宮城県助産師会便り H27年2月号

一般社団法人宮城県助産師会
第15号
発行日2015年2月
宮城県助産師会だより
平成26年度宮城県助産師会最後の会報です。
10月から2月までの活動の様子をお知らせいたします。
宮城県助産師会会長 後藤美子
宮城県周産期医療協議会に参加して
宮城県助産師会会員の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。平成27年も早1か月が過ぎ、春の便りが
待ち遠しい季節となりました。日頃より会の運営にご協力を賜り厚く御礼を申し上げます。昨年12月25
日に県庁にて平成26年度第1回宮城県周産期医療協議会が開催されましたので主な内容を報告いた
します。
県内の周産期母子医療センターの役割分担について
「宮城県周産期医療システム」は仙台赤十字病院(切迫早産や前期破水、多胎)、東北大学病院(母
体合併症、胎児死亡、分娩後の症例)、県立こども病院(胎児異常)の3施設が総合周産期母子医療セ
ンター(三次医療施設)、気仙沼市立病院、石巻赤十字病院、大崎市民病院、仙台市立病院、東北公
済病院、仙台医療センター、みやぎ県南中核病院、公立刈田病院の9施設が二次医療施設、バックトラ
ンスファーを行う地域周産期医療センターとして認定されています。周産期救急搬送コーディネーター
事業が実施され、妊婦等の病状に応じた施設へ適切に搬送されているとのことです。更にNICU病床が
42 床から54床に、GCUが65床から77床に増床し、宮城県の周産期医療体制の整備目標が達成された
そうです。周産期医療施設がネットワーク化し、母子の安全が確保されている事は心強い事です。現
在、準備が進んでいる宮城医療福祉介護ネットワーク(MMWIN)の周産期看護情報を活用し、助産師
間の連携も円滑になれば、母子にとっては更に心強いサポートではないかと思います。
大規模災害時における周産期医療の対応について宮城県の取り組み状況
取り組み状況は①宮城県地域防災計画に災害時要援護者として妊産婦を明記。②第6次地域医療
計画にICTによる周産期医療ネットワークシステムを開発し、災害緊急時の備えとして活用。③大規模
災害時医療救護活動マニュアルの災害医療コーディネーターに周産期災害医療コーディネーターを追
加。④宮城県災害時公衆衛生ガイドラインに職種ごとの役割で、助産師は避難所や医療機関等におけ
る助産又は妊産婦や新生児の保健指導を行うことと記載。マニュアルには避難所における健康管理に
おけるライフステージ別の留意事項として妊産婦・乳幼児を項目立てし、受診可能な医療機関の確認、
妊産婦への衛生用品の配布、着替えや授乳のためのスペースの確保等が追加。更に要援護者として、
妊産婦、乳幼児への留意点や健康観察ポイントについて記載。です。
「震災時の妊婦・褥婦の医療・保健的課題に関する研究」(研究代表者岡村州博東北大学名誉教授)
では、「平常時より災害への対応部門の設置し、後方支援施設をあらかじめ決めておく」「情報の共有が
最も必要でこれができないと大きな不安要因となる」「妊産婦から情報収集する手段、妊産婦へ情報を
与える方策をたてる」「災害時は初期対応が大変重要であり、次世代の妊産褥婦として現在の若い女
性の災害対策教育・訓練を教育の一環として組み入れるべき」「母子健康手帳とともに初期対応の冊子
の配布などの対応も検討すべき」など、震災に強い医療システムの構築が提言されてます。
東日本大震災からまもなく5年目に入ります。助産師に望まれる事はこれから妊娠・出産・育児をす
る女性に「自分が何を援助してもらいたいかをきちんと伝えられる力をつける」=「受援力」を意識して教
育をしていかなければならないのではないかと思います。
最後に日本助産師会の全国総会・助産師学会が平成28年5月26日~28日に、仙台国際センターを
会場に開催予定ですが、世界首脳サミットと重なりそうという事で実行委員会は開催地決定の結果待ち
で休止状態です。サミットが仙台開催で決定した場合は、福島県との共催で福島の地で開催となる予定
です。いずれにしましても、担当県として会員の皆さまの協力のもと準備を進めて参りたいと思いますの
で重ねてご支援ご協力をお願い致します。
(宮城県の周産期の状況については機関紙「助産師」平成27年2月号(vol 69 No1 P64~)に都道
府県だより・宮城県助産師会報告で掲載されておりますのであわせてご覧ください。)
~目次:~
研修会参加報告
2~4
防災名簿グループリー
ダー会議報告
5
お知らせ
6
宮城県助産師会 ロゴマーク
2014年度仙台市公衆衛生功労者等表彰で武者文子さんが表彰されました
おめでとうございました
2014年度の仙台市公衆衛生功労者表彰で保健・医療表彰(母子保健)で表彰されました。
1998年から仙台市の妊産婦・新生児訪問指導員になり、1999年にまんまはうすを開設し、2003年からうぶごえ
座代表として活動してきましたが、その3つの功績ということでした。当日は仙台市全区の保健所長も出席され
ており、太白保健所長から「区内に表彰できる方がいて下さり良かったです。」と声をかけて頂きました。個人で
活動しているので、自分のやり方で良いのかと自問の日々なので、このような表彰はとても励みになりました。
以前の保健指導部会の勉強会で弁護士の武井先生に「社団法人とは人のつながりこそが財産。一人で出来な
いことをみんなでやるからできることがある。」と教えていただいてから、「一般社団法人宮城県助産師会」に所
属する意味を自分なりに心にとめてきました。今後も皆様とのつながりを大切にして、独りよがりの支援になら
ないように気を配りながら活動していきたいと思います。(武者文子)
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宮城県助産師会だより
「助産業務ガイドライン2014」普及啓発研修会に参加して
大崎市民病院 袋 祥子
8年ぶりに分娩を取り扱う助産業務に戻ってきて、まだ浦島太郎状態の私には本当に参考になる研修会
でした。
8年の間に以前使っていた業務用語は全く別の言葉に代わり、母児の安全のため観察項目やケアはより
細かく増えていき、毎日の業務についていくのが必死の状態です。新しい知識を得るためにも今回のような
研修は是非参加したいと考えていました。
中井先生の講義では、一過性除脈の発生機序からまず教えていただきました。実際のCP事例のCTGモ
ニター波形を参照しながら、判読についての丁寧な解釈がありました。予兆は小さくサインが出ていること
があり、その正しい判読のためにもUCがきちんと拾えるように装着していくべきだと改めて思いました。ア
プガースコアがそれほど悪くなくてもCAMなど感染が背景にあるとCPになりやすいこと、クリニカルCAMの
指標項目についても新しい知識をえることができました。
今回の研修参加後、CTGモニター画面を眺めているスタッフが「見たいものしか見ない」とぽつり。FHRの
ベースラインをどこで見るかによって除脈にもとれるし、アクセレレーションにもとれるということ、見る側の基
準で判読が全く変わってしまう危険性があることを学び、より慎重になったと思います。私の中ではCTGモニ
ターの正しい判読とレベル分類を普段から意識しきちんと報告できること、SIを用いての報告ができることが
目標の中に加わりました。
この研修を企画していただいた助産師会の方々、ありがとうございました。受講人数も多く突然の会場変更
など本当に大変だったと思います。参加できなかったスタッフと情報共有しよりよい看護が提供できるように
参考にさせていただきます。
向かって左・筆者
右・佐藤祥子さん
全国開催の研修会
でしたが、東北が参
加人数最多でした
中井先生・日本助産師会講師の先生方
助産所安全管理評価に参加して
安全対策委員 鈴木智子
昨年10月20・21日の2日間に渡り、宮城県内の分娩を取り扱っている3助産所の安全管理評価が行われ
ました。毎年実施されている助産所安全管理評価。就職以来病院勤務一筋の私にとって、助産院は憧れ
の存在であり、未知の世界。その安全管理を知る機会となるため、興味深々で参加しています。
助産所安全管理評価票は、日本助産師会発行の助産業務ガイドラインをもとに作成されています。「全
国助産所分娩基本データー収集システム」での報告、連携医療機関との連携、医療器械や薬品の管理、
新生児蘇生法や安全管理セミナーの受講などの自己研鑽、防災・災害対策も求められています。
今年は嘱託医療機関の方も参加して頂き、大変意義深いものとなりました。各助産院の評価結果の詳
細は、会員用ページに掲載されていますので、是非ご参照ください。
訪問して思うのですが、どの助産院も居心地が良く、時間の流れがゆったりしている感じがします。雰囲
気作り・気配り・笑顔・おもてなしの心・・・素晴らしいと思います。それが細やかな助産ケアとなり、満足度
に反映されるのだと実感しました。
仙台の助産院院長のお二人
と筆者(向かって右)
とも子助産院での評価
の様子
ははこっこ助産院での話し合いの様子
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第15号
塩釜地区母子保健推進ネットワーク
「乳腺炎の基礎知識とトラブル時の対処法」の研修会報告
松島病院 川村友紀
塩釜地区母子保健推進ネットワークは震災後、塩釜地区の母子保健の推進と看護力の底上げを目的に立ち上
げました。目的に沿い、地域の母子の産後ケアとして毎月1回ベビーマッサージと育児相談会を行っています。看
護力の底上げとしては3ヶ月に1回のペースで研修会を企画し開催しています。これまで新生児蘇生法、母乳栄
養、CTG判読、ハンドマッサージ、フリースタイル分娩などたくさんの講師の方々の協力のもと行ってきました。毎回
30~40名の参加があり好評を得ています。研修会のあと、今後希望する研修のアンケートをとっていますが、毎回
のように希望があるのが乳房トラブルの対処法でした。
今回武者文子先生に講師をお願いしたところ快諾していただき、研修会を行うことができました。講義では乳房の
解剖図が新しくなり、乳管洞が含まれていないことを知りました。乳房の腫れの分類や、乳腺炎の原因など丁寧に
教えて頂きました。乳頭亀裂からの感染が原因でかなり苦痛な乳腺炎をおこすため、乳頭亀裂を早期に治すこと
や、ストレスや疲労も乳腺炎を引き起こすため休息が取れるようなケアも必要であることを学びました。
参加者からは「実践的でわかりやすかった」「乳腺炎についてだけでなく、助産師として刺激になった」「乳房は奥が
深い、もっと母乳について勉強したい」などの声がありました。皆さん大変有意義な時間を持てたようでした。今回
学んだことを実際のケアに生かせるようにしていきたいと思います。武者先生ありがとうございました。
*塩釜地区母子保健推進ネットワーク(坂総合病院・遠藤マタニティクリニック・ウィメンズクリニック利府・いけの
医院・笠松愛子・高津真理子・松島病院)
毎月1回開催されているベビーマッサージや
医療者向けの研修会の様子
講師の武者先生と
塩釜地区母子保健推進ネットワークの皆さん
ママサポートタクシー講習会報告
とも子助産院 近藤素子
昨年12月3日に、第一交通株式会社で「ママサポートタクシー」の講習会を行なってきました。今回で5・6回目(午前
と午後を合わせて)になります。
タクシーを使用した際に、ドライバーさんと少しお話しをした事はあるものの、このような形で講師としてお話させて頂く
のは初めてでしたので、私自身とても緊張致しました。ドライバーさん達も女性の方が1名いらっしゃったものの、他は
ベテランの男性ドライバーさんばかり。皆様、開講式の際は緊張の面持ちでいらっしゃいました。講義では、妊婦さん
は産院に着くまでとても不安な気持ちを抱えていること、お産の始まりではどのような事が起こるか、その際にはどの
様なサポートが必要かをお話ししました。皆様とても真剣に聞いて下さいました。その後、妊婦体験ジャケットを一人
一人着用して頂き、階段昇降、タクシーの乗車体験をして頂きました。「こうやって乗車を助ければいいのかな?ゆっ
くり待ってあげないといけないね。」など、実際の場面を想像しながら真剣に取り組んでいらっしゃいました。また、ご
自分の奥様が出産で入院する時を思い出し、お話して下さる方もいました。
最後に、妊婦役の女優・石澤さんと、実際を想定したロールプレイ。これが、見ている私も引き込まれる迫真の演
技。そんな緊迫した中でも、ドライバーさん達は、丁寧に対応されていらっしゃいました。その後の振り返りでは、沢山
のご意見やご質問があり、より理解が深まったのではないかと思います。このように真剣に講習を受けて下さったドラ
イバーさんが、妊婦さんを無事に送り届けて下されば、私たち助産師もとても心強いです。今後もこのような講習会を
通してさらに充実したサービスが妊婦さんに提供されることを願っております。
毎回参加者多数の
研修会です
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宮城県助産師会だより
助産師だからできる明日からの保健指導
~妊娠中の保健指導を見直そう~参加報告
教育委員 伊藤直子(東北大学病院)
2015年2月1日(日)13:30~17:00 ジャパンワクチンの助成を受け日本助産師会との共催により、仙台市戦災復
興記念館、会議室において行われました。2日前の大雪の残りで足元が悪い中、参加者は県内外から84名と多くの
方にお集まりいただきました。
講演1「産む前に伝えること」渕元純子先生(ふちもと助産院)
優しい語り口で、興味深いお話をいただき、ゴールは出産でなく、その後の生活まで見据えたもので、なおかつ妊
婦さんはやらされ感でなく、自己効力感を高めることのできる保健指導の必要性を実感しました。
講演2「助産師さんに知って欲しいワクチンの基礎知識」堺武男先生(さかいたけお赤ちゃんこどもクリニック院長)
ワクチンの最新情報により我が国はかなりの遅れをとっていることがわかり、その重要性と私たち助産師ができる
ことを考えさせられた貴重な機会となりました。
講演後は、それぞれの立場からの質問も多く、渕元先生、堺先生を交えての有意義な情報交換と共有の場と
なっていました。全体を通して、少子化の今だからこそ、私たちは助産師力を発揮していかなければならないのだと
改めて実感した研修でした。
県内外から多数出席いただきました。
司会を務める筆者
予防接種については、たくさ
んの質問がありました
ママと助産師の考え方の
ギャップがよくわかりました。
最新の予防接種についても
学べて、これからの保健指導
に役立つ講演でした。
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第15号
災害連絡網リーダー・サブリーダー会議報告
平成27年2月1日(日)10時半~12時に戦災復興記念館にて「連絡網リーダー・サブリーダー会
議」を実施しました。21名中18名のリーダー・サブリーダーが参加しました。前半は、後藤会長の
挨拶後、塩野が安否確認訓練などについて、青山災害対策委員が日本助産師会主催の災害対
策研修会報告を行いました。後半は3グループに分かれて、安否確認訓練と防災マニュアルに
関する意見交換を行い、その後全体発表をして共有しました。
各グループの安否確認方法は主にメール・ショートメール・電話でしたが、連絡がとれない、何
度も説明をする、郵送するなど、グループによっては連絡に工夫・苦心をしていただいておりまし
た。特に複数の施設が混在しているグループについては何らか改善が必要であり、今後検討し
ていくつもりです。また、多くの参加者から、実際に顔を合わせることで訓練の意義をあらためて
感じた、この会議を定例化してほしい、災害に関する研修会をしてほしいなどのご意見をいただ
きました。防災マニュアルの意見交換まで十分に行う時間はありませんでしたが、今後はマニュ
アル検討を含めて研修会開催を検討していきたいと存じます。今後ともリーダー・サブリーダー
のみならず会員の皆様のご協力・ご参加をよろしくお願いいたします。
なお、2月3日の安否確認訓練では5日間で95%の会員の安否確認ができました。皆様のご協
力に心より感謝申し上げます。今後、毎年この安否確認訓練は「2月第1火曜の10時」の定例化
(想定:宮城県で震度6の地震発生で津波無し)となります。詳細はまたお知らせいたしますが、
各自スケジュール帳に書き込みをよろしくお願いいたします。
宮城県助産師会の今年度の活動のあれこれの写
真です。役員の皆様・会員の皆様、様々な活動の
企画運営・協力とたいへんお疲れ様でした。
災害対策委員長 塩野悦子
向かって左から・後藤会長・
塩野災害対策委員長・青山災害対策委員
3月18日(水) 周産期メンタルヘルス研修
時間:13:00~15:30
場所:艮陵会館(東北大学医学系研究科)
講師:日本周産期メンタルヘルス学会理事長
三重大学医学系研究科教授 岡野禎治先生
申込み先:東北大学 佐藤喜根子(Eメールにて受付)
詳細は、宮城県助産師会ホームページをご覧ください
4月18日(土)平成27年度一般社団法人宮城県助産師会
第6回 通常総会
開場:9:45 開会:10:00
場所:仙台市シルバーセンター 7階 第1研修室
主催:宮城県助産師会
午後は引き続き基調講演があります。
会員の皆様の多数のご参加をお待ちしております。
4月18日(土)基調講演:自然なお産を守る「最新のエビデンスをもとに」
時間:12:30受付 13:00~15:00
場所:仙台市シルバーセンター 7階 第1研修室
講師:青森労災病院 産婦人科部長 佐藤秀平先生
申込み先:宮城県助産師会(同封のチラシをご覧ください)
一般社団法人宮城県助産師会
仙台市太白区羽黒台21-25
電話 0222448007
FAX 0227741970
4月25日(土)しおがま地区母子保健ネットワーク主催研修会
「自分の足の反射区から体のメッセージを感じてみましょう。
マッサージを覚えて、セルフケアを!」
時間:14:00~16:00
場所:坂総合病院2階セミナー室 参加費:1000円
講師:本田由美先生(JRECリフレクソロジスト トップインストラクター)
申込み先:遠藤レディス・マタニティクリニック 高森 TEL:022-361-1230
問い合わせ:宮城県助産師会
ホームページ:http://www.midwife-miyagi.net/
編集後記
今年度の発行も今回で最後となりました。記事を快く引き受
けてくださった会員の皆様、ありがとうございました。母子の
健康の為に尽力している、宮城県で活躍する助産師の皆様
と触れ合える機会に恵まれた1年でした。来年度も各地での
皆様のご活躍を、機関紙を通してお伝えしたいと思います。
宮城県助産師会 広報委員 山口之雪
Email:
[email protected]
助産師はここにいます
Email:[email protected]