を退職すると、それまで加入していた 健康保険や厚

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病 院 又 は 診 療 所 等( 以 下 病 院 等 )を 退 職 す る と 、そ れ ま で 加 入 し て い た
健 康 保 険 や 厚 生 年 金 保 険 の 被 保 険 者 資 格 を 喪 失 す る こ と に な り ま す 。そ の た め 、
退職後にはこれらの加入手続きを、原則として退職者自身で行わなければなり
ません。
[解 説 ]
<健康保険>
現在、日本では国民皆保険制度が導入されており、国民全員が何らかの健
康保険制度に加入することになっています。病院等に勤務している間は全国
健康保険協会(協会けんぽ)もしくは健康保険組合の健康保険に加入するこ
とが一般的ですが、退職後には通常、以下の3つから選択することとなりま
す。
1.退 職 前 に 加 入 し て い た 健 康 保 険 制 度 の 任 意 継 続 被 保 険 者 に な る
任 意 継 続 被 保 険 者 と は 、退 職 後 も そ れ ま で 加 入 し て い た 健 康 保 険 制 度 に 引
き 続 き 加 入 し 、そ の 被 保 険 者 と な る こ と で す 。任 意 継 続 被 保 険 者 に な る た め
には、健康保険の被保険者期間が、退職の日までに継続して 2 か月以上あ
る こ と が 必 要 で 、2 年 間 を 限 度 と し て 加 入 す る こ と が で き ま す 。加 入 手 続 き
と し て は 、退 職 し た 日 の 翌 日 か ら 20 日 以 内 に 加 入 し て い た 健 康 保 険 の 保 険
者へ届け出をすることとなります。
保 険 料 は 原 則 と し て 退 職 時 の 標 準 報 酬 月 額 に よ り 算 定 さ れ ま す 。な お 、こ
の 標 準 報 酬 月 額 に は 上 限 が 定 め ら れ て お り 、協 会 け ん ぽ で は 28 万 円( 平 成
24 年 度 ) と な っ て い ま す 。 こ の た め 、 退 職 時 の 標 準 報 酬 月 額 が 28 万 円 超
で あ っ て も 、保 険 料 を 算 定 す る 上 で は 標 準 報 酬 月 額 が 28 万 円 と し て 算 定 さ
れ ま す 。算 定 に 利 用 さ れ る 保 険 料 率 は 、加 入 し て い た 健 康 保 険 制 度 の 料 率 と
な り ま す 。な お 、保 険 料 に つ い て は 、在 職 中 に は 病 院 が 折 半 負 担 し て い た 保
険料分も任意継続被保険者である本人の負担となります。
2.国 民 健 康 保 険 に 加 入 す る
国 民 健 康 保 険 は 、各 市 町 村 が 運 営 す る 健 康 保 険 制 度 で す 。一 般 的 に は 自 営
業 者 等 が 加 入 す る 保 険 と 言 わ れ て い ま す 。加 入 手 続 き は 、退 職 日 の 翌 日 か ら
14 日 以 内 に 、居 住 地 の 市 町 村 で 行 う こ と に な っ て お り 、市 町 村 に よ っ て は
手 続 き の 際 に 、退 職 日 を 確 認 す る 資 料 と し て 退 職 証 明 書 等 の 提 出 を 求 め ら れ
ることがあります。
保 険 料 は 、市 町 村 に よ っ て 算 出 方 法 が 若 干 異 な り ま す が 、前 年 の 所 得 を 基
準 と し て 計 算 さ れ る た め 、前 年 の 所 得 の 多 い 人 が 退 職 後 す ぐ に 国 民 健 康 保 険
に加入すると、保険料が高くなる場合があります。
3.医 師 国 保 に 加 入 す る
1.2.の ほ か に 、 医 師 国 保 に 加 入 す る と い う 選 択 肢 も あ り ま す 。
医 師 国 保 は 、医 師 及 び そ の 家 族 又 は 診 療 所 の 従 業 員 及 び そ の 家 族 が 加 入 す
ることが出来ます。
加 入 要 件 と し て は 、事 業 主 が 医 師 会 に 加 入 し て お り 、各 都 道 府 県 の 医 師 国
保組合が定める要件を満たす必要があります。
保険料は、各都道府県の医師国保組合が定める保険料となります。
( Q2-8 参 照 )
<国民年金>
次 に 公 的 年 金 に つ い て 取 り 上 げ ま し ょ う 。 ま ず 20 歳 か ら 60 歳 ま で の 日
本国内に居住している人は、国民年金の被保険者になります。この国民年金
の 被 保 険 者 に は 以 下 の 3 種 類 が あ り 、病 院 等 に 勤 務 し て い る 間 は 、第 2 号 被
保険者となります。
1.第 1 号 被 保 険 者
日 本 国 内 に 住 所 の あ る 20 歳 以 上 60 歳 未 満 の う ち 、 第 2 号 ・ 第 3 号 被
保険者でない人
2.第 2 号 被 保 険 者
サ ラ リ ー マ ン や 公 務 員 な ど 、厚 生 年 金 保 険 や 共 済 年 金 な ど の 被 用 者 年 金 の
被保険者
3.第 3 号 被 保 険 者
第 2 号 被 保 険 者 の 収 入 に よ り 生 計 を 維 持 し て い る 20 歳 以 上 60 歳 未 満 の
配偶者など
病院等を退職した後は、通常、第 1 号被保険者に該当することとなり、
その切り替え手続きを行わなければなりません。
☆
第 1 号被保険者に切り替える
通 常 、退 職 後 は 第 1 号 被 保 険 者 へ 切 り 替 わ る こ と と な り ま す 。手 続 き は 、
退 職 日 の 翌 日 か ら 14 日 以 内 に 、 居 住 地 の 市 町 村 役 場 で 行 い 、 そ の 国 民 年
金 保 険 料 は 月 額 14,980 円 ( 平 成 24 年 度 ) と な っ て い ま す 。 な お 、 一 定
の要件に該当すると、保険料が免除される制度もありますが、国民年金は
強制加入となっているため、免除を受ける場合には切り替えの手続きと併
せて免除の手続きを行う必要があります。
以上のように、健康保険・公的年金は、加入する制度により、手続きや
保険料が大きく異なり、家族や配偶者の状況によっても変わります。病院
等は、退職者が手続きをスムーズに進められるように資格喪失手続きや退
職証明書の発行を速やかに行うことが求められます。また、手続きや保険
料の違いを事前に退職者は把握しておきたいものです。