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2014年(PDF形式:1.7MB) - 近畿経済産業局

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知的資産経営報告書
2014年9月版
永井鉄工 株式会社
目
次
1.ご挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.経営哲学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3.事業概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
4.市場環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
5.これまでの事業展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
6.自社の強み・優位性(知的資産)・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(1)製紙ワインダー(WD)に精通した人材がいる。(人的資産)
(2)WD一式設計・製作・据付け・立上げの技術・ノウハウ蓄積
されている。(構造資産)
(3)WD自動化・高品質化技術・ノウハウ蓄積されている。
(自動コア挿入・テープ貼、自動通紙、ニップ圧制御、巻取り
自動排出、NCスリッタ等)(構造資産)
(4)WD関連基礎技術・ノウハウ蓄積されている。(高精度ロール、
トリム風送、制御ソフト、振動分析等)(構造資産)
(5)大手製紙メーカーへの納入実績多く、顧客信頼度は高い。
(関係資産)
(6)社内で試運転できるスペース・設備有り。(物的資産)
7.これからの事業展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(1)クロスSWOT分析
(2)将来の経営戦略
(3)KPI(重要業績評価指標)
8.知的資産活用マップと価値創造ストーリー・・・・・・・・13
(1)知的資産活用マップ
(2)価値創造ストーリー
9.会社概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
10.あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
<知的資産経営報告書とは?>
知的資産とは、バランスシートに記載されていない
無形資産のことです。その知的資産を活用した
企業価値向上に向けた活動を、目に見える形で解
り易く伝えるために作成した書類です。
(詳細は、10.あとがき に記載しています)
<表紙写真の説明>
2005年製造・出荷した当社主力製品の全自動2
-DRUMワインダーです。
機械幅5400mmのタイ向けの製品で、板紙用に
使われています。
1.ご挨拶
本報告書は当社の技術導入をご検討いただいている皆様ならびに各ステークホル
ダーの方々に当社の経営に対する考え・将来のビジョンをご理解いただきたく作成いた
しました。
当社は1938年の創業後製紙機械メーカーとしてお客様と共に歩んで参りました。
製紙機械の「高速化」・「高品質化」・「自動省力化」といった時代のニーズに対応していく
中で徐々に技術力を向上させてまいりました。しかし、新しい技術に挑戦してきた歴史は
決して全てが順調にいったわけではありませんでした。
時には困難を極め、試行錯誤の末ようやく完成にこぎつけた経験も数多くあります。しか
し、どんなに困難な状況でも最後まであきらめず誠実に対応していく姿勢を貫くことで今
では直接指名をいただく程の信頼を得ています。
また、当社の主力製品は、抄紙機を設置した製紙工場では必須の設備であるマシン・
ワインダーです。マシン・ワインダーに関しましては、大手企業を主体に、一式新設から
改造(高速化・自動化・省力化・省エネ化・高品質化等)まで百件を超える実績があります。
当ワインダーにつきましては、お客様の多様なニーズに対応可能と考えています。
近年、主要顧客である製紙業界を取り巻く環境はスマートフォン・タブレット端末の普及
により劇的に変化しました。紙の需要が右肩上がりであった時代は終わり、製紙各社様の
ご要望も「増速・増産」から「さらなる省力化」へとシフトしております。今後は得意分野で
ある省力化技術をさらに深め、お客様の業績向上に貢献して参りたいと考えております。
また培った技術を様々な業種の皆様にも応用できる可能性も模索してまいります。
海外展開につきましては、アジア諸国の新興機械メーカーの安値攻勢に対して、「高付
加価値商品」を「納得の価格」でお客様にお届けすることにこだわりたいと考えます。高
付加価値需要は存在するにもかかわらず、当社製品をご存じない企業様はまだまだ沢
山あるはずです。潜在ニーズを掘り起こすことが当面の課題です。
当報告書作成に当たり、当社の強みとこれからの事業展開を整理し、今後より多くの皆
様に当社を知っていただくための要点をわかりやすく記述いたしました。
「新しい価値を創造し続ける誠実なパートナー」として皆様に愛される企業になるべく
日々精進して参る所存でございます。
今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しく
お願い申しあげます。
2014年9月
代表取締役 永井 久雄
-1-
2.経営哲学
(1)経営理念
常に「誠実な心」を持ち、
新しい価値を創造・提供することで、
お客様にとって欠くことのできない
パートナーになることを目指します。
<ミッション Mission (企業の役割・使命)>
・常に新しい価値を創造する。
昨日と同じ事をやっていては存在する意味がありません。毎日進歩・進化することが
重要と考えます。
我々は新しい価値を提案することで初めてお客様に関心を持っていただける存在であ
るということをいつも考えて行動します。
<ビジョン Vision (将来の展望)>
・お客様にとって欠くことの出来ない
パートナーになる。
他社で間に合うようならば我々の
存在価値はありません。
我々の存在意義を常に考え、
「選ばれる企業」になることを目指します。
<バリュー Value (共通の考え方・価値観)>
・誠実である。
問題に直面したときは,
「その行動や判断は誠実であるか?」
という原点に戻って考えます。
<経 営 理 念>
(2)行動規範
迷った時ほど「誠実」に!
苦しい時ほど「勇気」と「執念」を!
<行 動 規 範>
-2-
3.事業概要
(1)会社の沿革
期
間
年 度
出 来 事
知的資産との関係
創業者永井良一は、高等小学校を卒業後 鉄工所
の工員となりその後日本スピンドル、大日本セルロイ
ド、大阪機械製作所、聯合紙器等を経て1938年に
独立創業
・創業者自身はこの期間に、工作機械・産
業機械・化学機械・製紙機械等の製造・
修理等に携わり、これらの製法・修理法
等の知識・ノウハウ等を修得・蓄積した。
1938
聯合紙器(株)千船工場内にて“永井鉄工所”の商号
で創業 当初は主として製紙機械部品の製作・修理
に携わった。
(その後一般産業機械部門にも進出)
1956
兵庫県尼崎市常光寺(現本社所在地)に移転
同時に法人化し“永井鉄工株式会社”に商号変更
・製紙機械部品の製作ノウハウ及び製紙機
械全般の修理ノウハウ蓄積
・また製紙工場内に事業所があり、工場操
業と直結のため、品質・納期厳守が身に
ついた。
1956~
主に製紙工程調成装置の設計・製造と製紙機械全
般の設計・製造・修理に携わった。
1972
永井隆(創業者子息)入社
1972~1993
製紙機械全般の設計・製造・修理に専念
この中で特にマシンワインダー(抄紙機直後の仕上
げ機械)及び同ワインダー周辺装置の設計・製造・修
理に注力した。
またこの間、同ワインダー周辺各種装置の開発に注
力(永井隆が主導)
この時期は中小製紙会社から大手製紙会社に顧客
をシフトした時期であった。
1988
現専務 荒濵亮輔入社
1991
永井隆が代表取締役社長に就任
1992~2005
この間にワインダー関連装置に関する特許4件取得
(うち2件は消滅、2件は存続)
1993
製紙機械の大型化・高精度化に対応して、新工場を
建設
この頃よりワインダーの自動化・省力化を特徴とする
ワインダーメーカーの道を歩み始めた。
創
業
迄
~1938
創
業
期
成
長
期
1998~
王子製紙苫小牧工場の主力設備の改造を多数手が
け、当社のブランドイメージの向上につながる。
この時期にベトナム・中国・タイにおいてワインダーの
改造・新設を手掛ける。
2000
現社長 永井 久雄入社
2010頃~
製紙業界の特に洋紙業界で設備投資激減
板紙業界に於いては設備投資減少はあるが継続
2011
永井隆 代表取締役会長に就任
荒濵亮輔 代表取締役社長に就任
転
換
期
2012
5月 永井久雄 代表取締役社長に就任
5月 荒濵亮輔 専務取締役に就任
-3-
・ワインダー一式設計・製作・据付けに注力
し始め、それらの知識・ノウハウが蓄積さ
れ始めた。
・ワインダー自動化・省力化装置開発
・コアーテーピング、持ち込み
・コアーストッカー+挿入
・テールシール、ダンプバー
・ニップ圧制御コントローラ
・PLCソフト内製化
・トリム風送装置開発(国立大と共同開発)
上記は全て自社開発のオリジナル装置
・ワインダー自動化・省力化・高品質化装置
開発
・自動通紙装置
・NCスリッター
・高速UWオシレート
上記は全て自社開発のオリジナル装置
・永井会長は技術力・営業力・組織管理力
に優れ、技術力を除き継承不十分なまま
2012年11月死去
しかし、創業の精神・経営理念は継承
3.事業概要
(2)事業内容
事業名
(製品・サービス名)
特徴
主要顧客(現状)と
ターゲット顧客
(将来)
売上
比率
①マシンワインダー事業
(一式新設・改造)
事業開始時期1932
年頃
(創業時より)
本格参入は 1972
年頃
・設計・製造・据付け・試運転まで一式
施工可能また広幅・高速機可能
・操業性を配慮した設計
(製紙企業で操業経験のある設計者)
・独自の自動化・省力化・高品質化設計
・海外を含む大手企業への多数の納入
実績
・現状
国内主要大手製紙
企業
・将来
国内中小製紙企業
日系東南アジア製
紙企業
56%
<①当社主力の2ドラムマシンワインダー(左はトリム風送装置)>
②ロール事業
事業開始時期1932
年頃
(創業時より)
・高精度のロール強度計算及び肉厚
測定プログラムによる設計・製造
(自社開発プログラム)
・高速バランシングマシンによる品質
検査(品質検査単独の受注も多数)
・現状
国内主要大手製紙
企業
・将来
国内中小製紙企業
5%
③その他マシンワイン
ダー 周辺事業
事業開始時期1972
年頃
・多くの自社開発自動化・省力化・高品
質化装置技術保有
高速UWオシレート→コアーストッカー
+挿入→コアーテーピング→自動通紙
→NCスリッター→(トリム風送)→ニッ
プ圧制御→PLCソフト内製
・大手企業への多数の納入実績
・現状
国内主要大手製紙
企業
・将来
国内中小製紙企業
日系東南アジア製
紙企業
23%
<②自社開発のセグメントスプレッダーロール>
-4-
<③自社製マシンワインダー制御盤>
3.事業概要
(2)事業内容
事業名
(製品・サービス名)
特徴
主要顧客(現状)とター
ゲット顧客
(将来)
④トリム風送事業
事業開始時期1986
年頃
・高速化対応兼省エネルギー装置
(在阪国立大学との共同開発)
・広い対象トリム(広幅板紙~薄葉
紙)
・設計ソフト保有
・多数の納入実績
・現状
国内主要大手製紙
企業(約半数)
・将来
国内中小製紙企業
売上
比率
7%
<④トリムサイクロン>
<④トリムエジェクターとブロアー>
⑤抄紙機関連事業
事業開始時期1932
年 (創業時より)
・設計・製造経験長い(創業時より)
・現状
国内中小製紙企業
・将来
国内中小製紙企業
3%
⑥修理・メンテナンス
事業
事業開始時期1932
年 (創業時より)
・創業時の主力事業であり、その後一
貫してほぼ主力事業の一つ
・したがって各種ノウハウ豊富
・現状
近隣(当社より100
km圏程度)製紙企
・将来
遠方(当社より200
~300km圏程度)
の製紙企業にも対応
6%
<⑤抄紙機用カンバスクリーナー>
<⑤抄紙機リールパート(輸出用)>
-5-
<⑥パルパーギアーボックス修理>
4.市場環境
(1)製紙会社の状況
① 国内の製紙会社は新素材へ事業を展開
現在、弊社の主要顧客は製紙会社であるため、弊社の主となる市場は製紙産業と密接な関わりが
ある。日本の製紙産業は、デジタルメディアへのシフトなどにより全体として減少傾向にあるものの、今
後しばらくは2,500万トン前後の市場を維持すると予想される。(下図参照)
製紙メーカー各社は、減少傾向にある製紙事業を補うため、未利用材やパルプ材黒液を利用したバ
イオマス発電や工場の未利用地を利用した太陽光発電など、エネルギー事業に参入してきている。ま
た、新素材として注目されているセルロースナノファイバーについて、日本製紙の岩国工場がテストプ
ラントを稼働させるなど、新素材への展開を図っている。
しかし、経営の柱になるほどの大きな事業ではないため、今後は各社海外への展開をさらに強化し
ていくことになると予想される。
② 世界では、北米・アジアで需要が拡大
世界的にも紙・板紙の生産量は減少傾向にある。しかし、収益率が安定している北米のパッケージン
グ市場や、今後の成長が予想されるアジアの段ボール原紙市場など、地域によっては需要が拡大し
ていくことが予想される。
国内製紙メーカーの紙・板紙生産量推移
(トン)
35,000,000
30,000,000
25,000,000
20,000,000
15,000,000
10,000,000
5,000,000
0
2008年
2009年
2010年
2011年
日本製紙
王子マテリア
王子製紙
大王製紙
レンゴー
北越紀州製紙
三菱製紙
丸住製紙
特殊東海製紙
中越パルプ工業 その他
2012年
各社有価証券報告書より
-6-
4.市場環境
(2)製紙会社の設備投資
① 国内製紙会社は一定額の設備投資を維持する見通し
国内製紙会社の設備投資額は減少してはいるものの、年間総額2,000億円前後は継続して投資さ
れるものと予想される。(下図参照)
国内製紙会社は、需要拡大が見込めない中でも継続して利益を出す必要があるため、更なる効率
化が求められると予想される。今後は、各種自動化装置などを主軸として、各製紙メーカーの効率化・
原価低減に寄与するよう提案・受注していく予定である。
② 新設の設備投資では全工程一括発注の傾向が強い
国内製紙工場でのライン増設においては、工程ごとの単品発注ではなく、全工程を一括発注する
ケースが増加しており、VOITHやVALMETなど全工程をカバーできる設備メーカーが受注するケース
が増えている。
③ 海外ではラインの北米・アジアで増設計画が相次いでいる
海外においても、各メーカーが2014~2017年に増設計画を立てていることから、それらの工場への
設備納入の引合いがあれば対応していく予定である。
(百万円)
国内製紙メーカー主要10社の設備投資額
450,000
400,000
350,000
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
王子ホールディングス
日本製紙
レンゴー
大王製紙
リンテック
北越紀州製紙
巴川製紙所
三菱製紙
特種東海製紙
中越パルプ工業
2012年度
日本製紙連合会「紙・板紙統計年報」より
海外工場の増設計画
国名
中国
中国
インド
トルコ
ベトナム
タイ
インドネシア
米国
英国
企業名
Nine Dragons
Nine Dragons
Tamil Nadu Newprint & Paper
Kipas Group
Nine Dragons
Siam Cement Group
Fajar Surya Wisesa
Pratt Industries
Smurfit Kappa
工場
沈陽(遼寧省)
沈陽(遼寧省)
Sri Rangam
Kahramanmaras
Binh Duong県
Banpong
スラバヤ
インディアナ州
Cartiera Cadidavid
-7-
製品名
ホワイトトップライナー
テストライナー
白ライナー
テストライナー
クラフトライナー
古紙系中芯原紙
古紙系中芯原紙
薄物段原紙
軽量古紙系段原紙
年産能力増(t)
300,000
300,000
200,000
350,000
350,000
30,000
350,000
360,000
250,000
稼働時期
2014年央
2016年末
2016年3月
2015年末
2016年
2014年4Q
2015年初
2015年7月
2014年4Q
5.これまでの事業展開
期間
創業期
戦略・方針
取組み・投資
成果・課題
・顧客のあらゆるニー
ズに対応
・品質・納期の厳守
・製紙機械(主に調成
関係)の開発
・工場新設(現在位置)
・期初は競合少なく、売上・利益と
も順調に増大
技術・ノウハウも蓄積
・期終盤は競合増え、収益力低下
(1938年
~
1972年)
<創業期に注力していた調成機械>
・マシンワインダー本
体及び周辺装置の
開発
・各種工作機械(マシニ
ングセンター、旋盤、
フライス、ボーリング
等)新設及び更新
・収益力回復のため、WDに特化。
高速化・自動化等の技術・ノウ
ハウも蓄積
・期終盤は大手競合が採算度外
視でWDに参入し、収益力低下
成長期
(1972年
~
1993年)
<成長期・転換期iを主導した二代目社長 故永井隆>
・マシンワインダー本
体及び周辺装置の
開発
・製紙機械の大型化・
高精度化に対応
・工場建替え(製紙機械
の大型化・高精度化
に対応のため)
・各種検査・測定装置
(バランシングマシン
等)新設
・大手競合がWDから撤退し、過
当競争は解消
・しかし、製紙業界が構造不況に
陥り、設備投資激減
顧客ニーズ把握・新規顧客開拓
が課題
転換期
(1993年
~
2014)
<建替えられた新工場における大型・高精度ワインダーの仮組状況>
-8-
6.自社の強み・優位性(知的資産)
当社は1938年の創業以来約75年間、一貫して製紙機械の新規製造・改造・メンテナンス等に携
わってきました。その間に蓄積されました知的資産は、マシンワインダー関係を主に、以下の6項目
あります。
(1)製紙ワインダー(WD)に精通した人材がいる。(人的資産)
(2)WD一式設計・製作・据付け・立上げの技術・ノウハウ蓄積されている。(構造資産)
(3)WD自動化・高品質化技術・ノウハウ蓄積されている。(自動コア挿入・テープ貼、自動通紙、
ニップ圧制御、巻取り自動排出、NCスリッタ等)(構造資産)
(4)WD関連技術・ノウハウ蓄積されている。(高精度ロール、トリム風送、制御ソフト、
振動分析等)(構造資産)
(5)大手製紙メーカーへの納入実績多く、顧客信頼度は高い。(関係資産)
(6)社内で試運転できるスペース・設備有り。(物的資産
以下これらについて順次詳述します。
また、知的資産の3分類について下部に記載します。
(1)製紙ワインダー(WD)に精通した人材がいる。(人的資産)
設計責任者は、製紙企業での勤務経験があり、ワ
インダー・調成・動力等の操業実務に携わっていた。
そのため現場操業性を反映した設計がなされてきた。
その責任者の指導の下、設計者は常にマシンの
立ち上げに責任者として現地工事を管理し、試運転
ならびに営業運転に立会い基本設計へフィードバッ
クを繰り返している。
また、他社製マシンの改造を多数手掛けることで
応用力が磨かれてきた。
<精通した人材豊富な設計陣>
(2)WD一式設計・製作・据付け・立上げの技術・ノウハウ蓄積されている。
(構造資産)
設計基準、製作基準は基準書、標準書として蓄積し
ている。
また豊富な納入実績において、ほとんどが据付け・
試運転込であり、それらについても多くのノウハウが
蓄積されている。
立ち上げのスムーズさはチームの経験的Q&Aの量
によってほぼ決まるので構造資産として今後も継承し
<大手製紙会社向けのテールシール装置2セット:上左>
<同じくテールシール装置とダンプバー:上右> ていかなければならないと肝に銘じている。
人的資産
知
的
資
産
の
3
分
類
従業員が退職時に一緒に持ち出す資産
例) イノベーション能力、想像力、ノウハウ、経験、柔軟性、学習能力、モチベーション等
構造資産
従業員の退職時に企業内に残留する資産
例) 組織の柔軟性、データベース、文化、システム、手続き、文書サービス等
関係資産
企業の対外的関係に付随したすべての資産
例) イメージ、顧客ロイヤリティ、顧客満足度、供給業者との関係、金融機関への交渉力等
-9-
6.自社の強み・優位性(知的資産)
(3)WD自動化・高品質化技術・ノウハウ蓄積されている。
(自動コア挿入・テープ貼、自動通紙、ニップ圧制御、NCスリッタ、
巻取り自動排出等)(構造資産)
長年の自動化、省力化、高速化、増産、巻き取り品質向上等の開発と改良がノウハウとして蓄積
されてきた。下記に掲載の写真・図表類は全て自社製装置・図面・テストデータである。
<コアテープ貼装置> <自動通紙装置><ニップ圧制御油圧カーブ>
<NCスリッター> <巻取り自動排出装置>
(4)WD関連技術・ノウハウ蓄積されている。(高精度ロール、トリム風送、
CADデータ,制御ソフト等)(構造資産)
ロール強度計算、トリム風送、WD動力計算、ロールバランス修正等のオリジナル解析ソフト、
2次元、3次元CAD、PLC制御プログラム等が開発され蓄積されている。
特に国立大学と共同開発したトリム風送については、外国に技術指導に出かける等完成度が高く、
他社の追随を許さないと自負している。
<ロール3次元解析図>
<トリム風送設計ソフト>
<トリムエジェクター> <WD運転状況トレンドグラフ>
(5)大手製紙メーカーへの納入実績多く、顧客信頼度は高い。(関係資産)
主な納入実績(1984年1月~2013年12月)
レンゴーG
35台
日本製紙G
44台
王子製紙G
19台
レンゴーG殿、日本製紙G殿、王子製紙G殿、中越パル
プ殿、北越紀州G殿、大王製紙G殿等へのワインダー
の納入実績は多い。主な納入実績は左表の通り。
また、同業大手マシンメーカー(MHI、SHI、IHI、VOITH、
METSO)へのOEMマシンも手掛けてきた。
リピート設備も数多く信頼度がうかがえる。
(6)社内で試運転できるスペース・設備有り。
(物的資産)
工場建屋仕様は、下記に示すように、かなり大型の装置でも仮組・試運
転できるスペース・設備を保有している。
建屋面積 : 1,420 ㎡
建屋ビルドアップ高さ :15 m
天井クレーン容量
:30 T
ソールプレート耐荷重 :1000 T/1300 ㎡
<右の写真は社内で組み立て中のスーパーキャレンダー(総高さ約9m>
-10-
7.これからの事業展開
(1)クロスSWOT分析
<クロスSWOT分析より導き出される戦略Ⅰ~Ⅳ>
【 クロスSWOT分析 】
≪強 み≫
内部環境
外部環境
≪
機
≫
会
≪
脅
威
【マクロ環境】
㋑円安傾向(輸出採算向上。但し輸
入原材料の価格上昇)
㋺日本製品に対する海外評価高い
㋩国内人口減少傾向(省人化ニー
ズ高い)
【ミクロ環境】
㋥紙業界は縮小はあっても生き残
る 業界
㋭国内では旧式のWD多数稼動中
(推測。潜在的改造ニーズある筈)
㋬国内のWDメーカー減少
㋣顧客窓口の省人化が進み、発注
先に任せる傾向
≫
【マクロ環境】
㋑低成長時代
㋺強者集中、大企業のみ生き残る。
【ミクロ環境】
㋩国内紙消費量減少傾向
㊁国内製紙企業の設備投資減少
㋭仕事量の季節的集中傾向
㋬VALMET・VOITHの巨人化・独占化
(ただしWD改造等は標準化され
てなくかつ高価)
㋣アジアメーカーによる価格破壊
(ただし技術はそれほど高くない
と思われる)
≪弱 み≫
【人的資産】
①マシンワインダー(WD)設計能力の高い人材がいる。
(WD操業経験のある設計者、WD設計経験豊富な設
計者等)
②現地工事・試運転等におけるトラブル対応できる人材
がいる。(100装置位の試運転・トラブル対応実績あ
り)
③現地工事の立ち上げの速さ・確実性・対応の良さ等
顧客評価も高い(構造資産でもある)
【構造資産】
④設計図・制御図等多数保有
⑤WD一式設計・製作・据付け・立上げの技術・ノウハ
ウ蓄積されている。
⑥WD自動化・高品質化技術・ノウハウ蓄積されてい
る。(自動コア挿入・テープ貼、自動通紙、ニップ圧
制御、巻取り自動排出等)
⑦WD関連技術・ノウハウ蓄積されている。(高精度
ロール、NCスリッタ、トリム風送、制御ソフト等)
⑧抄紙機設計・製作技術も保有(経験豊富)
⑨抄紙設備全般の修理技術保有(経験豊富)
⑩出図・納期等確実
⑪独創的開発力の裏付けとして、4件の特許取得
【人的資産】
①若手人材少ない。高齢者多い。
②営業要員少ない(1名だけ)
③チャレンジする人材不足
④前会長人脈承継不十分
【関係資産】
⑫大手製紙メーカーへの納入実績多く、顧客信頼度は
高い。
⑬小回りの利くWDメーカーとしての認知度高い
⑭多数の仕入れ・外注製作・据え付け業者との取引実
績があり、信頼関係構築
【その他】・・・有形資産等
⑮自社内で試運転できるスペース・設備有
【関係資産】
⑨顧客が製紙業界100%と偏っている。
強みを活かし、機会をものにする戦略(方法)・戦略Ⅰ
【短期(現在~3から5年後位)】
①現役WDの実情を調査し弱点を補う提案型営業を展開
(国内旧式WDに対する省人化・高品質化・省エネ化
ニーズに対し、蓄積された自社のそれらの技術を
活用して応える)
((強み①~⑦、⑩~⑮)×(機会㋭~㋣))
②WD以外の製紙機械において、客先の問題を調査し、
自社技術を活用して、提案、施工、立ち上げまで
すべてをこなすことにより客先負担ゼロを目指す。
((強み②~⑮)×(機会㋥、㋣))
【中期(3から5年後位~)】
③技術を活かし技術指導、エンジニアリング事業拡充
((強み①~⑪)×(機会㋥、㋣))
強みを活かし、脅威の影響を受けないようにする
戦略(方法)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦略Ⅱ
【短期から中・長期まで】
①品質を落とさずかつ低価格競争には参入しない。
((機会⑥、⑦)×(脅威㋣))
-11-
【構造資産】
⑤東南アジアの新興メーカーに対して
コスト競争力がな
⑥輸出は商社等第三者に依存
⑦顧客ニーズ把握力不十分(→開発
シーズ不明確)
⑧情報発信力不十分(自社の強みを要
領よくまとめ、市場・顧客への発信
が不十分。そのための営業ツールも
不十分)
【その他】・・・有形資産等
弱みを克服し、機会を逃さないように
する戦略(方法)・・・・・・・・・・・戦略Ⅲ
【中期(3から5年後位~)】
①トータルWD改造ノウハウを蓄積・マニュ
アル化し(左記戦略Ⅰの①により)、日
本資本系海外製紙工場アプローチ
レンゴー、王子、北越、日本等各社対象
((弱み⑤,⑥)×(機会㋑、㋺))
弱みを克服し、脅威の影響を受けない
ようにする戦略(方法)・・・・・・・戦略Ⅳ
7.これからの事業展開
(2)将来の経営戦略
①将来の経営方針・経営戦略
経営理念・経営者の想い及び前頁の経営戦略を総合して、将来の経営戦略を次のようにする。
経営理念
常に誠実な心を持ち、
新しい価値を創造・提供することで、
お客様にとって欠くことのできないパートナーになることを目指す。
SWOT分析
よりの経営戦略
社長の想い
・既存・新規のお客様に対し、まずは
当社が業績向上に貢献できるメニュー
【将来の経営方針】
を豊富に取り揃えていることを知って頂き
【将来の経営戦略】
たい。ワインダーに限定せず、当社技術・実
績を周辺分野・類似分野にも応用できるものが
あれば積極的に提案して行きたい。
・製紙以外のシート業界等に対し、
「省力化提案」の切り口で展開したい。
・技術を活かし、提案型営業を展開し、
ワインダー及び製紙機械全般の新規顧客
開拓
・技術と経験を活かしエンジニアリング事業拡充
・品質は落とさず且つ低価格競争には参入しない
・ワインダー技術を活かし、日系海外製紙工場に
アプローチ
経 営 方 針
経 営 戦 略
【短期】既存技術を活用し既存事業領域
の深堀
(イ)ワインダーに関する自動化・省人化の顧客ニーズに既存技術を活用し応える
【中期】既存技術+技術改良で事業領域
の拡大
(ロ)ワインダー以外の製紙設備に関する自動化・省人化等の顧客ニーズに
既存技術+技術改良で応える
【長期】既存技術+技術開発で他業界
への展開及びソフト事業展開
(ハ)製紙以外のシート業界等の顧客ニーズに既存技術+技術開発で応える
(二)技術指導・エンジニアリング事業等のソフト事業の展開
【短期~長期迄】品質重視&提案重視
(ホ)品質を落とさずかつ低価格競争には参入しない
(へ)顧客の設備・操業の診断から改善案の提案・施工・フォローまでのトータル・一貫施工
③ 重要成功要因を達成するために
獲得・補強すべき主な知的資産
②将来の経営戦略を実現するための
重要成功要因
◆顧客ニーズの把握
◆営業力強化
◆技術改良・開発
◆新規顧客開拓
→
→
→
→
◆ 人脈の形成、(営業力強化)、
◆営業増員(技術の解る)、営業ツールの作成
◆人材育成または採用、他社との連携
◆人脈の形成(異業種交流等)、(顧客ニーズの把握)、
(営業力強化)、(技術改良・開発)
“重要成功要因”とは、経営戦略を達成する上で重要な影響を与える 要因のことで、重点管理項目と言えます。
(3)KPI(重要業績評価指標):将来の経営目標を達成するためのKPI
KPI
売上高
現状(2013年8月期)
将来(2016年8月期)
1(基準値)とする
1.5
国内大手:100%
国内大手:70%
国内中小:20%
海外企業:10%
進捗度:20%
進捗度:100%
事業(売上)比率
提案営業マニュアルの作成
-12-
8.知的資産活用マップと価値創造ストーリー
(1)知的資産活用マップ(将来の経営戦略を達成するための)
<人的資産>
<構造資産>
<関係資産>
異業種交流会
での人脈形成
【重要成功要因】
(①~④)
①顧客ニーズ
の把握
【将来の経営方針】
【将来の経営戦略】
提案営業
マニュアルの作成
②営業力
強化
営業要員の増員
商社系
+
異業種との連携
若手技術者の
育成
技術系
設計・運転調整等
の優れた人材
+
+
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改
良
で
応
え
る
③技術
改良・開発
WD及びWD関連
技術・ノウハウ蓄積
+
特許4件取得
(うち2件は消滅)
顧客信頼度高い
④新規顧客の
開拓
小回りの利くWD
メーカーとしての
認知度高い
品質・コスト改善
(顧客提供価値)
現在保有する
知的資産を示す
将来獲得すべき
知的資産を示す
-13-
現在保有する知的資産を強化するとともに、不足す
る知的資産を補充し、それらを連携させ経営戦略達
成に結びつける。
8.知的資産活用マップと価値創造ストーリー
(2)価値創造ストーリー
過 去
将 来
現 在
【過去~現在のストーリー】
(1938年~2014年9月)
知的資産の状況
人的資産
(ヒト)
構造資産
(組織・仕組み)
関係資産
(顧客・自社外)
【現在~将来のストーリー】
(2014年10月~)
知的資産の獲得・補強目標
・マシンワインダー(WD)の設計能力
の高い人材がいる
・現地試運転時等においてトラブル対
応できる人材がいる
人的資産
(ヒト)
・設計図・制御図等多数保有
・WD一式設計・製作・据付け・立上げ
の技術・ノウハウ保有
・WD及びWD関連技術・ノウハウ蓄
積(特許も4件取得)
・抄紙設備全般の設計・製作・修理技
術も保有
構造資産
(組織・仕組み)
・大手製紙メーカーへの納入実績多く
顧客信頼度高い。リピート受注も多
い。
・小回りの利くWDメーカーとしての認
知度高い
・信頼関係の構築された多数の仕入
れ・外注企業の存在
関係資産
(顧客・自社外)
その他資産
・自社内で仮組・試運転できるスペー
ス・設備の保有
その他資産
製品・サービス
・マシンWD一式新設・改造
・マシンWD関連装置製作
・抄紙機関連装置製作
・修理・メンテナンス
製品・サービス
<取り組みの成果>
・営業要員の増員(3年後までに2名)
・若手技術者の育成(3年後までに2
名)
・提案営業マニュアル作成(1年後ま
でに)
・異業種他社との連携
技術系:3年後までに2社
商社系:3年後までに2社
・異業種交流会への参加(1年後まで
に3会)
左記に加えて
・WD及び製紙設備の現地診断・
改善提案・施工・フォロー
<取り組みの目標値>
・多くのWD関連技術・ノウハウ蓄積
・多数の顧客より信頼獲得
・提案営業ノウハウの習得と提案営業展開
・ソフト事業の展開
・製紙設備及びシート業界設備関連技術の習得と
それらの業界への事業展開
左側が現在保有する知的資産で、それらを活用して提供してきた製品・サービスとその成果を示しています。
右側は将来獲得・補強したい知的資産で、それらを活用・連携(既存知的資産と)させて提供したい製品・サービスとその成果として達
成したい目標値を示しています。
-14-
9.会社概要
会社名
永井鉄工株式会社
創立
1938年 創業
1956年 法人化
会社所在地
住所:〒660-0811
兵庫県尼崎市常光寺1丁目8番50号
TEL: 06-6401-4171(代表)
FAX: 06-6401-3100
メールアドレス:[email protected]
代表取締役
永井 久雄
資本金
1,000万円
従業員
30名
事業内容
製紙用機械の設計製作
ワインダー/スーパーカレンダー/リール他抄紙機
製紙用高速ロール設計製作
省力化装置の設計製作
耳紙風送装置、トリムサイクロン
動バランス試験/動振幅測定/振動分析
製紙関連機械その他の設計、製作、組立
制御システムの設計、製作、ソフウェア開発
ホームページ
http//:www.nagai-t.co.jp
<「ナビタイム」より転載>
<会 社 M A P>
-15-
JR尼崎駅より1km 徒歩10分
阪神杭瀬駅より1.5km 徒歩15分
10.あとがき
(1)知的資産経営とは
知的資産経営とは、従来バランスシートに記載されている資産以外の無形の資産であり、 企業におけ
る競争力の源泉である人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客との
ネットワークなど、財務諸表には表れてこない、目に見えにくい経営資源の総称を意味します。よって、
「知的資産経営報告書」とは、目に見えにくい経営資源、即ち非財務情報を、債権者、株主、顧客、従業
員といったステークホルダー(利害関係者)に対し、「知的資産」を活用した企業価値向上に向けた活動
(価値創造戦略)と して目に見える形でわかりやすく伝え、企業の将来性に関する認識の共有化を図る
ことを目的に作成する書類です。経済産業省から平成17年10月に「知的資産経営の開示ガイドライン」
が公表されており、本報告書は原則としてこれに準拠しています。
(2)注意事項
本知的資産経営報告書に掲載しました将来の経営戦略及び事業計画ならびに付帯する事業見込みな
どは、全て現在入手可能な情報をもとに、当社の判断にて掲載しています。
そのため、将来にわたり当社の取り巻く経営環境(内部環境及び外部環境)の変化によって、これらの記
載内容などを変更すべき必要が生じることもあり、その際には本報告書の内容が将来実施又は実現す
る内容と異なる可能性もあります。よって、本報告書に掲載した内容や数値などを、当社が将来に亘って
保証するものではないことを、十分にご了承願います。
(3)作成者
代表取締役 永井 久雄
(4)作成支援
当報告書は次の団体・個人により作成支援されています。
●中小企業支援地域プラットホーム:近畿中小企業専門家相談センター
(代表機関:(株)エフアンドエム)
●中小企業診断士 : 菊田 倶光、
登録 : 中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業登録派遣専門家
●中小企業診断士 : 中島 篤
登録 : 中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業登録派遣専門家
(5)お問い合わせ先
専務取締役 荒濵 亮輔
TEL: 06-6401-4171(代表)
FAX: 06-6401-3100
(6)発行
2014年9月
<専務取締役 荒濵 亮輔>
-16-
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