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皮膚に用いる薬といえば、皮膚の炎症や湿疹、
痒みに対処するための薬であることが多いので
すが、こういった症状に対して 強力に作用する
成分といえば、やはりステロイド系の成分といえ
ます。皮膚薬に用いられるステロイド系の成分
は抗炎症成分の一部ともいえます。
具体的な成分名としては デキサメタゾン
プレドニゾロン、ヒドロコルチゾンです。これらは
ステロイド性の抗炎症成分で痒みなどをすばや
く和らげますが、免疫機能低下などの副作用は
いうまでもありません。
また これらの皮膚薬に用いられる ステロイド
性抗炎症成分 デキサメタゾン プレドニゾロン、
ヒドロコルチゾン は患部のプロスタグランジン
を抑えるという点もちゃんと理解しておきましょう。
また、これらのステロイド性抗炎症成分は
コルチゾンに換算して1gまたは 1ml中に
0.025 mgを超えて含有する製品は 長期連用を
避けるべきとされ、これらの製剤を塗る場合もで
きるだけ狭い範囲に 適用するほうがよいとさ
れ、慢性の湿疹には適さないとされています。
一方 非ステロイド性の抗炎症成分のうち、皮
膚のほてりや痒みなどに適応される成分として
ブフェキサマク、ウフェナマートという成分が適
用される。
これらの成分は筋肉痛には適さないとされ筋肉
痛に適するのは インドメタシン、ケトプロフェン、
フェルピナク、ピロキシカムといった成分であり、
筋肉痛をはじめ、関節痛、打撲、捻挫などによ
る痛みを鎮める鎮痛作用があるとされます。
これらの非ステロイド性の抗炎症成分も やは
り 長期連用はよくないとされます。これらの成
分の副作用として 喘息症状の悪化や腫れ、刺
激、だだれなどがある、インドメタシンは特に皮
膚の弱い人は要注意です。
またピロキシカムは 光過敏症などの副作用が
ある場合もあり、ケトプロフェンはアナフィラキ
シー様症状がでたり、接触性皮膚炎、光過敏症
などの副作用もある場合があるのです。
また痛みを鎮める鎮痛成分として、サリチル酸
系の成分として サリチル酸メチルや
サリチル酸グリコールが配合されることもありま
す。
これらの成分は 血行を促し、抹消の知覚神経
を麻痺させることで鎮痛効果を得るものと推測
されます。 同じ サリチル酸系の成分でも単なるサリチル
酸は 肌の角質を軟らかくして、抗菌作用、抗真
菌作用、抗炎症作用を発揮しにきびなどにも用
いられる成分です。
同じサリチル酸でも かなり分類の異なる皮膚
薬となるので混同しないようにしてください。この
にきび、などに用いられるサリチル酸と同じよう
な働きの成分として配合されるものに イオウが
あります。
サリチル酸やイオウは 角質軟化剤に分類さ
れ、抗菌作用は メインの作用ではありません
が抗菌作用がメインの作用となるものに、サル
ファ剤、バシトラシン、硫酸フラジオマイシンなど
があります。
ちなみに サルファ剤というのは総称のようなも
ので、スルファソミジン、スルファジアジンホモス
ルファミンなどです。
このサルファ剤にあたる成分は 細菌のDNA合
成を阻害します。
一方、バシトラシンは 細菌の細胞壁の合成を
阻害します。また 皮膚の化膿箇所などに
適用されるクリーム、軟膏などでおなじみの、硫
酸フラジオマイシンは 細菌のタンパク質合成を
阻害するのです。
再び、皮膚などの痛みを鎮めたり、痒みを鎮
める 鎮痛、鎮痒成分について
局所刺激成分にあたるものを いくつかあげて
みましょう。
冷たい感覚の刺激を与えて、血行を促進し
ながら、知覚神経を麻痺させる成分を
冷感刺激成分といい 反対に 暖かい刺激で
もって 同様の効果を得る成分を温感刺激成分
といいます。 冷感刺激成分には メントール、カンフル、ハッ
カ油などで温感刺激成分には 唐辛子のエキス
でもある カプサイシン、などがあります。
次に 皮膚に対して抗菌作用のある成分のう
ち 皮膚糸状菌 つまり白癬菌 いわゆる
水虫菌にたいして用いられる成分をみていきま
す。
まず イミダゾール系抗真菌成分にあたるもの
がいくつかあります。
硝酸オキシコナゾール 塩酸ネチコナゾール、
などがあります。これらの成分のはたらきは
ターゲットとなる真菌の細胞膜の産生を妨げた
り、細胞膜の透過性を変化させたりすることで
抗真菌作用を発揮するのです。 一方 イミダゾール系ではない抗真菌成分には
塩酸ブテナフィンがあり、塩酸ブテナフィンは 皮膚糸状菌の細胞膜の合成そのものを阻害し
ます。
ウンデシレン酸は患部を酸性にすることにより
真菌を抑え込みます。
では 次に 上げる皮膚薬成分は 頭皮や毛根
などに働く成分です。
これらが配合される薬は、脱毛やふけ かゆみ
育毛などを目的とした製剤に
有効成分として配合されるいくつかのものがあ
ります。
まず 脱毛などが 男性ホルモンに起因すると
いわれることから、逆に女性ホルモンである
安息香酸エストラジオールを補充する薬剤があ
ります。これにより 脱毛などを防ぎ
育毛をするというものですが、この成分を含む
薬剤は 妊婦などがとることは避けるべきです。
また 塩化カルプロニウム という成分は アセ
チルコリン様の類似作用を示すため
血管を拡張させます。そのことにより適用局所
にて血管を拡張して 毛根への血流を促します。
また カシュウという生薬成分は 頭皮におけ
る 脂質の代謝を高めます。
そのことにより余分な脂質が 毛根に悪影響を
与えることを防ぐのです。
また ヒノキチオールというヒノキ科の植物から
得られる精油成分は 頭皮や毛根に適用されま
すが抗菌、血行促進、抗炎症などの作用を期待
して配合されます。