(半分はリース)である。
他社はなぜできないのか。当社でも切り替え時は、初期の売上げが 1 件あたり半分にな
るので、会社としては大幅赤字になった。いずれ課金で稼ぐといっても最初の数年は収益
的には苦しい。他社はこれに耐えられないので、当社と同じ方式はなかなかとれない。
EMシステムズのビジネスモデルの転換
~調剤薬局システム(レセコン)~
2008年3月期まで
2009年3月期より
フロー型ビジネス
ストック型ビジネス
5年無償保証付
システム販売プラン
月額課金方式(従量または定額)
+ハードウエア初期費用
・毎回売り切り
・5年後の入れ替え需要
・年間販売件数依存
(億円、%)
売上高(売上高営業利益率)
2004.3
62 (9.2)
2005.3
54 (7.0)
2006.3
73 (17.4)
2007.3
87 (18.9)
2008.3
83 (10.3)
・当初の収入は大幅ダウン
・月額課金で将来収益は安定
・累計販売件数に依存
(億円、%)
売上高(売上高営業利益率)
2009.3
56 (-25.8)
2010.3
63 (-14.0)
2011.3
72 (0.5)
2012.3
89 (9.0)
2013.3
101 (11.5)
2014.3
107 (15.0)
(注)単体の業績推移
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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全国に直営サービス体制を敷く
2014 年 1 月に、国内 50 番目の浜松営業所を開設した。当社はこのビジネスのサービスを
直営で行っている。他社は代理店を使ってきた。代理店はハードの販売と保守料を収益源
としてきたので、彼らに課金システムのメリットを十分与えることは難しい。
当社の顧客に対するセールストーク(強調したいメリット)は 3 点ある。1 つは、毎月機能
が更新されるので、システムがいつも新しい状態を保つことができる。2 つ目は、使用期間
が 5 年を超えて 7~8 年になると、トータルでコストが安くなるので、メリットは大きい。
他社は 5 年でトータルいくらとなるので、それに比べても安い。3 つ目は、当社自身でデー
タセンターを有しているので、レセプトのデータが全て保存されており、これを調剤薬局
サイドでも今後は利用の可能性が広がる、ということである。
当社は、システムの販売に当っては医薬品卸と連携してきたが、メンテナンスサポート
は全て自社で直接やってきた。ここが他社と異なる。当社は営業に強い。全国に 50 の営業
拠点を持つが、将来は 47 都道府県に1つは持ちたいと考えている。
もともと当社は販売代理店からスタートし、開発力も強化してきた。社長自身、営業タ
イプである。しかし、かつてエプソンの撤退で主力商品を失いかけた経験があり、自社で
顧客の要望に応えることのできる開発力の確保には拘ってきた。
医科向け電子カルテでもシナジーを追求
当社の社員数は連結で 682 人。その内訳をみると、営業に 90 人、開発に 116 人(国内 45
人、中国 71 人)
、サービス 85 人(納品、点検、修理)、インストラクター86 人(システム
の教育指導)などである。
営業は、薬局向け(レセコン)と医科向け(電子カルテ)を兼務で活動している。医科
向けの営業時間は、昼の 1~2 時間、夜の 1~2 時間と限られている。医者の診察時間外が
勝負である。それ以外では薬局を回った方が効率的である。
その中で営業、サポートの専業化も進めている。医科向けの営業で、もう少し詳しく知
りたいというような局面に入ったら、専門の営業担当を同行させ、導入後は医者や医院、
病院の事務担当者が使いこなせるように、インストラクターが徹底的に教えるという方式
である。
医科専業の営業も 2012 年 7 月から 11 人ほど置くようにした。医科向けの専門インスト
ラクターも 13 人おいた。このインストラクターは 2014 年 3 月期で 30 人を超えている。
医科向けのレセコン融合型の電子カルテシステムは、ハード部分のみ 5 年保証付きでシ
ステムを 200 万円程度から販売し、その他に定額の月額使用料 2.5 万円(パソコン端末 2
台目以降 0.5 万円/台)を支払ってもらうという仕組みである。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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3.中期経営方針
電子カルテの拡大で、医者と薬局を結ぶ EHR を推進
新中期 3 ヵ年計画を推進
2014 年 5 月に中期計画を見直した。今後 3 年間の利益の伸びはさほど大きくない。調剤
システムで、
この 6 年間進めてきたストック型ビジネスへの転換がほぼ一巡してきたので、
次の医科システムの拡大と医療 IT 化への布石を進める局面にある。
2014 年 4 月から消費税のアップと薬価改訂は調剤薬局にとって負担となる。そうなると
目先、システムの更新や新規投資には慎重になる可能性がある。
薬価改定では、大型病院前の薬局(門前薬局)の点数が条件によって相対的に下げられ
た。在宅についても幅広く行わないと加点されないようになった。薬価の抑制、サービス
の向上、経営努力に力点をおいて、改定が進められている表れである。
中期3ヵ年計画
(百万円、件数))
2014.3 2015.3(計) 2016.3(計) 2017.3(計)
11369
12096
12732
13432
1672
1673
1740
2040
2284
2200
2256
2576
1420
1410
1445
1651
2012.3
9013
835
977
447
2013.3
10257
1209
1766
1076
調剤システム事業
売上高
初期売上高
課金売上高
(課金売上比率)
7024
5132
1892
26.9
7716
5212
2504
32.5
7849
4907
2941
37.5
7547
4247
3299
43.7
7256
3767
3489
48.1
7406
3767
3639
49.1
販売件数
自社リプレース
他社リプレース
新規開拓
2681
1837
469
375
2594
1813
304
477
1920
1068
336
516
1500
300
600
600
1200
0
600
600
1200
0
600
600
9111
11159
12334
13010
13237
13495
14037
14295
14737
14995
152
130
22
14.5
346
300
46
13.3
969
868
100
10.3
2237
2003
234
10.5
2904
2463
440
15.2
3219
2464
754
23.4
42
42
0
144
144
0
410
211
199
1000
660
340
1300
960
340
1300
960
340
103
243
460
1115
2070
3025
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
累計課金ユーザ-数
調剤薬局ユーザー数
医科システム事業
売上高
初期売上高
課金売上高
(課金売上比率)
販売件数
EM製品
ユニコン製品
累計課金ユーザー数
(注) (計)は計画。ユニコンは2013年10月より計上。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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チェーン薬局本部を設置
処方箋の枚数が少ないドラッグストアへの影響はさほどないので、ドラッグストアを攻
めることが一段と重要になる。そこで、この 5 月に國光宏昌取締役執行役員(社長の長男)
が担当するチェーン薬局営業部を本部に格上げして、強化を図った。
この 7 月に、エプソン販売のビジネス営業本部長であった斎藤氏が、チェーン薬局本部
の副本部長に就いた。ドラッグストアおける薬局がらみの商品サービスを強化することを
狙っている。当社の主力商品は自社開発であるが、顧客のサービスを強化するために、エ
プソンの商品を活用して連携を深めることは互いにプラスである。この点も含めて人材の
強化を図った。
データの活用に向けて
個人情報保護法が医療情報との関連で、どのように規制緩和されるかもビジネスに影響
してこよう。緩和されると、一定の顧客データが利用可能となり、サービスの向上につな
がる。一方で処方箋の電子化も進む。紙中心から 3 年後に電子化が進めば、EHR や PHR 化が
促進されることになる。薬局は対面が基本であるが、そこにネットがどのように組み入れ
られていくのか。ここを獲得できるかかが鍵を握ることになろう。
一方で、電子カルテは思ったほど伸びていない。クリニックによる電子カルテの普及率
はまだ 23~24%程度である。
年間 4000 件の新規開業のドクターは当然電子カルテを使うが、
年配のドクターは義務化されない限り、さほど積極的ではない。しかし、医療の効率化に
は、待ったなしで進める必要がある。
昨年買収したユニコンは、医科向け電子カルテやレセコンが得意である。既存のレセコ
ンのリプレースの強みが生きる、この 4 月には、ユニコンの営業部と EM の営業部を統合し
た。互いの強みを生かして、医科向けシステムの需要を開拓していく方針である。
医療情報連携において、例えばお薬手帳を見ても、まだ統一化は図られていない。e-お
薬手帳(スマホ型)
、電子お薬手帳(サーバー型)などバラバラである。どのように顧客を
囲い込んでいくか、いかに全体としての効率化を図るかという点で、プラットフォーム作
りの戦いはこれからである。
調剤薬局システムと電子カルテで医者と薬局を繋ぐ
調剤薬局のシステムは、既存客 1.3 万件のうち 1.2 万件はストック型に変わった。まだ、
1000 件の変更が見込めるが、一巡感はある。今後は新規や他社の顧客開拓が重要になる。
次は電子カルテである。調剤薬局は全国 5 万件に対して、クリニックは同 10 万件ほどあ
る。そのうち 8 割の診療所、クリニックにはまだ電子カルテが十分入っていない。医療に
は検査の重複、薬の過剰など 6 兆円の無駄があるといわれる。これをネットワークで結べ
ば、無駄が相当減らせるはずである。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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今回のアベノミクスの成長戦略として、規制改革がかなり進むとの期待が大きい。1)電
子処方箋が使えるようになれば、年間約 9 億枚(年間処方箋枚数 7.5 億枚)の紙がいらな
くなる、2)IT の活用で薬剤師の調剤過誤が減少する、3)クリニックへのフィードバックが
スムースになる、などメリットは大きい。また、TPP の一環として混合診療が認められるよ
うになれば、医療の実力が目に見えるようになり、患者にとってのメリットも大きい。
EHR(Electronic Health Record、電子的健康記録)
、PHR(Personal Health Record、個
人健康記録)など、オンラインサーバー上でデータをしっかりコントロールしていく必要
が出てくる。当社のデータは全てサーバーに入っている。一方、他社はまだデータがネッ
トワーク化されていない。
社長は社員教育に力を入れている。創業以来、朝会で論語を読んでいる。仕事柄、患者
や薬局、医者の気持ちを理解する必要があり、病気というと、ネガティブになりがちであ
る。そうではなく、人の痛みがわかるようにすべく力を入れている。現在、社員の半分近
くが女性である。その他、中国にシステム開発の要員を 70 名ほど抱えている。日本の本社
にも中国人は 10 名ほどいる。
ビジネス転換の 1 つの方向は、医療におけるキャッシュレスの実現である。医療現場で
は未だに現金のやり取りが行われている。電子マネーが使えるようになれば、効率は一段
と上がってくる。今回の規制緩和の中で、厚労省が積極的にサポートしている。
当社の課金システムは値引きをしないので、客が増えてくると利益率は高まっていく。
営業利益率で 20%は十分狙えるビジネスモデルである。今後のビジネス展開において、M&A
もかなり発生してこよう。
当社の電子カルテは後発で、2014 年 3 月末の医科システムのユーザー数は 460 件である。
電子カルテの普及は 2 万件、20%強であるが、これから普及率が上がってくる。当社の目標
はシェア 10%、1 万件の獲得である。あと 1 年で 1000 件になれば収支トントンになり、1500
件を超えてくる 2 年後には収益事業になろう。
ユニコンの株式取得で医科向けを拡大
2013 年 9 月にユニコンの株式を取得し、100%子会社とした。ユニコンは医療システムの
開発、販売を行っており、従業員 70 人で、電子カルテを含む医科システムに強い。同社 2
代目の鶴田社長以下、全員が当社の傘下に入って、連携を強めることにした。売上高は 10
億円、営業利益も 0.5 億円と黒字である。株式の取得金額は 22 百万円と少ないが、借入金
5 億円の肩代わりも含めて対応した。
ユニコンの社長と國光社長はもともと知り合いであり、大手取引先の経営トップからの
紹介もあった。ユニコンにしても自力で次の展開を図るより、当社と組んだ方が大きく発
展できると考えた。当社は電子カルテを一気に拡大できるので、その効果は大きい。
ユニコンは薬局向けで 200 件、医科向けで 1800 件の顧客を有している。当社は薬局向け
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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で 1.3 万件、医科向けで 320 件であったから、医科向けへのインパクトが大きい。件数で
いえば 3 年分の市場開拓を一気に手に入れた。
ユニコンの経営については、鶴田社長はそのままで、取締役、監査役を送って強化した。
商品について、現状ではシステムの内容が異なるが、将来はシステムの融合、販売力の強
化がシナジーを上げてこよう。合併によって、従来の顧客を減らさないことを前提に、シ
ナジーを追求していく。客のニーズは優先するが、ユニコンのレセコンであるユニメディ
カルと当社の製品はさほど違わない。リプレースの時には、客に選択してもらいながら双
方の製品を売って行く。将来は当社の新製品に統合していくことになろう。
ユニコンの電子カルテ、ユニカルテを当社のものと比較すると、当社の方が使い勝手が
よい。それは、先方も認めているので、電子カルテについては、当社の製品に絞って営業
を展開していく方向だ。
ユニコンの主要商品
事業分野
商品名
製品内容
医療事務
ユニ・メディカル
レセプトコンピュータシステム
電子カルテ
ユニカルテ
診療所向け電子カルテシステム
保険薬局
ユニ・ファーマシシー 保険薬局システム
介護
ユニケア・ネオ2
介護業務支援システム
データホライゾンと業務提携、子会社のコスモシステムを買収
この 8 月に、データホライゾン(コード 3628)と業務提携した。同時に、その子会社で
あるコスモシステムズを買収し、当社の 100%子会社にした。
データホライゾンは保険者サービスを得意とし、ジェネリック医薬品通知サービスでの
先鞭をつけている。厚労省が推進するデータヘルスにマッチするサービスである。データ
ヘルスは、レセプト、健康情報等のデータ分析に基づき実施する保険事業であり、当社の
目指す、HER、PHR とも合致する方向である。
子会社のコスモシステムズは約 1.5 億円で M&A した。金額的には少額である。この会社
は、もともと医薬品卸の成和産業の子会社であったが、成和がアルフレッサに買収される
時に、データホライゾンに移った。医療機関及び調剤薬局向けコンピュータシステムの開
発、販売、サポートを手掛けており、最近の業績は低迷していた。
コスモシステムズは従業員 50 人程度で、地元の広島や中部地方で強みを有する。2600 件
の顧客を有しているので、このユーザーを当社グループに取り込める。同社の薬局向けレ
セコンは、最近新しい開発に取り組むことができなかったので、当社の製品と入れ替える
ことができるようになれば、効果はすぐにプラスとなろう。
同社の 2014 年 3 月期の業績は売上高 1094 百万円、経常利益-33 百万円であった。10 月
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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から当社の連結に入ってくるので、下期の売上高は 5 億円程度上乗せとなろう。利益面で
は、来期以降、販売が伸ばせるようになれば黒字化も見えてこよう。
BML との電子カルテ共同開発会社を発展的に解散
BML と共同で運営してきた電子カルテの開発会社メデファクトについて、解散することを
6 月に決定した。電子カルテシステムを開発するという当初の目的は達成しており、今後の
展開については、互いに独自に活動した方がよいと判断した。
BML は臨床検査の会社なので、臨床検査との連携において電子カルテの機能を強化すると
いう方向である。一方、当社は電子カルテと薬局のレセコンをどう結びつけていくかに力
を入れたいと考える。
人員は 15 名程度であった。もともと両社からの出向であったので、特に問題はない。こ
れまで開発した電子カルテのシステム(ソフトウェア)は両社が自由に使うことができ、
独自に改良を加えていくことになろう。電子カルテの開発に関しては、十分自力でできる
ので、全く支障はない。
当社にとっては BML との JV(合弁事業)が切れるので自由度が増し、SRL やファルコとい
った検査会社とも付き合い易くなるとみられる。
電子カルテの展開
EM システムズの医科システムは月 2.5 万円の課金をベースにしている。従量課金ではな
い。医科システムの MRN は電子カルテと医者が使うレセコンの 2 つの機能を有している。
カルテに重点をおくか、通常の処方箋に重点をおくかによって、カルテスタイル、クラー
クスタイルと使い分けている。
調剤薬局向けシステムは現在売上高が 78 億円で利益率も高い。一方、医科向けシステム
の売上高はようやく 10 億円に達した。これを 3 年後には、30 億円以上に伸ばしていこうと
している。
医科向けのまだ収益性は低いが、トータルユーザーが増えてくれば、2 桁の利益率は十分
望める。調剤向けが 20%の利益率に対して、10%の利益率は確保できよう。そのためには、
トータルユーザー1 万件を目指す必要がある。1 万件になれば売上高で 50 億円を超えてく
る、月額使用料による年商も 30 億円を上回ってくるので安定収益が見込めよう。
当社のデータセンターを HER(電子健康記録)の核にすべく全力投入
安倍内閣でマイナンバー制を導入することが決まった。医療への適用は少し先になろう
が、マイ病院構想は進みつつある。つまり、医療情報の電子化による共有が進展する。当
社が標榜する EHR(Electronic Health Record、電子的健康記録)はかなり形になってきた。
現在、いくつかの実験に参加して、14 組のモニターについてデータを共有している。モニ
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ターからは好評である。
医者が診断して薬の処方箋を出す。その患者が薬局に行って薬をもらったかどうかはわ
からない。薬局がジェネリックも含めて、どの薬を出したかが医者にフィードバックされ
ない。その患者は過去にどういう薬を服用していたか、今どういう薬をもらって服用して
いるのかがわからない。このようなことが情報の共有を通してわかるようになる。
当社はデータセンターを所有しているので、このような EHR を速やかに実施することが
できる。これまでは、患者と薬局を結んできたが、電子カルテを通して医者と繋がること
ができると、これは便利になる。個人のデータが PHR(Personal Health Record、個人健康
記録)として記録され、お薬手帳が電子化されていく。
EHR(エレクトロニック・ヘルス・レコード)の事業モデル
(10万件市場)
診療所
処方指示
付帯情報
(送信)
データセンター
電子カルテ
・調剤実施の参照
・服薬状況の参照
EMシステムズ
処方指示
付帯情報
(取得)
調剤実施
情報(参照)
EHR
(5万件市場)
調剤薬局
調剤レセコン
調剤実施
情報(送信)
・まちの健康ポータル
・事務の効率化
・診療所とのデータ連携
服薬情報 (送信)
(電子お薬手 帳データ)
EMユーザー
400件を
↓
1万件へ
利用者
PHR
(パーソナル・ヘルス・レコード)
EMユーザー
1.3万件を
↓
2万件へ
・電子お薬手帳
・服薬状況の連携
こうした一連のプラットフォームを当社が提供し、そこに新しいビジネスモデルを作っ
ていこうというのが、國光社長の熱い志である。35 歳で今の会社を起業し、調剤薬局向け
レセコンで業界トップになり、それをシステムの売り切りではなく、利用ごとに課金して
いくストックビジネスに切り換えた。次は、医者と薬局と患者を繋ぐ新しいビジネスモデ
ルでイノベーションを起こそうとしている。現在 69 歳であるが、そろそろ引退という気持
ちを捨て、全権をもって指揮すべく、社内体制を入れ替えた。第 2 の創業に燃えている。
大手調剤薬局では、お薬手帳をスマホに入れることを始めた。記録としてはよいが、デ
ータの共有活用は出来ない。当社はデータセンターを持っているので、もっと有効な調剤
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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プラットフォームが作れると考えている。
ここを電子カルテで攻めるのだが、電子カルテを売ろうというだけではない。EHR という
新しいプラットフォーム作りを医者に提案していく。そこに賛同してもらった上で、電子
カルテを使いこなせるようになってもらう必要がある。そのためには、インストラクター
の大幅な増強が必要である。
人員の増強について、まず営業では薬局向けの優秀な営業人材を医科向けにシフトさせ
た。医者向けの営業の方が難しいからである。10 万件の診療所に現在電子カルテは 20%し
か普及していない。これから、2~3 年で電子カルテはかなり普及できる。その下地が整っ
てきたと、國光社長はみている。
医科向けの専任営業は 11 名、専任インストラクターは 13 名である。まず現場の営業が
ドクターとファーストコンタクトをとり、そこで見込みがありそうな医者に専任営業が出
向く。具体化すれば、インストラクターが丁寧に教えるという手順である。
このインストラクターを今後 30 人にする。年間 600 件売るとなると、月に 40~50 件と
いうペースである。そうなれば 50 人のインストラクターはいずれ必要になる。いかに使い
こなせるようになってもらうかがポイントで医者には丁寧に、きめ細かくサービスしてい
く必要があるので、その人材が欠かせない。
38 兆円の医療費を抑制しながら。医療効果を高めていくには、IT の活用によるサービス
の向上とコストの削減が不可欠である。
2014 年 4 月には消費税の増税と薬価の改定がある。
業界としてこれをどう吸収していくのか。今までと違った仕組みが普及する 1 つのきっか
けとなろう。
感染症の流行をいち早く察知することにも応用
国立感染症研究所感染症情報センターと共同研究を行っている。
「感染症流行探知サービ
ス」では、当社のデータセンターに集結している医薬品データからインフルエンザの状況
に役立つデータをデイリーで情報センターに送っている。医療機関からのウィークリーデ
ータより早く、地域の変化を知ることができる。これらの情報を薬局にも送っており、そ
の利用薬局は 1 万件にもなりつつある。当社のプラットフォームが、ビッグデータとして
活用されている事例である。
第 2 の柱に続く第 3 の領域が本命
2014 年 2 月に元三洋電機メディカル事業本部長(執行役員)の手嶋弘一氏が当社の執行
役員、医療情報連携推進統括部長となった。当社が推進する EHR の仕組み作りにおいて、
有力な人材である。
國光社長は、電子カルテを第 2 の柱に据えるべく全力投球しつつ、第 3 の柱も見据えて
いる。それは医療情報連携基盤としての EHR(Electronic Health Record、電子的健康記録)
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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との連携である。当社は独自にデータセンターを保有している。調剤薬局とはレセコンで
結ばれている。電子カルテシステムで医者とのつながりが一定規模になれば、データセン
ターが相互の情報のやり取りのハブになる。現在、当社のユーザー間のデータのやり取り
について、モニターを募って実験中である。また、PHR(Personal Health Record、個人健
康記録)として電子薬手帳としての連携も十分可能となる。
他社が当社のデータセンターにアクセスするような状況になれば、トランザクションフ
ィーが稼げるようになるかもしれない。こうしたハブ機能の優位性で一歩先んじることが
できれば、薬局システム、医科システムにも相乗効果をもたらす。EHR、PHR への発展をビ
ジネス化することが第 3 の柱であり、國光社長の狙いでもある。
EHR がアベノミクスで加速、当社の優位性を活かすべく出番を仕掛ける
國光社長は EHR の推進に一段と力を入れている。
アベノミクスの医療 IT の実行に当って、
その中核の役割を果たす仕組みを作ろうとしている。
EHR の推進の要はサーバーである。当社はすでにサーバーを有しているので、これに薬局、
医科向けで繋がっている企業に連携を働きかける。IT 化の核となる会社を作り、そこに各
社が IT でつながる。当社はその核となる会社にサーバーの利用を提供するという案も有力
な方法である。
厚生労働省も全面的に支援する方向である。アベノミクスにとっても、政策を素早く推
進し、実績を上げるには民間の力を活用する方がよい。すでに EHR の実験はなされている
ので、今後の展開には期待できよう。電子カルテの共用利用は、医療費の抑制と患者の利
便性向上には不可欠である。伝統的な方法に固執する医師会をどう説得するかは課題であ
るが、新しい仕組みの方が彼らにとってもビジネスチャンスを広げるという点をアピール
していく必要があろう。
当社としては人材の強化も急がれる。医療システムの経験に富むマネジメント人材やシ
ステムエンジニアの人材を採用している。サーバーを持つ強みを活かすべく実行戦略を練
っている。
3 つの展開に注目
國光社長は 5 つの点を強調する。①新 3 カ年計画は第 2 の創業のスタート台である。②
女性の活用を積極的に推進する。③社外から有能な人材を入れて、マネジメント層を強化
した。④M&A に備えて、ファイナンス人材も強化した。⑤電子カルテは医療費抑制の切り札
である。
人材では、医療ヘルスケアでトップ企業から事業部長クラスを、大手薬品メーカーから
役員経験者を、そして大手システム開発会社から管理職を入れて、体制の強化を図ってい
る。4 月に入社した 34 名の新入社員は電子カルテのインストラクターに育てるべく教育し
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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ている。いずれドクターを回るようにして、戦力化する。
医療費抑制のカギは何よりも病気にならないようにすることである。国の施策に合わせ
て、当社が蓄積しているデータをビックデータとして活用する。EHR、PHR として個人の健
康管理の利用していく。その IT システムを担って、医療 IT 企業として一段と飛躍するの
が、目標である。自前のサーバーを軸に、調剤システムで 40%のシェア、電子カルテで 10%
のシェア獲得を目指す。そして、レセコンのトップ企業から医療 IT のトップ企業に躍進す
ることを狙っている。
今後の展開については、次の 3 点に注目したい。1 つ目は調剤システムのシェアアップで
ある。当社は業界トップの営業力を有しているが、営業体制を一段と強化した。既存のユ
ーザーへはフィールドサービス担当が対応することにして、本来の営業部隊は他社システ
ムを攻める体制とした。フィールドサービスが既存客のシステムサポートとして営業も行
う。これによってサービス力は向上する。一方、営業は自社ユーザーの買い替えではなく、
他社ユーザーを攻めることに専念できるわけだ。
2 つ目は、医科システムの知名度アップである。当社のシステムの品質、性能はよいとし
ても、ドクターに EM システムズは知られていない。ドクターとの面談に当たっての知識、
マナーの研修を強化し、デモ(デモンストレーション)まで持っていくようにする。また、
医薬品の卸、販売代理店、検査会社へのアピールも高めていく。同時に、ユニコンに続く、
M&A にも力を入れていく。
3 つ目は、当社のデータセンターをパブリックに利用できるようにして、EHR、PHR の普
及を推進することである。薬局とクリニックを結ぶ仕組みは、実証実験を通して好評であ
る。どんな電子カルテシステムやレセコンであっても、当社のデータセンターを介して繋
がるようにできれば、普及を早めることができる。これによって、医療サービスの向上と
コスト削減に飛躍的に結びつく。電子お薬手帳にしても、データセンターで一括すること
ができれば、PHR の実効性を高めることができよう。
この 2~3 年が勝負
当社は薬局向けシステムが業界トップであるが、電子カルテは後発である。しかし、電
子カルテで一定の地歩を作りつつ、医者、薬局、患者をデータセンターのハブに結び付け、
医療 IT で半歩先んじることができる。営業のパワーも十分有しているので、この 2~3 年
が勝負である。
海外拠点については、中国に、益盟軟件系統開発(南京)、意盟軟件系統開発(上海)と
同(鎮江)を有する。鎮江は南京に近い。南京は社員数 70 人で連結に入っているが、上海
と鎮江は 10 数人で、連結対象とはなっていない。
調剤システムでは業界シェア 30%を有しトップであるが、将来はこれを 40%~50%に上げ
ることを目標とする。電子カルテではシェア 10%の獲得を狙っている。また、配当について
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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は、連結配当性向 25%を目標にしている。
バランスシートの状況
流動資産
現預金
受取手形・売掛金
固定資産
有形固定資産
無形固定資産
投資不動産
資産合計
流動負債
支払手形・買掛金
短期借入金
1年以内長期借入金
固定負債
長期借入金
純資産
有利子負債
有利子負債比率
自己資本比率
2012.3
4168
1573
1935
11212
1996
284
8371
15381
3236
631
400
480
5577
4296
6567
5176
33.7
42.0
2013.3
4685
1240
2191
11437
2585
226
8097
16122
3897
790
600
480
4776
3316
7448
4396
27.3
45.6
(百万円、%)
2014.3
6559
2785
2594
11641
2543
548
7849
18200
4304
880
500
660
4691
3032
9205
4192
23.0
50.1
新大阪ブリックビルは安定収益源
本社のある新大阪ブリックビルの不動産事業について、どのように考えるか。まず、当
社は不動産事業をやるつもりはない。13 階のビルのうち、4 階までを自社で利用している。
そもそもこの新社屋は、従来の本社の近くにいい土地がみつかったので建てることにした。
免震構造を入れて、データセンターとして強固なものを作りたいと考えた。
この本社ビルについては、土地の購入に 38 億円、建物に 90 億円の資金を投入している。
テナントの入る部分を投資用不動産として資産計上し(2014 年 3 月期で 78 億円)、収入と支
出を営業外で処理している。その収入が 9.3 億円、支出が 5.0 億円でネットが 4.3 億円の
利益である。利回り 5.5%となる。
当面、大きな資金ニーズはないので、現状のような不動産所有が続こうが、将来何らか
の必要が生ずれば、これをリートなどに売却することも十分可能である。
4.当面の業績
新中期 3 ヵ年計画の 1~2 年はやや踊り場
2013 年 3 月期の業績は好調であった
2012 年 11 月に東証 1 部に上場した。2013 年 3 月期には売上高 10257 百万円(前年度比
+13.8%)
、営業利益 1209 百万円(同+44.8%)、経常利益 1766 百万円(同+80.8%)
、当期
純利益 1076 百万円(同+140.5%)と好調であった。当社の業績を四半期ベースでみると、
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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4Q に売上げが上がるパターンである。
調剤システムの課金ユーザーと課金売上高は予定通り上昇した。また、2013 年 3 月期の
調剤システムの販売件数も 2594 件(内、自社リプレース 1813 件)と順調であった。他社
リプレースは盛り返している。新規は大きな薬局チェーンへの販売に成功した。
2013 年 3 月期の医科システムは 360 件の目標に対して、144 件に終わった。販売チャネ
ルの開拓には力を入れてきたが、まだ数字には結び付いていなかった。
本社ビルの入居率は 98.9%と高い。2013 年 3 月期の新大阪ビリックビルの不動産収入と
支出は、本社分も入れて収入 917 百万円、支出 529 百万円、ネットでは 388 百万円のプラ
スとなっている。
事業セグメント別業績
2012.3
売上高 利益
システム事業
及び関連事業
8909 822
調剤システム
6702
医科システム
153
ネットワークシステム
321
サプライ
1331
保守サービス
399
その他事業
174
66
調整額
-70 -53
合 計
9013 835
(注)利益はセグメントの営業利益ベース。
2013.3
売上高 利益
10150 1189
7449
346
266
1657
431
175
69
-68 -48
10257 1209
2014.3
2015.3(予)
売上高 利益 売上高 利益
11236 1520
7631
969
217
1910
506
217
70
-84 -50
11369 1540
11920
7410
2240
140
1650
480
270
-90
12100
1660
90
-80
1670
(百万円)
2016.3(予)
売上高 利益
12520 1750
7130
2900
120
1810
560
290
90
-110 -100
12700 1740
2014 年 3 月期はピーク利益更新へ
2014 年 3 月期は、売上高 11369 百万円(前年度比+10.8%)
、営業利益 1672 百万円(同+
38.2%)
、経常利益(同+29.4%)
、当期純利益 1420 百万円(同+32.0%)と好調であった。
経常利益で 2 期連続最高益を更新した。課金型のビジネスモデルに転じた成果によって、
かつての収益水準に復帰し、しかも収益の安定性は大きく高まった。
この期はユニコンの数値が 5 カ月分(10 月~2 月)入っている。分野別の売上高をみる
と、調剤システムは伸びが小幅であったが、1)自社リプレースが減っているが、新規や他
社システムの当社への切り換えが伸びた、2)システムの販売件数は減少しているが、サー
バー付やアプリ付が増えていることによって、1 台当りの単価は上がっている、3)ストッ
ク効果で課金ビジネスは順調に伸びている、という点が寄与した。
医科システムは、自社システムが伸びたのに加えて、ユニコンの台数が加わったので、
大幅に増えた、売上高は 969 百万円と、前年度比+180%となった。410 件のうち、199 件が
ユニコンの分であった。ユニコンは従量課金の仕組みを持っていないので、こちらの課金
計上は 100 百万円と多くはない。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ユニコンが連結に入る
2014 年 3 月期 3Q からユニオンが連結業績に入った。ユニコンについては、売上高 11 億
円、営業利益(のれん償却後)で 0.5 億円の効果が見込める。ユニコンは従来 11 月決算で
あったが、今回から 2 月決算に変更した。2013 年 11 月決算の次は、2014 年 2 月決算とな
る。当社の業績への影響という点では、2014 年 3 月期は 5 カ月が入り、2015 年 3 月期はフ
ルに寄与してくる。のれん(2.3 億円)の償却は 5 年で行うので、年間 0.46 億円ほどきい
てくる。
2014 年 5 月より営業体制を一段と強化した。EM システムとユニコンの営業を統合して、
医科システムの販売と一体化した、また、フィールドサービスも強化している。ハード機
器の修理は互いにとって手間がかかるので、故障を減らすように早めの対応を促している。
これによって、サービスコストが下がっている。また、システム開発を当社の南京で行っ
ているが、このウエイトを高めている。さらに、事務作業も BPO(アウトソーシング)して
おり、これもコストダウンになった。
新大阪ブリックビルの入居率も上がっている。バランスシートでは、ユニコンの買収が
完了したので、バランスシートに反映されている。ユニコンは総資産 552 百万円、固定負
債 574 百万円、純資産-123 百万円であった。
業績予想
2012.3
売上高
9013
粗利益
4647 (51.6)
販管費
3811 (42.3)
営業利益
835 ( 9.3)
営業外利益
953
不動産賃貸収入
928
営業外費用
812
不動産賃貸費用
494
経常利益
977 (10.8)
当期純利益
447 ( 5.0)
(注)カッコ内は対売上比の利益率
2013.3
10257
5388 (52.5)
4179 (40.7)
1209 (11.8)
1055
1017
499
454
1766 (17.2)
1076 (10.5)
2014.3
11369
6269 (55.1)
4597 (40.4)
1672 (14.7)
1119
1051
506
437
2284 (20.1)
1420 (12.5)
2015.3(予)
12100
6530 (54.0)
4860 (40.2)
1670 (13.8)
1100
1050
570
450
2220 (18.2)
1410 (11.7)
(百万円、%)
2015.3(予)
12700
6870 (54.1)
5130 (40.4)
1740 (13.7)
1100
1050
580
450
2260 (17.8)
1450 (11.4)
ストック効果とフロー効果は半々
現在の収益をストック効果とフロー効果に分けてみると、粗利ベースで半々といったと
ころである。課金売上げは大半が利益である。それ以外のビジネスは粗利率が 5 割程度で
ある。これらを勘案すると、ストック効果が半分を占めていると推察できる。
2015 年 3 月期の業績の伸びは鈍化
2015 年 3 月期の業績は、会社計画で売上高 12096 百万円(前年度比+6.4%)、営業利益
1673 百万円(同+0.1%)
、経常利益 2200 百万円(同-3.7%)
、当期純利益 1410 百万円(同
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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-0.7%)である。
業績は横這い圏に留まるのは、1)主力の薬局向けシステムで自社リプレースが一巡して
きたので、それを新規や他社からの切り換えでカバーしていくが、大きく伸ばすことは難
しい、2)医科向けは拡販に勤めるがまだ貢献度は低い、3)人材の強化に向けて新卒が 34
名入っており、その分のコストが先行する、という理由による。
それでもストック効果が効いているので、業績は安定している。課金が積み上がってい
くこと、利益率は上がり、収益も安定してくる。その点では、今期の会社見通しは固めの
数字であるとみてよい。
医科システムは前期の 410 件が、今期 1000 件、来期 1300 件と大幅な増加を見込んでい
る。調剤システムの減少をカバーしていくことになろう。課金のウエイトも徐々にアップ
し、いずれ 2 割を占めることになろう。
キャッシュ・フローでは、現在のビジネスモデルでは通常フリーキャッシュ・フローは
常にプラスとなる。大型の投資がない場合、通常の投資は営業キャッシュ・フローで十分
賄える。配当については、配当性向 25%を目途にしているので、前期の 37 円に対して、今
期は 45 円を予定している。
キャッシュ・フローの推移
営業キャッシュ・フロー
税引利益
減価償却
不動産賃貸収入
持分法による投資損益
投資キャッシュ・フロー
有形固定資産
無形固定資産
投資不動産収入
フリーキャッシュ・フロー
財務キャッシュ・フロー
借入金の返済
自己株式の取得
配当金の支払い
現預金等の期末残高
2012.3
742
265
748
-684
251
596
-37
-106
685
1339
-899
580
-157
-139
1773
2013.3
865
1235
734
-775
-9
144
-483
-172
759
1010
-1057
-780
0
-237
1740
(百万円)
2014.3
2015.3(予)
1287
1300
1366
1410
726
730
-801
-800
-44
-40
-118
400
-356
-200
-203
-200
800
800
1169
1700
41
-560
-203
-200
499
0
-232
-360
2985
4125
1Q は EM の電子カルテが未達
2015 年 3 月期の 1Q については、
社内計画は上回ったものの、
前年同期との対比では 13.2%
増収ながら、経常利益で同-30.2%となった。
調剤システムでは自社リプレースは一巡しているが、大手チェーン薬局のリプレースが
上乗せとなった。電子カルテもユニコンが前年度の下期から連結に入っているので、この
1Q でみると、ユニコンがプラスとなっている。一方、自社 EM 製品は、当初の販売計画を大
きく下回っており、課題を残している。2Q についても、電子カルテの EM 製品が目標にやや
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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届かない可能性がある。
もともと、消費税や薬価改定、診療報酬の改訂で薬局やクリニックの投資意欲は慎重に
なっているが、その中で下期に向けてどう販売を伸ばしていくかがポイントである。ユニ
コンと EM の営業を一本化したが、その効果が下期からいかに発揮されるかが注目される。
業界再編の動きの中で、いかにリードするか
昨年、ニューソンから調剤レセコンシステムの顧客を 60 件ほど譲り受けた。12 百万円の
投資である。このように、中小規模のレセコンサービスが少しずつ統合されている。
一方、パナソニックヘルスケアが KKR に買収された。もともと三洋電機の子会社であっ
たが、三洋がパナソニックに買収された。その後パソニックのリストラの中で、このヘル
スケアは主力事業と位置付けられず、売却の対象となった。
具体的には、コンペティターの三洋メディコムがパナソニックに買収され、そのパナソ
ニックメディコムネットワークスが、パナソニックの経営再建の中で切り離され、KKR が買
った。その事業に、当社と競合するレセコンや電子カルテ事業がある。この事業再編がど
のような形で進むかは重大な関心事である。
当社に直接関連する同社の調剤システム、医科システムはユーザー数で 3~4 万件、年商
で 200 億円以上はある。ここの事業が独立して、どのくらい強くなっていくか。そうなら
ない可能性も高いので、市場における競争条件は当社にとって有利になるかもしれない。
また、2012 年にエムスリーが ORCA 対応の電子カルテでトップの CMS を買収(4 億円)し
たが、当社がここと直接バッティングしているわけではない。地域医療連携については、
大病院については富士通など大手が、地域の診療所(クリニック)については当社の出番
という棲み分けが成り立つといえる。
今後 1~2 年は EHR の普及と、ビジネスとしての立ち上げに腐心する局面となろう。1 つ
の可能性は、当社が得意とする分野を先方が切り出して、連携することである。100~200
億円の資金を要することになろうが、本社ビルを活用すれば、ファイナンス面で対応はで
きなくはない。当社の専門領域なので、マネジメントについても問題ない。そうなれば、
当社グループは、新しいポジションを築くことができるうえ、EHR、PHR の促進にも大きく
貢献できることになろう。
5.企業評価
電子カルテの黒字化のタイミングに注目
ROE で 15~20%を確保
3 月に自己株式の処分として、5 億円の第三者割当増資を行った。その相手先のエプソン
販売とは、レセコン周辺機器で取引があるので、その関係の強化を図ったものである。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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2014 年 3 月期で、売上高経常利益率は 20.1%、ROE は 17.2%であった。今後、医科システ
ムの売上高が増えてくると、プロダクトミックス上営業利益率は下がる可能性はあるが、
一方で、本社ビル(ブリックビル)の不動産事業の回収が進み、ウエイトも下がってくる
ので、総資本回転率は上がってくる。よって、ROE では 15%~20%を確保することが十分可
能であろう。
過去の大型投資では、本社ビルへの投資(約 100 億円)があった。今後大型の M&A があ
れば、その時は外部ファイナンスが必要になろう。自己資本(92 億円)の範囲であれば、
問題なく対応できるので、どこまでシナジーが発揮できるかに依存しよう。
医科向けシステムは、2016 年 3 月期で黒字化できる水準となろう。医科向けの採算が薬
局向けよりやや低いのは、合併企業であるメデファクトからの仕入れ商品であること、医
者向けは 1 件 1 件訪問して決める必要があり、何件かがまとめてきまる薬局向けより手間
がかかるからである。
今後は医科システムの中で、ユニコンとのシステムの統一をどのように進め、課金シス
テムをどのように導入するかである。今回の中期計画には盛り込まれていないが、次の検
討課題として手が打たれていくことになろう。
電子カルテの販売成果とアベノミクスの EHR 推進が鍵
調剤システムは、他社が真似のできない課金型ビジネスモデルとして確立したので、キ
ャッシュ・カウ(金のなる木)として、収益力は一段と向上した。その間に電子カルテを
軸にした EHR のビジネスモデルに先行投資をしている。ここには、かなりの M&A や人材投
資を行う必要があり、ビジネスモデルの確立には一定の努力を要するので、全体の企業評
価はBとする。
(企業評価のレーティングについては、表紙を参照)
直近の株価(9 月 19 日)でみると、PBR1.59 倍、ROE15.5%、PER10.2 倍、配当利回り 2.5%
である。株式市場において一定の評価は受けているが、新中期計画ではこの 1~2 年業績の
踊り場にあるという認識である。電子カルテでは後発であるが、営業面でのシナジーを出
す余地は大きい。本格的普及が見込めることから、一定のシェアをとることはできよう。
電子カルテは今後 2 年で黒字化の展望が見えてくれば、マーケットでの評価も高まって
こよう。データセンターを活かした EHR、PHR への広がりが本格化してくれば、全く新しい
ステージに入ろう。國光社長は大いなるビジョンと情熱を持って、勝負をかけている。期
待できる局面にあるので注目したい。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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