Mobility and the Lower Extremity

Mobility and the Lower Extremity
Norine Foley MSc, Robert Teasell MD, Sanjit Bhogal MSc.
1
Table of Contents
KEY POINTS.........................................................................................................................4
9.1 APPROACHES TO THERAPY.......................................................................................6
9.1.1 THE COMPENSATORY APPROACH...........................................................................6
9.1.2 THE RESTORATIVE APPROACH................................................................................6
9.2 INTENSITY OF TRAINING............................................................................................14
9.3 TASK-SPECIFIC TRAINING.........................................................................................19
9.4 BALANCE RETRAINING..............................................................................................22
9.4.1 BALANCE RETRAINING............................................................................................22
9.5 GAIT RETRAINING(11th edition 9.4)...........................................................................29
9.5.1 TASK SPECIFIC TRAINING.......................................................................................30
9.5.2 CONVENTIONAL GAIT THERAPY............................................................................35
9.5.3 TREADMILL TRAINING..............................................................................................36
9.5.4 BODY WEIGHT SUPPORT AND TREADMILL TRAINING........................................41
9.5.5 VIRTUAL REALITY TRAINING……………………………………………………………49
9.5.6 RHYTHMIC AUDITORY STIMULATION……………………………………………….50
9.8 ASSISTIVE DEVICES FOR THE LOWER EXTREMITY...............................................50
9.8.1 WHEELCHAIR............................................................................................................50
9.8.2 CANES AND OTHER WALKING AIDS.......................................................................52
9.8.3 ROBOTICS..................................................................................................................53
9.9 IMAGERY AND STIMULATION THERAPY FOR THE LOWER EXTREMITY..............54
9.9.1 MOTOR IMAGERY....................................................................................................54.
9.9.2 SENSORY STIMULATION..........................................................................................54
9.9.3 FUNCTIONAL ELECTRICAL STIMULATION.............................................................55
9.9.4 EMG / BIOFEEDBACK................................................................................................62
9.10 SPLINTING THE LOWER EXTREMITY......................................................................67
2
9.10.1 AFOS WITHOUT PERIPHERAL NERVE DEINNERVATION...................................67
9.10.2 AFOS WITH POSTERIOR TIBIAL NERVE DEINNERVATION.................................69
9.11 SPASTICITY AND CONTRACTURES IN LOWER EXTREMITIES.............................70
9.11.1 INJECTION OF BOTULINUM TOXIN (BTX).............................................................71
9.11.2 NERVE BLOCKING IN THE LOWER EXTREMITY..................................................75
9.11.3 ANTISPASTIC MEDICATIONS POST STROKE......................................................76
9.11.4 INTRATHECAL DRUG THERAPY FOR POST STROKE SPASTICITY...................79
3
Key Points
回復的アプローチ(Bobath 法)は他のアプローチと比較して,優れた機能的なアウトカ
ムを示していないにもかかわらず,在院日数は長期化している.
強化練習は長期にわたり持続しないが、脳卒中患者の歩行能力を改善させるかもしれな
い.
課題特異型歩行訓練は脳卒中患者の歩行能力を改善させる.
特定の形式でのバランス練習は,アウトカムの改善と関連がある.
通常の歩行練習よりトレッドミル歩行のみのトレーニング方が有益であるかどうかは,
確かではない.
部分的な body weight support とトレッドミルを組み合わせた歩行練習が効果的な歩行
練習であるかどうかは,確かではない.
筋力増強訓練は,脳卒中片麻痺患者におけるアウトカム向上に有益である.
心臓負荷トレーニングは脳卒中患者の体力を向上させる.
脳卒中片麻痺患者による車椅子の自走の推奨は,機能的効果に影響力はない.
四点杖が,脳卒中後の片麻痺歩行を改善させるというエビデンスがいくつか報告されて
いる.
周期的な聴覚刺激は,脳卒中後の歩行を改善させる.
機能的電気刺激と歩行練習の組み合わせは,片麻痺歩行を改善させる.EMG/バイオフ
ィードバック治療は歩行再教育を向上させる.
脳卒中後のバランス練習はアウトカムを向上させるかどうかは確かではない.
短下肢装具(AFO)は歩行を改善するようであり,特に後脛骨神経の脱神経との関連があ
る.
4
片麻痺下肢の脱神経筋は痙縮を減少させるが,機能的アウトカムに影響を与えるかどう
かは確かではない.
経口薬剤のいくつかは重要な副作用と関連があるけれども,痙縮の管理に効果的である.
5
9.1
Approaches to Therapy
治療アプローチ
痙性片麻痺や感覚や知覚障害の有無に関わらず片麻痺の感覚運動障害に対するリハビリ
テーションに対する 2 つの基礎的アプローチがある。その 2 つのアプローチは,(1)代償的
アプローチと(2)回復的アプローチであり,改善アプローチから引用されている。それぞれ
が独立的でないにもかかわらず,これらは異なった考え方から反映している。
9.1.1 The compensatory Approach 代償的アプローチ
治療のための代償的アプローチの目標は,必ずしも運動回復の改善や機能障害の減少で
はなく,むしろ非麻痺側の実用的な使用のみであったとしても,新しいスキルを患者に教
えることである(Gresham et al.1995)。その目的は,日常生活動作の改善に重点をおいて,
必要であれば片手動作など,適応出来る能力を教えることである。さらに,Gresham ら
(1995)は,その様なアプローチが効果的であるかどうかを表す根拠が不足していると述べた。
代償的アプローチは神経的回復を抑制するかもしれないという不確かな根拠があり
(Bobath 1978,1980),また強制使用アプローチが,選択された患者においては運動調節を増
すことが出来るという根拠に基づいていた概念もある(Tube et al.1993,Wolf et al.1989)。
9.1.2 The Restorative Approach 回復的アプローチ
回復的アプローチは伝統的理学療法訓練と神経筋促通に焦点を当てており,感覚運動刺
激,運動や抵抗訓練を含み,運動回復の増加と神経系機能障害の脳回復を最大化すること
を目標としている(Gresham et al.1995)。f-MRI のような新しい技術を利用した研究では,
特異的訓練や刺激による反応において,少なくとも部分的な中枢神経系の回復の可能性を
証明している。
脳卒中リハビリテーションで使われている回復的アプローチはいくつかある。以下はそ
の鍵となるもののリストである(Table9.1)。それぞれの方法にはそれぞれ支持者がいるけれ
ども,残念ながら,これらのアプローチのうちいずれも他の方法よりも優れているという
エビデンスはほとんどない(Ashburn et al. 1993, Ernst 1990, Partridge & Deweedt 1995,
Duncan 1997, Pomerory & Tallis 2000a, Van Peppen et al. 2003)。コクランレヴュー(Pollack
et al. 1999)でもまた,1 つの治療アプローチが他の方法より優れているというにはエビデン
スが不十分であると結論付けている。11 の研究が分析に含まれ,それらは神経生理学的ア
プローチと運動学習アプローチの両方を評価している。著者は以下の様ないくつかの潜在
的要因が無効な研究結果の原因であるかもしれないと認識している:i)一貫した専門用語の
欠如によって,関連した研究全てが識別不能である ii)11 の研究の殆どが方法論の質が低い。
iii)介入,アウトカム指標,患者の特性の不均一,そして iv)介入の表現と分類が不十分。
Paci(2003)による最近のレビューでは,15 の研究を評価し,ボバースアプローチの有効性
6
について評価し,このアプローチが他の方法より優れているというにはエビデンスが不十
分であると結論付けている。Paci はまた,レビューに含まれている研究の方法論が不十分
であるため効果がないとも結論付けられないと述べている。Pollock ら(2007)のコクランレ
ヴューでは,様々な下肢のリハビリテーションアプローチの有効性について調べ,異なっ
た治療アプローチからの要素を混合して使用した場合,治療しない場合やプラセボコント
ロールをした場合より良い効果があり,どれも他より優れた治療アプローチはないと結論
付けている。
最もよく知られている方法とし
てボバースアプローチがあり,
反射-階層性理論の理論的枠組
みに基づいている。正常な動き
がファシリテーションされ促さ
れる間は,動きの相乗作用は抑
えられる。
“機能障害や動作,筋
緊張の評価や特定の治療のため
の問題解決アプローチ”として
述 べ ら れ て い る (Parturim
2001)。回復的アプローチの人気
ぶりやそのアプローチを教える
膨大な資源があるにも関わら
ず,このアプローチを支持ある
いは否定するエビデンスは驚く
ほど少ない。
ボバース,運動学習そして混合したアプローチの評価の研究の結果を table9.2 から 9.7
に示している。
7
8
9
10
11
12
Discussion
回復的アプローチのエビデンスは,もっぱら経験によるもので,その利用を支持するエ
ビデンスは限定的である。Miller ら(1998)はファシリテーションテクニックや回復的アプロ
ーチの一部は短期間での効果を証明したエビデンスあるけれども,機能的臨床アウトカム
の改善を示したエビデンスは不足していると述べている。
Langhamme と Stranghelle (2000)
や Patel ら(1998) 2 つの最近の報告では,回復的アプローチが,アウトカムの改善なしで,
リ ハ ビ リ 入 院 期 間 が 増 加 し た と し て い る (Figure 9.1) 。 Langhamme と Stranghelle
(2000)(PEDro=8) は , ボ バ ー ス ア プ ロ ー チ ( 治 療 的 ア プ ロ ー チ ) と Motor Relearning
Programme(MRP)の比較した RCT を実施し,その研究において,MRP で入院期間の短縮
と,運動機能の改善という結果をもたらしている。運動機能や ADL パフォーマンスにおけ
る改善があるにも関わらず,Lennon ら(2006)は,ボバース理論を用いた治療を受けても正
常な運動パターンは回復されないと報告している。Patel ら(1998)の非ランダム化比較研究
(評価レートなし)の場合では,回復的アプローチによって入院している患者の人数が実際に
増加したと示唆している。同じ方法論的な質をもつ,より最近の 2 つの研究からは,2 つの
代償的アプローチと回復的アプローチ(ボバース)との比較では,相反した結果が得られた
(Van Vliet et al.2005,Wang et al.2005)。発症からランダム化された期間まで(2-3 週間)と同
様に,治療回数は両方の研究とも類似(それぞれ 15-20 セッション)していた。患者特性も類
似しているように思われた。Hafesteinsdottir ら(2005)の研究ではランダム化されなかった
13
が,著者は患者の年齢,教育住環境,modified Rankin scale scores,Barthel Index,MMSE
そして鬱を含む分析での共変量の数をコントロールした。この多施設臨床試験のサンプル
サイズもまた,以前実施されたどの RCT に比べても大きかった。著者は非ランダム化デザ
インにおけるバイアスの可能性を認めたと同時に,彼らはまた,多くの施設では排他的に
に 1 つの治療アプローチを使用している臨床場面においてランダム化は実用的でないと述
べた。この研究はまた, QOL の評価を他の治療アプローチと比較する最初の研究であった。
Chan ら(2006)は,“伝統的理学療法”に比べ,motor relearning approach に関連したパフ
ォーマンスに基づいた一連の課題でより優れた改善があったと報告している。これらの著
者は,彼らのプロトコールの中に“順序性”と機能に基づく要素の両方を含んでおり,優
れたアウトカムは部分的に,このプロトコールに理由があると著者らは信じている。Lennon
ら(2006)は現在のエビデンスは治療アプローチの間に実質的な違いはないことを表してい
ると主張している;その事実は,それらはすべて共通の治療内容を共有しているという事
実によって部分的に説明されるかもしれない。
Conclusions Regarding Restorative and Compensatory Approaches
代償的アプローチと回復的アプローチに関する結論
ボバースアプローチが他の治療アプローチより優れていないという強いエビデンス(Level
1a)がある。
Motor Learning Approach は,機能的アウトカムの改善に関してボバースアプローチに比
べ て 優 れ て い る と い う 点 に は 矛 盾 し た エ ビ デ ン ス (Level4) が あ る 。 Motor Learning
Approach は入院期間を短縮するという中等度のエビデンス(Level1b)がある。
Motor Learning Approach は プ ラ セ ボ 治 療 よ り 優 れ て い る と い う 強 い エ ビ デ ン ス
(Level1a)があり,そしてそれは機能的アウトカムの改善を獲得するためには伝統的理学療
法より優れているという中等度のエビデンス(Level1b)がある。
9.2
Intensity of Training
トレーニングの強度
下肢のリハビリテーションの強度の役割について論議がされている。理学療法の増大に
よる利益に関する調査のメタアナリシスはいくつか発表されているけれども,それらに含
まれるほとんどの研究が,歩行や移動性のような特異的な評価ではなく,ADL 機能の改善
14
などのアウトカムを用いている。例えば,理学療法の強度による影響についての 7 つの RCT
の結果では,より高い強度の治療により ADL 機能において有意な改善が認められ,機能障
害が減少したと示している(Langhorne et al.1996)。異なる 9 つの研究のメタアナリシス(8
つの RCT と 1 つの非無作為試験)では,脳卒中リハの強度の影響は小さいものの,ADL や
機能的評価指標においては統計的に有意な結果が得られた(kwakkel et al.1997)。
しかしながら,Cifu と Stewart(1999)はリハビリテーションの強度と機能的効果について
の研究においては 3 つの中等度の質の研究と 1 つのメタアナリシスしかなかったと報告し
ている。
これらの著者は,リハビリテーションの強度は脳卒中後の機能障害の改善効果とほんの
少ししか関係性がないと結論づけている。
Kwakkel ら(2004)はメタアナリシスにおいて,理学療法の増大による効果を,いくつかの
介入方法:作業療法(上肢),理学療法(下肢),レジャー療法,home care と運動感覚トレー
ニングでの評価を含む 20 文献を報告している。治療強度の対照を調節した後,治療の増大
による効果は ADL と歩行スピードに統計学的有意な関係があり,Action Research Arm test
を用いて評価した上肢訓練とは関連がなかった。治療の増大による効果は,脳卒中後 6 ヶ
月以内に開始されたとき、よりみとめられた.
より正確に言うと,“強度”とは,身体的活動の無意識下での表出量と定義されるが,た
いてい与えられた時間内での反復の頻度を指すことが多い.しかし,その様な評価指標は
通常臨床場面においてほとんど不可能である。従って,脳卒中リハビリテーションでの量
と反応の関係を築くことは難しい.多くの要因によりここの患者が受けるべき推奨される
標準のリハビリテーションの量を規定することは難しい。そのため,付加的な治療がどの
くらい効果があるのかを知ることは非常に難しい。それでもなお,Kwakkel (2006)エフェク
トサイズと付加的治療時間との関連は示されたと述べている。Bode ら(2004)は,198 人の
脳卒中患者において,機能に焦点をあてた集中的な理学療法により、移動性において期待
していた効果より優れていたと報告している。
次の 9 つの研究では,歩行に対する集中的な介入とその評価について書かれている。
15
16
17
6 つの RCT からの結果は Table9.9 に要約されている。6 つのうち 4 つは早期脳卒中に対
する介入評価で,残り 2 つは慢性期脳卒中に対する介入評価である。早期の介入評価の報
告のうち,歩行スピードについての評価をしているのは(Richards et al.1993,GAPS,2004)
の 2 つである。その結果は 3 ヶ月以内では矛盾した結果となり,一方 6 ヶ月でのパフォー
マンス評価においてコントロール群と有意な差はみられなかった。1つの RCT だけが慢性
期脳卒中患者におけるトレーニングの増強による効果を調査し,歩行スピードの改善に対
する効果について報告している(Wade et al.1992)。4 つの RCT では,歩行と動作に特異的
な評価は少ない。その内 2 つの研究ではネガティブな結果が出ている。(Partridge et
al.2000,GAPS 2004), 一方、他の2つの報告はどちらとも解釈でき,早期に効果が示された
(3 ヶ月以内)が,6 ヶ月まで持続しなかったとしている。
熟練した看護施設でリハビリテーションを受けた 993 人の脳卒中患者でのレトロスペク
ティブ分析では,Jette ら(2005)は 1 日 1 時間以下のリハビリテーション(PT/OT/SLP 合わ
せて)を受けた患者は,1 日 1~1.5 時間のリハを受けた患者に比べ在院日数が長かった(21.4
vs 15-17 days)と報告している。しかしながら,1.5 時間以上受けた患者と 1~1.5 時間受け
た患者では在院日数に有意な差はみられなかったとしている。集中的なリハビリテーショ
ンは在院日数の短縮と関連づけられたが、入院患者に対する1日の総治療時間はあまり関
係がなく、最も重要な要因ではなさそうである。
Richards ら(2003)によると,リハビリテーション強度は実験群での効果を負うものでは
ないとしている。しかし、歩行速度の違いが3ヶ月の時点で消失したことから、実験群で
の集中的な課題特異的治療を終了し、伝統的な治療(その2つのコントロール群では効果
はより低かった)に戻ったことで効果が失われた可能性がある。
最近の高強度なリハビリテーションの効果についての研究もまた,様々な移動性の評価指
標において、改善を示すことはできなかった。(GAPS 2004)
18
Conclusions Regarding Intensity of Training
トレーニングの強度に関する結論
総合的に,強度なリハビリテーションによる歩行の改善との関係には強いエビデンスがあ
る(Level 1a)。しかしながら,一旦,治療を終了すると有益な効果の維持は出来ないという
強いエビデンス(Level 1a)もある。
9.3
Task-Specific Training 課題特異性トレーニング
課題特異性トレーニングの提案者は、脳卒中患者での集中的なトレーニングは必ずしも
よいアウトカムに必要ではないと示している。しかし、かわりに通常の治療時間(1 セッシ
ョン 30~45 分)内に施行した、より課題特異的なトレーニングでは、より効果的であると
示している(Page 2003)。Hasse ら(2003)は、
“課題特異性トレーニングは坐位と立位の間、
筋緊張抑制と歩行準備課題が支配する伝統的治療と対照的に,片麻痺患者に反複した歩行
練習を可能にしている”と報告している。
Van de Port ら(2007)は,21 の RCT を含むシステマティックレビューを報告している。
歩行改善のための 3 つのアプローチ:下肢筋力増強プログラム,心肺のトレーニングと歩
行指向型トレーニング(ストライドの長さや歩数,歩行頻度と耐久性のような歩行のパラメ
ーター内という点で歩行パフォーマンスの改善を目的とするトレーニング)の効果について
調べた。統合分析は 2 つのアウトカム:歩行スピードと歩行距離
に対して可能である。
これらは同じアウトカムにおける歩行指向型トレーニングとトレーニングの効果に有意な
利益がある。下肢筋力増強プログラムが歩行の回復により効果があるというエビデンスは
なかった。心肺のトレーニングに関連する統合分析には 1~2 の RCT しか利用できなかっ
た。
19
20
歩行の評価と比べ、ADL 動作の評価を頻繁に行った。Richards ら(1993) 研究では、特異
的な歩行動作に焦点をあてた理学療法はよいアウトカムを導き、治療時間の総計にはよら
なかった事を明らかにしている。しかしながら、彼らの最近の研究(2004)では、従来の理学
療法と比較して、課題指向型歩行再訓練の有用性を支持しないようである。しかし、著者
はコントロール群に、課題指向型トレーニングを受けた患者が混じっているのではないか
と推測している。Dean ら(2003)と Salbach ら(2004)の研究では、麻痺肢の筋力と耐久性、
また動作の改善に重点をおいた治療は、そのトレーニングに特異的な改善を示した。Monger
ら(2002)の研究では、課題指向型トレーニングのホームエクササイズによって、6 人の患者
の起立-着座動作の改善が報告されている。
21
Conclusions Regarding Task-Specific Training
課題特性トレーニングに関する結論
課題特異性歩行訓練は、脳卒中患者の歩行の改善において強いエビデンス(Level1a)がある。
9.4
9.4.1
Balance Retraining
Balance Retraining
バランス訓練
バランス再訓練
運動麻痺や感覚障害、認知機能の障害による姿勢コントロール障害は慢性期脳卒中患者
において運動障害の主要な構成要素であった(Haart.2004,Pohl.2004)。事実、Pohl(2004)は
脳卒中患者に 3 ヶ月の介入にて能力低下(213m 以下しか歩行できないもの)に対し、バラン
スの改善により歩行距離の増加をもたらした。体幹の屈筋・伸筋群の弱化と非対称な荷重
は 、 脳 卒 中 患 者 に お い て 歩 行 や ADL 動 作 の 遂 行 を 難 し く し て い る か も し れ な い
(Winstein.1991,Karatas.2004)。そして視覚や聴覚でのフィードバックによる強さを基盤と
したテクノロジーで治療が行われた。しかしながら最近の Cochrane Review の著者、
22
Barclay(2004)は、バイオフィードバック治療は立位バランスや機能的バランスを有意に改
善させない、と小規模の RCT で述べている(Table9.6)。脳卒中患者に対し体を振動させる
治療は姿勢をコントロールする固有感覚の改善に有効であると述べている(Nes.2004)。脳卒
中後の姿勢コントロールと歩行に対する視覚フィードバック治療の効果について Van
Peppen(2006)が作成したシステマティックレビューは、8 つの研究を含み、6 つが RCT で
あり、残りはコントロール試験である(Table9.11)。立位時の体重分配の均等さや姿勢動揺、
バランスコントロール、歩行能力や歩行速度の治療効果に有意な差は見られなかった。
23
24
25
26
27
Discussion
バランス能力は脳卒中患者、特に高齢脳卒中患者において懸念され、いくつかの予測値
が示されて、バランスに着目した治療が示されてきたが印象的な outcome の有意な改善は
示されてこなかった。視覚フィードバックや課題特異方法、プラットフォームトレーニン
グ、加えて筋力訓練や自転車訓練などの様々な治療方法が検討されている。
28
17RCT は、1 つは excellent quality(PEDro=9)、7 つは good quality(PEDro=6&8)、8 つは
fair quality(PEDro=4&5)、1 つは poor quality(PEDro=3)であった。課題特異訓練、感覚学習、
機械装置、バイオフィードバック、視覚制御、独立訓練など様々な介入が研究に含まれる。
大多数の RCT が視覚/聴覚のバイオフィードバック治療の有効性を示している。4 つの研
究が Positive 結果を、3 つの研究が Negative 結果を示した。RCT でない研究でバイオフィ
ードバックが慢性期脳卒中患者のバランスの改善に対し有効ではないことを示した。2つ
の RCT ではバランスに対する感覚学習の有効性について対立する結果を示した。1つの
RCT はバランス訓練のみではバランスを改善できないと示した。Katz-leurer(2006)は下肢
筋力と下肢の筋コントロールを通して立位バランスに有益であった自転車訓練を使用した。
大多数の研究がバランス訓練の有益性を示したが、介入方法と outcome 測定が不均一ため、
慢性期脳卒中患者に対するバランス訓練が有効であるという確実な結論付けに至っていな
い。
Conclusions Regarding Balance Disorders
慢性脳卒中患者においてバランストレーニングはアウトカムを改善させるという非常に強
い evidence がある(レベル1a)。しかしながらいくつかの治療方法は他の治療よりもさら
に効果的である。
9.5
Gait Retraining(11th edition 9.4)歩行訓練
歩行の回復は脳卒中リハビリテーション(以下:リハ)において,主たるゴールのひとつ
である。脳卒中の後遺症(バランス能力や痙性,運動制御の減少のような)である機能障
29
害や動作困難により,移動能力はしばしばネガティブな,有害な影響を受ける(Pohl et
al.2004)。Hesse (2003)らは脳卒中後 3 ヶ月で,ほぼ 20%の卒中患者が車椅子を使用して
おり,歩行可能な患者は残りの 60%であった(Jorgensen et al.1995,Wada et al.1987)。急
性期や亜急性期の成人が歩行するのは,脳卒中既往が無く家庭復帰した成人(community
dwelling adults)の歩行についての報告された距離のたった 40‐50%である(Pohl et
al.2004)近年,多くの技術が歩行回復のために使われている.このセクションでは,課題
特異的な訓練とトレッドミル訓練を含んだ伝統的な歩行訓練を紹介する.2 つのあまり知ら
れていない,リズミック音刺激やヴァーチャルリアリティのようなテクニックについても
含んでいる.
9.5.1 Task -Specific Trainig 課題特異的訓練
課題特異的訓練の効果が示しているのは,脳卒中患者において,優れた結果を導くため
には強い訓練がいつも必要というわけではないということである.しかし,その代りに,
通常の時間内(30-45 分の 1 セッション)で,課題特異的にデザインされた治療が,より効
果的であること(Page 2003)も示している.
Hesse(2003)らは,“課題特異的治療が,座位や立位で,緊張抑制手技と歩行準備課題の
ような伝統的な治療と比較して,片麻痺患者を反復して歩行練習することを可能にする”
と報告している.
最近の Cochrane review では,French(2007)が上下肢機能に対する課題特異的訓練の
効果を評価している.介入が可動性の改善を目的としていることに関して,課題特異的訓
練は,歩行距離や速度,そして立ち座りのパフォーマンスを改善する.著者が結論づけて
いるのは,課題特異的訓練は,下肢機能を適度に改善するということである.
課題特異的として定義される訓練プログラムを決定することは疑わしい.しかし,トレ
ッドミルトレーニングは課題特異的訓練のひとつであり,我々のセクションでは,この治
療法を含んでいる.同様に,有酸素運動と筋力増強訓練を評価する研究は,他のセクショ
ンに含まれている.
我々は 11 の RCT を決定し,様々な介入を評価し,課題特異的訓練について考える.
30
Table 9.13 Task-Specific Training
Author,Year
Country
Methods
Outcomes
20 人の慢性期脳卒中患者がランダムに治
訓練後,コントロール
療群とコントロール群に分けられた.治
群と比較して,研究群
療群は上肢の長さ以上のリーチ運動を含
はリーチ動作がはやく
む標準化された訓練を行った.一方,コ
なり,距離も延長し,
ントロール群は,上肢長を超えない範囲
麻痺側下肢にかかる荷
Dean & Shepherd
の認知操作課題を含む sham 訓練を行っ
重量が増加し,麻痺側
1997
た.座位でのリーチ動作を訓練前後で測
下肢筋の活動性が増加
Australia
定した.動作時間やリーチ距離,足部の
した(P<.01).研究群
5(RCT)
床反力,筋活動を測定した.被検者は座
はまた,立位-座位が改
位-立位,歩行,認知課題も検査した.
善した.コントロール
PEDro Score
群はリーチ動作や立位座位が改善しなかっ
た.両群ともに歩行は
改善しなかった.
Dean et al.2000
ランダム化比較対照研究によって,12 名
研究群は,コントロー
の慢性期脳卒中患者がコントロール群と
ル群の歩行速度と距
研究群に分けられた.すべての患者は週 3
離,座位-立位中の麻痺
回,4 週間の訓練に参加した.研究群は, 側下肢の床反力,ステ
Canada
機能的に関連した方法で麻痺側下肢の筋
ップテストの反復回数
5(RCT)
力強化と移動課題の練習を目的としたサ
を比較して,有意に,
ーキットプログラムを実施した.コント
即時的な改善を示し
ロール群の練習は,麻痺側上肢の改善を
た.
目的としたグループ訓練を行った.
Salbach et al.
2004
Canada
8(RCT)
発症後一年以内で,初発および数回の脳
介入群は以下に示す評
卒中による歩行に後遺症がある 91 人の地
価において,大きな改
域住民で,無作為に介入を行った.介入
善 を 示 し た : SMWT
は,10 の機能的課題から構成され,下肢
(40m vs 5m);心地よ
の強化と歩行バランス,歩行速度,歩行
い速度での歩行(0.14
距離を強調した.コントロール群は,上
vs. 0.03m/s)
;最大歩
肢活動に焦点が絞られ,週 3 回の 6 週間
行 速 度 ( 0.20
行われた.主たる評価は,6 分間歩行,5
-0.01m/s);TUG(-1.2
m歩行(心地よい速度と最大速度)
,Berg
vs. 1.7sec)
31
vs.
Balance Scale と TUG であった.
63 人の患者は,Barthel ambulation sub
両群の患者は治療期間
score が少なくとも 10 点で,歩行速度が
を通じて改善し,フォ
10-60cm/sec であり,彼らは,入院中の
ローアップでも維持し
リハビリテーションとして,無作為に 2
ていた.両群間に有意
つの理学療法治療に分けられた.研究群
差はなかった.
Richards et al.
は , テ ィ ル ト テ ー ブ ル や a Kinetron
2004
isokinetic device,全荷重でのトレッドミ
Canada
ルによる歩行訓練を行った.コントロー
7(RCT)
ル群は,伝統的な治療を行った.治療は 2
か月持続されるか,もしくは退院するま
で持続した.評価は,5m,10m,30m に
必要とされる時間や Fugl-Mayer,TUG,
Berthel Index で,介入前後と退院後 2-3
ヵ月に行われた.
Barreca et al.
2004
Canada
7(RCT)
48 人の脳卒中による入院患者がランダム
COOP スコアや満足度
に伝統的な理学療法(n=23)と伝統的な
において,群間に有意
理学療法+付加的な立位-座位訓練
差 は な か っ た .
(n=25 )を週 3 回,45 分施行した.研究の
“graduates”の数が高
終了点は:いつ獲得するのか(たとえば, かったのは追加した練
立ち座り動作を完璧にできるようにな
習 群 で あ っ た ( 68%
る),もしくは,病院を退院する.評価は, vs. 30%,p=0.02)
立ち座り動作における満足度を評価し,
Dartmouth
Primary
Care
Co-operative(COOP)Chart により治療前
後を評価した.
Blennerhassett&Dite
2004
Australia
9(RCT)
30 人の脳卒中患者がランダムに上肢運動
移動運動群は上肢運動
群と移動運動群に分けられた.すべての
群と比較して大きく改
患者は通常のリハビリテーションと付加
善した(6 分間歩行で
的なセッション(サーキット訓練を利用
116.4m,ステップテス
した課題に関連した)を 4 週間実行した. トで 2.6 回,TUG で-7.6
評価は,治療前後と 6 カ月後に実施され, 秒)
Jebsen
Taylor
Hand
Function
Test(JTHFT) の 3 の 項 目 と Motor
Assessment Scale(MAS)の 2 項目,TUG,
Step Test,6 分間歩行の 3 つの移動テス
32
トであった.
Marigold et al.
61 人の地域在住の脳卒中患者で,ストレ
俊敏性運動群の患者
ッチと重心シフト運動の両方を強調した
は,ストレッチと重心
群と俊敏性運動群にランダムに分けた.
シフト運動群と比較し
セッションは 1 時間で,週 3 回,10 週間
て step reaction time が
継続した.評価は,Berg Balance,TUG, 非常に改善した.そし
2005
step reaction time , Activities-specific
て,プラットフォーム
Cabada
Balance Confidence,Nottingham Health
への移動中に転倒した
8(RCT)
Profile を実施した.立位姿勢反射テスト
患者も少なかった.主
とプラットフォームへの移動によってお
要な評価において,群
こる転倒のテストも実施した.転倒は介
間に有意な差はなかっ
入を始めてから 1 年以内を追跡した.
た.転倒回数も群間に
差はなかった.
下肢 BRS が 3 か 4 の 25 人の脳卒中患者
治療後,研究群の患者
で,歩行介助具や装具があってもなくて
はコントロール群と比
も,11m 歩行可能なものであった.彼ら
較 し て 歩 行 速 度 ( 8.6
は,ランダムにコントロール群(n=12)
vs.3.65,p=0.032),ス
Yang et al.
と研究群(n=13)に分けられた.両群の
トライド長(0.090 vs.
2005
患者は週 3 回,40 分の伝統的な訓練プロ
-0.0064 , p=0.006),対
Taiwan
グラムに参加した.研究群の患者は,付
称指標(44.07 vs. 5.30,
6(RCT)
加的な 30 分の後ろ向き歩行を施行し,週
p=0.018)
3 回,3 週間おこなった.歩行のパラメー
が改善した.
ターは訓練前後で評価した.評価項目は,
歩行速度,ケイデンス,ストライド長,
歩行サイクルと対称指標であった.
Yang et al.
2006
Taiwan
7(RCT)
最近リハビリテーションを行っていない
研究群の患者は,ステ
48 人の慢性期脳卒中患者が,ランダムに
ップテストを除いたす
4 週間の課題指向型の積極的な訓練群
べての評価項目におい
( n=24 ) と 治 療 を 行 わ な い 非 治 療 群
て有意な改善を示し
(n=24)に分類した.治療後の評価項目
た.驚いたのは,コン
は以下である:下肢筋力,ケイデンス,
トロール群の患者で,
ストライド長,TUG,歩行速度,ステッ
治療を受けていない
プテスト,6 分間歩行である.
が,いくつかの部分(非
麻痺側の膝屈曲,足関
節背屈,ステップテス
ト)で改善が見られた
33
ことである.
Yang et al.
2005
Taiwan
5(RCT)
25 人の慢性期脳卒中患者で少なくとも制
研究群は,二重課題下
限された歩行能力があり,コントロール
での一時的対称指標を
群(n=12)と研究群(n=13)にランダム
除いて,すべての選択
に分類された.コントロール群の患者は,
的な歩行において有意
すこしもリハビリテーションを受けなか
な改善を示した.コン
った.研究群は 4 週間のボールを利用し
トロール群において,4
た訓練を実行した.歩行パフォーマンス
週間を通じて有意な差
は単一課題下とトレイを運ぶ歩行で,治
はなかった.二重課題
療前後に測定された.歩行パラメーター
下で群間において,一
は,歩行速度,ケイデンス,ストライド
時的な対称指標を除い
長,ストライド時間,一時的な対称指標
てすべてに有意差が認
であった.
められた.単一課題下
では,歩行速度はコン
トロール群で増加した
が,研究群では減少し
た(-12 vs. 29cm/s,
p<0.001).
Dean et al.
2007
Australia
8(RCT)
発症から 3 ヵ月以内の 12 人の脳卒中患者
2 週間の訓練後,研究群
で, 介助なしで座位可能なものをランダ
は最大リーチ距離が増
ムに 2 群に分類した.研究群は 2 週間の
大した.また,移動時
アーム長を超えたリーチ課題を含む座位
間が短縮し,リーチ時
訓練を実行した.コントロール群は 2 週
に麻痺側下肢にかかる
間の座位訓練を行い,その内容は,アー
最大荷重量が増加し,
ム長内での認知課題であった.はじめの
立位時の荷重量が増加
評価は,座位能力(最大リーチ距離)で
した.6 カ月後,研究群
あった.二番目の評価は,座位の質(リ
は有意な改善を維持し
ーチ時間とリーチ中の座位での下肢荷重
ていた(最大リーチ距
量)と移動性の実行(立位中の患側下肢
離,立位時の麻痺側荷
の床反力と 10m 歩行中の速度)であった. 重量)歩行速度におい
評価は,訓練前後と 6 カ月後に実施され
て介入前後やフォロー
た.
アップ時に群間に有意
な差はなかった.
上記の研究結果によれば,特別にデザインされたプログラムで,強度や耐久性,バラン
ス改善を目的とした治療が歩行能力回復に利益をもたらすことが述べられた.
34
Conclusions Regarding Task-Specific Trainig
課題特異的訓練は脳卒中患者の歩行を改善させるという強いエビデンス(Level 1a)があ
る.
課題特異的歩行訓練が脳卒中患者の歩行能力を改善させる
9.5.2 Conventional Gait Thrapy 伝統的歩行訓練
Individual Studies
Author,Year
Country
Methods
Outcomes
148 人の軽度の後遺症が残る卒中患者で,
治療後,立脚時間や荷重
ボバーステクニックに基づく 45 分の理学
率・非荷重率において下
療法を1週間に 5 回施行し,少なくとも1
肢への効果的な影響を及
日に 30 分,4週間の自主訓練を指導され
ぼさなかった。
PEDro Score
た。 全ての患者において,20mの独歩が可
能となった;梗塞や出血性の supratentorial
Hesse et al.
(小脳テント上部?)の障害があった;全ての
1994
患者は,Barthel Index score で一番低くて
Germany
も 75 点で ADL 動作においてほとんどの部
No Score
分で可能となった;彼らには歩行を妨げる
ような付加的な神経学的,整形学的な機能
障害はなかった;
心 臓 の 機 能 不 全 や New York Heart
Association scale で Grade2 以下であっ
た。
;そして,認知機能やコミュニケーショ
ンにおいての障害はなかった。
18 人の脳卒中片麻痺患者は 2 日間ホームエ
Wisconsin
クササイズを指導され,また 2‐5 日で理学
total score によると,訓
Rodriquez et al.
療法による介入を平均 35 時間,平均 22 ヶ
練後は有意な改善が示さ
1996
月行った。訓練は weight bearing やバラン
れた。患者は転倒への恐
USA
ス,部分的コントロール,ストレッチ,緊
れが少なくなったと報告
No score
張感などを強調した。患者は少なくとも発
しており,Health Status
症後 1 年経過しており,急性期リハに参加
Questionnaire scores は
していた。
有意に改善していた。脳
35
Gait
Scale
卒中発症からの時間にお
いて,改善は神経学的回
復のものではない。
歩行可能な卒中患者 66 人で,少なくとも 6
群間において統計学的有
週間施行した。後遺症が残る片麻痺は無作
意差は見られなかった。
為に振り分けられそれぞれ 20 分のセッシ
ョンを行った。ⅰ)等速性ストレッチ,ⅱ)
Maybard et al.
等張性ストレッチ,ⅲ)等張性ストレッチ
2005
+weight bearing。選択された運動学的な歩
UK
行 パ ラ メ ー タ ー ( hip/knee/ankle
6(RCT)
angle,hip/knee/ankle power,hip/knee/ankle
movement,duration
stance,duration
of
swing and walking speed)は before/after
で評価され,24 時間後に再び測定された。
21 人の健康な対照群は年齢を調整された。
Conclusions Regaeding Conventional Gait Therapy
伝統的な歩行再教育は片麻痺歩行を改善させることについて,制限があるが evidence
(Level2)があった。ひとつの RCT ではない研究では,ボバーステクニックは高いレベル
の 卒 中 患 者 の 歩 行 の 質 を 改 善 さ せ る 点 に お い て 有 益 で あ る と い う Limited
evidence(Level2)があった。
等速性や等張性の筋ストレッチの singl session は歩行を改善させないという Moderate
evidence(Level 1b)があった。
伝統的な歩行訓練は片麻痺歩行を改善させ,ボバーステクニックは高いレベルの患者の歩
行の質を改善させる
9.5.3 Treadmill Training
トレッドミルトレーニング
トレッドミルトレーニングは歩行の特異的なトレーニング方法として行われている。
Moseley ら(2003)によると,脳卒中後のトレッドミルトレーニングと BWS(body weight
support)の効果を決定するためにメタ分析を行った。Moseley ら(2003)はトレッドミル
トレーニングとほかの理学療法を比較した 2 つの研究と,課題指向型トレッドミルトレー
ニングと課題指向型ではない介入,すなわちニセモノ介入とを比較した 3 つの研究を採用
した(see Table 9.8)。ほかの理学療法介入と比較した時,トレッドミルトレーニングは歩
36
行速度において統計学的優位差は見られないことがわかった。
付け加えて,介入最終時や follow up においてコントロール群と比較して課題指向型トレ
ッドミルトレーニングは歩行速度において統計学的有意差はなかった。1人で BWS
(0.24m/sec,95%Cl:-0.19-0.66)でのトレッドミルトレーニングが可能な患者に改善傾向が
あった。伝統的な歩行訓練は片麻痺歩行を改善させ,ボバーステクニックは高いレベルの
患者の歩行の質を改善させるしかしながら,トレッドミルトレーニングには充分な
evidence がないと言われている。
Table9.15.Studies Included in Moseley et al(2003)
Treadmill Training
vs. Other Physiotherapy Interventions
・
Laufer et al.2001
・
Liston et al.2000
課題指向型トレッドミルトレーニングと非課題指向型トレーニングや偽り介入
・
Richards 1993
・
Ada et al.2002
・
Dean et al.2000
Individual Studies
Author,Year
Country
Methods
Outcomes
一重盲検 RCT に参加した 27 人の患
6 週間の時点で,歩行速度は対
者全て,伝統的な病院での治療をうけ
照群ともに類似しており,実験
た。患者は,ランダム化され,研究の
群では有意に早く,effect size
許可後可及的早期に理学療法が施行
は 0.58 であった。この効果は
され,激しい,集中的な治療が行われ
脳卒中後 3 ヶ月および 6 ヶ月後
た(実験群);理学療法は,実験群と
消失した。
PEDro Score
Richards et al.
1993
Canada
6(RCT)
同じ強度で施行されたが,古典的な神
経生理学的に基づく伝統的なアプロ
ーチが含まれ,実践された(対照群
1);入院後遅くに理学療法を開始し,
強くは無いが,対照群 1 で施行された
ような類似した技術が含まれている
(対照群 2)
Hesse et al.
9 人の患者は normal な理学療法とト
37
トレッドミルトレーニング後
1994
レッドミルトレーニングを 3 週間行
の有意な改善は歩行速度やケ
Germany
い,トレッドミルトレーニング前に 3
イデンス,ストライド長に見ら
No Score
週間理学療法のみを施行した。患者は
れた。
セッションにつき 15 分訓練し,(30
分まで時間を増加した)週に 5 日施行
した。
Hesse et al.
1995b
Germany
No Score
卒中後 25 週間(中央値)である 11
複合した治療は,歩行能力や歩
人の患者の Single case design であっ
行速度の回復において,ボバー
た。4 人の患者はトレッドミル
ス概念に基づく標準的な理学
/stimulation な理学療法に基づく治療
療法より効果的であった。
を受けた;7 人の患者は A-B-A 式の研
究法で行われ,15 日間の包括的な神
経促通法が,それから理学療法が,そ
してトレッドミル/stimulation 治療が
再び 15 日間施行された。
卒中後 6 ヶ月以上経過した 12 人の患
Sub-最大努力を要するトレッ
者は後遺症が残っているが,6 ヶ月間
ドミル歩行課題においてエネ
の弱い強度の有酸素運動プログラム
ルギー消費量において有意な
Macko et al.
(毎週 40 分の 3 セッションからな
減少があった。エネルギーの減
1997
る)を行った。運動強度は安静時心拍
少は進行的であり,呼吸ガス交
USA
数の 50%と 60%とした。
換は強い直線的な形を描く。患
者は同様の標準化された副最
No Score
大訓練課題を,訓練後の 3 ヵ月
後および 6 ヶ月後に低い心拍
数で実行することができた。
軽度~中等度の片麻痺患者 14 名で,
3 ヶ月の progressive なトレッ
6 ヶ月以上前の脳卒中による歩行異
ドミル訓練の主要効果は,全て
Smith et al.
常があり,progressive な低い~中等
のタイプの筋収縮における
1998
度の強度でトレッドミル訓練を 1 日
torque にあった。大腿四頭筋の
USA
40 分,週に 3 回,3 ヶ月間施行した。 torque
No Score
運動強度は安静時脈拍数の 60~70%
は有意に異なっていた。著者は
とした。
トレッドミルトレーニングは
有益であると言っている。
Dean et al.
ランダム化された pilot study で,12
対照群と比較して実験群は即
2002
人の慢性期の脳卒中患者が対象とな
時的な,および持続的に歩行速
Canada
っており,歩行の特異的課題を伴った
度や歩行耐久性が改善した。
38
6(RCT)
トレッドミルトレーニングを行った
実験群と上肢を対象とした課題を行
った対照群が設定された。
一重盲検法においてランダム化され
歩
た cross-over 研究で,4 週間を基準期
ADL,it-to-StandTest,imed 10m
間とし,18 人の歩行障害が残存して
walk,Inked
Liston et al.
いる脳卒中患者(発症 6 ヶ月以上経
walk,One-leg
2000
過)は,4 週間のトレッドミルトレー
test,ADL-oriented assessment
UK
ニングを行い,また 4 週間の伝統的な
of
7(RCT)
理学療法を施行した。BWS は使用し
extended ADL scale,Nine-Hole
なかった。
peg test.において空間的,時間
行
評
価
や
footprints-5m
stance
mobility,Nottingham
的に有意な差は治療間におい
てみられなかった。
5 人の患者が,セッション 40 分,週
訓練後,“Get Up and Return
Silver et al.
3 回,3 ヶ月間のトレッドミル上を歩
Task ” と the Straight Away
2000
行する aerobic exercise(以下:AEX)
Walk segment の時間は有意に
USA
に参加した。BWS は使用しなかった。 減少した。訓練後速度は増加
し,ケイデンス(step/time)も
No Score
増加した。
Smith et al.
2000
USA
No Score
Laufer et al.
11 人の軽度~中等度の片麻痺患者は
有意な差はスコアや反応時間,
脳卒中(発症後 6 ヶ月以上)により見
回復時間,動作時間において,
守り歩行可能で,トレッドミルを用い
テスト前後で見られなかった。
た有酸素運動(AEX)に参加した。
AEX は週に 3 回,3 ヶ月行った。
25 人の卒中患者は,伝統的な理学療
患者はリハビリテーションの
法群と伝統的な理学療法に 15 のトレ
初期段階ではトレッドミルト
ッドミルトレーニングを追加した群
レーニングに耐えることがで
とに振り分けられた
きた。トレッドミルトレーニン
2001
グは伝統的な歩行練習より効
Israel
果的であった(移動機能やスト
ライド長,麻痺側立脚相のパー
センテージ,大腿四頭筋の収縮
における改善について)
。
Pohl et al.
60 人の歩行可能な片麻痺患者で,す
4 週間後の訓練期間において,
2002
くなくとも 4 週間経過しており,障害
STT 群は全て測定結果におい
Germany
された歩行の程度により 1 から 3 まで
て LTT や CGT より有意なスコ
39
6(RCT)
のグループに無作為に分類された:ト
アを示した。
レッドミルトレーニングに依存した
速度で行われた群は,歩行速度はそれ
ぞれのセッションにおいて増加し
た;制限された progressive なトレッ
ドミルトレーニングは,そのトレーニ
ング速度は初期の最大歩行速度のた
った 5%の増加にとどまった;そし
て,伝統的な歩行訓練には理学療法に
よる歩行が含まれており,PNF やボ
バース概念に基づくものであった。患
者は平地歩行速度やケイデンス,スト
ライド長や FAC において訓練前と 2
週間後,4 週間後に評価された。
Ada et al
2003
Australia
卒中後社会で生活している 29 人の患
4 週間のトレッドミルトレーニ
者を,30 分のトレッドミルと平地歩
ングと平地歩行訓練を施行し
行訓練を週に 3 回,4 週間おこなった
た群は,歩行速度は有意に改善
群と低負荷訓練をおこなった群
したが,handicap については
(home exercize と電話での対応)と
対照群と比較して減少しなか
に,無作為に振り分け,
った。実験において獲得された
6(RCT)
能力は,介入後 3 週間維持され
た。
20 人の慢性期卒中患者が外来リハビ
仮想障害物訓練を行った群は,
リでの介入で,2 つの訓練プログラム
fast walk test では,実際の障害
に無作為に分けられた。10 人はトレ
物訓練群と比較して有意に速
ッドミルで歩行速度は自己設定し, 度が上昇していた(20.5% vs
Jaffe et al.
“仮想”の様々な大きさの障害物を乗
12.2%)。安楽歩行速度では,
2004
り越え,残りの 10 人は様々な形や大
ともに類似した改善が見られ
USA
きさの形ある障害物を乗り越えて 10
た(33.3% vs 34.7%)。まとめ
4(RCT)
mを歩いた。6 セッションで 2 週間, ると,両群ともに患者は医学的
1 時間を実施した。
に意味のある変化が歩行速度
やストライド長,歩行時間,障
害物を乗り越えるクリアラン
スにおいて認められた。
40
Discussion
Liston ら(2000)によれば,慢性期卒中患者でトレッドミルトレーニングをおこなっても
有意な差はみられなかったと言っている。一方,Ada ら(2003)は,トレッドミルトレー
ニング後に歩行は有意に改善したと報告している。Laufer ら(2001)や Pohl ら(2002)
はより積極的・進歩的な訓練プログラムが卒中患者の歩行を改善すると報告している。
Richards ら(1993),Dean ら(2000)によれば,トレッドミルトレーニングに歩行の特異
的課題を併せることで歩行速度は改善すると言及している。現在ある研究は poor quality で,
評価がさだめられておらず結果が交じり合っている。
Conclusions Regarding Tredmill Training
2 つの RCT に基づいて,BWS を使用することなしでのトレッドミルトレーニングは,
伝統的な理学療法より優れているという conflicting(Level 4) evidence がある。しかしな
がら,トレッドミルトレーニングは特異的歩行課題を併せているとき,歩行の改善は注目
すべきものである。Non-rated studies で介入前後の変化の調査は対象となる少ない脳卒中
患者でトレッドミルトレーニングが行われており,妥当な control はかけているが,多く
の研究が示しているような利益的効果を伴った有益性はあるという evidence を示してい
る。
トレッドミルトレーニングのみの介入は,標準的な歩行訓練より有益であるということははっきりして
いない
9.5.4 Body Weight Support and Treadmill Training BWS とトレッドミルトレーニング
歩行再教育において,トレッドミルトレーニングと組み合わさった,部分的に体重をサ
ポートすることが最近の技術革新であると言われている。BWS は運動回復を目的とし,
“歩
きたい人が歩くことで学ぶ”と適切に要約されている(Hesse et al.2003)。Hodgson ら
(1994)や Jordan(1991)の動物実験によって言及されているのは,ステップのような様々
な運動活動の特異性は皮質の刺激なく脳幹や脊髄により引き起こされている,ということ
である。Harkema ら(1997)や Dobkins ら(1995)はともに複雑な胸部脊髄損傷患者でさ
えも,普通のステップに関与している感覚入力は運動出力を引き起こしていると述べてい
る。結果として,幾人かの研究者が歩行に関与する神経領域の運動神経入力を最適化する
ようと,卒中後のトレッドミル BWS の研究を行った。この strategy は機能的な独立性や歩
行速度を増加させると考えられた。よって,これらは歩行再教育のモデルのための強い神
経生理的な基礎であった。
より実践的なものとして,BWS は姿勢の保持と下肢の協調性を促進するように企図され
41
た。体重負荷を減少することで,理論上,最小限の体重負荷でより身体的な動きが行える
ようになる。課題を行っている間の転倒のリスクを減少させることで,患者の信頼は大き
いものである。BWS は,患者の姿勢やバランス,および協調性の改善を徐々に引き出すこ
とが可能である。
Hesse ら(2003)は以下のように述べている。“BWS を利用したトレッドミルは修正され
たパラシュートのハーネスをバランス不足の代わりとして使用する。回転するトレッドミ
ルベルトは複雑なステップを必要とする。ハーネスは垂直方向の姿勢を促進する。もし患
者が固定された姿勢を想定するならば,サスペンションの位置は,体幹を直立するように
動くことが可能である。姿勢を修正するときに,すなわち,患側の片脚支持相での膝折れ
や過度の股関節屈曲が出現すること無しに,患者が適切に負荷を維持できるようにハーネ
スは体重を支持する。”
Hesse ら.(2003)はまたこのように述べている。
“BWS を利用したトレッドミルトレーニン
グに適応する患者は,ベッドに端座位保持が自立で可能であるべきであるとしているが,
立位能力は必要としていない...患者はステップの練習を反復するだけでなく,正しい姿
勢のために,初めは,2 人のセラピストがベルト上の患者の動きを助けるために必要である”
Mosely ら (2003)の meta-analysis によれば,BWS を用いたトレッドミル訓練と理学療
法介入との比較,および,BWS を利用したトレッドミルトレーニングと BWS を利用しな
いトレッドミルトレーニングとを比較している研究が 5 つ存在することがわかった(see
Table 9.12)。Moseley ら.(2003)はトレッドミルトレーニングと伝統的な理学療法介入間に
おいて歩行自立度や歩行速度において統計学的に有意差は見出せなかった。しかしながら,
訓練開始時において独歩であるくということに関しては,BWS を利用したトレッドミルト
レーニングは対照群より有意差はないが有益であった。また,ある研究において最終評価
では BWS を利用したトレッドミルトレーニングは、BWS を利用しないより優れていると
述べている(Visintin er al.1998)。WS を使用したトレッドミルトレーニングに統計学的に
有意差な効果はないが,しかし,独歩可能な人の中には,BWS を利用したドレッドミルト
レーニングには歩行速度が改善したという点で効果的であった,と著者は結論付けている。
Individual Studies
Author,Year
Country
Methods
Outcomes
Hesse
A-B-A 式の single-case design で 7 名
BWS を用いたトレッドミル
1995a
の患者が参加し,BWS を使用した 3
トレーニングは,歩行能力の
Germany
週間のトレッドミルトレーニングを施
回復や歩行速度において,理
PEDro Score
42
No Score
行し,次にボバース法に基づいた理学
学療法と比較してより効果
療法を 3 週間,最後の 3 週間はトレッ
的であった。
ドミルトレーニングを行った。
Visintin et al.
1998
100 人の患者がランダム化され,BWS
訓練終了時の評価で,
により 40%に免荷され歩行訓練した
no-BWS 群と比較して BWS
群と免荷されない群(平地歩行)群に
群において有意な効果があ
分けられた。被検者は脳卒中発症後 6
ったのは;バランス;運動制
ヶ月以上経過していた。
御;歩行速度と歩行距離であ
Canada
った。3 ヵ月後の Follow up
6(RCT)
では BWS 群は麻痺のレベル
と平地歩行速度において維
持されていた。
18 人の患者が,自身が選択した最大歩
歩行中のVO2
Danielsson et
行速度で,BWS にて 0%と 30%免荷し
は 0%BWS 群(unsupported)
al.2000
トレッドミル上を歩行した。脳卒中患
より 30%免荷 BWS 群で低か
Sweden
者は,初発症で,6-12 ヶ月経過したも
った。患者の心拍数は 30%
No Score
のであった。
免荷群のほうが(0%群と比
較して)低かった。
56 人の患者が部分的な免荷でのトレ
平地歩行での持久力や速度
ッドミルトレーニング(PBWSTT)と
に関して,両群間に有意な差
強い引っ張られるような歩行(ABAW) はなかった。
Kosak et al.
2000
USA
4(RCT)
とにランダムに分けられた。セッショ
ンは 45 分以上で,週 5 日,入院期間
や介助なしで平地を歩くことができる
までの間行われた。付け加えて,45 分
の理学療法を行った。脳卒中発症から
は 40±3 日であった。
12 人の卒中患者は少なくとも発症よ
STAT群はREG群と比較して
Da Chnha Filho et
り 6 週経過しており,標準的な理学療
O2 消 費 量 が 有 意 に 高 か っ
al.
法群と標準的な理学療法にサポートさ
た;しかしながら,機能的な
2001
れたトレッドミルトレーニング
評価項目において,群間に有
USA
(STAT)を併せた群とにランダムに振
意な差はなかった。
5 (RCT )
り分け 2-3 週間施行した。REG 群の
20 分の歩行訓練の代わりに,STAT 群
43
は毎日部分的に免荷された状態でトレ
ッドミルでの歩行訓練をおこなった。
STAT 群の歩行訓練は週 5 日,20 分行
われた。
Nilsson et al.
2001
Sweden
7(RCT)
片麻痺の後遺症がある 73 人の卒中患
退院時や 10 ヶ月後のフォロ
者で,発症 8 週間以内であり,週 5 日
ーアップにて FIM や歩行速
30 分の BWS を使用したトレッドミル
度,FAC,Fugl-Mayer Stroke
トレーニング群と週 5 日 30 分の MRP
Assesment , Berg Balance
による歩行訓練群とに無作為に分けら
Scale に関して群間において
れた。全ての患者は専門的な脳卒中リ
有意な差はなかった。両群と
ハビリテーションを受けた。期間は
もに入院から退院までに以
2-19 週間続けられた。
上のような項目において有
意に改善した。
Sullivan 2002
USA
5(RCT)
24 人の脳卒中患者(中大脳動脈や基底
SSV は baseline と比較して
部の動脈)で片麻痺となり,彼らをラ
全ての群において,1 ヵ月経
ンダムに Body weight support を使用
過時に有意に増加した。早い
したトレッドミルトレーニングで,速
速度で訓練した群は SSV は
度をゆっくり,早い,様々な速さで行
ゆっくりと様々な速度で訓
い,移動の苦しさを階層化した。研究
練した群と比較して有意に
は,20 分,12 セッションを 4 週間行
改善した。
っ た 。 自 己 選 択 的 平 地 歩 行
(Self-selected over ground walking
velocity:SSV)は発症時,訓練の中間
点や終了時、そして 1 ヵ月後および 3
ヶ月後に測定された。
30 人の亜急性期で,FAC において 3
FAC,歩行速度と Rivermead
以下のような,歩行困難な卒中患者が
scores は両群において有意
Werner et al.
ランダムに 2 群に分類された。両群と
に改善した。Group1 は歩行
2002
もに 2 週間の歩行治療(A)と 2 週間
能力が研究の最終時には有
Germany
の BWS を利用したトレッドミルトレ
意に向上した。
7(RCT)
ーニングを行った。Group1 は A-B-A
デザインで,Group2 は B-A-B デザイ
ンにて研究された。
Barbeau et al.
2004
1998 年の Visintin らによる研究の更な
BWS を利用したトレッドミ
る分析
ルトレーニングを行った患
者はトレッドミルのみの訓
Germany
44
練群より,平地歩行速度や持
8(RCT)
久力,バランスや麻痺の改善
において有意な改善を示し
た。
Eich et al.
2004
Germany
8(RCT)
脳卒中から回復した 50 人の患者で,
有意な改善は初めの評価時
発症して 6 週間以内であり,Barthel
で,両群にみられ,研究群で
index score が 50-80 点で,歩行可能で
は介入後とフォローアップ
あり,無作為に分けられた。最小限の
時においても効果があった。
免荷体重(体重の 15%以下)でのトレ
ッドミルトレーニングと 30 分間の理
学療法群と,伝統的な理学療法を 60
分,毎日,6 週間施行した。初めの
outcome は歩行速度と歩行距離におい
て確実に改善した。患者は介入前,介
入後,そして 12 週間後に測定された。
48 名の慢性期脳卒中患者がランダム
PBWSTT を 行 っ た 患 者 群
に 2 群に分けられ,一群は Partial Body
は,4 週間後,歩行速度と
Weight
Treadmill
Berg Balance Scale におい
2004
Trainig(PBWSTT)で,もう一方は,コ
て有意な改善を示した.群間
Thailand
ントロール群である.治療は一日 25
の相違は報告されていない.
6(RCT)
分,週 5 日,4 週間を行った.評価は,
Suputtitada et al.
Support
歩行速度,Berg Balance Scale であっ
た.
45 人の歩行可能な慢性期卒中患者を
歩行距離は介入終了時に
対象にし,3 群に無作為に分けた:1) GTsim 群と GT 群において,
Peurala et al.
2005
USA
6(RCT)
機能的電気刺激を用いた歩行訓練機を
延 長 し て い た ( 6900m と
用いた練習(GTsim),2)電気刺激な
6500m vs 4800
しの歩行訓練機を用いた練習(GT),3) m) 。BWS はプログラムによ
平地歩行。全ての患者は歩行訓練を,
り体重の 30%-9%まで免荷
3 週間で 15 セッション(それぞれのセ
できる。10MWT,6MWT,
ッションは 20 分),そして,毎日 55
MMAS , dynamic balance
分の理学療法を施行した。評価項目:
test time や test trip (P=.005)
歩行テスト(10MWT),6 分間
score は群に関わらず全患者
歩 行 ( 6MWT ), 下 肢 痙 性 と 筋 力 ,
において類似した改善とな
postual sway test , Modifield Motor
った。しかしながら,群間に
Assessment Scale(MMAS),FIM が
おいて有意差はなかった。患
10m
45
測定され,リハビリ施行前,施行中,
者の運動機能は 6 ヶ月後の
施行後,そして,6 ヶ月後評価した。
フォローアップでも維持さ
れていた。
47 名の脳卒中患者がランダムに Body
結果において,群間に有意差
weight
は認められなかった.
supported
treadmill
training(BWSTT)+促痛手技を併せた
群(facilitated technique:FT
Yagura et al.
群)と,BWSTT+器械的な補助群(コ
2006
ントロール群)とに分けた.BWSTT
Japan
は,研究参加の後,5 週間で始められ,
6(RCT)
その中に 20 分の適切な理学療法も組
み込まれていた.週 3 日を 6 週間行っ
た . 評 価 項 目 は FIM , Fugl-Mayer
Assessment,歩行速度とケイデンスで
ある.
46 名の急性期脳卒中患者がランダム
3 群すべての患者が,すべて
に1-3 の群に分けられた:ⅰ)伝統的
の評価項目で改善を示した.
な歩行訓練(n=20),電気的な歩行訓練
(FES あるなしに関わらず)
装 置 を 用 い た Partial body weight
歩行訓練群において.2 週間
support による歩行練習(n=15),ⅲ) と 4 週間の時点で,CGT 群
Tong et al.
2006
Hong Kong
6(RCT)
機能的電気刺激を用い,電気的な歩行
と比較して FAC のスコアが
訓練装置を用いた歩行練習(n=15). そ
良く,歩行速度が速かっ
れぞれの群は 40 分の通常の理学療法
た.MI スコアは 4 週間の時点
を施行した.研究治療は一日 20 分,
で,歩行訓練群において,有
週 5 回,4 週間実施された.評価は,
意に高値であった.BBS や
5m 歩行,elderly mobility scale(EMS), BI,FIM において,群間によ
motricity index(MI) leg subscale ,
る相違はなかった.
functional ambulatory category(FAC),
Berg Balance Scale(BSS),BI と FIM
である.
Ng et al.
Tong et al によって,4 つの項目が付加
群間の MI スコアは異なって
2008
され報告された.
いたが,有意差はなかった.
Hong Kong
はじめの研究の結果と同様
6(RCT)
の結果であった.
Dias et al.
40 人の慢性期脳卒中患者がランダム
46
CG と EG は治療後,ほとん
2007
に 2 群に分けられた:コントロール群
どの評価項目で有意な改善
Portugal
(CG)はボバース法による 40 分の治
を示した.3 カ月後,EG 群
6(RCT)
療を,週 5 回,5 週間おこなった.研
は CG 群と比較して有意な改
究群(EG)は,歩行訓練装置を使用し, 善を維持していた.群間に統
同じ時間,同じ頻度でおこなった.評
計学的有意な差はなかった.
価 は : Motricity Index (MI);Toulouse
Motor scale(TMS)
;modified Ashworth
Spasticity Scale (mASS);Berg Balance
Scale(BSS);Rivermead
Mobility
Index(RMI);Fugl-meyer
Stroke
Scale(F-MSS);Barthel Index(BI);10m,
TUG,6 分間歩行,ステップテストで
あった.評価は,治療後と 3 カ月後に
行った.
80 人の脳卒中患者が脳卒中後,歩行能
介入後,BWSTT を含んだ 3
力の改善を目的とした,課題特異的練
群の患者が有意にすべての 3
習と下肢の増強を併用した訓練の効果
つのアウトカムが改善した.
を決定するようデザインされた医学的
BWSTT/UE
研究に参加した.介入は BWSTT と
CYCLE/UE-EX 群 と 比 較 し
CYCLE , 下 肢 筋 の 特 異 的 漸 増 訓 練
て快適歩行速度と最大歩行
(LE-EX),上肢エルゴ(UE-EX)であ
速度が非常に改善した.
Sullivan et al.
った.ベースライン評価後,参加者は
BWSTT/CYCLE
群
と
2007(STEPS)
ランダムに 2 つの訓練プログラムを併
BWSTT/UE-EX
群
,
USA
せて実施した.訓練のペアは:
BWSTT/LE-EX 群 の 間 に 有
7(RCT)
BWSTT/UE-EX , CYCLE/UE-EX ,
意な差はなかった.6 カ月後
BWSTT/CYCLE,BWSTT/LE-EX であ
のフォローアップ時におい
る.訓練は週 4 回,6 週間実施され(総
ては,群内,群間に有意な差
合 24 セッション),2 つの訓練は交互
はなかった.
群
は
,
に行われた.評価は,通常の歩行速度
と最大歩行速度,6 分間歩行で,介入
前後と 6 カ月後のフォローアップ時に
測定した.
Discussion
部分的な BWS とトレッドミルトレーニングは新しいアプローチとして有望である
47
(Hesse et al.2003)これは歩行困難である卒中患者が単下肢の歩行の予備的練習より,複
雑な歩行周期の反復練習を可能にする。
平地歩行と比較したときに,トレッドミルトレーニングでは,患者は痙性を高めること
なく左右対称に歩行可能であり,心血管機能を改善した(Hesse et al.2003)。
我々が要約した試行の中では,結果は不明確であるが,治療プロトコルの期間や強度の違
いが,結論を解釈するのに制限をかけている.Nillsson et al.(2001)は“good”の研究であ
ったが,退院時と 10 ヶ月後のフォローアップにおいて群間に有意差はなかった。Eich et al.
(2004),Visintin et al.(1998),Werner et al.(2002)と Barbeau et al.(2003)らの研究は“good”
で,トレッドミルと BWS とを併せた訓練が結果として麻痺改善と歩行速度に有意に有益で
あり,3 ヶ月後のフォローアップでも依然として同様の結果となった。
近年の研究では,Sullivan ら(2007)は,脳卒中患者に対して,歩行速度の改善において,
トレッドミル訓練は自転車訓練より効果があると報告している.著者は,BWS 訓練が,結
果として歩行速度が医学的に有意する改善する課題特異的訓練と増強訓練を併せた形とし
てユニークな治療を供給すると主張している.
要約された研究のいつくかは,トレッドミル訓練の多様性を評価しており,トレッドミル
訓練が効果的な治療なのかどうかの疑問は重要ではない.
たとえば,Eich et al.(2004)は傾斜のあるトレッドミルと,プロトコールの一部として事
前に決定した心拍数を用いた。その他の事例では,コントロール群を選択することが結論
への過程を複雑にしている.
Sullivan et al.(2002)は,有意な歩行改善は早い歩行速度の訓練にて獲得されることを主張し
ている;しかしながら,この研究は適切な対象群がない。Kosak et al.(2000)は,積極的に
装具を使用した歩行群と比較して,トレッドミル訓練に有意な利益はなかったと述べてい
る。
コントロール群のほとんどは,通常行われるリハビリテーションであった.4 つの研究は,
伝統的なリハビリテーションをコントロール群としてデザインしている研究であり
(daCuhna et al.2001,Nilsson et al 2001,Werner et al.2002,Dais et al.2007),ひとつの研究
でトレッドミル訓練において有意な改善を報告している.
さらに,トレッドミル訓練は期待できる治療法であるということは明白だが,歩行訓練
における部分的な BWS の evidence に関して,対立している.
Yaugra et al.(2006 )は,BWS によるトレッドミル訓練に基づいたファリシテーションテ
クニックの付加的な効果であると評価している.その理由は,“セラピストが患者の股関節
を麻痺側の遊脚と立脚を安定させるために前方と後方から押す”からである.そして,介
48
入による付加的な利益が報告されていないからである.
明確ではないが,脳卒中後の歩行回復を強調し,促進する手段としてのトレッドミル訓
練に効果があり,Ada (2008)らは,我々の知見を探究するような研究プロトコルを提案して
いる.提案された RCT によると,6 か月間,130 人の急性期脳卒中患者を対象とし採用し
ている.参加者や研究の終了の時間的な詳細はあきらかになっていない.Duncan ら(2007)
はよく似た患者を採用した研究を公表しており,評価は Locomotor Experience Applied
Post-Stroke (LEAPS)を用い,自宅練習と比較して,発症 1 年の脳卒中患者の歩行能力の
回復した患者の割合の相違があるかどうかを決定した.この研究は 3 段階あり,5 年間の研
究である.この研究は,急性期の患者も採用する予定で,400 人ほどの大きな数となる.
Conclusions Regarding Partial Body Weight Support and Tredmill Training
対立する evidence(Level 4)が BWS とトレッドミルを併せた訓練にはあり,結果として他
の理学療法介入と比較して歩行パフォーマンスが改善する.
部分的な BWS とトレッドミルトレニングは歩行を改善するかどうかは不確かである
9.5.5 Virtual Reality Training
ヴァーチャルリアリティ治療
一方,ヴァーチャルリアリティ技術は脳卒中リハビリテーションにおいてよく利用され
ており,介入の焦点は,常に上肢機能改善に絞られている.我々は,2 つの RCT を同定し,
ヴァーチャルリアリティ治療の下肢に対しる改善を評価した.
Table 9.21
Author,Year
Country
Methods
Outcomes
10 人の慢性期脳卒中患者が,実際の環境を
介入後 ,群 間にお いて
シミュレートするようデザインされてヴァ
FAC と MMAS スコアに
ーチャルリアリティ治療群(n=5)と非治療
統計学的有意差があり,
PEDro Score
You et al.
2005
USA
4(RCT)
群に振り分けられた.VR 治療群は 60 分/日, 介入群を支持している.
週 5 回,4 週間実施した.運動機能は FAC
と
Modified
Motor
Assessment
Scale
(MMSA)の歩行項目で評価された.
Yang et al.
少なくとも脳卒中発症後 6 カ月の患者 20 人
49
治療前 から 治療後 の実
2007
がランダムにコントロール群(n=9)と研究
験群の 患者 はより 有意
Taiwan
群(n=11)に分けられた.コントロール群の参
な改善 が歩 行速度 や歩
7(RCT)
加者はトレッドミル訓練を受けた.研究群
行時間に認められた.フ
は,ヴァーチャルリアリティに基づくトレ
ォローアップ時に,研究
ッドミル訓練を 3 週間実施した.歩行速度, 群は有 意に 改善し た歩
community walking time , walking ability
行速度を維持していた.
questionnaire(WAQ) , activities-specific
群間において,ほかの評
balance confidence(ABC)scale
価項目 に有 意な差 はな
が治療前後とフォローアップとして 1 ヶ月
かった.
後に評価された.
Conclusion Regarding Virtual Reality Training in Gait Training
ヴァーチャルリアリティ治療が脳卒中後の歩行回復を強調するという強い evidence
(Level 1a)がある.
9.5.6 Rhythmic Auditory Stimulation リズミック聴覚刺激
歩 行 を 改 善 す る た め の 治 療 法 と し て 知 ら れ て い る も の に , rhythmic auditory
stimulation(RAS)がある.この伝統的ではない介入法は,運動反応を同期させるためリズミ
カルな音を使用することを調査した.
音は,時間に先行し連続的なものとして働き,安定した一時的なものとして運動をマップ
する(Thaut et al.2007).
Table 9.22 Sensory Auditory Stimulation
Author,Year
Country
Methods
Outcomes
20 人の患者がランダムに,RAS を付与し
両群ともに,ストライド
た一日 2 回の歩行訓練と,RAS を付与しな
のパラメータが 6 週間の
い一日 2 回の歩行訓練をうけた.すべての
治療で改善した.有意な
PEDro Score
Thaut et al.
1997
USA
患者は,一日に午前と午後の 2 回,30 分, 改善は歩行速度,ストラ
週 5 日,6 週間の訓練を行った.
イド長,下腿三頭筋の
EMG 減少が RAS 訓練群
4(RCT)
であった.歩行時のスイ
ングにおける大部分の改
善は注目すべきである.
50
Schauer et al.
2003
23 人の患者がランダムに,15 セッションの
コントロール群と比較し
伝統的な歩行訓練と,音による運動フィー
て,歩行速度,ストライ
ドバック治療を受けた.
ド 長 , 歩 行 同 期 , foot
Germany
rollover path length,歩行
5(RCT)
ケイデンスにおいて有意
な改善が認められた.
地域在住の 36 人で,少なくとも脳卒中発症
足関節屈曲伸展におい
後 6 か月以内のものがランダムに通常の治
て,有意な治療効果は認
2007
療群(n=18
められなかった.
USA
)と 8 週間の RAS プログラム群に分けられ
5(RCT)
た.麻痺側足関節屈曲/伸展が治療前後にゴ
Jeong et al.
ニオメータを用いて測定された.
Thaut et al.
2007
USA
7(RCT)
78 名の急性期脳卒中患者がランダムに 3 週
治療前後のおける群間の
間のプログラムを受けた.プログラムは,
相違は,結果の 3/4 が統
RAS ( n=43 ) と neurodevelopmental
計学的に有意であり,
therapy(NDT)/Bobath 法(n=35)であった. RAS を支持している.
患者は研究に参加するとすぐに手の介助を
RAS のエフェクトサイ
伴った 5 つのストライドサイクルを実行す
ズ は 歩 行 速 度 で
ることができた.歩行速度,ストライド長, 13.1m/min,ストライド
ケイデンス,同期が評価として治療前後に
レングスで 0.18m,ケイ
測定された.
デンスで 19 歩であった.
Conclusion Regarding Rhythmic Auditory Stimulation
理学療法と併せた,リズミカル音刺激が結果として歩行を有意に改善させるという強い
evidence(Level 1a)がある.
Rhythmic auditory stimulation は脳卒中患者の歩行を改善させる
9.8
Assistive Devices for the Lower Extremity 下肢の補助装置
9.8.1 Wheelchair
車椅子
脳卒中の患者(特に片麻痺に関連した時の)はしばしば車椅子の使用を求める。車椅子は後
ろの大きい車輪を自分で駆動するタイプで開いて取り外しできるフットレストであるに違
51
いない(Blowers 1988)。車椅子は通常車輪は非麻痺側上肢で床は非麻痺側下肢を使って駆動
される(Blowers 1988)。Blowers (1988)は、患者は一時的な車椅子の使用を積極的に行われ
ている中、脳卒中リハビリテーションでも特に脳卒中の急性期の車椅子使用の利点につい
て臨床家の間での不一致があると書いている(Blowers 1988、Ashburn and Lynch 1988、
Cornell 1997、Braus and Mainka 1993、Engstrom 1995)。車椅子を早期に使用する主なメ
リットは麻痺側のサポートと大きく限られた機能的な改善と自立に関係している。
Bobath(1990)によって書かれた有名な治療計画では早期の自操は麻痺側の緊張を高め、悪
い姿勢や長期間での回復に不都合な影響を持つかもしれないと信じられ、がっかりさせた
(Ashburn and Lynch 1988)。それらは痙性の増大や一側性の促進、歩行のモチベーションの
減少を含むネガティブな影響と仮定された(Blowers 1988)。
Individual Studies
脳卒中後の車椅子の使用は普及しているにもかかわらず、私たちはいくつかの介入方法
で評価されたたった一つの RCT しか確認できていない。
Conclusion Regarding Wheelchair Mobility
脳卒中片麻痺患者に車椅子の自操を促進する事は色々な機能的な結果に影響を持たないと
いう 1 つの“良い”、不十分な RCT に基づいた Moderate(Level 1b)のエビデンスがある。
52
9.8.2 Canes and Other Walking Aids 杖やその他の歩行補助具
杖と歩行器は脳卒中患者のリハビリテーションでしばしば使用される。Kuan ら(1999)は、
歩行補助具は片麻痺患者の歩行自立を獲得するための助けとして使われてきたと書いてい
る。歩行補助具の主要な機能は(1)安定性を増大すること、(2)筋活動を改善すること、(3)
解剖学的構造をターゲットとした体重の免荷をすることである(Kuan et al.1999)。杖は支
持基底面を増大し、バランス障害のある患者の歩行を改善させる。
53
Conclusions Regarding Canes and Walking Aids
1 つの公平な RCT では四点杖が一本杖よりも姿勢の傾きを減らすのにより効果があると
いう moderate(Level 1b)のエビデンスがある。1 つの比較研究は杖歩行が片麻痺患者の歩
行の質を著しく改善し、正常な歩行に近づけるということを証明した。これは杖歩行が片
麻痺患者の歩行を改善できるという limited(Level 2)のエビデンスを構成する。
9.8.3 Robotics
ロボット
肩や肘の機能を中心とした上肢の脳卒中リハビリテーションを援助するためのロボット
の使用は最近の注意を集めている(Lum et al.2002,Krebs et al.2000)。
一般に取り組みは歩行トレーニングのためのロボット装置を発達させるのに投資されてい
る。多くの歩行トレーニングのためのロボット装置は BWS などが開発されてきた(Hesse
and Uhlenbrock 2000,Colombo et al.2000)。Lokomat トレーニングの装置を評価した3つ
の研究の結果からトレッドミルトレーニングの区分に含まれる。
私たちはまた、他動的 ROM の維持や改善によって脳卒中後の足関節の機能を改善するた
めにデザインされた the Stimulo を評価した1つの RCT を発見した。その装置は動きの最
大 ROM に達した時に背屈から底屈へ自動的に変わる。この研究の結果は以下の通りである。
54
Conclusions regarding a portable device used for ankle exercise
the Stimulo は機能的な歩行パフォーマンスを改善しないという moderate(Level 1b)のエ
ビデンスがある。
9.9
Imagery and stimulation therapy for the lower extremity
下肢に対するイメージと刺激治療
9.9.1 motor imagery
運動イメージ
Stevens は反復した運動を用いる伝統的なリハビリテーションに基づく回復は、麻痺した下
肢のパフォーマンスによると記している。運動イメージの利益は、脳に精巧な運動指令が
送られ、明白な運動が独立して生成できることである(Stevens.2003)。運動イメージによ
って生成される動きは身体運動が従うのと同じルールと制限に従うということや、運動イ
メージと運動実行のネットワークがオーバーラップしているということはいくつかの研究
者によって述べられている。運動イメージの役割の多くは上肢へのリハビリテーションに
おいて有効であることが述べられている。(Gareden2000,Stevens2003)
9.9.2 Sensory Stimulation 感覚刺激
この介入は、感覚運動の促通と観察を組み合わせ、高頻度に反復し、リズミカルにパター
ン化された訓練が機能回復を促通すると考えられている。
(Butefisch1995)
55
Conclusion for Sensory Auditory Stimulation
3 つの RCT の結果から、理学療法に感覚刺激を組み合わせることで歩行に有意な改善があ
るという強い(レベル 1a)エビデンスがわかった。
9.9.3 Functional Electrical Stimulation 機能的電気刺激
下肢に対する機能的電気刺激(FES)は歩行遊脚相での足関節背屈機能を高めるとして使
用されてきた。底屈筋の筋緊張亢進を伴う足関節背屈筋の弱化は、下垂足につながり短下
肢装具(AFO)の適応となる。歩行の遊脚相で腓骨神経への FES は、適切な代替になるだ
ろう。広く普及しておらず一般的に利用不可能だが、意欲の高い患者は独立して、または
最小の介助で歩行できる。下垂足の改善、つまりは歩行の改善に FES の治療効果の evidence
が見られてきた。それらには埋め込み型表面筋電図が使用された。Glanz(1996)のメタア
ナリシスは 4 つの RCT を含み(bowman 1979,Winchester 1983,Merletti 1978,Levin 1992)、
56
治療を行っていないコントロール群と比較し FES を使った治療の有効性を報告している。
麻痺筋の収縮力の統計学的変化で評価された Effect size は 0.63(95%CI で 0.29、0.98)で
あるが臨床的な outcome による有意差は明らかではない。4 つの研究ではほかの主要な
outcome は含んでいなかった。
近年の多くのシステマティックレビュー
(Kottink.2004)でも、歩行能力の回復にお
ける FES の治療効果について評価されてい
る。このレビューは 8 つの研究があり、その
うち 1 つだけが RCT であり、埋め込み刺激
と経皮的刺激の両方を評価している
(table9.32)。このレビューの outcome は自
然 歩 行 の 速 度 と
physiological
cost
index(PCI)である。治療効果の評価を集積し
たものは 3 つのみであった。この結果は FES が 38%(95%CI,22%,54%)において歩行速
度を改善させたことを示す。2 つの研究だけが PCI の改善を評価しており、結果は決定的で
はない。
Robbins(2006)のシステマティックレビューは歩行速度における TENS と FES の効果
を評価しており、8 つの研究結果を含み、そのうち4つは RCT であった。FES は多重チャ
ンネル FES と単一チャンネル FES を比較した研究においては、effect size が大きいが、有
効な治療効果と関連があると示している。最近の Cochrane レビュー(2006)では脳卒中
患者の機能回復に対する電気刺激はすべての形式を使用していることを示す。このレビュ
ーでは FES(神経筋再教育、神経機能代替どちらも),経皮的電気刺激、EMG、電気鍼療法
の有効性について評価している。上下肢の治療効果を評価した 24 の RCT が含まれた。3
つの outcome だけが統計学的な有益性を示したⅰ)電気刺激は下肢の随意的可動域を改善
させる、ⅱ)電気刺激はプラセボ群と比較し主動作筋と拮抗筋の共同収縮を改善させ、伝
統的な治療と比較し Fugl-Meyer スコアが改善した。著者は治療効果について更なる調査が
必要であると述べている。
57
58
59
60
61
Discussion
治療の有効性の汎化は、
促通のタイプが様々であり(シングルチャンネル vs 多チャンネル)、
治療の頻度、患者の受容性と承諾、加えてよりよいタイミングでの治療の提供(ルーチン
な理学療法)と outcome の選択などが原因で、難しいとされてきた。
Cozean(1988)は FES とバイオフィードバックを組み合わせると、標準的な理学療法、
または FES、バイオフィードバックのみの治療と比較し、よい結果が得られるとしている。
MucDonnel ら(1994)、Yen ら(2004)、Daly ら(2004)は FES と理学療法を組み合わせ
ると、理学療法のみと比べ歩行において信頼できる要素が改善するとしている。Daly(2006)
は屋外の歩行練習と BWS トレーニングを組み合わせた筋肉内神経筋刺激装置の効果を評
価している。
3 つの研究は、ODFS を使用した有効性について述べている。Burridge (1997)は理学療法を
FES と組み合わせた場合、歩行のエネルギーコストを減少させた上、歩行速度が改善する
としている。しかしながら有効性は刺激装置が使用されたときのみに見られ、キャリーオ
ーバー効果はないとされている。最近では Sheffler(2006)が伝統的な AFO が装具を装着し
ない場合や ODFS を使用する場合と比較し歩行能力に大きな改善をもたらすことを報告し
ている。まとめると、患者が ODFS の有効性に気づき、慣らしていくのに長い期間を必要
とする傾向にあるようである。
62
Conclusion for Functional Electrical Stimulation in Lower Extremity
FES と歩行練習は、片麻痺歩行の改善に対し、非常に強い evidence(レベル 1a)がある。
9.9.4 EMG / Biofeedback
EMG/バイオフィードバック
バイオフィードバック療法は聴覚的、視覚的フィードバックを用いて立位バランスや歩
行の改善といった、全体的な運動機能の改善に使用されてきた。しかし治療は幅広く何年
にも渡って行われ、たくさんのシステマティックレビューが発表されたが、その有効性に
ついての疑問は残ったままである。Moreland らは、EMG バイオフィードバックは下肢に対
する脳卒中理学療法の補助とすると有効であるが、上肢に対しては有効でないと述べてい
る(Moreland と Thomson 1994,Moreland 1998)。一方、Glanz(1995)は有効な evidence
はないとしている。
コクランレビュー(Woodford&Price 2007)は、急性期脳卒中患者の運動回復において、
EMG バイオフィードバック治療と偽治療、または治療なし群を評価した。269 人の対象者
を含む 13 の RCT からの結果は、上下肢共に回復を評価している。ROM(膝と足関節)、
歩幅の変化、歩行速度の変化、歩行の quality の変化を含む、下肢の適切な Outcome は治療
の有効性を示さなかった。
63
64
65
66
Discussion
Bach(1992)(PEDro=6)は膝過伸展と歩行の回復はバイオフィードバック群で有意に
大きかったとしている。一方、Winchester(1983)はバイオフィードバック群で膝伸展機能が
改善したとしている。Bradley (1998)の RCT(PEDro=6)は理学療法にバイオフィードバッ
クを組み合わせると動作能力が有意に改善するとしている。対照的に、Intiso(1994)は
“good ”の RCT(PEDro=6)でコントロール群と比較しどのアウトカムに関しても有意
差はなかったとしている。Wong(1997)は“fair”の研究(PEDro=5)で EMG バイオフィー
ドバックが片麻痺患者の起立を改善させたとしており、Engardt(1993) (PEDro=5)は床反力
のフィードバックが着座から起立動作に有効であったとしている。Mandel(1990)は他の fair
の研究(PEDro=4)でリズミックな位置のフィードバックが、スタンダードなバイオフィ
ードバックと比較し歩行速度の有意な改善が見られたとしている。
67
Conclusion Regarding EMG/biofeedback treatment in Lower Extremity
バイオフィードバック訓練は、大半の fair から good の質の RCT で慢性期脳卒中患者の歩
行と起立を改善するとしており、歩行の再教育において前向きな有効性があるという強い
evidence(レベル 1a)を示す。
9.10 Splinting the Lower Extremity
下肢装具
片麻痺患者における下肢装具の使用は歩行を改善するためによく行われている。上位運
動ニューロンの損傷は立脚相での膝や股関節の伸展・足関節底屈を含める歩行障害をおこ
す。歩行の遊脚相において、AFO は過度な足関節底屈・膝関節屈曲の不足を補うのに使用
される。
9.10.1 AFOs Without Peripheral Nerve Deinnervation
68
69
Discussion
Kosak ら(2000)の報告では、
“fair”の質の RCT において、aggressive bracing assisted
walking(ABAW)は partial body weight-supported treadmill training (PBWSTT)と同様の
結果であると示した。Chen ら(1999)の報告では、
“poor”の質の RCT であるが、患側へ
の重心負荷と側方重心移動の姿勢安定の有意な改善を示した。2 つのRCTでない文献と
“fair”の質の RCT(De Wit et al. 2004、Pohl and Mehrholz 2006、Wang et al. 2007)は
歩行パラメータにおいて AFO での改善を示した。
9.10.2 AFOs With Posterior Tibial Nerve Deinnervation 後脛骨筋の除神経に対する AFO
Discussion
2 つの研究を示す 3 つの文献において、後脛骨神経の除神経と AFO の使用を試みた。一
つは“good”な質の RCT で、歩行に関する結果の改善はなく、痙性の減少があった。他の
評価のない研究では、他動 ROM の有意な改善がみられた。
70
Conclusions Regarding Splinting of Lower Extremity in Stroke
足関節装具(AFO)の使用は片麻痺の下肢であまり研究されていなかった。1 つの RCT で
は後脛骨神経の除神経と AFOs の使用が歩行に効果があるか調査した。他の研究では AFO
使用での歩行の有意な改善を示さなかった。しかし、多くの RCT でない研究は AFO が歩
行パラメータを改善すると報告している。
AFO は 歩 行 を 改 善 す る と い う Limited ( Level 2 ) evidence が あ る 。 後 脛 骨 神 経
deinnervation と 組 み 合 わ せ た AFO は 片 麻 痺 脳 卒 中 患 者 の 歩 行 を 改 善 す る と い う
moderate(Level 1b)evidence がある。更なる研究が必要である。
9.11 Spasticity and Contractures in Lower Extremities
下肢における痙縮と拘縮
痙縮は,常に治療を必要とするわけではないが,脳卒中患者によくみられる.治療は重
度の痙性がある一部の脳卒中患者に最も効果的のようで,Gresyam ら(1995)によると,
“拘
縮は関節を含む動きを制限し,痛みを伴い,リハビリテーションの妨げとなり,回復の可
能性を制限する.痙縮のある麻痺肢は,とりわけ拘縮悪化の高い危険性がある.予防は効
率的なマネジメントをするために重要である.従来の対策は,よくある痙性のパターンに
対抗して肢を解剖学的良肢位に保つことと,全可動域にわたって肢を動かすことである.
徒手的なストレッチは特定の患者には効果的かもしれない(Carey 1990).痙縮の治療に対す
る薬剤の使用は,意見が分かれている.例えば,Katrak ら(1992)の無作為化試験では,ダ
ントロレンナトリウムは痙縮には効果がなく,非麻痺肢を弱化させることを発見した.拘
縮が機能を妨げる場合,スプリントやギプス包帯を含む適切な対策は関節を次第に解剖学
的良肢位や外科的整復に至らせる.上肢に膨張式スプリントを使用した Poole ら(1990)の研
究は結論がはっきりしていない.フェノールやボツリヌス菌を用いたモーターポイントの
神経ブロックは特定の患者には効果があるかもしれないが(Awad and Dykstra 1990),脳卒
中患者に対するそれらの無作為化試験は行われていない.
”
内反尖足は腓腹筋や後脛骨筋の痙性によって引き起こされる脳卒中の複雑な問題である.
治療の選択肢としては,外科的な手段だけではなく矯正器具や理学療法,アルコールやフ
ェノール,ボツリヌス菌を用いた神経剥離術を含む(Deltombe et al. 2004).現在,拘縮の治
療に関する臨床試験はないが,脳卒中後の痙縮に対する治療を考察している文献が増えて
いる.
71
9.11.1 Injection of Botulinum Toxin (BTx) ボツリヌス菌注射
ボツリヌス菌は神経毒であり,神経筋注射において,アセチルコリンの分泌を選択的に
ブロックすることで,痙性筋を弱化させる働きがある.ボツリヌス菌注射のメリットは,
一般に,注射後 3~7 日以内に物になることと用量依存的なところである.効果は上肢に関
して広く研究されており,およそ 2~4 ヶ月持続する(Simpson et al. 1996, Bakheit et al.
2001, Smith et al. 2000, Francisco et al. 2002, Brashear et al. 2002).2 種類の BTx
は市販されている Botox と Dsyport である.BTx は脳卒中後の痙性を減弱させるが,痙性
の減弱が機能的な改善につながるかどうかは不明確なままである(Gallicho 2004).BTx の長
所は,感覚を妨害しないことと特定の筋群を対象にできる能力である.
72
73
Discussion
研究では,様々な介入や結果を評価しており,結論を出すのは難しい.たった 2 つの RCT
のみが BTx の効果とプラセボを比較している(Burdaud et al. 1996, Pittock et al. 2003).
2 つとも痙性の改善を報告しているが,機能的なことは報告していない(Figure 9.6).2 つの
研究では,BTx とフェノールブロックを比較しており,痙性の測定という観点からすると
混在した結果を比較している一方,機能的なことは評価されていない.Bayram ら(2006)は
2 つの治療(BTx+FES)の効果を評価したが,要因計画を作成しておらず,サンプルサイズが
小さい.それゆえ,BTx 治療の 2 つの治療効果は区別できない.Johnson ら(2002)は,BT
と FES の組み合わせは理学療法のみと比較して痙性と機能の改善に繋がると報告している.
74
75
Conclusions
下肢におけるボツリヌス毒素を用いた神経支配除去筋は痙性を減弱させるという strong
エビデンスがある.
神経支配除去が機能的な結果の改善につながるかどうかのエビデンスは対立している.
9.11.2 Nerve Blocking in the Lower Extremity 下肢における神経ブロック
アルコールはあまり効果的でないが,アルコールかフェノールを用いた化学的な神経剥
離術は下肢の痙性をコントロールできる.神経剥離術は神経の一部分を壊し,神経伝達を
減弱させる.フェノールの効果は,数年続く可能性がある(Bhakta 2000).化学療法による
除神経は(足部の)内反を減弱させ,膝関節の不適切な動きを減らすことができる.
76
Discussion
1 つのスコアが高い研究(Beckerman ら 1996,PEDro=8)では,後脛骨神経の除神経(リド
カインクロリドを使用)と AFO の使用を組み合わせた状態で,有意に痙性が減弱した.この
研究は 2×2 の要因計画なので,プラセボの熱凝固と比較した熱凝固の効果は評価できない.
Conclusions Regarding Neurolysis
神経ブロック(神経の熱凝固)は AFO の使用と比較して,痙性を減弱させるという moderate
エビデンスがある.
9.11.3 Antispastic Medications Post Stroke 脳卒中に対する抗痙性薬
様々な抗痙性薬が研究されている.痙性に対する伝統的な薬物療法は中枢性抑制薬を含
む(バクロフェン,ベンゾジアゼピン,クロニジン,チザニジン).1960~1970 年代に発表
された RCT によるエビデンスはこれらの治療は痙性治療の一部分にだけ効果があり,衰弱
と鎮静のネガティブな副作用がある.より重要な痙性治療の導入とともに,全身性の薬剤
の使用は減少すると思われる.
77
78
Discussion
薬理学的に,5 つの研究に分けられる.症例数は 1 つの大規模研究(n=120)を除けば一般
的に少ない(n=14-60).ダントロレンナトリウムを使用した 2 つの研究があり,1 つは“良
い”研究である(Katrak et al. 1992, PEDro =7).その研究は無価値な研究で,コントロール
群と比較すると深刻な副作用と関連がある.もう 1 つの研究はポジティブ研究で,実際の
ところは質の低い研究である(Ketel and Kolb 1984, PEDro = 3).Medici ら(1989)はチザニジ
ンとバクロフェンを比較し,両方とも有益であることを発見したが,プラセボのコントロ
ール群を設定していなかった.それゆえ,実際に薬物がプラセボの域を超えて有益かどう
かを知るのは難しい.Basmajian ら(1984, PEDro = 6)は,ケタゾラムとジアゼパムはプラ
セボと比較してより効果的であることを発見した.下肢に関して,痙性は片麻痺の膝と股
関節を伸展位にして,安定させるのに大きな補助となることができ,痙性の積極的な治療
は論理的にマイナスの効果かもしれない.ようやく,Stamenova ら(2005)はトルペリゾン(中
枢性骨格筋弛緩薬)を使用し,鎮静を引き起こさずに痙性の有意な減少を報告した.62%の
患者が一般に推奨されている量よりも多い薬量で治療され,誰も有害事象が理由で脱落し
なかった.
Conclusions Regarding Medications for Spasticity
ダントロレンナトリウムは脳卒中後の痙性治療においてプラセボと比較して効果的かどう
かのエビデンスは対立している.
79
ケタゾラムやジアゼパム,トルペリゾンは脳卒中後の痙性治療において,プラセボと比較
してより効果があるという moderate エビデンスがある.
チザニジンはバクロフェンの経口投与よりも優れていないという Limited エビデンスがあ
る.
トルペリゾンは痙性を減弱させるという moderate エビデンスがある.
9.11.4 Intrathecal Drug Therapy for Post Stroke Spasticity
脳卒中痙縮に対するクモ膜下腔薬物療法
薬物はまた,移植でき,プログラムで制御できるポンプ装置を通って中枢神経系のクモ膜
下腔に運ばれることができる.バクロフェンは最も一般的に投与されるクモ膜下腔の薬物
で,たいてい重度の痙性患者のために用意されている.バクロフェンのクモ膜下腔への投
与は多発性硬化症や脳性麻痺,脊髄損傷など脳卒中以外の他の疾患に対して広く研究され
ている.クモ膜下腔注射は一定の量を投与でき,全身の副作用が少なくてすむという利点
があるが,半側の痙性を伴った脳卒中患者では非麻痺側の筋を弱化させる危険性がある.
80
Discussion
唯一,ITB(バクロフェンのクモ膜下腔投与)の効果を評価した single RCT がある.プラセ
ボと比較して,バクロフェンのクモ膜下腔投与は痙性の減弱と有意に関係があるが,機能
的な成果を測定していない.Meythayler ら(2001)(PEDro=7)はクモ膜下腔のバクロフェンは
プラセボよりもより効果的であると発見した.利点は,歩行能力を制限する下肢筋緊張の
非選択的な減弱なしに獲得することである.以前は移動が車椅子レベルであった 3 人の患
者が治療後に歩行可能となった.2 種類の単一介入群の結果はまた,バクロフェンのクモ膜
下腔投与と関連がある利点を述べている.
Conclusions Regarding Intrathecal Baclofen for the Management of Spasticity
ある RCT の結果から,バクロフェンのクモ膜下腔投与は慢性期脳卒中の痙性を減弱させる
ことができるという moderate エビデンスがある.
81