ノンカットコアを使用した高周波トランス (PDF: )

新製品紹介
ノンカットコアを使用した高周波トランス
High Frequency Transformer Designed with Noncut Core
Noncut transformer :FINEMET® NC Series
中容量太陽光インバータをはじめ
まで FM もカットコアの形態で高周
に FM ノンカットコア,FM カット
とした代替エネルギー用パワーコン
波トランスに利用されてきたが,切
コア,当社フェライト ML33D の磁
トローラーは小型軽量化,設置の簡
断に伴う損失増加により動作磁束密
束密度(Bm)とコアロス(Pcv)の関
素化の観点より商用周波数の絶縁
度が制限されるため,材料特性を活
係を示す。一定のコアロスを設計上
ト ラ ン ス を 外 付 け す る 方 式 か ら,
かすことができず,小型軽量化には
限 と し て 想 定 し た と き FM ノ ン
パワーコントローラーに内蔵した高
限界があった。
カットコアはフェライトの 2.5 倍,
周波トランスで絶縁する方式への指
日立金属は小型軽量化が可能な新
FM カットコアの 1.5 倍の動作磁束
向が高まっている。これらの高周波
構造の高周波トランス「 ノンカット
密度を許容できる。表 1 に先述の
トランスは周波数 10 kHz 以上,容量
シリーズ」を開発した。開発したト
各コアの磁気特性および 20 kHz 10
10 kW 以上の大容量トランスであ
ランスの外観を図 1(a)に示す。開
kW トランスの比較を示す。比較例
り小型軽量化が望まれている。日立
発品は新巻線構造を導入し,切断の
において FM ノンカットトランスは
®
金属の FINEMET ( 以下 FM)は
ない FM コア(FM ノンカットコア)
フェライト,FM カットコアトラン
高飽和磁束密度と低損失を併せ持
を使用可能とすることで,コアロス
スより高い磁束密度動作が許容で
ち,小型軽量な高周波トランスに適
の増加を抑え,動作磁束密度を高め,
き,フェライトに対し 20 % 小型化,
した磁性材料である。しかし,従来
小型軽量化を実現したものである。
フェライト,FM カットコアに対し
の巻線工法ではノンカットコアへの
図 1(b)にカットコア,図 1(c)に
40 % 軽量化できる。
巻線が困難であったことから,これ
ノンカットコアの外観を示す。図 2
(a)
(b)
( 磁性材料カンパニー)
1,000
FINEMET® cut core
Pcv (kW/m3)
100
20 mm
(c)
Mn-Zn ferrite core
ML33D
FINEMET® noncut core
10
f=20 kHz
23℃
1
100
20 mm
®
図 1 (a)ファインメット ノンカットトランス 20 kHz 5 kW
(b)カットコア (c)ノンカットコア
®
Fig. 1 (a) FINEMET noncut transformer 20 kHz 5 kW
(b) cut core (c) noncut core
1,000
Bm (mT)
20 mm
図 2 磁束密度(Bm)とコアロス(Pcv)の関係
Fig. 2 Relation between flux density (Bm) and core loss (Pcv)
表 1 磁気特性および 20 kHz10 kWトランスでの比較
Table 1 Comparison as magnetic characteristics and 20 kHz 10 kW transformer
Magnetic characteristics
Material
μr
at
20 kHz
FINEMET® noncut core
Mn-Zn ferrite core ML33D
®
FINEMET cut core
20 kHz 10 kW transformer
Bs
(T)
Pcv*1
(kW/m 3)
22,000
1.23
10.9
∼0
3,500
0.53
67.8
−0.6
10,000
1.23
27.0
∼0
570
λs
(ppm)
Bm
(T)
Volume
(CC)
Weight
(kg)
Loss
(W)
570
0.60
583
1.09
23.2
230
0.23
712
1.78
26.6
0.28
633
1.79
26.5
Tc
(℃)
*1 f=20 kHz Bm=0.2 T
日立金属技報 Vol. 31(2015) 51