(1)紋別港 第3ふ頭地区 国際物流ターミナル整備事業

資料2-3(1)
もんべつこう
だい
と う ち
く
紋別港 第3ふ頭地区
国際物流ターミナル整備事業
事後評価結果準備書説明資料
平成 26 年度
北海道開発局
目
次
1.事業の概要 …………………………………………… 1
(1)事業の目的 ……………………………………… 1
(2)事業の経緯 ……………………………………… 3
(3)事業の概要 ……………………………………… 4
2.事業効果等の確認
………………………………… 5
(1)費用対効果分析の算定基礎
となった要因の変化 ……………… 5
(2)事業効果の発現状況 …………………………
7
(3)事業実施による環境の変化 ………………… 12
(4)社会経済情勢の変化 ………………………… 12
(5)費用対効果の算定結果 ……………………… 12
3.今後の事業評価の必要性等 ……………………… 13
(1)今後の事業評価及び改善措置の必要性 …… 13
(2)同種事業の計画・調査のあり方や
事業評価手法の見直しの必要性…………13
1.事業の概要
(1)事業の目的
○港の概要
紋別港は、オホーツク海沿岸側に位置し、紋別市が管理する
重要港湾です。
本港は、外貿では石炭や水産品、内貿ではセメントや石油類
等を取扱っており、遠網地区や上川北部などの産業活動を支え
る物流拠点、沖合・沿岸漁業の基地として、重要な役割を担っ
ています。
紋別港全景
紋別港
第3ふ頭
第1ふ頭
第 2 ふ頭
<平成22年11月撮影>
-紋別港第 3 ふ頭地区 1 -
○事業の目的
事業名 紋別港第3ふ頭地区国際物流ターミナル整備事業
大水深岸壁や防波堤の整備により、大型貨物船の利
目
的
用による物流コストを削減するとともに、本港沖合
を航行する貨物船の避難に必要な避泊水域の確保
や静穏度の向上を図る。
紋別港では、背後圏で必要な原材料を取扱っておりますが、
大型船に対応した大水深岸壁が整備されておらず、非効率な
輸送形態を強いられていました。
また、本港の周辺では沖合を航行する貨物船の避泊に必要
な避泊水域が不足しているため、荒天時における船舶の安全
な避泊水域の確保が求められていました。
本事業では、こうした問題に対処するため、第3ふ頭地区
において国際物流ターミナルを整備するもので、物流の効率
化及び海難事故の減少の実現を目的として実施しました。
-紋別港第 3 ふ頭地区 2 -
(2)事業の経緯
平成8年度
事業採択
現地着工
平成14年度
岸壁(-12m)供用開始
平成17年度
再評価の実施
平成21年度
整備事業の完了
平成22年度
国際物流ターミナル供用開始
平成26年度
事後評価の実施
-紋別港第 3 ふ頭地区 3 -
(3)事業の概要
○総事業費
316億円
○整備期間
平成8年度~平成21年度
-紋別港第 3 ふ頭地区 4 -
2.事業効果等の確認
(1)費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化
① 投資額(事業費)
(単位:億円)
事業費
前回評価
実績
差分
(A)
(B)
(B)-(A)
318
316
-2
増減の主な理由
再生材利用等のコスト縮
減策による。
② コスト縮減結果
第 3 ふ頭道路や道路(港南)の整備時、石炭灰といった建設資材の
再生材利用等によりコスト縮減を図りました。
コスト縮減額
約206百万円
-紋別港第 3 ふ頭地区 5 -
③ 事業期間
前回評価
実績
H8~H22
H8~H21
事業期間
増減の主な理由
現場状況により早期施工が可
能となったため
④ 定量的効果に用いた指標の変化
定量的効果に用いた指標
前回評価
(H17 再評価)
185 千トン/年
取扱貨物量
(平成 23 年)
避泊回数
今回評価
備考
161 千トン/年
社会情勢の変化
(平成 26 年) (詳細は下記)
1隻
2隻
4.1 回/年
6.6 回/年
沖合を航行する船舶の実績
を踏まえた避泊船の船型や
避泊隻数の見直しによる
取扱貨物量変化に関する社会情勢の変化
(単位;千トン/年)
品目
石炭
前回評価
今回評価
95
83
情勢変化
企業の調達ルートの変更と新たな企業進出があった
ため。
石材
-
28
本事業整備により新たな利用実績があったため。
ヤシ殻
-
50
本事業整備により新たな企業進出があったため。
化学肥料
22
-
原料価格の高騰等により、需要が増加しなかったた
め。
貝殻
12
-
ロシアの輸出規制に伴い、第 2 埠頭を利用する水産品
を積んだロシア船の入港減により、第 2 埠頭から第 3
埠頭へのシフトが進まなかったため。
飼料
56
-
世界的需要増大による飼料価格の高騰により、需要が
増加しなかったため。
-紋別港第 3 ふ頭地区 6 -
(2)事業効果の発現状況
本事業により、船舶の大型化に対応し、物流の効率化を図る
とともに、荒天時における船舶の避難水域の確保等に寄与して
いるものと考えられます。
整
備
効
果
○ 輸送コスト削減と地域産業の安定化に貢献しました。
○ 港内における安全性向上が図られました。
○ 港内の物流や水産業活動の利用効率化が図られました。
○ 企業進出に伴う地域の活性化に寄与しました。
(下線は、定量的効果)
整備後:港内第 3 ふ頭における石炭荷役状況
<平成 26 年 7 月撮影>
-紋別港第 3 ふ頭地区 7 -
輸送コスト削減と地域産業の安定化に貢献しました。
紋別港背後に位置する製紙工場では、原燃料の石炭を留萌港
に輸入し、トラックにより陸上輸送を行っていました。しかし、
工場まで相応な距離(112km)があり、また、高低差のある山
間部を通るため、特に冬季走行時の安全確保に難がありました。
本事業による大型船に対応した岸壁整備により、紋別港での
石炭の取扱いが可能になったことで、工場までの陸上輸送距離
が短くなり、輸送コストが削減され、製紙業界の価格競争等の
厳しい情勢下で効率的な工場経営に貢献しました。
整備前
輸送距離
112km
整備後
輸送距離
95km
製紙工場
(名寄市)
製紙工場
(名寄市)
紋別港
留萌港
輸送コストの削減
輸送コストの増大
製紙工場への輸送時間とコスト
3:00
3,500
■輸送時間
■コスト
2:30
3,200
2:00
1:30
2,900
1:00
1 時間の短縮
400 円/t の縮減
0:30
0:00
2,300
留萌港より
整備後:港内第 3 ふ頭における石炭荷役状況
<平成 26 年 7 月撮影>
2,600
紋別港より
利用者の声
紋別からは夏冬差は無いが、留萌からは、
冬期には山間部を通過するため 30 分程度
余計にかかる。
-紋別港第 3 ふ頭地区 8 -
港内における安全性向上が図られました。
港内では静穏度の不足により、うねりの発生が顕著になる等、
荒天時には安全性が十分確保されていない状況にありました。
よって、係留船舶は一時離岸による待避を強いられたり(年平
均 3 回程度)
、係留船舶の動揺により係留ロープが切断される
といった被害も度々発生(年平均 7 本程度)しておりました。
本事業により、港内の静穏度が確保され、安全な係留及び避
泊が可能となりました。
整備前
整備後
防波堤の整備により
港内及び港口の静穏度向上
港内及び港口の静穏度
不足により避泊が困難
整備前
避泊不可
避泊可能
荒天時の港内状況
(岸壁前面でも波浪が発生)
荒天時の港内状況
(港内の静穏度が向上)
<平成 17 年 11 月撮影>
<平成 22 年 12 月撮影>
-紋別港第 3 ふ頭地区 9 -
港内の物流や水産業活動の利用効率化が図られました。
本港では、背後圏の産業活動を支える物流拠点の他、ホタテ
桁網、沖合底曳網漁船等を主体とした漁業基地としての役割も
果たしています。また、ロシア船の入港も多いことから、本事
業の実施前は、地元漁船、ロシア船、一般貨物船が輻輳してお
り、荷役効率の低下等、港湾の管理運営上に支障をきたしてお
りました。
本事業の第 3 ふ頭の整備により、主に第 3 ふ頭は貨物船、第
2 ふ頭はロシア船および漁船という棲み分けが図られ、その結
果、滞船や輻輳が解消されることで、安全で効率的な港内利用
が可能となりました。
ロシア船
一般貨物船
ロシア船
一般貨物船
整備前:第 2 埠頭における木材船・ロシア水産船等混雑状況
<平成 15 年 4 月撮影>
-紋別港第 3 ふ頭地区 10 -
企業進出に伴う地域の活性化に寄与しました。
平成 25 年 10 月に紋別港第 3 ふ頭地区内にバイオマス発電所
の建設が決まりました。発電規模は、5 万 kw でバイオマス発電
所としては国内最大規模となり、平成 28 年 12 月に営業運転を
開始する予定となっております。
(総投資額は 150 億円)
この建設により、オホーツク圏への経済波及効果は、建設中
が年間 69 億円、建設後は年間 39 億円との試算結果となってお
り、地域の活性化に寄与しています。
【発電所の概要】
・出力 50MW(50,000kw)(約 65,000 世帯分)
・主燃料 地域の未利用間伐材等 約 22 万トン/年
ヤシ殻(輸入) 約 5 万トン/年(新規貨物)
石炭(輸入) 約 5 万トン/年(新規貨物)
熱量比率 木材 50%、ヤシガラ 25%、石炭 25%
・集荷範囲
紋別市を中心に半径 75km の範囲
第 3 ふ頭内に建設中のバイオマス発電所
<平成 22 年 11 月撮影>
2次生産
誘発効果
9億円
【65人】
1次生産
誘発効果
12億円
【95人】
<平成 26 年 10 月撮影>
2次生産
誘発効果
3億円
【25人】
建設中
経済波及効果
計69億円
新規就業
計539人
1次生産
誘発効果
11億円
【78人】
直接効果
48億円
【379人】
建設後
経済波及効果
計39億円
新規就業
計257人 直接効果
25億円
【154人】
出典:紋別市調べ
バイオマス発電所建設による経済波及効果
-紋別港第 3 ふ頭地区 11 -
(3)事業実施による環境の変化
本事業の実施により、港内にバイオマス発電所が建設され、同
発電所は紋別港を中心とした半径 75km 圏内から、それまで放置さ
れていた間伐材を利用することとしていることから、森林環境の
保護や林業の活性化にも貢献が期待されます。
(4)社会経済情勢の変化
新たな企業進出があり当該岸壁および背後の用地が利用される
見込みとなっております。なお、前回評価で見込んでいた貨物需
要と今回評価との差異については、企業の調達ルートが変更され
たことや、海外産肥料や飼料の価格高騰の影響を受けて、これら
の需要が増加しなかったこと等が挙げられます。
(5)費用対効果の算定結果
○プロジェクトの投資効果
耐用期間(50 年)の陸上輸送コストの削減+海難事故
の減少+安全性の向上+残存価値
費用便益比(B/C) =
建設費+耐用期間(50 年)の維持管理費
718.2億円
=
=
1.3
559.0億円
※残存価値は耐用期間後にも残るプロジェクトの資産価値であり、地域に残る便益をして計上している。
※費用、総便益については、デフレータや社会的割引率を考慮(現在価値化)して、算定している。
-紋別港第 3 ふ頭地区 12 -
3.今後の事業評価の必要性等
(1)今後の事業評価及び改善措置の必要性
事業の実施により、陸上輸送距離の削減や荒天時における
船舶の避泊が可能となり、当初目的を達成し投資効果も確保
されていることから、今後の事後評価及び改善措置の必要性は
ないものと考えます。しかし、世界経済の変化等により、前
回評価以降、本港の需要動向も変化が見られたことから、今
後も利用動向の把握に努めてまいります。
(2)同種事業の計画・調査のあり方や事業評価手法の見直し
の必要性
国際物流ターミナル事業は、世界情勢の変化等を踏まえた
需要予測をすることは難しいが、今回の事例を参考に、今後
の同種事業の計画・調査に関する基礎的な数値や効果の発現
状況等に係る取扱貨物等のデータの蓄積を行い、引き続き慎
重に需要予測を行ってまいります。
-紋別港第 3 ふ頭地区 13 -
参考資料
○前回評価時との比較
前回評価
今回評価
(H17 再評価)
(H26 事後評価)
総費用
357億円
559億円
総便益
480億円
718億円
B/C
1.3
1.3
※総費用、総便益については、デフレータや社会的割引率を考慮(現在価値化)して、算定している。
-紋別港第 3 ふ頭地区 14 -