オペアンプVol.6 - リニアテクノロジー

アンプの雑音と信号源抵抗
オペアンプを使った増幅回路の雑音は、オペアンプの特性だけでなく、信号源の内部抵抗
OUT
RF
RG
や回路に接続する抵抗の大きさに大きく依存します。
RS
NI
は、オペアンプの雑音を考慮した反転増幅回路です。入力に電流源としての性格を
NV
持つ雑音源NIと電圧雑音源NVが接続されていると考えることができます。増幅器の出力
には、NIに起因する雑音とNVに起因する雑音、そして抵抗から発生する熱雑音が総合し
て現れます。熱雑音(VNR)は 1 式で与えられ、理想アンプでも発生します。
はこれらをふまえて、信号源抵抗とノイズの関係を示したものです。図に太線
で示したのが出力に現れるノイズの総量で、大きく三つの領域に分けられます。
VNR = 4kTBR
1
k :ボルツマン定数(1.38×10−23[J/K])
T :絶対温度[K] B :バンド幅[Hz]
R :抵抗値[Ω]
信号源の抵抗が小さな A の領域では、オペアンプの電圧性雑音が支配的です。信号源抵
抗を大きくしていくと抵抗の熱雑音が見え始めます。図中に示した黒点は、オペアンプの
100
点を超えてしばらくの間、図に B で示した区間では、抵抗の熱雑音が支配的になります。
信号源抵抗がさらに大きな C の領域では、オペアンプの電流性雑音(NI)の影響が顕著に
なり、信号源抵抗(R S+R G// R F)に比例して雑音が大きくなります。これらを総合する
と、図の B の領域がオペアンプの雑音の影響が最も少なく、この領域でオペアンプを使
うのが好ましいと言えます。しかしながら、NIやNVの大きさはオペアンプの品種により
異なります。また、RGやRFは任意に設定できてもR(信号源の内部抵抗)
は信号源によっ
S
て決まってしまいます。抵抗を追加するなどの方法で変えることはできません。したがっ
て、信号源抵抗にマッチした雑音特性を持つオペアンプを選択することが大切です。
、LTC、
LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
ThinSOTはリニアテクノロジー社の商標です。
その他の商標は、該当会社のものです。
ノイズ電圧(nV Hz )
雑音と抵抗の熱雑音が同じ大きさになる点を示しています。信号源抵抗の大きさがこの
全雑音
C
10
B
抵抗の熱雑音
A
1
0.1
10
電圧雑音
100
1k
10k
信号源抵抗(Ω)
100k
話題 の 製品
LTC6241/LTC6242
デュアル/クワッド18MHz、低ノイズ、R-R CMOSアンプ
0.1Hz〜10Hzノイズ:550nVP-P
入力バイアス電流:1pA(標準)
低いオフセット電圧:125μV
(最大)
C3
10pF
低いオフセットドリフト:2.5μV/℃(最大)
利得帯域幅積:18MHz(標準)
C4
10pF
レール・トゥ・レール出力振幅
電源電圧:2.8V〜6V、
HVバージョンは2.8V〜±5.5V
C1
10pF
R1
200k
R4
4.99k
+2.5V
R3
4.99k
–
VIN
SO–8および3mm×3mm DFN(LTC6241)
、
SSOP–16および5mm×3mm DFN(LTC6242)
LTC®6241/LTC6242は、入力バイアス電流1pAのデュアル/クワッド
低ノイズ、低オフセット、レール・トゥ・レール出力、ユニティゲイン安
定のCMOSオペアンプです。0.1Hz〜10Hzのノイズは僅か550nVP-P、
オフセット電圧125µVなど従来のCMOSアンプでは達成できなかった
性能を実現しています。さらに、1kHz時のノイズは10nV/ Hz以下に保
証されています。18MHzの利得帯域幅、10V/µsのスルーレート、広い
電源電圧範囲、低い入力容量は、高速信号調整アンプとしても完全に利
用できます。
1/2
VOUT+
LTC6241
–
+
1/2
–2.5V
VOUT–
LTC6241
+
R2
200k
C2
10pF
▲ 低ノイズのシングルエンド入力、差動出力アンプ
LTC6078/LTC6079
マイクロパワー高精度、デュアル/クワッドR-R入出力CMOSアンプ
最大オフセット電圧:25μV
(25℃)
最大オフセット・ドリフト:0.7μV/℃
最大入力バイアス電流:1pA(25℃)
、50pA(≤85℃)
マイクロパワー:54μA/アンプ
CMRR:95dB(最小)
、
PSRR:100dB(最小)
入力電圧ノイズ:16nV/ Hz
レール・トゥ・レール入出力
MSOP–8および3mm×3mm DFN(LTC6078)
、
SSOP–16および5mm×3mm DFN(LTC6079)
5V
SMT
1/4W
150k
NORMALLY
FLOATING
+
1/2
0.1µF
LTC6078/LTC6079は、低消費電力、レール・トゥ・レール入出力振幅
のデュアル/クワッド、低オフセット、低ノイズのCMOSオペアンプです。
入力オフセット電圧は25µV以下に調整され、CMOS入力はバイアス電
流50pA以下です。低いオフセットドリフト、優れたCMRR、そして高電
圧利得は、高精度信号調整のための良好な選択を実現します。それぞれ
のアンプ(アンプ1個あたり)は、3V電源電圧時わずか54µAの消費電
流です。マイクロパワー、レール・トゥ・レールなので、ポータブル機器
や単一電源アプリケーションに最適です。
OMEGA
5TC-TT-K-30-36
THERMOCOUPLE
OUT = 10mV/˚C
0˚C TO 500˚C ±0.5˚C
LTC6078
SMT
1/4W
150k
–
5V
2.49M
K
LT1025
1k
40.6µV/˚C
100pF
10k
5.6pF
AMPLIFIER PROTECTED TO ±190V, ACCIDENTAL CONTACT
▲ 熱電対信号調整
LT6230/6230-10/6231/6232
215MHz、レール・トゥ・レール出力、
1.1nV/ Hz、3.5mAオペアンプ・ファミリ
低ノイズ電圧:1.1nV/ Hz
低消費電流:3.5mA/アンプ(最大)
低いオフセット電圧:350μV
(最大)
利得帯域幅積:215MHz、AV=≥1
(LT6230)
、1450MHz、
AV=≥10(LT6230-10)
広い電源電圧範囲:3V〜12.6V
VS+
レール・トゥ・レール出力振幅
+ 1/2
IN+
同相除去比:115dB(標準)
LT6231
SOT–23(LT6230/-10)
、
SO–8およびDFN(LT6231)、
–
SSOP–16(LT6232)
LT ® 6230/LT6231/LT6232は、1.1nV/ Hzのノイズ電圧とわずか
3.5mAの消費電流(アンプ1個当たり)を特長とする、シングル/デュ
アル/クワッド、低ノイズ、レール・トゥ・レール出力、ユニティゲイン
安定オペアンプです。ノイズと消費電流が非常に低く、利得帯域幅積が
215MHz、スルーレートが70V/µsで、低電源電圧信号調整システムに
最適化されています。LT6230-10はさらに高利得のアプリケーション
向けに最適化されたシングル・アンプで、より広い利得帯域幅とより高
いスルーレートを実現。LT6230とLT6230-10は、消費電流を10µA以
下に低減するためのイネーブルピンを搭載しています。
R4
499Ω
R6
499Ω
VS+
R2
196Ω
+
R1
10Ω
1/2
VOUT
LT6202
–
–
IN–
1/2
R3
196Ω
R5
499Ω
VS–
R7
499Ω
LT6231
+
VS–
AV = 40
BW = 5.1MHz
VS = ±1.5V to ±5V
IS = 10mA
EN = 5.8µVRMS INPUT REFERRED,
MEASUREMENT BW = 8MHz
▲ 低ノイズ、低消費電力の計装アンプ
データシートと評価サンプルについては、当社Webサイトまたは販売代理店にお問い合わせください。
LT1678/LT1679
デュアル/クワッド、低ノイズ、R-R高精度オペアンプ
レール・トゥ・レール入出力
100%テスト済みの低電圧ノイズ:1kHzで3.9nV/ Hz(標準)
、1kHzで5.5nV/ Hz(最大)
単一電源動作:2.5V〜36V
オフセット電圧:100μV(最大)
3
低い入力バイアス電流:20nA(最大)
2
高いAVOL:3V/μV(最小)
、RL=10k
1/4
1k
1
30k
LT1679
–
RF
3.4k
15V
5
GUARD
SO–8
(LT1678)
、
SO–14(LT1679)
LT1678/LT1679は、低ノイズと高精度を提供するデュアル/クワッ
ド・レール・トゥ・レール・オペアンプです。3.9nV/ Hzの広帯域ノ
イズ、4Hz の 1/f コーナー周波数、90nV のピーク・ツー・ピーク
0 . 1 H z 〜 1 0 H z ノ イ ズ と い っ た 優 れ た ノ イ ズ 性 能 に 加 えて 、
100µV(最大)のオフセット電圧、100dB以上の同相除去および電
源除去、20MHzの利得帯域幅積などの卓越した高精度仕様を実現。
3Vの低い単一電源アプリケーションでも高精度と低ノイズを達
成します。また、位相反転なしに電源レールを100mV超える入力
範囲が可能で、出力は両方のレールの170mV以内に振幅可能です。
+
+
INPUT
–
1/4
8
+
LT1679
–
10
RG
100Ω
4
1/4
7
6
RG
100Ω
9
+
OUTPUT
LT1679
–
11
30k
–15V
GUARD
GAIN = 1000
13
12
–
1/4
14
RF
3.4k
LT1679
1k
+
▲ シールドドライバ付き計装アンプ
低ノイズ電圧:1.9nV/ Hz(100kHz)
低消費電流:3mA/アンプ(最大)
利得帯域幅積:100MHz、低 み:1MHzで−80dB
低いオフセット電圧:500μV(最大)
広い電源電圧範囲:2.5V〜12.6V
SOT23–5およびSO–8(LT6202)、
SSOP–16およびSO–14(LT6204)
、
SO–8、
MSOP–8および3mm×3mm DFN(LT6203)
LT6202/LT6203/LT6204は、1.9nV/ Hzのノイズ電圧とわずか
2.5mAの消費電流(アンプ1個当たり)を特長とする、シングル/デュ
アル/クワッド低ノイズ、レール・トゥ・レール入出力、ユニティ
ゲイン安定オペアンプです。ノイズと消費電流が非常に低く、利
得帯域幅積が100MHz、スルーレートが25V/µsで、低電源信号調
整システムに最適化されています。2.5V〜12.6Vの電源電圧範囲
で性能を維持し、3V、5V、±5Vの各電源で仕様が規定されています。
高調波歪みは1MHzで−80dBc以下なので、低消費電力のデータ
収集システムに適しています。
–
1/2
2k
LT1739
50Ω
+
1k
•
VL
100Ω
LINE
1/2
LT6203
1:1
VD
LINE
DRIVER
1k
–
+
•
VR
LINE
RECEIVER
+
1/2
LT6203
+
–
1/2
1k
50Ω
1k
2k
LT1739
–
▲ 低ノイズ、4線から2線のローカル・エコー・キャンセル差動レシーバ
利得帯域幅積:60MHz
両レールを含む入力同相範囲、レール・トゥ・レール出力振幅
低消費電流:1mA(最大)
入力オフセット電圧:350μV(最大)、
入力バイアス電流:150nA(最大)
広い電源電圧範囲:2.2V〜12.6V
大きい出力電流:50mA(標準)
SO–8および高さの低い(1mm)
ThinSOTTM(LT6220)、
SO–8および3mm×3mm DFN(LT6221)
、SSOP–16(LT6222)
www. li near - tech.co. j p
VS+
3.24k
VS+
1pF
100k
VS+
IPD
PHOTODIODE
~4pF
10k
30pF
–
VS–
33k
+
LT1634-1.25
VOUT
LT6220
VS = ±1.5V TO ±5V
VS–
▲ ステップ利得フォトダイオード・アンプ
LT6220/LT6221/LT6222
シングル/デュアル/クワッド60MHz、
20V/µs低消費電力、R-R入出力、高精度オペアンプ
LT6220/LT6221/LT6222は、優れたDC特性を備えたシングル/デュ
アル/クワッド低消費電力、高速レール・トゥ・レール入出力オペ
アンプです。同等の帯域幅をもつ他のデバイスと比べて、消費電
流と入力バイアス電流が少なく、入力オフセット電圧が低く、DC
利得が優れています。標準で入力オフセット電圧が100µV以下、
入力バイアス電流が15nA以下、開ループ利得が100V/mVです。
入力範囲は両電源レールを含み、出力は両方の電源レールの
10mV以内に振幅するので、低電源アプリケーションでの信号ダ
イナミック・レンジを最大にすることができます。
LT6202/LT6203/LT6204
シングル/デュアル/クワッド100MHz、
R-R入出力、超低ノイズ(1.9nV/ Hz )
、低消費オペアンプ
お役立ち 技 術資料
ここに掲載した技術情報は一部です。
リスト内の情報や製品のデータシート、その他の技術資料は、すべて当社のWebサイトよりご覧いただけます。
www. l inear -tech.co. jp
DN 374
英語
Monitor and Protect Automotive Systems with Integrated Current Sensing
DN 355
最適ノイズ性能を得るためのオペアンプ選択の手引き
DN 343
低電圧アプリケーションに多様性をもたらすビデオ差動アンプ
DN 333
使いやすい差動アンプによる平衡信号設計の簡素化
DN 331
3mm×3mmパッケージのデュアル25µVマイクロパワーオペアンプ
DN 323
低電圧電源での出力振幅を最大化する新しい計装アンプ
DN 308
レール・トゥ・レールで動作し、2.5mAしか消費しない低ノイズ100MHzオペアンプ
DN 306
高性能オペアンプによる高精度波形合成
DN 302
超高精度計装アンプによる堅
DN 298
高電流アプリケーションにおける柔軟な負荷保護のためのLT1970パワー・オペアンプによる 即応型可変電流制限
DN 291
LT1567デュアル・アンプ構成ブロックを使った 低ノイズ差動回路の設計
DN 286
2mAしか消費しない 高速高精度 80MHzアンプ
DN 276
LTC1564:デジタル制御アンチエリアシング/リコンストラクション・フィルタによる 高性能DSPデザインの簡素化
DN 264
高出力デスクトップLCDバックライト・コントローラによる 広い調光率のサポートと、
ランプ寿命の延長
DN 254
LT1806:ボード・スペースを節約する 325MHz低ノイズ レール・トゥ・レールSOT-23オペアンプ
DN 251
ディスクリート・ローパス・フィルタを置き換える、
設計努力不要、部品2種類のみ、簡単なLTC1563
な熱電対用インタフェース
Linear Technology Magazine Vol. 12 No.3
英語
負荷回路を保護する 高精度電流制限パワーオペアンプ
Linear Technology Magazine Vol. 9 No.4
英語
入力が正電源以上でも動作 するSOT-23マイクロパワー、レール・トゥ・レール・オペアンプ
www. l inear -tech.co. jp
全製品のデータをご覧いただけます。
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