第 8 回電磁気学 I 演習 解答

2014 年 12 月 12 日(金)
第 8 回電磁気学 I 演習
解答
~真空中のマクスウェル方程式~
1.静電磁場におけるマクスウェル方程式は以下の通りである.
 (r )
(a )   E ( r ) 
0
( b)   B ( r )  0
( c)   B ( r )   0 i ( r )
(d )   E ( r )  0
  E (r ) 
 (r )
と E (r )   (r ) よ り ,  (r ) が 満 た す ポ ア ッ ソ ン 方 程 式 は
0
 (r )  
 (r )
.
0
また,   B(r )  0 i (r ) と B(r )    A(r ) より,   (  A(r ))  0 i (r ) .ゆえに,
(  A(r ))  A(r )  0 i (r ) .(第 1 回電磁気学 I 演習 2-3 を参照すること.)
  A(r )  0 となる A(r ) を選べば,ポアッソン方程式は A(r )  0 i (r ) .
2.マクスウェル方程式の物理的描像を理解しましょう.
時間変化する電磁場で成り立つマクスウェル方程式は以下の通りである.
(a )   E ( r , t ) 
 (r , t )
0
( b)   B ( r , t )  0
( c)   B ( r , t )   0  0
(d )   E ( r , t ) 

E (r , t )
E (r , t )  

 0 i (r , t ),    B (r , t )  0 i (r , t )   0

t
t  


B (r , t )
B (r , t ) 

 0,    E (r , t )  

t
t


各々,
(a) 電場の源は電荷である,電場のガウスの法則
(b) 磁場には湧き出しの源がない,単磁荷は存在しない,磁場のガウスの法則
(c) 伝導電流と変位電流が磁場を生む,アンペール・マクスウェルの法則
(d) 磁場の時間変化が電場を生む,ファラデーの電磁誘導の法則
ことを意味している.
ここで,(c)のアンペール・マクスウェルの法則について,両辺の発散をとると,
2014 年 12 月 12 日(金)
  {  B(r , t )}   0 0

  E ( r , t )   0  i ( r , t )
t
左辺第一項はゼロになり(第 1 回電磁気学 I 演習 2-2 を参照),第二項にガウスの法
則を適用すると,
  0 0
   (r , t ) 

   0  i ( r , t )
t   0 
 (r , t )
   i (r , t )  0
t
となり,電荷保存則が求まる.
【補足】(b)の磁場のガウスの法則が意味することを,「磁場は電流によって生じるも
のであり、磁荷によって生じるものではない」と書いている解答がありました.こ
れは E-B 対応に基づいた考え方です.E-H 対応では磁荷が存在すると仮定します.
ただし,単磁荷は存在せず,磁荷は必ず正負がペアになっていて,磁気双極子モー
メントという形で存在すると考えます.正負の磁荷がペアになっているので,磁場
には湧き出しが存在しないわけです.現在の電磁気学では E-B 対応,E-H 対応いず
れが正しいと結論されているわけではないので,
「電流によって生じる」と書くのは
問題ありませんが,
「磁荷によって生じるものではない」と書くと,誤解が生じる可
能性があります.
3.2 の(a)の左辺に(1)を代入すると,

 A(r , t )

(左辺)    
  (r , t )     A(r , t )  (r , t )
t
t



 (r , t ) 
 2 (r , t )
1
  0  0
  (r , t )   (r , t )
   (r , t )   0  0
2
t 
t 
0
t
となり,右辺に一致する.
2 の(b)が満たされることは明らか(第 1 回電磁気学 I 演習 2-2 を参照すること).ま
た,2 の(c)の左辺に(1),(2)を代入すると,
(左辺)      A(r , t )  0  0
  A(r , t )

  (r , t )

t  t

 2 A(r , t )

  0  0  (r , t )
2
t
t
2
 A(r , t )
 (r , t ) 

 A(r , t )   0  0
    A(r , t )   0  0
   0 i (r , t )
2
t 
t

   A(r , t ) A(r , t )   0  0
となり,右辺に一致する.
最後に,2 の(d)の左辺に(1),(2)を代入すると,
2014 年 12 月 12 日(金)
 A(r , t )
 
(左辺)    
  (r , t )    A(r , t )
t

 t
 A(r , t )  
   
    A(r , t )  0
 t  t
となり,右辺に一致する.(第 1 回電磁気学 I 演習 2-1 を利用した.)