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No.
110
May
2002
■
第 25 回卒業証書・学位記授与式
平成 14 年総合医学研究所春季セミナー
■学事
第31回入学宣誓式
平成15年度入学試験説明会〈予告〉
平成14年度オープンキャンパス/進学説明会〈予告〉
退任教授のご挨拶
新任教授紹介
マーサ大学 アン・ジョウブ新医学部長本学を訪問
第22回教育懇談会 最近の医学教育の動向
第4回PBLテュートリアル・テューターワークショップ
平成14年度医学部第1学年オリエンテーション
附属看護専門学校 第14回卒業式・第15回入学式
■学生のページ
受賞の喜び
The Teacher of the Year
卒業生、学長と熱く語る
シリーズ:私が医師になりたい理由・なった理由
新入学生インタビュー
2002年度マーサ大学交換留学報告
■学術
平成13年度奨励研究及びHRCプロジェクト研究
発表集会
■病院
第20回北陸腎移植連絡協議会
接遇教育特別講演会
病院新入職員オリエンテーション
平成13年度臨床研修医研修修了証書授与
■管理・運営
小田島粛夫理事長再任 新陣容決まる
学校法人金沢医科大学平成14年度予算
平成14年度新入職員辞令交付式
■随想・報告
第1回日本伝統捕鯨地域サミットに参加して
旅に病んで
■教室紹介
生化学Ⅰ、生化学Ⅱ、胸部心臓血管外科学
総医研・人類遺伝学研究部門(臨床)
□金沢医科大学創立30周年記念事業 募金のお願い
□金沢医科大学学術振興基金 募金のお願い
金 医 大 学 報
第25回
2
卒業証書・学位記授与式
第17回 博士学位記授与式
平成14 年3 月20 日(水)午前10時から、本学講堂
において第25回卒業証書・学位記授与式並びに第17
回博士学位記授与式が行われた。
はじめに、医学部卒業生101 名の氏名が読み上げら
れ、卒業生総代として櫻井久美さんに卒業証書・学
位記が授与された。引き続き、大学院医学研究科修
了生20 名の氏名が読み上げられたあと、修了生総代
として三浦順子医師に博士(医学)学位記が授与さ
れた。
このあと、竹越襄学長の式辞、小田島粛夫理事長
の告辞があり、続いて、来賓の坂本滋金沢医科大学
医学部卒業生総代 櫻井久美さん
大学院修了生総代 三浦順子さん
北辰同窓会会長から、卒業生並びに修了生に祝辞と
はなむけの言葉が贈られた。
益谷秀次賞(副賞:懐中時計)は櫻井久美さんに、
北辰同窓会会長賞(副賞:置き時計)は山田奏子さ
んに、学長賞(副賞:輪島塗文箱)は星野智子医師
にそれぞれ授与された。
最後に、在学生を代表して細川謙蔵君が送辞を読
み、これに対し卒業生を代表して山田奏子さんが答
辞を述べ、式は無事終了した。そして卒業生、修了
生らは列席者の盛大な拍手に送られて会場を後にし
た。
3
金 医 大 学 報
式 辞
学 長
竹 越 襄
本日、第 25 回金沢医科大学卒業証書・学位記授与式並びに第 17 回博士学位記
授与式を挙行するに当たり、卒業された皆さん、および本学大学院を修了され
めでたく医学博士の学位を取得された先生方に、心よりお喜びとお祝いを申し
上げたいと思います。
これまでの皆さんのご努力に敬意を表しますと共に、この日を待ち望んでお
られたご両親はじめご家族の皆様に、心よりお祝い申し上げたく存じます。ま
た、ご多忙中の所、本卒業式にご臨席を賜りましたご来賓、関係者各位に厚く
お礼申し上げます。
さて、本学の医学部卒業生は本年度をもちまして 2,506 名に、また、大学院医
学研究科博士課程を修了し学位を取得された方は 271 名に上り、医師としてまた、
医学研究者として国内外で活躍しておられます。
本学は本年をもって創立 30 年を迎えます。来年には新病棟の完成に合わせて30周年事業が挙行されます。
皆さんは、この記念すべき節目に卒業されるわけですので、一生の思い出になることと思います。
さて、今日の日を迎えるにあたり、諸君がまず第一に心に銘ずべきは、これまで大変お世話になったご
両親、ご家族への恩であります。精神的、肉体的さらに経済的に非常なご苦労をされ、諸君を支えて下さ
った方々に、感謝の気持ちを忘れずにいて欲しいと思うものです。教職員もさることながら、日本国家も
諸君の医学教育に大いなる支援を行っていることも忘れずにいてもらいたいと思います。
次に心に銘ずべき第二として、医師は生涯学習が責務であるということです。卒業後は、各人それぞれ
目指す道は異なりますが、医学を一生友とする訳ですから、生涯勉強せねばなりません。今までの知識は、
大きな医学・医療の領域からみると、ほんの一部です。また、さらに医学は日進月歩どころか秒進分歩の
速さで進んでいます。これらを考えると、気が遠くなる程の膨大な量の知識と技術の習得が必要となりま
す。しかし、諸君はその若さと情熱でこれからの難関を突破して下さい。
心に銘ずべき第三のことは、謙虚な気持ちで人と接するということです。医療の現場では、今までの学
生としての扱いは無くなり、一人前の医師として見られる訳ですから、頼りにされる一方、厳しい目にさ
らされます。先輩医師・看護師さらにパラメディカルの多くの人々の目が諸君を見ております。恐らく厳
しい目の方が多いでしょう。その時、謙虚さが一番です。何事も教えを乞う気持ちで接して下さい。ベテ
ランの看護師さんは、駆け出しの諸君が逆立ちしてもかなわない程何でも知っています。全て謙虚に、お
ごることなく、傲慢な態度をとることなく、教えてもらって下さい。これが一番患者様の為になるからで
す。患者様の為になる事を先ず優先にして下さい。
近頃、医療事故が多発し、マスコミ上で毎日のごとく報道されておりますが、半分以上は patient-doctor
relationship の破綻、すなわち、患者様と医師の信頼関係がうまくいっていない場合に発生します。この両者
の信頼関係、すなわち、充分な informed consent と病める人への愛情があれば、事故は起きないと考えられ
ます。このことも心に銘じておいて下さい。以上、説教がましいことを申し上げましたが、小生の臨床医
としての今までの経験と、日頃感じていることを述べさせて頂きました。
最後に一言、この金沢医科大学は諸君の母校です。母校の隆盛を願うのは当然です。しかし、残念なこ
とに母校に残って勉強する卒業生が少なくなりました。我々教職員も在学中充分なことも出来ず、反省す
べき点が多々あると思いますが、是非、母校に残って、研鑽を積んで頂きたいと思います。諸君の先輩も
次々と母校の教授や助教授に就任しております。本学の将来は、偏に諸君達卒業生にかかっております。
是非、このことを忘れずに、将来の方針を決めて頂きたいと思います。
では、健康に気をつけて頑張って下さい。健闘を祈ります。
4
金 医 大 学 報
告 辞
理事長
小田島 粛 夫
本日、めでたく医学士の学位をお受けになった卒業生の皆さん、そして医学博士
の学位を取得された、大学院修了生の皆さんのこれまでの努力に対して、敬意を表
すると共に、この日を待ち望んでおられた、ご両親をはじめご家族の方々に対して
も、心からお祝いを申し上げます。また、お忙しい中を、卒業式にご臨席を賜り、錦
上花を添えていただきました、御来賓関係者各位に、厚く御礼を申し上げます。卒
業生並びに修了生の皆さんは、今日まで皆さんを応援してこられた多くの方々、さ
らに広く社会全体に対して、感謝の念を新たにしていただきたいと思います。
昨年9 月のテロ事件は、皆さんの心の中にも暗い影を落としていると思いますが、
この事件は、単なる「野蛮極まりない卑劣なテロ行為」
、また「文明あるいは宗教的
対立」と捉えられておりますが、私は「人間性を無視した、人間の素朴さ、自然さ
を忘れた現代社会、現代文明に対する警告」であると思っております。
19 世紀後半から20 世紀にかけて、科学および科学技術が急速に進歩し、私どもは科学技術文明を謳歌し、そ
の恩恵に浴して参りました。しかし一方では、意識するしないは兎も角、生活を豊かにするために生み出した
はずの機械や技術に人間が支配され、生命の尊厳すらも軽視されつつある現状と言っても過言ではありません。
科学技術の進歩に伴って、本来の人間らしい生き方、そして生命の尊厳が失われるという、社会の歪みや矛盾
を背景に今度のテロ事件が発生したと考えられます。
「あの9月11日で20世紀は終わり、この日から21 世紀が
始まった」と言われるほどこのテロ事件は、人類の歴史の中でも大きな意味を持っております。21世紀は、20
世紀の科学技術文明の中で失われた人間の生き方を模索する、ある意味では混迷の時代であるということがで
きます。デカルトは「人間をより聡明により有能にするものがあるとすれば、それは医学である」と述べてお
りますが、不安定な混迷の続く21 世紀において、人の生命を守り、その生き方にも強い影響力を持つ医学・
医療の果たす役割は極めて大きいと言わざるを得ません。
21 世紀においては、医学・医療は三つの方向に拡大することが予測されます。その第一は、高度先進医療の
研究開発であり、疾病の原理を明らかにし新しい診断・治療法を開発する方向であり、第二は、医療がすべて
の人にあまねく公平にゆきわたり、医療過疎地、貧困や飢餓による差別が生じない、いわゆる医療の水平方向
への拡大であると思います。第三の方向は、科学技術万能、経済優先の結果生じた環境汚染に対する対策であ
りますが、この環境汚染は人類を含めて地球上の生物全体の生存にも係わる大きな課題で、その解決のため
に、医学・医療は総力を上げなければなりません。このように医学・医療は多くの可能性を秘めており、人類
の将来に大きな意味を持つ21世紀において、皆さんが医師あるいは医学研究者として活躍されることを心から
期待しております。
21世紀において、医学・医療はそれぞれの方向に向かって大きく進展すると思いますが、医学・医療がどの
ように発展しようとも、その原点は本学のエンブレムに刻まれている、
「Reverentia Vitae、生命の尊厳」であ
り、医師一人一人がこのことを肝に銘じなければなりません。医師や医学研究者には、単なる医学知識や医療
技術だけでなく、
「生と死」を基盤とした人間の生き方に対しても、明確な哲学と深い洞察力が求められます。
人間の生き方に対する哲学や洞察力は、単なる教育によって身に付くものではなく、皆さんは生涯を通して教
養を深め、一人の人間としての生き方を常に考え、自己改革の努力を続けることによってはじめて培われるも
のであり、皆さんの弛まざる精進を心から望んでおります。
本学も間もなく創立30 周年を迎えるわけですが、今後はこれまでにも増して、厳しく大学の真価が問われる
ことになります。皆さんはこのことを良く心に刻み、本学卒業生、大学院修了生として自信と誇りをもって行
動し、混迷を続ける社会において指導的な役割を果たされることを心から念願して止みません。
最後に、卒業生並びに大学院修了生の皆さん一人一人の将来に心からの期待を寄せて告辞といたします。
5
金 医 大 学 報
祝 辞
北辰同窓会会長
坂 本 滋 6 年にわたる医学部の学業を終えられた皆さん、並びに大学院の博士課程を修
了された皆さん、おめでとうございます。本日、このおめでたい卒業式にお招き
いただき、ご挨拶を申し上げる機会をいただきましたことを大変光栄に存じます。
こうして、皆さんの晴れやかな顔を拝見しておりますと私も感激がひとしおとな
って興奮を感じている次第です。
在学中の長きにわたる皆さんのご精励に心から敬意を表し、お祝い申し上げる
とともに、皆さんを今日まで慈しみ、陰に日向にご支援されてこられましたご両
親、ご家族の皆様のお喜びもひとしおと、心からお慶びを申し上げます。また、
色々とご指導、ご鞭撻をいただき、温かく見守ってきて下さった諸先生方に、心
から御礼申し上げたいと思います。
私事となって恐縮ですが、私も今を去ること 24 年前、この場所で皆さんと同
じく本学の卒業証書をいただきました。私は、当時、新設の医科大学である金沢医科大学の第 1 回の卒業生
として、不安と責任感に押しつぶされそうな気持ちでこの場にいたことを、今でもはっきりと覚えており
ます。それから 24 年、多くの人々に支えられて今日まで過ごして参りましたが、過ぎてみればアッという
間のようにも思われます。
そしてこの度、第 25 回目の金沢医科大学卒業式を迎えることができたことは、私にとっても、万感胸に
迫るものを感じております。私どもの母校、金沢医科大学はやがて創立 30 周年を迎え、人間にたとえると
まさに青年期に入って、卒業生の数は皆さんを含めて 2,506 名を数えます。この私どもの同窓生は今や国内
のみならず世界中において活躍していることを誇りに思い、また、頼もしく思っております。本日卒業さ
れた皆さんは、これから色々な人生を過ごされる中で、医学という大きなテーマと向き合い、一歩一歩、
歩んで行かれることと思います。その足跡は、そのまま私ども金沢医科大学の、そして北辰同窓会の歴史
の一項一項を彩って行っていただくことにもなります。
本学の建学の精神には、一に「良医を育てる」、二に「知識と技術をきわめる」、そして三に「社会に貢
献する」という精神が盛り込まれています。これからの医学、医療の世界で社会に貢献していくための心
得については、ただいま、小田島理事長先生、竹越学長先生から、十分なお話しがあり、皆さんも気持ち
を新たにされたことと思っております。私は本学を卒業した皆さんの先輩として、私の経験を少しだけ紹
介し、はなむけの言葉にさせていただきます。
私は昭和 53 年に本学を卒業して本学の胸部心臓血管外科に入局しました。当時は東京女子医大の心臓血
管研究所から来られた先生方が盛んに新しい手術に挑戦され、見事な結果を出されておりました。しかし、
今と比べると心臓の手術は、まだ草わけの時期であり、若い医局員として先輩の先生と心臓手術の術後管
理を徹夜で担当している際に、午前 4 時頃になると、いつも心室性不整脈から心室頻脈になり、電気ショッ
クをかけるという事態が頻発し、一晩中循環管理に従事させられたつらい日が続いたものでした。この午
前 4 時という時間帯が、魔の時間帯でありまして、「きつい」、「汚い」、そして「危険」の 3K と言って、特
にわれわれ若い医師にとっては、最も敬遠したい、いやな研修の期間でした。このために、私も心臓外科
を辞めようと一大決意をして、教授室の扉をたたいたこともありました。教授は私の青臭い発言を聞いて
下さり、穏やかにたしなめるように「石の上にも三年」という諺を引用されて、しばらくの辛抱を説かれ
ました。そのお蔭で、やがて患者さんが元気な姿で退院されるのを見るにつけて、自分の仕事をゆとりを
持って見ることができるようになり、また、手術後何年も経て元気にしておられる患者さんを見るにつけ
て、私の選んだ道はこれでよかったのだと確信するに至りました。
「良医を育てる」、「知識と技術を極める」、「社会に貢献する」という本学の建学の精神は、まさに「医」
に携わる者の目標を余すところなく謳い上げたものと思い、心の宝としております。私ども同窓生として
は、このような大学に学んだことを終生誇りとして、益々研鑽を積まれてご活躍いただきたいものと、心
からお祈りして本日の祝辞とさせていただきます。
金 医 大 学 報
送 辞
ほそかわ
在学生代表
けんぞう
細川 謙蔵
本日、金沢医科大学第 25
回卒業証書・学位記授与式
にあたり、在学生を代表し
て、お祝いと感謝の言葉を
申し上げます。
北陸の長い冬も終り、春の
息吹を感じさせるこの日に、
医学部の全課程を修了され、
栄えあるご卒業を迎えられま
したことを心からお慶び申し
上げます。
医学を志し、ここ金沢医
科大学に入学されて以来、幾多の困難を前にし、悩み苦し
まれたこともあったかと思います。しかし、困難に臆する
答 辞
やまだ
卒業生代表
かな こ
山田 奏子
本日、金沢医科大学第 25
回卒業証書・学位記授与式
に諸先生方、ご来賓の皆様、
並びにご父兄の皆様のご臨
席を賜わりましたことは、
私達卒業生にとりまして、
このうえない喜びでござい
ます。卒業生を代表して厚
く御礼申し上げます。また、
ただいま学長先生並びに理
事長先生から、ご懇篤なる
式辞、告辞を、また、ご来
賓各位からの祝辞、在学生代表からの送辞をいただき、卒
業生一同、心より感謝申し上げます。皆様のお言葉を心に
刻み、良医となるべく精進する誓いを新たにいたしました。
6年前、医学の道を目指し、希望に胸を膨らませつつ、ま
た一人暮らしに不安感を持つというナイーブな気持ちで入
学宣誓式に臨んだことを昨日のことのように思い出します。
6
ことなく、試練をも学ぶ喜びとし、克服されてきたことと
存じます。勉学、課外活動等、先輩方と共に過ごした学生
生活の中で、我々後輩は何度となく励まされ、充実した
日々を送ることができました。
今日、この日を迎えられました先輩方の晴れ晴れとした
お顔を拝見し、改めて感謝の気持ちと尊敬の念を抱いてお
ります。諸先輩方にとって、日本海を望むこの自然多き内
灘の地で過ごされた学生生活は、生涯忘れられない思い出
となることでしょう。また、諸先生方の厳しい中にも優し
さのあるご指導は、今後、医師としての人生で大いに役立
つことと思います。
今日ここに、新たなる道への第一歩を踏み出される諸先
輩方が金沢医科大学の卒業生であることを誇りにし、精進
され人間性豊かな信頼される医師となられ、後に続く我々
後輩の道しるべとなって下さいますようお願いいたします。
お別れに臨み、卒業生の皆様の益々のご活躍とご健勝を
お祈りして、送別の言葉とさせていただきます。
6 年間という長いようで短かかった大学生活の中で、私達は
勉学ばかりでなく貴重な体験を重ねることができました。
私達をご指導下さいました先生方や、多くの皆様に厚く感
謝いたします。また、陰から私達を支えてくださった家族
にも感謝いたします。
21 世紀における医学・生命科学・遺伝子解析の分野での
進歩は、目覚しいものがあると思いますが、また一方、問
題も多く抱えており、良医として倫理との調和・融合を図
っていかなければならない使命があります。これからの医
師の役目は、これまで以上に大きいものがあり、身の引き
締まる思いで一杯です。新しい研究により、医療技術・治
療方法等、日進月歩の時代、我々は日々努力し、一生勉強
を続けていかなくてはならないと決意しています。
これから、日本全国の各地で社会人として、医師として
の生活を始めようとしておりますが、謙虚な気持ちで、人
生の先輩方のお教えを受け、絶えず良医になるよう研鑚を
重ね、社会に恩返しすることを誓います。
最後に母校の繁栄と私達をここまで導いて下さった諸先
生方、職員の方々、ご父兄の皆様方のご健康、ご活躍、並
びに在学生の皆様のいっそうのご健闘、また、これまで私
達を支えて下さった多くの方々の幸せをお祈り致しまして
答辞とさせていただきます。
8
金 医 大 学 報
平成14年 総合医学研究所春季セミナー
テーマ
〈プログラム〉
平成14 年3 月3 日(日)13:30 ∼16:10
〈講演〉
1.
2.
3.
4.
婦人科がんの診断と治療
肺がんで命を失わないために
乳癌の予防と治療
胃癌のトピックス
吉田勝彦(産科婦人科学講師)
佐川元保(呼吸器外科学助教授)
喜多一郎(総合医学研究所教授)
小坂健夫(一般消化器外科学助教授)
〈特別講演〉
ふえてる大腸がんから身を守る 棟方昭博(弘前大学医学部内科学第1教授)
棟方昭博弘前大学医学部内科学第1教授
総合医学研究所恒例の春期セミナーが、平成14 年
3 月3 日(日)午後、金沢市文化ホールにて開催され
た。春期セミナーは、一般公開講座として一般市民
を対象に、病気に対する正しい知識と医療に対する
理解を深めてもらう目的で行われており、石川県民
大学校教養講座の一つにもなっている。
医学の進歩により、
「がん」の治療成績は向上がみ
られるものの、がんによる死亡はいまだ全死因の
33.7%(厚生労働省統計)を占め、
「がん対策」は国
家的事業となっている。一般市民のがんに対する関
心は高く、がんの予防、検診、治療法などについて
かなりの知識を持っていると思われ、さらに「がん
検診は予後の改善に有用か」
、
「一次予防」
、
「オーダ
ーメイド治療法」なども、メディアで盛んに取り上
げられている最近の話題である。
このような観点から、今回のセミナーでは「最新
のがん対策―検診から治療まで―」をメインテーマ
とした。男女ともに「頻度が高いがん」および「女
吉田勝彦講師
佐川元保助教授
性特有のがん」を取り上げ、上記のプログラムを企
画した。
吉田講師は婦人科がんの診断と治療―特に画像診
断を、佐川助教授は肺がんの予防―喫煙の有害性を、
喜多教授は乳癌の予防と治療を、小坂助教授は胃癌
のトピックスについて述べた。
特別講演の棟方教授は日本人における大腸がんの
増加は食物繊維摂取の減少、特に米食の減少に基因
することを話され、一次予防においては日常の食生
活が重要であることを強調された。一般市民にもわ
かりやすく素晴らしい講演であった。
今回の参加者は学内外あわせて100名を超え、それ
ぞれの講演に聴衆より活発な質問があり盛会であった。
また、セミナー終了後に回収したアンケートの集
計では講演内容、理解しやすさ、などの点について
評価が高く、有意義なセミナーであったと思ってい
る。
(総合医学研究所 喜多一郎記)
喜多一郎教授
小坂健夫助教授
第110号/2002.5
9
金 医 大 学 報
学 事
第31回 入学宣誓式
新入生 100名を迎える
平成14 年4月5日(金)午前10時から、本部棟4 階講堂において第31回入学宣誓式が挙行された。
多数の父兄、教職員に迎えられた新入学生95名、編入学生5 名、計100 名に対して、竹越襄学長の式辞、小田島粛夫理事
長の告辞があり、来賓の坂本滋金沢医科大学北辰同窓会会長から新入生に祝辞が述べられた。これを受けて、新入生を代表
して、津田亮二君が入学宣誓を行った。
また、今回の入学宣誓式では、本学の姉妹校であるマーサ大学(米国ジョージア州)から、表敬訪問のため来学されてい
たアン・ジョウブ医学部長及びT. J.リン副医学部長にご列席いただき、アン・ジョウブ医学部長から、入学生に対して暖か
いメッセージが贈られた。
入学宣誓をする津田亮二君
式 辞
学 長
若き学徒に与える言葉
皆さんは大変な難関を突破されて、本学にめでたく入学
されました。大学関係者一同こぞって入学を歓迎したいと
思います。今日からは同じ医学の道を学ぶ者として、お互
い切磋琢磨して勉学に励みましょう。
さて、皆さんが入学されたこの金沢医科大学は、今年で
創立30周年を迎えます。本学を巣立った2500 人以上の皆さ
んの先輩が、立派な医師として全国で活躍しております。
今日からは、この多くの先輩に負けずに、そして、彼らが
築いた伝統を守って精進しなければなりません。
大学という所は、本質的には明徳を明らかにする、すな
わち、学問と徳を積む所です。医科大学もそのとおりであ
ります。医学、医術、医道の3つからなる柱がそれにあたり
ます。これを6年間で修得しなければなりません。
竹 越 襄
今、医学は、多方面にわたって驚くべき速さで進歩して
おります。バイオテクノロジー、遺伝子工学を駆使しての
医学・医療の研究が進んでおります。これらは全て病気の
克服により、生命の健康維持を目的としたものであり、こ
れらを学んで立派な医師に成長しなければなりません。
ここで、特に強調したいことは“医道”
、医の道です。こ
れは医の心に通じます。最近、世間の注目を浴びているも
のの一つに医療事故、医療過誤、医療ミスがあります。介
護保険法等の老齢化社会に向けての対応もさることながら、
医療事故の多発が問題となっております。これは、病める
人への医療人の深い思いやりの心の欠如と思われます。病
人に対する細やかな気配り、すなわち、病む人間を思いや
り、いのちの尊厳を理解することは医療人として必要欠く
べからざることです。このことを常に心に銘じて、病める
【学事】
10
金 医 大 学 報
人との厚い信頼関係を作って下さい。皆さんは、常にこれ
らのことを考えながら学生生活を送って下さい。我々教職
員も、この点を常に念頭におきながら、将来の良医を育て
るべく努力をしたいと思っております。
これから皆さんは、今まで学んできた知識を基として、
大学の医学専門教育で多くの学問を修めることになるわけ
ですが、大学教育は今まで受けた高校までの教育より、更
に自己研鑽、いわゆる自学自習が重要となります。これは
医学教育に限らず、小学校からの教育そのものが変革を要
求される時代になったわけであり、その基本は個人の個性
を伸ばす教育、押しつけではなく、自発的な能動的、自己
開発型の教育に移りつつあるということです。
具体的には、小グループによる学生中心の討論が柱で、
教員は手助け的役割で方向性を与えるのみという授業形態
です。個々の自発的発言は、それぞれ自分に責任がありま
すから予習が重要となり、グループの仲間の発言も真面目
に聴き、テーマの最終結果に導びくということになります。
これを問題立脚型教育Problem-Based Learning(PBL)と呼
んでいます。本学ではこの教育方法を導入し、実りある医
学教育を実践しております。従って、皆さんはこのPBL 方
式により、学習することとなります。従来までの大講義室
で多くの学生を集めて教員が講義をする授業形態は少なく
なるでしょう。さらに、第5・6学年の高学年になりますと、
CCS(クリニカルクラークシップ)といった臨床実習に入
ります。これは、今までの見学型実習と違って参加型、す
なわち、研修医並みの臨床研修を行うこととなります。こ
れをスチューデントドクターと呼びます。従来より厳しい
臨床実習です。この様に、医学教育も大きく変化し、何が
最も学生にとって学問が身に付くかを考えています。その
他色々特色のあるカリキュラムを考えています。また、本
日ご来賓としてご出席頂いております、本学と姉妹校であ
ります米国のマーサ大学、
(丁度来日されましたジョウブ医
学部長には後程ご祝辞を頂きますが、
)さらにハワイ大学と
も提携した交換留学制度もあり、また、中国の大学や東南
アジアの医学生との交流も盛んです。この様に、国際交流
に関心のある学生にとって、魅力ある環境が整っています。
入学してからの教育に関する全体像は以上の様ですが、学
生の本分は勉学にあるとはいえ、若い皆さんは青春を謳歌
し、人生を語り、良い友達を作り、スポーツを楽しみ、文
化活動にも大いに興味をもち“よく学び、よく遊び”の精
神で楽しい学生生活を送って頂きたいと思います。
最後に、時あたかも政局は激動しております。色々取り
沙汰されている国民の健康を守る医療問題も重要な勉強課
題の一つです。これらを学ぶことも医学の道を志す者にと
っては大切なことです。
将来立派な良医となるためには、広く教養を身につける努
力をし、品格のある学生生活を送らねばなりません。心身の
健康に気を付けて、悔いのない学生生活を送って下さい。
告 辞
理事長
多数の志願者の中から選ばれて、本日栄えある入学式を
迎えられた新入生の皆さんにお祝いを申し上げると共に、
大学としてはもちろん、同じ道を志す者として、皆さんの
入学を心から歓迎いたします。そして、優秀な新入生の皆
さんを今日あるまで育て上げられたご両親はじめご家族の
皆様に、心からの敬意と祝意を表します。また、本日はお
忙しい中を、入学式にご臨席賜り、錦上花を添えていただ
きました、マーサ大学のアン・ジョウブ医学部長、リン副
医学部長はじめ、ご来賓、関係者各位に厚くお礼を申し上
げます。
さて、これから医学を学ぶ新入生の皆さんに心すべき2,
3の点についてお話をさせていただきます。
第1に、皆さんは医学部学生として高い理想を持って、勉
学に勤しんでいただきたいと思います。英国の思想家カー
ライルは、
「理想はいつでも遠くにある。近づく努力をせず
無理だと諦めていたら何もできない。煉瓦で垂直な壁を築
こうとしても、数学的に完全な垂直の壁を築くことは不可
能である。不可能だからと言っていい加減に煉瓦を積めば、
壁は崩壊してしまう。実現が困難だからと言って、理想に
近づく努力をしなければ全体が破壊してしまう」という言
葉を残しております。高い理想や大きな夢は人間の行動の
小田島 粛 夫
原動力であり、理想なき者には将来を語る資格はありませ
ん。皆さんは大学に入学したことを機会に高い理想を持ち、
そして少しでもその理想に近づく努力を忘れてはなりませ
ん。
第2 に、皆さんに求められるのは生涯を通して学び続け、
自己啓発に努めることです。人間が人間らしく生きるため
には、その生涯を通して学び続けなければなりませんが、特
に医師にとって生涯学習は義務であると言っても過言では
ありません。医学・医療に携わる医師は、急速に進歩発展
する医学・医療を絶えず学び続け、患者に最良の医療を提
供しなければなりません。この生涯学習を支えるのは知的
好奇心と集中力であります。皆さんはこの知的好奇心と集
中力を失うことなく、生涯を通して学び続けることを心が
けていただきたいと思います。
第3 は、医学教育は全人教育であることを自覚していただ
きたいと言うことです。皆さんは、医師として基本的に必
要な医学知識や医療技術を学ぶことはもちろんですが、同
時に病める人の苦しみ、そしてその死の悲しみを身近なも
のとして受け止め、人間の悲哀を感ずることのできる、豊
かな人間性を育まなければなりません。
「医の心」
、
「医師と
しての態度教育」を含めて医学教育が全人教育であると言
第110号/2002.5
11
金 医 大 学 報
われる所以もここにあります。本日はマーサ大学のアン・
ジョウブ先生、リン先生にご臨席いただいておりますが、マ
ーサ大学は世界に先駆けて医師としての心や態度を育むた
めの全人教育を実践している大学であり、アメリカの中で
も良医を育成する大学として高く評価されております。本
学とは現在、学生・教員の相互交換を中心とした姉妹校の
関係にあり、将来、皆さんもマーサ大学で学ぶ機会を持た
れることを心から望んでおります。
金沢医科大学のあるこの内灘の地は、遙かに立山連峰や
霊峰白山などの北アルプスの山々を望み、眼下に日本海を
一望するなど自然環境に恵まれております。また、金沢は
天下の書府として知られ、江戸時代から医学教育の歴史と
伝統を持つ地であり、皆さんが医学の勉強に打ち込むには
最高の地であると思います。本学はこの環境の中で開学以
来、優れた教員の確保、最先端の教育、研究、診療設備の
充実に努力して参りました。さらに21 世紀に入って、医療
体制の充実のために現在、病院の増改築を進めており、皆
さんはこの充実した教育環境の中で、将来の目標に向かっ
て互いに切磋琢磨し、実りある学生生活を送っていただき
たいと思います。
皆さんは将来、医師としてあるいは医学研究者としての
道を進まれると思いますが、何れの道を進まれるにしても、
これからの大学における6 年間の学生生活が皆さんのこれか
らの人生の原点になると思います。大学生活の中で、生涯
の良き友を選んで、友情を育み、遥かなる理想に向かって
一歩一歩前進されることを期待致します。それぞれの一歩
は小さな一歩に過ぎませんが、やがて将来の大きな一歩に
つながることを信じて、勉学に勤しんでいただきたいと思
います。
皆さんの新しい門出を心から祝福し、告辞と致します。
祝 辞
北辰同窓会会長
本日、晴れて金沢医科大学医学部学生として入学され
る皆さん、本当におめでとうございます。また、本日、
多数ご出席になっておられますご父兄の皆様におかれま
しても、お喜びは一入のことと存じ、心からお祝い申し
上げます。
金沢医科大学には、北辰同窓会という同窓会組織があ
ります。本学の卒業生を核として、本学の教員そして在
学生も正会員であるというユニークな形の同窓会で、み
んなで金沢医科大学の発展を支えつつ会員がお互いに支
え合って、その活躍や発展に寄与することを目的として
おります。約 3,000 名の正会員を擁しており、その会長の
職を、不肖、私がお預かりしておりますので、同窓会を
代表して祝辞を述べさせていただきます。
皆さんは、この度、本学に入学され本学を母校とされ
ることになり、同時に、ただいま述べましたように、同
窓会の一員となられました。本学の教員の先生方もまた
在学生の皆さんも「正会員」であるというのは、他の大
学などでは見られない独特の同窓会組織であり、私ども
はこれを一つの誇りとしております。そして、皆さんを
心から歓迎いたしたいと思います。
皆さんは、これから金沢医科大学におきまして 6 年間
「医学の真髄」に初めて接し、それに入門され、そして
「医学」を生涯の仕事とするための確固とした足固めをさ
れるわけです。私どもの母校金沢医科大学は、やがて創
立 30 周年を迎えます。本学で学んだ卒業生の数は 2,506 名
を数え、この私どもの同窓生は、今や日本国中また世界
の各地において活躍しておられ、誠に頼もしくまた嬉し
い限りで、これを大きな誇りに思っております。
私事となって恐縮ですが、私自身も、今からちょうど
30 年前、この場において皆さんと同じようにして本学の
坂 本 滋
第一回の入学式に出席しておりました。当時、新設医科
大学として誕生したばかりの金沢医科大学の最初の入学
生として、できたばかりの大学の将来への不安と、これ
から展開する医学への入門という未来に対する大きな希
望に心躍らせながら、この場におりましたことをはっき
りと覚えております。それから 30 年、良き友に恵まれ、
良き師に導かれ、数えきれない思い出を残して現在の私
があるのであります。
本学の建学の精神は、一に「良医を育てる」、二に「知
識と技術をきわめる」、三に「社会に貢献する」という三
つの大きな目標が盛り込まれています。これから皆さん
が医学の世界で社会に貢献していくための心得について
は、ただいま、小田島理事長先生、竹越学長先生からも
十分なお話があり、皆さんは気持ちを新たにされたこと
と思います。私は本学で学んだ皆さんの先輩の一人とし
て、私の経験した学生時代のことを少しだけ紹介したい
と思います。
私が入学した当時は、大学の周辺には家並みが全くな
く、アカシヤの林が広がっていました。春になると、ア
カシヤが満開となり、夏には日本海と内灘の砂丘が眩し
く、秋には日本海に沈む夕日が奇麗で、冬には雪を抱い
た白山連峰が雄大に望まれるという素晴らしい牧歌的な
自然環境の中で、人生を考え、世界を論じ、未来を語り
つつ、医学の世界に没頭して行きました。
ここには、海があり湖があるので、クラブ活動にはボ
ート部を選びました。河北潟や大野川でボートを漕ぎ、
同好の人の輪が広がり、その交流は今でも続いておりま
す。また、船舶の免許を取り、今でも忙中に閑を見つけ
て、船を日本海に出し、英気を養うこともあります。
21 世紀を迎えて、どの分野でも予期もしなかった新し
【学事】
12
金 医 大 学 報
い展開が次々と見られ当惑されているのが現実でありま
す。新しい事態に対して、常に積極的に考え解決してい
く態度なくしては、発展はおろか、安泰に過ごすことも
難しいのではないかとさえ思われます。医学や医療の分
野でも、もちろん例外ではありません。私は、この大学
において、医学を学ぶ者が基本的に心得るべきこととし
て、いくつかのことを学びました。それは、第一に自ら
学ぶ姿勢を習慣づけるということ、受け身でなく自ら疑
問点を見つけ、積極的な姿勢でものを考え解決する能力
を磨くことが大切です。皆さんも、第一学年から導入さ
れるテュートリアル学習で、それを習慣づけられること
と思います。第二には、人に対する思いやりの心を育む
こと、医学に携わる者には患者さんの身になって考える
ことが身に付いていなくては務まりません。第三には、
新しい事態に対処するためには、生涯にわたって学習で
きる素地を作っておくことです。常に、知的好奇心を持
って新しい事象を見ることが大切であることを教えられ
ました。これらは、「良医」になるための大切な条件であ
りましょう。皆さんも、この大学で多くの先生そして多
くの良き友達に巡り会い、21 世紀における開拓者となる
意気込みで 6 年の学生生活を送られることを念じておりま
す。
皆さんの今後のご健闘を心からお祈りして、祝辞とさ
せていただきます。
祝 辞
マーサ大学医学部長
KANAZAWA MEDICAL UNIVERSITY
ENTRANCE CEREMONY
APRIL 4, 2002
REMARKS BY ANN C. JOBE, M.D., M.S.N.
Dean and Professor of Family Medicine
Mercer University School of Medicine
It is a distinct privilege and honor for me to be here
and to participate in this Entrance Ceremony. Thank you
for the opportunity to celebrate with you on this important
occasion.
I would like to make a few comments about the "SIX
C's" of' an excellent clinician. These are qualities and
skills that are required of all health professionals.
First, CARING AND COMPASSION
“The secret to the care of the patient is in caring for
the patient." [Francis Peabody, M.D. - 1920's]. An excellent clinician has compassion for and cares about the individual patients that he or she cares for in the hospital or in
the clinic. As clinicians we need to be sincerely concerned about the individuals and the families that receive
health care from us.
Second, COMMUNICATION
The most important skill you need to develop is the
skill of listening. Listening to patient's stories, finding out
the patient's perspective on their illness, their concerns,
fears, and expectations. It is important to understand each
patient in the context of his or her family and community.
It is very important to communicate effectively with other
health professionals who are part of the team.
Third, COLLABORATION
“None of us is as smart as all of us.” We can
accomplish much more together. Teamwork, working as
アン・ジョウブ
a member of a team, and
being able to achieve more
with less through the combined efforts of many individuals, is an important skill
to develop. This also means
valuing and respecting the
contributions made by all the
individuals who participate
in the health care team.
Fourth, COMPETENCY
It is very important that
as a clinician you have an excellent knowledge base and
superb clinical and technical skills. Over the next few
years you will learn an incredible amount of information.
It is important to understand all these facts so that you can
provide excellent care for your patients.
Fifth, COMMITMENT
As clinicians we must be committed to the profession of medicine - to serving others and meeting the needs
of society. We must care for and serve our patients and
our communities. It is important for the profession of
medicine to win back the public trust and to dedicate itself
to providing what the people and communities need.
Sixth, CONTINUOUS IMPROVEMENT
The challenge as a clinician is to be a life-long learner. You must never stop learning and improving, always
striving for excellence. Never stop learning new things or
asking questions and seeking out answers. Try to sustain
and keep strong your love of learning.
Thank you again for the opportunity to share these
thoughts with you. Congratulations on starting a wonderful journey to becoming a physician. I wish you the best.
【学事】
金 医 大 学 報
14
平成14年度
教務日程
第1学期 【第1学年】
授 業
[早期臨床体験実習
定期試験
【第2∼4学年】
授 業
定期試験
【第5学年】
【第6学年】
第2学期 【第1学年】
授 業
定期試験
【第2∼4学年】
授 業
[2年看護体験実習
定期試験
【第5学年】
【第6学年】
第3学期 【第1∼4学年】
授 業
定期試験
【第5学年】
【第6学年】
4 月 15 日(月)∼ 7月 6日(土)
5 月 27 日(月)∼ 5月 31日(金)]
7 月 8 日(月)∼ 7月 13日(土)
4 月 8 日(月)∼
6 月 24 日(月)∼
4 月 8 日(月)∼
4 月 1 日(月)∼
6月 22日(土)
7月 6日(土)
7月 13日(土)
7月 6日(土)
8 月 26 日(月)∼ 11月 6日(水)
11 月 7 日(木)∼ 11月 16日(土)
8 月 26 日(月)∼ 11月 2日(土)
8 月 26 日(月)∼ 8月 31日(土)]
11 月 5 日(火)∼ 11月 16日(土)
8 月 19 日(月)∼ 11月 22日(金)
8 月 26 日(月)∼ 11月 16日(土)
11 月 18 日(月)∼ 12月 21日(土)・1月 6日(月)∼2月 8日(土)
2 月 10 日(月)∼ 2月 22日(土)
11 月 25 日(月)∼ 12月 21日(土)・1月 6日(月)∼3月 31日(月)
11 月 18 日(月)∼ 12月 21日(土)・1月 6日(月)∼2月 1日(土)
行 事
入学宣誓式
4 月 5日(金)
オリエンテーション 【第1学年】
4 月 6日(土)∼ 4月 13日(土)
【第2∼4学年】
4 月 8日(月)
【第5・6学年】
4 月 6日(土)
特別休業日
4 月 30日(火)、5月1日(水)、2日(木)「特別休業日」
定期健康診断 5 月中旬
開学記念日
6 月 1日(土)「特別休業日」
夏季休暇
【第1学年】
7 月 15日(月)∼ 8月 24日(土)
【第2∼4学年】
7 月 8日(月)∼ 8月 24日(土)
【第5学年】
7 月 22日(月)∼ 8月 17日(土)
【第6学年】
7 月 8日(月)∼ 8月 24日(土)
学園祭
10 月 5日(土)∼ 10月 7日(月)「特別休業日」
解剖体合同追悼法要
10 月 19日(土)
冬季休暇
【第1∼4学年】 12 月 24日(火)∼ 1月 4日(土)
【第5学年】
12 月 24日(火)∼ 1月 4日(土)
【第6学年】
12 月 24日(火)∼ 1月 4日(土)
卒業証書・学位記授与式 3月 20日(木)
標準試験
【第4学年】
【第5学年】
【第6学年】
実技試験
【第5学年】
第1回 2月 28日(金)
第1回 7月 19日(金)
第2回 11月 30日(土)
第3回 2月 22日(土)
第1回 11月 6日(水)∼ 8日(金)
第2回 12月 11日(水)∼ 13日(金)
第3回 2月 3日(月)∼ 5日(水)
OSCE
2月 15 日(土)
この学年暦は、必要に応じて一部変更することがある。
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金 医 大 学 報
15
平成14年度
医学部入学試験の結果
(AO ・推薦・編入・一般)
◇特別推薦入学試験(AO入試)
医師となるべき者の倫理性、人間性が一層強く求められ
る時代に、従来の学力を中心とした入学試験では評価でき
なかった学習意欲、使命感、人間性に評価の重点を置き、
人間性豊かな活力のある人材を求めるもの。今年度が 2 回
目。募集人員約5名に対し102 名の出願があった。書類選考
の結果、平成 13 年 10 月 30 日(火)に第 1 次選考合格者 15
名が発表され、第2 次選考は、11 月18 日(日)に本学にお
いて15 名が「個人面接」・「小論文」・「集団面接」の各
試験が行われ、11月30日(金)に合格者7 名が発表された。
◇推薦入学試験
平成13年11月18日(日)に本学で行われた。目的意識を
持ち且つ個性豊かで優秀な人材を確保する目的で昭和61年度
から実施されている。募集人員約20名に対して69名が出願
し、平成13年11月30日(金)に合格者18名が発表された。
◇編入学試験
平成13年11月25日(日)に本学で行われた。医学以外の
分野を修学した者に医学を学ぶ道を開くもの。第2学年に編
入して効率的に医学の専門教育を実施し、医学界に貢献す
る有為な人材を育成する目的で平成3 年度入試から実施され
ている。募集人員若干名に対して92 名が出願し、平成13 年
11月30日(金)に合格者5 名が発表された。
◇一般選抜入学試験
平成2年度から2段階選抜を実施している。平成14 年度は
過去最高の1,821名の出願があった。
第 1 次試験は、平成 14 年 1 月 14 日(月)に本学、東京
(青山学院大学)
、大阪(大阪工業技術専門学校)
、福岡(公
務員ビジネス専門学校)
、仙台(東北電子専門学校)の5 試
験場で実施された。受験者 1,791 名(25.6 倍)は、午前の
「外国語」及び「小論文」
、午後の「選択科目(数学、物理、
化学、生物の中から2科目選択)
」の筆記試験に取り組んだ。
第2次試験は第1次試験の合格者(282名)を対象として、
平成14年1月29日(火)
、30日(水)のいずれか希望する日
に本学で実施され、267名が面接・口頭試問に取り組んだ。
第2次試験の合格者は、平成14年2月5日(火)午後1時に72
名が本部棟正面玄関に公示され、本人宛に文書通知された。
今年度から第1次試験志願者全員及び第2次試験受験者全
員に対し、
「合格者受験番号表」を電子郵便(レタックス)
にて通知している。
(入学センター 村井幸美記)
平成14年度
大学院医学研究科選抜試験(第2次募集)
平成14年度大学院医学研究科選抜試験(第2次募集)が、
平成14年3月19日(火)に実施され、8 名が受験した。
試験は、午後2時から2 時間の外国語の筆記試験の後、面
接試験が行われ、3 月 29 日(金)に合格者 8 名が発表され
た。
(大学院課 林秀樹記)
〈実施日程〉
金 沢 7月30日(火)13:30 ∼ ホリデイ・イン金沢
名古屋 8月 1日(木)13:30 ∼ 名古屋ガーデンパレス
大 阪 8月 2日(金)13:30 ∼ 大阪ガーデンパレス
札 幌 8月 7日(水)13:30 ∼ 札幌ガーデンパレス
岡 山 8月 7日(水)13:30 ∼ グランヴィア岡山
仙 台 8月 8日(木)13:30 ∼ 仙台ガーデンパレス
福 岡 8月 8日(木)13:30 ∼ ホテル日航福岡
東 京 8月 9日(金)13:30 ∼ 東京ガーデンパレス
参加をご希望の方は、会場名と参加者名をFAX・電
話・ハガキ・ E メールで入学センターまでご連絡くだ
さい。
TEL 076-286-2211(代表)076-218-8063(直通)
FAX 076-286-6279
Eメールアド レス:[email protected]
〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1
金沢医科大学入学センター
〈実施日程〉
第1回 平成14 年8月25 日(日)
10:00 ∼ 15:00
第2回 平成14 年9月23 日(月)祝日
10:00 ∼ 15:00
場 所 金沢医科大学キャンパス
参加をご希望の方は、参加者名をFAX・電話・ハガキ・
Eメールで入学センターまでご連絡ください。
TEL 076-286-2211(代表)076-218-8063(直通)
FAX 076-286-6279
E メールアド レス:[email protected]
〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1
金沢医科大学入学センター
平成14年度
看護専門学校入学試験の結果
今年度から、
「社会人特別推薦入学試験」が、高等学校卒
業後3年以上社会人(就業)を経験した人を対象に行われる
ことになり、平成 13 年 12 月 2 日(日)本校にて実施され、
受験者27 名の中から4 名が合格した。
「推薦入学試験」も同
日行われ、受験者 34 名の中から16 名が合格した。
「一般入
学試験」は、平成 14 年 1 月 25 日(金)に行われ受験者 173
名の中から40 名が合格した。
以上、上記試験によって計60 名の新入生が決定した。
(入学センター 村井幸美記)
【学事】
16
金 医 大 学 報
長い間のご活躍有難うございました
退任教授のご挨拶
金川琢雄教授(社会科学)
本年3 月末日をもちまして社会科学(法学、社会福祉
学)教授を退任いたしました。昭和 47 年 4 月 1 日、本学
開設と同時に奉職し、退任までの30 年もの長い間、金沢
医科大学でお世話になりました。この間、大過なく任期
をまっとうすることができましたのも本学関係者のご指
導、ご支援の賜物と深く感謝申しあげます。
私は、開学当初の 1 年間、教学の基礎づくりのため、
教員と職員の2 足わらじで、学生課長を勤めておりまし
た。新しい学則や教務に関する規程などを綴った「学生
便覧」の作成などに尽力したこと、この年の6 月1 日に挙
行された第 1 回の入学宣誓式のことなどが懐かしく思い
出されます。その後は、法学、社会福祉学、更には医事
法学の集中講義を担当いたしました。
法学では一般的な法学概説ではなく、他人のやってい
ない医療に関係する法律問題を取り上げ、また、社会福
平成13年度
遺骨返還式
平成14 年3 月2 日(土)午後2 時から、本部棟2 階会議室
で平成13 年度遺骨返還式が行われた。献体者ご遺族、解剖
学教職員ら約 35 名が出席し、はじめに第 2 学年学生を代表
して平林真澄さんがご献体していただいたご遺族に対しお
礼を述べ、引き続き献花が行われた。解剖学Ⅱ講座篠原治
道教授からご遺骨返還が行われ、解剖学Ⅰ講座平井圭一教
授から謝辞が述べられた。
祉学でも医療保険制度や労災保険など医療と福祉に結び
つく諸問題に重点をおきました。学生諸君が現在の医療
制度がかかえている問題点を理解し、問題解決への能力
を高めることに配慮しました。
研究面における仕事としては、医事法学が法律学の一
領域を構成する独自の理論体系を持つことを明らかにす
ると同時に、医事法学上、生起する個々の法律問題につ
いて研究論文を発表することでありました。
その成果は著書「現代医事法学」
(初版 1993, 改訂2 版
1995, 改訂3 版 2002, 印刷中, 金原出版, 東京)にまとめ、
医療に関係する法律やその問題点を体系的に概説した書
として、本学をはじめいくつかの医学部などで教科書と
して使われていることは誠に嬉しい限りです。また、文
部省科研費の助成で出版した著書「診療における説明と
承諾の法理と実情」
(1998, 多賀出版, 東京)は、出版
早々に売れ切れとなり、時あたかもインフオ−ムド・コ
ンセントに対する関心がいかに高まっているかを示すも
のと思っております。これらの未開拓だった新しい多く
の仕事ができたのも金沢医科大学という恵まれた環境が
あったからだと感謝しています。これからも、医事法学
関係の教育、研究に微力を尽くしたいと思っております。
末筆ながら、教職員の皆様のご健勝及び金沢医科大学
の益々のご発展をお祈り申し上げ、退任のご挨拶といた
します。
文部科学大臣感謝状贈呈
ご遺骨返還式に先立ち、本部棟2階会議室において、天寿
会会員でご献体された次の方々のご遺族に対し、鈴木孝治
教務部長から文部科学大臣感謝状が贈呈された。
故 小嵐他七 殿
故 戸田盛重 殿 故 深見悌二 殿
(教学課 田川俊範記)
第110号/2002.5
17
金 医 大 学 報
新任教授紹介
もりもと
森本
しげと
茂人 教授
このたび、本年 4 月 1 日付けで、老年病学講座の教授
(特任)を拝命いたしました。
私は昭和 52 年に奈良県立医科大学を卒業し、大阪大学
医学部大学院老年病医学教室(熊原雄一教授)に進学し、
学位を取得いたしました。
昭和57年には米国St. Louis ワシントン大学内科学(L.V.
Avioli 教授)でカルシウム代謝内分泌学についての研鑽を
積み、昭和 59 年に帰国後、一貫して老年病の臨床、研究、
教育に携わって参りました。この間、高齢女性における
カルシトニン分泌能低下と骨粗鬆症への関与、活性型ビ
タミン D による乾癬の治療、老年者肺炎発症に対するア
ンジオテンシン変換酵素遺伝子多型の関与、アンジオテ
ンシン変換酵素阻害薬の高齢者肺炎発症抑制効果などを
明らかにし、臨床に根ざした研究を目指して参りました。
また、老年者高血圧の治療ガイドラインの策定(代表:
荻原俊男阪大教授)にも参画して参りました。
21 世紀は老人の世紀と呼ばれております。これまでの
活動の経験を生かして、老年病学松本正幸主任教授のも
とで教室活動のさらなる活性化に努力する所存です。ま
た、老い病める人に向かい合った時に、他の多くの疾患、
合併症、生活習慣、家族環境、社会環境、心理的側面を
も含む全人的な立場から的確に把握できる博識と、人間
を深く愛しうる心を持った良き医師の育成にも全力を尽
くす所存です。皆様方のご指導、ご鞭撻のほど宜しくお
願い申し上げます。
おおや
大谷
いさお
勲 教授
このたび、本年4 月4 日付けで大学院医学研究科・法医学
担当教授に採用になりました。
私は昭和 39 年に岐阜県立医科大学(現岐阜大学医学部)
を卒業後、神奈川県警友会総合病院にて医師実地修練、昭
和40 年4月、同大学院社会医学法医学を専攻、現長崎大学
名誉教授須山弘文先生のご指導の下、ヒトヘモグロビンの
免疫学的研究を学位論文として、昭和45 年に博士課程を修
了しました。
昭和 44 年 4 月から岐阜大学医学部の助手に採用になって
いましたが、母校である長崎大学教授に転じておられた恩
師須山教授のお誘いを受けて昭和46 年に長崎大学医学部講
師として転任、昭和48 年には助教授に昇任、昭和49 年1 月
∼ 6 月の間、沖縄県警察本部法医学顧問を併任しました。
この顧問は私が11 代目であり、琉球大学に医学部が開設さ
れて法医学教授が赴任(昭和57 年4 月)するまで、27 代の
法医学顧問が日本法医学会の推薦によって全国各大学から
派遣されていました。沖縄県下で発生した司法検死・解剖
の任に当った訳です。
併任が解けて長崎に戻りますと、須山教授から研究業績
をまとめておくようとのご下命があり、昭和 53 年 4 月の富
山医科薬科大学医学部法医学講座の初代教授就任となりま
した。医薬大では第1回の卒業生に合わせて大学院の設置が
準備され、予定通り認可となりました。昭和58 年、母校の
学部長のお誘いがあり、教授選考に応募、昭和 59 年 1 月に
転じました。そして気がついてみますと、本年、63 歳の定
年退官となりましたところ、本学副学長勝田教授から、本
学大学院の改組に際して参画の要請があり、お受けするこ
とになりました。
日独両法医学会の推挙により、来る10 月、第 5 回国際法
医学シンポジウムを高山市で主宰することになっておりま
すので、その終了まではご迷惑をおかけすることがあるか
もしれませんが、本学の発展のために微力を尽くす所存で
す。何卒、ご指導ご鞭撻を宜しくお願い致す次第です。
【学事】
金 医 大 学 報
マーサ大学新医学部長
本学を訪問
2002 年 4 月 4 日より 4 月 8 日まで、本学の姉妹校アメリ
カ・ジョージア州Mercer 大学よりアン・ジョウブ医学部長
一行が本学を表敬訪問された。訪問メンバーは、Ann C.
Jobe 医学部長、ご主人のMr. Larry Jobe、T. J. Lin 副医学部
長、Rosemary Lin夫人、ご子息のDr. James Lin の5 名であっ
た 。昨 年 7 月 に開 学 以 来 1 5 年 間 医 学 部 長 をされた Dr.
Skelton が、医学部長の職を辞し、マーサ大学 Senior Vice
Presidentの職に専念されることになり、Dr. Jobe がアメリカ
で初めての女性医学部長として就任された。専門はFamily
Medicine である。今回、Jobe 新医学部長は就任の挨拶と今
後の両大学の交流を発展させることを目的として本学を訪
問された。
4 月 4 日午後、一行は理事長、学長を表敬訪問された。
Jobe 医学部長は非常に明るい性格で、驚いたことに、日本
語が次々と飛び出し、あらゆることに興味津々で軽快な会
話がはずんだ。その後、学長室においてマーサ大学交換留
学生Karen Wangに研修証明書が学長より授与され、医学部
長一行にもご同席いただいた。夕方、病院別館8 階ラウンジ
において、Karenの送別会を兼ねて、Jobe 医学部長一行の歓
迎会を行った。Karenの研修にご協力いただいた先生方と学
生、過去 3 回のマーサ大学への交換留学生等が出席した。
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Lin 先生ご夫妻は終始学生たちに囲まれ、学生たちとの会話
を楽しまれていた。
4 月5 日、本学の第31 回入学式にJobe 医学部長、Lin 副医
学部長に来賓としてご臨席いただき、Jobe 医学部長から新
入生に対し祝辞をいただいて、Lin副医学部長に通訳をお願
いした。医師に必要な“6 Cs”についてお話をされ、非常
に印象的なスピーチで入学式をかざっていただいた。入学
式後、山本達センター長、友田幸一国際教育小委員会委員
長と、今後の学術交流、交換留学の検討課題について、デ
ィスカッションが行われた。午後、金沢市内の石川国際交
流ラウンジにおいて、日本文化体験を行ってもらった。Jobe
医学部長はオフィスに毎日自らフラワーアレンジメントを
されるくらいに、お花が好きとのことで、まず生け花に挑
戦された。わずかな花材で生ける日本のフラワーアレンジ
メントに感激されていた。そして、男性は羽織袴で、Jobe
先生は訪問着の着付けをして、茶道を体験された。Jobe 先
生はとても気に入られ、サービス精神からか夜の学長主催
の歓迎会にそのまま出席をされ、参加された先生方を驚か
せた。
4 月 6 日、7 日は能登、金沢の視察を行い、Jobe 夫妻にと
っては初めての日本の伝統文化を堪能されたようであった。
特に桜が満開の兼六園では、頻繁に足を止められ、時間を
かけて見学されていたのが印象的であった。
4 月8日早朝、東京へと出発された。今回の訪問では新医
学部長のお人柄に触れることができ、両大学の交流もさら
に深めることができた。
(学術交流室 古本郁美記)
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第22回教育懇談会
最近の医学教育の動向──
いろいろのOSCE
講 師:畑尾正彦先生(日本赤十字武蔵野短期大学看護
学科成人看護学系教授)
日 時:平成14年1月21 日(月)午後6 時∼8 時
会 場:ホテル日航金沢
標記の教育懇談会
が、本学の教職員及び
関連病院の教育指導者
の方々を対象として行
われた。司会を鈴木孝
治教務部長、座長を山
本達副学長にお願いし
た。演者の畑尾正彦日
本赤十字武蔵野短期大
学教授は、医学教育学
会では指導的立場でご
活躍であり、厚生省の
医師国家試験委員会副
会長を務めておられ
畑尾正彦先生
る。また、金沢大学医
学部のご出身で竹越襄学長の3年先輩である。はじめに竹越
学長から畑尾教授への歓迎の辞をかねて本学の医学教育へ
の取り組みなどについて簡単に紹介いただいた。
医学教育についての課題は入学選抜に始まり生涯教育ま
での広い領域にわたるが、今回は特に「臨床実地試験」を
中心にご講演いただいた。近年、医学教育に色々と変化が
求められてきた理由としては、知識量が膨大化してとても
記憶することができなくなり、効率的な教育方法が必要と
なってきたという経緯がある。また、単に知識はあっても患
者さんに満足のいく診療ができない医師が増えてきたことか
ら、先ずは質の高い臨床実習をとの要求が高まってきてい
ることもある。これらの理由から、医師となるための必要最
低限を教えるべきコア・カリキュラムが求められてきてい
る。そして、CBT(computer-based testing)やOSCE(客観
的臨床能力試験;Objective Structured Clinical Examination)
の導入に繋がってきており、本学では2002年から第4学年
生終了時に共用試験として導入される。OSCEは今後、共用
試験、国家試験の両方で行われると思われる。
先ず、共用試験におけるOSCEとして、表1のような課題
について学習することが要求される。4学年次までにこれら
の基本手技をマスターすることになる。このように具体的
かつ詳細な課題について想定しておくべきことを改めて認
識させられた。つぎに、国家試験におけるOSCE としては、
表2のような標準化OSCE が考えられているようで、実際の
診療に近い形で試験が行われることになると考えられる。
医師国家試験のOSCE のレベルは、検討会では指導医のも
とで医療に第一歩を踏み出すのに必要な基本的知識と技能
を評価するものとされている。鑑別疾患などを考慮しなが
ら診察、検査をプランする能力をつけておく必要性が6 学年
卒業時に要求される訳である。表2 について説明すると、1
つのステーションで1つの課題が用意され、その課題は、あ
る症例のストーリーを追って行く形で症例を踏まえて求め
られる実技をテストする(問題解決までは求めない)
。受験
者は、はじめの医療面接の場で得た情報を踏まえて、必要
な診察が行える能力があるかどうかをテストされる。例え
ば、医療面接情報から肝硬変が疑われれば、腹部診察の基
本的なことはもちろん、クモ状血管腫の有無、手掌紅斑の
有無、腹水の有無や腹壁静脈の怒張・血流方向の確認など
が行えるかどうかが求められる。場合によっては、その後
の検査計画立案や、簡単な処置の実技を求められることも
あり得る。プロブレムが胸部・循環器に関するものでは、
必要であると判断されれば心電図検査を行ったり、上気道
に関するものでは、グラム染色・顕微鏡検査・抗菌薬を含
む治療計画が求められることもあり得る。
「腹水の疑われる
患者さんの腹部診察をしなさい」という課題を提示すると
いうのではない。従来行ってきたOSCE より更に臨床実地の
力に重きを置く必要が考えられた。
つぎに、新しい医師国家試験の改善点は、以下のようで
あると解説された。①320題を500題にした。②得点にしな
いダミー問題を入れる。③問題の持ち帰り禁止。④出題領
域の割合を決めておく。⑤プライマリーケアーの必修問題
100 題を入れる。⑥OSCE の導入。⑦ a. 合否は相対評価で、
SD 以下の受験者を不合格とする。 b. 必修問題は80 %未満
で不合格とする。 c. 禁忌肢を選んだ場合は不合格とする。
以上により、毎年合格率が異なっていたが、今後は一定に
なると予想される。最新の信頼できる情報なので、今年の
国家試験もこれから大きくそれることはないと思われる。本
学に照らし合わせて考える場合、SD 以下の学生を救い出す
方策が必要になると思われる。
最後に、つぎのような幾つかの質問に答えていただいた。
『病院の中で医師の言動によるトラブルが多いが、教育で直
るか』との問いに、
「性格を変えることはできないが、患者
【学事】
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金 医 大 学 報
さんとの対話を改善させることは医療面接である程度でき
ると思う。あとは入学試験で不適切な人を除外することで
しょうか」と答えられた。つぎに『豊富な知識がよい医療
には欠かせないが、これからの医学教育ではその点をどう
考えているか』との質問に、
「これからの医師養成教育に要
求されるものは、知識を詰め込むのではなく、知識を手に
入れる方法を体得させることであろう。航海に出る時に食
料を沢山持ってゆくのではなく、魚をつれる能力をつける
ことが必要であるのと同じ立場でしょう」と話された。こ
の言葉には特に深い感銘を受けた。
「魚をつれる能力をつけ
る」ことが、これからの教育方針の中心であろうと確信し
た次第である。
(総合診療科 神田享勉記)
表1 共用試験におけるOSCE
課題はあらかじめ20 程度設定し、学生が特定の課題のみ
しか学習しないことを避けるため、その内から5 課題程度を
選択して実施する。なお1 課題(ステーション)5 分程度と
する。課題(案)はつぎのようなものが考えられる。
医療面接 バイタルサイン
胸部診察
心音聴取 呼吸音聴取 心電図
頭頸部診察 眼底検査 腹部診察
神経診察(脳神経)
神経診察(反射) 神経診察(感覚)
神経診察(運動・小脳)上肢診察 下肢診察
心肺蘇生 小外科(ガウンテクニック)
小外科(消毒・縫合) 検尿 グラム染色 など
表2 標準化OSCE トライアル
ステーション課題
◎ステーションA(15 分間)
のどの痛みと鼻水を主訴に内科外来を受診した21歳の男性
A−1 面接
(約5分間)
A−2 診察
(約5分間)
A−3 記載(検査・治療計画立案)
(約5分間)
◎ステーションB(15 分間)
「昨日の夕食後から腹痛がある」といって外来受診した26
歳の男性
B−1 面接
(約5分間)
B−2 診察
(約5分間)
B−3 記載(所見記載、検査計画立案) (約5分間)
◎ステーションC(15 分間)
“献血”の際に高血圧を指摘され、医師への受診を勧められ
たという50 歳の女性。
C−1 面接
(約4分間)
C−2 診察
(約4分間)
C−3 記載(所見記載、検査計画立案) (約4分間)
◎ステーションD(15 分間)個別課題
D−1 心電図検査
D−2 外科的基本手技“縫合と抜糸”
D−3 直腸(指)診
(5分間)
(5分間)
(5分間)
第4回PBLテュートリアル・テューターワークショップ
日 時:平成14年3月22 日(金)∼23 日(土)
会 場:能登ロイヤルホテル
金沢医科大学医学部では、平成14年度入学生より、統合
型カリキュラムが始まりました。このカリキュラムでは、学
習の仕方が従来の講義中心の受身の教育形態からPBL テュ
ートリアルを含めた能動的なものとなります。さらに、1 日
に内容の全く異なる複数の講義を混ぜ合わせて少しずつ学
んでゆく積み上げ式から、一定の期間に関連領域をひとつ
のユニットととして集中的に学ぶ臓器関連別カリキュラム
に変わります。この改変に伴って、必要な講義、実習など
を統合的に計画することがこれまで以上に要求されるため、
現在、関連講座間でのジョイントミーティングにおいて、
平成 14 年度入学生の2 学年時以降の最終的な詰めが行われ
ています。PBLテュートリアル・テューターワークショップ
はこの教育システム改変の一環として行われてきており、
今回で4 回目を迎えました。第1 回から3 回までのワークシ
ョップで155 名のテューターが養成されましたが、参加者が
主として、講師、助手であったため、今回は教育現場の要
である教授、助教授を対象として開催されました。場所は
能登ロイヤルホテルで、1 泊 2 日で行われました。2 日間に
わたったのは、PBL テュートリアルの効果は、
「自分の知っ
ていることと知らないことを明らかにし、知るべき知識が
何か」という問題意識から自学自習を導くものであること
から、2 回のテュートリアルによってその効果を評価してい
ただきたいという理由からでした。
ワークショップは、鈴木孝治教務部長からの金沢医科大
学の教育方針についての説明の後、本学 4 年生による PBL
第110号/2002.5
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テュートリアルの見学に始まりました。これは、ワークシ
ョップ自体も問題立脚型とし、PBL に関する具体的な説明
の前に、テュートリアルの実際を見ることでPBL の特徴や
問題点を考えることから始めようという主旨でした。テュ
ートリアルは、小会議室で行われ、その様子は参加者のい
る大会議室に同時中継されました。テュートリアルは、教
授に見られているという緊張があったものの、ほぼ普段の
ままで行われ、テューターの宮澤克人講師もあまり介入す
ることなく、学生主体で進められました。見学に続いて、
大会議室に移った参加学生を含めての質疑応答が行われ、
この時点では「このあとどのように勉強するか」「わからない
ときはどうするか」といった活発な意見が出されました。一
方で、「勉強というのは○○○」「△△△のように勉強して欲
しい」といった教員から学生への注文がありました。このワ
ークショップは教員のためのものですが、このように学生
と教員が教育の話をする時、知らず知らずに、教員から学
生への一方的な要求になってしまう傾向があることを感じ
ました。後日、参加学生からも「教員は自分たちがこのよう
なワークショップで教育されることを受け入れられないの
でしょうか」という辛口の批評もありました。
学生を交えた昼食の後、参加者に学生の体験をしてもら
いました。喋りづらさといらつきを訴える18 歳の女性の症
例で、教授、助教授がPBL テュートリアルに挑戦されたわ
けです。そこでは、テュートリアルの経験のみならず、テ
ュータ―がどういう介入をすべきかなどの討論も活発に行
われていました。その後、症例作成と統合型の時間割作成
がグループワークとして行われました。臨床総論、呼吸器
系、神経・精神系、周産期・生殖器系、内分泌・代謝系お
よび眼・視覚系について基礎、臨床の教員が統合型の時間
割作成を試み、新カリキュラムでの時間割のあり方につい
ても活発な議論が交わされました。
小会議室でのグループワークの後、竹越襄学長から挨拶
があり、引き続き、久留米大学医学部吉田一郎教授および
近畿大学医学部松尾 理教授の特別講演が行われました。吉
田先生には、「PBL とは。なぜ PBL か」というテーマで、
Hardenの「今までの授業はヒトが犬に向かって話しているみ
たいだった」、Tschirgiの「魚を与えるより、魚の釣り方を教
えるほうがよい」といった言葉を引用されるなど、PBL につ
いて大変わかりやすい講演をしていただきました。松尾先
生からは、「基礎医学教育のあり方」のテーマで、コアカリ
キュラムでの基礎医学のあり方、存在意義などが述べられ
ました。また、IT を利用した形態系と機能系の統合、さら
には病態生理との連関などが、21 世紀型の基礎医学教育と
して重要であるなど、PBL で議論の多い基礎医学教育につ
いてのお話をいただくことが出来ました。
特別講演の後は、グループワークの発表が行われ、作成
された事例や時間割に対して学生を含めた意見交換が行わ
れました。
2 日目には、参加学生による2 回目のテュートリアルが行
われ、前日の問題提起にもとづいて、それを解決してゆく
学生たちの自学自習のあととその姿勢をみることが出来ま
21
した。
ワークショップの前後で、PBL の必要性、学生にとって
有用な授業形態かなどについて簡単なアンケートが行われ
ました。その結果、
「金沢医科大学のカリキュラムへのPBL
導入について」は、臨床系参加者のうち6名(24%)が「わ
からない」と答えていましたが、そのうち4 名がワークショ
ップ終了時には「有効」と変化しました.また、「PBL を導
入することにより、従来の講義時間数を減らすことが可能
か」の問いに、臨床系参加者の13 名(50 %)がワークショ
ップ開始時「わからない」あるいは「無理」との意見でし
たが、うち6 名が終了時に「可能」に転じていました。
ゆとり教育が論議を呼んでいますが、基本的には教育界
全体に「覚える」から問題立脚型の「考える教育が必要」に移
行してきているものと思われます。授業時間の短縮や内容
の減少は学力の低下をまねくとの危惧はどの分野でも同じ
ですが、100 %を教える中からどれだけ覚えられるかという
教育法は、学力の上限が最初に設定された100 %を超えるこ
とはほとんどないでしょう。さらに、平均的な60 %の知識
習得が試験の合格ラインになっていることは、学生の学力
が60 %から100 %の間にあることになります。問題立脚型
の学習法では、求める最低レベルを60 %にした場合、学生
の学力は60%かもしれませんが、200%かもしれません。仮
に習得されている知識が60 %であっても問題解決能力を有
することで、総合的な学力は計り知れないものになるでし
ょう。
PBL テュートリアルを初めて経験した学年が 5 年生とな
り、今年4 月から臨床実習が始まっています。臨床の多くの
教員から「臨床的な推論ができる」「POS の基本を理解してい
る」「熱心だ」との評価の声が出始めています。平成14 年の医
師国試で103 名(新卒合格率 93 %)の医師が誕生しました
が、PBL を経験した学生は患者の問題を解決する能力を発
揮し、臨床現場で、先輩諸氏を驚かせることでしょう。
教員評価は、一般的にインパクトファクター一辺倒から
教育業績が重要視されるようになってきています。教育、
研究、臨床をどう並立させてゆくかといった大きな課題が
ありますが、教育は大学の本分である以上、日々臨床、研
究を考えると同様に教育についても考えなければいけない
時期が来ていると思われます。教授、助教授の方々のワー
クショップでの活発な討議は、本学の医学教育変革への積
極的な姿勢と感じ取れるものでした。
アンケートでは、参加された先生方より事例作成の時間
が短かったなどの多くの意見をいただきました。今後、よ
りよいワークショップにできますよう改善に努めたいと思
います。最後に、PBL のワークショップに協力してくださ
った 4 年生(小川奈津希さん、泰間美紀さん、小林直子さ
ん、町田雄一郎君)
、教学課スタッフ、メディアサポート課
スタッフに心より感謝いたします。また、本ワークショッ
プを常に支援して下さる小田島粛夫理事長、竹越襄学長に
感謝いたします。
PBL :problem-based learning 問題立脚型学習
(医学情報学・神経内科学 堀有行記)
【学事】
金 医 大 学 報
第1学年オリエンテーションは、入学式翌日の平成14年4
月5日(金)から13日(土)の8日間にわたって開催された。
前半は、これから医学生として学生生活を送る新入生に
対する、教育方針の説明、修学案内、諸手続きに関する説
明、学生支援センター各室の案内、各種講習会等の説明と
講習会が行われた。後半は二泊三日の宿泊研修で、本学の
建学の精神である「良医を育てる」「知識と技術をきわめ
る」
「社会に貢献する」を認識してもらい、自己学習能力の
開発に主眼をおいたテュートリアルやSGL 教育を理解する
こと、そして学生相互、教員と学生間のコミュニケーショ
ンを図ることを目的として行われた。
後半のプログラムの、
「いこいの村能登半島」での宿泊研
修では、みんな気分も一転して生き生きとした表情で研修
に参加していた。
宿泊研修初日には、今年度新企画である「参禅会」が門
前町の総持寺祖院で行われた。この参禅会は、希望を抱き、
良医になろうとの固い決意を持ち本学の門を叩いた新入生
に対して、いつか自分に打ち克たなければならない時がく
22
るであろうが、その時には「座禅」の体験を思い出して克
己心を奮い立たせることができるのではないか。座禅体験、
作務(寺の掃除、境内の除草)をとおして自分という人間
を心の目で客観的に見つめなおしてみようとの考えから企
画された。
2 日目は、スモールグループに分かれてテーマを「医学生
として生きる」と掲げたワークショップが行われ、そして
ソフトバレーボール大会と続いた。夕食を兼ねたバーベキ
ューガーデンでのフリートーキングでは、教員と学生、学
生相互の親睦が深められ大いに盛り上がった。
最終日は、ワークショップの全体発表が各グループから
行われた。発表に対する質問や意見交換も活発で、和気
藹々とした雰囲気の中で、様々な意見が出された。
オリエンテーション終了後に行った感想文の中には、
「悪
徳商法に関するビデオがためになった」
「座禅は足が痛かっ
たが、貴重な体験ができた」
「宿泊研修で多くの友人ができ
た」等の意見が多かった。
(教学課 山本健司記)
人物往来
□James M. Savelle 博士/カナダ McGill University 人類学科準教授/平成13 年 9月から国立民族学博物館の先
端民族学研究部超領域客員部門教授/研究テーマ「チューレ・イヌイットのクジラ捕獲戦略と資源管理に関す
る研究」/平口助教授と共同して本学管理メーリングリスト cetarch ならびにウエッブサイト The Cetacean
Zooarchaeology Research Network(http://www.kanazawa-med.ac.jp/~hum-sci/cetarch.htm)を創設/平成 14 年 2 月 9
日∼ 11 日、伝統捕鯨の研究を目的として来県、本学平口助教授室などで交流/第 13 回日本海セトロジー研究
会大会では特別講演を予定/人文科学教室
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附属看護専門学校
第14回
卒業式
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ん。心の触れ合いを大切にし、満足される看護を心がけて
ください」と告辞が述べられ、竹越襄学長、内田健三病院
長から祝辞が述べられた。
在学生代表の伊藤彩さんの送辞に対して、卒業生代表の
山岸雅美さんが「ナイチンゲール誓詞にある“我が手に託
されたる人々の幸のために”私たちは精一杯の努力と愛情
を注ぎます。栄えある看護師第一号の年に卒業できたこと
に恥じることのないよう頑張ります」と答辞を述べた。
卒業生氏名
平成14年3月5日(火)午前10 時から本部棟4 階講堂で行
われ、51 名(男子 3 名)が学舎を後にした。松原純一学校
長から卒業生一人一人に卒業証書が授与され、
「実際の看護
は難しい応用問題ばかりです。その解決に必要なのは人に
対する温かい心で、優しく言葉をかけてあげることから先
ず始めよう」と式辞が述べられた。
続いて、小田島粛夫理事長から「皆さんの職場となる病
院はまさに社会の縮図であり、その疾患も一様でありませ
第15回
入学式
入学宣誓をする富綾子さん
平成14年4月9日(火)午前10 時から本部棟4 階講堂で行
われ、父母、本学役員、教職員、上級生らが見守るなか、
新入学生 60 名(男子 4 名)が看護の道を目指してスタート
した。始めに入学生の紹介があり、松原純一学校長が「こ
の道を選んだのは皆さん自身であることを忘れないでほし
い。苦しい事や悩む事があった時には自分が選んだ道であ
る事を思い出して頑張ってほしい」と式辞を述べられた。
引き続いて、小田島粛夫理事長から「時代が変わろうと
も、病気で苦しむ人々にとって最も身近な存在である看護
第91回 看護師国家試験結果
第 91 回看護師国家試験の結果が平成 14 年 3 月 29 日(金)
に発表され、本校の受験者 55 名に対し 50 名が合格(合格
北瀬 裕美 田野 恵美 東原 慶 森 公子
浅野 靖子 池田 幸江 伊藤 藍子 伊藤 和美
大平 和子 貝吹 文子 門村真知子 鞍野恵理子
小浦 恵 越澤 有香 小林真奈美 小藤 祐子
近藤 詩朗 酒井 美香 沢野奈津子 下大洞綾子
清水 史子 新橋 星子 多賀 陽子 竹森さつき
谷川 沙織 中條美由紀 辻 展行 土野 麻理
東田 悠佳 内司 有紀 中石 香織 中川 礼子
長門沙緒梨 永野奈津子 西谷美加子 橋場 敦子
原田佳奈子 堀井麻衣子 毎田 望 前畑安比子 松永みゆき
美馬 聖子 元 千恵美 森 千春
森 友美 森田千亜紀 森本 宴水 山岸 雅美
山田 弥生 山本美保子 涌田 倫江 (以上51 名)
師に対する信頼は変わることはない。看護の対象となる人
に対して、社会生活を営む一人の人間として接するように
心がけるよう」と告辞が述べられ、続いて学長、病院長か
ら祝辞が述べられた。その後、在学生代表上田葵子さんの
歓迎の言葉に対し、入学生を代表し冨綾子さんが「学生の
本分を守り学校の使命に沿うよう努めます」と力強く宣誓
した。
(看護専門学校事務課 山田克己記)
入学生氏名
赤倉奈緒美 居関めぐみ
井村 美子 上野 佳子
梅川 千尋 圓満字 香 大下 瑞代 雄谷 友紀
奥 佳夏 小野島妙子 川端 美香 北川 奈菜
黒部 美香 小泉 恵理 小林 昭美 坂本めぐみ
佐野 幸恵 澤村 彩 下道 祐子 島田 育美
白藤 健剛 新造 久子 須磨万里子 脊出 正紀
高木 綾子 高木 美帆 高野 舞子 谷田 和美 寺井千亜紀 土橋こずえ
冨 綾子 中田美由紀
中野麻友子 中村 繭子 西森 来未 西山 麻衣
長谷部裕美 秦 奈緒美 東平 光代 藤沢 志保
藤田 りえ
二見 裕子 鉾木智恵美 本領 祐香 松本 伊代 三田 由佳 宮
景子 宮前 朋世
村川 高明 村田美奈子 本 紋子 森 絵里香
山田 優子 横山 裕介 吉浦 美鈴 吉川 雅美
吉川 有美 吉田 章子 米多 明美 脇坂真実子
(以上60 名)
率 90.9 %)した。内訳は新卒者 51 名に対し 48 名が合格、
既卒者は 4 名に対し 2 名が合格した。全国平均合格率は
84.3 %であった。
(看護専門学校事務課 山田克己記)
24
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益谷秀次賞・北辰同窓会会長賞(医学部卒業生)
学長賞(大学院修了生)
益谷秀次賞
桜井久美さん
この度、卒業証書・学位記授与式
において益谷秀次賞をいただきまし
た。名誉ある賞に選ばれ、大変嬉し
くまた光栄に思っております。
6年前、自分は医師になれるのだろ
うかという不安と、医学を学べるこ
とに対する期待とで、複雑な気持ち
で入学宣誓式に臨みました。そうし
て始まった学生生活でしたが、部活
に汗を流し、時にはいろいろなところ
を旅しながら楽しく過ごすことができ
ました。
クラスでは、広い視野で世界を見
ている人、みんなをまとめてくれてい
た人、いろいろな趣味を持っている
人など個性にあふれた多くの人とめ
ぐり会い、私にとってはよい刺激と
なりました。このクラスで学べたこと
は本当に幸せでした。
勉学面では、熱心に指導してくだ
さった先生方や、実習に協力してく
ださった患者さん、陰でサポートして
くださっていた同窓会、後援会およ
び天寿会の方々など、本当に多くの
支えがあったお蔭で非常に充実した
環境で医学を学ぶことができ感謝し
ております。
これからの医師としての人生では、
初心を忘れず、謙虚な気持ちで、信
頼される良医となれるよう、これを常
に目標にかかげて日々努力していき
たいと思っております。
北辰同窓会会長賞
山田奏子さん
今回、卒業証書・学位記授与式に
おいて、金沢医科大学北辰会同窓会
会長賞をいただき大変嬉しく、また
光栄に思っています。私がこの賞を
受けられましたのも熱心にご指導く
ださった諸先生、職員の方々や共に
切磋琢磨した友人たちのお蔭と感謝
しております。
また、父母だけでなく、祖母、叔
父、叔母、従兄の理解と励ましが、
私を支え頑張れたのだと思います。
この受賞を皆が喜んでくれ、少しは
恩返しができたかと思います。私の
部屋で絶えず私を見つめていた祖父
の写真が私に力を与えてくれたこと
も大きかったような気がします。
学業ばかりでなく、バドミントン部
の課外活動、一年生の時の内灘祭実
行委員会、琴や茶道の稽古など、六
年間の大学生活を精一杯に謳歌する
ことができ幸せでした。
生まれて初めての選挙の投票を内
灘町民として行いましたし、自動車
運転免許を得たのもこの地でした。
今後は、本学大学院へ進学し、医
師としての生活をはじめようとしてお
りますが、謙虚な気持ちで良医にな
るように研鑚に励みます。
諸先生方、今まで以上にご指導、
ご鞭撻くださるようお願い致します。
学長賞
星野智子医師
この度、大学院医学研究科を修了し、博
士(医学)の学位を取得することができま
した。また学位授与式において名誉ある学
長賞をいただき、大変嬉しく思っておりま
す。
私は医学部学生時代から将来臨床医にな
る事が目標であり、学位の取得はあまり考
えたことがありませんでした。しかし臨床
に携わるにあたり基礎医学の知識や考え方
をもっと深く知る必要があると思い、大学
院へ進みました。4 年間の研究を終え、こ
の選択は間違っていなかったと確信してい
ます。
私の行った研究は、アルツハイマー病患
者におけるAPOE-ε 4対立遺伝子量とHDL
コレステロールとの関係についてのもので
す。アルツハイマー病においてAPOE-ε 4
対立遺伝子はコレステロール代謝に影響を
与えていると思われ、この遺伝子量とHDL
コレステロール値が負の相関関係にあるこ
とが明らかとなりました。コレステロール
が脳内のアルツハイマー原因物質の沈着に
大きな影響を与えていると考えられること
から、アルツハイマー病の治療の一環とし
てコレステロール値を調節することが有用
であることが示唆されました。コレステロ
ール値との関係は、今後の研究で、アルツ
ハイマー病の診断や進行度の判定などに応
用されていくのではないかと期待されます。
私の在籍した高齢医学科では痴呆老人が
非常に多く、その原因の一つであるアルツ
ハイマー病は治療法も有効なものがなく、
大きな問題の一つでした。アルツハイマー
病に限らず、臨床で治療の壁に直面する事
はたびたびありました。その様なときに有
効性が明らかでない様々な治療法をむやみ
に試すのではなく、一つ一つの治療法の意
味を基礎医学から理解して応用する事の重
要性を、この研究を通して学びました。今
後も新しい研究成果に目を向けることを忘
れず、臨床に従事していきたいと思います。
第110号/2002.5
金 医 大 学 報
25
第6学年学生が選んだ
The Teacher of the Year
第6学年学生が総意で、一年間の集中講義を担当した教師の中から、今年度の“The Teacher of the Year”を選出
した。平成14年3月20日の卒業証書授与式の夜開催された卒業記念パーティーにおいて、廣瀬源二郎教授(臨床医学)
と野島孝之教授(基礎医学)の両先生が表彰された。
(編集部)
選ばせていただいた学生の立場から
ふくやま
ともき
平成14年3月卒業生 福山
智基
6 年間の医学部での学習の総まと
めとして、国家試験対策をかねて
行われる講義が集中講義である。
僕達の学年の集中講義は学生主体
で検討し決められ、実行された。
僕が 5 学年の 11 月に教務部長に就
任されたばかりの鈴木孝治先生か
ら「6学年は大切な時期だから、
(大
学側から)やらされる勉強ではな
く、学生主体の授業を組んでみてはどうだ? 大学側では出
来る限りのバックアップをするから」と言われ、そこから教
務部の先生のご指導のもと僕達の集中講義カリキュラムづ
くりがはじまった。そして、集中講義だけではなく、学生
自習室の使用方法など、6学年の学習生活におけるほとんど
を学生主体で決めることとなった。
BSL、そして進級を左右する標準試験が押し迫った時期
だったので、時間が無く四苦八苦したが、教務部の先生方、
先輩、そして同級生の協力のもとになんとか3 月の末には、
149 コマの講義内容と講義をしていただく先生を決めること
が出来た。無理な注文をかなりしたと思うが9割近くは僕達
の意見が通った形の講義となった。
僕達のわがままを聞いてくださったお礼の意味もあって、
廣瀬源二郎神経内科学教授
鈴木先生の提案もあって、集中講義において最もわかりや
すく、良い授業をしてくださった先生に対して、僕達の敬
意と感謝の気持を表すために、The Teacher of the Year とし
て、学生アンケートにより臨床、基礎の先生を1 人ずつ選ば
せていただくことになった。2回にわたるアンケートの結果、
臨床では神経内科学教授廣瀬源二郎先生、基礎では病院病
理部教授野島孝之先生が選ばれた。もちろんお二人以外に
も、素晴らしい授業をしてくださった先生が多数おられ、
ほんとうに感謝しています。全てが初めての試みでいろい
ろ大変なこともあったが、去年の先輩方の意見に比べ集中
講義は「よかった」、「意味があった」という意見が大幅に増
えた。その理由として「自分達で決めたから興味を持って講
義に臨めた」、「先生方の良い講義をしようとする気持ちが
伝わってきた」など意見があり、学生側の責任者として「あ
ぁ、よかった」と一安心すると共に、学生の自主的な行動の
重要性を感じた。
僕達がつくった集中講義プランはまだまだ完全ではなく、
改善の余地があると思う。今後、国家試験はますます難し
くなることが予想され、また、数年後には共用試験も施行
されるなど、医学教育カリキュラムはますます厳しい状況
になっていくと思う。そういった中で、大学側だけではな
く、学生も大学側と共により良い教育、学習方法を考えて
行くことが必要であると思う。
最後に、僕達の医学教育対策のために、いろいろ援助し
ていただき、また、ご理解してくださった、教員、職員、ご
父兄の皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。
野島孝之臨床病理学教授
26
金 医 大 学 報
《The Teacher of the Year に選ばれた先生方のコメント》
神経内科学教授 廣瀬 源二郎
その年によく教えてくれた教師に感謝して学生がおく
る称号が“The Teacher of the Year”である。米国の高校
以上の学校で長く行われている仕来りであり、学生と教
員との関係を親密にする良い方法である。
私は大分以前より、この制度を大学の教務部主導で開
設したらと角家教務部長時代に何度も進言したことがあ
る。我が国においても、米国同様教育熱心な教師は必ず
しも研究業績の点で最優秀であることは難しいもので、
この両者は相容れぬものとされている。昨今大学での教
育手法として、教育(teaching)と学習(learning)の比重を逆
転させ、学生の自発的学習を主にして、教員の教育を従
にする流れがあるように思われる。どちらが良いかとい
う問題ではなく、両者が共に必要であることに異論は無
い筈である。ただ研究時間を増やし業績をあげるために
学生の自発的学習時間を増やすとするのなら、それは明
らかに誤りである。
『教育とは、何にもまして、人を惹きつける魅力の体
験に他ならない』と前東大総長蓮實重彦氏は言う。何か
を教えるだけでなく、この社会には誰かを惹きつけたり、
何かに惹きつけられたりすることがあるのを、実践的に
体得させるのが真の教育だと思う。
数年前米国神経学
会の折に San Diego の
ホテルの土産物店で
偶々見つけた飾り物に
ある“一言”は私の教
育感そのものである
( 写 真 )。 そ れ に は 、
“Time spent teaching is
never lost”とある。
今年卒業生に選ば
れた一教師の雑感であ
る。卒業生諸君ありが
とう。
臨床病理学教授 野島 孝之
卒業祝賀会で予期もせず、
“The Teacher of the Year”な
る賞を卒業生代表の福山君からいただきました。開学以
来初めて設けられた賞で、どのような経緯で賞を考え、
評価方法、選考過程はどうだったのか、詳細は知りませ
ん。しかし,教師が学生を評価すると同様に、授業は評
価される必要があり、その時代になったのは間違いあり
ません。医学系教員の仕事は教育、研究、診療の3 本柱
であり、自己点検・自己評価なる制度も最近整備されつ
つありますが、教育に対する評価は講座制の中でなおざ
りにされてきました。その意味でも学生から評価、表彰
されることは教員の教育に対する励みとなり、また、初
めて教壇に立った時の謙虚さを思い出し、怠惰を戒め、
身を引き締めることになります。
自分の授業形態は、30 年前の学生時代から今までの間
に授業、講演、講習会などで受けたいろいろなタイプの
先生の中から、自分を感化し、このスタイルならば同じ
ように学生を引きつけるのではないかと思い、真似てい
るに過ぎません。現在授業様式は、従来の系統講義スタ
イルから、チュートリアル、合同講義、SGL、PBL、
BSL、CCS など多様化し、今後さらにコアカリキュラム
の導入で、細切れの時間を多数の教員が連携よく担当す
ることが期待されています。基礎、臨床の明確な区分は
なくなり、よい意味でのゆったりとした授業をする時代
ではなくなりました。このことを念頭に入れ、学生に魅
力のある講義をし、いつかまたこの賞をいただけるよう
に努力したいと思います。
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平成14 年3 月20 日(水)
、卒業記念パーティー終了後に「学長と熱く語る会」が開催された。卒業生と学長や教員が6
年間の思い出を語り合い卒業を祝う会で、学長からの卒業生にがんばってほしいという熱い思いがこもっていた。会場では
卒業生の笑顔が満ちあふれ、あっという間に時間が過ぎたが、本学に残っても残らなくても学長の卒業生に対する思いは同
じだということは伝わったことと思われる。
(企画調査室)
学長と熱く語る会を終えて
やまだ
まさよし
平成14年3月卒業生 山田
真善
3 月 20 日、卒業記念パーティー
の夜、我々は竹越学長先生と再び
話す機会をいただくことができた。
これが「学長と熱く語る会」であ
る。この会は我々が大学に対して
思っていることを直接、学長先生
に話すことができるとても貴重な
チャンスとなった。
6年前、めでたく金沢医科大学に入学することができた私
は何とかスムーズに卒業でき、医師国家試験を受けさせて
いただいた。今思えば、6 年間は長いようであっという間で
あったが、最後に学長先生とお話をさせていただく機会を
得ることができ、とてもありがたく思っている。
在学中、私は学友会に所属し、2 学年時に学友会執行委員
長、3 学年時に副執行委員長を務めさせていただいた。この
時も大学に対する要望を学生のアンケートとして収集し大
学に提出したり、学年の代表だけで話し合いの席を設けて
いただいたりしていたが、6 学年時には班に別れて学長先生
と昼食をとりながら1人1人大学に対する意見を言わせてい
ただける「昼食会」があった。学長に直接お目にかかって
各個人の意見を感情を込めて言うことができたので、周り
の皆から「言えてよかった」という声がよく挙がっていた。
1 人1 人思っていることは違う。それを学長先生に直接言え
るというチャンスは、非常に貴重なものであり、我が大学
の特徴として私は誇りに思う。
我々の意見というのは、例えば、許可証を持っていても
駐車場がいっぱいで入れないことや、6 年生で勉強に忙しい
時に、雨・風・雪が降っても、男子学生では家が少し遠く
ても許可証がもらえず、大きいかばんに何冊もの参考書を
詰めて歩いて行かなければならなかった事などの問題もあ
った。残念ながら我々の時は解決しなかったが、少しでも
後輩たちのためになればよいと思い、直接、自分で言わせ
ていただいたということが、皆の気分が少しでも落ち着く
きっかけになったことは確かであると思う。
私はこのような機会を持っていただける大学であるとい
う好感と、自分の進みたい良い科があったため、金沢医科
大学大学院に残らせていただくことにした。最後になるが、
「学長と熱く語る会」で学長先生がおっしゃられた言葉があ
る。
「外に行く(残らない)学生は嫁に出す気分である。最
後まで粘り強く頑張って帰ってくるな」を忘れず、皆どこ
に行っても気合で頑張ろう!
28
金 医 大 学 報
シリーズ: 私が 医師になりたい理由・ 医師になった理由 ②
自分自身の生き方を考える時、多くの先輩や友人たちの生き様が栄養剤のように働く。できるだけ多様な人生観を伝えたいと
いう目的でシリーズものとなったが、2 回目の今回、本学からの 2 名に加えて他大学医学生から 1 名の寄稿を掲載した。筆者の浜
松医大 6 学年の舛方葉子さんは亡き弟さんへの強烈な体験が医学部入学の動機となっているとのこと。また「週刊医学界新聞:
医学生・研修医版」の昨年 10 月 22 日号の「シリーズ:この先生に会いたい」に寄稿し、本年 2 月 18 日号では「向井千秋氏、宇宙
と医学を語る」のインタビューアーをつとめている。医学生メイリングリスト college-med でも活発な発言を続けており知り合っ
た。浜松から私に会いにきてくれ、よほど金沢が気に入ったようで、今度は友人を連れて観光に来るという。(相野田紀子記)
えんどう
ぶんじ
遠藤 文司(第4学年)
◆父は大阪で一介の臨床医と
して地域医療に従事しており、
私は父の勧めにしたがって医科
大学に入学しました。だから入
学当初の私の医師になる理由は
「親の後を継ぐため」といった漠
然としたものでした。しかし、
学年が進み基礎医学から臨床医
学へと医学の世界に接していくうちに、その奥深い世界
に好奇心が湧いてきて、人のかかる病の多いことに驚き、
生命の不思議に魅せられてきました。また、現代の医学
をもってしても治せない疾患も多く、これからの私たち
が解決していかねばならないことが沢山あることを知り
ました。
それを解決するたのしみは私たちに残されているとい
ってよいと思っています。
◆まだ臨床実習の体験は少ないのですが、医師という
職業は、患者さんを幸せにするか不幸にするかの鍵をあ
ずかって仕事をしている職業といえると思います。もち
ろん、患者さんに本心から「ありがとう」を言っていた
だけるようになるには、これから沢山の経験と修練を積
む必要があります。
「医は仁術」といわれますが、私も医
術と共に仁術をも兼ね備える医師をめざしています。医
術は医師国家試験に合格することでその最低ラインは保
証されるかもしれませんが、「仁術を身につけること」、
これは私にとってのこれからの大きな課題であると考え
ています。
これからも沢山の人に会って、話し合い、体験を深め、
相手の考え方を理解する力を養っていきたいと思ってい
ます。そして、患者さんに幸福と笑顔をもたらして、
「あ
りがとう」といっていただけるような医師を目指して,
これからも頑張っていきたいと思っています。
「ありがとう」という言葉は、私の好きな言葉ですから。
ますかた
ようこ
舛方 葉子(浜松医大6 学年)
1989 年10 月17日─弟の命
日、そして、医学を学びたい
と初めて思った日。
私はずっと「マザーテレサの
ようなやさしさをもったひとに
なりたい」と思っていた。困っ
ている人に出会った時には迷わ
ず手をさしのべ、ともに歩いて
いきたかったのだ。幅広い知識はきっと一助になるであ
ろうと、教養のひとつとして医学をとらえていたのだが、
マザーの死をきっかけに、
「医師になるということ」をゆ
っくりと考え始めた。
病棟で実習するようになり、医学という学問を「術」
として施す病院にはprofessionalとしての厳しさと同時に
患者さんへの慈愛にあふれていることに気付いた。いつ
しか医師という職業に魅せられ、そしてそこは私の志が
実現できる空間ではなかろうかと思うようになった。ふ
と、マザーのことばを思い出す。
『親切で慈しみ深くありなさい。あなたに出会った人
がだれでも、前よりももっと気持ちよく明るくなって帰
るようになさい。親切があなたの表情に、まなざしに、
ほほえみに、温かく声をかけることばにあらわれるよう
に、子どもにも貧しい人にも苦しんでいる孤独な人すべ
てに、いつでもよろこびにあふれた笑顔をむけなさい。
世話をするだけでなく、あなたの心をあたえなさい』
のぼりざか
登坂
ゆ か
由香(衛生学教室)
私は医者にはなったものの、いわゆる日夜人を助け
る医療現場に身を置いてはいません。この頁にふさわ
しいかどうか疑問ですが、自分の振り返りも兼ねて書
かせていただきました。
私の父は田舎町の開業医で、いわゆる地域医療の末
第110号/2002.5
端で現在も活動しています。私
が中学生頃まで産婦人科を標榜
していた我が家は、自宅と病室
の廊下が扉一枚で区切られただ
けの造りで、お袋の味はそのま
ま病院食であり、カーテン越し
に父の目を盗みながら診察室を
通りぬけて行く事務室は、私の
遊び場でもありました。深夜に、院長兼主治医の父と
婦長兼調理師の母が分娩室に籠もると、小さい私は廊
下のソファーで2人が出てくるのを待っていたもので
した。聞こえていたはずのうぶ声の記憶は不思議と無
く、薄暗い長い廊下と、病室のドアばかりが脳裏に焼
き付いています。留守番が出来るようになると、消灯
時間にはドアをノックし「お変わり無いですか?おや
すみなさい」を言いながら病室を回ったこともありま
した。そんな生活に疑問を持たなかった私も、多感な
年頃になり、家族の時間をもっと持ちたい、いわゆる
休日を休日として過ごせる生活を欲するようになり、
父母の仕事を疎ましく思うようになったのです。私の
「医者にはなりたくない」発言を両親は黙って聞いてい
てくれましたが、外野は誰もが医者になるものと期待
し、ますます反骨精神が高まったものでした。
しかし、医者になりました。ただ哀しいかな娘は父
の跡を継がず、研究者への道に進みつつあります。医
学部に入り医者になり、まさしく臨床医になるという
選択肢しか持っていなかったはずなのに、人生はわか
らないものです。卒後に経験した臨床研修はとても有
意義なものでした。やり甲斐を覚えた反面、医療や命
の尊厳に悩み苦しんだ時間でもありました。小さな抵
やなぎた
29
金 医 大 学 報
く み こ
抗はしたものの、私の医者の原点はやはり父であり、
医業も父の医者の姿だと実感しています。ただ幼少期
に医業に関わりすぎたせいでしょうか、今は医業と研
究と好奇心の 3 等分が快適な状態です。
大学院のころから労働衛生、予防医学の分野に携わ
り、大学で研究の環境に恵まれていることが私の最大
の happy であると感謝しています。不思議なもので、
研究は科学的である反面、私の場合、人を理解し共感
しあう場面も多く、自分の原点を再認識することがた
びたびあるのも事実です。研究というのは未知です。
どういう解を出すかも研究者次第です。自ら糸を絡ま
せて、その一本一本の通り道がある時突然見えた時の
快感は、数は少ないですが病みつきになります。とて
もロマンのある世界だと思うのです(好きずきです
が・・・)。ただし研究する以上、論文という業績を積
み上げていかなければならないのも現実で、厳しい世
界です。実際とても苦しんでいます。研究者として適
性があるかどうかを問われる時期に来ていますが、苦
しみから解放される努力を積み、論文が accept される
快感を夢見ながら、許されるならば、生き方をもう少
し模索したいと思っているのが今の心境です。こんな
私が後輩諸君の参考になるとはとても思えませんが、
かつて私がそうであったように、今は医師に、良医に
なることが最大の目標で、それは一本道であるかと思
います。でもずっと一本道を歩くのは苦しく、寂しい
ものです。その先には道をいくつか持ち、右往左往し
ながら進んだり戻ったりすればよいと思うのです。そ
の中で終わりなく続く道も持ちながら、夢を、ロマン
を忘れないでいて欲しいと願います。
つ だ
柳田 久美子(MA2-085-5)
A1
A2
A3
A4
A5
A6
三重県
やぎ座
A型
さっぱりしている。
野球部のマネージャー
空が広くて海がきれ
い。自然に恵まれてい
る。
A7 良医を目指して、とに
かく勉強します。
A8 患者さんの痛み、気持
ちがわかる医師になり
たいです。
りょうじ
津田 亮ニ(MA2-052-0)
A1
A2
A3
A4
A5
A6
富山県
おひつじ座
A型
明るくて、人なつこい。
サッカー部
一言でいうと田舎。
でも自然が美しいのが
魅力。
A7 勉強と部活を両立させ
たい。
A8 患者さんが何でも相談
できる親しみやすい医
師になりたい。
30
金 医 大 学 報
マーサ大学交換留学報告
MERCER-KANAZAWA EXCHANGE PROGRAM
(期間:2002年3月11日∼3月23日)
マーサ大学との交換留学は今年で3 回目を迎えるが、昨年のテロ事件の影響もあって応募学生が少なく、最終的に二人の学生に決まった。
鹿野絢子さんは米国の医学教育に大変興味をもち、江尻純子さんは米国の学生との意見交換、交流を目的として、2002 年3 月10 日成田を後
にした。手荷物チェックの厳しさは予想以上で、アトランタでの入国の際、靴底まで調べられるとは思わなかった。今の米国の現状をまざま
ざと見せ付けられた感じであった。プログラムは、新しい医学部長のAnn Jobe 先生、副医学部長のLin 先生との面会からスタートした。Jobe
先生は医療現場での経験豊富な女性の方だけに、弱い立場の患者さんとのコミュニケーションや医療過疎地域との連携が重要であることを強
調され、学生のプログラムにはこれらの点が盛り込まれ細かな配慮がなされていた。医学研修を通じての体験だけではなく、今回、こうした
外国の現状を直接肌で感じてくることも医学生にとって貴重な経験になったものと信じる。次の第4期生に多くの学生が応募してくれること
を期待する。
(国際教育交流小委員会委員長 友田幸一記)
か の
報告者
あやこ
鹿野 絢子(第6学年)
マーサ大学医学部研修病院 Medical Center of Central Georgia にて
(左から鹿野、江尻)
今回、私は CCS 第 1 クールとして姉妹校である Mercer
University School of Medicine で2 週間の実習を行ってきまし
た。
応募した動機は、これまで参加した先輩方からMercer 大
学について伺い、様々な本等で知った日米の医療制度・医
学教育の違いを直接見てみたいと思ったからです。そして、
派遣学生に選ばれ、喜びと期待でいっぱいでした。が、そ
れもつかの間、発表と同時に今回(第3 回目)の学生は2 名の
みで英語力は過去最低ということを知らされ、不安を感じ
るようになっていました。そんな時、医学教育学講座の相
野田助教授による出発前オリエンテーションで「大切なの
は欧米社会に合った行動、コミュニケーションであり、英
語力はその後に必要になってくるもの」
「Do you have any
question? と尋ねられたら必ずどんなことでも、どんな内容
でも質問すること。それがマナー」というアドバイスを受
けました。このアドバイスのお陰でそれまでの不安はなく
なり、
『学生のときにこのような経験ができるのは最後に違
いない。絶対無駄にしてはいけない』と思い、医学英語、
アメリカの医療制度・医学教育、欧米でのマナーについて
の情報を得る努力をしました。実際、Mercer 大学での実習
中も相野田先生のアドバイスは非常に役立ちました。また、
医学英語は英語講座の大瀧教授に紹介していただいたテキ
ストで臓器別に復習し、テープにより聞き取る練習を行い
ました。
Mercer 大学はrural medicine(地域医療)に力を入れてい
る大学で、1 週目の実習は主にそういった地域の診療所や病
院の見学が中心で、2 週目は地域医療を行っている Family
Health Center やMercer 大学の3 年生が実習する病院Medical
Center of Central Georgia の産婦人科外来、ER(Emergency
Room)で実習を行いました。この実習中に知り得た全ての
ことを伝えたいのですが、ここでは特に印象に残った一般
医・家庭医の診療と医学生のテュートリアルについて記し
ます。
アメリカの病院外来や診療所は全て完全予約制で(急患
はER を受診しなければなりません)
、個室で診察を受けま
す。私が見学した一般医・家庭医は、施設により差がある
ものの15 分から30 分に一人の割合で患者さんの診察を行っ
ていました。その内容も問診に加え家族や仕事に関する会
話が必ずあり、医師は机によりかかったりしながらまるで
友達のように話していました。初診の患者さんも自らどん
どん話すといったすばらしい患者−医師関係がありました。
これにより、医師は患者さんの生活環境や背景、家族等の
情報を得るそうです。しかし、これはアメリカの文化に根
ざすものであるため、日本で全てを真似てもすばらしい患
者−医師関係は作れないと思いました。日本では日本人、
日本の文化にあったコミュニケーション法が必要だと思い
ます。また、診察は一般的な視診、打診、聴診に加え、
耳・鼻鏡、眼底鏡による検査、必要なら産婦人科的な検査
第110号/2002.5
31
金 医 大 学 報
マーサ大学でのテュートリアル見学(左から二人目 鹿野)
も行えるようになっており、私も様々な患者さんの聴診や
耳鏡、鼻鏡を用いた所見をとらせていただきました。この
ような問診と診察を約4人ほど終えると、医師は自室で患者
さんについての詳細な情報をテープに録音し、これを秘書
がタイプしカルテとなります。そのため医師が記入するカ
ルテは簡単なもので、ほとんどを記憶し録音するそうです。
一方、residentや学生は一人診察するごとにカルテに詳細
に記載し指導医と討論をした後、患者さんに状態や治療の
説明をしていました。これを、指導医の監督下ではありま
すが、学生も行っていることには非常に驚き、同時にショ
ックを受けました。私が教科書的な知識を得るのに精一杯
であるのに対し、アメリカの医学生は既に実践的な知識と
技術を身に付けているのです。resident や学生もこのシステ
ムは非常に勉強になると話してくれました。
私も実際に、患者さんを診察しながら医師の指導を受け
る機会を得ました。ある医師にこの春に最終学年になると
いうことを伝えたところ、12 歳男児の診察の際、
「この男の
子は高血圧で来院してきた。何を考える?」
、
「あなたが聴
診した所見を私に教えて」と言われ、非常に驚きましたが、
自分の考えや不整脈、心収縮期雑音を聴取したことを伝え
ました。しかし、
「それでは足りない」という言葉が返って
きました。後で何が足りなかったのか質問すると、知って
いるものばかりでしたが、そのようなトレーニングを実際
の患者さんで受けたことがなかったためか、すぐには出て
来なかったのです。今でもその患者さんや指導についてよ
く覚えておりますが、実際に症例で勉強することの大切さ
を改めて感じています。
実習最終日には、2年生の内分泌学のテュートリアルを見
学できました。私達が見学できるかどうか、許可を与える
のは学生だと聞かされ、日本とは異なり学生が中心である
ことを感じました。テュートリアル中もテューターはヒン
ト等を与えるのみで、ほとんど発言していなかったのです
が、発言・指導を行わないようにしているのではなく、そ
の必要がないからで、話しすぎるテューターは学生に嫌わ
れるそうです。そのため、学生は全て自分達で調べ、私達
が何度も授業・教科書で学び、覚えるのに苦労した種々の
代謝経路などを互いに考え、覚えてしまっていました。解
剖の実習もテュートリアルで行われ、学生は筋骨格系
以外は解剖をせず、アトラスや模型と既に解剖された
標本を照らし合わせることでそれぞれの臓器・組織を
確認していました。これも学生が中心で、テューター
は分からなかったもののみ教えていました。この方法
は、短時間で解剖を学ぶのに適しているとテューター
や学生は言っていましたが、私は時間がかかっても私
達のように実際に解剖する方が位置関係などを正確に
把握することができると思いました。
このように、Mercer 大学では貴重な経験をすること
ができ、アメリカの温かい国民性についても知ること
ができました。全ての方が、私達がenjoy しているか気
にかけてくださり、ご自宅やお食事にも招待して下さ
いました。また、何か質問するとそれに対して倍以上
のことをゆっくりな英語で答えて下さるのです。中で
も、リン先生ご家族の細かいお心遣いには心から感謝
しています。
Mercer 大学で、アメリカの医師・医学生は全身を診るこ
とができるということを目の当たりにした今、私も全身を
診れる医師になりたいと考えています。そして、いつの日
か再びアメリカへ行きたいと思います。
このすばらしい機会を与えて下さった金沢医科大学、
Mercer 大学両校の先生方、スタッフの方々、本当にありが
とうございました。後輩の皆さんにも、ぜひこのExchange
Program に参加することをお勧めします。
えじり
報告者
すみこ
江尻 純子(第6学年)
マーサ大学でのテュートリアル見学(後列左 江尻)
○応募動機
私が今回マーサ大学の交換留学生に応募した動機は、学
生の間に留学を経験しておきたかったこと、将来医師とし
て仕事をしていく上で予防医学が進んでいるアメリカの医
療現場を、実際に眼でみておきたかったことでした。両親
や友達の後押しもあって思い切って応募し、選抜試験で選
ばれました。
金 医 大 学 報
32
○留学するまでの2 ヶ月間について
正直言うと、がむしゃらに英語を勉強したというこ
とはありませんでした。ただ、英語の大瀧先生から1
学年生が医学英語で使っている教材を紹介していただ
き、暇をみつけては読んだり、テープを聞いていたり
しました。また、医学教育学の相野田先生にアメリカ
の医学教育制度や保険制度について、アメリカに行く
にあたって解らないことはその場で質問すること、コ
ミュニケーションは英語能力より伝えようとする姿勢
が大切であることなど幅広く5 回に渡ってオリエンテ
ーションの時間を設けて頂きました。このオリエンテ
ーションの成果もあって、実際にアメリカに行ったと
きに大きく戸惑ったり、意志の疎通に困ったりするこ
とはありませんでした。留学する1 ヶ月前は、医学用
語と簡単な英語の問診表現を覚えていました。
左から 江尻、Lin先生、Jobe医学部長、友田教授、鹿野
○マーサ大学のBSL について
マーサ大学にも本学と同じ様にBSL がありました。しか
し内容は全く違っていて、今回の留学で私が一番ショック
を受けたことでもありました。外来を例にとって説明して
みます。
① 学生が一人で患者のところへ行き、問診・身体所見を
とる。
② 指導医に気になる点・異常所見・考えられる病態や疾
患を列挙し検査項目を述べる。
③ 指導医と共にもう一度患者のところへ行き、指導医の
問診・身体所見を見学する。
④ 指導医とディスカッションし、実際の検査や投薬を後
ほど学生が患者に説明する。
驚いたのは、学生が投薬の副作用についても良く知って
いたこと、指導医がとる問診と身体所見とほとんど足りな
いことがないことでした。
私は日本で言う5学年生と6 学年生の両方と、実習を一緒
にすることができました。5 学年の学生さんには、こちらか
ら足りない問診事項を付け加えることがありましたが、6学
年の学生さんには教えられることばかりで、恥ずかしい思
いをしました。また、日本と教育システムが違うこともあ
ってか、アメリカでは例えば、正常分娩は学生が指導医の
監視のもとに一人で出産を手伝っていました。また、あら
ゆる検査も学生が指導医の監視のもとで全てやっていまし
た。だから5学年の一年間で、大体の検査は行えるようにな
っているし、平均で10 人くらいの分娩を手伝っているとの
ことでした。私が“赤ちゃんを取り上げた経験がない”と
言うと、
“信じられない!!”と驚かれました。
○保険制度の違いについて
アメリカでは、個人の所得によって保険の種類が違って
いました。私がお世話になったRural Hospital では、仕事が
ない人・アルコールや薬物中毒の人(いわゆる低所得者)
が患者のほとんどでした。患者のほとんどは治療の副作用
とかかる費用について、詳しく質問していました。しかし
半数の患者は薬が高額で購入することが出来ず、医師から
サンプルをもらって帰るという状況でした。また、低所得
者層の10代前半の妊娠率は高く、私自身も14歳の妊婦さん
の診察をさせてもらいました。また日本ではER(Emergency
Room)というと救急というイメージですが、アメリカでは
予約のない患者を受け入れる科という意味でした。一般外
来の患者は全て予約制で、日中でも予約のない患者は全て
ER に来ていました。だから実習させて頂いたER には重症
度もさまざまな患者さんでいっぱいでした。
○留学を終えて
たった2 週間という短い期間でしたが、貴重な体験をさせ
ていただきました。教育制度や医療制度の違いを肌で感じ
ることができたと同時に、学生と交流する機会やホームパ
ーティに参加したりと素晴らしい時間も過ごすことが出来
ました。また、リン先生夫妻をはじめ多くのスタッフや学
生に親切にしていただきました。今回、留学するにあたっ
てお世話になった先生方や関係者の方々に深くお礼申し上
げます。ありがとうございました。
第110号/2002.5
33
金 医 大 学 報
MERCER-KANAZAWA EXCHANGE PROGRAM
(期間:2002年3月25日∼4月25日)
マーサ大学医学部との姉妹校提携による交換留学は、今年で第3 期生の受け入れとなった。
昨年の衝撃的なテロ事件の影響で、今年の受け入れ学生はKaren Wang (25歳)さん1名であった。学生のお世話役(プリセプター)は1 人で
よいので私がし、2002 年3 月25 日(月)に小松空港で彼女の到着を待った。研修目的は、海外選択科目の中のコミュニティー・メディシン
(地域医療学)を習得することにあり、海外の機関の一般的なヘルスシステムを見学、体験し、アメリカのシステムとの類似と相違を理解す
ること、またメディカル・スキルの向上、相互の文化の内面を正しく理解すること、異文化がどのようにヘルスケアに影響しているかを理解
することにあった。
研修プログラムは3月25日から4月5日の約2週間をあて、第1週目は学内研修、第2週目は学外研修が中心に組まれていた。今回は神経内
科、総合診療科、脳神経外科、産婦人科を1 日づつ回り、外来、病棟ならびに手術、カンファレンスなど各科の特徴を生かした研修がおこな
われた。本人は将来産科婦人科を志望していることもあり、米国と日本のお産の違いに大変興味を示し熱心に聞き入っていた。第2週目は学
外施設の内、宇野気医院で典型的な日本の地域医療を体験した。限られた設備の中で患者さんにどこまでの医療が提供できるかは、患者さ
んとのコミュニケーションと担当医師がどれだけ患者さんから信頼されているかにかかっている。マーサ大学は米国の中でも特に地域医療
学、家庭医学を積極的に推し進めている大学だけに、今までの学生達もそうであったが、このことの重要性を実感したようである。一方、や
わたメディカルセンター(旧加賀八幡温泉病院)では、患者さんの治療から健康管理まで全てにわたる一貫した患者ケアーシステムと設備
の充実度に感心していた。午後は自ら体力テストに参加し、その結果が標準を下回っていたことにショックを受けていた。また昨年も好評
であった人類遺伝学研究所では特に小児の染色体異常、遺伝子異常に興味を示していた。
もう一つの目的である学生との交流は、丁度マーサ大学での研修を終え帰国していた6学年の鹿野さんと江尻さん、またESS部の学生達が
積極的にプログラムに参加してくれ、共に食事をしたり、医学教育や自分たちの将来について夜遅くまで語り、お互いの友好と親睦を深め
ていた。回を重ねるごとに学生達の国際的意識、また交換留学への熱意が高まってきたように感じる。折しも来日され4月5日の入学式で特
別に祝辞を述べられたAnn Jobe 先生は、つい最近マーサ大学の新医学部長に就任され、学生の海外医学研修に大変熱心で、今後も私どもの
大学との国際交流を積極的に進めていく意思を示された。最後に今回のプログラムに参加、協力をいただいた関係各位に心から深謝いたし
ます。
(国際教育交流小委員会委員長 友田幸一記)
MERCER-KANAZAWA EXCHANGE PROGRAM
Report by Karen Wang
Far East meets West. The Mercer University School of
Medicine and Kanazawa Medical University exchange program
offers a unique opportunity for medical students from both institutions to learn about the other s health care system, medical education, and culture. As a fourth year medical student from an
American institution, I was given the chance to visit Japan and
partake in an exchange of ideas and experiences with fellow
medical students, medical attendings, and research scientists
from various fields to enhance my medical training.
My initial hesitation about visiting a foreign country alone
was allayed by the presence of the invaluable Ms. Furumoto
who spoke fluent English and arranged everything, making my
transition from the United States smooth and stress-free from day
one. After greeting me at the airport, she guided me to my dorm
room conveniently located near the medical school and hospital
and provided a thorough orientation of the elective and tour of the
area. Even a map of the campus and an information sheet with
Japanese translations for the departments was created for me. A
reception party consisting of Mr. Hoshiba, Dr. Tomoda (my preceptor), President Takekoshi, the two Japanese students who
recently returned from Georgia, and a local news crew greeted
me that afternoon at the medical school. From my arrival to
Kanazawa, everyone I met treated me with such wonderful
regard and kindness.
This generosity and thoughtfulness with respect to concern
for my experience was evident when my schedule was altered to
incorporate a day with the Obstetrics and Gynecology department the specialty I am currently pursuing. I was truly amazed
by the degree of consideration made for my benefit and desires.
During the day, the students, physicians, and scientists all made
me feel welcome translating conversations into English for me
and patiently answering any questions I had. All were eager to
discover my opinion and thoughts about certain procedures or
diagnoses as compared to my clinical training and seemed to
enjoy teaching me within the limited time span. Nightly the
physicians and professors I worked with during the day treated
me to elaborate dinners or graciously invited me to their homes.
I often met the lovely family members of the faculty and enjoyed
stimulating conversations over dinner or drinks. On several
金 医 大 学 報
evenings, the professors and students took me into the city for
souvenir shopping. Each night was a whirlwind of socializing.
I indulged in seafood delicacies caught from the nearby
Japan Sea within clear view to the West from the roof of the
hospital. The fresh and carefully prepared seafood in the form of
sushi and sashimi was a delightful experience, as was the experience of eating dinner Japanese-style with other delicacies.
Arranged in elaborate designs and artful displays, vegetables,
seafood, and rice provided both nutritional and artistic fulfillment. The interplay of sweet, sour, spicy, and salty flavors in
various combinations were a tantalizing treat for the mouth
among the dishes found in the separated compartments of the
Bento box.
The two weeks were a whirlwind of both clinical and evidence-based medicine experiences ranging from participation in
Neurology rounds, utilization of an endoscopy model, shadowing
a rural family practitioner, and introduction to various research
projects. Included in my schedule were also specially prearranged Japanese cultural events. I played a thirteen-stringed
instrument, sipped Sakura (cherry blossom petals) tea, sported a
maiden s kimono, and attempted Japanese calligraphy. Students
from the ESS club (English-speaking society) threw a party in
my honor. I experienced a wealth of cultural events which culminated in a personal tour of the local area with two sixth-year
medical students: Sumiko and Ayako. I walked along the
Samurai houses, explored the secret passages of the Ninja temple, and absorbed the copious blossoms of the cherry blossom
trees in the Kenroku-en Garden famous for its two-legged
stone lantern. I will always savor these memories.
Clinical experience began with Neurology rounds, led by
Dr. Hirose. I was impressed when the majority of the physician
and student presentations were conducted in English for my benefit. It was also interesting to the note the different style of medical training of Japanese medical students as compared to that of
the US having limited clinical responsibilities for patients and
less independence in the hospital. I also found that the students
favored more passive training perhaps attributed to their less
aggressive demeanors. For both institutions, bedside teaching
was conducted in a similar fashion with the horde of medical students and physicians following the attendings as patients were
questioned and examined. Most memorable to my Neurology
experience was the examination of a patient with advanced
Creuztfeld-Jacob s disease.
The next day, internist Dr. Kanda and gastroenterologist Dr.
Ito took me under their wings to observe the endoscopy clinic
where I was able to use models to simulate both an endoscopic
and colonoscopic examination. I had never held the scope
before. In consideration for my experience, they had asked an
English speaking medical student Natsuki, who was on vacation, to accompany me for the day.
I then was assigned to a day of Neurosurgery with Dr. Akai
as my guide. In the operating room, an orbital tumor was
removed. It was fascinating to watch the plastic surgeon and
neurosurgeon collaborate together for the same patient. I also
accompanied Dr. Akai on hospital rounds and listened attentively as he showed me several radiographic films patiently discussing relevant details and pointing out significant abnormalities on the films. Our day ended with a visit to the NICU where
an infant with multiple congenital anomalies including craniosyntosis was under evaluation.
The next day, I worked with the OB/Gyn department under
34
the tutelage of Dr. Makinoda, following physicians and residents
on an extensive tour of L&D, trying my hand at an abdominal
ultrasound, and learning about ongoing research in the field of
fertility. I was fascinated by the differences between the two
countries with respect to prenatal care, delivery procedures, anesthesia, and postpartum care. I wish the US would adopt some of
the practices of Japan for example, the longer hospital stay for
postpartum mothers and less aggressive induction of labor and
delivery. However, I do support of America s use of anesthesia
for delivery, unlike the natural delivery method advocated and
practiced in Japan.
Next, I visited a rural clinic in Unoke and worked with a
family practitioner Dr. Takada. After a morning of ophthalmology, we saw a variety of health problems from the common
cold, chicken pox, deciphering allergens, and lack of social smiling from a 6-week-old infant. Unlike the U.S. method of doctor
running from room to room, patients were efficiently escorted in
and out of the physician s one primary examination room from
which he worked.
On the following day, I visited the Yawata Medical Center
─ an elaborate comprehensive medical center with daily
(Monday through Sunday) outpatient clinics from all specialties
(except Pediatrics and Ob/Gyn); spacious inpatient rooms; an
extensive physical and occupational rehabilitation wing; and a
special preventative health attitude. Not accepted by the government health care coverage, healthy patients with undetected disease can undergo complete physical evaluation and are exposed
to behavioral modification methods to promote well-being
(screening, nutrition, and exercise). It is encouraging to see the
desire to parallel the United State s advocacy of preventative
health measures.
My final day was spent with various research scientists.
Scientists from the Departments of Hygiene, Genetics, Tropical
Medicine, and Biochemistry shared ongoing research on: cadmium heavy metal poisoning effects on bone turnover; lifestyle
influence on Japanese women and osteoporosis; computerized
karyotyping and fluorescent identification of chromosomal aberrations; novel strains of Japanese encephalitis virus; and urine
sample based newborn metabolic profile screening. The productivity of all the scientists was inspiring offering some insight
for the clinicians.
It is evident that many differences exist between the two
countries with respect to medical education, health care provision, and culture. In particular, it was interesting to note that
while Americans must complete undergraduate study for four
years; attend medical school for four years; and complete a residency in the specialty of choice (between 3-6 years depending on
specialty), Japanese medical students enroll in medical school for
six years after completing high school. Currently, there are
motions to incorporate a general residency program of two years
for all specialties within the next year. As previously mentioned,
preventative health is a revolutionary idea for Japan right now
while it has become expected in the States. The cultural differences are profound and are highly influenced by tradition, history, and religion.
In summary, I will always remember my experience at
Kanazawa Medical University. I respect all of the individuals I
met, and value the friendships I have made and hope to maintain.
I cannot express how grateful I am to have had this experience
and appreciate the unlimited generosity I received from everyone. I anxiously await the day I can return to Japan in the future.
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学 術
平成13 年度
奨励研究及びHRCプロジェクト研究 発表集会
平成13年度金沢医科大学奨励研究及びハイテク・リサーチ・センタ
ープロジェクト研究発表集会が、平成 14 年 2 月 21 日(木)、22 日
(金)の2日間にわたって、基礎研究棟3 階セミナー室において開催
された。平成13 年度に選定された奨励研究の16 名の研究者から16
演題、並びにハイテク・リサーチ・センタープロジェクト研究(1)∼
(5)の 23 名の研究分担者から 22 演題、計 38 演題の発表があった。
参加者は延べ86名で,昨年の106名より減少したがレベルの高い内
容で質疑応答では活発な意見交換がなされた。研究助成課の皆さん
の協力及び発表集会の座長を快諾された諸先生方のご協力を得て、
発表集会は盛会裡に終了した。
(研究発表集会小委員会)
◇奨励研究
座長:友田幸一教授
(S2001-1)血清過酸化脂質と血圧との関連に関する大規模疫学研究
三浦克之講師(公衆衛生学)
(S2001-2)Azoxymethane(AOM)誘発ラット大腸発がんにおけるカプサイシンおよびロテノンの発がん抑制効果
吉谷新一郎助手(一般外科消化器外科学)
(S2001-3)飲酒家における食道癌発生機序の検討:テロメラーゼ活性に及ぼす飲酒の影響
日下一也助手(消化器内科学)
(S2001-4)腎疾患の進展過程におけるFas およびFas リガンドの発現
山谷秀喜助手(腎臓内科学)
座長:石倉直敬教授
(S2001-5)農薬パラコートの生体内解毒機構の研究
島田ひろき講師(解剖学Ⅰ)
(S2001-6)ゼラチナーゼ解析と循環器疾患再発および悪性腫瘍進展の予測・予防に関する研究
塚 正彦講師(病理学Ⅱ)
(S2001-7)動脈圧波形による非侵襲的連続的末梢血管抵抗測定法の開発
北川 泉助手(循環器内科学)
(S2001-8)脳損傷に対する脳低温療法導入のための基礎的研究
白塚秀之助手(麻酔学)
座長:高橋敬治教授
(S2001-9)動物モデルを用いたヒトモノクローナル抗体による多発性硬化症治療法の開発 朝倉邦彦助教授(微生物学)
(S2001-10)アストロサイトとオリゴデンドロサイトにおけるexcitotoxicityの比較検討 吉岡 亮助教授(神経内科学)
(S2001-11)低酸素暴露が肺胞上皮細胞の水分再吸収機序とα-rENaCmRNA発現に及ぼす影響
佐久間勉助教授(呼吸器外科)
(S2001-12)心筋膜受容体に対する自己免疫機序による心筋症の発症・進展:ヒト心筋症のSCID マウスへのtransfer 実験
松井 忍教授(難治疾患研究部門)
座長:地引逸亀教授
(S2001-13)血液中(全血)のN0x分布とその調節因子
石橋隆治助教授(薬理学)
(S2001-14)アドレノメデュリンによる心筋L型Ca チャネル電流の抑制とその機序
倉田康孝講師(生理学Ⅱ)
(S2001-15)内因性光学計測法を用いたモルモット嗅球の匂い応答の解析
須貝外喜夫助教授(生理学Ⅰ)
(S2001-16)糖尿病患者における早期動脈硬化病変と血圧日内変動異常との関連について
中野 茂助教授(内分泌内科学)
◇HRCプロジェクト研究
座長:藤川孝三郎教授
(H2001-1)多倍体化細胞形質変換の制がん医療への応用
倍数性変化に伴う形質変化
藤川孝三郎教授(基礎医科学研究部門)
終末分化細胞における細胞周期の制御機構に関する研究
宗 志平助手(基礎医科学研究部門)
がん転移における Rho ファミリーGDI の機能解析
太田隆英助教授(がん研究部門)
酵母チェックポイント蛋白 Rad9 とヒトBRCT ドメイン蛋白 53BP1 の相同性
岩淵邦芳助教授(生化学Ⅰ)
Meth-A がん細胞の2 倍体細胞と4 倍体細胞株の細胞生物学的、生化学的比較検討
池田照明助教授(医動物学)
【学術/病院】
金 医 大 学 報
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座長:竹上 勉教授
(H2001-2)遺伝子導入法による細胞癌化の分子機構の解明および癌の遺伝子治療への応用
フラビウイルス病原性およびウイルス発癌の分子機構
竹上 勉教授 (熱帯医学研究部門)
消化管間質腫瘍の臨床病理学的検討
野島孝之教授(臨床病理学)
Fas リガンド及び CTLA4 遺伝子導入による腎の免疫特権化及び免疫寛容の誘導
友杉直久助教授(腎臓内科学)
多剤耐性遺伝子のmRNAおよび抗癌剤耐性関連タンパク発現の画像化の確立
東光太郎教授(放射線医学)
傍腫瘍性小脳変性症の研究
酒井宏一郎助教授(神経内科学)
座長:久原とみ子教授
(H2001-3)先天性代謝異常の診断を目的とした全自動GC/MS 装置の開発
GC/MSを用いる先天代謝異常症の診断システムの構築
久原とみ子教授(人類遺伝学研究部門生化)
4-ヒドロキシ酪酸尿症の化学診断
新家敏弘助教授(人類遺伝学研究部門生化)
糖尿病患者における ACE 遺伝子多型と長期予後に関する研究
福田雅隆助手(内分泌内科学)
冠危険因子としての女性ホルモン−ホルモン受容体系の意義
梶波康二助教授(循環器内科学)
座長:田中卓二教授
(H2001-4)女性生殖機能に及ぼすダイオキシン等の外因性内分泌撹乱因子の影響
ダイオキシン暴露の母乳成分および免疫能に及ぼす影響
西条旨子講師(公衆衛生学)
内分泌かく乱物質の卵巣発がん修飾効果
田中卓二教授(病理学Ⅰ)
内分泌かく乱物質の発がん修飾効果
甲野裕之講師(血清学)
αーアドレナリン受容体刺激によるPreconditioning 効果に対するgenisteinの影響 大久保信司助教授(循環器内科学)
座長:中川秀昭教授
(H2001-5)男性生殖機能に及ぼすダイオキシン等の外因性内分泌撹乱因子の影響
内分泌攪乱物質による性器催奇性と膀胱発癌における作用機序の検討
池田龍介助教授(泌尿器科学)
アルドステロン合成および分泌に及ぼすダイオキシン類汚染の影響に関する研究
木越俊和教授(内分泌内科学)
培養精子形成細胞に及ぼす環境ホルモンの影響
長尾嘉信助教授(難治疾患研究部門)
ダイオキシンのマウス生殖細胞への影響
井上雅雄講師(共同利用部門)
動物飼育センタ−利用者連絡会
特別講演:
動物実験と人獣共通感染症
講 師:有川二郎先生(北海道大学大学院医学研究科附属
動物実験施設教授)
講師の有川二郎先生
平成 13 年 11 月 9 日(金)午後 3 時 30 分から病院 4 階 C42
教室で開催された。本利用者連絡会では、動物実験施設を
利用する関係職員等の健康安全管理と人獣共通感染症に対
する認識を深めることを目的として、松井忍動物実験委員
会委員長から動物飼育センターの利用方法の説明が行われ、
引き続き今回は特に外部講師として北海道大学の有川二郎
先生に動物実験を実施する際の注意事項について特別講演
をお願いした。
近年、動物を用いて行う実験は、医療の進歩にますます
重要な意味を持つようになっている反面、実験者の感染症
に対する安全性が問われ、また、さらには動物愛護の問題
もあり、複数の視点をおきながら実験を進めなくてはなら
なくなっているのが現状といえる。有川先生は北大獣医学
部を卒業されて以来、人獣共通ウイルス感染症を中心とし
た研究を長年進めてこられた。本講演においてもヒトに感
染し腎症候性出血熱などを起こすハンタウイルス(ラット
が自然宿主)に関する免疫学的、分子生物学的解析につい
て概説していただき、続いて、実験動物由来の人獣共通感
染症防止の重要性について専門家の立場でいろいろな角度
から丁寧に説明された。 動物を用いて研究している(ある
いはこれから進めようとしている)方には大変、有用な講
演であったと思われる。それは50 名以上の教職員の参加者
があったことからも推察される。講演後、活発な質疑討論
が行われ、出席者は動物実験における注意点、人獣共通感
染症についてさらに理解を深めた次第である。
(動物実験委員会)
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病 院
第20回 北陸腎移植連絡協議会
第7回東海北陸ブロックセンター北陸連絡会
新潟県におけるドナーアクション
プログラムについて
アクションプログラム(死亡症例が臓器提供候補者になり
得たか、また、それがなぜ臓器提供に結びつかなかったか
等を検証する調査研究)について、同プログラムの導入か
ら現在に至る経緯等をスライドを用い興味深く話された。
日本臓器移植ネットワーク・東海北陸ブロックの七県(石
川、富山、福井、岐阜、三重、静岡、愛知の各県)でも同
様の調査研究が実施される予定である。
(管理課 南英樹記)
日 時:平成14年3月23日(土)
場 所:ホリデイ・イン金沢
講 師:高橋公太先生
(新潟大学大学院腎泌尿器病態学教授)
接遇教育特別講演会
教育講演:
上記のとおり第 20 回北
陸腎移植連絡協議会(委
員長:石川勲北陸腎移植
HLA 検査センター所長)
が、60 名の出席のもとに
開催された。
この協議会は、北陸三
県の厚生行政機関、医師
会、医療機関及び腎臓バ
ンクが十分な連携と調整
を行い、慢性腎不全患者
に対する腎移植医療の確
保と円滑な推進を図るこ
高橋公太教授による教育講演
とを目的として、昭和 59
年度に北陸腎移植センタ
ー(現北陸腎移植HLA検査センター)設置と同時に発足し
たものである。毎年定期的に、北陸腎移植HLA 検査センタ
ーが主催者となって開催されている。
平成10 年からは従来の協議会のメンバーに加え、石川県
臓器移植情報担当者連絡会議(石川県の27医療機関に設置
された医師及び看護師等の臓器移植情報担当者、行政機関
の担当者で構成)のメンバーが参加した。医師、看護師、
検査技師、コーディネーター、腎臓バンク、行政機関等が
それぞれの立場から献腎移植の現状報告や問題点、今後の
活動計画等について討議がなされた。
本学病院は、石川、富山、福井の北陸三県と愛知、岐阜、
静岡、三重県で構成する「社団法人日本臓器移植ネットワ
ーク・東海北陸ブロックセンター」の一員として北陸三県
の組織適合性検査を行う指定HLA 検査センターを設置して
いる。また、北陸の中心的役割を果たす移植実施施設とし
て位置づけられており、現在までに生体腎移植207例、死体
腎移植44例、合計251例の腎移植が実施されている。
協議会の後、新潟大学高橋公太教授による「新潟県にお
けるドナーアクションプログラムについて」と題した移植
教育講演会が行われた。講演では、新潟県におけるドナー
テーマ:
サービス提供者に求められる
要素とコミュニケーション
日 時:平成14 年2 月26 日(火)午後5 時30 分∼7 時
会 場:病院4 階 C41 講義室
講 師:高橋啓子氏(日本総合研究所主任研究員)
病院職員を対象とした接遇に関する講演会が昨年と同様
に高橋啓子氏を招へいして開催され、246 名が参加した。
高橋弘昭副院長から「最近全国的に医療事故・医療トラブ
ルが多発しており、本院においてもいくつかのトラブルが
発生している。トラブルの原因の多くは、患者さまやご家
族とのコミュニケーションの不足にあり、本講演会を通じ
て、職員一人一人が患者接遇の重要さを改めて考えていた
だきたい」との挨拶がなされた。
講演は「サービス提供者に求められる要素とコミュニケ
ーション」と題して、①サービス提供者への顧客の期待、
②顧客満足に対する基本的なアプローチ、③顧客満足のた
めのコミュニケーション能力など、医療機関での接遇の重
要さをデータ及び事例をふんだんに盛りこんだ講演となっ
た。
病院の診療において接遇ということが如何に重要である
かを再認識し、顧客満足(Customer Satisfaction :CS)の
考え方が患者さまに及ぼすよい影響について印象に残る研
修会となった。
(管理課 中新茂記)
平成14年度
病院新入職員オリエンテーション
平成14年度第1回病院新入職員オリエンテーションが4 月
1 日(月)から3 日(水)の3 日間にわたり病院4 階C41 講義
【病院/管理・運営】
金 医 大 学 報
38
室において次のとおり実施された。
今年度の病院新入職員は、看護師63 名、技術職員8 名の
計71名である。
(職員課 中谷一也記)
〈プログラム〉
4月1日(月)
[場所] 本部棟4階 講堂及び本部棟 講義室
8:45∼ 9:45 各種説明
人事厚生課
10:00 ∼10:30 辞令交付式
10:45 ∼11:30 福利厚生制度の説明 人事厚生課
11:30 ∼12:15 提出書類の説明 職員課
[場所] 病院 4 階C41 講義室
13:00 ∼13:10 病院長挨拶
病院長
13:10 ∼13:30 大学の概要と組織について
総務部長
13:30 ∼14:15 病院概況、病院勤務について
病院事務長
14:15∼15:00 講演「一人暮らしの食生活について」
栄養課
15:15 ∼15:45 安全運転交通事故の常識
アカシア商会
14:45 ∼16:30 銀行振込等の説明
各金融機関
16:30 ∼17:00 事務手続き
職員課
1)提出書類記入説明
2)ユニフォーム支給
3)更衣室案内
4月2日(火)
[場所] 病院4 階 C41 講義室 8:45∼ 9:30 診療業務の留意事項と安全管理体制指針について
診療部長
9:30 ∼10:15 就業規則の説明
人事厚生課
10:30 ∼11:30 病院の諸規程・防災・院内感染・医療トラブルの届
出・職員駐車場使用について
管理課
11:30 ∼12:15 ネームプレート用写真撮影
アカシア商会
13:00 ∼13:45 火災等の災害予防について
内灘消防署
13:45 ∼14:45 患者さんの受診システムについて
医事課
15:00 ∼16:15 オーダリングシステム等診療システムについて
医療情報部
16:15 ∼17:00 医療事故防止について
管理課
4月3日(水)
[場所] 病院 4 階 C41 講義室・大学裏グラウンド
8:45∼ 9:10 院内防災設備について
施設・設備課
9:10∼ 9:45 院内防災設備の現場確認
施設・設備課
10:00 ∼11:15 消火器取扱訓練
管理課
11:15 ∼11:45 ツベリクリン反応(接種)
健康管理センター
11:45 ∼12:15 まとめ
平成13年度 臨床研修医研修修了証書授与式
平成13年度臨床研修医の研修修了証書授与式が、平成14
年 3 月 14 日(木)午後 3 時 30 分より病院本館4階会議室に
おいて行われた。
今年度の臨床研修修了者は12 名で、内田健三病院長から
修了証書が授与されたあと「この2年間の臨床研修を行なっ
た貴重な経験を生かしてさらに自分の目的に向かって研鑽
して下さい」との言葉があった。
なお、研修修了者の進路は本学病院9 名、他の医療機関1
名、大学院2名となった。
(管理課 中谷一也記)
臨床研修修了者
佐藤 良子 藪野 喜剰 黒瀬 公啓 田中 潤一
横井 美樹 黒沢 智子 福本 泰規 藤田 智子
本庄 真 本多 和喜 中川 真人 草山実羽子
平成13 年11 月時点での全国の医薬分業の実施状況をみる
と、全国の保険薬局の院外処方箋受取率(全保険)は、平
均で45.5 %となっており、上位ベスト3 は、秋田(68.6 %)
、
佐賀(65.1 %)
、神奈川(62.5 %)の順、逆にワースト5 は、
福井(14.4 %)、和歌山(16.8 %)、石川(18.8 %)、京都
(23.0 %)
、富山(25.8 %)で、全体的に北陸地方の院外処
方箋発行率は非常に低調である。こうした状況に対して、
石川県では平成 13 年 8 月に「石川県医薬分業推進要領」が
策定され、石川県、県医師会、県薬剤師会の三者によって
「かかりつけ薬局」制度の展開による医薬分業が積極的に提
唱されている。
本学病院ではここ5∼6年前より外来調剤数が増加し、薬
剤師の定数不足が生じ、さらに県内での保険薬局の増加が
薬剤師の新規確保を年々厳しくしており、医療監視時での
度重なる指摘にも拘わらず、慢性的な欠員状態を呈してき
ていた。このため、一昨年、院外処方実施プロジェクト委
員会を設置して全面的な院外処方箋発行の準備を開始した。
同時に県薬剤師会の協力を得て、患者様への啓蒙と希望患
者様への院外処方箋の発行を行ってきたが、
(平成13年度の
発行率 0.6 %)病院周辺や患者診療圏には保険薬局が少な
く、患者サービス面から全面的な発行を見合わせてきた。し
かし、本年3月に病院前に保険薬局が開業し(写真)
、また、
診療圏内の保険薬局の応需体制も徐々に整備されてきてい
ることから、全面的に院外処方箋を発行する方針とした。
まず、職員及びその家族から率先して院外処方箋を利用
する姿勢を示し、一般患者様への発行をスムーズにすると
同時に本格実施に向けて院内システムの点検の二点を目的
に4 月中旬から実施する。その後、6 月を目処に診療科を限
定して3 段階に分けて順次全面発行へ移行する計画である。
なお、休日・時間外(平日 17:00 ∼翌日 9:00、土曜 14:00 以
降)受診者については、当面は院内での処方を継続する予
定である。
院外処方箋の全面発行により、今後は薬剤師を病棟服薬
指導と治験業務に振り向け、入院患者様の服薬指導の充実
と臨床薬剤師の養成を図っていく計画である。
(病院事務部)
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金 医 大 学 報
管理・運営
小田島粛夫理事長再任
新陣容決まる
平成14年3月22日開催の理事会(第161回)及び4月1日開催の評議員会(第84回)において、新役員が決まり、平成14年4
月1日開催の理事会(第163回)において、小田島粛夫理事長、山下公一副理事長、水株正紀常務理事がそれぞれ再任された。
小田島理事長は、上記理事会のあと、理事、監事、評議員が一堂に会した席上で、再任の挨拶を兼ねて、本学の現状並び
に将来について述べ、次のように所信を表明された。また、平成14 年5 月9 日の拡大教授会においても同内容の所信表明が
なされた。
理事長再任の挨拶
理事長
生物は世代交代によってのみ進化が可能であり
ますが、私は人間が作る組織でも同様であると考
えております。常に世代交代の必要性が念頭にあ
りますが、来年、本学は創立 30 周年記念を迎え、
記念事業である病院新棟も建設中であるほか、各
種記念行事の準備も進んでいることもあって、私
ども執行部が引き続き大学の運営に当たることに
なりました。精一杯、努力いたしたいと思います
が、皆さんのご支援、ご協力を心からお願いいた
します。
この様な機会も余りありませんので、少し時間
をいただいてこれまでの大学運営の流れと現在抱
えている課題とそれに対する対応について、基本
的な考え方を申し述べさせていただきます。
世界的にグローバル化の進む中で、我が国はあ
らゆる面で改革を迫られており、教育・研究・診
療などを含む大学自体の改革も例外ではありませ
ん。この様な激動の時代に最も重要なことは大学
の基礎体力作りであり、この基礎体力作りの過程
で将来構想を考えるのがより効率的で、あらたに
将来構想委員会の設置は必要がないと思っており
ます。この基礎体力作りの過程で皆さんのご参加
をお願いし、それが将来構想の原点になればと思
っております。
大学の基礎体力作りについては〔A〕体質改善
と〔B〕財務健全化、さらに〔C〕人材育成を中心
に検討を進めております。教職員すべての現状認
識が必要ですが、その中心的な役割を果たすのは
総合企画室と学長室です。
〔A〕体質改善
1.大学の組織機構の改組
病院の建築が軌道に乗ってから、事務組織につ
小田島 粛 夫
いて根本的に考え、昨年の 9 月から各部局とも充
分に話し合いを致しまして、この4月から大学の組
織機構を大幅に変えることにいたしました。大学
機構の改組の目的の第1は各所属長がリーダーシ
ップを充分に発揮できるシステムにしたこと、第2
は事務組織の本来の役割を明確にし、業務の合理
化、省力化を徹底することでした。
リーダーシップについて:
私は多彩な機能を持ち、ある意味では知的集団
である大学のような組織では、リーダーはデモク
ラティック・ワンマンであるべきであると思って
おります。それを支えるために専門的な知識を集
積して、的確な判断が出来るミドルリーダーが必
要不可欠であり、今度の機構改革にはこの概念を
導入しましたが、チーフリーダーやサブリーダー
などのこれまでの概念とは違うことを認識してい
ただきたいと思います。リーダー、ミドルリーダ
ーに求められるものは、判断力に伴う決断力と権
威であると思っておりますが、早い決断イコール
決断力と誤解し、権威を権力に置き換えたところ
に問題があると思っております。ポストに就くと
それだけでリーダーになったと思い込み、権力を
振りかざすいわゆる張り子のリーダーが非常に多
く、これはマニュアル型人間だけの日本では当然
であると思っております。
私は大学に求められるのはデモクラティック・
ワンマンであると思っており、機構改革で総合企
画室、学長室を作ったのも、基本的にはこの考え
があったからですが、この機構がコーディネータ
ー、調節機構に変化しないよう注意しなければな
りません。また、リーダー、あるいはその予備軍
としてのミドルリーダーに求められるものは、権
【管理・運営】
金 医 大 学 報
力と権威に対する明確な哲学であり、
「権力は腐敗
する」
、
「権威は粉飾できない」との大前提に立っ
て、常に自制することが必要です。
2.事務組織の役割の再確認
事務組織の役割は色々ありますが、特に重要な
役割は 2 つあると思っております。教育・研究そ
して診療が大学の本来の機能でありますが、事務
組織の第1の役割は大学の機能がスムーズに行わ
れれるよう支えることであり、第2の役割は大学
の骨格組織を維持することであると考え、これを
基本概念として改組を行いました。
今度の改革では、学長、病院長のリーダーシッ
プが充分に発揮できること、また、人材の育成な
どにも配慮した機構になっております。そのため
にこの組織図の中では明確ではありませんが、ミ
ドルリーダーの概念を導入しております。この機
構については1 年後に再度見直しを行う予定です。
事務組織の第 1 の役割については説明する必要
はないと思いますので、第2の役割である大学の骨
格組織を維持する機能について考えてみたいと思
います。
大学は他の組織と違って、性質の異なるアカデ
ミック部門とノンアカデミック部門が共存してお
り、病院長などのような機能的な部門責任者はパ
ートタイマーの教授であることに大きな問題があ
ります。各部門の過去の歴史的な流れを基にした
継続性の維持が重要ですが、この継続性の維持は
現実的には事務組織の大きな役割になっておりま
す。
3.大学院改組に伴う教学組織の再構築
4.診療体制の再構築
3.4については現在、検討中であると思います
が、教授会の検討結果を基に大学構想との整合性
を考えなければなりません。
5.総合医学研究所の改革について
総合医学研究所は、初代病院長の吉田先生の夢
と情熱によって創設されたことは皆さんもご存知
の通りですが、開所当時から大きな不安を抱えて
いたことも事実です。本学が良医を育成する大学
である以上、基礎研究の臨床応用を基本とするこ
と、また、大学の研究を支える組織とすることを
条件に創設することになりました。改めてこの原
点に立ち返って、また、大学の現状、世界の流れ
を視野に、総合医学研究所を見直す必要がありま
す。
〔B〕財務現状とその健全化
次に大学が今、抱えている財務上の問題点と、
それに対する取り組みについて説明させていただ
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きます。
1.収支差額の悪化
(1)寄付金の減少
少子化、あるいは社会のデフレ状態の中で寄付
金が急激に減少しております。何れにしても今後
はこの寄付金を大学運営の柱にすることには問題
があると考えております。
(2)医療収入の減少
医療制度改革による医療収入の減少ですが、額
面通りの減少率でも年間、約5億円以上の減少に
なります。やがて包括医療費制度が導入されれば、
ある大学の試算によれば50%程度の減収も覚悟を
しなればならないとも言われております。
(3)人件費の増加
教職員の高齢化によって年々、1 億円程度の増
加、また、今後10 年間で退職金支出や引当のため
に 100 億円程度が必要になりますが、これは負債
と考えなければなりません。
日常的な大学の運営については全く問題はあり
ませんが、現在計画している新規事業の実施は非
常に難しくなると思います。
2.大学の中・長期計画と資金需要
大学の本来の業務である教育・研究に対する対
策について申し上げますと、講堂の改修、不評で
あった講義室の改装、新しい教育システムに対応
した学習室などハード面の整備は、平成11年度か
ら12年度かけてすでに実施しております。平成13
年度は教育、研究にそれぞれ1 億円を重点配分し、
ソフト面の整備は終わっており、大学の基本的な
機能である教育、研究については問題はないと考
えております。
問題は病院新棟の建設に係わる付帯工事と医療
機器整備、大学全体の施設整備費などですが、さ
らに人件費の自然増と退職金などを考えると約260
億円近い資金が必要になります。現在の資金状況
では必ずしも容易ではなく、綿密な資金計画が必
要です。
3-1 財務の健全化策 (Ⅰ):資金運用と収支改善
資金計画について次の可能性を検討しておりま
す。
(1)資金導入(借金)
資金導入するとすれば全教職員に、明確な大学
および病院の将来ビジョンを提示しなければなり
ません。また、資金導入の条件としては;過剰な
設備投資の抑制と明確な返済計画 などです。
(2)資金運用
現在、チームを作って検討中です。
(3)病院収支の改善
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金 医 大 学 報
医療制度改革を充分に把握し、病院の規模、診
療体制など効率的な病院の運営を考えなければな
りませんが、一方では皆さんが夢を抱くことの出
来る、理想の病院を作り上げることが必要である
と考えております。そのためには病院の将来ビジ
ョンを早急に作り上げ、財務状況を考えながら順
次、投資を行うことが必要であると思っておりま
すが、最も重要なことは財務の健全化であると思
っております。私立医科大学の中には今度の医療
費の改正による医療収支を検討している大学もあ
りますが、最も収益を上げることの出来る病院の
規模の徹底的な見直し、紹介率や在院日数の向上
対策として分院構想などについても早急に意見を
煮詰めなければならないと考えております。
3-2 財務の健全化策 (Ⅱ):経費節減と業務の効率化
(1)経常経費節減
これらの状況はある程度、予測できましたので、
平成11年度から経常経費削減に取り組んで参りま
した。これまでは各部局を中心に節減をお願いい
たしましたが、必ずしも成果を上げることが出来
ませんでした。今年はかなり踏み込んだ経費の節
減を行いましたが、ペンデングの部分が約2億円
あり、これが節減できると将来の見通しがかなり
明るくなると思っております。大学の施設や機器
は20 年ないし30 年近く経過しており、経常経費の
大半はこれらの修理費であり、節減には限度があ
ります。唯一、節約の可能性のあるのは、研修会
や研修会後の懇談会の費用、執行部の渉外費によ
る接待などですが、これらは国立大学並に減額す
ることに致しました。しかし、地域医療懇談会な
ど大学にとって必要と認められるものについては
特に減額の対象から外しております。
(2)役員報酬の削減
私は財務改革の第一歩は役員報酬の削減である
と決めておりまして、今日の理事会で役員報酬の
規程を見直していただきました。年収や退職金な
どすべてを含んで、理事長は 30 %前後、副理事
長、常務は20 %程度、その他の理事の方にも10 %
の削減になると思っております。他の私立医科大
学の役員報酬はオーナー大学もあって公表してい
る大学が少なく、厳密に比較できませんが、29 私
立医科大学の中でも最低ランク以下と思っており
ます。報酬引き下げの条件として常勤理事の勤務
を緩和し、必要のない場合は勤務免除などのため
に業務の簡素化をはかることに致しました。
(3)セカンドライフ支援制度(仮称)等の導入
2 ∼3 年後には人件費増が大学の財政を圧迫する
ことになり、そのために事業が出来なくなる可能
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性があります。そこで、定年前に退職して、新し
い人生への歩みを考えている職員を支援する制度
の構築を総合企画室で検討し、退職希望者を募っ
ていきたいと考えております。
(4)教職員の定員の適正化、効率化
(5)給与体系の全面的な見直し
(6)研究費の効率的な配分
これらについては、すでに昨年の6月頃から検討
しており、さらに総合企画室で検討し、順次、実
施したいと思っておりますが、
(5)
、
(6)につい
ても検討は避けられないと思っております。
このような大学の体質改善・財務改革において、
最も重要なことは教職員が萎縮しないように充分
に情報公開し、教職員すべてが共有できる大学の
将来構想、あるいはビジョンをもち、目標達成の
プロセスを明確にすることが重要であり、それに
よって教職員すべてが納得して痛みに耐えること
が出来ると思っております。
〔C〕人材育成
多くの大学、企業でも人材難が大きな問題とな
っております。
日本はこれまで経験したことがない未曾有の変
革期を迎えて、本当の意味のリーダーが求められ
ております。これまでの日本ではリーダーについ
て考えたこともなかったし、その存在のための仕
組みもなく、従ってリーダーも存在しなかったと
言っても過言ではありません。現在、大学にとっ
て必要な人材は経営感覚をもった真のリーダーで
ありますが、しかし、真のリーダーを育てるには
時間が必要であり、これからの 3 年間で人材育成
を目標の一つにして努力したいと思っております。
大学によっては若い人の中から、将来の大学の
責任者としての人材を発掘し、長期間に亘って教
育していると聞いておりますが、本学でもそのよ
うなシステムを作る必要があります。
社会のグローバル化が進む中で、大学の機構改
革も急速に進むことになると思いますが、その方
向性は必ずしも明確ではありません。この様な情
況の中で、今、私どもは社会の、あるいは大学の
あらゆる改革に対応できる基礎体力作りを心がけ
なければならないと思っております。その基礎体
力作りのための基盤整備としての体質改善や財務
健全化について、概略を述べさせていただきまし
た。今後、この基本方針に従って、大学の運営を
進めていきたいと考えており、皆さんのご協力を
心からお願い致します。
【管理・運営】
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金 医 大 学 報
新役員・評議員・顧問の選任
新役員は下記のとおりで、任期(学長を除く)は、平成
14年4 月1日から平成17年3 月31 日までである。
理事長 小田島粛夫
理 事(学長)
竹越 襄 〃 (副理事長)山下 公一
〃 (病院長) 内田 健三
〃 (常務理事)水株 正紀
〃 西川 克三
〃 山本 達 〃 東田 紀彦
〃 飛田 秀一
〃 伊藤 博
〃 奥名 洋明
〃 松本 静夫
〃 久藤 豊治
〃 角田 弘一
〃 澁谷 亮治(新任)
監 事 中村 行男
〃 米沢 寛(新任)
また、平成 14 年 3 月 22 日開催の理事会(第 161 回)にお
いて、顧問2名が選任された。
(敬称略)
平成 14 年 3 月 22 日開催の理事会(第 161 回)及び評議員
会(第83 回)において、新評議員が選任された。
評議員(選任条項別50 音順)
小田島粛夫 竹越 襄
奥名 洋明 久藤 豊治
澁谷 亮治(新任)
飛田 秀一
水株 正紀 浅野進一郎(新任)
荒田 満 大田 修
尾張 昊(新任)
國府 克己(新任)
高島 茂樹 高橋 敬治(新任)
辻口 徹子(新任)
中農 理博
西川 克三 松本 正幸
山田 裕一 伊藤 透 円山 恵子 角田 弘一
坂本 滋(新任)
東 光太郎(新任)
市橋 七郎 伊藤 博
岩本 秀雄 内田 健三
勝田 省吾 川上 重彦(新任)
菅井 進 鈴木 孝治(新任)
鈴木 宗幸 東田 紀彦
升谷 一宏 松本 静夫
山下 公一 山本 達
横山 隆昭
顧 問 森 喜朗(新任)
西東 利男(新任)
〈新任役員の紹介〉
澁谷亮治 理事
【略歴】
昭和27年3月 京都大学経済学部卒業
昭和27年4月 澁谷工業㈱入社
昭和48年8月 澁谷工業㈱代表取締役社長に就任
昭和58年9月 澁谷工業㈱代表取締役会長に就任
【主な社会活動】
シブヤインターナショナルインコーホ ゚ レーション取締役
社団法人金沢経済同友会代表幹事
金沢工業大学客員教授
テレビ金沢取締役会長
文化大臣賞、北国文化賞
米沢 寛 監事
【略歴】
昭和 45 年 3 月 慶応義塾高等学校卒業
吾用 52 年 3 月 大東文化大学経済学部卒業
昭和 54 年 6 月 リッチモンド大学ビジネス学科修了
昭和 59 年 2 月 北星産業㈱取締役
平成 13 年 3 月 北星産業㈱代表取締役
平成元年 4 月 米沢電気工事㈱代表取締役社長
【主な社会活動】
社団法人石川県消防設備協会理事・副会長
社団法人金沢経済同友会理事
金沢商工会議所議員
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副学長に 勝田省吾教授(新任)
平成14 年4 月1 日に開催された理事会において、西川副学長の総合医学研究所所長就任に伴う後任の副学長候補として、
竹越学長から推薦のあった勝田省吾教授(病理学Ⅱ)が副学長に選任され、4月4日付けで就任した。任期は平成14年4月1
日から平成14年8月31日まで。
勝田 省吾
副学長(新任)
【略歴】
昭和46年 9月
昭和51年 3月
昭和51年 4月
昭和52年11月
金沢大学医学部卒業
金沢大学大学院医学研究科修了
金沢大学医学部助手(病理学第一講座)
同講師
昭和 54 年 4 月 金沢大学医療技術短期大学部助教授(衛生
技術学科)
昭和 58 年 7 月 金沢大学医学部助教授(病理学第一講座)
平成元年 5 月 文部省在外研究員(米国ワシントン大学)
平成 6 年 7 月 金沢医科大学教授(病理学第二講座主任)
平成 8 年 4 月 金沢医科大学教務部副部長
平成 10 年 4 月 金沢医科大学総合医学研究所副所長
平成 11 年 4 月 金沢医科大学大学院医学研究科運営委員
会委員長
平成 14 年 4 月 金沢医科大学副学長
【主な学会活動】
日本結合組織学会評議員、日本病理学会評議員
日本血管細胞生物学会評議員、日本動脈硬化学会評議員
病院長に 内田健三教授(再任)
高島茂樹教授(再任)、松本正幸教授(再任)、高橋敬治教授(新任)
副院長に
内田健三病院長の任期満了に伴い、平成14年2月14日開催の医学部教授会(第636回)で、内田健三教授が病院長候補者と
して推薦され、3月22日開催の理事会(第161回)で承認され、4月1日付けで発令された。同時に、副院長として高島茂樹教
授、松本正幸教授、高橋敬治教授が発令された。病院長及び副院長の任期は平成14年4月1日から平成17年3月31日まで。
高橋 敬治
副院長(新任)
【略歴】
昭和39年
昭和44年
昭和47年
昭和48年
3月
3月
6月
9月
東北大学医学部卒業
東北大学大学院修了
東北大学医学部助手(第一内科学)
米国ワシントン州立大学バ ーシ ゙ ニア・メーソン研究所
留学
昭和51 年 4 月 東北大学医学部講師(第一内科学)
昭和52 年10 月 山形大学医学部講師
昭和53 年 8 月 文部省在外研究員(バ ージ ニア・メーソン研究所)
(同年9 月まで)
平成元年 10 月 山形大学医学部助教授(臨床検査医学)
平成 6 年 8 月 金沢医科大学医学部教授(特任)(呼吸器
内科学)
平成13 年 4 月 金沢医科大学総合医学研究所副所長
平成14 年 4 月 金沢医科大学病院副院長
【主な学会活動】
日本内科学会会員、日本呼吸器学会評議員・監事、日本
界面医学会常任理事(第 23 回総会会長)、日本気管支学会
評議員、日本アレルキ ゙ ー学会評議員、国際エアロソ ゙ ル医学会会
員・日本支部長、アメリカ胸部学会会員 ほか
看護部長に
辻口徹子(新任)
看護部副部長に 当波和美(再任)
、宮本孝子(新任)
松任弘子看護部長の任期満了により、後任候補者として推薦された辻口徹子看護部副部長が新看護部長として4 月1 日付
けで発令された。また、同時に2 名の看護部副部長が発令された。任期は平成14 年4 月1 日から平成16 年3 月31 日まで。
【管理・運営】
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金 医 大 学 報
総合医学研究所所長に 西川克三教授(新任)
副所長に 松井忍教授(新任)、中川秀昭教授(新任)
総合医学研究所所長候補者として推薦された西川克三教授(生化学Ⅱ)が、平成14 年3 月22 日に開催された理事会にお
いて新所長として選任された。また、副所長には松井 忍教授(難治疾患研究部門)と、中川秀昭教授(公衆衛生学)が任
命され、それぞれ4月1日付けで就任した。任期は、平成14 年4 月1 日から平成15 年3 月31 日まで。
平成 2 年
平成 3 年
平成 4 年
西川 克 三
総合医学研究所所長(新任)
【略歴】
昭和37年 3月 大阪大学理学部化学科卒業
昭和42年 3月 大阪大学大学院理学研究科生物化学専攻修
了 理学博士
昭和44年 4月 大阪大学助手(蛋白質研究所酵素反応学部
門)
昭和47年 9月 Department of Biology,University of California
at San Diego, Assistant Research Biologist
昭和50年 4月 金沢医科大学助教授(生化学Ⅱ)
昭和57年 4月 同教授(生化学Ⅱ)
平成 2年 4月 同図書館副館長
平成 7年 4月 同総合医学研究所副所長
平成10年 4月 同図書館長
平成10年11月 同副学長
平成11年 4 月 同ハイテク・リサーチ・センター長
平成14年 4月 同総合医学研究所所長
【主な学会活動】
日本生化学会評議員
日本癌学会評議員
日本細胞生物学会会員
松井 忍
総合医学研究所副所長(新任)
【略歴】
昭和45年 3月
昭和49年 4月
昭和52年 4月
昭和57年 1月
昭和60年 5月
昭和61 年11月
昭和63年10月
金沢大学医学部卒業
金沢医科大学助手(循環器内科学)
同講師
医学博士(金沢大学)
金沢医科大学助教授(循環器内科学)
循環器テ ゙ ータ解析センター部長
日本内科学会認定医
4 月 日本循環器学会専門医
4 月 日本老年病学会専門医 ほか
1 月 金沢医科大学教授(総合医学研究所難治
疾患研究部門・循環器内科学)
平成 11 年 4 月 金沢医科大学教務部副部長
平成 14 年 4 月 金沢医科大学総合医学研究所副所長
【主な学会活動】
日本循環器学会員、日本内科学会員、日本臨床生理学会評
議員、日本老年病学会評議員、日本体力医学会北陸地方会
理事、日本超音波医学会評議員、International Society of
Heart Research会員、日本体力医学会北陸地方会学会長、日
本集中治療医学会専門医試験委員、日本心不全学会評議員
中川 秀昭
総合医学研究所副所長(新任)
【略歴】
昭和50 年
昭和50 年
昭和56 年
昭和57 年
昭和58 年
昭和59 年
昭和61年
3月
4月
1月
9月
4月
4月
4月
金沢大学医学部卒業
金沢医科大学助手(公衆衛生学)
同講師
医学博士(金沢大学)
金沢医科大学DHC 科副科長
同助教授(公衆衛生学)
英国University College London, Community
Medicine に留学
平成 3 年 4 月 金沢医科大学教授(健康管理科長・公衆衛
生学)
平成 5 年 2 月 日本産業衛生学会指導医
平成 7 年 4 月 同教授(公衆衛生学)
平成 7 年 12 月 石川労働局労働衛生指導医
平成11 年 8月 日本病院会などによる人間ト ゙ ック認定指定医
平成14 年 4 月 金沢医科大学総合医学研究所副所長
【主な学会活動】
日本産業衛生学会評議員、日本衛生学会評議員、日本疫
学会評議員、北陸公衆衛生学会理事、石川県成人病予防セ
ンター理事、日本公衆衛生学会理事、日本学校保健学会理事
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金 医 大 学 報
〈西川克三総合医学研究所所長 就任の挨拶〉
金沢医科大学総合医学研究所は平成元年に開設された
ので丁度13年を経過したことになります。本研究所は医
学・医療に直結した研究の推進を目標に、本学における
研究活動の主軸となることが期待されてきましたが、必
ずしもそれに十分応えていませんでした。一方、ハイテ
ク・リサーチ・センター(HRC)は平成9 年度から本研
究所の所員を中心とした 3 プロジェクトが採択されて、
充実した施設と設備が整えられ、一応の成果を挙げて平
成13年度で終了しました。続いて,平成11 年度から5 年
計画の環境汚染物質に関するHRCプロジェクトも成立し
45
て現在継続中で、さらに今年度からも動物施設を基盤と
した研究の新しいHRC プロジェクトが発足します。この
ような背景の元に,本年度から大学の組織改革にともな
い研究所とHRCが一体化した組織となり、当初の目標の
実現のために、抜本的な改革が求められています。来年
度の新病院の開設にともなう本研究所の施設としての再
構築も改革の一環になると期待しています。HRCにより
新しい施設と設備の充実が期待できますが、所詮、研究
の活性化は人材の適材適所における活性化なしにはあり
えないと考えています。皆様方のご協力とご支援を切に
お願いする次第です。
教務部副部長に 大原義朗教授(再任)、松井 忍教授(再任)、飯塚秀明教授(新任)
学生部副部長に 土田英昭教授(再任)、上田善道教授(再任)
平成14年4月1日付で、教務部副部長に飯塚秀明教授が就任、大原義朗教授並びに松井忍教授が再任した。学生部副部長
には土田英昭教授並びに上田善道教授が再任した。任期は、いずれも平成15 年3 月31 日まで。
飯塚 秀明
教務部副部長(新任)
【略歴】
昭和55年 3月 金沢大学医学部卒業
昭和61年 3月 金沢医科大学大学院医学研究科修了
昭和61年 4月 同助手(脳神経外科学)
昭和63 年 6月 米国ニューヨーク大学留学
平成 5 年 1 月 金沢医科大学講師(脳神経外科学)
平成 8 年 2 月 同助教授(脳神経外科学)
平成 9 年 2 月 同教授(特任)
(脳神経外科学)
平成11 年 4 月 同教授(講座主任)
平成14 年 4 月 金沢医科大学教務部副部長
【主な学会活動】
日本脳神経外科学会評議員、日本神経外傷研究会会員、日
本脳腫瘍病理学会会員、Neurotrauma Society(USA)会員、日
本脳神経外科コンク ゙ レス会員、International Medical Society of
Paraplegia 会員、日本パ ラフ ゚ レシ ゙ ア医学会評議員、日本脊髄
外科学会世話人
【管理・運営】
平成14年度
48
金 医 大 学 報
新入職員辞令交付式
平成 14 年 4 月 1 日(月)午前 10 時から、新入職員辞令交付
式が本部棟 4 階講堂において行われ、新入職員 71 名(技
術職 7 名、看護職 63 名、技能職 1 名)に対し、小田島粛夫
理事長から代表の辻展行さんに採用辞令が手渡された。
続いて小田島理事長から「礼儀と謙虚さを忘れること
なく、金沢医科大学の職員としての自覚と帰属意識を持
って職務に取り組んで欲しい」との訓辞があり、最後に
新入職員を代表して坂田希美さんが「一致協力して大学
の発展に尽くします」と力強く宣誓を行った。
(人事厚生課 杉森哲也記)
日本の超高層ビル建設は、霞ヶ関ビル(日本初の超高層
ビルで地上36 階、高さ147 m、昭和43 年完成)の建設以来
発展を続け、現在日本一高いランドマークタワー(地上70
階、高さ296 m、平成 5 年完成)に代表される250 m∼ 300
m級の超高層ビルの時代へと移ってきた。現在一般にビル
建設で使われるクレーンはクライミングクレーン(通称タ
ワークレーン)と呼ばれるもので、昭和 35 年に国産第 1 号
機が完成した後、工事が大型化・高層化するにつれて大型
のものが使用されるようになってきた。ビル建設のみなら
ず、ダム、橋梁、原子力発電施設の建設などその用途は多
様化し、県内では石川県庁舎や志賀原発でも使われている。
今回は病院新棟建設現場で活躍しているクレーンについて
概略を紹介する。
新入職員代表の辻展行さん
を持ったクレーン。
*3 橋形クレーンは、橋桁の形をしたクレーン。
*4 天井クレーンは、工場などの天井に設置されるクレーン。
*5 タワークレーン(tower crane)は、
「クライミング式」と
呼ばれ建物が出来上がるにつれてクレーンのマストを継ぎ足し
て、油圧でクレーン本体が上がっていくタイプであり、地上固
定式もある。新棟建設現場内のタワークレーンは、大型で400
tm級である(写真)
。
* 6 低床ジブクレーンには、固定式と走行式がある。現場内
ではキャタピラーで自走するクローラークレーンが鉄骨等の吊
り上げ、移動作業で2台活躍中である(150tm・200tm級、
写真)
。
●タワークレーンはどうやって上へ上がっていくか?
先ず地上に架台を据え付け、下層から順番に鉄骨を組んでいく。
仮に3階まで建方が終わったとする。次にタワークレーン本体が3
階の鉄骨で固定されるので、本体の油圧ジャッキでマストを引き上
げ旋回部がマストの上端に着くとクライミングの完了となる。これ
をくり返し、尺取虫のようにして上昇していく。
●クレーンの分類
クレーンは法規、機能型式、操作方法、作動方式により分類され
るが、労働安全衛生規則によると次のとおりである。
<大分類> <中分類> <小分類>
クレーン(*1)──ジブクレーン(*2)──クライミングクレーン
(通称:タワークレーン(*5)
橋形クレーン(*3)
天井クレーン(*4)
塔形ジブクレーン
その他
低床ジブクレーン(*6)
その他
注)*1 クレーン(crane)は、重量物を吊り上げたり、移動した
りする装置を備えた起重機の総称。
crane :鶴、起重機、首を伸ばす、…を伸ばす、…で吊り上げ
る。
*2 ジブクレーン( jib crane )は、上部に旋回する腕(ジブ)
タワークレーン全景
(2001/11/30)
第110号/2002.5
49
金 医 大 学 報
●工事中のビルの大きなクレーンはどうやって下ろすのか?
先ず小さなクレーンを準備し、部品に分解して大きなクレーンで持ち
上げ、小さなクレーンを組み立てる。次に大きなクレーンをいくつかの
部品に分解し、小さなクレーンで地上へ下ろす。次にその小さなクレー
ンを分解し同様に一回り小さなクレーンで地上に下ろす。この作業を何
回か繰り返しエレベーターで下ろせる大きさにして地上へ下ろして完了
(施設整備推進室)
となる。
<病院新棟の特徴紹介シリーズ・バックナンバー>
①学報 №102 「臓器別診療態勢」
(2000-May)
②学報 №103 「臨床教育スペース」
(2000-August)
③学報 №104 「バリアフリー、アメニティ、プライバシー」
(2000-November)
④学報 №105 「腎臓病センター」
(2000-January)
⑤学報 №106 「免震構造」
(2000-May)
⑥学報 №107 「エネルギ−サプライ①コジェネ・システム導入の経緯」
(2000-August)
⑦学報 №108 「エネルギーサプライ②コジェネ・システム概要」
(2000-November)
⑧学報 №109 「エネルギーサプライ③省エネルギー・省力化と災害対応
について」
(2000-January)
病院増改築工事の進捗状況
クローラークレーン
(第5 回報告 平成14 年3 月31 日現在)
【病院新棟】
〔全工事出来高:2002(H14)年 3 月 31日現在 23.0 %〕
平成13年12月 鉄骨建方開始 図書館横設備共同溝工事継続中 免震装置取付
(設備)ボーリング接地 スリーブ インサート工事
平成 14年 1月 1 階鉄骨建方 配筋・型枠・コンクリート打設 土圧壁コンク
リート打設(設備)地階床・壁スリーブ インサート工事
2月 鉄骨建方継続中 立上り壁配筋・型枠・コンクリート打設
ドライエリア部 コンクリート打設 土圧壁コンクリート打設
(設備)1 階床スリーブ インサート工事継続中
3月 2階・2階鉄骨建方 配筋・型枠・コンクリート打設
土圧壁コンクリート打設
(設備)1 階床スリーブ インサート工事 免震階配管工事
(機械設備)
地階・1 階立上り壁内配管 1 ・ 2階スラブ配管
エネルギーセンター∼各棟間ケーブル敷設(電気設備)
新棟建設工事 現場状況 2002/3/31現在
【エネルギーセンター】
〔建築工事出来高:2002(H14)年 3 月 31日現在 100.0 %〕
〔設備・コジェネ工事出来高: 2002 年 3 月 31日現在 73.1 % 〕
平成13年12月 2階コジェネ室、3 階電気室、PH 躯体工事 各所仕上工事
煙突躯体工事継続中( 7 段目/12 段)オイルポンプ室躯体工事
(設備)柱・壁・床配管 通線 設備共同溝内ラック吊
(電気設備)衛生配管 ダクト吊込 空調機器取付(機械設備)
1月 各階内部仕上工事 煙突躯体工事継続中(11 段目/ 12 段)
2月 内・外部仕上工事 屋上防水工事 煙突内筒取付工事
(設備)動力制御盤、中央監視装置据付(電気設備)
排風機、ポンプ取付 発電機・排熱ボイラー据付(機械設備)
3月 内・外部仕上工事 屋上防水工事
(設備)照明取付 制御線配線 配管配線 盤内結線(電気設備)
還水槽組立 配管吊込・保温 ダクト保温(機械設備)
エネルギーセンター建設工事現場状況、
2002/3/31現在
(施設整備推進室)
50
金 医 大 学 報
随想・報告
随 想
第1 回日本伝統捕鯨地域サミットに参加して
人文科学助教授
.Ⅰ 長門サミット
去る平成 14 年 3 月 21 日(金)、山口県長門市仙崎のルネッ
サながと・文化ホールにおいて、第1 回日本伝統捕鯨地域サ
ミットが開催された(主催:長門市・〔財〕日本鯨類研究
所、後援:水産庁・ IWC 下関会議推進協議会)
。湯本温泉
の大谷山荘で開催された前夜祭は、伝統芸能「通鯨唄」(長
門市通鯨唄保存会)・「鯨太鼓」(太地町鯨太鼓保存会)の実
演と各地に伝わる鯨料理の披露がなされ、たいへんな賑わ
前夜祭の郷土鯨料理
いをみせた。
1982 年IWC(国際捕鯨委員会)においてモラトリアムが
採択されて以来、商業捕鯨の一時停止により鯨食の機会が
減少し、偏った鯨類観による反捕鯨運動が広まるにつれ、
食料資源としての鯨の価値が一般に薄れつつある。そこで
本サミットは、日本の捕鯨を将来の世代に引き継いでいく
ため、捕鯨をめぐる歴史・文化について一般市民に広く理
解してもらおうと開催された。
基調講演「日本の捕鯨史:縄文時代から現代までの鯨と
の関わり」では、最初に私が「縄文∼古代捕鯨と食の多様
性」
、つづいて、森田勝昭氏(甲南女子大学教授)が「近世
から近現代へ−捕鯨技術の変化と伝統−」
、高橋順一氏(桜
美林大学国際学部教授)が「現代日本の捕鯨文化」と題し
て講演した。
Ⅱ 鯨食9000年
パワーポイントで作成したスライドショーの末尾に、①
すでに縄文時代早期(約9000 ∼6000 年前)にイルカやクジ
ラを食べていた、②遅くとも縄文時代前期後葉(約5000 年
平口哲夫
以上前)にはイルカ漁が行われていた、③遅くとも弥生時
代中期(約2000 年前)にはクジラ漁が行われていた、④日
本食の多様性は縄文時代以来の伝統である、と書いておい
た。
ところで、発表準備中に読んだ本に、スコットランドの
てもり
北端アウターヘブリデス島では手銛によるイルカ漁が1 万年
以上前から行われていたように書いてあった。ZOOARCH
というメーリングリストを利用して、あるイギリスの動物
考古学者に問い合せてみたところ、スコットランドの遺跡
から出土した鯨類骨の最古のものは、7000 ∼4000 年前の中
石器時代に属し、しかもこの年代は正確さに欠けるとのこ
とであった。アウターヘブリデス島付近の海底からは骨製
銛が採集されているが、これをもって1 万年以上前にイルカ
漁が行われていたと断言することはできないし、また、鯨
類骨が遺跡から出ているというだけでは積極的に捕獲した
という証拠とはみなせない。
なお、縄文時代早期の年代について補足すると、上限に
ついては 10000 年前とする人も 9500 年前とする人もいる。
こうした違いは、理化学的な年代測定値に誤差やバラツキ
があるからだ。いずれにしても、確かな証拠によるかぎり、
遺跡からの鯨類骨出土例は日本のほうがヨーロッパよりも
古いし、また、イルカ漁の起源という点でも日本のほうが
古い。
それはともかく、重要なのは、東西を問わず大昔から鯨
類を食用やその他の目的で利用してきたということだ。特
にアジアの代表的捕鯨国日本と、ヨーロッパの代表的捕鯨
国ノルウェーは、どちらも狭く険しい地形をした島国ない
し半島国であるため、畜産に向いておらず、動物性食料の
多くを海産資源に依存してきたという点で共通している。
ノルウェー海岸部には、中石器時代から新石器時代にかけ
ての岩刻画が多いが、鯨類や捕鯨の様子を描いたものもあ
る。東西を代表する捕鯨国が捕鯨の起源という点でも似か
よっている点に注目したい。
Ⅲ 資源管理と環境保護
仏教伝来直後の天武4 年(676)に発せられた「殺生肉食
禁令」は、獣類の捕獲や肉食そのものを禁止したのではな
く、特定の狩猟方法や定められた猟期以外の狩猟を禁止し、
また、牛馬犬猿鶏の肉を食うことを禁止したにすぎない。
しかも、似たような禁令がその後もしばしば出されている
という事実は、なかなかそれが守られなかったということ
第110号/2002.5
金 医 大 学 報
を示唆する。禁令対象が陸獣類に限られたのは、仏教の影
響があったとしてもそれは表向きの理由であって、実は資
源管理の目的で行われたと考えたほうがよい。シカ・イノ
シシなどの陸獣類については、狭い国土で生息数も限られ
ているから、むやみに殺すわけにはいかない。また、畜産
に向いていない自然環境では、家畜はなるべく生かして利
用するほうがよい。これに比べてクジラは、当時の技術で
大量捕獲はありえないし、資源も豊富であったから、禁令
の対象とはならなかった。だからこそ、日本の捕鯨・鯨食
文化の発展が促されたのだ。
ヒンズー教の牛食禁止やイスラム教の豚食禁止のように
厳しいタブーが長く守られてきたのは、それぞれの地域の
環境に適したタブーだったからであり、禁止されてもその
土地の人々にとってさして困ることではなかったからであ
る。反捕鯨国のうち、かつて捕鯨をしていた国々は、もと
もと畜産によって動物性食料をまかなっており、捕鯨は鯨
油が主目的であったから、クジラ資源が乏しくなり、石
油・植物油産業が勃興するにつれ捕鯨産業から撤退してし
まった。その他の反捕鯨国は、そもそも捕鯨など関係のな
い国々ばかりである。
シロナガス、ナガス、セミクジラのように生息数が少な
くなってしまった種については手厚く保護しなければなら
ないが、ミンククジラのように生息数が増加して絶滅の心
配がない種ならば一定数の捕獲は認めるべきだ、というの
が捕鯨国の主張である。また、特定の種を過度に保護し、
増えるままに放置しておくと生態系を破壊してしまい、人
間はおろか当の鯨たちにとってもよくない事態をまねくと
いうことも、最近特に指摘されている。
海生哺乳動物の体内に水銀やPCB などの有害物質が蓄積
されつつある。汚染の少ない南氷洋のクジラの肉はアレル
ギー症の患者の代替食として治療に役立てられているが、
このまま海洋汚染が進めば南氷洋のクジラといえども安心
できなくなってしまう。そのような事態になれば、クジラ
どころか魚介類を食べることさえできないだろう。海産物
に依存して生きている私たちにとって、漁業を永く営むこ
51
とができるように豊かな海の環境を守るということがなに
よりも大切なはずである。
Ⅳ 長門宣言
日本各地から集まった小学生から年輩まで約600 人の参加
者は、日本人の伝統捕鯨について広く意見を交換し、約
1600 字に及ぶ「伝統捕鯨に関する長門宣言」を採択した。
この宣言は、ほぼ以下のような箇条書きで締めくくられて
いる。
1. 鯨体の完全利用とその恵みへの感謝を基礎とした我が国
の捕鯨の伝統と文化を誇り、これを保存し、発展させる。
2. 鯨油だけを生産しクジラ資源を大量かつ無駄に浪費した
欧米型の商業捕鯨は行わない。
3. クジラ料理を含め、地域で長年つちかわれた伝統的な地
場食材の価値を再認識し、その発展と普及、次世代への
継承に努める。
4. 貴重な海の恵みを無駄にすることのないよう、食用を含
め「寄りクジラ」を有効利用できる体制の確立を目指す。
5. 持続可能な捕鯨に従事する世界各地の人々に敬意を表し、
その人たちの生業権と職業へのプライドが尊重されるべ
きことをアピールする。
6. 捕鯨を含む、野生生物の食糧資源に依存している各地の
人々と連携し、持続的な天然資源利用の確立を目指す。
7. 人類の生活と共に発展してきたクジラの利用の歴史と伝
統文化を受け継いだ我が国の沿岸地域における持続可能
な捕鯨が開始され、地域経済・社会への貢献と海洋生態
系の総合利用が達成されるべきことをアピールする。
8. 若い世代もクジラの保護と持続的利用、受け継いできた
クジラの文化伝統を次世代に継承していくために最善を
尽くす。
昨年 7 月下旬、韓国釜山で開催された日韓新石器文化研
究会の帰路、山口県の下関から長門仙崎あたりまで個人的
に見学する機会をえた。そのときは長門サミットに出席す
ることになろうとは夢にも思わなかった。その経緯につい
ては稿をあらためて随想することにしたい。
【随想・報告】
52
金 医 大 学 報
随 想
旅に病んで
名誉教授・泌尿器科学
数年前のWHO の報告書「International Travel and Health」
に、先進国出身者が途上国を一ヶ月旅行した場合のリスク
についてまとめられている。これによると100 人のうち20 ∼
30 人が体調を崩すという。そして1 割弱が医師の診察を受
け、1 万人に6 人程度が緊急輸送の対象となり、10 万人に1
人が死亡と報告されている。なお帰国後の死亡例は含まれ
ていない。一方、病気の種類では「旅行者は30 ∼80 %の確
率で下痢を経験する」としている、下痢症はストレスを除
けば結局手洗いの励行と飲食物への注意で回避できるはず
である」という。また、高山義浩氏(医学界新聞1999 年11
月15日号)によると、
「感染性非感染性のものとしていくつ
かあげられるが、食べ過ぎ飲み過ぎ、年齢を問わないし、
心因性ストレスも原因の一つ」という。私にはこの残念な
経験があるのでご報告しておく。ご参考になれば幸いであ
る。なお最近エコノミークラス症候群という循環障害がい
われてきたが今回は省略する。
もう20 年にもなろうか。あの日のユングフラウはよかっ
た。軽い興奮状態のままに私の乗ったスイスアルプス登山
電車は麓へ着いた。喉が乾いていた。すると駅舎の隣に搾
りたての牛乳を並べている店が目に入った。ラッキーとば
かり、約200 ミリリットルを一気に飲み干した。冷たくてこ
くがあって美味しかった。
それはそれでよかった。ところがグリンデルワルドのホ
テルに着く頃から妙にお腹がごろごろする。トイレに入る
と水様下痢便であった。スイスの搾りたての乳脂肪に対し
私の消化酵素が少なかったか。冷たいものを一気に飲んだ
ためか。飲んでから1時間で始まった下痢は3 行で止まった。
翌日からは何事もなくパリに向かった。
次はオーストラリアへ行った時のことである。これはス
ユングフラウヨッホにて:スイスアルプスの名峰ユングフラウ、当日
快晴、この山塊はロッククライミングで有名なアイガー北壁に続く。
津川龍三
シドニー湾クルーズ船より:シドニーのシンボル、白くまぶしい貝
殻イメージのオペラハウス、この日の夜、学会の主催で「椿姫」を
鑑賞した。
イスの比ではなかった。哀れと孤独が加わった惨めな体験
であった。
原因は成田空港での二つのエピソードではっきりしてい
る。空港ビル食堂で、しばらく食べられないからと天丼を
食べた。それから出国を終え、搭乗待合室へ移動した。イ
スに坐っていると同行グループの某教授夫妻が既におられ、
どうですかとかなり大きなアイスクリーム(アイスもなか)
を持って来られた。ゆっくりとではあったが、とにかく全
部胃の中に入れた。
カンタス航空のジャンボ機は成田を出た。水平飛行に移
ると早速夕食となった。6 分目ほど食べたところで、便意を
催した。幸い私の席の近くがトイレである。坐って腹圧を
かけるとどうだ。水様便が猛烈な勢いで出てくるではない
か。今の食事による胃結腸反射で便意を催すのは生理的だ
からよしとして、さても便の性状は一体何だ。額からはあ
ぶら汗。微動するジャンボのトイレ。惨めとはこのことだ。
何回トイレへ行っただろう。最初の着陸地ケアンズでは脱
水でフラフラ状態、これにはコカコーラが一番と(ダイエ
ットコークはだめ)これを飲んでシドニーに着いた。帰国
してから、食べ合わせの本を読んだら、やはり「天ぷらと
アイスクリームは食べ合わせ悪し」とある。アイスを下さ
った方の善意には申し訳ないが今もいささかお恨み申しあ
げている。
さて到着翌日になっても下痢便は続く。翌々日に漸く落
ち着いた。下痢は体にとって良くないものを早く体外に出
そうとする自己防衛反応のひとつの表現である。ムリに下
痢を止めてしまうのはよくない。したがってこれという特
効薬もない。止まるのを待つのである。水分と糖分補給の
第110号/2002.5
金 医 大 学 報
53
ボロブドール巨大仏教遺跡にて:ジャワ島中部のジョクジャカルタにある。基礎部分は安山岩で回遊式に釈迦の
一代記が彫られている。上にある鐘の中に手を入れると、幸せが訪れるという。
あとは日本から持参の小児用ビスケットである。飴をなめ
コーラを飲み、森永のマンナを食べる。翌日、予定どおり
の市内観光に連れていって下さった方に事情をお話したと
ころ、それではということで中華レストランに案内された。
店内は賑やかでもちろん中国人が多い。料理はメニュー表
をみて注文するのではない。いわゆる飲茶(ヤムチャ)の
形式で、ワゴンに料理が乗せられて約 5 分おきに回ってく
る。そこからピックアップするのである。そういえば、シュ
ウマイを乗せたワゴンが5 分前に通り過ぎた。今、目前に停
止しているワゴンは春巻きを乗せている。それをみて注文
するとワゴンを押している女性が料理をお客に渡し、伝票
に書き込む仕組みである。私は美味しそうな料理を見逃し
つつお粥を啜るのみであった。同行者は美味しい旨いの連
発で、私は完全に無視され、ジャンボのトイレと異なる惨
めさをまたしても味わったのであった。
次の主人公は私ではない。インドネシアへ行った時であ
る。帰国の前夜、別行動をとっていたグループもホテルに
合流、会食となった。日系ホテルなので和食レストランも
ある。ツアーのリーダーの方が「今夜はおごりだ」といわ
れた。定食系として、刺身、天ぷら、焼き魚、がある。私
は焼き魚を注文した。お酒にビールも出てなごやかな食事
会であった。
深夜ジャカルタ発、ガルーダ航空機は月明の中を北へ飛
び続け、早朝「テレマカシ・ありがとう」で成田に着いた。
さて、成田ではグループのほとんどが通関をすませ顔を揃
えたが、2 名がなかなか出てこない。係の人を探し訊ねてみ
ると、2 名のお客様の下痢について慎重に検査中という。1
時間遅れで出てきた。刺身を注文した2 名であった。グルー
プは黙り込んだまま、羽田、小松、そして解散となった。
旅は楽しい。勉強になる。しかし非日常体験でもある。
一方トラブルもある。
「なま水はいけない、火の通ったもの
を食べよ」は昔からいわれている。おばあちゃんのいう通
りだ。旅に病むのは心細い。海外へ行く諸君におかれては
学問的に高揚した気持の隅にと、この小文を老婆心ながら
提供した次第である。
金 医 大 学 報
54
資 料
理事会
第161回 平成14 年3 月22日
議案
1
2
3
4
5
次期役員(理事・監事)の選任について
次期評議員の選任及び推薦について
顧問の委嘱について
次期病院長の選任について
次期総合医学研究所の選任について
第162回 平成14 年3 月22日
議案
1 平成13 年度修正予算案について
2 平成14 年度予算案について
3 学校法人金沢医科大学職員就業規則の一部改正について
4 学校法人金沢医科大学職員給与規則の一部改正について
5 金沢医科大学学則の一部改正について
6 金沢医科大学大学院学則の一部改正について
7 金沢医科大学附属看護専門学校学則の一部改正について
第163回 平成14 年4 月1日
議案
1 理事長、副理事長及び常務理事の選任について
追加議案
1 副学長の選任について
2 役員報酬等の改定について
評議員会
第83回 平成14 年3 月22日
1
2
3
平成13年度修正予算案について
平成14 年度予算案について
次期評議員の選任について
第84回 平成14 年4 月1日
1 次期理事の選任について
規程の改正・制定
学校法人金沢医科大学事務部長会規程
(平成14 年1 月1 日改正)
金沢医科大学附属看護専門学校学則
(平成14 年3 月1 日改正)
学校法人金沢医科大学職員就業規則
(平成14 年3 月22 日改正)
学校法人金沢医科大学駐車場管理規程
(平成14 年4 月1 日改正)
金沢医科大学学位規程
(平成14 年4 月1 日改正)
金沢医科大学学位規程第 3 条第 1 項に基づく医学研究科の学位(課
程博士)に関する内規
(平成14 年4 月1 日改正)
金沢医科大学学生部委員会規程
(平成14 年4 月1 日改正)
金沢医科大学学生支援センターに関する規程
(平成14年4月1 日制定)
金沢医科大学大学院学則
(平成14 年4 月1 日改正)
金沢医科大学組換えDNA実験安全管理規程
(平成14年4月1日改正)
金沢医科大学学則
(平成14 年4 月1 日改正)
学校法人金沢医科大学職員給与規則
(平成14 年4 月1 日改正)
医学部教授会
第632 回 平成14年1 月10日
議題(人事関連等)
1 前回(第631回)議事録確認について
2 金沢医科大学病院長候補者の選考について
3 老年病学講座教授(特任)候補者の選考について
4 教員採用について
5 外国人研究員任用について
6 医学部学内講師委嘱について
7 非常勤講師派遣について
8 短期研究員の受入について
9 短期研究員の研究期間延長について
10 その他
議題(教学関連)
1 平成13 年度第1 ∼4 学年第3 学期定期試験時間割及び受験資格
について
2 第5 学年模擬試験の実施について
3 平成14年度授業時間割について
4 平成 14 年度第 1 学年「早期臨床体験実習」
、第 2 学年「看護体
験実習」
、第 3 学年「救急医療センター当直実習」
、
「救急車同
乗体験実習」について
5 平成14年度第4学年「診断学」について
6 平成14年度第4学年「臨床実習入門」について
7 平成14年度第4∼6学年標準試験実施要領について
8 平成14年度卒業延期生等のCCS履修について
9 その他
〈報告事項〉
1 平成14 年度一般選抜入学試験出願状況について
2 教務部からの報告について
3 その他
第633 回 平成14年1 月22日
議題(教学関連)
1 平成 14 年度入学試験(一般選抜)第 1 次試験合格者の決定に
ついて
2 その他
第634 回 平成14年1 月24日
議題(人事関連等)
1 前々回(第632回)及び前回(第633回)議事録確認について
2 辞職について
3 外国出張について
4 非常勤講師委嘱について
5 非常勤講師派遣について
6 短期研究員の受入について
7 その他
議題(教学関連)
1 平成13年度卒業判定について
2 益谷秀次賞、北辰同窓会会長賞候補者の推薦について
3 その他
〈報告事項〉
1 その他
第635 回 平成14年2 月5日
議題(教学関連)
1 平成 14 年度入学試験(一般選抜)第 2 次試験合格者の決定に
ついて
2 その他
第636 回 平成14年2 月14日
議題(人事関連等)
1 前々回(第634回)及び前回(第635回)議事録確認について
2 金沢医科大学病院長候補者の選考について
3 教員採用について
第110号/2002.5
金 医 大 学 報
4 昇任について
5 辞職について
6 外国出張について
7 客員教授委嘱について
8 非常勤講師委嘱について
9 協力研究員委嘱について
10 外国留学について
11 移籍について
12 その他
議題(教学関連)
1 平成14 年度再入学試験の実施について
2 平成14 年度再入学試験の判定委員について
3 学生支援センターのスタッフについて
4 平成13 年度学年成績審査委員会委員について
5 平成13 年度第5学年第3 回標準試験受験資格について
6 卒業延期生選抜に伴う特別試験の実施について
7 平成14 年度第3・4学年「医学総論」
、第4学年「臨床演習」に
ついて
8 平成14 年度第6学年「集中講義」について
9 平成14 年度指導教員制度について
10 その他
〈報告事項〉
1 平成14年度一般選抜入学の入学手続状況について
2 教務部からの報告について
3 第3回マーサ大学派遣交換留学生について
4 平成13年度奨励研究・ハイテクリサーチセンタープロジェク
ト研究発表集会の開催について
5 その他
第637回 平成14 年2 月28日
議題(人事関連等)
1 前回(第636 回)議事録確認について
2 教員採用について
3 研究医採用について
4 研究員採用について
5 医学部学内講師委嘱について
6 辞職について
7 出向について
8 出向先変更について
9 出向期間延長について
10 外国出張について
11 非常勤講師委嘱について
12 休職について
13 休職期間延長について
14 移籍について
15 併任について
16 非常勤講師派遣について
17 その他
議題(教学関連)
1 平成14 年度再入学試験受験資格について
2 その他
〈報告事項〉
1 平成14 年度入学試験(一般選抜)繰り上げ合格について
2 マーサ大学交換留学生の受入について
3 教員評価に関する自己評価の実施について
4 平成14年度申請ハイテクリサーチセンター整備事業について
5 その他
〈協議事項〉
1 大学院改組の現況と今後の課題について
第638回 平成14 年3 月14日
議題(人事関連等)
1 前回(第637 回)議事録確認について
2 公衆衛生学講座助教授候補者の選考について
3 神経精神医学講座助教授候補者の選考について
4 教員採用について
5 嘱託教員採用について
6 研究医採用について
55
7 研究員採用について
8 昇任について
9 医学部学内講師委嘱について
10 定年退職について
11 辞職について
12 出向について
13 出向期間短縮について
14 出向期間延長について
15 外国出張について
16 非常勤講師委嘱について
17 協力研究員委嘱について
18 休職について
19 休職期間延長について
20 外国留学期間短縮について
21 移籍について
22 非常勤講師併任について
23 非常勤講師派遣について
24 短期研究員の研究期間延長について
25 その他
議題(教学関連)
1 平成13年度進級判定について
2 平成14年度卒業延期生の認定について
3 平成14年度再入学試験合格者の決定について
4 平成15 年度学力検査実施教科・科目について
5 平成15年度入学者選抜方法等について
6 一般入学試験名古屋試験場の新設について
7 「金沢医科大学学生支援センターに関する規程」の制定について
8 「金沢医科大学学生部委員会規程」の一部改正について
9 平成14 年度特別聴講生の取り扱いについて
10 成績評価(進級・卒業判定)基準の明示について
11 平成14年度第1学年「特別講義」の実施について
12 平成14年度第3学年「OSCE」準備について
13 学生の表彰について
14 その他
〈報告事項〉
1 平成14年度入学試験(一般選抜)繰り上げ合格について
2 教務部からの報告について
3 その他
第639 回 平成14年3 月28日
議題(人事関連等)
1 前回(第638回)議事録確認について
2 副学長候補者の選考について
3 役職教員等の選任について
4 平成14年度学年主任・副主任について
5 平成14 年度各委員会委員について
6 金沢医科大学組換えDNA実験安全管理規程の改正について
7 教員採用について
8 研究医採用について
9 医学部学内講師委嘱について
10 辞職について
11 出向について
12 外国出張について
13 協力研究員委嘱について
14 休職について
15 休職期間延長について
16 非常勤講師派遣について
17 専修生の入学及び継続について
18 その他
議題(教学関連)
1 退学願提出学生の取り扱いについて
2 休学願提出学生の取り扱いについて
3 復学願提出学生の取り扱いについて
4 平成14年度第6 学年再入学生に係る選択必修科目(CCS)の取
り扱いについて
5 その他
〈報告事項〉
【資料】
金 医 大 学 報
1 平成14 年度入学試験(一般選抜)繰り上げ合格者について
2 その他
〈協議事項〉
1 大学院改組について
大学院医学研究科教授会
第268回 平成14 年1 月10日
議題
1 前回(第267 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 「金沢医科大学大学院学則」の一部改正について
報告事項
1 平成14 年度大学院第2次募集の募集人員について
2 大学院改組申請に係る個人調書の提出について
第269回 平成14 年1 月24日
議題
1 前回(第268 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 平成13 年度金沢医科大学学長賞について
報告事項
1 平成13 年度学位論文本審査(課程博士)申請状況について
2 平成13 年度大学院セミナーの受講状況及び単位認定について
3 大学院改組申請に係る教員個人調書について
4 今後の教授会の開催について
第270回 平成14 年2 月7日
議題
1 前回(第269 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
第271回 平成14 年2 月14日
議題
1 前回(第270 回)議事録確認について
2 在学期間延長願提出学生の取扱いについて
3 平成14 年度大学院セミナー実施要領について
4 学位論文本審査委員の選出について
5 学位授与の可否決定について
報告事項
1 研究科教授会の開催日について
第272回 平成14 年2 月21日
議題
1 前回(第271 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 学位授与の可否決定について
第273回 平成14 年2 月28日
議題
1 前回(第272 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 学位授与の可否決定について
第274回 平成14 年3 月7日
議題
1 前回(第273 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 学位授与の可否決定について
4 その他
(1)大学院担当(法医学)の嘱託教員(教授)の採用について
報告事項
1 平成13 年度大学院授業実施報告書について
2 平成13年度授業科目の単位認定について
第275回 平成14 年3 月14日
議題
1 前回(第274 回)議事録確認について
2 単位修得退学願提出学生の取扱いについて
3 休学願提出学生の取扱いについて
56
4 復学願提出学生の取扱いについて
5 学外研究許可願提出学生の取扱いについて
6 平成14年度大学院セミナーの開講について
7 平成14年度ティーチング・アシスタントの採用について
8 「金沢医科大学学位規程」の一部改正について
9 「学位規程第3条第1項に基づく医学研究科の学位(課程博士)
に関する内規」の一部改正について
10 「学位規程第3条第2項に基づく医学研究科の学位(論文博士)
に関する内規」の一部改正について
11 学位授与の可否決定について
12 平成13年度金沢医科大学学長賞について
13 大学院担当(法医学)の嘱託教員の採用について
報告事項
1 平成14年度大学院第2次募集選抜試験出願者について
2 大学院改組申請に係る個人調書の今後の取り扱いについて
第276 回 平成14年3 月28日
議題
1 前回(第275回)議事録確認について
2 平成14年度大学院第2次募集選抜試験合否判定について
3 学位論文本審査委員の選出について
4 学位授与の可否決定について
総合医学研究所教授会
第 138 回 平成13年12月6日
議題
1 非常勤講師派遣について
第 139 回 平成13年12月20日
議題
1 前々回(第137回)議事録確認について
<報告事項>
1 研究所年報について
2 総医研フォーラムについて
3 その他
第 140 回 平成14年1月17日
議題
1 前回(第139回)議事録確認について
<報告事項>
1 非常勤講師等の委嘱希望調査について
2 春季セミナーについて
第 141 回 平成14年2月21日
議題
1 前回(第140回)議事録確認について
2 客員教授委嘱について
3 非常勤講師委嘱について
4 協力研究員委嘱について
<報告事項>
1 平成14年度研究所予算について
2 研究所組織英文名称表記について
3 春季セミナーへの参加について
4 その他
第 142 回 平成14年3月20日
議題
1 前回(第141回)議事録確認について
2 非常勤講師派遣について
3 協力研究員委嘱取り下げについて
<報告事項>
1 研究所春季セミナーの結果報告について
2 その他
第 143 回 平成14年3月27日
1 非常勤講師派遣について
第110号/2002.5
平成13年度
金 医 大 学 報
学位取得者及び学位論文
加茂谷正俊
神経精神医学/甲第251号/平成13年4月26日
未投薬の精神分裂病患者局所脳血流に及ぼす定型的抗精
神病薬haloperidolの影響−99mTc-HMPAO SPECT を用い
た研究−(金沢医科大学雑誌 第26巻第1 号, 2001)
土原 千春
内科学Ⅰ(呼)/甲第252号/平成14年3月20日
Furanonaphthoquinone 誘導体(J103)の肺癌細胞株に対す
る抗腫瘍効果−Fas受容体の発現亢進と免疫応答細胞によ
るアポトーシスの誘導−
(金沢医科大学雑誌 第26巻第2 号, 2001)
鈴木 寿和
口腔科学/甲第253号/平成14年3月20日
顎関節症における滑膜炎の組織学的評価とInterleukin-1 β
とtumor necrosis factor αの免疫組織化学的研究
(金沢医科大学雑誌 第26巻第2 号, 2001)
武内 克憲
外科学Ⅰ/甲第254号/平成14年3月20日
冠動脈バイパス術中の左内胸動脈グラフトに対する薬剤
反応性の検討(金沢医科大学雑誌 第26巻第3 号, 2001)
星野 智子
老年病学/甲第255号/平成14年3月20日
Gene dose effect of the APOE-ε4 allele on plasma HDL cholesterol level in patients with Alzheimer’s Disease(アルツ
ハイマー病患者の血漿HDL コレステロール値にアポリポ
蛋白E遺伝子のε4対立遺伝子量が及ぼす影響)
(Neurobiology of Aging Vol.23, №1, 2002)
二見 智子
整形外科学/甲第256号/平成14年3月20日
ステロイド性骨壊死モデルにおける末梢血流改善薬およ
び抗凝固薬の効果についての検討
(金沢医科大学雑誌 第26巻第3 号, 2001)
河西 研一
老年病学/甲第257号/平成14年2月28日
Endogenous Opioids Prevent Intimal Hyperplasia after
Endothelial Injury in Rat Aorta(内因性オピオイドによる
内膜増殖抑制−ラット大動脈内膜擦過モデルを用いて−)
(金沢医科大学雑誌 第26巻第3 号, 2001)
谷下田敏夫
内科学Ⅱ(消)/甲第258号/平成14年3月20日
肝化学発癌に及ぼす肝線維化とエタノールの影響
(金沢医科大学雑誌 第26巻第3 号, 2001)
有坂有紀子
放射線医学/甲第259号/平成14年3月20日
FDG-PETによる肺癌術後再発の予測
(金沢医科大学雑誌 第26巻第3 号, 2001)
福田 昭宏
内科学Ⅰ(循)/甲第260号/平成14年3月20日
冠動脈アテレクトミーによるプラーク減量と慢性期再狭
窄との関連−定量的冠動脈造影法および血管内超音波法
での評価と切除深達度による検討−
(金沢医科大学雑誌 第26巻第4 号, 2001)
山谷 洋子
内科学Ⅲ(神)/甲第261号/平成14年3月20日
Type 2 アストロサイトにおけるexcitotoxicity の研究
(金沢医科大学雑誌 第26巻第4 号, 2001)
姫野万里子
内科学Ⅴ(内)/甲第262号/平成14年3月20日
ヒト血中NOx動態に関する研究
(金沢医科大学雑誌 第26巻第3 号, 2001)
村井 裕
老年病学/甲第263号/平成14年3月20日
高齢者大脳基底核におけるMRI,T2 強調像の点状高信号
57
はグリオーシスを示すか?−高齢者頭部MRI,T2 強調像
および剖検脳の検討−
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第4 号, 2001)
塩澤 寛敏
外科学Ⅰ/甲第264 号/平成14 年3 月20 日
下肢静脈機能評価における踏み台法を取り入れた air
plethysmography の有用性についての検討−術前後の機能
評価および弾性ストッキングの選択について−
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第4 号, 2001)
橋本 昌子
内科学Ⅱ(消)/甲第265 号/平成14 年3 月20 日
肝発癌に及ぼすエタノールの影響−長期エタノール投与
マウスによる検討−
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第3 号, 2001)
桜井 礼
病理学Ⅱ/甲第266 号/平成14 年3 月20 日
肺癌の進展に関わる遺伝子群のDNAアレイによる発現解
析(金沢医科大学雑誌 第26巻第4 号, 2001)
佐竹 英恵
内科学Ⅴ(内)/甲第267 号/平成14 年3 月20 日
ラット迷走神経節神経節におけるglucagon-like peptide-1
受容体遺伝子の発現
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第4 号, 2001)
石澤 清宏
内科学Ⅱ(消)/甲第268 号/平成14 年3 月20 日
N-Nitrosomethylbenzylamine による食道化学発癌に及ぼす
エタノールの影響
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第4 号, 2001)
田下 大海
麻酔学/甲第269 号/平成14 年3 月20 日
生体内NOキャリアー(ニトロソチオール)の検出と定量
法(金沢医科大学雑誌 第26巻第4 号, 2001)
津田 真一
内科学Ⅴ(内)/甲第270 号/平成14 年3 月20 日
糖尿病大血管症の成因に関する研究
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第4 号, 2001)
相原 衣江
泌尿器科学/甲第271 号/平成14 年3 月20 日
ヒト腎尿細管培養細胞の蓚酸刺激による反応性の検討
−尿路結石関連蛋白質について−
(金沢医科大学雑誌 第27 巻第1 号, 2002)
三浦 順子
内科学Ⅰ(循)/甲第272 号/平成14 年3 月20 日
Ischemic Preconditioningの心筋保護メカニズムに関与する
候補遺伝子の検索−高密度オリゴヌクレオチドアレイ
(GeneChip R )を用いたラット虚血再灌流心モデルでの検
討−(金沢医科大学雑誌 第27巻第1 号, 2002)
王 春福
生化学/乙第223 号/平成13 年4 月12 日
C型肝炎ウイルスコアタンパク質はインターフェロン誘
導二本鎖RNA活性化プロテインキナーゼPKRを阻害する
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第1 号, 2001)
佐藤 淳
口腔科学/乙第224 号/平成13 年9 月27 日
顎関節症の病的滑膜における線維芽細胞増殖因子-2
(FGF-2)および線維芽細胞増殖因子受容体-1(FGFR-1)
の発現と臨床的意義
(金沢医科大学雑誌 第26 巻第2 号, 2001)
小沼 邦男
小児外科学/乙第225 号/平成14 年3 月28 日
直腸肛門奇形術後症例における肛門括約筋群形態と排便
機能(金沢医科大学雑誌 第27巻第1 号, 2002)
関 徳玉
生化学/乙第226 号/平成14 年3 月28 日
C 型肝炎ウイルス(HCV)コアタンパク質のRNA 結合の
特異性(金沢医科大学雑誌 第27巻第1 号, 2002)
【資料】
金 医 大 学 報
58
平成13 年度外国出張一覧(下半期)
出張者(所属職名)
、出張先国、出張期間、学会名等、発表演題名等の順で記載した。
平口 哲夫 (人文科学助教授)カナダ 11/27 ∼12/4 14th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammals, Marine
mammal stranding data collected by the Sea of Japan Cetology.
平井 圭一(解剖学Ⅰ教授)タイ 1/28 ∼ 2/3 3rd ASEAN Microscopy Conference-2002 and 19th Annual Conference of
EMST.
上田 忠司 (解剖学Ⅰ助手)アメリカ合衆国 12/6 ∼12/15 41th American Society for Cell Biology Annual Meeting, The
ultrastructural changes and cytochrome oxidase activity in myocardial ischemia of rabbit.
三浦 克之 (公衆衛生学講師)ベルギー 10/7 ∼10/14 国際共同研究インターマップの打ち合わせ会議出席。
北山 道彦 (循環器内科学講師)韓国 12/7 ∼ 12/10 Dong-A Demonstration Course of Transradial Coronary Intervention
2000, Trans-Radial Coronary Intervention の実演。
梶波 康二 (循環器内科学助教授)アメリカ合衆国 3/16 ∼3/20 American College of Cardiology 51th Annual Scientific
Session, In Vivo Effects of Atorvastation on Bone Metabolism is Vitamin D-Dependent.
栂 博久 (呼吸器内科学助教授)ギリシア 11/11 ∼ 11/18 Tiotropium(SPIRIVA)Roundtable Meeting, Global challenge
for treatment of COPD from view point of the GOLD guideline.
石川 勲 (腎臓内科学教授)アメリカ合衆国 10/13 ∼ 10/19 World Congress of Nephrology, Renal Cell Carcinoma in
Cronic Hemodialysis Patients:A Questionnaire Study in Japan/Prognoosis in Dialysis Patients Complicated with Renal Cell
Carcinoma in Japan.
松本 正幸 (老年病学教授)マレーシア 10/22 ∼10/28 The 6th Congressof the Asian Federation of Societies for Ultrasound
in Medicine and Biology, Arterial function in elderly patients with non-insulin-dependent diabetus mellitus assessed by ultrasonography.
瀧 鈴佳 (放射線医学講師)アメリカ合衆国 11/3∼11/10 Breast Imaging and Intervention in the 21st Century.
瀧 鈴佳 (放射線医学講師)アメリカ合衆国 11/24 ∼ 11/30 87th Scientiffic Assembly and Annual Meeting of the
Radiological Society of North American, Thyroid calcifications:Sonographic patterns and relative risk of cancer.
松原 純一 (胸部心臓血管外科学教授)韓国 11/8 ∼11/11 第2回日本韓国合同血管外科学会及び国際脈。
赤井 卓也 (脳神経外科学講師)アメリカ合衆国 11/29 ∼ 12/6 American Epilepsy Society, 2001 Annual MeetingPhiradelphia, Cortical Variation of Central Region in Children with Malformation of Cortcal Development.
飯塚 秀明 ( 脳 神 経 外 科 学 教 授 ) ア メ リ カ 合 衆 国
2/26 ∼ 3/4 American Epilepsy Society, 2001 Annual MeetingPhiradelphia, Carpal Tunnel Syndrome in Patients undergoing Long-term Hemodialysis.
飯田 隆昭 (脳神経外科学助手)アメリカ合衆国 2/26 ∼3/3 AANS/CNS Section on Disorders of the Spine and Peripheral
Nerves Annual Meeting, Carpal Tunnel Syndrome in Patients undergoing Long-term Hemodialysis.
佐々木一之 (眼科学教授)アメリカ合衆国 11/2∼11/8 US-JAPAN CCRG Meeting, The protective effects of iris color tone
against ultraviolet radiation to the crystalline lens.
小島 正美 (眼科学講師)アメリカ合衆国 11/2∼11/8 US-JAPAN CCRG Meeting, The protective effects of iris color tone
against ultraviolet radiation to the crystalline lens.
佐々木 洋 (眼科学講師)アメリカ合衆国 11/3∼11/8 US-JAPAN CCRG Meeting, DISTRIBUTIONIN OF OCULAR UV
EXPOSURE IN THREE DIFFERENT RACES.
阪本 明子 (眼科学助手)アメリカ合衆国 11/3 ∼ 11/10 US-JAPAN CCRG Meeting, The Evaluation of a Simplified
Cataract Classification and Grading System.
佐々木一之 (眼科学教授)中華人民共和国 12/24 ∼12/28 International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection.
佐々木一之 (眼科学教授)中華人民共和国 3/15∼3/22 中国医科大学眼科講義及び研究打ち合わせ。
友田 幸一 (耳鼻咽喉科学教授)台湾 12/4 ∼12/8 6th TAIWAN-JAPAN CONFERENCE IN OTOLARYCOLOGY HEAD
AND NECK SURGERY, Current and future of navigation surgery in otolaryngology.
村田 英之 (耳鼻咽喉科学助手)台湾 12/4 ∼12/8 6th TAIWAN-JAPAN CONFERENCE IN OTOLARYCOLOGY HEAD
AND NECK SURGERY, Application of image guided system to endoscopic sinus surgery.
下出 祐造 (耳鼻咽喉科学助手)台湾 12/4 ∼12/8 6th TAIWAN-JAPAN CONFERENCE IN OTOLARYCOLOGY HEAD
AND NECK SURGERY, Is film in situ zymography useful examination with pathological diagnosis during operation of thyroid
gland tumor?
友田 幸一 (耳鼻咽喉科学教授)台湾 10/31 ∼11/4 The 18th Congress of Pan-Pacific Surgical Association Japan Chapter.
鈴鹿 有子 (耳鼻咽喉科学助教授)台湾 10/31 ∼11/4 The 18th Congress of Pan-Pacific Surgical Association Japan Chapter.
堀口 章子 (耳鼻咽喉科学助手)台湾 10/31 ∼11/4 The 18th Congress of Pan-Pacific Surgical Association Japan Chapter.
高島 雅之 (耳鼻咽喉科学助手)台湾 10/31 ∼11/4 The 18th Congress of Pan-Pacific Surgical Association Japan Chapter.
鈴鹿 有子 (耳鼻咽喉科学助教授)タイ 1/26 ∼2/2 4th Hearing International Scientific Conference & 3rd ASIAN Seminar
on Verigo, Virtua Endoscopy of the Human Labyrinth.
友田 幸一 (耳鼻咽喉科学教授)アメリカ合衆国 3/10∼3/14 マーサ大学医学部交換留学生の引率。
井浦 俊彦 (産科婦人科学講師)オーストラリア 10/22 ∼ 10/28 11th World Congress on Ultrasound in Obstetrics and
Gynecology, Analysis of the hemodynamics of the renal artery of normal fwtuses by the color Dopplar method.
牧野田 知 (産科婦人科学教授)オーストラリア 11/23 ∼12/2 Markers to predict the prognosis at 5 week of gestation.
富澤 英樹 (産科婦人科学助手)オーストラリア 11/23 ∼12/1 Markers to predict the prognosis at 5 week of gestation.
牧野田 知 (産科婦人科学教授)ニュージーランド 3/7 ∼3/15 Perinatal Society of Australia and New Zealand 6th Annual
Congress & Federation of the Asia and Oceania Perinatal Societies 12tt Congress, Importance of the culture test and therapy for vaginal bacterial flora at the initial visit in preventing threatened abortion and premature delivery.
吉田 勝彦 (産科婦人科学講師)ニュージーランド 3/8 ∼3/14 Perinatal Society of Australia and New Zealand 6th Annual
Congress & Federation of the Asia and Oceania Perinatal Societies 12tt Congress, Importance of the culture test and therapy for vaginal bacterial flora at the initial visit in preventing threatened abortion and premature delivery.
藤川孝三郎 (基礎医科学研究部門教授)アメリカ合衆国 10/1 ∼ 10/7 54th Annual Symposium on Fundamental Cancer
Research.
高林 晴夫 (人類遺伝学研究部門〈臨床〉助教授)アメリカ合衆国 11/7 ∼ 11/16 The 23th annual meeting of the
International Fetoscopy Group, Fetal Cell in Maternal Blood.
第110号/2002.5
59
金 医 大 学 報
留学生情報
(2002 年 4月)
(教育学術交流センター)
1.留学生の往来
2002年1月15 日 中国・華中科技大学同済医学院協和病院講師の呂 剛氏が姉妹校研修員として産科婦人科学におい
て研究を開始した。
2002 年1 月15 日 中国・華中科技大学同済医学院同済病院医師の董凌莉氏が姉妹校プロジェクト研究員として血液
免疫内科学において研究を開始した。
2002 年1 月29 日 中国・中国医科大学第一臨床学院放射線科講師の郭建飛氏が姉妹校研修員として放射線医学にお
いて研究を開始した。
2002年1月29 日 中国・中国医科大学第二臨床学院産婦人科講師の穆 慶氏が姉妹校プロジェクト研究員として産科
婦人科学において研究を開始した。
2002年3月 7 日 中国・中日友好病院一般外科講師の魯 瑶氏が姉妹校プロジェクト研究員として一般・消化器外科
学において研究を開始した。
2002年3月25日∼4 月4 日 アメリカ・ジョージア州マーサ大学医学部の交換留学生Karen Wang さんが本学において
研修した。
2002年4月 1日 中国・長春第五人民病院形成外科歯科医師の孔令宇氏が大学院医学研究科内科系老年病学に入学した。
2002年4月 5日 中国・中国医科大学第二臨床学院外科学講師の張 宏氏が一般・消化器外科学において研究を開始した。
2002年4月 5日 中国・中国医科大学第二臨床学院放射線科講師の岳 勇氏が放射線医学において研究を開始した。
2002年4月 5 日 中国・中国医科大学第一臨床学院老年病科助教授の林 傑氏が笹川医学研究者制度特別研究医者と
して循環器内科学において研究を開始した。
2002年4月17日 中国・中国医科大学第一臨床学院呼吸器内科講師の趙亜濱氏が呼吸器外科において研究を開始した。
2002 年4 月24 日 中国・瀋陽軍区第202 医院伝染病科主治医師の関徳玉氏が笹川医学研究者制度特別研究医者、短
期研究員として生 化 学 。において2 年1 ヶ月間の研究を終了した。
2.留学生の紹介
ロ
ゴウ
トウ
リュウリ
呂 剛さん
董 凌莉さん
1965 年生、男性(中国)
中国・華中科技大学同済医学院協和
病院講師/所属は産科婦人科学
研究テーマは「ヒト卵巣機能の局所
調節におけるサイトカイン・ネット
ワークの解明」
1974 年生、女性(中国)
中国・華中科技大学同済医学院同済
病院医師/所属は血液免疫内科学
研究テーマは「シェーグレン症候群
とリンパ増殖性疾患の基礎的研究」
カク
ボク
ケンヒ
ケイ
郭 建飛さん
穆 慶さん
1973 年生、男性(中国)
中国・中国医科大学第一臨床学院放
射線科講師/所属は放射線医学
研究テーマは「肺癌の多剤耐性遺伝
子のmRNAおよび抗癌剤耐性関連タ
ンパク発現の画像化に関する研究」
1971 年生、男性(中国)
中国・中国医科大学第二臨床学院産
婦人科講師/所属は産科婦人科学
研究テーマは「ヒト卵巣機能の局所
調節におけるサイトカイン・ネット
ワークの解明」
ヨウ
チョウ
コウ
魯 瑶さん
張
宏さん
1965 年生、男性(中国)
中国・中日友好病院一般外科講師/
所属は一般・消化器外科学
研究テーマは「大腸癌増殖過程にお
ける血管新生の役割に関する研究」
1971 年生、男性(中国)
中国・中国医科大学第二臨床学院外
科学講師/所属は一般・消化器外科学
研究テーマは「大腸癌増殖過程にお
ける血管新生の役割に関する研究」
ロ
【資料】
60
金 医 大 学 報
ガク
リン
ユウ
ケツ
岳 勇さん
林 傑さん
1970 年生、男性(中国)
中国・中国医科大学第二臨床学院放
射線科講師/所属は放射線医学
研究テーマは「胸部および腹部領域
における MD-CT を用いた画像再建
法の臨床応用」
1963 生、女性(中国)
中国・中国医科大学第一臨床学院老
年病科助教授/所属は循環器内科学
研究テーマは「急性心筋梗塞におけ
る心筋viability の評価−血漿BNP を
用いての検討」
チョウ
アヒン
コウ
趙
亜濱さん
孔 令宇さん
1968 年生、女性(中国)
中国・中国医科大学第一臨床学院呼
吸器内科講師/所属は呼吸器外科
研究テーマは「肺切除後肺胞「型上
皮細胞過形成におけるレチノン酸の
役割」
レイウ
1973 年生、男性(中国)
中国・長春市第五人民病院形成外科
歯科医師/専攻は大学院医学研究科
内科系老年病学
Mercer大学交換留学生
Karen Wang さん
1977 年生、女性(米国)
Mercer 大学医学部学生
姉妹校交換留学プログラムにより
2002 年 3 月 25 日から 4 月 4 日まで滞
在
《本学スタッフ新刊著書》
多賀須幸男ほか 監修 山口 徹ほか 編集
今日の治療指針2002年版−私はこう治療している−
分担執筆:
瀧野昌也
瀧野昌也
大谷信夫
高瀬修二郎
廣瀬源二郎
松本忠美
牧野田 知
救急医療 突然の胸痛−応急処置と緊急検査, p.6
中毒性疾患 タバコ中毒, p.106-107
呼吸器疾患 肺血栓、肺塞栓, p.210
肝・胆・膵疾患 アルコール性肝障害, p.344-345
神経・筋疾患 片側顔面れん縮(外科治療を含む), p.545
整形外科疾患 突発性大腿骨頭壊死, p.663
産婦人科疾患 外陰・膣疾患, p.789-790
医学書院
B5 版、1527 頁、19,000 円
2002 年 1 月発行
第110号/2002.5
65
金 医 大 学 報
20
生化学Ⅰ教室
前列左から 谷原清美事務員、伊達孝保教授、岩淵邦芳助教授
後列左から 関徳玉研究員、松井理助手、濱田富実男助手、曹永恒大学院生
本学が創立された約30 年前は、ちょうど遺伝子解析技術
が誕生したころでした。それが今日では、それまで不可能
と思われていたヒト遺伝子の解析が進み、また、いろいろ
な病原体や癌遺伝子の本体なども明らかにされています。
全世界の生化学研究の多くは、遺伝子を用いた仕事に変わ
り、この20 年間の生化学分野は、それまでの100 年間の研
究に匹敵するほどの発展を遂げています。
本学の生化学Ⅰ教室も、そうした世界の流れを受け変化
してきました。初代教授の岡田利彦教授は当時の分子生物
学の第一線で活躍されていた方で、本学着任と同時に、新
しい遺伝学を導入しようと努力されました。平成4 年より、
伊達孝保教授が当教室の主任になり、癌遺伝子の解析、
DNA修復機構の解析を行いながら、他の研究室とも共同研
究を進め、特に消化器内科学教室(当時高田昭教授)と行
ったC 型肝炎ウイルス(HCV)の研究では、ウイルスの遺
伝子型の発見やウイルスゲノムの解読など、世界に先駆け
た仕事を行ってきました。現在においても、伊達教授の指
導のもと、HCV の複製機構、HCV のインターフェロン抵抗
性の分子機構、HCV による細胞の癌化機構を中心に研究を
すすめています。また、岩淵邦芳助教授はP53結合タンパク
質のDNA 二重鎖切断の修復機構へのかかわりを、松井理助
手はインターフェロンにより誘導されるプロテインキナー
ゼの活性化機構を、濱田富美男助手は核内プロテインキナ
ーゼの機能解析をテーマに据えています。谷原清美事務員
は実験の補助を担当し、全員がゲノムを中心とした分子生
物学の研究に携わっています。
学生の教育においては、第2学年の生化学講義、実習を生
化学Ⅱ教室と分担して受け持っています。さらに、今年度
から新しいカリキュラムとなり、第1 学年の「生命の科学」
を分担することになりました。また、総合セミナー等を通
じて、遺伝子を用いた研究の考え方や実験方法を学生さん
にも体験してもらえるようにしています。今日の医学では、
疾患の原因解明から新しい治療法の開発に至るまで、
“分子
レベル”
、
“ゲノムレベル”での探究が求められるようにな
ってきており、
“基礎医学”としての生化学の役割は、ます
ます重要になってきています。当教室では、このような現
状に対応できる医師の育成を目標に、講義、実習等に取り
組んでいます。
本学の在学生、卒業生の皆さんが、生化学で学んだこと
を臨床および研究の場で役立てていただけることを望んで
います。
(生化学Ⅰ 濱田富美男記)
【教室紹介】
金 医 大 学 報
66
生化学Ⅱ教室
前列左から 長尾嘉信総合医学研究所助教授(併任)、西川克三教授、
吉竹佳の助教授
後列左から 越坂敬子研究補助員、田中一美事務員、岩井淳助手
平成 14 年度に本教室に所属しているのは西川克三教授
(総合医学研究所所長、ハイテク・リサーチ・センター長併
任)
、吉竹佳の助教授(総合医学研究所共同利用部門 RI セ
ンター併任)
、長尾嘉信総合医学研究所難治疾患部門助教授
(本教室併任)
、岩井淳助手(本年度採用、前ハイテク・リサ
ーチ・センター・ポスドク研究員)
、田中一美事務員(主に実
験補助担当)
、越坂敬子研究補助員(主に教室事務担当、非
常勤)の 6 名です。この他に、皮膚科、口腔科学、形成外
科、脳神経外科等の教員や大学院生も共同研究や研究指導
を受けるために随時実験や論文抄読会、データ検討会など
に参加しています。
本教室は生化学Ⅰ教室と共に第 2 学年の系統講義や実習
の他に第1 学年の「生命の科学」や「医学英語」
(隔年)の
一部を担当しています。教育では年々急速に増大する生化
学の知識を如何に明解にまとめて学生に興味を抱かせるか
に腐心しています。特に、この1-2 年はコアカリキュラムに
よる授業計画の大幅な変更に対応して、より有効な教育を
実現させるように検討を重ねているところです。
研究の主題はFibroblast growth factor(FGF)など増殖因子を
中心にしたがん細胞の増殖および固形がんの成長機構でし
たが、がんに限らず、広く関連各科にわたる病態に関わる
増殖因子の機能にも及んでいます。私達は「生化学」の看
板を掲げていますが、これまでは研究の主軸は培養細胞を
用いた細胞生物学でした。現在、生命科学の研究は無境界
の時代にあり、私達もタンパク質取扱いなど旧来からの生
化学的方法論はもとより、細胞培養に加えて動物実験、単
クローン抗体の作製、細胞・組織染色、分子生物学的手法
(細胞への遺伝子導入、組み替え蛋白質の産生、two-hybrid
法)なども取り入れて研究を進めています。私たちの研究
室で作製してきた、いくつかの増殖因子に対する優れた性
質をもつ単クローン抗体は私たちの研究のみならず、国内
外で広く利用されて多くの成果を産み、今も問い合わせが
あり協力しています。当初予期しなかったことですが、こ
れらの抗体は多少の経済効果ももたらし、人件費など研究
費の助けにもなっています。
現在の主要な研究テーマは、長年の課題であった細胞核
に局在するFGF − 2 の意義の研究の一端から発見した、新
規の細胞内FGF 結合タンパク質の生理機能の解明です。こ
の私たち以外どの研究者もまだ見つけていないタンパク質
が、重要な細胞生物学的意義をともなって世に出ることを
期待しています。
(生化学Ⅱ 西川克三記)
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金 医 大 学 報
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胸部心臓血管外科学教室
前列左から 小林昌義講師、坂本滋助教授、松原純一教授、四方裕夫助教授、飛田研二講師
後列左から 学生、田中潤一医員、学生、学生、学生、神野正明助手、学生、西澤永晃助手、学生、永吉靖弘講師、
学生、学生、佐々木規之助手、学生、清澤旬研修医
胸部心臓血管外科学教室の沿革は、昭和 48 年(1973 年)
東京女子医科大学心臓血圧研究所から赴任された山口繁教
授によって始まりました。次いで昭和57年(1982 年)名古
屋大学第一外科より着任された清水健教授が引き継がれ、
そして現在は、平成10年(1998 年)から就任された名古屋
大学第一外科出身の松原純一教授が講座主任をされており
ます。
現在の医局員数は21 名であり、心臓グループ、血管グル
ープの2班に別れて、教育、研究、診療を行っています。ま
た、学会活動としては、本年6 月、日本静脈学会総会と来年
7月、日本血管外科学会総会を、この金沢の地で松原純一教
授が会長で行います。
21 世紀の社会はglobal standard という言葉がとびかい、日
本人はその構造改革に右往左往し、政治経済も混沌として
います。医療の世界も同様で、医学教育や医療保険制度の
改革も行われて、医療に携わっている我々も、その変化に
ついて行くために頭をひねっているのが現状であります。
この欄は教室紹介の欄ですが、我々の専門領域が最近の
医療保険制度の改革によって大きな影響を受けつつある現
状を私見を交えて述べさせていただきます。
心臓血管外科と医療保険制度の矛盾について
我々の金沢医科大学病院は高度先進医療施設であり、在
院日数はまだ27日ですが、いずれ21 日となり、まるめ医療
請求となると考えられます。しかし、我が医局が目指して
いる「重症心血管疾患の外科治療へのchallenge」という目
標は、現行の医療保険制度では達成されるのが疑問視され
ます。現在、施行している手術は、例えば重症虚血性心疾
患の症例では、人工心肺装置を使用し、弁の形成術あるい
は人工弁置換術、心室瘤切除術と完全血行再建術を同時に
施行するという完全再建手術であり、いずれ不可能に近い
手術となります。高額医療費と長期在院日数が壁になり、
病院としては減額となります。この現状を打破するには、
低侵襲手術を主体に、人工心肺を使用しない手術を行えば
医療費の減額および在院日数など短縮につながりますが、
患者に対する医療の質は低下してくる可能性があります。
例えば、完全血行再建が必要な患者に対して、冠血行再建
術は人工心肺を使用せず、5 ケ所のバイパスが必要なところ
を2ケ所で済ませ、2 週間程度で患者を退院させる治療法が
はたして、患者のQOL を高める治療法となるのか疑問であ
ります。患者は心臓の病気がこんなに早く治り、体調も良
いので退院し、おそらくゴルフ場でプレイ中、突然死を起
こす可能性もあることを知る由もありません。しかしこれ
は医療に携わっている者には一目瞭然のことであります。
我々の大学の建学の精神は良医を育てるのが一つの目標で
ありますが、現在の医療保険制度では、この目標を達成す
るには甚だ遠い道のりになってしまいます。外科医は、政
治家でもないので、この医療の矛盾をどう解決するのか難
しい問題です。しかし、医療の現場にいるものとしては、現
在のところ、内科医と外科医が疾患に対する治療法および
予後をもっと検討しあう場を持ち、患者に対する最良の治
療を選択するよう勤めるのがQOL 向上に繋がるのかも知れ
ないと思っています。 (胸部心臓血管外科学 坂本滋記)
【教室紹介・大学院セミナー】
金 医 大 学 報
68
総医研・人類遺伝学研究部門 (臨床)
前列左から 高林晴夫助教授、高橋弘昭教授
後列左から 北美紀子技術員、尾崎 守助手、高瀬悦子保健婦
総合医学研究所人類遺伝学研究部門臨床は1984 年人類遺
伝学研究所臨床部門として発足し、1988 年に総合医学研究
所の一研究部門として再編され今日にいたっている。スタ
ッフは高橋弘昭教授(併任)高林晴夫助教授、そして尾崎
守助手、高瀬悦子保健婦(併任)
、北美紀子技術員の5名で
構成されており、また研究、遺伝相談、染色体分析の3 分野
が活動の中心となっている。
高林助教授は非侵襲的胎児DNA診断法として、母体血中
胎児有核赤血球をマイクロマニュピュレータで採取する金
沢医大方式を提唱し、この分野ではパイオニアとして国の
内外に知られており、その研究は、母体血中胎児DNAを利
用する方向に進んでいる。また、1 個の胎児由来細胞から必
要な遺伝情報を調べるsingle cell analysis は医学、生物学に
広く応用が期待されている。
遺伝相談は、1984 年当初から高瀬保健婦が中心となって
さまざまな遺伝相談に対応してきたが、小児科領域の相談
が中心のため学内でもその存在を知らない方も多いかもし
れないが、クライアント(遺伝相談では相談を受けにくる
人をいう)から高い信頼を得ている。ところで、遺伝子検
査が普及しようとしている昨今、遺伝相談体制が整備され
ていなかったため、行った遺伝子検査や研究が社会的問題
となり検査、研究が一切できなくなった医療研究機関のこ
とが報道されている。ある意味では、21 世紀の医療は遺伝
相談なしでは発展しないといっても過言ではないであろう。
我々の遺伝相談業務を核に全学的な遺伝子診療体制の構築
が急務となるであろう。
染色体分析は 1984 年開所当初から業務を開始し、年間
800 件以上の分析依頼を学内外の医療機関から受けている。
この分析は現在、尾崎助手と北技術員が担当し、週 2 日総
医研基礎医科学研究部門の村野秀和技術員にも分析の一部
をお願いしている。依頼されるものは出生前診断、羊水細
胞の染色体分析が年間 500 件以上と最も多い。1997 年には
未培養羊水細胞のFISH 法による迅速な18-trisomy などの染
色体数的異常の検出法を確立し、分娩管理を必要とする周
産期医療に貢献している。FISH 法は分子標的薬として注目
を集めている「ハーセプチン」の投与が有効か否かを決定
する検査法として今年中の保険適用が決定している。また
FISH 法は癌研究領域でもパラフィン包埋標本を用いたretrospective な研究に大きく貢献できるものと期待されてい
る。
(総医研・人類遺伝学研究部門〈臨床〉尾崎守記)
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69
金 医 大 学 報
遺伝子・ゲノム研究の一端として
疫学と統計の基礎
−遺伝子工学とゲノム科学、Tg / KO マウスの作
出と飼育−
講 師 小野雅司先生(独立行政法人国立環境
講 師 松尾雄志所長(オリエンタル酵母工業・
研究所環境健康領域疫学・国際保健研
取締役・バイオ事業部長・長浜生物科学研究所)
究室室長)
日 時 平成 14 年 1 月 31日(木)17:00 ∼ 18:30
日 時 平成14年2月27日 (水)17:00∼18:00
場 所 基礎研究棟 3 階 D1 セミナ−室
場 所 病院4 階C42 講義室
担 当 生化学Ⅱ 西川克三教授
担 当 眼科学教室 高橋信夫教授
[講師紹介]
松尾雄志博士(理学、医学)は大阪大学蛋白質研究所と
香川医科大学内分泌学教室で教職に就き、がん悪液質の生
化学機構や前立腺癌の成長に関わる増殖因子の研究で成果
を挙げた後、米国の UBI 社(Upstate Biotechnology, Inc.)に
Vice-president として招かれて同社のバイオ関連ビジネスの
立ち上げに貢献した。その後、帰国して現職に至っている。
このように松尾博士は、バイオ研究の「学産」共同を先導
する人物の一人である。
[セミナーの内容]
遺伝子工学の成果の最近の一例として、生化学検査に有
用な組み替えヒトCRP(C 反応性蛋白質)の開発研究につ
いて解説し、分子生物学からゲノム医科学へのパラダイム
シフト(枠組みの革新的な変化)について,国際的な視野
からの現況や考え方を述べた。また別の例として、ポスト
ゲノム時代における遺伝子機能の解析に有力な手段となっ
ている遺伝子改変動物であるトランスジェニック(Tg)や
ノックアウト(KO)マウスの作出の原理や飼育法について
も解説した。なお、動物実験の実際については同社動物実
験センターの木藤実主任が説明した。遺伝子改変動物は最
近の医学の研究で欠かせない技術になりつつあるので、本
学の多数の研究者が参加して、活発な質疑が交わされた。
また、総合医学研究所共同利用部門動物センターの職員も
参加した。同社は米国のレキシンコン社と提携して遺伝子
改変動物の受託業務を行っており、参加者の関心を呼んだ
が、料金の点で容易に利用できないであろう。本学の今年
度から始まるハイテク・リサーチ・センタープロジェクトが
動物実験施設の整備を中心としたものであるので、これを
契機に学産共同の模索を期待したい。
(生化学Ⅱ 西川克三記)
〔講師紹介〕
小野雅司先生は1972 年東京大
学医学部をご卒業、1978 年同大
学大学院博士課程修了後、独立
行政法人国立環境研究所環境健
康領域疫学・国際保健研究室室
長を勤められ、特に白内障の疫学
で当眼科学教室とは長年のかかわ
り合いをお持ちである。
〔セミナーの内容〕
小野雅司先生
健康事象全般の原因を探る上
で「疫学」は有力な武器である。疫学においては統計学的
な考え方が不可欠であるとして、医学研究の分野における
疫学的な考え方を主に話された。
結果が2 つの比率として表現されるためには後向き、前向
き、横断および実験の各研究があることを示され、対象は
ランダムに抽出される必要があることを強調された。サン
プル分割表を作成して検討すると2 つの比率の差の信頼区間
および相対危険度の信頼区間を検出できることについて述
べられ、オッズ比はデータを要約するもう一つの方法であ
り、特に後向き研究の解析には欠かせない方法であること、
確率とオッズとの算出法も示された。横断研究における
prevalence、前向き研究におけるincidenceの定義についても
ふれられた。
本講演では白内障の疫学を具体例として示されたが、一
般的疫学研究にも充分該当するものであり、これから医学
研究に取り組む大学院生にとっては誠に有意義な講演であ
った。
(眼科学 高橋信夫記)
【募金】
70
金 医 大 学 報
金沢医科大学創立30周年記念事業募金のお願い
趣意書
金沢医科大学は、昭和 47 年に日本海側でただ一つの私立医科大学として金沢市に隣接する内灘
の地に開学しました。「良医を育てる、知識と技術を極める、社会に貢献する」という建学の精神
のもと、優れた教員を確保し、最先端の教育、研究、医療設備を充実させ、次世代の医療の良き
担い手の育成に努力してまいり、開学以来 29 年を経て約2,400名の卒業生を世に送り出しました。
本学が、来る平成 14 年には創立 30 周年を迎えるのにあたって、21 世紀の社会が求める医育、医
療に応えるために、教育・研究施設のさらなる整備充実が必要となっており、また年月の経過に
伴い、病院の建造物の老朽化も目立っております。さらに患者さんの療養環境の改善、特定機能
病院および教育病院として社会からの負託に応え得る診療機能と教育機能の改善が、現場からの
強い要望として出されるようになりました。
約 10 年にわたる検討を経て、この度、病院新棟の建設と教育施設の整備充実を、創立 30 周年記
念事業として計画いたしました。病院新棟については、平成 12 年 12 月に着工し、平成 15 年の完成
を予定しております。
これらの計画の実現には多額の資金を必要とします。本学では鋭意、自己資金の確保、経営の
合理化などの努力を行っておりますが、関係各位の格段のご支援を仰がねば、この計画を達成す
ることは困難であります。
つきましては、経済情勢も大変厳しき折から誠に恐縮に存じますが、医学、医療の果たすべき
役割、私学教育の育成という観点から、何卒これらの趣旨をご理解いただき、格別のご協力を賜
りたく心からお願い申し上げます。
募集要項
寄付金の性格により手続上、個人対象の場合と法人対象の場合に区別されております。
1. 金 額
2. 募集期間
3. 申込方法
4. 税制上の特典
特定公益増進法人寄付金(個人対象)
10 億円
受配者指定寄付金(法人対象)
7 億5000万円
平成13 年7 月1 日∼平成15 年6 月30日
個人用、法人用、それぞれの寄付申込書の所定の欄に必要事項をご記入の上、教育研究事業推
進室へご提出願います。
特定公益増進法人寄付金制度と受配者指定寄付金制度により、税制面での優遇があります。
詳細については、金沢医科大学教育研究事業推進室へお問い合わせください。
TEL 076(286)2211
内線 2720 ∼2724
FAX 076(286)8214
創立 30 周年記念事業募金寄付者ご芳名(敬称略) No.2(H14.1.9 ∼ H14.3.31、受付順)
〈個 人〉
干場 良広(石川県)
東 光太郎(石川県)
中山 堅吾(岡山県)
山邉裕一郎(佐賀県)
山田 克己(石川県)
宮崎 朋江(石川県)
山下 士郎(石川県)
辻本 雅一(大阪府)
曽根 純之(秋田県)
中川 淳(石川県)
佐川 元保(石川県)
安立 良治(京都府)
松任 弘子(石川県)
人羅 賢司(京都府)
中山 桂(岡山県)
荒井 毅(静岡県)
中瀬 勝則(徳島県)
椎名 弘忠(北海道)
堂前 正秀(石川県)
塚田 貞夫(石川県)
内田 信三(長崎県)
村田新一郎(大阪府)
高桜 英輔(富山県)
嶋田江美子(茨城県)
佐野 泰彦(石川県)
朴 信史(奈良県)
吉田 衞(愛知県)
中村 謹一(静岡県)
和田 明彦(宮崎県)
原田喜代美(石川県)
松原 三郎(石川県)
奥名 洋明(石川県)
野呂 秀司(青森県)
小林 俊介(新潟県)
西岡 孝純(大阪府)
山谷 文夫(静岡県)
上原 昭夫(群馬県)
大山 碩也(群馬県)
伊藤 弘道(東京都)
松岡 昇(熊本県)
清水 昌寿(石川県)
中村 行男(福井県)
寺井 明夫(石川県)
柳原 誠(岐阜県)
立原 弘章(千葉県)
江田 邦夫(長崎県)
小野清一郎(宮城県)
由木 邦夫(栃木県)
第110号/2002.5
71
金 医 大 学 報
安井 恒文(兵庫県)
安井紫都子(兵庫県)
中野 茂(石川県)
菅 整一(愛知県)
押切 克之(東京都)
藤村 和磨(石川県)
小林 陽子(石川県)
柴原 義博(宮城県)
山鳥 嘉彦(兵庫県)
木下 弘治(石川県)
今田 直孝(富山県)
黄田 清文(大阪府)
金沢医大附属看護専門学校 同窓会 しらぎぬ会(石川県) 宇賀治行雄(福井県)
宮口 和彦(石川県)
紋川 明(富山県)
澤木 博和(静岡県)
中川 秀昭(石川県)
有川 清猛(鹿児島県)
長尾 嘉信(石川県)
金子真理子(千葉県)
中村 毅(石川県)
濱田 誠人(石川県)
真田 洋子(石川県)
亀井 淳平(石川県)
高橋 敬治(石川県)
森瀬 雅典(愛知県)
福原 則夫(福島県)
宮村 利雄(石川県)
大島 和(東京都)
桜井 寿彦(長野県)
鈴木 昭久(神奈川県)
内田 實(静岡県)
森 豊茂(石川県)
若山 待久(千葉県)
三由 文久(石川県)
神山 俊彦(愛媛県)
西田 洋子(石川県)
長谷井敏男(岡山県)
前川 忠(石川県)
櫻井 泉(富山県)
森 茂樹(石川県)
森本 眞平(石川県)
宮内 武範(富山県)
西山 利弘(大阪府)
喜多 正平(石川県)
藤村 浩人(大阪府)
尾能 徳行(石川県)
大賀 杉太(愛知県)
中本 慧(石川県)
法島 睦子(石川県)
島 秀明(神奈川県)
櫻井 光臣(愛知県)
塚
寛(長崎県)
高桜 龍一(富山県)
市川順一郎(大阪府)
相原 衣江(兵庫県)
岡田 昭紀(愛知県)
秋鹿 唯男(東京都)
茎田 祥三(愛媛県)
岡田 利彦(石川県)
菅井 進(石川県)
紺田美栄子(石川県)
沢田 幸江(石川県)
中谷 渉(石川県)
沢田 裕(石川県)
平松 恵一(広島県)
星 清(東京都)
福内 靖男(東京都)
坂元 仁志(石川県)
広瀬清一郎(愛知県)
松本 正幸(石川県)
藤本 和子(香川県)
伊達 孝保(石川県)
高橋 弘昭(石川県)
川下 繁二(東京都)
釣見 尚美(石川県)
木田 彰信(埼玉県)
小牧 一麿(宮崎県)
勝田 省吾(石川県)
岡
仁志(京都府)
小池 茂之(島根県)
高島 茂樹(石川県)
生駒 尚秀(石川県)
松本 緑郎(兵庫県)
田中 信幸(青森県)
小松 正樹(京都府)
中川 明彦(石川県)
松田 順一(熊本県)
久賀 恭子(福岡県)
鈴木 孝治(石川県)
的場 宗敏(石川県)
平井 克博(福岡県)
山城 薫(石川県)
生方 伸明(埼玉県)
西川 克三(石川県)
田尻 宗誠(熊本県)
森 頼隆(長崎県)
河崎 信夫(石川県)
桑原 了子(石川県)
木原 均(大阪府)
吉村 剛(岐阜県)
石橋 聡(千葉県)
栗林 雄司(愛媛県)
佐藤 博之(福井県)
小林 好文(富山県)
山本 達(石川県)
松原 純一(石川県)
寺田 茂雄(高知県)
橋本 外次(石川県)
伊藤 博(石川県)
横山 幸生(山形県)
由井 治郎(兵庫県)
田中 恵子(広島県)
出口 房子(石川県)
吉本 誠一(石川県)
定舎 良一(石川県)
栂 博久(石川県)
石橋 隆治(石川県)
吉田 真弓(石川県)
及川陽三郎(石川県)
〈法 人〉
冨木医療器㈱
㈱スズケン
丸文通商㈱
河北郡衛生㈱
㈱田井屋
渡邊医院(渡邊 恒)
ふらの西病院(松田英郎) 中浦皮膚科医院(中浦 優)
前田印刷㈱
㈲クリアコンタクトレンス ゙(柴田崇志) 松浦診療所(松浦驥一)
和泉会(山本佐知子)
山容会(池田茂理)
温泉リハヒ ゙ リテーション いま泉病院(大西仙泰)
北国通信シシテム㈱
坂本建装㈱
日本光電中部㈱北陸支社
㈱ショセキ
弘仁会(島田久一郎)
北陸クリーニング㈱
北陸寝装㈱
青木小児科医院(青木 修一郎)ばんの内科(坂野昭八)
高沢内科医院(高澤嘉邦) 三軒医院(三軒久義)
沢井内科医院(澤井公和) 學陽会(水野 學)
都商事㈱
㈱ケイ・ワイ・ビーメディカルサービス(金子雅俊)
山鹿慈恵会(徳永行雄)
本間病院(中島良明)
はるねクリニック銀座(中村はるね) 富永医院(富永 潤)
展寿会(梶本展孝)
国府台整形外科(鈴木暉男) 東野病院(東野音信)
八尾総合病院(藤井久丈) こまくさ会(池田輝明)
加藤クリニック(加藤 甲)
㈱エスアールエル
君風警備㈱
もいわ内科医院(白石正勝)
清和会(長田英輔)
久野病院(久野成人)
日本通運㈱金沢支店
㈱本田商会
下崎整形外科医院(下 英二)整形外科北裏病院(北裏鐵也)ほしの医院(星野重幸)
福永医院(福永 純)
金沢中央農業協同組合
疋島病院(疋島 寛)
㈱辻さく
㈱日本総合公社
菊池医院(菊池武雄)
藤和会(齊藤大直)
山口病院(藤邑葉子)
古川病院(紺田健彦)
井村内科医院(井村 優)
橋本医院(橋本明久)
大衛㈱
健愛記念病院(溝口義人)
㈲インターニクス北陸
㈱アドマック
㈲茶谷造園
金沢医科大学学術振興基金募金について
募集要項
学術振興基金の募金も従来どおり受け付けています。
1. 目標額 :10億円
2. 寄付方法:寄付申込書等を本学教育研究事業推進室にご
請求ください。(TEL 076-286-2211 内線 2720 ∼ 2724、
FAX 076-286-8214)折返し、寄付方法、税務に関すること
などをご連絡致します。
3. 本学は、平成10年9月1日付で文部大臣より特定公益増進
法人であることの証明を受けております。
金沢医科大学学術振興基金への寄付者ご芳名(過去1年間の分、敬称略)
医療法人社団 一水会 安富診療所(兵庫県)
松田 輝夫(大阪府)
三治 秀哉(石川県)
小田 政行(岐阜県)
小林 慶子(兵庫県)
米地 稔(宮城県)
鈴木 政昭(静岡県)
由木 邦夫(栃木県)
櫻井 泉(富山県)
藤代健太郎(東京都)
谷下田 博(茨城県)
升谷 一宏(石川県)
柴田 英徳(長崎県)
丸文通商㈱(石川県)
伊藤 進(埼玉県)
第110号/2002.5
72
金 医 大 学 報
http://www.kanazawa-med.ac.jp/
本学では、多くの分野でインターネットが利用されています。Web や Mail はもとより、文献
検索、地域の医療機関や全国の同窓生との連携、各種事業の公示に利用されているほか、学内
イントラネットも拡充されています。教育・研究・医療の分野で大いに活用されることを期
待します。
(広報委員会)
金沢医科大学専用個別郵便番号は
〒 920-0293
本学へ差し出される郵便物にこの番号が記載してあれば、住所記載がなくても配達されます。
☆ 職員宿舎の郵便番号 は「石川県河北郡内灘町字大学」地区の番号〒 920-0265 です。
表紙写真
金沢医科大学報 第 110号
浅野川の桜
中谷 渉
金沢を流れる二つの流れ、犀川と浅野川はそれ
ぞれの風情を持っている。女川といわれる浅野川
の桜はやさしくあでやかで、咲き満ちる花の光景
は金沢の自慢の風景の一つとなっている。
咲き満ちてこぼるる花もなかりけり
高浜虚子
(高浜虚子氏: 1872-1959、俳人・小説家。松山市出身。子規に
師事、自然を詠んで余韻のある俳句を多く作った。「ホトトギ
ス」を引き継ぎ、夏目漱石の「吾輩は猫である」などを掲載。
日本俳句作家協会長、文化勲章受章。)
平成 14 年 5 月 1 日発行
発行者 金沢医科大学理事長 小田島 粛 夫
編 集 金沢医科大学概要・学報編集委員会
山下公一 西川克三 廣瀬源二郎
平井圭一 川上重彦 伊川廣道
木越俊和 朝井悦夫 谷口 豊 相野田紀子 太田隆英 國府克己
坂井輝夫 木村晴夫 小平俊行
森 茂樹 佐野泰彦 北野 勝
中谷 渉 林 新弥 加富喜芳
中嶋秀夫 中川美枝子 金子聖司
奥田桃子
発行所 金沢医科大学出版局
〒 920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1
TEL 0 7 6 ( 2 8 6 ) 2 2 1 1
印刷 能登印刷株式会社