まちづくりと観光の接点

地域の経済と社会・文化(月・5限)
担当
大西宏治
●地域の文化現象を考える
第2回 まちづくりと観光の接点:富山県の観光を考える(教科書 12 章)
第 2 回の講義内容
0.前回の授業の感想から
1.景観法と景観保全-修景
2.観光による地域の活性化
3.富山県の観光資源
4.おわりに
0.前回の授業の感想から
受講理由 最多:富山のことについて詳しく知りたいから
その他:地理が学びたい、地理がすき、地理学に興味がある
要望 越中富山ふるさとチャレンジ(北日本主催)に対応する内容をやって欲しい
→検定は教科書があるので、そちらで勉強してください。講義の中に役立つ内容
があるかもしれませんが…。
4/17~22 の間、4 泊 6 日でサンフランシスコ開催のアメリカ地理学会に参加・発表
観光都市の特色がある
老朽化が進むとともに治安が悪くなる港湾施設 → 再開発
開発されたもの:フィッシャーマンズワーフ・AT&Tスタジアムなど
→観光地として生まれ変わる
→既存の観光資源(ケーブルカー・チャイナタウン)に新たな観
光資源が結びついた
→前回のアンケート集計が間に合わなかった
1.景観法と景観保全
●景観という言葉(P.101)
…地表の断面・観察者が関わって成立する外界
↓
景観は人が見るもの・つくるもの
●景観法:景観をつくる(P.102)
景観法の成立経緯…地域ごとの特色あるまちなみを取り戻す【文化景観中心】
景観法の目的…「この法律は、日本の都市、農山漁村等における良好な景観の形成を
促進するため、景観計画の策定その他の施策を総合的に講ずること
により、美しく風格のある国土の形成、潤いのある豊かな生活環境
の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り、もって国民生
活の向上並びに国民経済及び地域社会の健全な発展に寄与すること
を目的とする」(第 1 条)。
景観は人がつくるものであり、みるだけのものではない
●景観形成の事例:滋賀県近江八幡市
八丁堀の保存運動(P.103~106)
新町(重要伝統的建造物群保存地区)・八丁堀
近江八幡
図1
図 2 近江八幡市内
近江八幡の位置
かつてはノスタルジックな景観をつくることが観光に資するとは考えられなかった。
↓
再生した景観を活用するような開発を行った。親水空間が人を呼び込む
2.観光による地域の活性化
地域が活性化するためには何が必要か?
→地元企業が潤うお金
地域の経済の循環の仕方
基盤活動(Basic 機能)…外部から財を調達する経済活動
非基盤活動(Non-Basic 機能)…自己の地域の内側で成立する経済活動
観光は基盤活動
→外から人を呼びお金を落とさせる
地域の観光地化に成功することで地域経済が潤う
→全国の自治体間で観光資源開発の競争が起こる
図3
サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフ
全国の自治体は世界各国の観光地に視察に出かけ、観光資源の開発を考えるようになる。
富山市の場合、アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオに議員などを派遣した。
「親水空間を活用した観光開発」
図 4 サンアントニオの位置
3.富山の観光資源
●富山市の取り組み
富山市の持つ観光資源-薬都、ますのすし、中島閘門、牛島閘門、北前船跡地(岩瀬の
森家、馬場家)、富山城…
・これらの観光資源へのアクセスが悪かった
・富山市中心部に大型バス駐車場がなかった
・観光資源として整備せず、まちなみも整備していなかった
最近の展開-富山ライトレールができる
・LRT 沿線での観光開発の開始
・駅北側から岩瀬浜までの間の観光資源を開発
→都市の観光資源開発とは? 徒歩での回遊性を増すようなまちづくり
図5
富山市北部の観光資源(富山市ホームページ)
●富山県の観光資源
季節ユニーク性が強い、交通アクセスが悪い
例)季節ユニーク性
ホタルイカ群雄海面(滑川)
砺波のチューリップ
おわら風の盆(富山市八尾)
雪の大谷(立山黒部アルペンルート)
など
これらの存在しない時期に行っても観光資源が存在しない
→観光資源の見えない観光地
↓
この解決法は?
解決法の効果は?
4.おわりに
観光開発は非常に有力な地域開発の手法
↓
多くの自治体が取り組み簡単ではない
富山の可能性は?