建設構造設計製図 その 5 iγ ∫ c1 c2 c1 c2

建設構造設計製図 その 5
5.5 鋼材腐食に対する耐久性の照査
・鋼材腐食に対する耐久性:
供用期間中に塩化物イオンの侵入,および中性化の進行によって鋼材腐食が生じないこ
と.
(1)塩化物イオンの侵入による鋼材腐食に対する耐久性
供用期間 t 中における鋼材位置の塩化物イオン濃度の設計値(予測値)Cd が鋼材腐食発
生限界濃度 Clim 以下であることを確認する.
i
Cd
 1 .0
Clim
ここに,
i:構造物係数.一般に 1.0 としてよい.
Clim:鋼材腐食発生限界濃度.一般に 1.2(kg/m3)としてよい.
Cd:鋼材位置における塩化物イオン濃度の設計値(kg/m3).
鋼材位置の塩化物イオン濃度設計値 Cd は次式から求めることができる.コンクリート梁
の場合,下縁隅角部は下面と側面から塩化物イオンが侵入し濃度が高くなる.本来 2 次元
で解析するところを計算が簡便になるため 1 次元で計算する.

 0 .1 c
C d   cl  C o  1  erf 
2 D t

d






ここに,
cl:鋼材位置における塩化物イオンのばらつきを考慮した安全係数.一般に 1.3 と
してよい.
Co:コンクリート表面の塩化物イオン濃度(kg/m3)←標準示方書[施工編]参照
c:かぶりの期待値(mm)
コンクリート表面から引張鉄筋表面までの距離で下面
と側面で小さいほうを採用する.
Dd:塩化物イオンの設計拡散係数(cm2/year)
t :構造物の供用期間(year)
erf (x):誤差関数
erf ( x ) 
2

2
x t
 0 e dt
c2
誤差関数は近似式で計算してよい.
erf ( x )  1 
1
c1
2
(1  C1 x  C2 x  C3 x 3  C4 x 4 )4
C1  0.278393 ,
C2  0.230389 ,
C3  0.000972 ,
C4  0.078108 ,
図-1
-1-
引張鉄筋
引張鉄筋のかぶり
塩化物イオンの設計拡散係数 Dd は曲げひび割れ幅を考慮して次式により評価してよい.
2
 w w 
  Do
Dd   c  Dk    
 l   wa 
ここに,
c:コンクリートの材料係数.一般に 1.1 としてよい.コンクリートの上面などブ
リーディングの影響を受ける範囲では 1.3 とする.
Dk:コンクリート中の塩化物イオンの拡散係数の特性値(cm2/year)
Do:ひび割れを含むコンクリート中の塩化物イオンの拡散係数(cm2/year).
一般に 200(cm2/year)としてよい.
w:ひび割れ幅(mm)
l:ひび割れ間隔(mm)
←5.3 使用性の照査で計算済み.
←5.3 使用性の照査で計算済み.
w a:許容ひび割れ幅(mm)
wa = 0.004 c としてよい.
(2)中性化の進行による鋼材腐食に対する耐久性
供用期間 t 中に進行する中性化深さの設計値(予測値) yd が鋼材腐食発生限界深さ ylim
以下であることを確認する.
i
yd
 1 .0
ylim
ここに,
i:構造物係数.一般に 1.0.
大気中の二酸化炭素などの影響によってコンクリ
ート中の pH が低下し,これが鋼材位置まで進行す
かぶり c
中性化深さ yd
ると鋼材腐食が生じやすくなる.既往の調査,研究
から,腐食性環境で中性化が進行した場合,中性化
深さが鋼材位置に達していなくとも鋼材腐食が生じ
中性化残り ck
ることが明らかにされている.このような成果に基
づき,鋼材腐食発生限界深さ ylim は鋼材近傍の中性
限界深さ ylim
化残り ck を導入して次式から求める.
図-2
y lim  c  c k
鋼材腐食発生限界深さ
ここに,
c:かぶりの期待値(mm).
ck:中性化残り(mm).一般の環境では 10mm,腐食性環境では 20mm.
-2-
中性化深さの設計値 yd は次式で求めてよい.
y d   cb  d
t
ここに,
cb:中性化深さのばらつきを考慮した安全係数.一般に 1.15 としてよい.
d:中性化速度係数の設計値( mm / year ).
t :構造物の耐用期間(year)
中性化速度係数の設計値αd は構造物の環境条件を考慮した次式から求める.
d   e   c   k
ここに,
e:構造物の環境条件を表わす係数.一般に乾燥しにくい北向きの面では 1.0,乾燥
しやすい,南向きの面では 1.6.今回の条件,梁の下縁付近は,降雨の影響を
受けにくいため比較的乾燥しているが,日射の影響も受けにくいため湿度は高
い.そこで今回は 1.3 として計算を進める.
c:コンクリートの材料係数.一般に 1.0 としてよい.コンクリートの上面などブ
リーディングの影響を受ける範囲では 1.3 とする.
k:コンクリートの中性化速度係数の特性値( mm / year ).
○参考
表面塩化物イオン濃度 Co (kg/m3)
飛沫帯
13.0
海岸からの距離 (km)
汀線付近
0.1
0.25
0.5
1.0
9.0
4.5
3.0
2.0
1.5
-3-