ふるさとの偉人から学ぼう

公益社団法人
富山青年会議所
2 0 1 4 年 度 次 世 代 育 成 事 業
ふるさとの偉人から学ぼう
事
業
報
告
書
日本人は古来から、相手に対して有難みを深く感じ、行動で示す「感謝の心」や、
相手のためを思い、考え行動する「おもいやり」といった美しい精神性を持っていま
す。我々は、これらの美しい精神性を学ぶ機会を子供たちに提供し、これからの富
山を背負って立つ子どもたちに「感謝の心」と「おもいやり」を身に付けてもらおう
と考え、富山が輩出した偉人を通して学ぶ、学校訪問事業を一昨年、昨年に引き続
き開催させていただきました。また、美しい精神性を受け継いできた私たち大人が、
次代を担う子どもたちへ「感謝の心」や「おもいやり」といった美しい精神性を伝
え、育んでいくことにより、現代社会で起きているさまざまな問題を解決する一助
となると考えます。私たちのねらいと実際に行った事業について改めて皆様に知っ
ていただくことを目的に、今回の報告書を発行する運びとなりました。皆様方に私
たちの考えを理解していただくとともに、今後の富山青年会議所の活動に対しまし
公益社団法人 富山青年会議所
2014年度理事長 高平 公輔
て今までと変わらぬご支援とご協力をいただきますことをお願い申し上げ、挨拶
とさせていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
1.
本事業のねらい
現代社会では物質の豊かさに反して、核家族化に伴う世代間のコミュニケーション不足や地域の人間関係の希
薄化など、人と人との関わりが薄れてきていることにより、家庭・地域・学校、そして子どもたちにも様々な問題
が起きています。
背 景
学校
家族
地域
社会全体
いじめ
核家族化・少子化
つながりの希薄化
モラルの低下
不登校
家族間のコミュニケーション不足
人間関係構築力の低下
ビデオ・テレビゲームの普及
個人主義
偉人伝プログラム「ふるさとの偉人から学ぼう」の目指すところ
子ども
家庭においてだけでなく、学校では子ども同士で、また地域では大人と様々なことを
地域
体験し多くの経験を積むことができます。それにより、これからの変化の激しい社会で
も夢を持てるように成長していただきます。
JC
JC
大人
子ども
学校
家庭
JC
家庭・地域・学校が連携して教育を行うことの重要性を、家庭・地域・学校の三者が共通
認識し、それぞれの役割を果たすことができます。
J C
三者の媒介となり、大人や子どもがいきいきと暮らせる環境をつくります。
2.
偉人伝プログラムについて
開催日時
2014年5月21日~7 月22日
開催場所
富山市・中新川郡内の各小学校
対象者
20校・33クラス・904名の小学5・6年生
今年度、富山JCでは「ふるさとの偉人から学ぼう」というタイトルのもと、一昨年、昨年に引き続き富山県出身の偉人を題
材にした偉人伝プログラムの授業を行いました。富山JC独自のシナリオと資料を用いる点は例年通りですが、今年の新たな
特徴としまして、今までは1限45分間のみの単発の授業で行わせていただいていたところを、今年は45分間X2の2時限1セ
ットの形式で行いました。1限目の授業ではまず郷土の偉人の歩みを子どもたちに伝え、2限目では一定期間経過したのちに
再度学校へ訪れ、 “偉人の歩みから見えてくる事柄を自身に置き換えるとどんなことができるだろうか”ということを、実際
に一人一人に考えていただき、子どもたちの未来につながる授業を行いました。
富山JC会員が地域の大人の代表として授業を行う本プログラムを受けていただいたことで、子どもたちは地域の大人た
ちと触れ合う経験を得ることができました。また同郷の偉人の歩みを知った上で、子どもたち一人一人が自身の夢について
考え、また周りの人々に対しての思いや行動を考える機会を得、変化の激しい現代社会にもしっかりと対応し歩んでいってい
ただく意識づけができたと感じます。
・藤子氏が富山県出身であることを紹介。
・藤子氏の漫画を紹介。
「一生懸命頑張る」
・子どものころから絵を書くのが好きだったことや高校生のときにデビューし
たことを紹介。
・漫画家を志し、東京に上京したことを紹介。
・富山県出身であるという共通点から、藤子氏への親近感を持っていただく。
・漫画という切り口から藤子氏に興味を持っていただく。
・藤子氏の子どもの頃の話をすることで、今の自分たちと照らし合わせてもら
い、自身の夢を叶えるためには一生懸命頑張ることが大切であると伝える。
「ありがとうの気持ちを持つ」
・トキワ荘というアパートで有名な漫画家たちと切磋琢磨しながら自らの漫画
道を築いたことを紹介。
・一度締切を守らず仕事ができなくなった時期があったことで、周りの人に助
けられて仕事ができていたことの有難みを再確認したことを紹介。
・漫画を描き続けられることは周りの人の助けもあってということから、相手に
対して有難みを深く感じ行動すること「感謝の心」の大切さを伝える。
「相手の気持ちになって考える」
・小学生の子から届いたファンレターから子ども向けの漫画を描くことを決意
したことを紹介。
・漫画のなかで“相手の気持ちになって考える大切さ”を伝えようとしたことを
紹介。
・ファンレターに耳を傾け子どもたちのために漫画を描くこと、それは相手のこ
とを想い、考えて行動することであり、「おもいやり」が大切であると伝える。
・角川氏が富山県出身であることを紹介。
・角川氏の文庫本を紹介。
・富山県出身であるという共通点から、角川氏への親近感を持っていただく。
・図書室にある文庫本という切り口から、角川氏に興味を持っていただく。
「一生懸命頑張る」
・子どものころから本を読むことや俳句を書くことが好きだったこと、また高
校生のときに俳句の賞をとったことを紹介。
・本を出版したいと志し、東京に上京したことを紹介。
「相手の気持ちになって考える」
・本を読みたがっている多くの若者たちのため、出版社設立を決意したことを
紹介。
・角川氏の子どもの頃の話をすることで、今の自分たちと照らし合わせてもら
い、自身の夢を叶えるためには一生懸命頑張ることが大切であると伝える。
・戦後間もなくのころ、書店も少なく本を読むこともできなかった若者たちの
ために、出版社を設立しようと決意したことは“相手のことを想い、考えて行
動すること”であり、そういった「おもいやり」が大切であると伝える。
・出版社を設立したが、自分が思っていたように本を出すことができなかっ
た。しかし、多くの人たちに支えられて軌道にのっていったことを紹介。
・自分が思っていたとおりに本を出すことができなかったときに、多くの人た
ちに支えられたことで本を出版でき、周りの人の有難みを再確認したなかで
さらに良いものをつくっていこうと行動したことをとおして「感謝の心」の大
切さを伝える。
・黒田氏が富山県出身であることを紹介。
・身の回りにコクヨの製品がたくさんあるということに気づいていただき、そ
のコクヨの創業者が黒田氏であることを紹介。
・富山県出身であるという共通点から、黒田氏への親近感を持っていただく。
・学校や身近にあるコクヨ製品の会社の創立者という切り口から、黒田氏に興
味を持っていただく。
「一生懸命頑張る」
・黒田氏の子ども時代の話をすることで、今の自分たちと照らし合わせてもら
い、自身の夢を叶えるためには一生懸命頑張ることが大切であると伝える。
「ありがとうの気持ちを持つ」
・子どものころから「いつか自分の店を持ちたい」と夢をもっていたことを伝
え、その夢を叶えるため11歳で奉公に行き一生懸命に働いたことを紹介。
「ありがとうの気持ちを持つ」
・立派な商人になるために大阪に出たが、初めは雇ってくれるところがどこも
なく、多くの人にたすけられて仕事をすることができたことを紹介。
「相手の気持ちになって考える」
・黒田氏が使う人の気持ちになって、今のノートに良く似た“和式帳簿”を何年
もかけて完成させたことを紹介。
・多くの人に支えられて、仕事をできることの有難みを再確認し一生懸命働い
たことから、“相手に対して有難みを深く感じ行動すること”「感謝の心」の大
切さを伝える。
・「人の役に立つことをしていれば、必ず受け入れられる」という信念のもと事
業をしてきたことは“相手のことを想い、考えて行動すること”であり、その
「おもいやり」の大切さを伝える。
事業の風景
事業の風景
ワークシート検証結果
検証.1
「どんな時でも一生懸命頑張る」ということをシナリオに盛り込みました。
ワークシートの中で、一生懸命頑張ることを書けた子供はいましたか?(回答904人中)
① いた
② いなかった
893 人
11 人
98%
2%
②
2%
検証.2
「感謝の心を持つ」ということをシナリオに盛り込みました。
ワークシートの中で、感謝の心を持つことを書けた子供はいましたか?(回答904人中)
① いた
② いなかった
871 人
33 人
96%
4%
②
4%
検証.3
「おもいやりを持つ」ということをシナリオに盛り込みました。
ワークシートの中で、おもいやりを持つことを書けた子供はいましたか?(回答904人中)
① いた
② いなかった
860 人
44 人
95%
5%
①
98%
①
96%
②
5%
①
95%
検証.4
ワークシートの中に、前向きに何かをやってみたいことを書いた子供はいましたか?(回答904人中)
① いた
② いなかった
893 人
11 人
98%
2%
②
2%
①
98%
検証.5
夢や、やりたいこと、なりたいことがある子供はいましたか?
① 具体的な職業を夢にしている
② やりたいこと、なりたいことがある
③ まだ持っていない
693 人
183 人
28 人
77%
20%
3%
②
20
%
検証.6
事業を通して子どもたちが感じた「感謝の心」と「おもいやり」をワークシートから抽出しました。
・困っている人がいたら助けてあげる ・自分の得意なことを分からない人に教えてあげる ・諦めない気持ちを持つ
・夢を応援してくれている家族の為に、夢を叶える為に頑張りたい ・1日1日の練習を大切にする ・親孝行をする
・自分の出来る限りのことをする ・仲間の出来ていない所をお互いに注意したりしあう ・世界中を笑顔にする
・知識を蓄え、色々なことにチャレンジする ・友達の悩みを聞いたり、応援する ・家族のお手伝いを今以上頑張る
・一生懸命頑張って、力を発揮する ・「ありがとう」と感謝の気持ちを持って、みんなと生活をする。
③
3%
①
77
%
学校からのアンケート集計結果
検証.1
授業を通して児童は、偉人が具体的に何をしたかわかったと思いますか?(回答33クラス中)
①
②
③
④
分かったと思う
少しわかったと思う
分からなかったと思う
未回答
20
10
0
3
クラス
クラス
クラス
クラス
③
0%
②
30
%
61%
30%
0%
9%
④
9%
①
61
%
検証.2
授業では夢を叶えるヒントに「感謝の心」と「おもいやり」の大切さを理解していただく事を盛り込みました。
授業を通して児童は、これらを理解したと思いますか?(回答33クラス中)
①
②
③
④
理解したと思う
少し理解したと思う
理解していないと思う
未回答
21
9
0
3
クラス
クラス
クラス
クラス
64%
27%
0%
9%
④
9%
③
0%
②
27
%
①
64
%
検証.3
今回の授業は児童にとってどのようなものになりましたか?(回答33クラス中)(複数回答)
①
②
③
④
⑤
⑥
有意義だったと思う
有意義でなかったと思う
児童の変化が期待できると思う
児童の変化は期待できないと思う
児童が楽しめる授業だったと思う
児童の楽しめない授業だったと思う
29
0
26
1
28
0
クラス
クラス
クラス
クラス
クラス
クラス
88%
0%
79%
3%
85%
0%
100%
50%
0%
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
検証.4
今後の学校訪問事業実施の際は、児童に授業を受けさせたいと思いますか?(回答33クラス中)
① 受けさせたいと思う
② 受けさせたいと思わない
③ 未回答
29 クラス
1 クラス
3 クラス
88%
3%
9%
③
9%
②
3%
①
88%
検証.5
今年度は、振り返りの時間が大切であると考え2時間目を行いましたが、
授業数は何時間が適切でしょうか?(回答33クラス中)
①
②
③
④
1時限
2時限
その他
未回答
6
24
0
3
クラス
クラス
クラス
クラス
18%
73%
0%
9%
④
9%
③
0%
①
18%
②
73%
[ 学校訪問プログラム授業実施校 ]
●富山市立 芝園小学校
●立山町立 立山中央小学校
…5 月 21 日・6 月 3 日 (小出哲平・福井康佑・室正宏)
…6 月 20 日・6 月 27 日 (渡辺誠一・平木柳太郎・講神司一)
●富山市立 水橋中部小学校
●立山町立 利田小学校
…6 月 9 日・6 月 12 日 (前波和憲)
…6 月 24 日・7 月 1 日 (江尻勇生)
●上市町立 白萩西部小学校
●上市町立 上市中央小学校
…6 月 9 日・6 月 16 日 (小出哲平)
…6 月 26 日・7 月 8 日 (高田大輔・萩中智行)
●立山町立 高野小学校
●富山市立 奥田北小学校
…6 月 9 日・6 月 13 日 (中嶋康太)
…6 月 27 日・7 月 14 日 (酒谷大介・室正宏・向出拓司)
●上市町立 相ノ木小学校
●富山市立 池多小学校
…6 月 10 日・6 月 18 日 (大辻知朗)
…6 月 30 日・7 月7日 (小澤高夫)
●富山市立 柳町小学校
●上市町立 陽南小学校
…6 月 11 日・6 月 18 日 (小出哲平)
…7 月 2 日・7 月 9 日 (中松孝介)
●上市町立 南加積小学校
●富山市立 岩瀬小学校
…6 月 11 日・6 月 17 日 (福田敬嗣)
…7 月 3 日 (島﨑一也)
●上市町立 宮川小学校
●富山市立 広田小学校
…6 月 16 日・6 月 24 日 (谷内肇)
…7 月 4 日・7 月 9 日 (清水雄大・小出哲平・林靜馬)
●富山市立 堀川小学校
●富山市立 船峅小学校
…6 月 17 日・6 月 24 日 (高野健成・大上仁士・栗山公伸・大房真弓)
…7 月 10 日・7 月 16 日 (大上仁士)
●富山市立 桜谷小学校
●富山市立 保内小学校
…6 月 20 日・6 月 27 日 (澤田友典・福井康佑)
…7 月 22 日 (山本大希)
あ
と が
き
平素より公益社団法人富山青年会議所の次世代育成事業にご理解・ご協力頂き、誠に有難うございま
す。この学校訪問事業は今年度をもちまして3回開催させて頂いておりますが、今年度も皆様のご協力を
もちまして無事に終了できましたことを、ここにご報告申し上げます。今年度の学校訪問事業は、ふるさと
とやまに縁のある著名人の半生を通じて、「夢を叶えるヒント」と称し、子どもたちに「感謝の心」と「おもい
やり」の大切さを学んで頂くことを目的に実施させて頂きました。夢に向かってチャレンジし続けることは
決して簡単なことではなく、また自分一人の力で成し遂げられるものではありません。しかしながら、ご両
親や周囲の大人の「おもいやり」に気づき、そしてその気持ちに「感謝の心」を持つことの重要性を、子ども
たちに学んで頂けたのではないかと感じております。
今後、子どもたちがこの学びを思い出しながら、夢に向かって突き進んでくれる事を切に願いますと共
に、今後とも公益社団法人富山青年会議所の次世代育成事業に今までと変わらぬご支援・ご協力を賜りま
すようお願い申し上げ、あとがきに代えさせて頂きます。
公益社団法人富山青年会議所
2014年度次世代育成特別委員会
委員長
栗山 公伸