close

Enter

Log in using OpenID

embedDownload
in situ Hybridization法の自動化
研究のスピードアップと信頼性の向上に
ベンタナHXシステム ディスカバリー
TM
&
y
r
e
リボマップシステム
v
o
c
s
Di
m
m
e
e
t
t
s
s
y
S & Sy
X
TM
H
p
a
a
n
M
a
o
t
b
i
n
R
Ve
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
in situ Hybridization法の自動化
研究のスピードアップと信頼性の向上に
− 「ベンタナHXシステム ディスカバリー」 と 「リボマップシステム」 −
ベンタナ・ジャパン株式会社 企画・学術部
【 1.はじめに 】
最近の分子生物学およびその周辺技術の進歩には
著しいものがある。 遺伝子解析技術の進歩により、遺
伝子の一次構造を得ることは容易になった。 また、ゲ
ノム・ESTクローン・cDNAなどの様々なデータベース
あるいはライブラリーが充実してきたことにより、断片的
な配列からでも全配列情報やクローニングされた遺伝
子を得ることも難しくなくなってきた。 このような状況
で、研究の興味は機能解析へと向かっているが、その
中でもコアテクニックであるin situ Hybridization法
(ISH法)は組織中のmRNA発現を可視化できることで
注目を浴びている技法である。 しかし、ISH法は熟練
を要するものであり、より簡便に、より再現性良くできる
ことが求められている。 それと同時に、DNAマイクロアレイやプロテオミクスな
ど遺伝子・蛋白質の発現解析を網羅的に行える技法
が進展するにつれ、一度の解析で興味深い遺伝子が
数十∼数百単位で見つかるようになったことから、それ
に続く解析のひとつとしてのISH法も大量に処理するこ
とが求められるようになっている。 「ベンタナHXシステム ディスカバリー」(HX-ディスカ
バリー)と「リボマップシステム」は、この二つの要求、
①簡便に再現性良くできること、②大量に処理できるこ
と、に応えることのできるISH法自動化システムである。
HX-ディスカバリーはISH法を自動処理することを目的
として開発された機械でユニークなテクノロジーが使わ
れている。 リボマップシステムは、HX-ディスカバリー上
で使用される試薬・バッファー・プロトコールの総称で
mRNAを対象としたISH法に最適化したものである。
図1 HXーディスカバリー外観
HX-ディスカバリーの最大の特長は、全自動システム
ということである。 自動処理の範囲は、脱パラフィンか
ら始まり、前処理、プローブ添加、変性、ハイブリダイ
ゼーション、洗浄、発色さらに対比染色までを全く手を
触れずに処理することが可能である。 また、スライドは
反応温度を含めて個別に管理されるので、様々な反
応条件(ステップ数、時間、温度)を同時に試すことが
できる。 これは、特に新しいプローブや切片を用いて
反応条件の検索を行う場合には、ハイブリダイゼーショ
ンの温度や時間などを少しずつ変えて同時に処理す
るな ど、条件検索がスムーズに行える。 標準的な
mRNA対象のISH法は約10時間で処理が完了するの
で、夕方に染色を開始して帰宅し、翌朝には結果が得
られ、その結果を見て、また夕方に染色を開始すると
いったように毎日20種類の違う条件の結果を得ること
ができる。 検出が容易な遺伝子などを対象にした場
合は、最短4時間弱で染色が可能である。 HX-ディスカバリーでは独自の技術が採用されてい
て、処理性能の向上と操作性の改善に役立っている。
ここでは、システムの概要を述べた後、ユニークな技
術について解説を加える。
ここでは、HX-ディスカバリーとリボマップシステムに
ついて、その特長とテクノロジー、そして期待する良好
な結果を得るためのコツについて紹介する。 【 2.HX-ディスカバリー 】
■ HX-ディスカバリーの概要
HX-ディスカバリーはISH法を自動処理することを目
的として開発されたシステムである。 HX-ディスカバ
リーでは、ISH法および免疫組織化学染色法(IHC法)
を主として、その他にTUNEL法、FISH法、DNAマイク
ロアレイのハイブリダイゼーションを処理することができ
る。 HX-ディスカバリーの外観を図1に示す。 最上部の機
械 は 処理モジュールと呼び、この内 部で染 色を行
う。 その下にあるのがバッファーモジュールでここから
各種バッファーを処理モジュールへ供給する。 処理
モジュール内部は、図2のようになっている。
-1-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
図3 ベンタナ・エアミキサー
図2 処理モジュールの内部
黒いブロックが環状に配置されているが、これはそれ
ぞれ独立したスライドヒーターであり、スライドはこの上
に水平に配置される。 スライドヒーターは20個あり、
一度に20枚のスライドを処理できる。 この環状の台を
スライドカローセルと呼び、運転中は一定速度で回転
して、いわばベルトコンベアーの役割をはたしている。
スライドカローセルの奥には、同心円状に配置された
装置が見える。 これらによって、スライド上の反応液を
洗い流す、スライド上に乗っているバッファー量を調整
する、試薬を添加する、スライド上の反応液を油状の
膜(液体カバースリップ)で覆う、といった処置が施され
る。 試薬が添加されたら、スライドはユーザーによって
設定された時間・温度でインキュベートされる。 この
間、スライドはスライドヒーターによって正確にコント
ロールされた温度に保たれ、さらにベンタナ・エアミキ
サーと呼ばれる装置から空気噴流が図3に示すように
吹き付けられてスライド上の反応液を攪拌する。 これら、反応液の洗浄、試薬の添加、インキュベー
ションという一連の流れを繰り返すことでISH法を自動
化している。 ■ 特長 ① 染色性の向上 HX-ディスカバリーは、染色性を向上させるために
様々な工夫がされている。 ベンタナ・エアミキサーか
液体カバースリップ
組織
反応液
バーコード
スライド
図4 液体カバースリップの模式図
らコントロールされた空気の噴流をスライドグラスに吹き
付けて反応液を攪拌する。 これは、図4に示すように、
液体カバースリップによって覆っていることで可能にな
る技術で、反応性を向上するとともにムラのない均一な
反応を行うことができる。 また、37℃から95℃まで設定
可能なスライドヒーターによって正確に意図した温度で
反応が行える。 切片が剥がれないように、やさしく確実に反応済み試
薬を洗い流すジェット・スライド・ウォッシャーや、蒸発を
防ぎ反応温度を安定に保つ液体カバースリップも染色
性の 向上に貢 献している。 ② 操作性の向上 HX-ディスカバリーは操作性にも考慮している。 スライドと試薬はそれぞれバーコードで管理されてい
る。 スライドはプロトコール番号を指定するバーコード
を貼付することにより、スライドヒーターの自由な位置に
配置することが可能で、機械が自動的にスライドを見
分けるのでスタート時にセット位置などの余計な入力が
-2-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
IHC法の専用モジュールや特殊染色の専用モ
ジュールも販売しており、これらも自由に組み合わせ
て増設が可能である。 【 3.リボマップシステム 】
リボマップシステムは、HX-ディスカバリー専用の
アプリケーションで、ホルマリンまたはパラホルムアル
デヒドで固定されたパラフィン包埋組織切片および凍
結切片でジゴキシゲニン(DIG)標識RNAプローブを
用いてmRNAを検出するようにデザインされた試薬、
バッファー、プロトコールの総称である。 中心をなす
のは「リボマップキット」と名付けた処理試薬とハイブリ
ダイゼーション・バッファーのキットである。 それに各
種のバッファーが加わる。 リボマップシステムは、最適化された試薬と標準の
プロトコールを使うことで、煩雑なISH法をより簡便に
再現性良くできるようになり、信頼性を提供できるよう
設計されている。 図5 ソフトウエア
必要ない。 試薬も自由な配置ができて余計な入力が
必要なく、その上、プロトコールの実行に必要な試薬を
自動的に判別し、コンピューターのデータベースを参
照し、それらの残り回数と有効期限などもチェックする
ため、試薬量の不足や試薬のセット忘れなどのケアレ
ス・ミスが全く無くなる。 また、機械を操作したり、プロト
コールを作成・編集したり、試薬の管理を行うのは、
Microsoft® Windows®上で動作するソフトウエアに
よって行われる(図5)。 このソフトウエアは、シンプルな
インターフェースにより容易に操作に習熟できるよう
設計されている。 ■ リボマップシステムの試薬 リボマップキットは、①RiboPrep、②RiboClear、
③RiboFix、④RiboHybeの4つの試薬で構成されて
いる。 ①RiboPrepは、ホルムアルデヒドをベースにした固定
剤で切片を確実に固定してmRNAの流出を防ぎシ
グナルの増感・バックグラウンドの減少を行う。 ②RiboClearは、酸処理を行う試薬でシグナル強度が
上がりシャープになる働きがある。 ③RiboFixは、洗浄の直後、抗体の前に再度固定を
することでバックグラウンドの減少を行う。 ④RiboHybeは、HX-ディスカバリー上で最適化され
たハイブリダイゼーション・バッファーである。 HXディスカバリーでは、スライド洗浄後、一定量のバッ
ファーがスライド上に残り、そこにRiboHybeで希釈
されたプローブを加える方式を取っている。 そのた
め塩やホルムアミドなどがHX-ディスカバリー上で
使うときに標準的な濃度になるように高めに調製さ
れているほかに、シグナルの増感とバックグラウンド
の低下に寄与する成分がいくつか加味されてい
る。 通常、ISH法で使用されるハイブリダイゼーション・
バッファーや幾つかの試薬は用時調製の必要がある
③ フレキシブルなプロトコール 研究の目的に合わせてプロトコールが組めるように
フレキシビリティを持たせている。 充分な数のステップ
を用意したプロシージャと呼ばれるフォーマットにした
がって簡単な操作でプロトコールを組むことができ、
1,000種類のプロトコールを設定・保存することができ
る。 このプロシージャは、目的の染色に合わせていく
つも用意されている。 ④ 豊富な拡張 性 HX-ディスカバリーでは1モジュールで最大20枚のス
ライドを一度に処理できる。 1台のコンピューターで
8つまでのモジュールを同時にコントロールすることが
できるので、最大160枚まで同時処理が可能である。
モジュールの増設は、1本のケーブルでつなぐだけで
できる。 今回は、ISH法およびIHC法の自動化システムである
HX-ディスカバリーを紹介しているが、ベンタナでは、
-3-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
プローブ添加量: [pg]
0
0.256
1.28
6.4
32
160
800
4000
不使用
使用
アンプマップキット
図6 組織試料:マウス卵管(ホルマリン固定・パラフィン包埋)
プローブ :28s rRNA (DIG標識オリゴDNAプローブ )
が、リボマップキットは室温保存可能な調製済みの試
薬からなっている。 その他、リボマップシステムでは、
SSCに相当するバッファー「リボ洗浄バッファー」や熱
処理用の「リボCCバッファー」などがある。 リボ洗浄
バッファーは、バックグラウンドを抑えるように調整され
たSSCの代替品である。 また、リボマップシステムの
独特の処理には熱処理を行ってシグナルを増感する
ことがある。 IHC法では抗原賦活化のための一般的な
熱処理であるが、リボCCバッファーを使って同様の処
理を行い、Protease処理を併用することでシグナルの
検出感度を格段に上げることが可能となる。 NBT/BCIPによる発色は、ブルーマップキットを用いて
自動的に行うことができる。 ①SA-Alk, ②PAB-Block, ③BlueMap NBT,
④BlueMap BCIP, ⑤Activator
■アンプマップキット アンプマップキットは、TSA(Tyramide Signal
Amplification)を用いた増感キットであり、ISH法で
は、リボマップキットと発色キットであるブルーマップ
キットと共に用いるようになっており、反応条件は最適
化されている。 このアンプマップキットは、プロトコー
ルに簡単に組み込むことができ、発現量が低い場合
でもシグナルを得られるようになってきている。 28s rRNAを対象としたオリゴDNAプローブを用い
て、その効果を検討した例を図6に示す。 プローブ
を系列希釈して添加し、アンプマップキットを使用し
た場合と使用しなかった場合のシグナル強度を比較
した。 アンプマップキットは、次の7つの試薬から構成され
て い る 。 ① PO Inhibitor, ② AmpMap TSA H2O2, ③ AmpMap TSA Block, ④ Rabbit anti DNP, ⑤ Goat anti-Rabbit Biotin, ⑥ AmpMap SA-HRP,
⑦ TSA DNP ■ブルーマップキット ブルーマップキットは、 NBT/BCIPによる発色を感度
良く、自動的に行う発色キットであり、結果の再現性を
高めることができる。 HX-ディスカバリーでは、発色工
程を用手法で行うことも可能であるが、ブルーマップ
キットは、発色時間をスライドごとに変えて同時に染色
することが可能で、再現性の良い結果が得られ、発色
作業と確認の手間もなくなり、時間の短縮も可能となる
ので、使用することを奨める。 ブルーマップキットは、次の5つの試薬から構成され
ている。 -4-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
Ventana Reagents
RiboMap Kit
ISH Protocol Steps
EZ Prep
Deparaffinization
RiboPrep
Fixation
RiboClear
Acid Treatment
RiboCC
Cell Conditioning
Protease 1, 2, 3
Protease Digestion
RiboHybe
Hybridization (DIG Riboprobe)
RiboWash
Stringency Wash
RiboFix
Fixation
Antibody Diluent
Biotin-labeled Anti-DIG Antibody
SA-AP
AP Substrate
BlueMap Kit
表1 リボマップシステムによるISH法の流れ
RiboMap System Protocol
for Paraffin-embedded Tissue Section
Step
Pre-Treatment
Probe Dilution
Denature
Hybridization
Wash 1st
2nd
3rd
Post-Fixation
Antibody
Detection
Counterstain
Reagents RiboPrep
RiboClear
RiboCC
Protease 2
XXng/Slide in 200ul RiboHybe
0.1x RiboWash
0.1x RiboWash
0.1x RiboWash
RiboFix
x 500 antiDIG-Biotin
BlueMap Kit
NFR counterstain
Temp.
37℃
37℃
Mild CC (95℃)
37℃
Time
30min.
10min.
6min.
2min.
70℃
65℃
65℃
65℃
65℃
37℃
37℃
42℃
42℃
10min.
6 hrs.
6min.
6min.
6min.
10min.
30min.
3-6 hrs.
6min.
表2 パラフィン切片での代表的なプロトコール例
-5-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
固定時間
3 日間
24 時間
1週間
室温
固定温度
4℃
8 時間
図7 組織試料:マウス腎臓(ホルマリン固定・パラフィン包埋)
プローブ :VEGF (DIG標識RNAプローブ)
■ リボマップシステムのプロトコール リボマップシステムによるISH法の流れは、表1のとお
りである。 ユーザーはこのプロトコールに沿って、各ス
テップの条件を変化させることで、各種生物、臓器、器
官などの切片に対応することが可能である。 パラフィン
切片での代表的なプロトコール例を表2に示す。
今回、表には示さないが、凍結切片の場合やオリゴ
DNAプローブの場合などでの代表的なプロトコール例
も用意している。 これらの代表的なプロトコールを元
にして、プローブ濃度やハイブリ温度、さらにProtease
処理の強弱やNBT/BCIPの反応時間、など数ヵ所の
条件を振って検討することで、ほとんどのケースで特異
的なシグナルを得ることができる。 但し、低発現量の
mRNAを検出するためには、切片の作製や取り扱いが
正しく、さらにプローブの設計が適切であることが前提
条件となる。 切片の状態がよく、プローブの設計が適
切である場合にリボマップシステムを用いて染色を
行った結果は特異的なシグナルが高い確率で得られ
ている。 に準備された試料を使用しなければ染色プロトコール
をいくら変えても期待する良い結果は得られない。 HX-ディスカバリーでのISH法の染色結果に大きな
影響を及ぼす要素には次のものがある。 1.組織試料の作成 2.プローブの添加量 3.ハイブリダイゼーション温度 この他にも、プロテアーゼ処理の強さ、プローブの配
列などもあるが、ここでは3項目について説明する。
次に、これらの内容を踏まえて、効率よく条件検討でき
る手順を説明する。 1 .組織試料の作成 特に重要な要素となるのが組織の固定である。 HX-ディスカバリーではしっかりと固定をすることにより
染色性が向上する。 図7に固定条件を変えた染色例
を示す。 これによると室温で固定した場合、8時間の
固定のみ若干シグナル強度が落ちるが、1週間まで固
定時間を延ばしてものまで全体として良好な染色が得
られている。 しかし、4℃では8時間、24時間の固定
では不充分で3日間固定したもので初めて室温24時
間固定のサンプルと同程度になっている。 このように試料の固定は非常に重要である。 図7の
実験の結果も踏まえて、弊社で推奨する試料の作製・
【 4.良好な染色結果を得るために】
ISH法では組織試料やプローブの作成・取り扱いが
非常に重要であることは、一般に知られている。 適切
-6-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
プローブ添加量
0.2ng
2ng
20ng
200ng
センス
アンチセンス
図8 組織試料:マウス精巣(ホルマリン固定・パラフィン包埋)
プローブ:Protamine (DIG標識RNAプローブ)
・スライドは、素手では扱わず、なるべく保存期間の
短いものを使用する。
・新しいミクロトーム刃を使い、切片は、5∼8μmの
厚さに切る。 ・薄 切の際には 、 息を吹きかけない。 ・切片を浮かせる水や湯延ばし用の湯は、MiliQ水を
用いる。
・切片の剥がれを防ぐために、切片は充分に(40℃、
16時間)乾燥させる。
・作成した切片は、なるべく一週間以内に使用する。
・切片を長期保存する場合は、スライドケース内にシリ
カゲルを入れ、ケースの蓋の隙間をビニールテープ
などでしっかり密封し、-80℃で保存する。 ・-80℃で保管していた切片を取り出すときには、結露
を避けるため、充分室温に戻してから開封する。 取り扱い方法について、次に述べる。 ① 組織採取時の注意点 通常、固定は、組織などの形態を保持することを示
すが、mRNAの検出を行うISH法では、RNaseによる
mRNAの分解を防ぐために、1秒でも素早く固定するこ
とが必要である。
・灌流固定が可能ならば、できるだけ行う。 ・組織片取得後、速やかに固定液に浸漬する。 ・組織片に固定液が迅速に浸透するように、厚さは
5mm以下にする。 ・浸漬固定は、固定液(10%中性緩衝ホルマリン
または4%パラホルムアルデヒド)を使用し、室温・
24時間以上を行う。
HX-ディスカバリーでは、組織の固定が不充分である
と良い結果を得ることが困難となるので、固定液が浸
透しやすいように組織を小さく切り、浸漬固定をしっか
り行うことが重要である。 切片を作製する代表的な方法は、パラフィン切片と
凍結切片があり、それぞれ利点と欠点があるが、HXディスカバリーでは、パラフィン切片を使用した方が形
態の保持や取り扱いの点からも期待する結果を得や
すいので、パラフィン切片を使用することを推奨する。
② 切片作 製と取り扱いの注意点 mRNAを検出するISH法においては、RNaseによる
mRNAの分解を防ぐために、薄切に使用する器具、
水、環境などをなるべくRNase Freeな状態に保つこと
が重要である。 ・ 切 片 を 貼 付 す る ス ラ イ ド は 、 コ ー テ ィ ン グス ライ ド
(推奨:松浪硝子工業のAPSコート)を用いる。 2 . プ ロ ー ブ の 添 加 量 適切なシグナルを得るためには、適切なプローブと
適切な添加量が必要である。 プローブ添加量が少な
-7-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
いとシグナル自体得られないが、プローブ添加量が多
くなりすぎると非特異的な吸着から起こるバックグラウン
ドが上昇する(図8)。 このため、適切なプローブ添加
量を検討することが重要になる。 添加するプローブ量
を正確にするため、作製したRNAプローブの収量を検
定 す る こ と が 非 常に大事になる。 ・特異的なプローブができているかを確認するため、
電気泳動を行う。 ・ DIG活性測定を確認するため、ドットブロット法を
行う。 ・RNAプローブは分解されやすいので、小分けして
-20℃で貯蔵する。 1回目のRUNの結果でアンチセンスプローブ、センス
プローブの両方に発色があった場合には、プローブ量
を2ng/slideにし、ハイブリダイゼーション温度の条件を
65℃、67℃、69℃の3種類で行う。 つまり、アンチセ
ンスプローブおよびセンスプローブをハイブリダイゼー
ション温度の3条件で6枚、コントロールのアンチセンス
プローブおよびセンスプローブの各1枚、計8枚を2回
目のRUNで行う。 1回目のRUNの結果でアンチセンスプローブ、センス
プローブの両方で発色が見られない場合は、次の方
法のいずれか検討する。 ①プローブ添加量を
50ng/slideにし、ハイブリダイゼーション温度の条件を
65℃、63℃、61℃、59℃の4種類で行う。 ②1回目の
RUNの条件にアンプマップキットを使用した方法を行
う。 ③プローブ添加量を50ng/slide、250ng/slideに
上げて行う。 1回目のRUNの結果で、アンチセンスプローブに発
色が見られず、センスプローブに発色が見られた場合
は、プローブを再検討することを奨める。 以上の手順は、期待する結果を効果的に得るための
手順として示したが、状況によっては、異なる場合があ
る。 また、オリゴDNAプローブを用いた場合や凍結切
片を用いた場合などでは異なるので注意すること。 3.ハイブリダイゼーション温度 プローブ濃度による非特異的な吸着が無い適切な
濃度を選んでも、プローブの配列によっては、センスプ
ローブあるいはアンチセンスプローブ、またはその両
方でバックグラウンドが見られるときがある。 ハイブリ
ダイゼーション温度を適切に設定することで、これらの
バックグラウンドを無くせるケースがよくある。 HX-ディ
スカバリーでは、スライド毎に個別のヒーターで温度を
管理しているため、複数のハイブリダイゼーション温度
を一度のRUNで簡単に検討することが可能なので、
ハイブリダイゼーション温度を検討することを奨める。 【 6.おわりに 】
「ベンタナHXシステム ディスカバリー」は、脱パラフィ
ンから対比染色までの一連の工程を処理する自動化
システムである。 洗練された操作性と良好な染色性・
再現性によりISH法を簡便且つ大量に処理することが
可能になる。 また、「リボマップシステム」によってISH
法の条件検討がより容易になり、再現性良くできるよう
になった。 それに加えて、HX-ディスカバリーは、ISH
法に限らずIHC法・TUNEL染色、DNAチップのハイブ
リダイゼーションにも応用可能である。 HX-ディスカバリーとリボマップシステムは、1台のシス
テムで20枚の違う条件のプロトコールを同時に処理
し、毎日結果を得ることができるので、染色の信頼性と
スピードアップを通して研究に貢献できる極めて有用
なシステムである。 ■ プロトコールの検討手順 パラフィン切片でDIG標識RNAプローブを用いて
mRNAを検出する際、リボマップシステムを使用して、
効果的に良い結果を得る方法について説明する。
まず初めに上述の表2で示した代表的なプロトコール
例を用いて、プローブ添加量を2ng/slide、
1 0 n g / s l i d e 、 5 0 n g /s l ideの3種類で検 討する。 つまり、アンチセンスプローブおよびセンスプローブを
各3濃度で6枚、コントロールのアンチセンスプローブ
およびセンスプローブの各1枚とプローブを入れない
(No probe)1枚を同時にRUNし、計9枚を試してみる
のが良い。 No probeは、バックグランドがみられた場
合に、プローブ由来のバックグランドであるか、抗体な
どの他の要因によるものなのかを見極めるために必要
であるので、1回目のRUNにはNo probeも検討する
こと。 -8-
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
リボマップシステムを使用したISH法の例
Tissue : Mouse Embryo
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (500 base)
Target : STEF
Antisense probe
Tissue : Mouse Salivary Grand
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (307 base)
Target : NGF
Antisense probe
Sense probe
Tissue : Mouse Testis
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (325 base)
Target : Protamine
Antisense probe
Tissue : Mouse Brain
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (528 base)
Target : Neurofilament-M
Antisense probe
Sense probe
Tissue : Mouse Brain
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (401 base)
Target : Myelin-Associated Glycoprotein
Antisense probe
Sense probe
Tissue : Mouse Brain
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (455 base)
Target : Microtubule-Associated Protein 2
Sense probe
Antisense probe
Tissue : Mouse Kidney
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (500 base)
Target : VEGF (Vascular Endothelial Growth Factor)
Antisense probe
Sense probe
Sense probe
Tissue : Mouse Embryo
Section: Fixed Frozen 10μm
Probe : DIG labeled RNA probe
Target : MyoD
Antisense probe
-9-
Sense probe
Sense probe
Ventana HX System Discovery & RiboMap System
Tissue : Rat Brain
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (600 base)
Target : VDCC Alpha 1A
Antisense probe
Tissue : Rat Brain
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (514 base)
Target : MCH
Sense probe
Antisense probe
Tissue :Rat Kidney
Section: Paraffin 7μm
Probe : DIG labeled RNA probe (309 base)
Target : AQP2
Tissue : Rat Brain
Section: Fresh Frozen 10μm
Probe : DIG labeled RNA probe (600 base)
Target : VDCC Alpha 1A
Antisense probe
Sense probe
Antisense probe
Tissue : Human Stomach
Section: Paraffin 5μm
Probe : DIG labeled RNA probe (400 base)
Target : VEGF-A165
Antisense probe
Sense probe
Immunohistochemistry
Tissue : Rat Tongue
Section: Fresh Frozen 10μm
Probe : DIG labeled RNA probe (450 base)
Target : Gi2
Sense probe
Antisense probe
Tissue : Rat Tongue
Section: Fresh Frozen 10μm
Probe : DIG labeled RNA probe (1.2 k base)
Target : PLCβ2
Sample: Rice Shoot Apex
Section: Paraffin 10μm
Probe : DIG labeled RNA probe (500 base)
Target : Histon
X 100
Antisense probe
X 500
Antisense probe
- 10 -
ベンタナ・ジャパン株式会社
〒220-8135 神奈川県横浜市みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークタワー 35階
TEL: 045-228-5071 FAX: 045-228-5070
ホームページ: http://www.ventanamed.co.jp/
AD018/ R2/ 0503
Author
Document
Category
Uncategorized
Views
0
File Size
423 KB
Tags
1/--pages
Report inappropriate content