ぶんぶんミツバチ - 岡部由紀子のホームページ

「ぶんぶんミツバチ」 1869 年 絵と文: ヴィルヘルム・ブッシュ
抄訳:岡部由紀子
„Schnurrdiburr oder die Bienen“ Bilder und Verse: Wilhelm Busch (1832 – 1908)
第一章
←ライ麦の藁紐を柳の
枝の樹皮で 編んだ 巣
籠が 雨除 け の つ いた
置き場に並んでいる
→羽化後17―19日
ぐらいの働き蜂は巣の
ようこそ、若葉と花にあふれる5月
入り口で、見張りにつ
ようこそ、朝の光に輝くミツバチ
き、ハチノスツヅリガや
蜂蜜どろぼう 手出しはできぬ
巣籠を 出たり入ったり
ネズミ、よそ者の蜂を
入り口で 番兵たちが通せんぼ
朝早くから 元気いっぱい 飛び回る
追い払う
←羽化後10―1 8日
ぐらいの働き蜂は、腹
からロウを出して、巣
作りをした り、蜜や花
粉の貯蔵、巣全体の
掃除、育児など巣の中
腕のよい職人達は 切ったり 測ったり
での仕事に携わる →
六角形を 横に並べて 組み立てる
きれいにするのは一仕事
でも終われば さっぱり 気持ちいい
← 女王蜂の卵は働き
蜂と同じ有精卵だが、
大型の円錐形の巣室
に産みつけられる。
→働きバチや雄蜂も
幼虫の時は、ローヤル
ゼリーを食べるが、女
こちらでは 王女のお世話に 余念ない
王蜂は、一生ローヤル
侍女達は いったり来たり 大忙し
「水ちょうだい 急いでお粥も作ってね」
ゼリーを食べ続ける
女王陛下が お目覚めだ
←無精卵から生まれ
る雄蜂は、結婚飛行に
でかけて交尾する以
外の役目はない。交尾
をすると死んでしまう。
交尾できなかった雄蜂
大食らいで怠け者、能なしで役立たず
は、巣に戻りなんの仕
「なんだ もう こんな時間だ!
ぶつくさうるさい 男たち
事もせずに働き蜂から
おい、おまえ
まだ 寝床の中でごーろごろ
餌をもらって暮らす。
蜂蜜のパンと 酒を持ってこい!」
←羽化後20日頃か
ら、働き蜂は花蜜と花
粉を集める仕事をす
る。働き蜂の寿命は、
30~40日。
蜂蜜パンとは、若い働
き蜂が花粉団子をか
「ちょっと待ってて、食いしん坊さん」
みくだ き、 蜂蜜と まぜ
一杯飲み屋で プリムラは
クロッカスのパンやさんまで ひとっ飛び
て育児室のそ ばの 巣
お客に 飲み物 出している
「はい、8の字パン 焼きたてで甘いわよ
室につめたもの。タン
手紙の返事
酒場のプリムラさんによろしくね!」
パク質に富む。
バラの葉っぱに したためる
→さまざまなコロニー
から結婚飛行にやって
くる雄蜂たちは、空中
の高い場所(地上10
~40m)に集まり、女
王蜂がやってくるのを
待つ。羽化して1週間
ぐらいの若い女王蜂
やっと、家にかえってくると
は、そこで数匹の雄蜂
まちかねていた 男たち
と交尾する。たいてい
怒ってぶんぶんわめいてる
おつかいミツバチ
は一回の結婚飛行
「おい のろま! こっちへ寄こせ!
プリムラの 大事なことづけ
で、一生に必要な分の
おれたちに なんでも 自分でやれと
クロッカスに さっそく配達
精子を体内に蓄える。
いうのか!」
第二章
第三章
第四章 から抜粋
ひとつのコロニーには
女王蜂は一匹。新女
王蜂が羽化しそうにな
ると、母親である古い
女王蜂は、コロニーの
半数ぐらいの働き蜂と
共に、新しい営巣場所
を求めて巣を去る。こ
れ を 分 封 ( 分 蜂) と 呼
び、2万から3万の蜂
の群れが上空を飛び
まわり、やがて近くの
枝などに集まり、蜂球
をつくる。5月から6月
に、分封が見られる。
おれの蜂 リンゴの枝にぶるさがる
そのとき 左の脛に 蜂の一刺し
慌てて持ちだす 梯子と藁籠
ボキッ! 梯子が折れて 真っ逆さま
おちゃのこさいさい 捕まえた!
ブンブンと あたりを旋回 蜂の群れ
水鉄砲にもひるまず ブンブン
ほうきもラッパも へいっちゃら
煙突掃除も目撃したよ 大移動
こんどは教会 屋根の上
飼い主 足をひきずり やってきた
逃げたミツバチ 未練が残る
ズドーン!森番 一発ぶっぱなす
遅かりし もう 一匹も見えやしない
大きな巣籠にたくす 一縷の望み