ウィークリーレポート 2016/08/08-2016/08/12

ウィークリーレポート 2016/08/08-2016/08/12
提供:新生銀行 市場金融部
強い米雇用統計、夏枯れ相場に潤いを与えられるか
先週末に発表された米雇用統計の内容を受け、ドル高基調が継続できるかに注目。中国経済指標の見極めもポイントに
(先週の振り返り)
日銀政策決定会合、米 GDP の大幅悪化を受け主要通貨に対して円全面高で越週となったドル円は、週初 102 円台前半
からの取引となりました。2 日には日銀政策決定会合後初の日本国債入札が契機となり、日本国債が大幅安となり 10 年債
指標金利は一時 0%近傍まで上昇。本邦株安、円高へと波及。また同時に発表された日本政府の財政政策も期待剥落へと
繋がり円高要因のひとつに。加えて海外時間には原油価格が続落しドル安に繋がり、ドル円は 101 円を割り込み前週の安
値となる 100 円 68 銭まで下落しました。その後週央は好悪入り混じった米指標に左右されながら 101 円台前半から 100 円
後半での小動きに終始し米雇用統計待ちの展開へ。週末 5 日に発表されたその雇用統計では、良好な 7 月米非農業部門
雇用者数の増加を受け、米 10 年債金利が上昇、1.55%を上抜け米国の早期利上げ観測が再燃。ドル円は一時 102 円台を
示現し 101 円台後半で前週の取引を終えました。
豪ドルは週初、原油安及び RBA 政策決定会合(豪準備銀行)を控え重い展開となるも、市場予想通り 0.25%の利下げを
発表しました。発表直後対ドルで 0.75 ドル割れまで売られるも、市場は利下げを織り込み済みであった事、および前回の
CPI が低数値ながらも一応のインラインであることを背景とした年内の早期追加利下げ観測の後退から、主要通貨に対し大
きく切り返し対ドルで 0.76 ドル台後半まで上昇しました。5 日には四半期金融政策報告では、低インフレ環境の長期化が示
唆されたものの市場の反応は限定的となり底堅い動きが継続となりました。また、鉄鉱石やレアメタルが週を通し上昇傾向
にあることから豪ドルの下値がサポートされているとも考えております。
英ポンドが 9 年ぶりに 0.25%の利下げを実行しました。同時に国債・社債購入枠の拡大を発表し更にカーニー英中銀総
裁が一段の利下げを示唆したことがサプライズを誘い英ポンドは大きく下落しました。発表直前に対ドル 1.33 台前半で推
移していたポンドは 1.31 台前半まで急落した後、米雇用統計後 1.30 台前半まで下落しました。
(今週の見通し)
7 月の米雇用統計の結果を引き継ぎ、ドルは底堅い動きとなることと考えます。失業率は前回と不変であったものの就業
者数変化が前月、前々月と上方修正され、8 月 26 日のイエレン FRB 議長の講演で雇用改善を背景とした強気の発言へと
繋がることと考えられます。市場では年内または強気の見方では 9 月の FOMC での利上げ期待に繫がることが予想されて
います。今週の米指標は 7 月小売売上高、生産者物価指数が予定されており、中でも小売売上高は、FOMC が参照とする
横ばい圏で推移している PCE デフレーター(個人消費支出)の改善を後押しできるかに注目が集まっております。一方で本
邦実需企業がお盆休みに突入し、オリンピックの開催期間中であるため、「夏枯れ相場」になる感も否めません。
今週の豪ドル相場は、貿易面で結びつきの強い中国主要経済指標に左右される見込みです。8 日には中国貿易統計、鉱
工業生産、12 日には小売売上高、固定資産投資と目白押しとなり、また 11 日にはニュージーランド準備銀行(RBNZ)で
0.25%の利下げが予想されており、豪ドル相場は周辺国の経済状況に左右される見通しです。
前週の米国の雇用統計を好感した流れがドル買戻しへと繋がり、豪ドル相場には多少ネガティブであると考えられますが、
リスクオン相場という観点で対円相場では豪ドルの緩やかな上昇を見込んでいます。