Page 1 第5ー号 ー994年 5 月25日 ~ ロ , : フ そ フ ご 」のリス トの一 をご

第51号 1994年 5月 25日
ウイメンズ
ブ ックス
ウイメンズ
ブックス 電
『
Wornenb Books
5月 25日 発行
`ウ イメンズブック友の会会報
0
0
6
0
0
7
10,001円 以上
円 円 円 円
m円 年会贅個ノ
Ч却 円団体alXXl恥
o入 会鐘
0
0
5
TEL/FAX 075‐ 441‐ 6905
振替 貯 金 口座 京都 8‐ 7950
て い ま丸
2,000円 まで
2,001円 ∼4,000円 まで
4,001円 ∼ 10,000円 まで
0
0
4
ウイメンズブ ックス トア
発行所 有 限 会 社 松 香 堂 書 店
〒 鉱 都市上京区下立売通西洞院西入 る
この リス トの書籍をご希望の方は、
同封の振替用紙の通信欄でお申 し
込み下さヽ、書籍代は送料共でお振
り込み くださいますようお願 い致
します。
ご注文の本の定価の合計額に、
下の
表の送料を合わせてお送 り下さし、
なな お電話でのご注文も受け付け
ウ イ メ ンズ ブ ック最 新 刊
[女 性問題 とは ?]
『近代家族 の 成立 と終焉 』
上野 千鶴子 岩波書店 1994年 3月 2200円
著者 の分析 力 に い よい よ磨 きが かか って きた。近代 と
家族 の分析 が、著者の一貫 した フェ ミニ ズムの視 点 か
『図表 でみる女の現在
―シリーズ (女 。あす に生 きる〉②男女共生へ の指標』
フオー ラム女性 の生活 と展望編 ミネルヴ ァ書房
ら、歴 史社会学 的、文学社会学 的 に、ス リリ ングに展
開 される。 フ ァ ミリー アイデ ンテ ィテ ィー の 変容 、梅
樟 家庭学 の謎解 き、江藤淳、斉藤茂男の著書 にふ れて
語 られ る「母 ・ 妻」 イメー ジの 考 察が圧巻。久方 ぶ り
の 時代 史的、社 会思想史的労作 。
女 の 現在がひ と目でわか る きめ細か なデー タ集。家
8分 野にわたって豊富な図表 と適切
族・ 労働・教育他、
な解説が付 いて い る。女にとって、果 た して時代 は進
んでいるのか。 まだまだ生 きに くい女 の現在が、数字
や図表 か ら読み とれる。
『 自治体 の女性 政策 と女性問題 講座
―そ の取 り組 み 方 ・創 り方』
グル ー プみ こ し (藤 枝澪子 牧里政子
『フ ェミニズムの母 たち
―アメ リカのクェー カー女性 の物語』
マーガ レッ ト・H・ ベ イ コン 岩田澄江訳
魅 力 的な講座 の組 み方 とは ? 試 行錯誤 の 中で積 み重
ね た実践 か らグ ループみ こ しが つ か んだ確信 と方法論
が、本書 には詰 まって いる。
未末社 1993年 12月 3914円
「魂 │こ 性別はない」 の言葉通 リクェーカー女性 の フロ
ンテ ィア精神 は、世 界初 の女性 の権利宣言、奴隷制廃
止運動、女性参政権運動な どに発露 した。非暴力主義
をベー スに、女性運動 と平和運動 に果た した彼女たち
の役割 は大 きい。未来のフェ ミニズムにつ なが る源流
ともいえる。
米 田程 子 )
学 陽書房 1994年 2月 1800円
「 グルー プみ こ し」 とは、 関西 の 行政担 当者、 一 般市
民 、研究者 をメ ンバ ー に、女性 政 策 につい て 考 え アプ
ロー チ して い る グル ー プ。 女性 問題 とは一体何 な のか 、
『女性 の解放 社 会 の解放』
水 田珠枝 安川悦子他 ユ ニ テ 1993年 9月 2060円
1989年 、中国江蘇省社会科学 院で行 われた 日中女性 学
研 究者 の シンポ ジウム記録集。経 済改革、対外 開放 政
策 の 中で、経済効率 を上 げるため に「女 よ家庭 に帰 れ」
とさえいわれ る中国。働 く女性 の増 加 で、女性 の 自立
のための家事 の社 会化が求め られ る 日本。女性解 放 の
路 線 を巡 る両 国 の差 異 を語 る討論 が興味 深 い 。
1994年 2月 2800円
『男女協働社会の創造』
金平輝子編 ぎようせ い 1993年 9月 3200円
『21世 紀 の地方 自治戦略全 14巻 』 の うちの第11巻 。編
者 は東京都副知事。今後の地方 自治戦略の 目標 の一つ
として男女協働社会 の創造 をかかげ、その理念や行動
計画、 自治行政 を担 う女性職員 の現状や課題 をまとめ
ている。情報が首都 圏に偏 っているのが、い ささか気
になる。
ウイメンズ
『平成眸 版 女性 の現状 と施策
一変わる家族 と女性の生活』
総理府編 大蔵省印刷局 1994年 1月 2600円
女性自書が読みやす くなった。女性 をとりまく変化 ―
①高 くなった進学率②増える就学率③遅 くなった結
婚・ 出産④少なくなった子供数⑤長 くなった人生⑥少
しは増えた政策決定参画 と、総理府は自画自賛しつつ、
デー タで跡づける。女性問題に関する資料として有効
に使える書。
第51号 1994年 5月 25日
ブックス
『元気の出る看護論』
宮子あず さ
日本看護協会出版会
19944「 1ナ:
1600H
患者 さん の 向 こ うに社会がある ―をモ ッ トー に、著者
はのびのび と看護婦 とい う職業 を生 きる。本書には看
護技術 のポイ ン ト、看護婦仲 間のスケ ッチがい きい き
と描かれてい る。現場 をもつ貴重なライ ターの、 これ
か らが楽 しみ。
『こん な女子学生 に内定 を出 したい』
秋葉ふ きこ KKベ ス トセラーズ
増補版〉
』
『マザコン少年の末路 ―女と男の未来 〈
上野千鶴子 河合出版 1994年 2月 7∞ 円
著者は本書で「母子密着の病理」の例 として「自閉症」
“
ること
をあげたことについて、「母性神話」に荷担す
になるのでは ?"と 指摘 を受けた。増補版の付録は、
その指摘 について著者が書き下ろしたもの。情報の送
り手・受け手 としての責任、経験 しないことへの想像
力、指摘された事実への対応など、考 えさせられる。
就職活動 は、社会の仕組みに圧倒 されなが らも自分 と
向 き合 うチ ヤ ンスなのだ と思 う。企業 に とって人を採
用す るとは、大 きな買 い物 をするとい うこと。著者 は
銀行で働 いていた頃、人事 を担当6面 接官 も経験 した
とい う。 そのア ドバ イスには、単なるノウハ ウではな
く、就職 してか らも役立つ知恵が詰 まっている。
増刊号「河合おんぱろす 一上野千鶴子著 『マザ コン少
年の末路の記述をめぐって』」
河合出版 1994年 4月 1000円
上記の本の自開症児に関する文章へ の質問 と抗議を受
け、なされた話 し合 いの経過記録。話 し合いの中で微
妙 にすれ違うものはなにか。怒 りを感 じる者にとって
ι
は「私のどこ力れヽ
ナなかったのですか」 と聞かれるよ
り、
「あなたはそのことでどんな思 い をされたのです
か」 と聞かれる方が、もっと近 しい気持ちではなかっ
たか と思う。
『仕事 と子育 て両立マニュアル
ー勇気 と希望の玉手箱』
富士通 ウーマ ンズ ネ ット編著
ンター
出版局 1993年 12月 1200円
情報 セ
パ
コンの
ネ ッ トワー ク通信 で、女性が仕
富士通 には ソ
つい
て情報交換す るシステムがあ
事 と子育ての両立に
る。本書 はそ こに蓄積 された「情報 =勇 気 と希望の知
恵」 を、社外 の女性 たちにも広めたい とまとめた もの。
自らの経験 をもとに交換 しあった情報が、女性同士 を
勇気 づ ける希望の玉手箱なのだ とい う発想 が うれ しい。
[女 性 と仕事]
『育児を乗 り切 る知恵 と夢
―ワーキ ングマザー シリーズ③』
菅原具理子 フレーベル館 1994年 2月 1200円
「 これか らの女性 は働 きなが ら子育て をするのが 当た
り前」 と著者 はい う。そのためにも自らのライフデザ
イ ンを考え、 どう生 きたいのか を描 いてみる必要があ
る と提案 している。
1994年 2月 1000円
『職場の女性特派員』
ジェリア・エ ドワーズ 太田昭子訳
1994年 1月 2800円 平凡社
一 口に「女性特派員」 とはいつて も、本 当はひとくく
りにで きる ものではない。著者がい うよ うに「彼女た
ちはみな個人 として貢献 したのであつて、女性の代表
として貢献 したのではない」 のだか ら。本書は戦場 に
おける女性特派員たちの個別な仕事 を掘 り起 こす中か
らt彼 女たちに共通 した「 もう一つ 闘vヽ (性 差別 との
問い)」 を見事 に描 き出 している。
『内定者 にきけ
-17人 の女子学生が ここまで語 った就職活動』
猪熊 ひろこ 小倉美保 吉田弥生
コメンテー ター :秋 葉 ふ きこ 太田出版
ヽ
1994年 3月 1300円
!
『変 えよう男女の働 き方
―女性 の労働 。生活時間実態調査』
連合女性局 労働教育 セ ンター 1994年 1月 380円
1993年 に連合が行 つた1万 人ア ンケー トの総 まとめ。誰
もが働 きやす い職場 づ くりを目指 して、「仕事 と家庭
責任 を担 うことので きる労働時間短縮」 を提言 してい
る。で も労働時間の問題 だけでな く、賃金格差ゃ昇進
差別、社会保障制度の問題点 にも触れては しかつた。
女子大 生の就職採用は「氷河期 に入 った」 といわれた
昨年。今年2月 末で も8割 しか就職が決 まっていない と
い う。本書 は、そんな中で内定を とった学生は、 どん
な活動 を したのかを取材。内定 をもらうための女同士
の情報交換 は、就職活動 の大切なアイテ ムだとは思 う
が、パ ブルがは じけたあ とで女が割 りを食 っている と
第51号 1994年 5月 25日
ウイメンズ
い う事実 を忘れた くはない。
『ニュー・ フェミニズム・ レビュー⑤
―リスキー・ ビジネス 女 と資本主義 の危 い 関係』
上野千鶴子編 学陽書房 1994年 3月 1600円
仕事 をしていようとしてい まい と、誰 もが消費 と生産、
そ してお金の影響か ら逃れ難 く生 きてい ることには変
わ りない。本書は女性が「 ミイラと りが ミイラにな り
かねない きわ どさ」 の中で、働 いてい る現実 を直視。
「女 と資本主義 の危 い関係」 に、冷静なアプ ローチを
試みてい る。
『労働力の女性化 -21世 紀へ のパ ラダイム』
竹中恵美子 久場嬉子編 有斐閣 1994年 3月 1957円
働 く女性が増 えたとはいって も、現代 日本 は女性が働
きやす く生 きやすい社会 にはなっていない。疑似パー
トタイマー、M字 型労働、世 帯単位・大企業有利の社
会保障制度 など問題は山積 してい る。本書 は 日本女性
の労働 をめ ぐる現実 を多角的 に分析。女性が当た り前
に働 き、一 人の独立 した個人 として生 きる道の創造 を、
労働論の視点か ら模索 している。
『私たちの就職手帖 (954版 〉 vol.14』
私たちの就職手帖編集 部編著
WAVE出 版 1994年 2月 1200円
1980年 に創刊 した本書 は、今年、従来の ミニ コ ミ誌か
ら単行本 になった。編者たちが 自らの「足」で集めた
情報 は、か な りの値打ち もの。時代 を反映 して「内定
が取れなかった らどうす る ?」 とい う章 もある。
[女 性論・ エ ッセイ]
『いの ちを産 む』
森崎和江 弘文 堂 1994年 2月 1500円
産 むこ とを、 異性 と子 に関 わ る他 者 の発見 と して こだ
わ り続 ける著者 のエ ッセ イ。 混沌 とした思 いの 中か ら、
対 象へ の 自己 の投影 と、他 者 との共生 を求 め る著 者 の
思想がおだやか に語 られ る。
『言 わせ ても らえば』
ア ンナ・ ク ィ ン ドレン 松 井 み ど り訳
文藝春 秋 1998年 12月 2100円
小粋 でお しゃれ なア ンナ・ ク ィ ン ドレ ンのベ ス ト・ コ
ラム集。著 者 はプライベ ー トとパ ブ リックの交差 点 に
立 ち、 ア フ ァーマ テ ィブ・ ア ク シ ョンを支持 し、 エ イ
ズの 人 々 に寄 り添 い、子 どもた ちに とって も強 ―い味
方。彼女 は頭 のて っぺ んか ら足 の先 まで、私 はオ・ ン・
ナ と言い切 るス トレー トなオ ピニ オ ン リー ダー だ。
『おか しくつて もダイジ ョー ブ !!』 (文 庫 )
香 山 リカ 早川書 房 1994年 1月 560円
1990年 か ら93年 までに起 こった社 会現象 の 中か ら、象
ブックス
徴 的 なものをビックアップ。メデ ィアを通 して知 った
ことを、メデ ィアで解説するあた りが現代的。精神科
医・ 香 山リカの文庫版オリジナル・エ ッセイ集。
『結婚 します しません ―シリーズ女 の決断5』
グループRIMtt NTT出 版 1994年 3月 1300円
結婚 しようが しまいが個人の 自由なのに、 日本の社会
は い らぬお節介 が 多す ぎる。「だか ら結婚 しませ ん」
も「 だか ら結婚 します」 も、その人の勝手だ と思 うの
だが。 もう少 し風通 しのいい人間関係 を、 と思 う。
『会社人間失格 !!』
酒井順子 読売新聞社 1994年 3月 1000円
キ ャ リアウーマ ンを目指 して就職 した著者。
「 しか し、
現実 は違った」 とい う。会社で働 くとい うことは、 ま
ず「 りっばな会社 員 (つ まり組織 の 人)」 │こ な らなけ
れば い けないか らだ。本書は「落ちこぼれ」会社員だっ
た著 者が書 いたエ ッセイ集。
『グ ッ ド・ ガール 、パ ッド・ ガール
ーアメリカ・コラムニス ト全集③』
アンナ・クインドレン 廣木明子訳
東京書籍 1992年 10月 1700円
著 者 1ま 『ニ ュー ヨー ク・ タイムズ』 の コ ラム ニ ス ト.
自らをバ ッド・ ガールだった とい うクィン ドレン。 し
か し80年 代 に入 って、女にはグッ ドもバ ッ ドもな く
「最
善 を尽 くして生 きようとする女たちがいるだけ」 とい
う。 タイ トルに込めた思いを短文で書 き表す姿勢 には、
フェ ミニズムの思想が流れてい る。
[女 性 の歴 史 ]
『緑組 と女性
―シリーズ比 較 家族3家 と家 のはざまで』
田中真砂子 大口勇次郎 奥 山恭子編
比較家族史学会監修 早稲 田大学 出版部
1994年 3月 3700円
文化 人類学、民俗 学、法社会学、女性史など、多方面
の研 究者が、婚家 と実家の狭間に生 きる女性 をテーマ
に学 際的研究を した書。中で も北陸地方の「セ ンタク
ガエ リ」 (長 期里帰 り)や 「バ ン」 (定 期的に繰 り返 さ
れ る短 期 の里帰 り)の 慣行が、嫁 の本拠地が実家 にあ
るこ とを示 し、やがて主婦権 を得て い くまでのプ ロセ
スや しきた りが面 白い。
『オ トメの祈 リ ー近代女性 イメー ジの誕生』
川村邦光 紀伊國屋書店 1993年 12月 1880円
オ トメたちは近代 の女性雑誌の読書経験 を通 して、 オ
トメ体 (女 学生言葉 の文体)に よる想像 の共同体 を形
成 した。 しか しそ の行 きつ く先 は、「満州」 や朝鮮 で
の植民地生活 をの どかに享受する意識だった。良妻賢
母 につ ながるオ トメ共同体のイデオ ロギー と差別性 を、
もう少 し突 き詰めては しい思いが残 る。
ウイメンズ
(4)
『写真記録
にいがたの女性史』
新潟女性史 クラブ編著
郷土出版社
1994年 2月 4500円
時代 を明治、大正、昭和戦前・ 戦後に区分 し、新潟の
女性 史 を写真で追 った資料集。ベー ジをめ くっている
と、新潟 とい う土地柄 と時代の流れが女性 に与えた影
響が伝 わつて くる。
『女帝 のロシア』
小野理子 岩波書店 1994年 2月 580円
ロマ ノフ王朝の女帝 エ カテ リーナニ世 の伝記。34年 間
の在任 中、領土拡大 と学問芸術 を振興 させた女性。啓
蒙思想 の洗礼 を受け、 ロシア・ アカデ ミー初代総裁に
なったダー シヨワ候爵夫人 との交遊。二人 の女性の回
想録 をもとに、ポチ ヨムキ ン他が登場す る壮大な18世
紀 ロ シアの歴史が語 られる。
『スウェーデン女性史全略
-1女 、仲間を見 つ け る (古 代 か ら十八世紀 まで)
2女 、 日覚めは じめる (十 八世紀か らフ レ ドリカ・
プレーマー まで)
3女 、 自分 の道 を探す (自 由主義か ら現代 まで)』
ア リス・ リュツキ ンス 中山庸子訳
學藝書林 1994年 3月 3090円
歴史 とは事実その もの とい うより、書 き手が 自らの視
点 で描 き出 した物語 といった方がいいのだ と思 う。本
書 の著者 は小説家。女性 を歪めた ものは何 か、女性 の
自立 に必要 な ものは何 か とい う思 い を下敷 きに、 ス
ウ ェーデン女性 の歴史 を追っている。変革 を願 う気持
ち、女性 を見つ める視点のや さしさが大 きな魅力の歴
史書。
『 せいいつぱい 一土井たか子半 自伝』
土井たか子 朝 日新聞社 1993年 12月 13∞ 円
55年 体制のまっただ中を、土井たか子 は青天の解麓で
衆議院議長 となっ
社会党委員長 にな り、
政治家にな り、
た。彼女を取 り巻 く豊かな人脈 とネ ッ トワー クは、彼
女 の去就に賛否両論 を示 しつつ、彼女 を支 えて きた。
「 昭和」天皇へ の記帳問題 も、護憲 の立場か らの判断
だ と、 自ら本書 で明言 している。
『 日本女性 の歴史 一文化 と思想』
総合女性史研究会編 角川書店 1993年 10月 15∞ 円
テ ーマ別 日本女性 史 の歴 史第3弾 。本書 はそれぞれの
時代 を見 る中で、女の繊れ観 の発生 と女性差別思想 の
プ ロセスをた どり、近世 の三従七去か ら近代 の女性解
放 の芽生えを跡づ ける:そ して現代、女性 自身の手 に
よる旧来の女性観の見直 しが始 まるまで、時代 の流れ
を読 む一冊。
第51号 1994年 5月 25日
ブックス
『わがの仕事』
中村 きい子 思想の科学社 1993年 3月 4944円
4半 世紀前 に読 んで衝撃 を受 けた「女 と刀」以後、久
しぶ りに出会 った中村 きい子の 自叙伝。 わがの仕事は
書 くことな りというが如 く、相変 わ らず筆致は力強い。
薩摩 の外城士族 の体制の中にあつて、 自立 を生 きる女
の息吹が さわやかだ。
[か
らだとこころ]
『明 るく、乳 がん』
吉井佳容子 新泉社 1994年 4月 1751円
著者 自身の乳が ん体験が、明る く率直 に語 られる。周
囲の支 えと十分 な心 の準備、医者 とのイ ンフ ォーム ド
コンセ ン トを通 して納得のい く手術 と術後 の生活が記
分か りやす いチエツ
乳が ん治療の最前線、
されてい る。
クポイ ン ト、患者 グループのCR的 話 し合 い など、乳
がん体験者 に明る く勇気 を与 える、おすす めの一冊。
『ある日本人ゲ イの告自』
飯塚真紀子 草思社 1993年 12月 1800円
アメリカに渡 り、 自分 らしい生 き方 を模索 している う
ちに、エ イズに感染 していることがわかった ヨースケ。
「 ミス ターHIV」 だ とい う。本
今、彼 の最大 の親友 は
書 はエ イズ とすべ てを分けあい、共に生 きる決意を し
ている一人の男性 の闘病記。
『癒 しのセクシー・ トリップ
ーわた しは車イスの私が好 き』
安積遊歩 太郎次郎社 1993年 11月 1800円
「癒 し」 とは 自分 と向 き合 うこと。「なぜ私 は悲 しい
のか」「なぜ私 はそ う思 うのか」 とい うふ うに。そ し
てそ こか ら自分が変われ る可能性 を見つ け るのが「癒
し」 なのだ。本書 を読みなが ら、私 は 自 らの 中にまだ
癒 されて い ない気持 ちがある ことに気が ついた。「癒
し」 とは一度 で終 わるのではな く、常 に自分 を見つめ
続けること。私はそれを忘れていた。
『美 しさとい う神話』
リタ・ フリー ドマ ン 常田景子訳
新宿書房 1994年 3月 3200円
として機能す る。女 もまた
らの要求
の基
は社会か
美
準
の基
して女
を通
自身を見 る。「私の存在
む美
準
男が望
を強めて い く女たち。
って、
さらに依存
と願
を認めて」
で
を美 しい と思 うこ
自分
しさは、
自分
は「女の美
著者
の
を破 ったジヨー ジ
と励
ます。美
神話
とか ら始 まる」
。
ー
の
が魅力的。
フの生
き方
紹介
ア オキ
『更年期 であるとい うこと』
安部徹良 学陽書房 1994年 4月 1400円
閉経年齢 が平均寿命にほぼ等 しかつた時代 か ら、閉経
後、30年 を生 きる時代へ。更年期 はその「ふ しめ」に
ウイメンズ
第51号 1994年 5月 25日
ある。23年 前、東北大学 に開設 された更年期外来に従
事 して きた著者が、老年期へ のソフ トラ ンデ ィングを
わか りやす く書 いてい る。
『更年期 と漢方 ―女 のか らだ と医療 シリーズ2』
女 のか らだ と医療 を考 える会編 。発行
19941「 1月
800R
本書は女 の体 と医療 を考 える会主催の「更年期 と漢方」
講座 をまとめた もの。人生 の四分の一 に近 い20年 間が
更年期 とい われ、その後 20年 の老年期が続 く。その長
い時期 を元気 に過 ごすために、バ ラ ンス を重視する漢
方医学が ど う役立つか を説 いてい る。
『子宮筋腫 と言われたら』
植 田勝 間 創元社 1994年 2月 1500円
産婦 人科 の専 門医が書 い た子宮筋腫 につ い ての本。
「知ってお きたい婦人科 ノー ト」な ど、役 に立つ情報
がVヽ っぱい。
乳 ガン 。子宮ガン・ 卵巣ガ ン
ー女性 のか らだ と医療 シリーズ1』
女性 のか らだ と医療 を考 える会編 。発行
F女 性 とガ ン
1992年 10月 800円
本書 は佐 々木静子の連続講座 「女のガ ン・ シリーズ」
をまとめた もの。乳 ガン 。子宮 ガン・ 卵巣 ガンの特徴
と治療法が分 か り、早期発見 のために 自分 でで きるこ
と、 ガ ン検診 を受ける ときの注意など、 コンパ ク トな
医学書。
『親密 さのダンス ー身近 な人間関係 を変 える』
HoG・ レーナー 中釜洋子訳
誠信書房 1994年 1月 2781円
身近 で大切 な人 との関わ りをダンス に例 えるなら、上
手に踊 れないのは二人の ステ ップがお互いに乱れてい
るか ら。二 人のステ ップの修正 は、お互 いの関係に と
どまらず、 いろいろな人間関係の見直 しか ら始 まって
い く。本書 は問題 を乗 り越 えていった恋人、夫婦、親
子 など、事例 をあげ、「人間関係 とは」 を説 く、『怒 り
のダンス』 に続 くレー ナーの第二弾。
『セ ックス レス・ カ ップル』
吉廣紀代子 NHK出 版 1994年 2月 1300円
著者 はセ ックス レス (セ ックスをしない状態のこと)。
カップルに取材。そ こか ら時代 を読み解 こ うと試みて
い る。 しか しセ ックス していようとい まい と、問題は
状態 よ り関係 にあるのでは ? セ ックス レス・ カップ
ルの何が気 になるのか を、明確 に しては しかった。
『胎動 SiGN OF LiFE
―写真 で綴 る自然 出産のメモ リアル』
宮崎雅子 東京音楽社 1994年 1月 2200円
「お産が大好 き」 とい う著者が、 自然 出産をテーマ に
ブックス
撮 った写真集。産む女 と助産婦がつ なが りあい、主体
的に出産に関わる満足感が伝 わって くる。
『同性愛者たち』
井田真木子 文藝春秋 1994年 1月 1800円
OCCUR(動 くゲ イ とレズビア ンの会)は 、東京都 の
公共施設利用 を拒否 され、被害 の賠償請求を行 った。
著者 はその事件 を きっかけにア カーの取材 を開始。
「同性愛者 とは誰の ことか」 と問い、 日本の男性 同性
愛者が どれほど普通 に存在 してるか を描 こ うとしてい
る。 しか し逆にア カーを取材 し、同性愛者 について書
いた著者 とは何者 なのか。 もや もや した読後感が残 っ
た。
『美の陰謀―女たちの見えない敵』
ナオ ミ・ ウルフ 曽田和子訳
TBSプ リタニ カ 1994年 4月 2000円
アメ リカで リプが起 こってか ら30年 。女たちは本当に
自由 を手にしたのだろうか。著者 は男性支配文化の巻
き返 しとしての「美 の神話」 (見 えない敵)を 暴 き、
神話 に自ら依存す る女性心理 (内 なる敵)を 追 う。男
性支配文化に囲 い込 まれてい る自らを解 き放つ鍵 は、
一 人 ひ とりのなか に もあるのだか ら。
『マザ ー・ マ シン ー知 られざる生殖技術 の実態』
ジーナ・ コ リア 斎藤千香子訳
作品社 1993年 10月 2800円
生殖技術 は何のため に開発 されてい るのだろう。それ
は幸福 のためではな く、お金のため なのだ。産業 と医
学が結 びつ き、「子 産み =女 の幸 せ」 とい う常識が商
品 として売 り出 され、強化 されてい く。著者はア メリ
カにお ける生殖技術 の実態 を描 き、女性 一人ひとりが
「私 にとっての現実」 を語 り始める ことの大切 さを呼
びか けている。
『レズビアン』
ハ ンス・エバーハー ト 阿部孔子訳
青弓社 1994年 3月 2060円
アメ リカのセ ックス・ カウンセラーである著者は、 レ
ズ ビアンを「女性 の倒錯者」 と表現 してい る。 レズ ビ
ア ンを研究の対象 にお としめ、 クライア ン トをあ りの
ままに受け入れる ことの ないカウ ンセ リングの実態が
見 えて くる。
『私 たちはたまごのカラ !?
一化粧 の基礎 をきちん と知る』
小沢王春 生活 クラブ連合会編
学陽書房 1993年 12月 1200円
本書 は化粧品 とのつ きあい方 を科学的に説明。肌 を守
るための化粧品が、結果 として肌 をこわ して しまうよ
うにな らないための、美容の基礎知識 を示 している。
ウイメンズ
『笑 う出産』
まつい なつ き 情報 セ ンター出版局
1994年 3月 1000円
こ との始 ま りはイン ド旅行だった。イ ン ドとい う「 で
た らめの ワ ンダー ラ ン ド」 で、著者は一人の男 と出会
い、
「私が子 どもを産 んだっていい じゃん」 と思 った。
本書 はデモ シカ的に したい ことをして妊娠 した著者の、
マ タニテ イ日記。
第51号 1994年 5月 25日
ブックス
『父子手帖 一お父 さんになるあなたへ』
汐見稔幸 長坂典子 山崎喜比古
大月書店 1994年 4月 2000円
男性向けに書かれた懇切丁寧な妊娠 。出産・育児の書。
離乳食の作 り方や子 どものほめ方・ 叱 り方、 しつけな
どが、かわいいイラス トと一緒にわか りやす く説明 さ
れている。
『母子家庭 にカンパ イ
―離婚 ・非婚 を子 どもとともに生 きるあなたへ』
しん ぐるまざあず 。ふ お― らむ編著
!
[家 族・ 家庭・ パー
トナーシップ]
『あた りまえだよ 男の子育て
一育児休業 1年 間の体験記』
鈴木政俊 。圭子 広岡守穂解説 日本社会党機関紙局
1994年 3月 500円
夫・ 鈴木政俊 は娘の誕生 とともに育児休業 をとった。
一年 間無収入 で妻・ 鈴木圭子 と育児 に専念。子育てに
関す ることだけでな く、育休が無給 の制度である こと
による経済的苦労や、夫が仕事 に復帰 してか らの話な
どが綴 られている。男 にとって子育てが「あた りまえ」
とい えるほ ど、 この社会は柔 らか くなってはいない。
『児童虐待 への挑戦』
ウェンデ ィ・ ス テ イン トン 。ロジャース他
知栄子 中野敏子 田澤あけみ他訳
法律文化社 1993年 11月 2987円
とは、身体的暴力だけではな
く、情緒的な抑
児童虐待
圧 を も含 む。本書はイギ リスの大学で設置 された児童
虐待 に関す る コースのためのテキス ト。子 どもたち一
人 ひと りに とって基本的に必要なケアとは何 か を追求
して い る。
現代書館 1994年 2月 1648円
シングルマザー は、お金はないけれ ど気分 はす っき り。
離婚や非婚 で子 どもを育てるのは、 しん どいけれ どワ
クワクする暮 らし。世の中の「ふつ う」へ の「怒 り」
を共有 し、お互い に癒 し合 うネ ッ トワー ク 。しん ぐる
まざあず・ ふ お― らむの誕生 とともに生 まれた本。
哩 想の離婚』
メ トロポ リタン出版部編
メ トロポ リタン出版発行 星雲社発売
1994年 1月 1400円
身近 になった離婚 を、 16人 のインタビュー構成で綴 る
ンタビュアー
書。ち よっと当た り前す ぎる間答に、 イヽ
の もう一歩 の踏み込み と切 り回があれば と思 う。
福
『21世紀家族 ヘ
ー家族の戦後体制 の見か た 。超 えかた』
落合意美子 有斐閣 1994年 4月 1648円
は家族の戦後体制
を実 にわか りやす く語 りかける
著者
よ うに分析す る。その特徴 を、女性の主婦化 (女 性 の
社会進 出ではない)、 再生産平等主義 (適 齢期 に結婚 し、
子 どもが 二 人 とい う画一 主義 )、 人口学的移 行期 (日
本的近代家族 の人口転換)と 見 る。そ して21世 紀 の家
・
・? 答 は読者 自身に委ね られてい る。
族 は。
『ひ とりでも食 べ つきり上手
―坂本廣子のがんばれひ と りのごはん…2』
坂本廣子 農丈協 1994年 1月 1400円
ひ と り分 のごはんを無駄が出ないように作 るのは、材
料 の揃 え方か ら作 り方 まで コツがある。本書 にはひと
り分 の ごはん作 りに欠かせ ない知恵がた くさん詰 まっ
てい る。
[高 齢化社 会を考える]
『親 の老後私の老後 ―シリーズ女の決断4』
グループRIM NTT出 版 1994年 1月 1300円
親 の老後 を前 に して、 さまざまなケースの家庭の事情
が語 られる。老 い を、 もう少 し社会が引 き受けて くれ
た ら、誰 もが もっと毅然 として老 い を生 きられるのに
なと思 う。高齢化社会 を生 きるには、 まだまだ日本は
社会的にも精神的にも貧 しい国だ と思 う。
『転ばぬ先の介護探検』
西村美智代 ユ ック舎 1993年 5月 1800円
して老 いたい もの。介護用品を考案 し、生
もが安心
誰
ッ
活介護ネ トワー クを作 った著者の、わか りやすい介
護情報。あえて若 い人に「老 い」 を問 う項が面白い。
『続 。あん きに暮 らしていける街に しよまい
一高齢者がわが家 で暮 らせるために』
大友信勝 高齢者保健 。医療・福祉推進市民会議編著
KTC中 央 出版 1993年 12月 21X10円
詳 しくは「あなたの情報 。私の情報」欄 をご覧下 さい。
第51号 1994年 5月 25日
ウイメンズ
[女 性 とメデ ィア]
『告発 !『 イエローキ ャブ』―マス コ ミ公害を撃つ !』
豊田正義 彩流社 1994年 3月 1500円
セ ンセーショナルに売れ る本を書 く人は、 自分の魂 を
売 り渡 して しまって い るのではないか と、本書は問い
かける。そ してその背景 には差別が存在する。イエロー
キ ャブとい う言葉が情報化社会 の 中で増幅 されていっ
た経緯 を追及す る書。
[女 性 と芸術 ]
『アー トは女 を変 える
一「個性 的な考え方」へ の ヒン ト』
中山あや はまの出版 1994年 1月 1600円
著者 はなぜ芸術家で もな く、工芸デザ イナーで もな く、
ジュウリー作家になったのか。組紐や漆で、独創的な
ジュウリーアー トを倉り
作す る視点か ら、アー トとは、
と述べ る。アジア・ アフリカのクラフ トに対 して、 日
本 のアー トに何が出来るかを熱意 をこめて模索する書。
『浮 かびあがる』
マーガ レッ ト・ ア トウ ッ ド 大島かお り訳
新水社 1993年 12月 2200円
カナダの人気作家 ア トウッドの二作 目の小説。発売当
時、非常に話題 になった。主人公の若 い女性が父親探
しの旅 に出るが、それは彼女 自身の 自己救済の旅 で も
あったのだ。心理的、神秘的な筆致 で描かれた魅力的
な小説。
『親指Pの 修業時代 /上 下』
松浦理英子 河出書房新社 1993年 11月 各 1500円
この物語は、主人公 。一実の右足親指がペニスになっ
て しまうところか ら始 まる。親指 が Pに な り常識が
揺 さぶ られる「修業時代」 を通 して、著者は一実 をど
こに連れて行 こ う としたのか。 この小説は一見 ラデ イ
カルに見える内容 を含みなが ら、 しか しその実は、親
指 が Pに なって も変 わ らなかった、 一人 の鈍感 な女
性 の物語であるように思えた。
『女探偵大研究』
キャス リー ン・ グ レゴ リー・ クライン 青木由紀子訳
晶文社 1994年 4月 4600円
男 の ものといわれていた探偵小説 に、女性が主人公 と
して登場す るよ うになって久 しい。 しか し女性探偵が
主人公であるに して も、その小説 の底流には「彼女 た
ちを探偵 として否定するか、 さもなければ女性 として
否定す るか」 とい う考え方が多 い と著者はい う。本書
はフェミニズム批評 の方法論 を駆使 して探偵小説 を分
析。物語が女性 に及ぼす功罪 を明 らかにしている。
ブックス
『写真花嫁』
ヨシヨ ウチ ダ 中山庸子訳
學藝書林 1990年 12月 2270円
いた
二
の
、88年 度十代児童書三百選に
日系 世 著者が書
一
とにか
選ばれた 冊。
く文章が読みやす い。主人公 の
ハ
ー
ジが、
くっ きりと生 きてい る。
写真花嫁 ナのイメ
ヘ
メ
カ
の
渡 り、失意 と貧困の中で、
大正期 日本か らア リ
一
い
愛 と希望 を失わな 日系 世の女 の姿 を描 ききった小
説。
『小脱 ク レオバ トラ ー最後 の女王』
三枝和子 読売新聞社 1994年 3月 1200円
エ
ル
カ サ とアン トニ ウス を翻弄 した誇 り高 い女王 クレ
オパ トラの一生。彼女の死 によってプ トレマ イオス王
朝 は終 わるが、それはエ ジプ トの古代母権制 の終焉 と、
ローマの父権制社会の始 まりで もあった。
r女 性状無意識 〈
テクノガイネーシス〉
―女性 SF論 序説』
小谷真理 勁草書房 1994年 1月 2987円
著者 は無類のSF好 きに してフェ ミニ ズム通。サ イエ
“
ンスには 「男性的
ジェ ンダー観」 が あ らか じめ刷 り
"。
い
込 まれて る そ して文学 は父権制 におか されてい る。
本書 は著 者が この二 つ を強 く意識 し、サ イエ ンス・
フィクシ ョンを論 じた意欲作。
『新藤兼人の足跡 -5闘 い』
新藤兼人 岩波書店 1994年 2月 2500円
追 いつ め られて独立 プ ロを結成。 なけな しの金で「裸
の 島」 を撮 る。だが、近代映画協会の面 々の笑顔 は底
抜 けに明 るい。先輩、溝 口健二 と小 津安 二郎 について
生 き生 きと語る文章が いい。
『ス リッピングダウン・ ライフ』
アン・ タイラー 中野恵津子訳
文藝春秋 1993年 10月 2200円
さえない女の子エ ヴイーが、 ロ ック歌手の男の子 に恋
を して、変わってい く。欲 しい ものは 自分で手に入れ、
その結果 を自分で引 き受け、そ して成長する。はた 目
か ら見 た ら「落ちぶれた人生 (ス リッピングダウン・
ライフ)で あって も、彼女は自分で人生を切 り拓 いて
い くハ ンサ ム・ ガールなのだ。
『セカ ン ド・ レイプ』
落合恵子 講談社 1994年 2月 1500円
「 セ カ ン ド・ レイプ」「セクシュアル・ハ ラスメ ン ト」
「ブ レーキ ング・ サ イレンス」 の三作 を収録。 セカン
ドレイプとは、性暴力 を告発す る過程で社会か ら受け
る三 度 目の暴力 のこと。性暴力 は女か ら何 を奪 うのか、
傷 つい た心が癒 されるとはどうい うことなのか。落合
恵子 の小説には、個人的なことは社会的な こととい う
視点 と、女同士の支 えあいの力強 さが溢れてい る。
ウイメンズ ブックス
(8)
第51号 1994年 5月 25日
『男流歌 人列伝 ―同時代 ライプラリー167」
道浦母都子 岩波書店 1993年 12月 950円
鉄幹、子規、 自秋、啄木など、近代男性歌人の歌 を読
み解 き、生 をた どる。歌詠みの男 たちは、みんなエ ゴ
イス ト。それにつ きあう女たち も、 しなやかに強 い。
高校 の教科書 に載った歌の数 々。あの頃、歌 の背景 を
もっと教 えて くれた らよかったのに… と思 う。
衡 に開発 し、環境 を破壊 し、そ して女性 たちを傷つ け
て きたか。 タイの女性記者が現地の人 々の声 を取材 し
た。開発 の影 で、
村人たちの生 きる英知 を伝 える ドキ ュ
メ ンタ リー。
『ピアノ ,レ ッスン』 (文 庫 )
ジェー ン・ カ ンピオ ン 齋藤敦子訳
新潮社 1994年 12月 560円
カンヌ映画祭 でグランプリを受賞 した同名映画の シナ
リオ と、プ ロダクションノー ト。 一人の女性の生 へ の
意志 を描 いた秀作。
奥田暁子 近藤和子訳
學藝書林 1994年 3月 3300円
エ コフェ ミの立場 に立つ 詩人、学者、科学者、環境保
護 の活動家、宗教者が書 いた、地球 とともに生 きる文
化 の創造 を呼びかける書。地球の終末が近づいている
今、人間が生み出 した種 々の罪 一環境破壊や先端技術
の もた らす弊害など、エ コフェミが どこまでその傷 を
癒す ことがで きるのか。女たちは真 に世界 を救えるの
だろ うか。
『 ミセス・ ステ ィーヴンズは人魚の歌 を聞 く』
メイ・サー トン 大社淑子訳
みすず書房 1993年 9月 2884円
アメリカの女性詩人サー トンの 自伝 的小説。女性 の芸
術家にとって、創造の源泉は何 なのか。創造す る女性
は、現実生活の「外れ者」なのか。本書は詩人であ り
小説家 で もある著者の、精神 の記録 ともいえる力作。
『南アフリカを読む』
楠瀬佳子 第二書館 1994年 3月 3090円
フ
人種 (ア リカ人 として)、 性 (女 性 として)、 階級 (働
く者 として)の 三重の抑圧 を受けて きたアフリカ女性
とアフリカ文学 について語る書。南 アフリカの現代史
は、今、大 き く動 いている。揺れ動 くうね りの 中で、
17フ リカの女性作家は自人専用の公衆 トイレで、真 に
書 きたいこ とを書 き続けて きた。 アフリカに思 い を馳
せ る著者の熱意が伝 わる一冊。
『世界 を織 りなす ―エ コフェミニズムの 開花』
アイリー ン・ ダイアモ ン ド
グロ リア・F。 オ レンスタイ ン
『ホ ームステイ:n日 本
一わが家に外 国人がや って きた !』
清水祓子 大竹敏子 窓社 1994年 2月 1680円
「国際性 って 自分 の 国 を よ く知る ことよ」。ホームス
テイを 100人 以上 も受 け入れた とい う人の言葉だ。国
際化 とい う言葉が氾濫 している今、本書 は 日本人に本
当の「 国際化」 を考えさせ て くれる。
[雑 誌]
『インパ クシ ョン84 挑発す るセクシュア リテイ
ー売春 とポルノ』
ンパ
イ
ク ト出版会発行 イザ ラ書房発売
1994年 1月 1200円
『ル ーシー』
ジャメイカ 。キ ンケイ ド 風呂本惇子訳
學藝書林 1993年 11月 1860円
カ リブ海に浮かぶア ンティグワ島出身のルー シー は、
「 自立」 した大人 になる ことを 目指 してア メ リカヘ
渡 った。民族、階級、性 の問題 を抱 えなが ら、新 しい
自分 に出会 ってい くルーシー。本作品 は前作『アニー・
ジ ョン』の続編。“
母 の呪縛 =社 会が女 に期待する役割"
か ら彼女が ど う自立 してい くか をさわやかに描 いてい
る。
売春 をセ ックスワー クと見 るか否か。ポ ルノグラフイ
と表現規制 の関係につい て、論議はあい まいなまま答
は出ない。「支配 して いい」 と考える男 と、それを無
意識 に学習 させ られて きた女。売春婦 と非売春婦の間
に境界線 はないとい う中野理恵の文章、座談会「売春
は労働か」の中の彦坂諦の発言に共感 した。
『インパ クシ ョン35 メデ ィア・ フアシズム
ーその傾 向 と対策』
ンパ
イ
ク ト出版会発行 イザ ラ書房発売
1994年 4月 1200円
[女 性 と社会 ]
『語 りは じめたタイの人び と一微笑みのかげで』
サニ ッス ダー・エー カチ ャイ
ア ジアの女たちの会訳 松井や よ り監訳
明石書店 1994年 2月 1860円
日本企業の進 出や ODAが 、いかに タイの経済 を不均
「ゲ リラ 。ガー ルズ ーア メ リカにおけ る フェ ミニ ス
ト・ グ リラのメディア戦略」 として、北原恵が報告。
ア‐ 卜界 の性差別・ 人種差別 を、アー トを通 して暴 く
“
ゲ リラ 。ガールズ"の 活動 を紹介 してい る。
ウイ メンズ
第51号 1994年 5月 25日
r健 康 と環境
ブックス
rか の子擦乱 その後』
1994 SPR:NG No。 9
-特 集 女性 のライフサ イクルと健康』
瀬戸内晴美
(財 )東 京顕微鏡院 1994年 3月 1500円
:坂 東具理子
のライフサイクルと健康
女性
高齢化社会 と介護 について :樋 口恵子
快談揺 れ動 く家族社会の女 たち :柴 田翔 vs上 野千鶴子
「ガラスの天丼」 と「鉄の扉」 :足 立則夫
ほか
『思想0科 学 1994.6 No.17
-特 集 セ クシヤリテイの愉 しみ』
思想 の科学社 1994年 5月 850円
ン
レズビア
、 この似 て非 なるもの
ゲイと
掛札悠子 ×伏見憲明
の
?
どうして愛が必要な
斎藤綾子 ×浜野佐知
ほか
『ヒューマ ン・ セクシュア リテ ィ1994.2 No.14
-特 集 10代 の性 と「純潔教育」 を考える』
東 山書房 1994年 2月 1600円
の
「純潔教育」主張者 矛盾 と理論破綻 を目の前 に して
一あるエ イズ 。シンポジウムか らの報告 :河 野美代子
ほか
講談社 1994年
1月
400円
『キヨ ミの挑戦
―ハ ーバー ド・ ビジネス・スクール奮闘記』
斎藤聖美
早川書房 1994年 2月 540円
『魔女 と呼ばれて』
フェイ・ ウェル ドン 集英社 1993年 11月 680円
[詳 細 は次号で]
『愛す る人 にノーをい う』
ペー ター・ シェレンバ ウム 林 道義 島田洋子訳
あむす く 1994年 3月 2500円
『結婚大作戦 ―戦場 より愛 をこめて』
清水ちなみ 電通 1993年 12月 1600円
『シェイクスピアの女性像』
ジュ リエ ッ ト・ デ ュシンベ リー 森 祐希子訳
紀伊國屋書店 1994年 2月 5800円
『女性 の からだとスポ ーツ』
山田ゆか り 大月書店 1994年 4月 1500円
[資 料 ]
『女たちの便利帳1994∼ 199助
女性 の情報をひろげる会編
ジ ョジ ョ企画発行 教育史料 出版会発売
19941「
1夕
]
2575FI
女か ら女へ伝 えたい情報が いつ も満載 の「便利帳」。
本書 はその最新版。
『国際女性条約・ 資料集』
国際女性法研究会編 東信堂 1993年 12月 8600円
本書 は人権 に関する条約・ 宣言か ら、女性 に関わるも
の を きめ細 か く収集。 内容 は政治・ 教育・ 労働 。国
籍・ 婚 姻 。開発 。発展・ 平和・ NGOに 分 か れ、解説
がついている。 コンパ ク トな資料集。
『セクハ ラ110番 』
三井マ リ子
集英社 1994年 4月 1400円
『ナイチンゲール ーそ の生涯 と思想 Ⅱ』
エ ドワー ド・ クツク 中村妙子 友枝久美子訳
時空出版 1994年 2月 3300円
『フランスの歴史をつ くつた女 たち全 10巻
―第 1巻 』
ギー・ プル トン 曽村保信訳
中央公論社 1993年 11月 1950円
『ほん とうの自分 を求めて 一自尊心 と愛の革命』
グロ リア・ ス タイネム 道下匡子訳
中央公論社 1994年 4月 2800円
[文 庫 になつた本]
『幻 の朱 い実/上 下』
『赤瓦 の家』
川田文子
筑摩書房 1994年 1月
1994年 2月
『お なか ほ つべ お しり』
伊藤比呂美 集英社 1993年 11月
400Fl
『女 の本音 男の本音 ―往復LETTER集 』
駒尺喜美 五木寛之 集英社 1994年 2月 420円
『風 のホー キにまたが って』 (読 売新聞社刊 ) が、 タ
イ トル を変え文庫 として再登場。
石井桃子
3月
(下 巻)
巻
(上 )、
岩波書店
各2500円
『向かい風 一日韓 =異 文化 の交差点か ら』
呉 善花 三交社 1994年 1月 1280円
ウイメンズ ブックス
(10)
わ た し の 出 会 つ た 本
―
『女子割礼 ―因習 に呪縛 される女性の性 と人権』
F・ ホスケ ン著 鳥居千代香訳 明石書店 22∞ 円
岡 真理 (現 代 アラブ文学専攻 。中東研究)
本書 はアフリカの女子割礼 の実態 に関 し貴重な情報
を提供する一方、第二世界の女性 の側 に立って見た場
合、実に危険な視点 を内包 している と言わねばな らな
い。
女子割礼が極めてセ ンシティプな問題であるのは、
この問題がアラブや アフリカ文化 の「後進性」に由来
す る「野蛮な習慣」 といつた言葉で議論 されることに、
アフリカの女性 たちが第三世界に対す る欧米の文化的
優越意識 を見るためである。父権制社会 による女性抑
圧 は先進工業国、発展途上国の如何 を問わず普遍的な
ものであ りなが ら、 この点を論ぜ ず に割礼 だけを取 り
上げて、アフリカ社会 のみを糾弾す る態度にアフリカ
女性が入種差別の匂 い を感 じて も不思議ではない。本
書 には「野蛮」や「後進性」 とい う言葉 こそ登場 しな
いが、アフリカ文化、社会に対する著者 の評価は一読
して明 らかである。
第二世界 の女性 に とって経済的、社会的 自立は、セ
クシュア リテイの問題 に勝 るとも劣 らず重要であるが、
第51号 1994年 5月 25日
―
t
その現実 を阻む もの として父権制社会 の伝統だけでな
く、先進工業国による経済的搾取が少 なか らず与 して
い る。だが、著者は女性 の経済的、社会的問題にも北
による南の搾取 にも触れず、割礼 とアフリカ社会だけ
を糾弾す る。サ ー ダウィは著者の この ような態度 を
「没
歴史的」 と批判 し「欧米女性がス ー ダ ンの ような国に
頻繁に行 って見て くるのは性器切除だけ。多国籍企業
の実態、その搾取的な労働 は 目に も入 らない」、「 (女
子割礼)だ けを孤立 して取 り上げ、それ らを、至ると
ころで女たちにの しかかる経済的 。社会的困難 と、先
進国及び発展途上国の女性 に日常的にかけ られてい る
抑圧か ら切 り離そ うとす る試みには、全 て反対す る」
と述べ ている。著者 は割礼が国を貧困に していると主
張す るが、北 による南の経済搾取 も貧困の原因であ り、
米国人である著者が この点 を不間に帰 し、割礼 とアフ
リカ社会のみ を批判す るとした ら、結果的に北側世界
の経済的植民地主義 を放置す ることで、著者の意図に
反 してアフリカ女性の抑圧 に一役買 っていることにな
ろ う。割礼 の暴力性 に気 を奪われるあ ま り、第三世界
に対す る本書の差別的視点に読者が無 自覚 なまま、著
者 の価値観 を共有 して しまうことに強 い危惧 を覚えず
におれない。
lnformalon from SHOuKADO
★会費納入のお願いと振替用紙の変更について
94年 度分会費 のお振込が まだの方は、至急納入お願 い します。住所 。氏名等変更 のあ った方 も、お
知 らせ願 い ます。退会 される方は、その旨お早めにお 申 し出 ください。特 にお断 りのない方は、本年
度 も継続会員 とさせていただ きます。ぜ ひ引 き続 きご購読 ください。
振替用紙 の様式が変わ り、本の注文欄が表 にな りました。裏面では通信で きませんので ご注意 くだ
さい。電話やFaxで のご注文 も受 け付 けてい ます。古 い振替用紙 も引 き続 きご利用 になれ ます。 (1996
年 まで)
,
★ 取 扱 い ビデ オ の ご 案 内 一 NEWi―
「 更年期 人生最良の とき」
VHS59分 20,000円 (L価 格40,000円 ) 販売元 :ビ デオ ドッグ 日本語版企画 :(財 )横 浜市女性協会
製作 :カ ナダ国立 フィルム省 監督 :パ トリシア・ ワ トソ ン 製作年 :1985年
更年期 を、多様 に独創 的に生 きる10人 の女性か らのメ ッセ ー ジ。 マスコ ミがつ くる更年期 のイメー ジや神話、誤 っ
た認識 について も、具体 的な例 をあげて検討 してい きます。
「 カナダ移民 ドクター・ ナンの場合」
VHS17分 15,000円 (L価 格30,000円 ) 販売元 :ビ デオ ドッグ 日本語版企画 :(財 )横 浜市女性協会
製作 :カ ナダ国立フィルム省 監督 :ジ ャ ン・マ リー・マー テル 製作年 :1982年
プ リテ ィッシュ・ コロンビアに移 り住 んだ ドクター・ ナ ン。 ビデオでは ドクターナ ンの生活 と、 カナダに来る前の
彼女 の仕事、 さらに医師の資格 を取 るために懸命に努力 して いる姿 を追 い ます。
「生命操作 完璧 な赤 ちゃんへの幻想」
VHS51分 20,000円 (L価 格40,000円 ) 販売元 :ビ デオ ドッグ 日本語版企画 :(財 )横 浜市女性協会
製作 :カ ナが国立 フィルム省 監督 :グ ウイン・ベーゼ ン 製作年 :1992年
この作品では、遺伝的な操作 をすでに始めてい るクリニ ックや リサ ーチセ ンター を撮影 し、その適用の可能性につ
いて批判的な検討を試み ます。
第51号 1994年 5月 25日
ウイメンズ
ブックス
鈴木陽子
1986年 制作 の韓国映画「シバ ジ」 が、 “
韓国映画 の全 貌"
の中 で今春、再上映された。シバ ジとは代理母のことで、二
百年前 の韓国に実在 した女たちの ことである。映画は冒頭 で、
盛大 な葬儀の模様 を見せ、名家の嫁であ るユー ンが、男の子
を産むための過酪な音行を強いられる場面を映するいま生き
ている者より死者を祭る行事を重んじた韓国で、祭祀を祭る
のは男と決まっていたから、男の子に恵まれない家ではヽ名
家であるほどことは深刻だった:ユ ァンは男の子を産めなけ
映画『 シバ ジ』 (1986年 )よ り
れば追い出されるとい う不安か ら苦痛 に耐 えているが、ユニ ンの夫 はその うち産 まれるとまことに気楽 だ。
だが 親たちの焦 りで、シバ ジを雇って男の子を産ませるとい う策 に同意 させ られる。
シバ ジの女 たちは、人里離れた村にひっそ りと暮 らしていた。その村か ら連れられてきた シバ ジは、ま
種"と 書かれ、 日隠 しされたまま邸 の一室に運び込
だ17歳 のオンニ ョとい う娘 だった。オ ンニ ョは肩 に “
まれる。一方ユー ンは、夫とオ ンニ ョの床入 りに立ち会わねばならず、オ ンニ ョと夫が魅かれ合う関係 に
なっても致 し方がない。オ ンニ ョは男 の子を産んだ。だが、子 どもはす ぐに邸 の奥に連れ去 られ、三度 と
会 えぬ ままオ ンニ ョは村へ帰され る6
オ ンニ ョの 自殺 で終 わるこの映画は、「家」や男 を重ん じる制度が、女ばか りに身体的にも精神的 にも
6年 前にこの映画を見たとき、韓国での戸籍 の基準が「家」であること
苦痛 を強いる様 を描 き出していた。
を、私は『夫婦別姓時代』 (星 野澄子著・青木書店、1987年 1545円 )と い う本 で知ったばか りだった。だ
が同時に、 日本では「家」制度が廃止 されているのに、結婚すること力i夫 の「家」に「入籍」す ることだ
「家」
「 シバ ジ」 にあらわされているように、
と思っている人力S、 今 もまだ多 いと知 って驚いたのだった。
や男を第一 とする制度は、女を軽んじる考え方の所産なのに、である。
『夫婦別姓時代』 は、 日本の男社会 の根強さが「家」にもとづ く戸籍
制度にあることを論理的に納得 させて くれた。欧米の個人別身分証書制
度 と違つて、 日本の戸籍制度は国民把握 のために考えられたものだか ら、
ある人を中心にしてその人との続柄で他の人をとらえる とい う一括記載
の届出で作 られている。そのために、結婚 とは、個人と個人が対等な関
係 で共に生 きることだと考えてい る人たちは、結婚に「家」や「嫁」意
識がまつ わるのを望まず、夫婦同姓 の強制をきらうのだ。今 もって夫婦
別姓 の選択 で きる制度が導入 で きないほど、 日本 の社会通念 の中には
「家」意識が しっか りと生 きていると、様 々な事例 を読んで思ったが、
"と い う考 え方を補完 して
結婚 しても「私」 は「私」
本書 は私 自身の “
くれた。い ま私は、 自分たちの結婚 なのに、それぞれの男親の名で結婚
式の招待状 を出す若者や親たちは、 い まだ「シバ ジ」 の世界 に甘ん じて
い る人たちだ、 と思っている。
(フ
リー ライ ター )
ウイメンズ ブックス
==海
第51号 1994年 5月 25日
外 だよ り ==
ジェニー・ ホルツァー
ー都市空間 を乗 っ取 るフ ェ ミニス トのアー ト
●
北
原
恵
「男の子 も女 の子 も 同 じように育てろ」
・
・!?
「万人の労働者は、全て等 しく重要である」・
ニ
ュー
ヨー
の
クの街 をプ
昨年 夏、久 しぶ りに訪れた
ラブラしてい ると、い きな りこん な文字が 目に飛 び込
んで きた。 ここは、長距離バ ス ター ミナル近 くの42丁
目のシアター街 である。かつ てはピープショー などの
看板が立ち並んでいたこの界隈 は、ニュー ヨー ク市の
都市再開発計画に したが って、劇場や店舗 などが閉鎖
され、そのあ とアーテ イス トたちが街 を占拠 した。先
に紹介 した文章は、 これか らの閉鎖 された42丁 目の劇
場や映画館 の入 り回のひさしに、描かれていたのであ
る。映画の タイ トルが書かれる場所 に、それ らとそっ
くり同 じ技法で描かれてい るので、 うっか りす ると見
過 ごして しまいそ うだ。が、 ひ とたび気がつ くと、そ
のフェ ミニ ズムの強烈なメ ッセー ジは、街の風景その
ものをガラリと変えて しまう。作者 はニュー ヨークで
活躍す るアーテ ィス ト、 ジェニー・ ホルッァーである。
42丁 ロアー ト・ プ ロジェク ト〉 と名づ けられた こ
〈
の事業 には、 ジェニー・ ホルッ ァー をは じめ とす る24
人のアーテ ィス ト・建築家・ デザイナーが参加 して、
「殺人というものは、性的な側面を持つ」
ジェニー・ホルッァーの活躍 は、1977年 、ニューヨー
クの ダウ ンタウンのあち こちに、匿名 でポスターを貼
りだ したことから始 まった。紙の上 に簡単 な一行文が
アル フ ァベ ット順に印届1さ れただけの作 品 もある。例
えば「 金が趣味嗜好 を創 りだす」「土地 は誰の もので
もな い」。「 自明の理」 (Truism)と 題 された一連の作
品は、やがて、ニュー ヨークの電光掲示板や、空港の
シャッター に大 きな絵 を描 い た り、 シ ョー・ ウィ ン
ドーを展示の空間 として、環境破壊 やエ イズ問題 を訴
荷物 受取用回転台、 Tシ ャツなどに も登場 した。今回
42丁 目に現れたメッセー ジ も、 この「 自明の理」か ら
の引用 である。
しか しなが ら、私は、 タイムズ・ ス クエ アの電光掲
示板 や、 ベニス・ ビエ ンナー レに出品 されたイ ンス タ
えた り、
方法 も手段 もさまざまである。
都市開発 とアー
つい
ては賛否両論 であ り、いろいろ
ティス トの役割に
な批判 もこのプロジェク トに対 してあるが、 もう少 し
ホルッァーの作品について紹介 しよう。
「殺人 とい うものは、性的な側面 を持つ」 ―この文
レー シ ョンの写真 を見て も、正直言ってそんなに面白
い と思 ったことはなかった。私 は、42丁 目で初めてホ
ル ツ ァー を強烈に意識 した。ホルツァーの作品は、そ
の場 に居合 わせて、いや もっと正確 に言 うならば、作
品 と同 じ空間にいる時、その面白さを思 い知 ることに
字が掲 げ られてい るのは、 タイムズ・ス クエ アとい う
名のシアター。かつ ては、ポルノや殺人の映画を観せ
てυゞ
たのだろ うか ? 「母親 は、あま りにも多 くの犠
牲 を払 うべ きではない」 ―この映画館では、 どんな母
親像が上映 されていたのだろ う ? などと、 もう観客
の来ることの ない薄汚れた映画館 を見上げなが ら、想
なるのである。
真夏 の昼下が り、42丁 目で上を見上げて ニヤリと笑
う奴が 、 また一人。その瞬間か らそいつ は、家父長制
と資本 主 義 の転覆をはか るホルッァーの企みの共犯者
TDKカ セ ッ
像 は広がる。 こん な都市空間にあっては、
ー
トテ プの 陳腐 な広告す らもが、別 の新 たな意味 を
持って迫って くるか ら不思議 である。 曰 く「音 と映像
の未来…」 ????
☆ ジェニー・ホルツァーの作品展が、水戸芸術館 (茨
城県)で 開かれます。期 間は 7月 30日 ∼ 10月 16日 まで。
93年 7月 か ら展 示 が 開始 され た。 開鎖 され た 店 の
となったのである。
ウイメンズ
第51号 1994年 5月 25日
ブ ックス
連載 第48回
AWACコ ースレター2号
ミニ コ ミの 女 た ち
特集・アジた 多様な女の現実
(V:S10NS)
フェ ミニ ズムの 思想 と創造 のため に
富山
妙子
70年 代 の は じめ、絵 描 き稼業 を20年 以上や って きて、
私 はつ くづ く美術 の 世界 にいや気 が しは じめて きた。
日本 の美術界 は「脱 ア ジア入 ヨー ロ ッパ (白 人)」 の、
しか も男性優位 の価 値 観があ たか も「永遠 の普遍」 で
あるかの ようにまか り通 り、女 は「女流」 とい うワク
内に閉 じこめ られてい る。
フェミニズム● 思な と劉 職 のために一―
mⅢ ‖
・近 代 へ の間 セ珈 mm卿 山皿 ‖
女か ら
“
ド
蓮
黎
●い●
l諄 露駐
'4括
・
rttι
餞して頂
・
・
島 鰍靖島:111憮 群 '・
=す
.
`川
=
鰐
霧
X儡革
『
どうもおか しい と思っていたころ、アメ リカの女性
呂
解放 のイデオ ロー グ、ケイ ト・ ミレッ トや S。 ファイ
アス トー ンが美術 出身であつた ことか ら、私は鮮烈な
:
印象 を受けた。
それか ら20年 以上たった。アメ リカや ヨーロッパで
は女の視点か らアー トが見直 され、美術館 もで きは じ
芸術 )、 10月 22日 (土 ):ド イツ・ ア ヴ ア ンギ ャル ドの
めている。 しか し家父長的な封建制が色濃 く残 る日本
では、美術の世界で フェ ミニズムといって も、 まだあ
女性 画家
ま りにも少数者 の声 である。
「 アジア と女 と表現」 を予定 して い る。
しか しこうした状況 を変えようとす る仲間の顔 も見
えは じめた90年 代、萩原弘子 (西 洋思想史)、 レベ ッカ・
ジェニ ス ン
(フ
ェ ミニ ズム と美術 )、 松下たえ子
(ド
香 川檀 (ド イツ文学 史 )、 11月 26日 (土 ):
美術館 ・ 美術 展 の政 治学
萩原 弘子。 来年 に は第5期
セ ミナ ー には これ まで出会 わ なか った い ろんな ジ ャ
ンルの女性 の研 究者、 アジアでお こる運動 を して きた
人たちが来て、軽 食 を とりなが ら、お互 い が問題点 を
イツ文学)、 任展慧 (朝 鮮文学史)さ ん らと語 りあ っ
てい るうちに、 フェ ミニズムの思想 と創造 を深めるた
出 しあ って深 めて ゆ くもので、 現在 一 年 以上 た った と
めのセ ミナー を開 こ うとい うことになって きた。それ
在 「VISIONS」 ニ ュース レ ター を2号 まで 出 して、 セ
が AWAC(Asian Women and Art Collective)で 、
ミナ ー の内 容 の 要約 を紹介 して い る。
93年 4月 か らお互 いの顔が見 える少人数による討論 の
場 としてのセ ミナーを開始。
第 1期 ―「オ リエ ンタ リズム」。第 2期 ―「アジア
と多様な現実」。第 3期 ―「女か ら・近代へ の問い」と、
ここまで終了 し、 ニュース レターを発行 し、 日本か ら
国外 へ 発信 す る ヴィジュアル な フェ ミニス ト・ アー
ト・ ジャーナル『VIS10NS』 の編集準備 中である。
これか らは じまる第4期 「女か ら・ アー トヘ の視座」
ころで あ る。遠 く新 潟や関西 か らも出席者 が あ り、現
セ ミナ ーの 会場 は東京都新宿 区四 ツ谷 にあ る喫茶店
「版」。 第 4土 曜 日の 5時 半 ∼ 9時 。 参加 費 は 1期 5
回分・ 1万 円。前納 制。
ニ ュース レター「VIS10NS」
は購読料 (年 )3000円 。
申込先 :〒 156東 京都世 田谷 区桜 丘4-16-2
富 山方
AWAC
TEL・ FAX(03)3425-6095
郵便振替 :東 京3-759636 AWACネ ットワーク
の 内容 は次の通 り。 6月 25日 (土 ):音 楽 における性
差別 小林緑 (音 楽学)、 7月 23日 (土 ):女 性 アー テイ
ス トと日本芸術 深澤純子 (女 性 と美術)、 9月 24日
(土 ):ア
ー トと行政
西 山千恵子
(フ
ェ ミニズム と
松香 堂で も扱 ってい ます。 1部 500円 。
ウイメンズ
(14)
第51号 1994年 5月 25日
ブ ックス
ⅢⅢ,あ なたの情報 0わ た しの情報 機
含 んでいるので、 これ まで痛 い 目にあったことのある
人、 ない人、いずれに も大 いに役立つ はずです。
また、作家・ 立松和平氏 に文章や写真の無断引用 ・
使用 をされ、その後の誠意のない対応 に心 身 ともに消
耗 した沖縄・ 与那国島の女性 の手記 も載ってい ます。
矢野事件の被害者 を支援する会の呼び かけ
京都大学東南アジア研究 セ ンターの矢野教授 か ら性
暴力 の被害 を受けた として、昨年 12月 、被害者の一人
が京都 弁護士会 の 人権擁 護委員会 に矢野教授、 セ ン
ター、京都大学を相手方 に、人権擁護救済の申 し立て
(例 の坂 口弘氏に関わる事件 よ り 1年 以上前に起 こ り、
をしました。
その結果、矢野教授 は辞職 しましたが、依然事実 を
なぜ かマスコミでは見 ることがない情報です)
B5版 /50ペ ー ジ/1部 300部 (送 料込 540円 )
否定 した まま、人権救済 申立 てをした被害者女性 だけ
でな く、矢野元教授 を批判 した京都大学の女性教授や、
被害者 らの代理人 となってい る弁護士 まで も相手 に し
連絡先 :〒 201東 京都狛江市東野川4-26-14
て、損害賠償の訴訟 を起 こ しました。
この「支援する会」は昨年 12月 に結成。 これ まで京
都、東京で シンポジウムを開催 したほか、大学その他
の学校 内でのせ クシュアル・ハ ラスメ ン トや、広 く性
差別の 問題 を取 り上げ、その相談に も応 じてい ます。
あなたの町の「老人保健福祉計画」は
どうなつていますか ?
『続 。あん きに暮 らしていける街に しよまい
―高齢者 がわが家で暮 らせ るために』
大友信勝・ 高齢者保健医療福祉推進市民会議編著
矢野事件が起 きた背景は何 なのか、 これか らの大学そ
の他 の学校 の中での性差別 をな くすためには どうした
らよいのかなどについて、一緒 に考 えてい きましょう。
入会手続 きその他の相談については、下記 の事務局
にご連絡下 さい。
KTC中 央出版書籍部 山本直子
一
上記市民会議は、 昨年 6月 よ りだれ もが安心 して
住み続 けることがで きる街 づ くりをめ ざ し、学習会、
市民 フォー ラムなどの活動 に積極的に取 り組んできま
した。そ して、 このたび、2冊 目の本 (上 記)を まと
〒530大 阪市北区西天満4丁 目5番 2号 老松 ビル22号
今中・ 井 口法律事務所 内 (担 当 :鈴 木百合)
めることがで きました。高齢者がわが家で暮 らす とき
に気 になる、情報 。相談、ホームヘ ルプサ ービス、食
事サ ー ビス、住宅 リフォーム、医療について、それぞ
れ実践活動 をしてい る人たちが具体的に書 いています。
あなたの街 の参考に してい ただけることと思います。
TEL.03-3489-3979 FAX.03-3489-0933
TEL.06-363-2425 FAX.06-363-3548
創刊十周年 のマイマ イ族 です 鈴木美和子
「名古屋市 高齢者保健福祉計画 (素 案)」 は昨年 11
月に出されましたが、要介護者やその家族 の現状に照
らせ ば、多 くの改善点や問題点があ りま した。市民会
議では市長宛 に提言を提 出 し、現在、成案 を待ってい
特集テーマ は「女の友情」、女 同士 のつ きあ い方や
人間関係 を考察 します。最初 に 5人 の手記か ら様 々 な
局面や レベ ルでの「友情」 を検証 しました。次 いで6つ
の失敗例 とそれを巡る座談会で、女性が陥 りやす い状
況やその原因を探 ります。 どの事例 も普遍的な問題 を
全艶
資 料
日 ホ
ウ
ー
る ところです。あなたの街の「老人保健福祉計画」 も
チェ ック してみて ください。 (2000円 )
マ
ン・
リ
フ 豊
第 I巻 第 Ⅱ巻 HTll
・三本革子 編 ゥィメンカリスレ松香 堂
溝日明代・佐伯洋子
・リブ史資料大集成 /
日本初 のウーマン
1969年 から1985年 までのウーマン・ リブ運動の記録 (ビ ラ・パンフ・ ミニコミ と解説。
)
女性問題、女性学の研究資料としても貴重 /図 書館必携 /
第 1巻 (1969年 ∼72年 5月 )
第 2巻 (1972年 6月 ∼74年 )
A4判
第
3巻
(1975年 ∼85年 )
ぐる一ぶ闘 う女
ラ″FUKUOKA
斗 /お んなメ トロパ リチェン
行動する女たちの会
:リ
関西 リブ連絡会議
政治を変えたい女 たちの会
リブ合宿
ウルフの会
私たちの雇用平等法をつくる会
5月 リブ大会
魔女 コンサー ト
東京強姦救援 セ ンター
女・ エロス
82優 生保護法改悪阻止連絡会 11か
女から女たちへ
4∞ 頁
定価
ほか
12,∞ 0円
(本 体価格
11,6"円 )
380頁
ほか
定価 11,000円
(本 体価格
10,680円 )
400頁
定価
11,000円
(本 体価格 10,6811円
)
第51号 1994年 5月 25日
ウイメンズ
ブックス
報
情
ヽヽヽ
コ
二
ヽヽヽ
(松 香堂 で扱 っている ミニ コ ミの最新情報です)
「 れ組通信 No.83-レ ズビアン・ セパ レイテ イズム/
ほか」
れ組 スタジオ東京 1994年 3月 400円
No.84-最
れ組通信
新ハ ワイの結婚事情 :ゲ イ、偏
「
狭 な人 々を打倒すべ く組織/ほ か」 1994年 4月 400円
「婦人通信 3月 号 一矢野教授のセクハ ラ疑惑/ほ か」
日本婦人団体連合会 1994年 3月 300円
「婦人通信4月 号 一 日本 の大企業 で働 く女性 たちの実
1994年 4月 300円
態 を国連 に “
直訴 "/ほ か」
Fi町
:Fitt
Vo:.23-特 集 女性 の 日で読み解 く科
「
C五 ck 1994年 2月 550円
学 /ほ か」
「婦 人通信 No.261-税 制「100万 円の壁」女 の 自立 を
め ぐって/ほ か」
社会主義婦人会議 1994年 2月 400円
「婦人通信 No.262-日 本軍 『慰安婦』責任者処罰 を
求 め告訴・ 告発 /ほ か」
1994年 3月 400円
「婦 人通信 No.263-94国 際女性 デ ー特集・ 全体会報
告 、分科会報告 /ほ か」
1994年 4月 400円
「 プ ロシューム3月 号 ―特集 選べ るお産」
大阪 よどがわ市民生協 1994年 3月 330円
「 プ ロシューム4月 号 ―特集 大人 のア トピー」
1994年 4月 330円
「女 の ための ク リニ ックニュース No.106-エ イズ と
の 出会 い :私 の場合 /ほ か」
ウィメ ンズセ ンター大阪 1994年 2月 300円
「女 の ための ク リニ ックニュース No.107-乳 ガ ンに
つ いて/ほ か」
1994年 3月 300円
「 女 の た めの ク リニ ック ニ ュース No.108-『 漢 方 っ
て 何 ?』 /ほ か」
1994年 4月 300円
「行動 す る女 No.81-矢 野京大東南 ア ジア研 究 セ ン
ター元所長セクハ ラ疑惑事件報告/ほ か」
1994年 2月 200円
「行動する女 No.82-女 性 の人権 アジア法廷 /ほ か」
1994年 3月 200円
こ らえ じょ
「月刊家族 No.96-特 集 。結婚 って女 の “
う"で 成 り立つ もの ?」
家族社 1994年 2月 300円
「月刊家族 No.97-特 集 。「女だて らに」 なんて もう
3月 300円
言わせ ない」
1994年
。
No.98-特
と
と政治
月刊家族
を考 え
集
女
選挙制度
「
る」
1994年 4月 300円
「We2・ 3月 号 一特集 。しなやかにフェ ミニズム」
Weの 会 1994年 2月 600円
「 シングルズ・ ネ ッ トVoi.20-恋 愛 と自立 の アプナ
イ関係/ほ か」
確信犯 ?シ ングルの会 1994年 2月 200円
「パ ヮーァ ップ ニ ュースVOL.9-こ れか ら働 きた い
あなたへ/ほ か」
パ ワー ア ッププランニ ング 1994年 3月 300円
「WiFE No.247-特 集 35歳 は トシなのか ?/ほ か」
グループわいふ 1994年 5月 460円
「 マ イマイ族第26号 ―特集 女の友情 /ほ か」
鈴木美和子 1994年 4月 300円
「野合Vol.36-イ ンターコースは必要か/ほ か」
朝倉 ふみ 1994年 3月 200円
「CHO:SiR(シ ョワジール)Vo:.33-特 集 家族 /
シ ョワジール 1994年 2月 300円
ほか」
「CHOIS:R Vol.34-特 集 性 自認 /ほ か」
「 Women and Health in Japan No.12 Spring 1994
The meaning of menopause and HRT for Japanese
Women etc.」
Women's Center Osaka¥500
「月刊 むすぶ No.278-特 集 外 国人労働者 問題 を考
ロ シナ ンテ社 1994年 2月 700円
える」
「 月刊 むすぶ No.279-特 集 今 い ち ど憲 法 を考 える」
1994年 3月 700円
「 月刊 む すぶ No.280-特 集 か らだ を蝕 む電磁 波 公
1994年 4月 700円
害」
「 Voice第 48号 ―女 性 差別撤 廃 委 員 会 へ の カ ウ ン
ター レポー ト/ほ か」
住民票続柄裁判交流会 1994年 2月 150円
「 Voice第 49号 一戸籍 の電算化 を考 える学習会報告
1994年 3月 150円
//ほ か 」
「 Voice第 50号 ― こ ど もの 権 利 条 約 批 准 国 内改 正
1994年 4月 150円
を !/ほ か」
「 あご らNo.192-宮 沢賢治 女 ・家族 ・性 /ほ か」
BOC出 版部 1994年 1月 886円
「 あご らNo.193-特 集 新聞切 り抜 きに見 る女 の 16
1994年 3月 2575円
「行 動 す る女 No.80-'93女 性 差 別 功 労 賞 決 まる !/
ほか」
行動す る女たちの会 1994年 1月 200円
年」
1994年 4月 300円
「GAZETTE Vo:.13-検 証 ・ 『テ レビ と政 治』 報 道
をめ ぐる論議/ほ か」
FCT市 民 のテ レビの会 1994年 2月 650円
「 シネマ ジャーナ ル Voi.28-今 、 中国語 圏映画が熱
い
!//ほ か 」
テ ス企画 1994年 2月 600円
「メンズ ネ ッ トワー ク No.16-長 男 に とっての墓 …
自分へ のこだわ りの なかで/ほ か」
メ ンズ リブ研究会 1994年 3月 200円
「お茶 くみを拒否 して25∞ 日 ―朝 日新和会計社 の女性
差別糾弾/ほ か」
関西単一労働組合婦人懇談会 1992年 4月 200円
「天皇の軍 隊 に犯 された女 たち 一性 と生 を奪 う戸籍制
度 /ほ か」
婚外子差別 と闘 う会 1994年 1月 600円
「労働 現場 から女性差別 を撃 つ -4・ 26労 働者女性解
放集会報告/ほ か」
4・ 26労 働者女性解放集会実行委員会 1993年 4月 600円
「『慰安婦』問題国連関連文書」
売買春問題 ととりくむ会 1994年 2月 400円
「A:DSと 女 (わ た し)一 池上千寿子 さんの講演「女
性 とAIDS」 /ほ か」
カラダか らだの会 1994年 3月 850円
ウイメンズ ブックス
第51号 1994年 5月 25日
=書 評 =
『SEX WORK― 性 産業 に携 わる女性 た ち の声 』
フレデ リック・ デラコステ プリシラ・ アレキサ ンダー編著
パン ドラ発行 現代書館発売 1993年 3950円
売春婦が売春 をどう感 じているのか知 る機会はあま りに少 ない。売春 (婦 )を 考 える時、私 たち
は軽蔑 した り、あるいはお金のために哀れだ と同情 した り、 どち らにして も彼女たちの声 をき くこ
とな く、 自身のセクシュア リテイを基準 に思 い を馳せ る。
本書 は 3部 か ら成 り、1部 ではセ ックスワー カーたちが、売春 の体験や感情 を語 る。その経歴や
階級 は様 々で、売春か ら離れた後の職種 も詩人、ライ ター、法律家、看護婦、教師な ど多様 である。
「 セ ックス 。ワー ク」 と横文字で呼ぶ と、売春 と呼 んだ時の湿 つた ドギツサが消 え、一つの職種
の よ うに聞 こえて しまうのは私だけだろ うか。そ して ここに登場するセ ックス ワーカー たちは、
「性的 な ことではな く仕事 なのだ」 と答 える。 自分にあ った仕事、 自分で選 び決定で きる仕事 なの
だ と言 う。この対極 に強制 された売春があるが、本書 は、自主的に売春を選んだ女たちが、そ の「仕
事 ぶ り」 を語 り、読者 は仕事 と売春のキ ョリを考 える ことになる。又それ は自分の中の偏見や思 い
こみ を知 ることに もなるだろう。
次 いで 2部 では、売春 に関わる問題で側面か ら切 り込 んでい く。
主体的に選んだセ ックス・ ワァクであ って も、男性支配 の この社会構造 の 中で、実は性差別や賃
金 の不平等 の結果選ば されていることが分か って くる。売春 は女が置かれている状況の凝縮 した も
の と納得で きる:性 をお金 に換 える ことを恥べ きことだ と考 え、女たち自身が売春婦 (の 問題 )と
非売春婦 に分けていたのでは、いつ まで も性差別 にか らめ とられて しまうのだ とい うことに、本書
は気付かせて くれる。本書 は売春の是非ではな く、人権や労働 問題であ り女たち全体が共通 の 問題
として取 り組む重要性 が説かれている。
3部 では、売春婦の人権や労働問題 を巡って、その権利運動組織が紹介 されているが、 この 中 に
売春 を職業 として認知 し、労働者 としての権利 を保障せ よとい う (権 利派)の 主張がある。 その声
に出会 って私はた じろいで しまった。セ ックスをお金に換 える個人の 自由や権利があることが、頭
で分かって も消化不 良 を起 こして しまうのだ。「 フェ ミニ ス トに とつての難問」 について述 べ た角
田由紀子氏 の解説 に共感す る人は多いだろ う。
性 を売 ることを自ら選んだ女たちの思 い と、「売春」 とい う問題 をいろん な角度か ら提示 し、解
明 して きた本書 はその答 を出 してはいない。それは読み手 の一人ひとりが、答 を出 してい くこ とな
岡田泰子 (カ ラダからだの会)
のだろう。
=
原
稿
募
宇 =
上記の書評欄へ の投稿 をお待 ちしてい ます。
女性 の 目で見直 した鋭 い批評や、視点を変 えた
ユ ニー クな もの をお寄せ ください。400字 詰原
稿用紙 に約2枚 、900字 前後 です。掲載 させて頂
い た方には薄々謝、進呈致 します。
「あなたの情報 。私 の情報」 とコラム「わた
しの出会 った本」 は知 って欲 しい本、 ご意見 ・
情報交換等 に御利用 くだ さい。400字 以 内でお
願 い します。但 しこれ らの欄 は申しわけあ りま
せ んが、薄 々謝 も差 し上 げ られません。
尚、 ご投稿 は会員 に限 らせていただ きます。
宛先は
〒602京 都市上京区下立売通西洞院西入
松香堂書店「 ウイメ ンズ ブックス係」です。
次号 の締切は 1994年 7月 20日 。
た くさんのご投稿 をお待 ち してい ます。
編 集 室 か ら
☆「 まなざしは、見 えなか ったものか らの暴力に
よって、開かれは じめるのだ」 とい う。差別さ
れた者の怒 りは暴力 を伴 う。その時、 まっす ぐ
に向 き合 いたい。差別語や差別表現 をめ ぐる著
者 と読者 との関係 は、そこか らしか始 まらない
と思うから。
(や
ぎ みね)
☆情報 はた くさん溢れ てい るのに、元気 の出る表
現 と一緒に手元に届 くことは少ない… と最近思
い ます。それは情報 の送 り手にイキのいい仕事
を している人が少 ない とい うことなので しよう
か。ふ と我が身をふ り返 り、 ドキ ツとしてしま
い ました。
(池 嶋 陽子)
☆ 次号 は1994年 8月 25日 発行 の予定 です。