准教授 村中 菜摘 日本古典文学、特に藤原定家の歌を専門とし ています

日本古典文学、特に藤原定家の歌を専門とし
准教授
村中
菜摘
ています。和歌に物語や漢詩文の世界を取り入れ
ることで、どのような美的効果が生まれるのかという事を研究しています。
これまでの研究のなかでは、定家が執筆した『松浦宮物語』や定家の歌
の漢詩文の取り入れ方について考察しました。定家は日本の伝統である古典
文学を尊重すると同時に、新鮮な素材として中国の文学を取り入れることで、
和歌の世界を広げようとしたのです。
担当科目は「日本語表現法Ⅰ・Ⅱ」、
「日本文化論」、
「日本文学論」、
「比較
文学論」です。私たちをとり巻く日本のことばや文化を客観的にとらえ直し、
文学に触れ、作品世界や人物の心理に共感することで、自分自身の内面や行
動に気づくことが大切です。そこから他者の心の動きを推察し、理解を深め
ていけると考えるからです。
ゼミでは、古典文学の最高傑作『源氏物語』を扱います。『源氏物語』は
今から千年ほど前に書かれた作品ですが、人間の生き方や心理など、現代の
日本人が共感できる点が数多くあります。『源氏物語』の研究者や愛好者は
世界的にも多いことから、外国人とのコミュニケーションの場で共通の話題
になることが少なくないといえます。
本ゼミでは『源氏物語』を発表形式で講読することで古典の読み方を身に
つけ、作品世界を味わいます。その後各自で登場人物を選び、人物論に取り
組んで「卒業論文」を完成させます。
『源氏物語』の人物論のなかでも、毎年ゼミ生に人気のある登場人物は、
光源氏の正妻である葵の上、はかない魅力で源氏を夢中にさせた夕顔、源氏
への愛の苦悩から物の怪になった六条御息所、禁断の恋の相手である朧月夜、
源氏の息子・薫と孫の匂宮という二人の男性から愛された浮舟などが挙げら
れます。一方、男性の人物論も人気が高く、源氏の息子の夕霧や薫、源氏の
親友である頭中将などの男性論に挑戦したゼミ生もいます。