「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2014」 ヴァレオ プレスキット

1
「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2014」
ヴァレオ プレスキット
I - CO2 排出量削減のためのイノベーション
2
-
クーラント流量制御バルブ「THEMIS バルブ」
2
-
水冷コンデンサー
3
-
電動スーパーチャージャー
3
-
ロングトラベル型デュアルマスフライホイール
4
-
ダブルロングトラベルダンパー
4
-
12V ベルト駆動式スターター・ジェネレーター
5
-
AquaBlade® フルビジョン ウインドウ クリーニングシステム
5
II - 明日のモビリティに向けたヴァレオの直観的なドライビング・ソリューション
-
レーザースキャナー SCALA
7
7
参考資料
-
ヴァレオについて
9
-
日本におけるヴァレオ
9
2
I –CO2 排出量削減に向けたイノベーション戦略
ヴァレオ全体の 75%の製品は、CO2 排出量の削減に貢献する技術です。CO2 排出量の削減は、
ヴァレオの成長戦略を導くコミットメントであり、グループの技術開発における優先課題です。
イノベーションを重点戦略とするヴァレオは、毎年、OEM 売上の 10%以上を研究開発に充ててい
ます。直観的に運転する喜びを高めるとともに、エネルギー効率を高めることを目指すヴァレオは、
今後、開発をさらに加速させていきます。
クーラント流量制御バルブ「THEMIS バルブ」
今回、世界初の展示となるクーラント流量制御バルブ「THEMIS バルブ」は、自動車エンジンのサー
マルマネージメントに関するイノベーションです。この電子制御バルブは、燃料消費を 3%近く減らし、
CO2 やそのほかの汚染物質の排出量の 10%近い低減に貢献します。
エンジンのクーラントのフローを制御し、クーラントの温度を適切に管理することで、1 イン、3 アウト
の 4 ウェイの比例弁がエンジンの温度を管理します。さらに、車室内の温度管理の効率を高め、乗
員に快適さを提供します。
エンジンの暖気を最適化
低温での始動時に、ゼロフロー制御によりエンジンが適正な温度まで早く温まるようにします。エン
ジンの暖気を促進することにより、燃費を削減し、汚染物質の排出量の低減に貢献します。
インテリジェントな温度管理
電子制御バルブが、迅速で最適なクーラントのフロー制御を続けます。これにより、Themis はクー
ラントのループごとに最適となる異なる温度に保ちます。例えば、夏季には、車室内にヒーターへの
クーラントを止めることで、エアコンの効率を高めます。
より進んだ制御
エンジンの負荷に応じて、エンジンの温度が上昇する前に、バルブのソフトウェアがクーラントのフロ
ーを制御します。このより進んだ制御により、温度制御がより厳密に行えるようになり、エンジン性能
を最適化できます。オイルの温度と粘度もより効率よく管理され、フリクションロスを低減することが
できます。
「THEMIS バルブ」は、今年中に日本メーカーの車に搭載される予定です。
3
水冷コンデンサー
水冷式のエアコンサイクルのコンデンサーは、2013 年の PACE アワードを受賞した水冷インターク
ーラー搭載のエアインテークモジュールに続いて、サーマルマネージメントのインダイレクトクーリン
グというコンセプトをさらに発展させたものです。
今回、日本初出展となる水冷コンデンサーは、車両用エアコンサイクルのコンデンサーをファンで外
気を送風して冷やしていた空冷式から、クーラントを用いて冷やす水冷式に改良したものです。これ
により、ヴァレオの水冷コンデンサーでは、従来のコンデンサーに比べ、エアコンの燃料消費を減ら
すことができます。
また、水冷コンデンサーは、エアコンシステムの過渡期における冷媒の圧力上昇を抑え、さらにクー
リングファンの消費電力を低減できるため、効率が向上します。また、水冷コンデンサーはエンジン
ルームの側面部分や車室脇にも搭載することもできるため、車両におけるレイアウトの自由度が高
まり、設計時にハイブリッド車のフロントエンドのスペースをより有効に活用できるようになります。
復活を遂げたベルギ―の自動車メーカー、インペリアのプラグインハイブリットカ―に 2014 年 1 月
より採用されています。
電動スーパーチャージャー
CO2 排出量を削減するソリューションを開発するという戦略に基づき、ヴァレオは自動車部品サプラ
イヤーとして初めて、小型化したエンジンにおける低速時のダイナミックレスポンスを改善する電動
スーパーチャージャーを顧客に供給します。
排気ガスを使用するターボチャージャーと異なり、電動モーターで動くこのスーパーチャージャーは、
即座に応答します。これにより、ターボラグをなくし、トルクと加速を改善します。このシステムにより、
エンジンを大幅にダウンサイジングすることができ、燃費を大きく改善することができます。12V シス
テムにおいては、8%から 10%の燃費向上効果をもたらすでしょう。
また、電動スーパーチャージャーは、350 ミリ秒という瞬時のレスポンスをドライバーにもたらします。
従来のターボチャージャーからの置き換え、あるいは併用することにより、このソリューションは燃料
消費を増やさずに 27%加速性能を高めることができ、運転をより快適なものにします。
SR スイッチを用いた電動モーターを使用することにより、ほぼ瞬時に加速することができ、従来の
電動モーターや排気ガスを使用するターボチャージャーの 3 倍から 5 倍の速さとなります。
1.6 リッターから 2.4 リッターの自然吸気エンジンと、1 リッターから 4 リッターのターボ付ガソリンお
よびディーゼルエンジンにおいて、さらに 12V および 48V システムにて、電動スーパーチャージャ
ーのシステムに関する数多くの実証試験を実施しました。システムは非常に柔軟性が高く、幅広く
適用可能であり、パワーと効率を大幅に高められる可能性があります。
4
ヴァレオのエネルギーリカバリーシステムと連結すると、電動スーパーチャージャーはコスト競争力
のあるハイブリッドソリューションとなり、欧州の標準的な運転状況において燃料消費を 15%から
20%削減することができます。パワートレイン構造の変更規模を抑えられるため、このシステムは、
迅速に低価格で新車や現行車両に搭載することができます。部品構成もシンプルな電動スーパー
チャージャーは、価格競争力のあるテクノロジーです。
CO2排出量削減に関する規制が欧州(2020年)と米国(2025年)で厳格になることから、自動車メー
カーはエンジンのダウンサイジングへの取り組みを強化しています。
ロングトラベル型デュアルマスフライホイール
ヴァレオのロングトラベル型デュアルマスフライホイールは、デュアルマスフライホイールとロングト
ラベルダンパーの 2 種類のフィルター技術を組み合わせて、革新的な一つの製品に作り上げたも
のです。
ロングトラベル型デュアルマスフライホイールは、より高いトルクにおいて、振動とノイズを大幅に低
減し、特に低回転での作動時におけるエンジンの燃費効率を改善します。ロングトラベル型デュア
ルマスフライホイールは、従来のインナーダンパーを搭載したデュアルマスフライホイールに比べて、
あらゆる速度域においてギアボックスへの加振力の入力を半減します。
オートマチックトランスミッション用のストレートスプリングダンパーは、制振性能とフィルタリングに優
れていますが、エンジンの発進性能で劣ります。マニュアルトランスミッションで使われるカーブスプ
リングダンパーは、制振性能では劣りますが、エンジンの発進性能に優れています。ヴァレオはこれ
ら 2 つの従来製品のダンパーから、独自構造を採用して、制振性能と発進性能の双方に優れた製
品を開発しました。このソリューションは、オートマチックでもマニュアルでも、ハイブリッドでもデュア
ルクラッチトランスミッションにも搭載可能です。
ヴァレオは、2012 年からメルセデス・ベンツ「E300 ブルーテック・ハイブリッド」向けに同製品を量産
しています。また、この製品は 2014 年 PACE アワードのファイナリストに選ばれています。
ダブルロングトラベルダンパー
オートマチック車では、ロックアップ回転数を下げ、低速時からエンジンとトランスミッションを直結す
ることにより、燃費が向上します。ヴァレオのダブルロングトラベルダンパーは、内周側のばねに加
えて、外周側に直列に作用するばねを配置することにより、ねじり剛性を下げ、従来品に比べてロッ
クアップ回転数を 100rpm 下げました。これにより、約1%の燃費向上を実現しています。従来品と
同じサイズで、より高い性能を発揮するため、スペースの制約がある FWD 車に最適な製品です。
ダブルロングトラベルダンパーは、ヴァレオユニシアトランスミッション(神奈川県・厚木市)が開発し
た日本生まれのイノベーションです。
5
12V ベルト駆動式スターター・ジェネレーター i-StARS
欧州の市街地での運転では、約 35%の時間は車が停止していると言われています。この間、エン
ジンがアイドリングを続けているのはもったいないことです。アイドリングトップ機能は、赤信号などで
車両が停止している間、エンジンを自動的に停止し、ドライバーが始動しようとすると自動的かつ迅
速にエンジンをかけるシステムです。アイドリングストップは、CO2 排出量削減に効果があり、ヨーロ
ッパでの標準的な運転サイクルで 6%、市街地の渋滞時には 15%近い燃費向上への貢献が期待
できます。
i-StARS スターター・オルタネーターは、オルタネーターとの置き換えになり、自動車メーカーの戦略
に合わせてどんなエンジンにも搭載可能であり、MT 車にも AT 車にも対応します。オルタネーター・
モードでは、電子回路はシステムの電気効率を高め、オルタネーターとして市場最高レベルの性能
を発揮します。制御と電子回路を統合したことにより、エンジンコンパートメントに取り付けやすくなり、
システムのコストが下がります。i-StARS は、車両のスピードが AT 車では時速 8 キロ以下、MT 車
では時速 20 キロ以下になると、自動的にエンジンを停止し、ドライバーがアクセルを踏むと、クラン
クシャフトに常に連結されているベルトにより、迅速(400 ミリ秒)かつ静かにエンジンを再始動しま
す。
ヴァレオは、新たに i-StARS Boost を開発し、量産を開始しました。これは、回生ブレーキとトルクア
シスト用にバッテリーを追加したモデルです。この機能により、燃料消費を低減し、CO2 排出量を削
減(約 3%)できることから、ハイブリッド申請を行うことができます。
2015 年までに、50 モデル以上の車がヴァレオのアイドリングストップ機能を搭載する予定です。
AquaBlade®:視認性を最適化する革新的なワイパーシステム
Valeo の革新的なワイパーシステム、AquaBlade® は、あらゆる装備において、ドライバーの快適さ
を高めるとともに、エネルギー消費を減らそうとするグループの取り組みの代表例です。
®
AquaBlade は、ワイパーブレードに洗浄機能を組み込むことで、システムの重量を2キロ計量
化でき、CO2排出量を0.2グラム減らすことができます。
ウォッシャー液は内蔵されたチューブを通り、ブレード全体に設けた穴からウインドーに直接吹きか
けられます。センサーによってワイパーの位置を正確に検知しており、ウォッシャー液は正確な位置
に厳密なタイミングで吹きかけられ、ブレードによって瞬時に拭き取られます。これによって、クリー
ニング中に視界を妨げられることがなくなるとともに、ウォッシャー液の使用量も半分に減らすことが
できます。
従来のノズルから吹きかけるシステムと異なり、AquaBlade® ではフロントガラス全体に広がったウ
ォッシャー液によってドライバーの視認性が妨げられることはありません。車両や車速にかかわらず、
高品質な洗浄性能を確保することができます。AquaBlade®は耐霜性を備えており、一般的なウォッ
シャー液を使用できます。
6
AquaBlade®は視認性を大幅に改善することにより、運転時の安全性を高めます。ヴァレオは、ドイ
ツのフラウンホーファーIOSB(オプトエレクトロニクス、システムテクノロジー、画像解析の研究機関)
と共同で、AquaBlade®の安全性評価を実施しました。その結果、例えばフロントガラスの洗浄中に
歩行者が車の前方を歩いた場合、ドライバーが反応するまでの時間が大幅に短縮されることがわ
かりました。
ワイパーシステムで高度なノウハウをもつヴァレオは、この分野での世界的なリーダーです。
AquaBlade®は、2013 モデルのメルセデス・ベンツ SL クラスに初めて採用され、S クラスにも搭載
されています。
7
II – 明日のモビリティに向けたヴァレオの直観的なドライビング・
ソリューション
ヴァレオグループの最優先課題の一つは、ドライビングのクオリティを高めつつ、CO2 排出量を削減
することです。この二つの目的を達成するには、直観的なドライビングとインテリジェントシステムの
技術が役立ちます。ヴァレオは最新技術を活用した革新的な製品とソリューションにより、未来のモ
ビリティをより直観的なものにしていきます。これらの直観的なドライビング・ソリューションは、車の
運転をより安全で快適にする技術です。
直観的なドライビングのテクノロジーには、主に3つの目標があります。より簡単に駐車できるように
®
すること(Park4U )、運転の安全性を高めること、そしてドライバーとクルマのインタラクションを改
善することです。車をもっと自動的にする直観的なドライビングにより、ドライバーはいくつかの運転
作業から解放されます。同時に、車はもっとインテリジェントで運転しやすくなり、燃費が良くなり、交
通の流れが良くなります。将来的には、退屈な動作は車に任せて、ドライバーは安全性を確保しな
®
がらもっと他のことができるようになるでしょう。たとえば、Valet Park4U により駐車場での運転を
完全に自動化されます。また、Traffic Jam Pilot を使うと、低速時の運転では、ドライバーが操作し
なくても車は交通の流れにのって走ります。ヴァレオグループは、車に周辺環境を知らせる超音波
センサー、レーダー、カメラ、レーザースキャナーとソフトウェアを活用した高性能な製品の数々を開
発しています。
また、いつも車とのコネクションを保ちたいというドライバーのニーズの高まりを受けて、ヴァレオは
車と人が周辺環境やインフラ設備といつでもコンタクトできる技術の開発にも注力しています。
ドライバーからのニーズの高まりを受けて、ヴァレオは安全性と快適性を高める自動化ソリューショ
ンの開発に取り組んでいます。統合的な接続性に関する技術をベースとした直観的なドライビング
と安全に関する機能により、ドライバーとのインタラクションが改善されます。
接続されたサービスや自動運転システムなどの直観的なドライビングのソリューションは、交通渋滞
の軽減や CO2 排出量の削減につながります。
レーザースキャナー SCALA
人とくるまのテクノロジー展 2014 の特別企画展示コーナー“人と社会に優しい先進クルマ技術 ~
2020 年の「モビリティ」・「カーロボティクス」を体験しよう~”の屋内展示にて、ヴァレオのレーザース
キャナー「SCALA」を展示すると共に、本邦初の試みとして、屋内展示の延長企画として、同スキャ
ナーを搭載したデモカーの同乗体験を実施します。デモカー走行中にレーザースキャナーが車両前
方をスキャンして検知した車、バイク、歩行者、静止物である木や停止している車、ガードレールな
どの障害物を、種類分けして車両周辺マップを作成する様子を画面上でご覧いただけます。
ヴァレオのレーザースキャナー「SCALA」は、車両前方をスキャンし、車、バイク、歩行者、静止物で
ある木や停止している車、ガードレールなどを検知します。このデータを基に障害物ごとに種類分け
された車両周辺マップを作成することで、車両や歩行者に対する緊急ブレーキ、自動回避等のアク
8
ティブセーフティー機能の向上、自動運転、自動駐車や渋滞時の自動追従などが可能になります。
レーザースキャナーによる障害物検知は、昼夜を問わず同等の性能を発揮し、高速道路での走行
にも、駐車場などでの低速での走行にも対応します。欧州の新車アセスメントプログラム(Euro
NCAP)の評価項目に 2014 年から加わる自動ブレーキシステムの基となる検知システムとして、レ
ーザースキャナーは大きな威力を発揮します。
レーザースキャナーに加えて、ヴァレオはレーダー、超音波、赤外線センサーやビジョンセンサーシ
ステムも扱っています。ヴァレオはそれぞれの特徴を生かしたセンサーフュージョンを提案し、アクテ
ィブセーフティーと自動運転の分野で革新的な技術を提供していきます。
将来に向けたレーザースキャナーの利用例の一つが、ヴァレオが IAA 2013(フランクフルトモータ
ーショー)で披露した Valet Park4U® です。ドライバーが駐車場の入り口で車から降り、Valet
Park4U® を起動すると、車は自動走行で空きスペースを見つけて駐車します。出庫時のステアリン
グ操作も自動で行われ、ドライバーは入口にいながらにしてスマートフォンを使って車を呼び出すこ
とができます。Valet Park4U®は、レーザースキャナーと、12 個の超音波センサーと、4 台のカメラ
により、いつでも車の周囲を確認し、移動中や静止している障害物を検知します。車載カメラの映像
は、直接、ドライバーのスマートフォンに送られます。このカメラの画像によって、ドライバーはいつで
も車の状況を遠隔で見ることができます。人とくるまのテクノロジー展 2014 ヴァレオブースでは、
IAA 2013 で行った実車でのデモ走行の様子をビデオでご紹介します。
9
参考資料
ヴァレオグループ
自動車部品サプライヤーであるヴァレオは、世界の全自動車メーカーのパートナーです。高い技術
力を持つヴァレオは、CO2 排出量の削減と直観的なドライビングの発展に貢献する革新的な製品と
システムを提供します。
2013 年度のヴァレオグループの売上高は約 121 億ユーロであり、OEM 売上の 10%以上を研究
開発に投資しました。ヴァレオは、29 カ国に 124 カ所の工場、16 カ所の研究センター、35 カ所の
開発センター、12 カ所の物流センターを構え、約 74,800 人の従業員を擁しています。
日本におけるヴァレオグループ
ヴァレオの日本における歩みは、1985 年 12 月の日本法人設立から始まりました。現在、(株)ヴァ
レオジャパン、ヴァレオユニシアトランスミッション(株)(合弁会社)からなる日本のヴァレオグループ
2 社は、日本国内に 9 カ所の生産拠点、3 カ所の研究開発センターを構え、約 2,800 人の従業員を
擁しています。また、ヴァレオは自動車用ランプ事業において市光工業(株)と事業提携し、日本に
おけるアフターマーケット製品の販売において PIAA(株)とビジネスパートナーシップを締結してい
ます。