参加報告 - 日本自動車研究所

ITS 世界会議 2013(
( 東京)
東京 ) 参加報告
参加 報告
1. Excutive Session
............................................................................................ 183
2. Special Interest Session
3. Host Selected Session
.................................................................................. 187
..................................................................................... 195
4. Showcase
........................................................................................................ 200
5. Exhibition
...................................................................................................... 202
6.「エネルギーITS 自動運転隊列走行システム」実況生中継ショーケース
-181-
205
-182-
(講演者氏名については敬称略)
1. Excutive Session
1.1
ES01-Autonomous Vehicles - the Path to Implementation
*モデレータ:Gerald Conover, PRC Associates, USA
*セッション概要:
自動運転のニーズとその効果、自動運転レベル定義と ADAS から完
全自動運転にいたるシナリオやロードマップ例、自動運転に実現に必要な技術的項目や
非技術的項目、自動運転車やプロジェクトの現状等の発表
① 青木 啓二, JARI, Japan
自動運転が次世代の ITS の姿であるとして、自動運転開発の歴史、E-ITS
プロジェクトを紹介。隊列走行や自動運転が安全や効率,環境ニーズに
合うことを示し、完全自動運転にいたる SAE でのレベル定義を紹介し、
ADAS から隊列や自動運転にいたる展開のシナリオの例を示した。また
自動運転の各レベルに必要な技術を述べると共に、自動運転の実現には
特に周辺監視や HMI の技術や、センシングや制御の信頼性が重要であると共に社会的受容
性や法的問題の解決も必要であると述べた。
② Ron Medford, Google, USA
自動運転の最大の目的は移動の自由であると述べた上で、米国での事
故件数や死傷者件数の現状を述べ、交通弱者も被害にあっていることや
事故の死傷の約 2 割がドライバーの居眠りや不注意で生じていることを
述べて自動運転が安全に貢献できることを述べると共に、渋滞や運転者
の高齢化、視覚障害等の障害者対応にも貢献できると述べた。また果た
して自動運転車が 100%安全でなければならないかをシートベルトや ESC 使用時の事故時
死者の割合を示し、効果があれば導入すべきであることを暗に示すと共に、自動運転車の
有効性を評価するのに、米国の 3 州で自動運転免許の法制化がなされていると述べた。
③ Christoph Hagedorn, Continental Japan, Japan
自動運転の 3 レベル、Partially, Highly, Fully Automated を示し、各実現
年を 2016,2020,2025 年以降としそのイメージを示した。
自動運転実現のためには Key 技術としてセンサーとシステムの統合、
HMI、特に車によるドライバー検知が重要であるとしたが、前者につい
ては実験車レベルでは商用のセンサーで実現できているとした。また将
来は車両がインターネットの一部になるとし、自車センサで見えない先の情報を C-ITS で
外界から得るためにビッグデータ管理の重要性を述べた。また法的枠組みの重要性をシー
トベルト、エアバッグ、ESC 法制化と事故死者の減少から示すと共に、日米欧で現状法の
-183-
解釈に違いがあり、米国が最も寛容であることを示した。
Continental のネバダ州自動運転免許車
日米欧の自動化レベルの法解釈
④ Fawzi Nashashibi, INRIA, France
INRIA の概要を紹介し、自動車両とは自動化とは何なのかを述べた後、EU の CityMobile
プロジェクトとしてヒースロー空港の専用軌道での自動運転の例を紹介すると共にそこか
らの課題や、展開についての課題についてのべた。また外部との通信の重要性について示
した。
*一連の講演後、Q&A が行われた。自動運転が市街地で実現できるかとの問いに対しては
Nashashibi 氏は、導入当初の専用レーンの必要性を述べると共に、青木氏は物流のため
に高速道に専用レーンを設けるべきとした。Nashashibi 氏は、また欧州の多くの都市で
は既にタクシーやバスの専用レーンもあると述べた。また Hagedorn 氏は質問に答えて自
動運転には高精度の地図や多様なシーン、シナリオに対応する必要があると述べ、セン
サーの全天候性はフュージョンで対応する必要があると述べた。
1.2
ES02- Connected Vehicles - Preparing for Deployment
*モデレータ: Ananth Prasad, Florida Department of Transportation, USA
*セッション概要:
韓国の C-ITS マスタープランと政府の支援、オーストリアの C-ITS
配 備 計 画 、 BMW に お け る Connected Vehicle の 実 用 化 や Highly
Automated における通信の重要性、GM における V2X や自動運転につ
いての発表。
① Yong-wook Lee, MOLIT *1 , Korea
韓国の C-ITS マスタープランと政府の支援につき紹介。2013 年に政府
は ITS マスタープランを発表し、その中で 2016~2020 年に V2X ベース
の C-ITS サービスを、高速道の 20%、幹線国道の 15%に配備していきた
いとしており、2014~2016 年に C-ITS プレ配備プロジェクトを実施し、
2017~2020 年に V2I アプリベースの C-ITS 配備を計画し、2030 年には
-184-
C-ITS 自 動 運 転 を 目 指 し た い と し て い る 。 C-ITS の R&D と し て 2006 ~ 2012 年 の
U-Transportaion System、2007~2014 年の SMART Highway の例を紹介するとともに、韓国
における C-ITS アプリの一覧や C-ITS の周波数帯確保活動、標準化活動についても述べた。
韓国の C-ITS 施策
② Josef Fiala, ASFINAG Service GmbH, Austria
オーストリアの C-ITS 配備計画を紹介。ASFINAG ではすでに FOT 段
階を終了し C-ITS 配備段階に入ったと述べた。FOT として 2012 年 ITS
世界会議 Viena で C2CCC と共同デモを実施した Testfeld Telematic (TT)
プロジェクトの内容について紹介した。TT では 2010~2013 年に 12 の
ユースケースをスマホ、タブレット、組込み車載器の 3 つのユーザーデ
バイスを用い、100 名のドライバーで Vienna の高速道と
幹線道で実証したことが紹介された。実配備では
ASFINAG も 加 入する ASECAP 等 4 機関で Amsterdam
Group を結成し、2014 年に Group が主導しオランダ、ド
イツ、オーストリアを結ぶ C-ITS コリドー計画の覚書が 3
国の運輸 大臣間 で交わ されたこ とやそ の内容 を紹介し た。
2016 年までにまず道路工事警報、FCD *2 の運用が始まる
TT でのユーザーデバイス
計画である。
③ Klaus Kompass, BMW, Germany
BMW における Connected Vehicle について紹介。BMW が今日すでにリ
アルタイム交通情報等いくつかの V2X サービスを実現していること、ド
イツにおける大規模 FOT である simTD プロジェクトや 3 カ国にまたが
る C-ITS 配備プロジェクト C-ITS コリドープロジェクトを説明。コリド
ープロジェクトでは 2015 年までに C-ITS インフラを配備するとし、通信
は DSRC と携帯系をサービスの性質により使い分けると述べた。道路工事警告アプリでは
工事箇所の位置、車線閉鎖、制限速度情報を提供する。
また、BMW が開発中の Highly Automated 車における周辺監視システムや位置標定シス
テムを紹介すると共に、Highly Automated においても V2X が地平の拡大により安全や快適、
-185-
効率の向上に寄与するとして、渋滞末尾に対するブレーキ G の違いを例として示した。
Highly Automated テスト車のセンサー
車両のタスクとセンサー・地図・通信利用
④ John Capp, GM, USA
ヒューマンエラー、高齢化対応等車両自動化の目的や GM の自動化の
歴史、2007 年 DARPA デモや
V2X に関する デモを 紹 介する
と共に、自動化の実現には 360
度センシングとフュージョン、
地図、V2V/V2I のシステム統合が必要と述べた。
V2V の普及にはビジネスモデルはもちろんだが
アフターマーケットデ バイスや政府の規制や イ
ンセンティブが重要と述べた。また、C-ITS 情報
提供から完全自動運転 への簡単な道筋を示し た。
完全自動運転への道筋
*一連の講演後、Q&A が行われた。歩行者や自転車等クルマ以外の道路利用者を含めた通
信ネットワークをどう考えるかとの質問に対し、歩行者等の事故も多く、クルマと他の
道路利用者との通信は当然最も重要な課題で数々の方法も考えられているが、デバイス
を持たない人の対応については、まずはクルマ側で検知すべきと回答した。また、人と
の通信には個人情報保護やセキュリティが重要であるとした。また自動運転の信頼性に
ついて質問が出たが、自動運転のレベルで異なり、この課題は 1 社や 1 団体で決まる話
ではない。DSRC のチャネルに関する質問では米国の WiFi 共用化の話も出た。最後に、
ITS
Japan より自動運転や V2P アプリに関する協調を進めたらとの提案がなされた。
*1:Ministry of Land, Infrastructure and Transport
*2:Floating Car Data.PVD(Prove Vehicle Data)とも言う。
-186-
2. Special Interest Session
2.1
SIS11-Driven by Cities: Cooperative Mobility Services in Urban Environments
*モデレータ:Mr Pierpaolo Tona, ERTICO
*出席者:約 25~30 名
*セッション概要
米国の Safety Pilot、日本の ITS Spot、欧州の Compass4D を中心に発表
① Peter Sweatman, UMTRI *1 , USA
米国の Safety Pilot プロジェクトについて主に紹介。米国における V2V 安全アプリの研
究スケジュールと V2V、V2I 等の Day1 アプリを紹介した後、Safety Pilot プロジェクトに
ついて説明。Safety Pilot は期間 2.5 年、費用 26M$をかけた安全アプリの実道での大規模
実証試験であり、2012 年から 1 年間ミシガン州アナーバの実道で実配備しデータを取得。
路側ユニット他 4 種類の車載器により評価した。Intersection movement assist アプリについ
てのメッセージの質問では SPAT が用いられた由回答。
②坂井 康一,国土交通省,日本
ITS Spot サービスについて紹介。2004 年からの「ITS Second Stage」で国交省は Smartway
プロジェクトをはじめとして、2011 年には全国 1600 基の ITS Spot を配備してサービスが
開始された。サービスの効果についてのアンケートでは、役に立つとの解答が拡張ナビア
プリでは 2011 年に 65%だったのが 2012 年には 73%、安全アプリでは同様に 68%から 80%
へとアップしており徐々に効果が浸透している。
国交省では次のステップとして ITS Spot を活用し ACC 車両に推奨速度を提示しサグ部
での渋滞対策を行うプロジェクトを実施している。サグ部サービスの内容についての質問
では、現状は推奨情報の提供のみであると回答。将来的には直接、車両の速度や車間を制
御することも考えているが、技術的課題だけではなく法的課題もあるとした。また、ITS
Spot サービスの一般道への拡大についての質問には、一般道は管轄が異なるが技術的には
一般道でも可能と考えているとのこと。また車載器の普及については、ユーザーに効果を
実感してもらうような活動が大事で、最近では車載器の登録が月 1 万台を超えだしたと回
答。
-187-
③ Louahdi Khoudour, French Ministry of Ecology and Transport, France
フランス ボルドー市での C-ITS について紹介。ボルドー市では橋が多いことから渋滞が
多く、緊急車両やバスの優先通行が課題でありテストを実施している。欧州 7 都市での
C-ITS 配備プロジェクトである Compass4D の1都市になっており、市内に 13 の路側機を
配備し、緊急車両やトラックを含め計 70 台の車両で評価を行う。また、2014~2016 年に
全てのトラムとバスに GNSS を配備し、到着時刻や旅行時間の改良を実施する予定。2015
年のボルドーでの ITS 世界会議でこれらのプロジェクトをデモすることを考えている。
④ Siebe Turksma, Peek Traffic, The Netherlands
オ ラ ンダ にお け る C-ITS 配備 プ ロジ ェ クト につ い て紹 介。 SPAT メッ セ ージ を用 い た
Speed Advisary 等のサービスを評価した FREILOT が第一世代の配備プロジェクトで、燃費
の約 13%減、 交通速度 の約 2.6%増の効果が得 られた。第 2 世代 の配 備プロジェクト が
Compass4D で あ り Hazard Warning、 Energy efficient intersection 等 の サ ー ビ ス を 行 う 。
Compass4D 後の配備加速のためには車載器のチップセットや C-ITS コリドーなどの並行す
る配備プロジェクトが重要と述べた。
⑤ Hossein Zakizadeh, Volvo Group, Sweden
ボルドーでの Compass4D プロジェクトへの寄与やスウェーデンでの C-ITS サービスの
例を紹介。
⑥ Samuel Loyson, Orange, France
スマートな C-ITS のために通信デバイスは品質、可用性、コストのバランスで選ぶ必要
があり、スマートパーキングにおけるタグや、交通情報提供におけるスマホの活用の例を
示し、ITS 通信ネットワークとして携帯系と ITS_G5 のフュージョンが必要と述べた。
*1: University of Michigan Transportation Research Institute
2.2
SIS22-Cooperative Mobility Workshop
*モデレータ:Ching-Yao Chan,
Sub-Session 02: New Mobility Trial
California PATH, USA
*出席者約 20~25 名
*セッション概要:
台湾における HITEC と ITRI で進めている D.S.R.C イニシアティ
ブ、ITRI の IEEE.ETSI 標準準拠の DSRC ベース V2I,V2V トライ
アルシステム、オランダの C-ITS テストサイトの組織 DITCM、韓国の第 3 期国家 ITS R&D
Program について発表
-188-
① Cheng-Foo Chen, HAITEC *1 , Chinese Taipei
車両と通信技術の現状と課題を概説した後、D.S.R.C(Driving with Safety,
Responsiveness, and Courtesy)イニシアティブについて紹介。
D.S.R.C は V2V と位置標定により自車の周辺車両のリストを作り、警
笛の代わりやサンキューメッ
セージ等の 1 対 1 メッセージ
サービス、自車のドア開放を後続車に知らせ
る等の特定方向メッセージサービス、ハイビ
ーム警告など特定車両への丁寧なメッセージ
サービス等を行うものであり HITEC と ITRI
で進めている。GNSS と V2V の結合で多様な
アプリを生み出す機会があり、これらアプリ
D.S.R.C イニシアティブ
には HMI が重要であると述べた。
② Michael Li, ITRI *2 , Chinese Taipei
WAVE/DSRC が V2X において重要な要素であるとして、ITRI の IEEE.
ETSI 標準準拠の DSRC ベー
ス V2I,V2V トライアルシス
テムを紹介。システム用の車
載器は年を追って機能向
上 ・ 小 型 化 し て き て お り 2013 年 に は 約
10×7×2.5cm の大きさで実現。WIM(トラック
過 積 載 検 知)、TSP/SPAT( 交 差 点 で の バ ス優
先)、Group Communication(V2V でのビデオ・
音声による情報交換)等にフォーカスしてト
V2I,V2V トライアルシステム
ライアルを実施中であると述べた。
③ B.D. Netten, TNO, The Netherlands
オランダの C-ITS テストサイトの組織 DITCM *3 の紹介。DITCM は約 30
の官民の機関・会社か
ら
な
る
組
織
で
Einthoven-Helmond 間の
A270/N270 を 中 心 に 多
数のカメラと RSU を設
置し C-ITS の実道評価を可能としている。
独立した測定システムを有し、交通流を
動的にモニター可能で、持込センサーの
設置やプロジェクトの同時評価も可能
DITCM の実道設備と管理セ ンター
である。
-189-
DITCM では 2009 年からオランダや EU の様々なプロジェクトを評価してきたことを示
し、現在進行中および今後評価する MOBINET、Compass4D、i-GAME プロジェクトなど
を紹介し、今後協調車両やサービス、通信の競合も評価できるようスケールアップしてい
くことを紹介した。
④ Young-Jun Moon, Director, KOTI *4 , Korea
2013~2017 年は国家 ITS R&D Program の第 3 期であり、500M$の予算
で輸送と物流の革新を行うとして、安全、スマート、エコ、福祉(高齢化
対応)、物流の各モビリティにおける R&D プログラムの概要とその目標を
紹介した。スマートモビリティではフルネットワークの高速道隊列走行やシグナルフリー
交差点(IVS *5 化)を、福祉モビリティでは公共交通のスマホによるオールトランジット化
やクラウド交通システムを示した。また、2018 年の冬季五輪に向けての ITS 配備について
も紹介した。C-ITS のアーキテクチャとしては ETSI の ITS-ST を示した。
*1:Hua-chuang Automobile Information Technical Center Co., Ltd.
*2:Industrial Technology Research Institute
*3:Dutch Integrated Testsite Cooperative Mobility
*4:The Korea Transport Institute
*5:In Vehicle Signage
2.3
Sub-Session 03: Traffic Management Using Cooperative ITS
*モデレータ:Ching-Yao Chan,
California PATH, USA
*出席者約 20~25 名
*セッション概要:
交通管理への C-ITS 配備に対する交通管理の意識改革、ドイツの交通管理における
C-ITS コリドー計画、日本の隊列通過型の新しい信号制御についての発表。
① Jaap Vreeswijk, IMTECH, The Netherlands
交通管理の観点から C-ITS が効率、環境性、安全の向上の課題に寄与す
るとし、例として公共車両、緊急車両、重量車の信号通過を優先する Green
Cooperative Intersection の例を示した。また、EtoE の C-ITS Solusion 統合
を考慮すべきであり、交通管理を改良する多くの C-ITS アプリの統合戦略
が必要であると共に、交通管理の役割を規制から調停へ、交通管理者から
サービスプロバイダーへと意識を変えていく必要性を指摘した。
-190-
② Konstantin Sauer, German Ministry of Transport, Germany
ドイツにおける C-ITS コリドーの協調シ
ステム導入につき紹介。連邦政府と 16 州、
ナビサー ビスプ ロバー ダ、携帯 電話サ ービ
スプロバ イダー 、カー メーカー の枠組 みで
既存のテ レマテ ィクス と交通情 報イン フラ
への統合 を図る もの。 最初のア プリは 低浸
透でも効 果が見 込める ものとし て道路 工事
警告と PVD とし、配備は最初に Rhine-Main
ドイツにおける C-ITS コリドー計画
地域(フランクフルト)、次にロッテルダム
~フランクフルト~ウィーンに沿った州に、最後に残る全ての州にと 3 段階で展開する計画
であるとして概略のスケジュールを示した。
③ 福島
正夫, Nissan Motor Co., Ltd., Japan
スマート交通管制のための高度交通信号制御と題して、信号制御のための隊列形成と信
号制御システムにつき紹介。現状は個々の車両がばらばらに交差点を通過することで、無
駄な青時間による交差点渋滞、空き交通流での速度アップや歩行者の信号無視などの発生
による事故の一因になっている。このシステムではまず信号交差点の上流車両に推奨速度
を示して、その推奨速度の隊列形成を促し、路側が隊列長と速度を検知してその隊列を通
過させるよう青信号制御することで効率的な信号通過を実現する。システムは横浜みなと
みらいで FOT 中であり、TV5 で見られるので是非参加をと述べた。
2.4
SIS36 - Autonomous Vehicles - Technical Challenges
*モデレータ: Steven Dellenback, R&D Southwest Research Institute, USA
*出席者約 90~100 名
*セッション概要:
自動運転の現状の様々なトピックについて、自動運転技術の現状と
課題について、自動運転における認証についての発表
① Richard Bishop, Bishop Consulting, USA
自動運転における様々なトピックが現実なのか神話なのか、自動運転の以前の開発がな
ぜストップしたのか、何故今着目されるのか、何が自動運転化をためらわせているのかな
どについて持論を述べた。自動運転車が安全を革新することや、個人のプライバシーを脅
かすこと、ハッカーの横行、Google によるリード、全てに答える必要性などは神話である
としたが、自動化により社会が大きく変わる可能性はあるとした。会場からは自動運転は
やはり安全にフォーカスすべきとの意見が多かった。
-191-
② Ryan Lamm, Southwest Research Institute, USA
自動運 転に は皆が 独 自の名
前をつけ ては いるが 、 すべて
はコンピ ュー タ制御 移 動シス
テムであ り、 必ずし も 新規な
もの でな い。 自動 運転 が ITS
において新しい技術でないことは自動運転の
歴 史 を 見 れ ば わ か る と し た 。 GPS に 頼 ら な い
SWRI の自律/自動運転車技術を紹介し、国防
や自動車の安全、政府の安全、効率、環境削減
隠れ障害物(本当に浅い?)
などでのニーズ が高ま っているとした。 また、
現状では自動運転が技術的に可能なことは示されたが、まだ様々な技術ギャップが存在す
るし、技術以外の問題が多いことを述べ、現状では自動運転車は人の直感に頼っているよ
うな複雑な環境には適応できないと述べた。問題点の例として、隠れ障害物、悪天候時、
信頼性と評価法、性能と部品コストなどの問題を示した。会場からは災害時の自動運転車
のあり方についての意見が出た。
③ Suzanne Murtha, TUV Rheinland Mobility Inc., USA
自動運転の認証についての検討を紹介。認証システム構築に向けまずは戦略とフレーム
ワークを構築し、関係者のコンセンサスをとった上で認証プロセスを形成するとのワーク
プランを紹介。また、認証構築に当たってのトピックや認証時のテスト方法案を述べると
共に、認証を考える上でのキーとして、コンポーネントやシステムの認証レベル、適合や
認証の受容基準、テストの方法、基準の任命者、認証の再構築の問題をあげた。Q&A 時に
Autonomous と Connectivity が両立するかメリットがあるかとの意見が出たが、Path のシュ
ラドーバー氏は Connectivity がない自動運転車はかえって交通の安全や効率を損なうと述
べ、また HIDO の保坂氏は自動運転の定義の明確化がまずは重要であると述べた。
2.5
SIS37 - Roadmap to Automation
*モデレータ:Steve Underwood, University of Michigan-Dearborn, USA
・出席者約 80~90 名
・セッション概要:
ミシガン大学の自動運転等に関する統合アセスメントアクティビティ、自動運転の各
レベルに対 する現状 動 向、トヨタ の自動高 速 道運転支援 システム ( AHDA)、米国での
Automated Vehicle Forum における活動、欧州での i-Mobility Forum の Automation WG に
おける活動についての発表
-192-
① Steve Underwood, University of Michigan-Dearborn, USA
自動化へのロードマップと題して、ミシガン大学の Graham Institute の
予算で実施の自動運転、コネクティビティ、代替パワーに関する科学と
政策のロードマップを 作成する統
合アセスメントアクテ ィビティを
紹介。自動運転の課題と、NHTSA
および SAE の自動運転レベル分類
について述べると共に、各自動運転レベルの導入や
展開予想を示した。また、自動運転とテストに対す
るパネリストの見解を一部披露したが、完全自動運
転は一般道でなく駐車場など限定された区域でな
ら早い段階で可能という意見が出ている。
各自動運転レベルの導入と展開
② Richard Bishop, Bishop Consulting, USA
米国は自動運転に着目しており、現在は革新への屈曲点に来ているとし、その理由とし
てドライバー支援システムが成熟し、既にアクティブセーフティが標準装備化され始め、
例えば Volvo の自動ブレーキ車は既に 100 万台に達し、3 万ドルの Ford Focus でも多くの
支援システムがつく時代であることを示した。高速道での渋滞時自動運転をベンツ、BMW
が今年度発売するし、ベンツ、GM、BMW は自動運転 pilot に非常に熱心であることを述
べ、高速道路での自動運転の導入を NHTSA
の第 2 段階が 2014~2016 年、第 3 段階が 2018
~2020 年、第 4 段階が 2025 年とした。ただ
し、一般道ではその複雑な環境のために導入
年は予想できないとしつつ、ベンツが今年の
フランクフルトショーにて S500 ベースの自
動 運 転 実 験 車 が Mannheim-Pforzheim 間
100km を走破したことを紹介し、長期的に見
ればドラマティックな効果を生み出すと自
高速道路での自動運転の導入予想
動運転に期待した。
③ Mitsuhisa Shida, Toyota Motor Corporation, Japan
ト ヨ タ の 自 動 高 速 道 運 転 支 援 シ ス テ ム ( AHDA) の 紹 介 。 AHDA の
NHTSA の自動運転レベル上での位置づけを示すと共に、その目的やコ
ンセプト、構成と制御アーキテクチャを示した。AHDA の目的は縦/横
方向のドライバーの安全マージンを拡大すると共にドライバーの負荷を
軽減するものであり、その構成は全速度域での LTC(Lane Trace Control)
と V2V による C-ACC であることを示し、LTC 制御、C-ACC 制御の方法と制御結果の例を
示した。LTC では横位置のばらつきがエキスパートドライバレベルであり、C-ACC では減
-193-
速時に TTC の低下が生じないことが示された。また、HMI が非常に重要であり、Driver in
the Loop をキープするために新しい HMI を導入したことを示した。
AHDA システム構成
AHDA 制御アーキテクチャ
④ Dan Bartz, Booz Allen Hamilton, USA
米国ではトラック輸送に占める燃料コストが約 40%でコストも高止ま
りしており、約 3/4 の運送業者が新規ドライバーを確保できず、完全にリ
ソース不足の状態としてトラックの自動化が必要と述べ、世界各地のト
ラック自動化プロジェクトを紹介。米国ではフリーとの自動化を図るた
め Automated Vehicle Forum を約 40 社・機関で設立。その目的は道路イン
フ ラを 極 力 変 え ない 高 速 道で の 自 動 運転
車 導入 戦 略 と 、 自動 運 転 車の プ ロ ト 製作
と デモ お よ び 車 両運 用 者 や運 送 会 社 への
配 備拡 大 で あ る と述 べ た 。ま た 、 テ スト
サイトとして I-69 を紹介すると共に、自
動運転キット AMAS( Autonomous Mobility
Applique System)の構成、Forum の構成と
メ ンバ ー を 紹 介 し、 段 階 を追 っ た 自 動化
を行っていくとし、隊列走行を第 3 段階
AMAS 自動運転キットの構成
とした。
⑤ Maxime Flament, ERTICO, Belgium
i-Mobility Forum の Automation WG のミッション、目的、役割とアクテ
ィビティ、具体的活動を示した。WG の役割は自動化ロードマップの定義、
様々なイベント結果の流布、欧米日自動化 WG への入力と整合である。
自動化のレベルは BASt の分類で紹介し、実際の自動化の道筋はステーク
ホルダ(ex ドライバ、道路運用者、輸送運用者)により異なると述べた。
また現状、技術は成熟しているとしたが、交通規制の検知や信頼性、法的規制、標準化、
認証の課題を指摘した。自動化ロードマップは都市-地方ー都市間シナリオ、運転支援か
ら自動運転、アプリ記載、必要な R&D と大規模 Pilot の各項目を考慮した 2030 年までの
ロードマップを示した。
-194-
i-Mobility Forum の自動化ロードマップ
3. Host Selected Session
3.1
HS10 - Automated Driving - Next Generation Vehicle-Highway System
*モデレータ:古川
修, 芝浦工業大学, Japan
・出席者約 80 名で満席
・セッション概要:
米国から車両・道路自動化に関する US DOT Mulimodal R&D Program Plan の検討状況、
欧州から自動運転に関する FP7 プロジェクトの動向、日本から国土交通省の Auto-Pilot
システムに関する検討状況を主とした発表。
① Richard Bishop, Principal, Bishop Consulting, USA
USDOT ITS_JPO の発表予定者が予算のトラブルで来日できず、Bishop
氏が代理で発表。車両・道路自動化に関する US DOT Mulimodal R&D
Program Plan の検討状況を報告。本プランは他の関連機関の関心事項等
からのインプットを ITS_JPO でまとめ US
DOT の 2015-2019 年 ITS 戦
略プランのベースとするものであるとして、各関連機関の関心事項や、
各機関や国際との協調、各社の自動化に関する状況、キー技術や政策的課題について述べ
た。計画のメインテーマは Safe & Connected Vehicle Automation であるとして、まずは技術
ロードマップを作成するとした。
② Juhani Jaaskelainen, DG CONNECT, European Commission
欧州の ITS 施策を White Paper2011 と DAE(Digital Agenda for Europe)
を例として説明し、自動運転が交通の安全、効率、環境、利便の向上に
貢献する可能性が大きいとして今までの C-ITS や自動運転関連のプロジ
ェクト、最近のプロジェクトや支援活動の例を紹介。最近のプロジェク
トとしては、知的交通のための高度自動化車両の HAVEit(FP7)、都市交
通改善の CITYMOBILE(FP6)、アクティブ衝突防止の Interactive(FP7)を、支援活動と
-195-
し て は 自 動 運 転 に 必 要 な 車 両 ・ イ ン フ ラ シ ス テ ム 定 義 の Smart2010/0064 や 、 i-Mobility
Forum の AutomationWG や日米欧協調における Tri- lateral AutomationWG を紹介。また、次
のステップとして自動運転の FP7-IP(統合プロジェクト)である AdaptIVe や支援プロジェ
クトの VRA、および FP7-STREP( 戦略目的研究プロジェクト)である i-Game、COMPANION、
Autonet2030 を紹介し、自動運転関連研究・開発が次の Horizon2020 でも対象となることを
述べた。
③ 坂井
康一, 国土交通省, Japan
国土交通省では 1994 年から高速道での自動運転に取り組んでおり、現
在は高速道における ACC、CACC によるサグ解消プロジェクトを実施し
ていることを紹介。2013 年 6 月に政府は「日本再興戦略」「世界最先端
IT 国家創造宣言」でいずれも自動運転についてとりあげ、2020 年代に自
動運転を実現する こと をうたっており、 国土 交通省は 2012 年 6 月 に
Auto-Pilot システム審議会を立ち上げ、高速道路での自動運転実現のた
めのコンセプトや、課題を検討してきたとして 2013 年 10 月の中間報告の結果を紹介した。
Auto-Pilot システムは高速道路の安全、効率、環境、利便の向上が見込まれ、単一レーン
での自動運転、レーンチェンジを含む自動運転、分合流部や混雑箇所を含む自動運転の 3
段階で実現していくとして、最初の段
階を 2020 年代初めには実現したいと
してロードマップ案を示した。また、
その実現のためには様々な技術的/非
技術的課題の解決が必要であるとして、
法的課題としての 1949 年ジュネーブ
条約や道路交通法を示すと共に、国際
Auto-Pilot システムの自動化レベル
協 調 の 重 要 性 を 日 米 欧 Tri-lateral
Automation WG 活動として示した。
*一連の講演後の Q&A では責任問題やドライバの周囲モニタ義務、自動化のメリットや
B/C、国際協調の方針や項目、自動運転のゴールとマイルストン等様々な質問が出た。
責任問題に関しては、自
動運転はそもそも運転の
カルチャーが異なり、技
術的責任問題より社会受
容性の問題が大きいとの
回答がなされると共に、
ヒューマンファクターの
問題は責任問題に直結す
るため同様に重要である
との回答がなされた。米
Auto-Pilot システムの機能イメージ
国は自動化のメリットと
-196-
して効率を上げていた。
3.2
HS18-Cooperative ITS for Now and the Next Round 2
*モデレータ:内村
孝彦,理事, ITS Japan
・出席者約 30 名
・セッション概要:
日 本 よ り ITS Green Safety と し て の 取 り 組 み 、 C-ITS の ロ ー ド マ ッ プ や ホ ン ダ の
Showcase、米国より官民共同の取り組みや C-ITS のセキュリティ等の検討状況と VIIC
について、欧州より Amsterdam Group の活動と C-ITS コリドープロジェクトについて発
表
① 森
敬一,トヨタ自動車, Japan
2018 年に事故死者 2500 人以下、2020 年に渋滞の 2010 年比 50%削減を
めざし、ITS Green Safety が官民協同で推進され 2015 年 Day1 配備の準備
を行うと共に、2017 年以降の Day2 システムや、2020 年以降の将来シス
テムの検討を行っていることを紹介。官民の連携組織として ITS 推進会
議の下に ICSC 委員会をつくり、その構成を紹
介すると共に、実用化システムを運用の枠組み
を 含 め て 分 科 会 で 検 討 中 で あ り 、 ITS Green
Safety の 5 つの Showcase や右折衝突防止、信
号情報連携運転支援システムなどの例を紹介
した。また 、Day1、Day2、将来シ ステムに つ
いての簡単なロードマップが紹介されると共
に、実用化の課題は、魅力的なサービスパッケ
ージ、安価な OBU、ユーザインセンティブや
Day1、Day2 の概略ロードマップ
インフラ配備計画などの配備プログラムにあ
るとした。
② Roy Goudy, Nissan Technical Center North America, USA
CAMP VSC3 コンソ
ーシアムと US DOT
は協同で V2V のモ
デル配備、セキュリ
ティ検討、相互運用
性等の安全研究活動に当たっている
こ と を 紹 介 。 V2V モ デ ル 配 備 と し て
Safety Pilot プ ロ ジ ェ ク ト を 紹 介 す る
SCMS の実用化モデル
-197-
と共に、認証プロセスの必要性を示した。セキュリティについてはなお検討中であり、現
状、基本メッセージである BSM は暗号化されていないが SCMS *1 が発行した PKI で認証の
デジ タル 証明 書を 有 し て運 用し てい ると
述べると共に、SCMS や不正行為検知等の
検討 状況 につ き詳 細 に 紹介 した 。ま た、
乗用車メーカのコンソーシアムである
VIIC の活動を紹介し、自動運転の効果を
VIIC のビジョン
最大限引き出すには Connected であるこ
とが重要とし、Connected Vehicle と Automated Vehicle が共に発展、融合していくというビ
ジョンを示した。
*1:Security Credential Management System
③ Teresina Herb, BASt, Germany
欧州の C-ITS コリドープロジェクトと Amsterdam Group のロードマッ
プを紹介。C-ITS コリドーはオランダ、ドイツ、オーストリア 3 国が協
調して共通ロードマップと仕様のもとに C-ITS の Day1 サービスを実施
しようとするもので、事前
配備とコンセプト実証、3
国間の道路工事警告とプローブ情報の C-ITS
コリドー配備、各国での展開の 3 段階で実施。
Amsterdam Group は C-ITS 実用化推進の主要
4 機関の集まりで 2011 年に結成され、最近
2015 年からの C-ITS 配備のためのロードマ
ップを発表したことを紹介しその内容につ
いて述べた 。ロード マ ップでは段 階的配備 、
Day1 ア プ リ へ の 焦 点 、 欧 州 標 準 の 準 拠 、
ITS-G5 とセル ラーのハ イブリッ ド通信等 を
アムステルダムグループの構成
うたっている。
④ 横山
利夫, ホンダ技術研究所, Japan
ITS 世 界 会 議東 京 で の
「自 由な 移 動の 楽し み 」
と「 豊か な 持続 性社 会 」
を目 指し た ホン ダの 豊 洲
駐車場での Showcase を紹介。自動運転実験
車による自動駐車や二輪車、歩行者間との
通信による見えない場所の安全・安心サー
ビスについて Showcase のシステム構成や
ホンダ Showcase のデモシステム
シナリオが紹介された。ホンダはあくまで
-198-
もドライバーとの調和の上に立った自動運転を目指していると述べた。最後に、C-ITS で
は標準と共通ハードウェア、車載センサとテレマティクスの協調、ビジネスモデルでの実
配備シナリオ等が、協調自動運転では将来ビジョンの共有、官民の役割と責任定義、自動
運転の定義と法、全道路ユーザーによる実配備シナリオがキーイシューであるとした。
-199-
4.Showcase
豊洲駐車場で実施された公道を使ったトヨタ自動車の AHDA *1 デモ、ホンダの安全運転
支援デモと駐車場内で実施された自動緊急ブレーキのデモについて紹介する。
(1) トヨタ自動車 AHDA *1 デモ
豊洲駐車場を出て豊洲-門前仲町間の首都高を使っ
てデモが行われた。AHDA はカメラによる白線検知を
ベースにした LTC *2 とミリ波レーダー+700MHz 帯車
車間通信を用いた CACC を組み合わせた高速道自動走
行である。LTC は白線検知結果よりトレースすべきラ
インを設定すると共に、速度制御と連動し、カーブで
はその曲率に応じて進入減速、離脱加速を行い横 G を
抑えており、首都高のかなり急なカーブでもスムース
700MHz 帯車車間通信アンテナ
な運転であった。LTC は ACC あるいは CACC が ON
状態でないと働かないようになっており、また白線を検出できなかった場合には LTC 機能
のみ OFF になる。CACC における車間制御は、ミリ波レーダーで検知の車間距離と通信で
送られる先行車両の車速、加速度、車両 ID を用いており、GPS 位置は検出はするが車間
制御には用いていない。CACC 制御の minTTC は 1sec とのこと。
*1
*2
Automated Highway Driving Assist
Lane Trace Control
CACC モード(車間や現在速度、アクセル・ブレーキ状態が表示される)
ACC+LTC モード(道路の線形や、車両の横位置偏差が表示される)
-200-
(2) ホンダ安全運転支援デモ
豊洲駐車場を出て豊洲-芝公園間の首都高と一
般 道 を 使 って デ モ が 行 わ れ た 。 首都 高 では ACC
と LKAS がデモされた。LKAS はカメラによる白
線検知をベースに操舵制御を行う点ではトヨタの
LTC と同じだが、ハンドル応力を検知してハンド
ルから手を離すとアラームするようにしており手
安全運転支援デモ車
放し運転ができない仕組みになっている。
また、一般道ではスマホとセンターサーバーと
の通信でインターナビのプローブを利用した危険箇所情報提供のデモと、狭い路地など「ナ
ローレーン」と急ブレーキ多発箇所「ハードブレーキ」をスマホ画面に提示していた。情
報提供場所の位置ベースはスマホの GPS を使用。なお、約 1sec 間隔で車車間通信をスマ
ホ~サーバー~スマホという形で実施しているとのことで、メッセージは CAM/DENM を
使用し、この間の遅延はサーバー側の処理速度を速めることで約 200msec を実現している
とのことであった。
危険箇所情報提供の表示例
(3) 自動緊急ブレーキデモ
豊洲駐車場にて、BMW,マツダ,富士重,三菱自工,ダイハツ,スズキの各社が自動緊
急ブレーキのデモを実施。これらは各社名称が異なるが、いずれも約 20~40km/h 程度か
ら走行し停止車両を模したバルーンや板に対し、ドライバーが対応しない場合に自動ブレ
ーキで停止あるいは被害軽減するもので、デモは助手席に乗車して停止までの自動ブレー
キを体験する。
マツダは SCBS(スマートシティブレーキサポート)の名称で約 30km/h の速度から急制
動をかけるもので、定員・定積の路面 wet 状態では TTC 1.6sec で警報し、0.9 sec でブレー
キングするとのことであった。これに対し、BMW のシステムは原則、高速から自動ブレ
ーキングが速度に応じて働
き(速度が高いとブレーキ
G は小)、3sec 前にブレーキ
警 告 し 最 後 の 0.5sec で は
1G と い う ブ レ ー キ ン グ を
行う。
マツダと BMW のデモ車
-201-
5.Exhibition
①ブース概要
現在までの開催地一覧
Smartway:国交省(道路局 )
総務省
三菱電機/電気・通信
ITS Japan
ASV-5:国交省(自動車交 通局)
TOYOTA/自動車
ITS America & Canada
-202-
NEDO
DSSS:警察庁
DENSO/サプライヤ
Kapsch/海外メーカ
② 周辺検知関連
パナソニックと富士通テンが広帯域 79GHz レーダーを展示。パナソニックは総務省ブー
スでも歩行者検知のデモを実施していた。パナソニックの 79GHz レーダーは電子スキャン
方式で水平 1 度きざみで 120 度の範囲を 40m まで測距可能とのことであった。また、距離
分解能/角度分解能は各々9cm/5 度とのことである。富士通テンのブースでは広帯域化で
角度や距離分解能が高くなることを示していた。
パナソニックの 79GHz レ ーダーと歩行者検知
富士通テン 79GHz レーダ ーの検知例
富士通は水平/垂直 140 度で約 7.5 万点/回を MEMS ミラーを使って 15Hz で測距可能
な 3 次元レーザレーダーを展示していた。展示品の測距範囲は約 15m とのことであった。
富士通の 3 次元広角レーザ レーダーとその構成
また、住友電工は準ミリ波帯の車両・歩行者検知用(検出距離:車両 150m,歩行者 30m)
のインフラレーダーを、スズキやダイハツは安価なレーザレーダーを使用した低速度緊急
自動ブレーキシステムの装着車両を展示していた。スズキ
フロントシールド上部に、ダイハツ
ワゴン R のレーザレーダーは
MOVE のレーザレーダーはフロントグリルに取り付
けられている。単眼やステレオカメラを用いた画像処理による車両・歩行者等や区画線・
信号・標識等の検知技術も多くのメーカから紹介されていたが、NEC は Mobileye のよう
な単眼カメラを用いたフレーム比較法による距離検出を用いた立体物認識を展示していた。
スズキ(左)とダイハツ(右)のレーザレーダー
-203-
N EC の単眼カメラ距離検知
③ HMI
カーメーカやサプライヤのブースにおいて HUD 製品やドライバー状態検知技術の展示
が数多く見られた。ドライバー状態検知に関しては DENSO やアイシンに加え、富士通、
沖電気、スズキ自動車等が展示やデモを行っていた。
左より富士通、沖電気、スズキ自動車のドライバー状態検知
④ 車車間・路車間通信
日本の ITS スポットサービス、システムやその DSRC 車載器に加えて、DSSS 路車間サ
ービス・システム、ASV 車車間サービス・システムやその実証に用いた 700MHz 帯や 5.8GHz
帯の通信機、および欧米の路車・車車間協調システムの FOT に用いた 5.9GHz 帯の通信機
が展示されていた。また、DSRC 車載器におけるスマートフォン連携等も出てきている。
DENSO(700MHz 帯)
Panasonic(700MHz 帯)
NEC(通信機と通信モジュ ール;5.9GHz 帯)
-204-
沖電気(5.8GHz 帯)
Kapsch(5.9GHz 帯)
6.「エネルギーITS 自動運転隊列走行システム」実況生中継ショーケース
ITS 世界会議東京 2013 で設定された約 20 件のショーケース(うち実況生中継は 3 件)
のうちの1つとして、経済産業省系の NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の
プロジェクトで行われた「エネルギーITS 自動運転隊列走行システム」を紹介するショー
ケース(N03)が設定され、つくばにある(独)産業技術総合研究所のテストコースで行
われる自動運転隊列走行の実況生中継によるデモンストレーションが、ショーケース会場
に設置されたステージ(20 人規模)およびアトリウム会場(150 人規模)で行われた。
実況生中継は 1 回あたり 30 分間で実施され、生中継を見た後に自動運転隊列走行に関
する受容性調査アンケートが行われた。期間中にショーケースステージで 5 回、アトリウ
ム会場で 5 回、合わせて 10 回行われ、聴講者は 4 日間 2 会場合計で約 800 名となった。
ショーケースステージでの実施状況
アトリウム会場での実施状況
車間距離 4m の空撮映像
アトリウム会場での冒頭挨拶(NEDO)
デモンストレーションの構成は、最初に東京会場の MC が事業の目的・概要等を説明、
その後、つくばのテストコースの現地レポーターにバトンタッチしデモの様子を実況生中
継で、大型トラック 3 台による 80km/h、車間距離 4m での自動運転隊列走行のデモンスト
レーションを紹介、最後に再び東京が引き取り、今後の取り組み等の紹介を行い全体をま
とめた。
親子 2 画面を映せる大型モニター2 つを用いたデモの実況生中継では、一つのモニタに
は、実験車両の隊列走行を併走する車両から撮影した生映像を映し、もう一つのモニター
には、レポーターからの質問に対して、説明員が応える様子を同時に映す形で行われた。
-205-
また、東京会場からの質問に対しても、インタラクティブにつくばの説明員が回答すると
いう形式が取られ、臨場感を盛り上げた。
また、車間距離が 4m であることを実感しやすい空撮映像や、ステアリング操作・アク
セル操作を自動で行っている運転席映像、キーとなる技術の CG を用いた説明などの映像
が適宜挿入され、技術開発成果がわかりやすく紹介した。
7.
「エネルギーITS 自動運転隊列走行システム」ポストコングレスツアー(PT6)
ITS 世界会議東京 2013 の公式ツアーとして、ITS 世界会議終了直後の 10 月 19 日(土)
にポストコングレスツアー(PT6)が設定され、13 名(うち外国人 8 名)が参加した。
ツアーは、午後半日コースで、ITS 世界会議会場(東京ビッグサイト)からつくばの(独)
産業技術総合研究所のテストコースまでチャーターバスで往復、つくばでは 2 時間程度を
かけて自動運転隊列走行デモの試乗見学を実施した。
試乗デモは 2 種類あり、80km/h での大型トラック 3 台による自動運転隊列走行を、①
車間距離 10m で行ったデモを助手席に試乗して体験して戴いた後に、②車間距離 4m での
デモについては、併走するマイクロバスから見学する、というものであった。また、試乗
の前後で技術紹介や現車見学、質疑応答や意見交換、アンケートによる受容性調査などの
時間を確保した。
エネルギーITS 自動運転隊列走行ポストコングレスツアー(PT6)実施風景
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