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No.
141
January 2010
■年頭挨拶 理事長、学長、病院長
■学事
平成 22 年度医学部推薦入学試験
平成22年度看護学部編入・推薦入学試験
第 37 回解剖体合同追悼慰霊祭
■学生のページ
学生の表彰
■国際交流
ロシア・ヤロスラブリ州立医科大学と学術
交流協定に調印
第 1 回講演会・ワークショップ
■学術
第 59 回日本泌尿器科学会中部総会
東アジア腫瘍内科国際シンポジウム
第 8 回 KMU 研究推進セミナー
■病院
第15回地域医療懇談会
平成21年度防災講習会・災害訓練
■管理・運営
小田島粛夫前理事長秋の叙勲で旭日重光章
平成 21 年度文部科学大臣表彰
平成 21 年度教育功労者知事表彰
平成 21 年度永年勤続表彰
■随想・報告
米国 National Jewish Health 留学記
第 10 回国際シェーグレン症候群シンポジウム
ロシアとの消化器内視鏡治療分野の交流
■同窓会・後援会
第 11 回金沢医科大学北斗会懇親・懇談会
あおさぎ、雪の大池にて
金沢医科大学報
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年頭挨拶
本学のグランドデザイン始動
理事長 山 下 公 一
皆さん、あけましておめでとうございます。
この年末年始は冬型の気圧配置が続きましたが、金沢地方は大雪もなく、スキーや買い物に出かけたり、ある
いはゆっくりご家族と過ごすなど、それぞれに良い正月をお過ごしになったことと思います。
年末に本学病院で脳死例が発生し脳死判定から各種の手順を踏んで、国内 84 例目の脳死移植例として、1 月 2
日に臓器を摘出、本学ならびに国立循環器病センター、東北大学病院などに送られそれぞれ移植が行われました。
関係者には新年早々の初仕事で大変ご苦労さまでした。
さて、昨年の秋に行われた政権の交代は久しぶりの政権交代であり、世の中がどう変わってゆくのか全ての国
民が関心を持っているところです。本学関係でも、教育、医療、福祉政策の行方に大きな影響を受けることは間
違いなく、差しあたっては暮れの 12 月 25 日に閣議決定した史上最大と言われる次年度の 92 兆円余りの「命を守
る」という予算の編成に大きな関心と期待がもたれて年を越しました。新しい 2010 年はどうなるか、厳しい条件
の中ではありますが、期待を込めて本学の発展に向けて皆さんとともに努力してゆきたいと思っております。
皆さんご存知のように、一昨年秋にアメリカで始まった金融危機は 1 年半を経てやや改善傾向にはあるとして
も、世界的な不況が進展しつつあり、まだまだ安定しない状態が続いております。本学でもいろいろの影響は避
けられないものと思われます。しかし良かったことは、昨年末、国家公務員の給与引き下げ、期末賞与の一部カ
ットが実施されたのに対して、本学では教職員の勤労意欲を失うマイナスの効果を避けるべく、理事会の総意で
給与のベースダウンは行わず、期末賞与は満額支給を実施することができたことです。もちろん、十分であると
は思っておりませんが、ぜひ、その意のあるところを汲んでいただき、職務に精励していただきたいとお願いい
たす次第です。
本学のミッションは、益谷秀次初代理事長が開学式の式辞で述べられた新しい大学への建学の精神にあります
ように、良質の教育、医療、研究を創出してゆくことにあります。教育、医療、研究の面でそれぞれ担当の業務
をつねに見直し、改善を心がけ、高いレベルの業務を維持していただきたいと思っております。
以下、具体的な項目について幾つか述べておきたいと思います。
1.教育について
本学は、良質の医師を育てるという目的のもと、社会からその教育の担当を付託されて設立されたものです。
したがって、
「教育」は本学の教職員にとって何よりも大切な業務であります。6 年間の「医学部教育」、そのあと
の「卒後研修」によって社会から受け入れられる良質の医師を育て上げる責務を背負っているわけであります。
山田学長の掲げる「教育の金沢医科大学」の旗印のもと、実力のあるバランスのとれた医師の育成に力を尽くし
ていただきたいと思います。
医師国家試験は、医師となるための登竜門であり、これをパスすることは必須の要件であります。これをパス
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金沢医科大学報
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するための 6 年間の卒前教育であり、学生と教員が協力して成功裏にこれを乗り越えていくよう力を注ぐことが
大学に対して要求されます。
「6 年間もかけてこの試験に合格させられないとは何事か」という声もそこから出る
のでしょう。もちろんいろいろと問題が絡んでおりますが、教務の仕事は、卒業者をどの線で切るか、すなわち
パスレベルをどこに設定するかではなく、早い時期から必要な学生には強力なてこ入れを行って、設定したパス
レベルをクリアできる力をいかにつけてゆくかに意を注いで、一人でも多く国試をパスできるような本学独特の
教育体制を作っていただかねばならないのではないでしょうか。医学部の教員は本来「教育」ということについ
ての訓練を受けておりませんので、教務関係の FD や医学教育カリキュラムの見直しなどさらに真剣に取り組ん
でいただかねばならないものと思っております。
また、次年度には医師不足解消のため、入学定員が全国で 15%増しとなります。これは当然教員の負担を増
すことになりますが、しっかりと対応してゆかないと結果は厳しいことになると思いますので、よろしくお願い
いたしたいと思います。
看護学部の教育については、これから平成 22 年度の完成年度に向けて教育体制を整え、国試対策、卒後の本
学病院での活躍を第一に考えた受け入れ態勢の整備など、各現場で準備を進めてもらっているところであります。
2.医療面について
今、医師不足が至る所で未曾有の深刻な問題を提示しています。わが国で起こっている医師がいないというこ
の不思議な現象には少なくとも 2 つの因子があるように思われます。
第一は医師に要求される仕事量の増大に伴って、医師の絶対数が足りなくなっていることです。1970 年まで、
わが国の国公私立の医学部は 46 校で、その時の医師数は人口 10 万人当たり 110 名程度でしたが、将来明らかに
不足するという見方から、人口 10 万人当たり 150 名の医師を確保することを目標に、いわゆる新設医大として本
学を含む 34 校が開設され、現在の 80 校となりました。ところが、1983 年に厚生官僚が出した「医療費亡国論」が
その後長く厚生省の見解を支配することになり、医学部入学定員の削減政策が始まりました。すなわち、1982
年に年間 8,280 名となっていた医学部定員は、2007 年には 7,625 名まで約 650 名が削減されたのでした。
現在、医師数は人口 10 万人当たり 200 名を超しておりますが、医師の仕事量は 1970 年代に比較して、医療の
進歩などによってこの 30∼40 年の間に極端に増大しております。その結果、現在、OECD 加盟 30 カ国の平均は
人口 10 万人当たり 300 名となっているのに対して、210 名というわが国の現状は、30 カ国中下から 4 番目という
実態です。医師数は先進国の平均の 3 分の 2 しかいないということになります。
第二の因子は、いわゆる骨太の方針によって診療報酬の削減が年々続き、医療のインフラを砂漠のように荒廃
させてしまい、医師が進んでハードワークにつく気力をなくしてしまったことではないでしょうか。公立病院を
中心に医師の撤退という現象が起こっておりますが、これがわが国の医療崩壊につながることを恐れます。
教育と医療は、健康な社会を維持するための根幹ですが、余りにも配慮に欠けた行政の結果であると思います。
これから正常な状態を取り戻すのには大変な努力が必要であると思われますが、少しでも早く本来の良好な秩序
を取り戻してゆかねばなりません。
現在、医師ばかりではなく、厚労省の看護師にかかる 7 対 1 看護の診療報酬設定により、一躍、看護師不足に
拍車がかかった事実があります。本学では本年度は附属看護専門学校は閉校してしまっており、看護学部はあと
1 年卒業生を出せない状態で、看護師不足が心配されています。病院での現役の方々を大事にしつつ乗り切って
ゆかねばならないと思います。
さらに、医師、看護師不足が問題の焦点となっていますが、先に述べたように、近年、医療を支える各部門の
仕事は高度化しその量は極端に増大しております。医師、看護師ばかりでなく、縁の下の力持ちのような立場で
良い仕事をするべく力を尽くしている放射線技師、臨床検査技師、薬剤師などのコメディカルの職場環境などに
も十分な配慮がされるべきことを飯塚病院長と検討しております。
金沢医科大学報
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3.研究について
科学研究には一見無駄と思えるような大金が必要ですが、新政権の事業仕分け人が、思い切った削減を行いま
した。旧帝大の学長やノーベル賞受賞者が、
「先進各国では国の威信をかけて科学研究に資金を投入している」と
いう批判をしたのに対して、仕分け人からは「一流ではなく、二流ではいけないのか」といった問答があったのは、
象徴的であったと思います。
種々の批判も反映されて、本学関係の研究にまつわる削減された補助金も復活しつつあるようですが、良き臨
床医となるためには、リサーチマインドを持って物を見る目を養うことは極めて重要であります。本学の科学研
究費の取得率を少しでも上げ、今でなければできない研究を今行い、業績として残していただきたいと思ってお
ります。教授、准教授をはじめ講師、助教に至るまで協力をお願いする次第です。
4.今後の事業計画について
本学の病院新館を除くほとんどの建造物は 1970 年代の前半に建てられたので、これから数年後には一斉に築
40 年を迎え、また、建築後耐震基準が強化されたのに伴って基準に適合しなくなっております。耐震補強も検
討しましたが、計画的に建替え耐震化を考えてゆくのが最善であると結論し、その方向で方策を練っております。
そのために、将来の方向性を考慮に入れた本学のグランドデザインを設定して整備してゆく必要があり、理事会
に諮り、松本副理事長を中心に関係部署を動員してプランの作成を行ってもらっております。
先ずは、病院本館の解体と病院エントランスビル・臨床講堂、21 世紀集学的医療センター、中検などが入る
建物の建設、アナトミーセンター、臨床教育関係の施設などを含めて「第 1 次 5 カ年計画」というものを策定中で
す。すでに病院に隣接しているアナトミーセンターの建て替え移転計画の仕事が始まっております。いろいろと
学内からの意見なども受けて良い施設を作るようにしたいと思います。学生が本学に入学して早い時期に接する
ことになる解剖学の取扱いは極めて重要であると思っております。学生が医学を好きになるきっかけとなるよう
なアナトミーセンターをと考え、中にミュージアムを作る企画を進めてもらっています。上記の第 1 次 5 カ年計
画は順調にいけば、新幹線が金沢まで開業する 2014 年ころに完成させたいと思っています。
そのほか、病児保育施設は竣工しており、本年 10 月からの北陸大学薬学部の学生の臨床実習受け入れ事業の
スタートなどが予定され、関係者によって準備が進められております。
最後になりますが、教育にせよ、診療にせよ、研究にせよ実績によって評価されます。とくに本学が発展して
ゆくためには、診療実績増が必須です。皆さんのご協力をお願いいたします。
また、竹越副理事長、高島氷見市民病院長に取り組んでいただいている氷見市民病院の成否は金沢医科大学の
実力の如何を示すバロメータとも目されております。本学病院のすべての医師が関心を持ち氷見市民病院の収入
増にご協力いただきたいと思います。
それでは、この 1 年、健康に留意され大いに業績を上げてくださるようお願いしまして、年頭の挨拶といたし
ます。
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年頭挨拶
学 長 山 田 裕 一
皆さま、明けましておめでとうございます。
の本学の成績平均 83 点は、全国医学部の平均 77 点を
山下理事長もお話しされましたが、12 月 31 日の脳
大きく上回り、全国でもトップクラスの成績でした。
死移植事例の発生以来、引き続く脳死判定作業、そし
こうした成績の乖離は、本学における医学部第 5、6
て 1 月 2 日の臓器摘出に至るまで、私にも横山教授、
学年での教育、すなわち臨床実習教育のあり方の問題
和藤教授から逐次ご連絡をいただきました。ありがと
をあらためて浮き彫りにしました。
うございました。
つまり、本学の教育改革として、今もっとも重要
不幸にして脳死に至られた患者さまの、他人の役に
なことは、医学部第 5、6 学年での臨床実習を、その
立ちたいという最後の尊いご意志をかなえ、長い間移
本来の目的である実践的な臨床能力の向上や、患者さ
植を待たれた 5 人の患者さまの命を救うという、最先
まやスタッフとの人間関係を構築する能力を向上させ
端医療を担う大学病院にふさわしい役割を十全に果た
る、その実現と同時に、それに並行して、国試合格レ
すため、年末年始休暇の中、文字通り、昼夜を分かた
ベルの知識もしっかりと蓄積されるよう、実習内容を
ず奮闘されました本学職員の皆さまに、心からねぎら
工夫、改善することであります。
いを申し上げるとともに、滞りなく、しっかりと任務
一方、国試の合格ということについて言えば、い
をやり遂げられ、金沢医科大学の名誉を一層高められ
わゆる「追い込み」時期での勉強が決定的に重要です。
たことに、敬意と賞賛の意を表します。本当にお疲れ
つまり、第 6 学年の、国試を目前にしたまさに今、こ
さまでございました。
の時期、学生がもっとも苦しみ、もがいているこの時
さて、金沢医科大学の「さらなる飛躍のための土台
期に、彼らが最後まであきらめず、しっかりと勉強を
作り」の 3 年間と位置づけた私の任期も 3 年目に入りま
続けられるよう、激励し、支援し続ける体制が必要な
した。そこで本日は「教育の金沢医科大学」というス
のです。
ローガンのもとで行ってきた本学教育改革の進捗状況
それゆえ、昨年春以来、この 2 点を特に重点的に強
と、今後の展望についてお話させていただき、あらた
化するよう、医学部長、医学教育センター長、第 5、
めて皆さまのご支援とご協力を仰ぎたいと思います。
6 学年の主任、副主任、そして臨床系講座の教授の皆
さまにお願いいたしました。ご存知と思いますが、臨
教育改革の進捗状況
床講座ごとに 1 名の臨床教育担当教員を選任し、それ
私が学長就任時に教育改革目標の第一に掲げたの
らの教員には、実習中にも知識獲得がしっかり進むよ
は、高く、安定した国試合格率の達成でした。就任 1
う、実習内容を改善し、小講義や小テストなどを行っ
年目の一昨年春こそ、98 人の卒業生の内 88 人(89.8%)
てもらっています。また、教員自身が国試のエキスパ
が国試に合格し、
「100 人卒業、90 人以上の合格」とい
ートになってもらうために、国試問題の作り方の講習
う目標にもう一歩という状況でしたが、昨年は一転、
を受講してもらいました。さらにまた、国試を目前に
卒業生 101 人中の合格者が 82 人にとどまりました。新
している第 6 学年では、学習が遅れがちな学生たちを
卒合格率 81.2%は 10 年ぶりに全国最下位という大変
対象に週 1∼2 回の個別指導を行いながら、随時、学
残念な結果でした。一方、同じ時期の、第 4 学年の全
生の相談にものってもらっています。臨床教育担当教
国医学部共用試験(CBT: Computer-based test )で
員の皆さまには、臨床実習の充実と 6 年生の指導に、
金沢医科大学報
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これまで、ほんとうによく頑張ってもらっています。
学は必ず発展し続けると確信することができました。
心からお礼を申し上げますが、国試まであともう 1ヵ
しかし一方で、学生たちから緊張感が伝わってこない、
月です。是非、もうひと頑張りをお願い申し上げます。
生気のない授業もごく少数ですが見られました。それ
次に「確かな医学力、看護学力」育成のカギとなる
らの教員には、授業を通して学生たちにどのような力
クリニカル・シミュレーション・センター(CSC )の
をつけようとしているのか、そのためには、どういう
開設と充実についてお話します。約 1 年間の準備期間
方法を取り、どう評価するのが最良であるかをよく考
を経て、山下理事長のご英断を得、安田教授が中心と
えてほしいとコメントしました。
なって昨年 4 月に開設して以来、毎月 500 人以上の学
結局、教育課程とは、学生にどのような力をつける
生、研修医、新任職員が研修に訪れています。生身の
のかという明確な目標(ゴール)に至るための綿密な
患者さん相手には練習できない診療手技も、シミュレ
行程表です。確かな医学力、看護学力、そして使える
ータを使えば、たっぷり、しっかり、確実に習得する
英語力、このいずれもが到達目標の 1 つですが、それ
まで練習できます。先日、病棟実習で経験した手技を、
らの目標に共通する土台として、自ら学習課題を見つ
その印象が鮮明なうちにさらに磨こうと、実習帰りに
け、学習計画を立て、その進捗状況を点検できる、す
看護学部学生と教員とが CSC に立ち寄ってくれたと、
なわち自己学習能力の育成が必須要件です。本学でも、
CSC の石丸管理人がそのブログで報告しています。
なかなか学習が進まない学生に共通するのは「口を開
素晴らしいことです。学生、教職員のだれもが、思い
けてエサを待つ」態度であり、自ら学習課題が設定で
立った時にいつでも、臨床技術の向上のために立ち寄
きないことです。
るような、そんな CSC にしたいと私も思います。
この自己学習能力の育成には、学生自身による目標
3 番目は、読む、書く、聞く、話すという 4 つの能
設定と学習成果の蓄積を行わせるポートフォリオ型の
力を総合的に向上させ、
「使える英語力」を育てる医学
教育が非常に優れていると言われます。そのことは多
英語です。この 4 月から医学部の第 4 学年にも延長さ
くの教育関係者が言及していますし、身近には、金沢
れ、4 年間にわたる全国医学部でもユニークな英語教
工業大学の実践でも示されています。このポートフォ
育になります。本学の医学英語の授業は、日本人およ
リオ型教育を本学の指導教員制度と併用すれば、学生
びネイティブの英語教員と、基礎、臨床系の英語に堪
と教員との親密な関係性の中で、学習の基礎になる自
能な教員の努力によって学生からも大変好評です。も
己学習能力を育成するという、
「教育の金沢医科大学」
ちろん、一部の英語が苦手な学生たちからは、その必
の名にふさわしい教育環境が実現できるのではないだ
要性を疑問とする声もあります。しかし、それらの学
ろうかと、私は今、考え始めています。今年の夏まで
生たちにとっては、今の段階では英語教育の意義を見
の、残る任期の 8ヵ月間を目一杯使って、このポート
出すことが難しいのですが、近い将来、私がそうであ
フォリオ型教育の本学への導入の可能性を検討したい
ったように、必ずその必要性を理解し、英語に取り組
と思っています。
まなかったことを後悔する日がやってきます。先月、
一方で教職員の負担が過重に陥らないよう、教育業
バーモント大学から研修にきた 2 人の米国医学生たち
務においても選択と集中を進めながら、より本質的で
が、本学学生たちが外国人学生にとても親切で、しか
効率的な教育方法は積極的に取り入れていきたいと考
も、英語も本当に上手なのに驚いたと言っていまし
えています。そうした教育改革に対する姿勢は、本学
た。半ばはお世辞(flattering )にしても嬉しいことで
の伝統でもあると考えます。本学教育の一層の充実に、
すし、これからが大変楽しみです。
ぜひとも全教職員の皆さまのお知恵とお力をお貸しく
ださい。
教育改革の今後の展望
あらためて、本年の皆さまのご健勝とご活躍、そし
「学長回覧板」でも書きましたが、本学ではたくさ
て、それが金沢医科大学全体の一層の発展につながる
んの素晴らしい授業が行われています。授業を参観さ
ことを祈念いたしまして、私の年頭の挨拶といたしま
せてもらった一般教育や基礎医学教育では、多くの教
す。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
員が本当に内容豊かな講義や演習を行っていました。
また、学生たちを飽きさせず、集中力を維持するため
の様々な工夫も取り入れており、本当に感心しました。
こうした教育熱心な、素晴らしい教員がいる限り、本
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金沢医科大学報
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年頭挨拶
病院長 飯 塚 秀 明
病院職員の皆さん、新年おめでとうございます。
力により医業収入は予算ベースを何とか達成できる見
挨拶に先立ちまして、年始早々本学病院で初の、北
通しです。しかしながら医業経費の増加や機器整備な
陸では 2 例目の臓器移植法に基づく脳死と判定された
どによる支出増も予想を上回っており、収支改善のた
患者からの臓器摘出手術が行われたことをご報告いた
めの方策を今後さらに見直していく必要があります。
します。1 月 2 日に、患者(40 歳代女性、蘇生後低酸
医療資源の効率的運用として、医療機器の整備・運用
素脳症)およびご家族の尊い善意を受け、粛々と法に
体制の見直し、人員の効率的活用が重要です。経営環
基づく脳死判定と臓器摘出が行われました。同日から
境を良好にする目的は、病院職員の待遇改善、教育研修
翌日未明にかけて、心臓移植は国立循環器病センター
費の増額、機器整備の充実などに要する政策的経費の
で、肺移植は東北大学病院と大阪大学医学部付属病院
増加をはかり、医師を含めた職員の職場満足度を高める
で、膵・腎臓同時移植が東北大学病院で、そして腎臓
ためです。さらなるご協力をお願いしたいと思います。
移植は本学病院で行われました。1 月 4 日付けの報告
診療体制の課題としては、①救急・集中治療体制、
では、移植を受けられた 5 名の患者の状況は概ね良好
②がん治療の集学的診療体制、また、③医師の確保、
で、臓器を提供された方とご家族に深く感謝されてい
特に外科系医師の確保のための方策などがあげられま
る旨の文書をいただいております。横山副院長をはじ
す。また、コメディカルの人材確保と教育体制の充実、
め、担当診療科(救急医学)、脳死判定委員、移植コ
適切な業務分担の体制整備など、いまだ道半ばでしょ
ーディネーター、担当事務方、関連診療科と関連部署
う。医療安全については、あらたに臨床感染症学講座
の職員の皆さんのご尽力により、大学病院の社会的使
が新設され、院内感染対策は充実できると思いますが、
命を果たせたことをあらためて感謝いたします。
さらに医療メディエーションなどへの取り組みが必要
昨年(平成 21 年)の年頭に、
『(平成 20 年の)社会情
です。
勢はこれまでになく厳しく、私共も例外ではない』と
最後に、医療職(メディカルプロフェッション)と
申し上げましたが、医療を取り巻く環境は、政権交代
しての倫理を、職員皆さんにはいま一度年頭に当たっ
後もよい方向への「チェンジ」はなく、ますます課題
て考えていただきたいと思います。医療のプロフェッ
が増えている状況は皆さんご承知のとおりです。
ションとして、
『患者のために、①社会的公平・公正
私の任期も半ばをすぎましたが、当初から皆さんに
を遵守すること、②利益追求をしないこと』は当然で
申し上げてきました『金沢医科大学病院の(社会的)存
あります。金沢医科大学病院が、誇りを持って働くこ
在価値(レーゾン デートル)』は、真の『教育・研究病
とができる組織にするために、さらに職員皆さんと一
院としての体制』を充実することにあるとの考えは変
緒に頑張っていきたいと思っております。あらゆる職
わっておりません。医師、コメディカルを含めたすべ
場は、教育、研究、業務(診療)の場です。①学び手
ての病院職員の育成システムを充実させるための努力
本位の真の教育病院となること、②人(患者と職員)
は未だ不十分ですが、残された任期中、いま一度、大
中心の医療を行うこと、③良き医療人を育成し、地域・
学病院としての価値創造と、医療の質・安全の保持の
社会に貢献することを目標に、今年もどうかよろしく
観点からも職員皆さんの協力のもとに推進していきた
お願いいたします。平成 22 年がすべての病院職員の
いと思っております。
皆さんにとって、また金沢医科大学病院にとってすば
本学病院の経営環境についてですが、皆さんのご尽
らしい 1 年になることを心から切望いたします。
金沢医科大学報
8
学 事
医学部
平成 22 年度
推薦入学試験終わる
公募制募集人員約 20 名に対して全国から 72 名の出
◇推薦入学試験(公募制、指定校・指定地域)
願があり、指定校・指定地域 4 名とあわせて計 76 名が
医学部の推薦入学試験制度は、目的意識を持ち個性
「基礎学力テスト」
・「小論文」・「面接」の各試験に取
り組んだ。
豊かで優秀な人材を見い出し、ゆとりを持って学習を
公募制 20 名、指定校・指定地域 4 名、計 24 名の合
進めてもらうことを目的として、昭和 61 年度入試か
格者を 11 月 26 日(木)午後 5 時に本部棟正面玄関なら
ら実施されている。
びに本学ホームページで公表した。
平成 22 年度からは新たに指定地域(氷見市)推薦入
今年の推薦入試の特色としては、指定地域を導入し
試を導入し、指定校・指定地域推薦入試で約 5 名の募
たことに加え、指定校を 2 校追加したことが挙げられ
集枠を設けた。
る。
推薦入学試験は、11 月 21 日(土)本学で行われた。
(入学センター)
なお、一般入学試験については第 1 次試験が平成 22 年 1 月 21 日(木)、第 2 次試験が平成 22 年 2 月 1 日(月)、2
日(火)に、本学ほか 7 会場において行われる。詳細については学報 No.139 号 6 頁参照。
看護学部
平成 22 年度
編入学試験・推薦入学試験終わる
◇編入学試験
看護学部の編入学試験は、看護師免許または看護師
国家試験受験資格保有者を対象として、平成 21 年度
から実施されている。
平成 22 年度編入学試験は 9 月 27 日(日)、本学で行
われた。
募集人員約 10 名に対して 3 名の出願があり、欠席者
1 名を除く 2 名が「英文読解」・「小論文」
・「面接」の各
試験に取り組んだ。
◇推薦入学試験
平 成 22 年 度 看 護 学 部 推 薦 入 学 試 験 は、11 月 22 日
(日)、本学で行われた。
募集人員約 20 名に対して 23 名の出願があり、全員
が「基礎学力テスト」
・「小論文」
・「面接」の各試験に
取り組んだ。
合格者 22 名を 11 月 27 日(金)午後 1 時に本部棟正面
玄関ならびに本学ホームページで公表した。
(入学センター)
合格者は 1 名で 10 月 1 日(木)午後 1 時に本部棟正面
玄関ならびに本学ホームページに公表した。
編入学試験合格者は、3 年次編入となる。
なお、一般入学試験については平成 22 年 2 月 12 日(金)、本学において行われる。詳細については学報 No.139
号 8 頁参照。
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金沢医科大学報
第 37 回
解剖体合同追悼慰霊祭
9
読され、栂 博久医学部長が、
「医学を志す学生にとっ
て解剖学実習は医学入門のための厳粛な式典であり、
専門知識の習得のみならず、生きることの尊さ、生命
の尊厳を何よりも身近に学ぶことができる。また、病
理解剖は、我々人類の病気との戦いにおいて、その新
第 37 回解剖体合同追悼慰霊祭は、平成 21 年 10 月 17
しい診断技術や治療法の確立のために極めて重要な役
日(土)午前 10 時 30 分より、ご遺族、天寿会会員、大
割を果たしている。医学教育はもちろん、医学の進歩・
学教職員、医学部学生および看護学部学生等、約 300
発展のために尊いご遺体を捧げられたご本人並びに同
名の参列のもと本学講堂において厳粛に執り行われ
意いただいたご遺族の方々の深くご理解ある志に対し
た。本慰霊祭は会場をこれまでの真宗大谷派金沢別院
て、本学学生、教職員一同は深甚なる敬意と感謝の念
から本学講堂に移し、内容も大幅に見直され無宗教型
を捧げるものである」との追悼の言葉を述べた。
式で実施された。
続いて、学生を代表し医学部第 2 学年の西田功一君
追悼慰霊祭は、平成 20 年 9 月から平成 21 年 8 月の
が、解剖学実習のために尊いご遺体をお寄せいただい
期間に、本学の解剖実習のための系統解剖に献体され
た故人の崇高なるご遺志とそのことに快く同意された
た方、並びに本学病院で病理解剖にご協力いただいた
ご遺族の深いご理解に対して、尊敬と感謝の念を述べ
方の篤い志に感謝し慰霊を行うものである。今回対象
た。
となったのは、系統解剖 39 柱、病理解剖 69 柱、合計
108 柱の御霊である。
最後に、故人のご冥福をお祈りして、参列者全員に
よる献花が行われ閉会した。
(教学課 杉原一良記)
参列者全員による黙祷のあと、108 柱の御芳名が奉
本学講堂における追悼慰霊祭
参列者による献花
平成 21 年度
天寿会総会
平成 21 年 10 月 17 日(土)天寿会総会が、解剖体合同
追悼慰霊祭の後、本学学生食堂において開催された。
北陸三県を中心に全国各地から約 70 名の会員が参集
した。
会議に先立ち、平成 20 年 9 月から平成 21 年 8 月の期
間に成願された 29 名のご芳名が拝誦され、黙祷を捧
天寿会総会
げた後、作田 実会長から「私達は亡くなった後、その
たちの健やかな日々と明日の医療の発展を願い、良医
亡骸を金沢医科大学に献体することを通して、子ども
の育成の一翼を担うという共通の目的で、心を一にす
【学事】
金沢医科大学報
10
ハビリ科)の影近謙治教授より「転倒による寝たきり
る団体である」旨の宣言があった。
総会では、平成 21 年度事業計画の審議、過去 1 年間
予防のためのリハビリテーション」についての講演が
の会員の増減、役員会の開催状況等の議事が、異議な
あった。影近教授のユーモアあふれる話では、日常生
く了承された。
活の中で行うことのできる運動についての説明があ
昼食を兼ねた懇親会は、久しぶりの再会を喜び合う
会員や、第 2 学年代表生 26 名との交流の場となった。
り、会員の方々はとても関心をもって聞かれ、時折メ
モをとる姿も見られた。
その後の講演会では、篠原治道分子細胞形態科学
講演会終了後、慰霊碑前までバスで移動した。慰霊
(解剖学)教授より「献体」について歴史をまじえ分か
碑の前で記念撮影を行う予定だったが、急な豪雨によ
りやすい説明がなされた。また、運動機能病態学(リ
り中止となった。
平成 20 年度
東 伸明
解剖学Ⅰ講師
黒田 尚宏
医学教育学助教
土原 一真
呼吸器内科学助教
垣内 無一
神経内科学助教
盛田 英樹
救急医学助教
優良教員表彰
平成 20 年度優良教員表彰式が平成 21 年 11 月 24 日
(火)14 時から本部棟 2 階会議室において行われた。
(教学課 長谷川和美記)
〈研究活動部門 5 名〉
倉田 康孝
生理学Ⅱ准教授
15 年度から総合的な評価結果に基づき、教育活動・
長内 和弘
呼吸器内科学准教授
研究活動・診療活動の各部門毎に優良教員を選考、表
福田 正道
眼科学講師
彰を行っている。
安井由美子
病理学Ⅰ助教
絈野 健一
循環器内科学助教
本学の教員評価制度は平成 12 年度から導入され、
山田裕一学長から優良教員賞の受賞者一人ひとりに
表彰状が手渡され、将来の我が大学を担う人材として、
さらなる活躍を期待している旨の激励がなされた。
〈診療活動部門 7 名〉
宮澤 克人
泌尿器科学准教授
中村 常之
小児科学准教授
平成 20 年度優良教員
佐藤 勝明
病理学Ⅱ講師
〈教育活動部門 8 名〉
吉谷新一郎
消化器外科学講師
(大学企画室 干場良広記)
杉谷 道男
一般教育機構(生命科学)准教授
白神 俊祐
脳神経外科学助教
堀 有行
医学教育学准教授
永井 康太
眼科学学内講師
土島 睦
消化器内科学准教授
中川 研
呼吸器内科学助教
優良教員表彰
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
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備してきてきたものである。本総会で保護者への賛否
看護学部
確認を行い、大半の保護者の賛同を得て設立すること
となった。
平成 21 年度
保護者会のあと看護学部 1 号棟ラウンジにおいて、
看護学部保護者連絡会
看護学部保護者会設立総会
保護者と教職員との懇親会を兼ねた昼食会が和やかに
行われた。
午後からは希望者に対して個別面談並びに学内施設
見学が行われた。個別面談では、学業成績や課外活動
平成 21 年 11 月 1 日(日)看護学部学生の保護者 87 名
など学生生活に関する様々な事柄について質疑応答が
が出席し、本学本部棟 4 階講堂で平成 21 年度保護者連
なされた。また、学内施設見学では看護学部 1 号棟 2
絡会並びに保護者会設立総会が開催された。
階の実習室での模擬演習や病院新館の外来・病棟など
午前 11 時からの保護者連絡会では、伊川廣道看護
を見学した。
(看護学部事務課 今村吉克記)
学部長の挨拶の後、芝本利重学生部長、落合富美江看
護学部教務副委員長がそれぞれ学生関係、教務関係の
現況報告を行った。
午前 11 時 30 分から「金沢医科大学看護学部保護者
会設立総会」が開催された。初めに山下公一理事長、
山田裕一学長が挨拶、その後会則の制定、役員の選出、
事業計画等の議事が進められ、最後に選出された役員
の互選により初代会長に高木俊宏氏が選任された。
保護者会の設立にあたっては、
「学生の課外活動や
教育環境の向上への支援を図り、学生生活を充実させ
ることを目的として設立したい」との 6 名の保護者に
よる設立発起人の呼びかけで、事前に大学と連携、準
伊川廣道看護学部長による挨拶
看護学部
など、会場は大いに盛り上がった。
平成 21 年度
また、参加者全員でのプレゼント交換やゲーム大会
看護学部学生と教職員との
交流会
等、終始看護学部らしい和やかな雰囲気で進められた。
学生と教職員が一体となり、お互いの理解を深め、看
護学部の更なる発展に向け有意義な交流会であった。
(看護学部事務課 荒木美貴記)
平成 21 年 12 月 15 日(火)午後 5 時から、
看護学部 3 号棟学生ラウンジにおいて、看
護学部第 1∼3 学年の学生と教職員とのク
リスマスパーティーを兼ねた交流会が開
催された。 この交流会は、学生主催で行われ、学
生と教職員との意思の疎通をより深めて
いくことを主な目的として、看護学部開
設以来継続して開催されている。
学生代表、前寺悠紀さん(2 学年生)の
開会の挨拶に続いて行われた交流会では、
学生がサンタクロース等の衣装を着て、
和気あいあいと教職員と記念写真を撮る
クリスマスツリーの前で記念撮影
【学事】
金沢医科大学報
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学生のページ
受賞者には、山田裕一学長から表彰状と奨励金が
学生の表彰
手渡され、
「課外活動を通して身体を鍛えるとともに、
医師になるための強い心を養い勉学に励んでいただき
平成 21 年 12 月 3 日(木)本部棟 2 階会議室において、
たい」との激励の言葉が述べられた。
(教学課 杉原一良記)
課外活動において優秀な成績を修めた 2 団体と学生 8
名の表彰式が行われた。
表彰された学生
団体名・学生氏名
大 会 名
成 績
第 43 回全日本医科学生体育大会王座決定戦
卓球(9 月 19 日、20 日 埼玉)
女子団体 第2位
第 61 回西日本医科学生総合体育大会
卓球(8 月 3 日∼ 5 日 福岡)
女子団体 第2位
第 26 回全日本医科歯科学生サーフィン
選手権大会(8 月 1 日、2 日 宮崎)
総合 第3位
齋藤 孝博
(医学部第 6 学年)
第 61 回西日本医科学生総合体育大会
陸上競技(8 月 9 日、10 日 沖縄)
男子ハンマー投げ 優勝
小川雄太郎
(医学部第 2 学年)
第 61 回西日本医科学生総合体育大会
陸上競技(8 月 9 日、10 日 沖縄)
男子 100m 第3位
神尾 幸見
(医学部第 3 学年)
第 61 回西日本医科学生総合体育大会
陸上競技(8 月 9 日、10 日 沖縄)
女子ハンマー投げ 第2位
卓球部
サーファーズ
第 61 回西日本医科学生総合体育大会
卓球(8 月 3 日∼ 5 日 福岡)
女子タブルス 第3位
(山本亜弥とペア)
平成 21 年度全日本医歯薬学生卓球大会
女子タブルス 第3位
(山本亜弥とペア)
(8 月 21 日、22 日 滋賀)
山本 亜弥
(医学部第 6 学年)
第 61 回西日本医科学生総合体育大会
卓球(8 月 3 日∼ 5 日 福岡)
女子タブルス 第3位
(神尾幸見とペア)
平成 21 年度全日本医歯薬学生卓球大会
女子タブルス 第3位
(神尾幸見とペア)
(8 月 21 日、22 日 滋賀)
小西 紗織
(医学部第 6 学年)
第 26 回全日本医科歯科学生サーフィン
選手権大会(8 月 1 日、2 日 宮崎)
ボディボード部門 優勝
眞島 崇史
(医学部第 3 学年)
第 26 回全日本医科歯科学生サーフィン
選手権大会(8 月 1 日、2 日 宮崎)
Cクラス部門 優勝
柴田 哲平
(医学部第 4 学年)
第 26 回全日本医科歯科学生サーフィン
選手権大会(8 月 1 日、2 日 宮崎)
Cクラス部門 第3位
内田 信彰
(医学部第 3 学年)
平成 21 年度北陸武道連合春季大会
空手(6 月 28 日 白山市)
一般無差別の部 優勝
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学生のページ
2009 年 バーモント大学からの交換留学報告 (期間:2009 年 12 月 2 日∼ 11 日)
平成 21 年 12 月 2 日から 12 月 11 日の 10 日間、バーモント大学医学部 3 年生で病理学の Student Fellow である
Kanayo Tatsumi さんと Timothy Plante 君 2 名が、学外研修として、本学において臨床および基礎医学の研修を
行い、また本学の学生たちと交流した。
(国際交流センター)
Kanayo Tatsumi
The exchange program between UVM College
of Medicine and Kanazawa Medical University is an
experience I have been looking forward to since my
admission to medical school. I could hardly contain myself
when the time had finally come for me to be a part of this
extraordinary experience. The ten days I have spent here
will be a memory I will cherish for the rest of my life. I
send my deepest gratitude to those who have made this
possible, not only for me, but also for the students of the
past and those to come.
During my externship, I rotated through multiple
departments including hematology & immunology,
ophthalmology, nephrology, plastic and reconstructive
surgery, pathology, obstetrics and gynecology,
neurosurgery and surgical oncology. The senior and junior
attendings whom I had the chance to work with were not
only admirable in their expertise and knowledge but also in
their dedication to both their students and patients.
I had the opportunity to sit in through a lecture with
Dr. Yokoyama of nephrology and his 5th year students. He
was gentle in his style and lectured TO the students, not AT
them. His tenderness carried over to the other physicians
during professor rounds and to his patients on the floor.
He would often ask the other physicians and students of
their thoughts and had a teaching point for every case that
was presented. To his patients, he was warm and friendly.
He advised his patients rather than telling them what they
should do. He had pamphlets and programs available for
the patients if they had questions or concerns about their
ailments. One specific example that impressed me was
for a patient of his that was being transferred to another
hospital. He joined his junior attending physician to see his
patient off and to be present for his patient and the family.
It was a heartwarming scene.
Drs. Atsumi, Yamashita and Sato, of nephrology,
plastic and reconstructive surgery and pathology
respectively, made an impression on me as well. They all
made me feel a part of the team while we were rounding
on the patients or in the operation room or in the cutting
room. They made me feel like I was not only observing,
but instead there to learn. Over coffee or lunch, we had
研修風景。左からタツミさん、プラント君
great discussions about the differences of how medicine
is practiced in the US and Japan. Dr. Atsumi and I
discussed the impact of cultural differences such as how
the ideals of Buddhism embedded in the Japanese way can
affect the patients and their treatment plans offered. Dr.
Yamashita and I talked about health care policies and the
affordability of health care in both our countries, as well
as the differences of training doctors. Dr. Sato shared his
research ideas with me and shared his experiences of how
he transitioned from clinical medicine as a neurologist to
a pathologist. These intimate conversations about culture,
education and research that I had with them made me
appreciate the road I have chosen to take as a Japanese
medical student in America. I am reminded how lucky I
am to have had these opportunities.
My experience here at Kanazawa Medical
University has made me aware of the similarities and
differences of both our countries. I am so grateful to
everyone both at UVM and KMU who have made this
possible. This experience was great for me both as a
student pursuing medicine and as someone who has
straddled both cultures. Thank you to all of you who have
made me appreciate my heritage as well as my upbringing.
I am so fortunate to have met and shared this experience
with you.
【学事】
金沢医科大学報
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学生のページ
Timothy Plante
I have been very fortunate to be able to visit
Kanazawa Medical University as part of my medical
education for the last two weeks. The students, faculty,
and staff have, often unintentionally, demonstrated many
of the core ideals of medicine. I feel that I have a better
understanding of compassion, scholarship, and the desire
to better understand the unknown after my short exposure
to these people. Though I have only been a student of
Kanazawa Medical University for a short time, I will be a
better doctor as a result of the experiences here.
One particular day I was met by a student at the
international student office. She had woken up early and
came to school more than an hour before her first lecture to
make sure that I found the neurosurgery department for my
day's rotation. She walked me through a maze of buildings
while making small talk in near-perfect English. She
wished me well and left me with many friendly doctors who
introduced themselves, offered coffee, and candidly shared
their experiences as clinicians. After an efficient morning
of rounding on the inpatients treated by the service, Dr.
Akai let me accompany him to his outpatient clinic. The
day's patients varied from ten months to seventy-eight years
in age. He modeled empathy with the nervous young mother
who was concerned that the bump on her child's head was
something much more severe than just a minor abrasion.
He showed top-notch follow-through with the elderly man
whose vague neurological symptoms did not quite add up to
the history of a concussion. He demonstrated professional
courtesy with a visit to the emergency department to visit
the elderly lady who presented with a massive hemorrhagic
stroke. He excused me to get lunch while he assisted one
of his colleagues in a difficult case in the operating room.
The afternoon was a flurry of follow-ups with long-term
patients and visits with new patients. The intensity of the
day was not enough to diminish the energy of this eloquent
neurosurgeon.
ウェルカムパーティー(国際交流センター)
山田裕一学長より研修修了書授与
Later that night Dr. Akai joined the staff and
faculty of the international office and us students for dinner
in town. He candidly related the challenges of balancing a
more than full-time schedule with family life. He explained
that his desire to stay in his demanding specialty hinged
on his relationships with his patients. This is a sentiment
to which I can relate. One of the reasons that I pursued
a career in medicine is that I want to develop long-term
relationships with patients. It's reassuring to hear a seasoned
physician saying that this is still an important aspect in his
day-to-day practice. This experience with Dr. Akai was
only one of many such interactions I have had with the
faculty in Kanazawa.
Having spent the last ten months in various
rotations in the pathology department in Vermont, I have
not seen more than a few patients. I took this year in
pathology as an opportunity to improve my understanding
of disease and to test my desire to be an internal medicine
doctor. Pathology and internal medicine are related in that
they both focus heavily on diagnosis of disease and both
require a broad understanding of diseases, but differ in their
respective focuses. The piece of medicine which excites and
drives me the most is that which results from developing
relationships with patients. The students and staff have gone
out of their way to welcome and reassure us international
students in the same way that the clinical faculty goes out
of their way to provide excellent care to their patients. As a
result of being a part of these relationships, I am reassured
in my choice as internal medicine as a career.
My time at Kanazawa Medical University has
been the highlight of my year. I am deeply thankful to the
people of the university and want to thank everyone for the
opportunity to participate in their lives for a short amount
of time. This brief stay will have a long-term impact in my
career.
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体験報告
東アジア腫瘍内科国際シンポジウムに
参加して みうら
せいこ
三浦 聖子(医学部第4学年)
2007 年本学で行われた日台交流腫瘍内科国際シンポ
ジウムの際にお世話になりました国立台湾大学の徐志
宏先生と再会できたことが嬉しかったです。
専門分野の英語でのセッションはとても刺激的で
した。予習勉強会の時に準備していた疑問点や質問が
プレゼンテーションの中で解決してしまい、ディスカ
ッションに参加できなかったのは残念でした。これか
ら臨床的センスを身につけていけるような勉強方法を
していきたいと強く感じました。東アジア 4 カ国の医
療制度の違いや現実的に直面している問題点が感じ取
れ、将来国際的な協力が必要となる課題等大変勉強に
なりました。
国際シンポジウムでは、日常の学生生活で拝見す
ることができない英語でのハンドリング力等先生方の
堪能さに感動し、英語力を重視している大学の方針も
よく理解することができました。貴重な体験を大事に
これからも大学院生・留学生・学部生と共に、英語で
の勉強会を継続していきたいと思います。
勉強会。筆者(左)と Nguyen Thi Nguyet Anh さん(短期研究員、
公衆衛生学)
この 2 年の間に学生・臨床研修医向けのセミナーに
て、国立がんセンターの廣橋説雄総長をはじめ、土屋
了介先生、江角浩安先生、落合淳志先生、若林敬二先
腫瘍内科学元雄良治教授のご厚意により、2009 年
生にお会いでき温かく励ましをいただきましたことに
11 月 7 日(土)に金沢市で開催されました東アジア腫
感謝致します。学生でも分け隔てなくお話くださる先
瘍内科国際シンポジウム(北陸がんプロフェッショナ
生方のお姿にとても勇気付けられました。北陸がんプ
ル養成プログラム)に参加させていただきました。
ロフェッショナル養成プログラムの隔週開催されてい
大学院生・留学生・医学生と共に抄録集を参考に、
るキャンサーボードでは、学部生にも学ぶ機会が与え
2ヶ月前より毎週 2 回勉強会を企画し運営しました。
られていることに感謝しています。ありがとうござい
肺がん・消化器がんを主に付随する分野の病態生理学
ました。
をはじめ、病理学・血液免疫学・放射線核医学・外科
的アプローチ・腫瘍内科学・公衆衛生学(コホート研
究や症例対照研究・臨床試験などのプロセス)・分子
標的薬物治療・天然化合物学を英語で学び、積極的参
加に努めました。
予習勉強会は、専門分野を簡潔に質問する練習の
機会となり、一人で学ぶことの限界を知り、共に教え
あうことにより言語・文化的違いも含めて理解が深
まりました。学生のみでは解釈が困難な時には、腫
瘍病理学の尾山武先生をはじめ多くの臨床の先生方に
ご協力いただき、Lancet、Carcinogenesis、Cancer
Research、Oncology の論文抄読を行うことができま
した。
当日の会場では、青色とクリーム色で統一され赤
色のアクセントのきいた設営に適度な緊張感を感じ、
〈21 頁、58 頁に関連記事掲載〉
【学事】
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学生のページ
クラブ
活動
バレーボール部
にしき
主 将 西木
バレーボール部は男子部、女子部の二つで成り立
っており、約 40 人の部員で活動しています。残念
かずあき
一哲(医学部第3学年)
流が深まり、終わった後には言いようのない達成感
が得られました。
ながら過去の成績として誇れるものは少ないのです
バレーボール部には、卒業後も部活の事を思って
が、様々な大会で良い成績を残せるよう、経験者も
下さる優しい OB の先生方がたくさんいらっしゃい
初心者もお互いに向上心を持って日々部活動に取り
ます。忙しい仕事の合間をぬって試合の応援に来て
組んでいます。経験者はプレーの面で支えとなり、 くださったり、その後の打ち上げにまで参加してく
初心者にとってもプレーしやすい環境となっていま
ださったりしています。時には、先生方とバレーボ
す。嬉しいことにマネージャーも数人おり、部活動
ールをすることもあり、現役部員としては、OB の
を行う上で助かっています。学年の枠をこえてお互
先生方と接する貴重な機会なので非常にありがたく
いに意見を言い合うこともありますが、そのおかげ
嬉しいことです。先生方と話す中で、私達にとって
で部員の絆が深まっています。
漠然としている医師の姿がだんだん見えてきます。
試合の成績も当然ですが、それ以上にバレーボー
これはバレーボール部の魅力の一つだと思います。
ル部は常に皆で楽しく部活動をするということを心
私達学生にとっては勉強が本分であり、部活動は
がけています。また男子女子、先輩後輩共にとても
二の次と思われる方も少なくないと思います。しか
仲が良く、様々な行事も企画しており普段見ること
し部活動に参加することで、今後医師として働くた
のできない皆の一面を見ることができます。
めの体力をつけることができます。そして、ひたす
内灘祭では、毎年模擬店を出し、今年も去年と同
ら部活動に取り組む高校までとは違い、OB と接す
じく豚汁と炊き込みご飯を作りました。朝や夜の少
る中で社会勉強になることもたくさんあります。バ
し冷える時間帯に豚汁をたくさん買って頂き、かな
レーボール部は勉強もおろそかにしないよう文武両
り繁盛しました。飲み物も売り出し、日中の温かい
道を目指しており、今後もこのことを貫いていこう
時間帯には評判でした。二日間の学園祭で部員一丸
と思っています。
となって作業することで、他の部活ともより一層交
男子集合写真
女子集合写真
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クラブ
活動
写真部
ふじい
部 長 藤井
まさふみ
正文(医学部第3学年)
写真部は昭和 47 年に設立された歴史のある部活で
コツ、デジタル一眼レフの仕組みや扱いなどについ
す。設立当初から、年に数回行う撮影旅行や、内灘
て勉強しています。さらに、経験者を交えてノウハ
祭を始めとする展示会に向けての準備などで日々技
ウ本にはない技術も共有しています。
術を磨き、学年に関係なく部員それぞれが刺激し合
写真部の活動には現役の学生だけでなく、OB の
先生方もたくさん参加してくださっています。OB
って、活発に活動しています。
現在の部員数は 28 名ですが、その大半が入学後初
会では、過去の写真部の活動や、さらには臨床現場
めてカメラを手にとった人たちで、共にこの新しい
のことなど、先生方から貴重な話が聞けます。OB
趣味を楽しんでいます。活動は不定期ですが、だい
の先生方が築かれた写真部の伝統を受け継ぎ、これ
たい週に1回の割合で行っています。他の部活より
からも勉学とともに仲間を大切にしていく部活であ
活動日数は少ないのですが、部活以外の勉強時間や
りたいと思っています。
アルバイトなどの学生生活も大切にしたいという思
いから、この活動スタイルをとっています。活動内
容は基本的な撮影テクニックの学習で、金沢市内の
兼六園や東茶屋街などの観光名所、大学近辺の海岸
や牧場などの野外で実際に撮影しながら学んでいま
す。また、撮影したい被写体は部員それぞれ異なる
ので、部活以外でも、各自が帰省した際は実家周辺
の風景やペットや人物、電車などを撮影しています。
写真部の目標は、毎年開催される西日本医科学生
展示会(西医展)での入賞です。実際、毎年多くの作
品を出展し多くの入賞者を出しています。また内灘
祭では、部員それぞれが1年を通しての成果となる
写真を多数展示し、大きな反響を得ています。
近年、カメラはデジタル化し、そのデザインも機
平成 21 年度新入生歓迎会にて
能も劇的に変化しました。デジタルの良さと
しては自分が撮影したものをすぐその場で確
認でき、すぐにプリントアウトできるので、
技術が身につきやすいことにあります。その
ため現部員はみなデジタルカメラ、一眼レフ、
携帯のカメラ機能を使用しています。また、
さらなる技術向上のため、今年は部員が共用
できるデジタル一眼レフを購入しました。
他方、デジタルカメラにはない良さを持
つフィルムカメラに回帰していこうという部
員の意見があり、現在は、フィルム一眼レフ
での撮影と現像をみんなで勉強し合っていま
す。いろいろと写真を撮っていく中で撮影ノ
ウハウ本などを読みあさり、少しずつ撮影の
ひがし茶屋街で
金沢医科大学報
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国際交流
ロシア・ヤロスラブリ州立医科大学と
学術交流協定に調印
本学とロシアのヤロスラブリ州立
医科大学(Yaroslavl State Medical
Academy )との間の学術交流協定書
の 調 印 が、2009 年 12 月 1 日( 火 )に
ヤロスラブリ医科大学学長室におい
て、本学山下公一理事長とヤロスラ
ブリ州立医科大学 Alexey V. Pavlov
学長によって行われた。
ヤロスラブリは、モスクワから北
東 280km に位置する人口約 60 万人
の 1000 年の歴史を持つ古都である。
擬宝珠状尖塔をもった多数の教会や
修道院があり、美しい白壁の歴史的
建造物として今も使われている町
並みはユネスコの世界遺産に指定
ヤロスラブリ医科大学学長室にて協定書に調印。前列左から古本郁美課長、Alexey V.
Pavlov 学長、山下公一理事長と伊藤 透教授(後列左から 7 人目)
されている。大河ボルガ河の上流
に位置して水運に恵まれ、またシベリア鉄道の西の拠
育成を図るほか、教員、研究者、医学部学生などを交
点にあたり、交通の要衝として発展してきており、ロ
換して学術の交流を行う。そのほか、交通費は自弁と
シア屈指の工業都市となっている。また、石川県から
し、滞在費は受入側が負担するなどの基本的事項を定
国際企業までに発展している建設機械のコマツが子会
めて合意し協定書に調印する運びとなった。また、ヤ
社を同市に設立し、本年 6 月から生産に入るとのこと
ロスラブリ医科大学側からは、お互いに合意できた専門
である。
分野での共同研究、カンファランスの開催などの積極的
ヤロスラブリ州立医科大学はその歴史地区の一角に
な提案があった。
ある 18 世紀に建てられた立派な建造物に入っている。
すでに中国とは、25 年にわたる研究者の交流の実
1944 年に創立されており、約 4,500 人の学生が学び、
績がある本学であるが、近年ベトナム、インドネシア
教員数は約 500 人が在籍している。東欧圏やロシア国
などとの交流も行われており、グローバル化が求めら
内外から学生、医師、研究者が集まって、医療、教育、
れる中で、隣国のロシアとのこの様な学術交流も積極
研究の拠点としての役割を果たしている。
的に支持して、本学の発展を図っていかねばならない
ヤロスラブリ医科大学との交流のきっかけは、故
磨伊正義金大がん研教授に同行してロシアでの学会
時期となっている。皆さんの協力によって健全に発展
することを期待している。
(理事長 山下公一)
に出席した本学内視鏡科の伊藤 透教授の発表が契機
となって、ヤロスラブリ医科大学の内視鏡専門医の
Kashin 教授と消化器内視鏡手術について交流する提
【協定調印随行記録】
平 成 21 年 11 月 28 日( 土 )か ら 12 月 4 日( 金 )の 7 日
案を受けたことにはじまる。そして 2008 年 11 月に、
間、ヤロスラブリ医科大学との学術交流に関しての詳
ヤロスラブリ州 Kostin 副知事、ヤロスラブリ医科大
細な詰めをして協定書に調印を行うために、山下公一
学 Pavlov 学長ら 7 名の関係者が本学を訪れ、本学と
理事長、伊藤 透内視鏡科教授、および国際交流セン
の学術交流協定の締結について提案がなされた。その
ター事務課古本郁美課長がヤロスラブリ医科大学を訪
後 1 年間をかけて検討を進め、先ず伊藤教授を先方の
問した。例年マイナス 10 度にはなるこの時期である
大学の客員教授として受入れてもらい内視鏡専門医の
が、暖冬傾向で気温は 10 度以上もあり、かえって期
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
19
待外れでがっかりもした。
11 月 28 日(土)朝、小松 8:30 成田行きで出発、成田
空港で 13:05 発モスクワ行きアエロフロート航空に乗
換え、約 10 時間のフライトで同日夕刻、モスクワ・
シェレメーチェボ空港に 17:25 到着。29 日(日)モスク
ワで時差調整し 30 日(月)早朝、モスクワ・ヤロスラ
ブリ駅から、ヤロスラブリ行き特急列車に乗った。モ
スクワ・ヤロスラブリ駅はモスクワ市の中心部近く
にあり、シベリア鉄道経由ウラジオストク行きや北京
行きの列車の始発駅となっている。われわれはこの駅
から約 4 時間の乗車でヤロスラブリ市に到着した。午
後ヤロスラブリ市内の世界遺産やボルガ河畔を散策し
た。
12 月 1 日(火)午前、ヤロスラブリ医科大学を訪問
し、学長室において本学訪問団と Alexey V. Pavlov
ヤロスラブリ医科大学。18 世紀の立派な建造物を使用している
学長はじめ役員教授 7 名が出席のもと、山下理事長と
Pavlov 学長が協定書に調印した。両大学は協定に基
レビでライブ供覧され、術中から術後にわたってディ
づき学術、研究の発展のため、教員および研究者の学
スカッションが行われた。午後、ヤロスラブリ医科大
術交流をはじめとする交流関係を樹立することになっ
学教授会に出席し、本学の訪問団と学術交流協定の経
た。その内容は、1 )教員および研究者の学術交流、2 )
緯が紹介された。山下理事長の挨拶の後、古本課長が
学生の交流、3 )両機関が関心のある分野の共同研究、
本学紹介のプレゼンテーションの機会を与えていただ
4 )両機関に有用な技術の交換および学術資料の使用、
いた。そのあと、夕刻の列車でモスクワに向かった。
5 )その他両機関が合意した活動などを中心に、交通
12 月 3 日(木)帰国の途に着く前に、両大学の交流
費は自弁、滞在費は受入側が負担するといった基本的
協定締結の情報を入手された在モスクワ日本大使館か
事項を含めて合意し、協定書に調印する運びとなった。
らの誘いにより、日本大使館に上月豊久公使を訪問
調印後、州政府に Victor Kostin ヤロスラブリ州副知
した。このたびの交流協定の内容を報告し、外務省
事を表敬訪問し、協定内容について報告した。また、
としても応援するとのことばをいただいた。その後
両大学の学術交流協定締結のニュースは、翌日のコム
シェレメーチェボ空港に向かい、19:40 発の東京行き
ソルスキー・プラウダ誌ヤロスラブリ版に大きく報道
アエロフロート便に搭乗した。帰路は 9 時間のフライ
された(写真)。
トで翌 4 日(金)午前、快晴の成田空港に降り立った。
12 月 2 日(水)午前に、伊藤教授は同大学腫瘍セン
なお、このたびの訪ロ中、不案内な現地で Olympus
ターで用意されていた早期胃がんの内視鏡手術を行っ
Moscow 社の方々にいろいろとお世話になったことを
た。その状況は隣接の同大学再教育センターに集まっ
記して感謝申し上げます。
た数十人の地域医療担当の消化器内科専門医に大型テ
〈59 頁に関連記事掲載〉
(国際交流センター事務課古本郁美記)
【国際交流/学術】
金沢医科大学報
20
国際交流センター
第 1 回 講演会・ワークショップ
国際会議におけるプレゼンテーションの基本
ー 技術をさらに磨きたい方・これからデビューする方のために ー
講師: 岡崎真雄先生(東京慈恵会医科大学学術情報セ
の 講 演“Giving Good Presentations in English ”で
は、岡崎先生に、英語による学会発表について、スラ
ンター准教授)
日時: 平成 21 年 11 月 5 日(木)午後 4 時 30 分
イド作成のコツや口演で気をつける点など、具体的に
場所: 病院本館 C41 講義室
話していただいた。当日は 92 名という大勢の教職員
の参加が得られ、このような企画への強い関心を窺う
国際交流センターでは新
ことができた。
規事業のひとつとして、教
今後ともさらに皆さまのお役に立てるよう、第 2 回
職員の研究成果の公表や海
の企画内容について検討中である。
(国際交流センター 相野田紀子記)
外留学を言語面から支援す
る こ と を 企 画 し て い る が、
その出発点として 11 月 5 日
に講演会とワークショップ
を 実 施 し た。 第 1 部(16:30
∼ 17:10 )では、本学の経験
豊富な研究者と若手研究者
か ら 1 演 題 ず つ、 英 語 に よ
岡崎真雄先生
る学会形式の発表をしていただき、それらに対して講
師の岡崎先生からアドバイスをいただくという形で、
ワークショップを行った。続く第 2 部(17:15 ∼ 18:00 )
講演会場
Center for International Exchange
Kanazawa Medical University
CIE
Café 交流カフェ
第 11 回 2009.10.21(水)17:15 ∼ 18:15
第 12 回 2009.11.18(水)17:15 ∼ 18:15
話題: Don't we have biases against foreigners? From
my experiences in Canada and USA(外国人へ
の先入観−北米での経験から)
担当: 大江佐乙美(国際交流センター)
話題: Symbolic meanings of bamboo(竹の魅力−中国
で“竹”が意味すること−)
担当: 唐立華(病理学 II )
Kaleidoscope “ Expand your mind through reading and
discussion ”をキャッチフレーズに、読むことを中
心とした集いを始めました。専門以外の分野で Let's
learn something new ということに興味のある方、大
歓迎です。
(国際交流センター 相野田紀子記)
第 4 回 2009.11.06(金)17:30 ∼ 18:30
読み物: Cockroaches; There, I Said It
担 当: Kojima M(看護学部)
第 5 回 2009.11.20(金)17:30 ∼ 18:30
読み物: Five Things the U.S. Can Learn from China
(From Time Journal November 23 )
担 当: Ainoda N(国際交流センター)
第 6 回 2009.12.11(金)17:30 ∼ 18:30
読み物: I'm Gaijin - Just Another Guy in Jeans
担 当: Zeceña-Rubio D(内灘町)
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学 術
招請講演では前立腺癌
第 59 回
ロボット手術の第一人者
日本泌尿器科学会中部総会
で あ る Vattikuti Urology
I n s t i t u t e の D r. M a n i
Menon が「Robotic Radical
会 長: 泌尿生殖器治療学 鈴木孝治教授
会 期: 平成 21 年 10 月 29 日(木)∼ 31 日(土)
会 場: 石川県立音楽堂、ANA クラウンプラザ
Prostatectomy How we
do it 」の タ イ ト ル で 4,500
例以上におよぶ根治的前立
ホテル金沢
腺全摘除術の経験から特に
2006 年以降に確立された新
開会挨拶を行う鈴木孝治会長
第 59 回日本泌尿器科学会中部総会は 2009 年 10 月 29
日(木)から 2009 年 10 月 31 日(土)まで錦秋晴天の金沢
テクニックについて焦点を
当て動画で臨場感溢れるご
講演をされた。
市において「石川県立音楽堂」と「ANA クラウンプラ
特別講演では、本学泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)
ザホテル金沢」の両会場で− Change! −のメインテー
の田中達朗教授が「腎移植−金沢医科大学の軌跡−」、
マのもと約 1,000 名が参加し開催された。
宮澤克人准教授が「尿路結石症における尿中高分子物
学会プログラムは会長招請特別講演 1 題、招請講演
質について」と題して、津川龍三名誉教授、鈴木孝治
1 題、特別講演 2 題、シンポジウム 5、一般演題 225 題、
教授が金沢医科大学泌尿器科のメインテーマとして掲
卒後教育プログラム 2、指導医教育プログラム 1、モ
げられてきた腎移植と尿路結石症の基礎的研究から臨
ーニングセミナー(IJU セミナー)1、イブニングセミ
床成績について報告した。
ナー4、サテライトシンポジウム 2、ランチョンセミ
ナー8 と充実した内容であった。
会長招請特別講演では大阪大学名誉教授 園田孝夫
先生が「副甲状腺外科のヒストリア」と題し、ご自身
シ ン ポ ジ ウ ム で は「 腎 移 植 」
、
「尿路結石」
、
「夜間
頻尿」
、
「泌尿器癌化学療法」
、
「医療 IT 」のテーマに
update なディスカッションが繰り広げられた。
一般演題は例年の 10% 増しの申し込みがあり PC、
の経験と膨大な文献から抽出・要約された明解なご解
ポスターの発表形式の特性を有効に利用した熱のこも
説と副甲状腺外科の匠の技の一端を後進に示された。
った発表が行われた。
(泌尿生殖器治療学 宮澤克人記)
東アジア
腫瘍内科国際シンポジウム
日時: 平成 21 年 11 月7日(土)午後1時
会場: ホテル金沢
北陸がんプロフェッショナル養成プログラムの国
際企画として、東アジア腫瘍内科国際シンポジウムが
シンポジウム風景
開催された。主催者を代表して本学腫瘍内科学元雄良
治教授が開会の挨拶をした。第 1 セッションは韓国・
ンは中国・上海交通大学嘉定区中心医院腫瘤科主任
慶熙大学血液腫瘍内科学准教授 全 晟夏先生が漆の抽
医師 胡 育新先生が肝細胞癌に対する種々の経皮的治
出成分の肺癌に対する効果を臨床試験も含めて講演
療およびその背景となる肝細胞癌の現状を報告した。
し、その成績の良さに一同感嘆した。第 2 セッショ
中国の膨大な患者数に改めて驚き、医療経済的にも欧
【学術】
金沢医科大学報
22
米の標準治療がそのまま応用できないことを知った。
寛解例がある点)を強調された。第 5 セッションは大
第 3 セッションは台湾・国立台湾大学腫瘍内科学講
阪府立成人病センター消化器検診科副部長 井岡達也
師 徐 志宏先生が肝細胞癌の分子標的薬ソラフェニブ
先生が局所進行膵癌に対する化学放射線療法について
の成績と併用薬の可能性を報告した。ランセットなど
講演された。とくに先生ご自身による経皮的膵腫瘍生
の一流誌に掲載された論文の基礎になった臨床成績で
検で組織学的に膵腺管癌と確定診断した上で、GEM
あり、英語も含め洗練された講演であった。第 4 セッ
1000 mg/m2 に固定し、放射線線量のレベルを調節す
ションでは昭和大学腫瘍内科科長 佐藤 温先生が進行
るという方法が印象的であった。以上の講演・討論を
胃癌の化学療法について、日本における変遷や現在の
すべて英語で行い、本学学生や教職員の参加も得て、
標準治療である CDDP + S-1 に加え、DCS 療法(ドセ
盛会裡に終了した。
〈15 頁、58 頁に関連記事掲載〉
タキセル+シスプラチン+ S-1 )の有効性(とくに完全
第 2 回日台交流腫瘍内科
国際シンポジウム
日時: 平成 21 年 12 月 12 日(土)∼13 日(日)
場所: 台湾・台北市 (腫瘍内科学 元雄良治記)
翌 13 日 午 前 9 時 30
分 か ら 第4セ ッ シ ョ
ン「食道癌」
(長庚紀念
醫院 王 正旭、愛知県
がんセンター 室 圭)、
第 5 セッション「胃癌」
(國立台湾大学 葉 坤
輝、筑波大学 兵頭一
平成 21 年 12 月 12 日、13 日に第 2 回日台交流腫瘍内
之 介 )、 第 6 セ ッ シ ョ
科国際シンポジウムが台湾・台北市内の超高層ビル
ン「大腸癌」
(馬偕紀念
「台北 101 」の 36 階にある会議室で開催された。本学
醫院 謝 瑞坤、静岡が
からは腫瘍内科学部門の元雄良治教授と島崎猛夫講師
んセンター 朴 成和)
が出席、発表した。本シンポジウムは平成 19 年 10 月
とプログラムが進み、
に本学で開催された第 1 回シンポジウムに続いて台湾
閉会の辞を鄭教授と
にて開催された。
元 雄 教 授 が 述 べ、 シ
12 月 12 日午後 1 時に鄭 安理教授(国立台湾大学腫
瘍内科学)と元雄教授の開会の挨拶に続いて、第 1 セ
ッション「膵癌」
(国立衛生研究所 陳 立宗・同 張 俊彥、
ンポジウムを終了し
た。
本シンポジウムは
大阪府立成人病センター 井岡達也、金沢医科大学 島
同じテーマで日台双
崎猛夫)、第 2 セッション「胆道癌」
(國立成功大学 蘇
方から専門家が講演
五洲、杏林大学 古瀬純司)、第 3 セッション「肝細胞
し、 討 論 す る と い う
癌」
(國立台湾大学 陳 培哲、国立がんセンター中央病
企画であり、疾患自体の問題の他、健康保険承認の問
院 奥坂拓志)で 1 日目が終了した。
題など、さまざまな観点から議論された。今回は消化
台北 101 の外観
器癌に焦点を当てたが、とくに分子標的薬
の基礎研究と臨床試験の進歩に目を見張る
ものがあった。
第 1 回目の本学開催時に知り合った人達が
多く、懐かしい知己に再会したような親近
感がみられた。今後のさらなる交流が期待
される。
シンポジウム参加者
(腫瘍内科学 元雄良治記)
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第8回
金沢医科大学報
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KMU 研究推進セミナー
戦略的大学連携支援事業研究セミナー
日時: 平成 21 年 11 月 25 日(水) 16:30∼18:30
場所: 金沢医科大学病院新館 12 階大会議室
第 8 回 KMU 研究推進セミナーが平成
21 年 11 月 25 日( 水 )に 学 内 外 か ら 73 名
の参加者のもと、病院新館 12 階大会議
室で開催された。本セミナーは、本学に
おける研究の活性化を目指し、研究推進
会議が中心となり企画しているもので、
国内トップの研究者による「特別講演」
と平成 20 年度本学に導入された機器を
中心として共同利用研究機器の研究へ
の応用をめざす技術セミナー的要素を
特別講演:森 健策教授
臨床講演:赤井卓也教授
臨床講演:秋田利明教授
組み込んだ部分との 2 部構成となってい
る。
等についての講演においては、医用イメージング装置
今回は、
『医工連携が拓く外科のフロンティア』のテ
の発展により精細な解剖学的構造情報を画像として短
ーマを設けて、金沢工業大学等との医工連携を前面に
時間に取得することが可能となったこと、また、得ら
押し出した企画とし、
「戦略的大学連携支援事業研究
れる画像をコンピューターによって処理し、患者個々
セミナー」
(医工連携研究会)と合同で開催された。
の解剖学的構造をコンピューターが認識・理解するこ
セミナー開始にあたって、山田裕一学長から本学に
とによって、さらなる高度な診断支援・治療支援が可
おける機器活用、臨床研究への期待を込めた挨拶があ
能となることが示された。森先生は動画を数多く示さ
り、続いて研究推進会議委員長の加藤教授が、共同利
れ、気管、肺内部その他を見事に映像化している内容
用機器施設として平成 20 年度導入された「動物行動解
で、セミナー出席の方々を大変に驚かせた。実際に名
析システム」
(基礎研究棟地階脳エソロジー室設置)の
古屋大学において開発されてきた仮想化内視鏡システ
紹介および応用例について説明をされた。
ムを取り上げ、解剖学的構造の認識理解技術の紹介、
今回のテーマに従い、学内講演は、医工連携臨床研
さらに名古屋大学とその関連病院において研究開発を
究の側から赤井卓也教授(脳脊髄神経治療学)による
進めている状況、脳神経外科、呼吸器内科、消化器内
「頭蓋骨縫合早期癒合症の診断と治療−遺伝子解析に
科、消化器外科の各領域における診断・治療支援シス
よる分類と頭蓋形態変化解析による術式選択へむけて
テムの実例紹介をされた。
−」
、秋田利明教授(心血管外科学)による「有限要素
今回の研究推進セミナーには、金沢工大からの出
法を用いた心臓局所張力解析のための心臓 3 次元画像
席者を含め、医工連携、共同研究などに関心のある多
作成の試み−金沢工大等との医工連携について−」の
くの方が参加された。開催にご協力いただいた関係者
講演が行われた。それぞれの分野の外科手術関連にお
方々に感謝したい。
ける最新の情報を呈示いただき、聴講者は大いに関心
を持たれたことと思われる。
特別講演では、名古屋大学情報連携統括本部(情報
なお、都合により出席できなかった方のためにビ
デオ配信を準備したのでご活用いただければ幸いであ
る。
戦略室)の森 健策教授が「画像処理による診断治療支
※本学イントラネット VOD にて供覧中。また、学
援− Virtual Navigation 技術とその診断治療への応用
内における共同利用研究機器についても本学イントラ
−」と題した、画像処理技術を利用した医用画像に基
ネット「総合医学研究所」に掲載されているのでご覧
づく診断支援・治療支援手法について概説された。特
いただきたい。
に、3 次元 CT 像などの多次元医用画像から構築され
る仮想化人体内部の探索に基づく診断・治療支援技術
(研究推進会議 セミナー担当 竹上 勉記)
【学術】
金沢医科大学報
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大学院医学研究セミナー
腎腫瘍の病理学と分子生物学
全身性疾患に伴う腎障害
講 師
講 師
長嶋洋治先生(横浜市立大学大学院医学
研究科分子病理部門准教授)
後藤 眞先生(桐蔭横浜大学医用工学部臨床
工学科不老科学・加齢制御学研究部門教授)
日 時
平成 21 年 10 月 6 日(火)18:00∼19:30
日 時
平成 21 年 10 月 9 日(金)18:00∼19:30
場 所
病院本館 4 階 C42 講義室
場 所
病院本館 4 階 C41 講義室
担 当
病態診断医学 野島孝之教授
担 当
腎機能治療学 横山 仁教授
【講師紹介】
【講師紹介】
1985 年 に 横 浜 市 立 大 学 医 学 部 を
1973 年 に 東 京 大 学 医 学 部 を 卒 業
卒業、1989 年に同大学院医学研究科
後、1980 年医学博士取得。その後東
(病理学第二)で医学博士号を取得。
京大学医学部内科・物理療法学科、
同医学部助手、講師、助教授を経て
米国カリフォルニア大学サンディエ
2007 年 同 大 学 院 医 学 研 究 科 分 子 病
ゴ 校 リ ウ マ チ 内 科 留 学、 都 立 大 塚
理学部門准教授となり現在に至る。
病院リウマチ膠原病科部長を経て、
1989 年 7 月から 1990 年 6 月までカリフォルニア大学サ
ンディエゴ校留学。2001 年に日本病理学会学術奨励
賞、2002 年に日本病理学会学術研究賞を受賞。
2005 年 4 月より現職。
【主な研究分野】
リウマチ膠原病ならびに老年病を専門とし、Werner
症候群研究において常染色体 8 番の変異による DNA
【主な研究分野】
腫瘍病理学、分子生物学。がん細胞における極性規
定因子や染色体操作による腫瘍細胞増殖抑制の研究、
Helicase(RecQ3 )異常を世界に先駆けて発見した。
【セミナーの内容】
化学発癌によるラット腎腫瘍の研究を行ってきてお
最初に医学と医療に求められる条件を提示され、現
り、最近では腎腫瘍の各組織亜型における遺伝子異常
在の臨床医学に求められる Science, Ethics, Economy
と治療への応用に取り組んでいる。
の中で、医学研究における科学的合理的対応の必要
【セミナーの内容】
性を述べられた。さらに世界で最初の全身性エリテ
まず腎腫瘍の組織学的分類と変遷についての説明が
マトーデスと Werner 症候群合併例における多彩な臨
あり、各腫瘍の責任遺伝子についての解説がなされた。
床像から臨床推論に基づく診断過程が述べられた。こ
とくに von Hippel-Lindau(VHL )病遺伝子の機能と
れより臨床症状および検査異常の背景にある自己抗体
淡明細胞癌発癌との関係の詳細な説明があり、VHL
をはじめとする免疫異常が解説された。さらに本例の
異常のない淡明細胞癌との比較もなされた。その後
特異な臨床像、即ち老化の促進から導き出される診断
Xp11 転座腎癌と血管筋脂肪腫との関連や MiTF/TFE
として、Werner 症候群の解説とその遺伝子異常の同
腫瘍群に関して、また集合管癌や透析腎癌を含めた各
定に至る過程が詳細に述べられた。くわえて、DNA
種腎癌の臨床病理学的特徴や問題点に関して広く解説
Helicase 異常による種々の疾病(症候群)が示され、
があった。最後には病理医としての考え方や豊富な経
験に基づいた医学教育にも触れられた。
それぞれの分子異常と臨床像が解説された。
【セミナーの成果】
Werner 症候群との出会いからその病因遺伝子の発
【セミナーの成果】
大学院生はもとより、学部学生、研修医、各教室の
見に至る過程を通して、臨床家の観察とそれに基づく
先生方を含め 53 名の参加があった。腎腫瘍の病理所
臨床推論がいかに必要かを知るとともに、症例を発端
見を中心に、臨床像、最新の分子生物学的情報が加味
とした医学研究の重要性と研究の醍醐味を臨床系のみ
され、大変有意義な講義であった。 ならず基礎系の大学院生にも理解されたものと考えら
(病態診断医学 湊 宏記)
れる。
(腎機能治療学 横山 仁記)
第 141 号/ 2010.1
金沢医科大学報
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大学院医学研究セミナー
医療における IT 化の現在・未来
放射光を用いた心血管機能評価
講 師
講 師
原 量宏先生(香川大学瀬戸内圏研究セ
ンター特任教授)
白井幹康先生(国立循環器病センター心
臓生理部部長)
日 時
平成 21 年 11 月 6 日(金)18:00∼19:30
日 時
平成 21 年 11 月 13 日(金)18:00∼19:30
場 所
病院本館 4 階 C41 講義室
場 所
基礎研究棟 3 階 D31 講義室
担 当
生殖周産期医学 牧野田 知教授
担 当
生理機能制御学 芝本利重教授
【講師紹介】
【講師紹介】
1970 年東京大学医学部卒業後同産
婦人科入局。1973 年助手、1979 年医
学博士。1980 年香川医大母子科助教
授、同年ドイツ国ハイデルベルグ大
学へ留学。2000 年香川医大医療情報
部教授。2009 年からは香川大学瀬戸
内圏研究センター特任教授としてご
活躍中。
白井先生は昭和 55 年山口大学医学
部を卒業し、同大第二内科に入局。
昭和 58 年国立循環器病センター研究
所心臓生理部室員、昭和 62 年同部室
長を経て、平成 16 年広島国際大学保
健医療学部教授。平成 21 年、国立循
環器病センター研究所心臓生理部部
長、現在に至る。
【主な研究分野】
【主な研究分野】
周産期医療情報ネットワークに関する研究、電子カ
ルテネットワーク連携プロジェクト等
【セミナーの内容】
現在香川県で稼動中の「かがわ遠隔医療ネットワー
ク」の紹介。①電子署名②診療情報送信③処方箋・検
査情報の連携④ Web テレビ会議などを主な機能とし
これにより胎児期から高齢者までの生涯カルテが実現
化している。さらに現在構築中の「地域連携クリティ
カルパス」システムでは患者は大学病院とかかりつけ
医とで同じ治療を受けられるようになる。また、周産
期ネットワークシステムは、在宅での胎児心拍陣痛図
データーを主治医の携帯へ転送できるもので、へき地
等の妊婦に実際に応用されている。
【セミナーの成果】
先生は循環生理学について、特に肺微小血管の動態
を独自に開発した肺血管造影法を駆使して解析・検討
してきた。最近では兵庫県播磨にある Spring 8 にお
いて、放射光を用いた血管動態の画像化、ミオシン・
アクチンレベルでの心臓収縮・弛緩の挙動解析など、
様々な生体計測研究を推し進めている。
【セミナーの内容】
はじめに、先生が開発された肺血管造影システムを
用いて低酸素性肺血管収縮における収縮血管レベルを
初めて画像で捕らえた成績を紹介するとともに、肺交
感神経活動や肺血管特性が肺の発生学的差異から生じ
ていることなどをわかりやすく説明していただいた。
本題の放射光を用いた心臓研究について、特に実験的
心不全で収縮・弛緩機能の異常が前壁から始まること
を示された。さらに、糖尿病性心筋病変は内膜側から
進展するとの成績を提示された。
医師不足や偏在、産科医療の崩壊が叫ばれる中、医
療情報の共有、ネットワーク化の重要性は多くの医療
者が実感しているところであり、参加者はその最新情
報と未来像を知ることができた。
(生殖周産期医学 岡 康子記)
【セミナーの成果】
放射光の原理を多くのデータをもとにわかりやす
く紹介・解説していただき、基礎・臨床の参加者か
ら詳細な点にまで立ち入った質疑応答がなされた。
Spring8 の放射光が世の注目を集めたのは和歌山カレ
ー事件での砒素解析だったが、日本では世界に先駆け
て生体への応用が可能である点を先生は強調され、私
どもの今後の新たな研究の一手段となる可能性を示唆
していただいた。以上により、本セミナーが極めて有
意義なものであったと思われる。
(生理機能制御学 芝本利重記)
【学術】
金沢医科大学報
26
大学院医学研究セミナー
3D シミュレーションによる胸腔
鏡下肺区域切除
高血圧の分子生物学
講 師
講 師
大貫恭正先生(東京女子医科大学大学院
楽木宏実先生(大阪大学大学院医学系研
究科老年・腎臓内科学教授)
医学研究科外科学第 1 教授)
日 時
平成 21 年 11 月 18 日(水)18:00∼19:30
日 時
平成 21 年 11 月 27 日(金)18:00∼19:30
場 所
病院本館 4 階 C42 講義室
場 所
病院本館 4 階 C41 講義室
担 当
呼吸器外科治療学 佐久間 勉教授
担 当
高齢医学 森本茂人教授
【講師紹介】
【講師紹介】
昭和 50 年東北大学医学部卒業、東
1984 年 に 大 阪 大 学 医 学 部 卒 業、
北大学抗酸菌病研究所外科(現加齢
1989 年 ∼1991 年 の 間 米 国 Harvard
医学研究所呼吸器再建研究分野)に
大 学 Brigham and Women's 病 院 お
入局、昭和 62 年東北大学抗酸菌病研
よ び 米 国 Stanford 大 学 心 臓 血 管 内
究所外科学部門助手、昭和 63 年東京
科に内科研究員として留学された。
女子医科大学第一外科講師、平成 2
1992 年医学博士。2004 年には大学院
年東京女子医科大学第一外科助教授、平成 13 年東京
医学系研究科加齢医学助教授、2005
女子医科大学第一外科主任教授に就任。
年には大阪大学医学部附属病院教授。2007 年からは
【主な研究分野】
大学院医学系研究科老年・腎臓内科学教授としてご活
呼吸器外科学、肺の外科的 3 次元構造と胸腔鏡手術
【セミナーの内容】
躍中である。
【主な研究分野】
肺の手術に際しては肺動脈・肺静脈・気管支の分岐
老年病学、高血圧、腎臓病学。日本高血圧学会の「高
に関する知識が必要である。特にその区域レベルでの
血圧治療ガイドライン 2009 」の総取りまとめ役として
知識が近年の縮小手術に際しては重要となっている。
その中で、個人差が大きく、一般的な知識が通用しな
活躍された。
【セミナーの内容】
いのが肺血管の分岐である。近年 3D−CT の解像能力
長寿社会における高血圧治療の意義から最近の高血
の進歩により、手術前の胸部 CT 検査のデータから細
圧にまつわる生化学、遺伝学研究の成果に至る幅広い
い肺血管分岐までのシミュレーションプログラムを作
知見を紹介された。長寿と高血圧につき、50 歳の時
成し、あらゆる方向から分岐状態や前後関係を推定で
点で高血圧に罹患していない場合に比し、罹患してい
きるようにした。ホームページ(CTTRY )で公開し、
ると男女とも 7 年余命が短いことを紹介された。レニ
誰でも利用できるようにしている。
ンーアンジオテンシンーアルドステロン系研究の新し
い動きとしてアンジオテンシン 1 − 7 が降圧ホルモン
【セミナーの成果】
金沢医科大学では肺血管の 3D シミュレーション画
として重要であり、その受容体が protooncogene とし
像の作成は容易であり、肺の手術に際してシミュレー
て知られていた Mas と同一の受容体を介して作用す
ションプログラムを利用してより安全で、手術時間を
ることも紹介された。また、高血圧原因遺伝子検索の
短縮することができると思われる。最先端の内容であ
動向、降圧薬治療におけるテーラーメイド医療と遺伝
りながら、実践的な講演であった。
(呼吸機能治療学 佐久間 勉記)
子多型についても最近の動向を詳しく紹介された。
【セミナーの成果】
本セミナーは非常に分かりやすい内容で、長寿社会
における高血圧研究の重要性を示す内容であり、大学
院生をはじめとする参加者に研究への興味と有用な視
点を与えるものであった。
(高齢医学 森本茂人記)
第 141 号/ 2010.1
金沢医科大学報
大学院医学研究セミナー
中国、日本、韓国の鍼効果の比較
研究の目的とその意義について
講 師
川喜田健司先生(明治国際医療大学生理
学ユニット教授)
日 時
平成 21 年 11 月 28 日(土)13:00∼14:30
場 所
病院本館 4 階 C41 講義室
担 当 代替基礎医学 山口宣夫教授
【講師紹介】
1973 年 に 名 古 屋 大 学 理 学 部 を 卒
業、その後 1982 年名古屋市立大学に
おいて理学博士号を取得、現在全国
鍼灸学会の要職を兼任し、日本鍼灸
学会の牽引役を勤める。
【主な研究分野】
鍼灸の効果と有用性、安全性をエ
ビデンスをもとに証明する。
【セミナーの内容】
鍼灸療法の起源が中国にあることはまぎれもない事
実であるが、世界中に広まる過程でそれぞれの国で独
自の発展を遂げてきている。そこで、同じ鍼灸治療と
呼ばれていても、その診断法、治療法などの内実には
さまざまな違いが認められる。又、世界的に強い影響
を与えたドイツの大規模臨床試験においても、経穴部
位の選定には伝統的中国医学(TCM )が取り入れられ
ている。そのプロトコルの質の高さ、実際の臨床試験
実施に際して行われた厳密なモニタリングなど、鍼灸
臨床試験の手本となりうる内容などを紹介された。講
義後半は中国と韓国および日本の伝統的な鍼療法の臨
床における診断法・治療法の違いについて比較検討を
おこなうプロジェクトについて結果を解説された。
【セミナーの成果】
このような臨床研究は世界で初めての試みである。
今後の代替医療における鍼治療の役割を理解する上で
貴重な情報を提供した。参加した医学部低学年の学生
にも、東洋医学の歴史認識を通じて西洋医学の重要性
について、改めて認識を深めた意義は大きいと思われ
た。
(代替基礎医学 山口宣夫記)
27
【学術】
金沢医科大学報
平成 21 年度 実験動物慰霊祭
28
必要最小限を留意しつつ、日々の学習・研究において
研鑽を重ね、医学・医療の更なる発展に努めていきた
い 」 との挨拶があった。
(総合医学研究所共同利用部門 荒井剛志記)
平 成 21 年 10 月 28 日( 水 )12 時 30 分 か ら 本 部 棟 1 階
学生ラウンジ横において、平成 21 年度実験動物慰霊
祭が、山田裕一学長はじめ教職員、学生等 120 名が参
列し執り行われた。参列者は読経が流れるなか、医学
の発展に寄与した実験動物の御霊に深い哀悼の誠を捧
げた。
最後に、総合医学研究所の中川秀昭共同利用部門部
長から、「 動物による実験は、生命体の基本構造の把
握、病気の予防、難病の解明、治療の開発といった医
学の学習、研究、医療の発展に欠くことのできない重
要なもので、人類の福祉に大きく貢献するものである。
本学における過去 1 年間の実験動物 6,584 匹に対して、
心から感謝し、今後も動物愛護の精神を常に念頭に、
ひらめき☆ときめきサイエンス
「はやく大きくなあれ ∼我が子
に贈る分子のメッセージ∼'09 」
実験動物慰霊祭
29 名が参加した。はじめに、実施代表者 八田稔久教
授による哺乳動物の哺育システムと脳の進化に関する
講義が行われた。その後、生物学実習室にてラット搾
乳装置を用いた搾乳実習およびラット新生児の人工哺
育実習が行われた。この実習で生徒が体験したラット
新生児完全人工哺育法は、世界的に見ても極めて限ら
れた施設でしか行われていない非常に難易度の高い手
技である。また、哺乳前後での新生児の行動観察や、
サーモグラフィーによる体温の計測などを行った。実
習にあたっては、本学の学生有志数名が実習指導員と
して熱心に生徒の指導にあたってくれた。生徒の手の
ひらで可愛らしく動くわずか 4cm ほどのラットの赤
ちゃんを通して、研究の興味にとどまらず、
「生命」と
いうことを改めて見つめなおす機会が提供できたので
はないかと期待している。
最後に、本部棟 4 階講堂にて生徒に未来博士号が授
与され実習は終了した。
ラット新生児への哺乳を体験
平成 21 年 12 月 5 日(土)午前9時 30 分から分子細胞
形態科学教室(解剖学 1 )の主催でひらめき☆ときめき
サイエンスの公開プログラムが開催された。これは、
日本学術振興会(JSPS )の支援のもとに大学における
研究成果の社会還元を目的とする事業である。
本年度は、石川県立七尾高校理数科 2 年生を迎えて
実習が行われた。理数科全員が参加する予定であった
が、新型インフルエンザによる 8 名の欠席者をのぞく
(分子細胞形態科学 八田稔久記)
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
29
産学官連携
金沢医科大学知的財産セミナー
や産学連携の取り組みを大切に育て、数々の大型プロ
ジェクトの採択を受け連携活動を深化させているとの
ことで、地域の産業技術と大学の研究が効果的に連携
平成 21 年 12 月 8 日(火)、金沢医科大学知的財産セ
ミナーが、平成 20 年に引き続き中部経済産業局の支
している取り組みに今後の成果が期待される。
第二部の講演では、同大学の光量子医学研究センタ
援を受けて本学で開催された。参加者は教職員 52 名、
ー長・寺川 進教授から、産学官連携活動と知財につ
学外者 9 名の計 61 名で盛況なセミナーとなった。
いて、教育研究職員の立場から多くの経験談を紹介し
まず、山田裕一学長が、知的財産権や産学官連携
ていただいた。これまでの多くの発明を実例や経緯と
活動がより身近なものとなり、研究成果等の社会還元
ともに紹介され、また、研究活動と特許出願作業のタ
がより一層発展することを期待して本セミナーを企画
イミングを時系列で説明された。講演後、本学教職員
したとの挨拶された。続いて増田浩子産学連携コーデ
から非常に参考になったという声が多数聞かれ、同じ
ィネータから、平成 19 年 10 月に知的財産ポリシー並
教職員の立場からの講演なのでより内容が身近に受け
びに職務発明規程を制定して約 2 年たった現状につい
とめられたように思われた。特に研究活動の中に特許
て、また、特許権に関する基礎知識や統計資料の紹介
出願にかかる作業をうまく盛り込むことで、相乗的な
なども含めて報告があった。
効果が得られるよい例示であったように思われた。
第一部の講演では、国立大学法人浜松医科大学知財
本セミナーを契機に本学職員にとって知的財産権が
活用推進本部の小野寺雄一郎知財活用コーディネータ
より身近なものとなり、研究成果が多様な活用につな
ーから、浜松医科大学における知財・産学連携の取り
がることを楽しみにしている。
組みについて紹介していただいた。学内の研究シーズ
第一部講演:小野寺雄一郎先生 第二部講演:寺川 進教授
(研究推進センター産学連携コーディネータ 増田浩子記)
知的財産セミナー
【学術】
金沢医科大学報
30
北國がん基金研究助成授与される
【研究活動助成】
薄田 勝男准教授 呼吸機能治療学(呼吸器外科) 財団法人北國がん研究振興財団は、このほど第 23
回北國がん基金助成として、石川県内の大学、病院、
医療関係団体などから応募、推薦があった 16 件の中
から、研究活動助成部門 7 件、啓発活動助成部門 1 件、
特別表彰部門 2 件の計 10 件を選定した。
本学からは、がんの新たな治療法の開発や発症の仕
組み解明に取り組む研究活動助成部門で呼吸機能治療
学(呼吸器外科)の薄田勝男准教授が選ばれ、11 月 27
日(金)の贈呈式(於 ; 金沢市の北國新聞会館 20 階ホー
ル)では、薄田准教授に 100 万円の助成金が授与され
た。
今回の薄田准教授の研究は、
「肺癌の悪性度および
助成金を受ける薄田勝男准教授(左)
治療効果判定における MR 拡散強調画像と水分子輸送
FDG−PET による正診率が 60% であるのに対し、拡
関連遺伝子の解析」で肺癌例に対して新しい診断技術
散強調画像では 73% と高い傾向を示し、臨床的な有
である MR(Magnetic Resonance )Imaging の拡散強
用性が指摘されている。また、拡散強調画像の ADC(見
調画像(Diffusion weighted image, DWI )を利用し、
か け の 拡 散 係 数 Apparent diffusion coefficient )と
術前検索に拡散強調画像を加えることの意義、肺癌の
FDG−PET の SUVmax( standardized uptake value
治療効果の判定における有用性を明らかにすることを
max )の間には相関はないことが判明しており、肺癌
目的としている。正常組織に比較し、癌組織は細胞密
で最も多い組織型である腺癌の ADC 値は、扁平上皮
度が高いため、含まれている水分子の動き(ブラウン
癌のそれに比較して有意に大である。肺癌例に対する
運動)が抑制をうけている。拡散強調画像は水分子の
拡散強調画像は、リンパ節転移の有無の判定に有用で
動きが抑制された領域を描出する撮影法であり、正常
あり、肺癌病変の浸潤範囲・治療効果および肺癌の再
組織が認識されにくくなり、水分子のブラウン運動が
発の評価に有用と予想されている。
低下した癌病変が描出されることとなる。
本研究では、さらに拡散強調画像の病理学的裏付け
これまでの研究では、肺癌症例の原発巣はほとん
を証明するため、水分子の拡散現象に関係した生物学
どの症例において拡散強調画像で癌病変が描出され
的因子、増殖能、癌遺伝子との関連を明らかにする予
ることが判明しており、リンパ節転移の診断成績は、
定とのことである。
(研究推進課 上田正博記)
人物往来
□小松崎 篤教授/日本耳鼻咽喉科学会顧問、東京医科歯科大学名誉教授、本学非常勤講師/平成 21 年 12
月 26 日(土)、耳鼻咽喉科セミナーにおいて「急性めまいへの対応」と題して講演/感覚機能病態学(耳鼻咽
喉科学)
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
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総合医学研究所 20 周年記念誌発行
このたび、
「金沢医科大学総合医学研究所 20 周
年記念誌」が研究所開設 20 周年記念事業の一環と
して発刊された。今回の記念誌発行に関しては竹
上 勉教授を編集委員長として研究所の教授、准教
授、事務、出版課から計 11 名が編集委員となり、
山下公一理事長の助言もいただきながら 1 年がか
りで準備をすすめ、2009 年 11 月に刊行となった。
祝賀会と記念講演会については 5 月 16 日(土)学内
で開催され、先の第 139 号の学報で紹介している。
研究所は開設 10 周年の際にも記念誌を発行し
た。そのため、研究業績など 10 周年誌に記録して
いるものは一部割愛し、主に 1999 年から今日に至
る活動を収録した。総頁数 222 頁、写真集、記念
事業、部門紹介、研究支援体制、エッセイ、セミ
総合医学研究所 20 周年記念誌
ナー、科学研究費、ハイテクその他の学会補助金、
研究業績の項目の順に編集されている。今回の 20
周年記念誌は、10 周年誌の B5 判から A4 判へと大
運営など、研究所が担っている業務もわかりやす
判化され、見やすく読みやすいように工夫がされ
くまとめられてある。開設以来続けられている年
ている。写真も加えられ、また、単なる記録集と
1 度の市民公開セミナー、所内の研究セミナーの
してではなく、研究所開設や、運営、研究にかか
講演や発表の題名を見ると、開設以来の生命科学
わった先生方の「エッセイ」を加えたのも今回の編
の研究や医療の変遷や発展を俯瞰することができ
集の特徴である。読者もこの項を読まれると、研
よう。
究所にかかわった苦労、思い出など人間史のドラ
マに感銘を打たれるかもしれない。
金沢医科大学は教育機関・診療機関であるとと
もに研究機関でもある。必然的に時代の変化と研
部門別にまとめた研究、学会活動内容を読んで
究環境の影響を受け、研究所も変革していかなく
みると、小さな研究単位の中でこつこつと活動し
てはならない。研究所の今後のありかた、改善を
つづけてきたことが手にとるようにわかる。共同
考える上で貴重な資料となることを願ってやまな
利用部門ではハイテクなどの国が支援する事業、
い。
研究機器の整備、動物舎や RI 室などの共同利用の
(総合医学研究所 伊達孝保記)
金沢医科大学報
32
病 院
MRI の更新とメタストロン治療の紹介が各診療科長
第 15 回
等により行われた。また、紺谷一浩河北郡市医師会長
金沢医科大学病院
からは、新型インフルエンザ流行に対しての本学病院
地域医療懇談会
と医師会との協力体制、医療安全問題や感染対策での
相互協力等について提言がなされた。また、金沢医科
大学病院への要望事項について、事前のアンケート調
日時: 平成 21 年 11 月 21 日(土)
査で寄せられた要望に対して飯塚病院長が回答した。
場所: ホテル金沢 2 階「ダイヤモンド」
最後に、前回会議以降に就任した新任の部門教授、特
任教授および臨床教授 9 名の紹介があった。
この懇談会は、本学病院が
休憩をはさみ第 2 部の特別講演会に移った。引き続
地域の開業医の先生方との連
き、松井副院長が座長を務め講師の略歴紹介の後、影
携を深め、それぞれの機能に
近謙治運動機能病態学(リハビリ科)特任教授による
応じて患者さんの紹介・逆紹
講演が行われた。
「リハビリテーションにおける最近
介の推進を図り、地域と密着
の話題」と題して、痙性麻痺に対する ITB 療法につい
した特定機能病院として、そ
て症例等をあげながら分かりやすい説明が行われた。
特別講演会終了後の懇親会では、横山 仁副院長が
の使命と責任を果たしつつ、
より一層地域の医療の発展・
開会の挨拶を行ない、のむらクリニックの野村泰三院
充実に貢献することを目的と
長のご発声で乾杯が行われた。和やかな雰囲気の中で
して毎年開催されている。
懇談会には、石川・富山県
特別講演:影近謙治教授
参加者同士の活発な意見交換が行われ、最後に古居事
務長の挨拶があり、盛会裡に閉会した。
(地域医療連携事務課 奈良崎友子記)
内の医院の院長、本学出身の開業医の先生など 63 医
療機関から 65 名が出席され、本学からは飯塚秀明病
院長をはじめ副院長、各科診療科長、医局長を含む
62 名が出席して、地域医療連携について意見交換等
が行われた。
会議は総合司会の奈良崎友子地域医療連携事務課課
長代理の開会宣言に引き続き、飯塚病院長の挨拶が行
われた。
第 1 部の懇談会は松井 忍副院長の司会進行で進め
られ、本学病院の現況報告として最初に患者紹介・逆
紹介状況および医療連携の取り組み、医療機関への
お願いなどについて、古居 滋病院事務部事務長から
報告がなされた。引き続き、乳腺・内分泌外科、頭頸
部外科、遺伝子医療センターの新診療科紹介および、
懇談会風景
第 141 号/2010.1
平成 21 年度
金沢医科大学報
保険講習会
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理事の両講師を紹介、講習会が開始された。
最初に、内科系を中心に魚谷理事が、保険診療を行
っていくうえで遵守しなければならない関連法規、保
険診療における基本的ルール、医療保険の仕組み、保
平成 21 年度保険講習会は、平成 21 年 10 月 28 日(水)
険診療の禁止事項等から、診療録(カルテ)記載方法
午後 3 時から、病院本館 4 階 C42 講義室で石川県医師
について指導、解説された。先生ご自身が保険審査を
会の協力のもと、全職員(一年次研修医および保険担
担当されており、その審査状況について豊富な事例を
当医・保険請求事務担当者は必須)を対象に開催され
提示し詳細に説明が行われた。
た。出席者は医師 28 名、研修医 13 名、医療技術職 1 名、
事務 26 名の合計 68 名であった。
続いて、外科系を中心に大平理事が、診療・治療内
容の向上、各医療機関の診療レベルに合った適切な医
最初に、本講習会開催にあたり飯塚秀明病院長から
療行為の提供、医療資源と医師の裁量権、保険診療が
は、講師の石川県医師会理事魚谷浩平先生、大平政樹
許容する範囲内での診療(ルールの公平)、進歩する
先生および医師会事務局の方に謝意が述べられ、最新
医療現場と審査体制の観点から講演された。具体的な
の医療情勢や今後の展望について、直接講演をお聞き
審査事例も紹介いただいた。
する貴重な機会でもあるので今後大いに役立てていた
だきたいとの挨拶があった。
松井 忍保険指導委員会委員長の司会のもと、石川
事前に本学病院から提出した質問事項に丁寧に回答
いただき、活発な意見交換が行われ有意義な講習会と
なった。
(病院職員課 風端英樹記)
県医師会の西尾幸栄業務課長が、魚谷理事、大平政樹
論)と Hickham's dictum(ヒ
ッ カ ム の 格 言。 偶 然 に 複 数
の疾患に罹患する二元論)が
あ り、 内 科 学 の 大 家 で あ る
Harrison 先 生 が オ ッ カ ム の
第 12 回 :
突然死を来した高度の動脈
硬化症の 1 例
かみそりは 50 歳以下に、ヒ
ッカムの格言は 50 歳以上の
患者に当てはまると述べたこ
とを紹介した。
日時:平成 21 年 10 月 21 日(水) 午後 5 時 30 分
場所:病院本館 C41 講義室
ミニレクチャーは梶波康
藤林幸輔先生
二教授(循環器内科)から「動
高齢医学科の森本茂人教授と呼吸器内科の土原一
脈硬化のウソとホント」とし
真先生の司会により「突然死を来した高度の動脈硬化
て、動脈硬化の Q&A から始まって、非常に理解し易
症の 1 例」のテーマで行われた。藤林幸輔先生(循環
く動脈硬化の病態と臨床像、治療と予防法について説
器内科)から臨床経過の説明があり、医学部学生、研
明され、皆で改めて学習した。
修医を中心に活発なディスカッションが行われた。黒
病院 CPC を開始して 4 年を無事終えることができ
瀬 望先生(病態診断医学)の剖検所見の説明後、総合
た。今回は臨床実習で配属している第 5 学年の医学生
的な討論がなされた。特に今回の症例は、入院後 2ヵ
が事前に臨床経過を勉強し、質問や意見を述べた。会
月経過し、転院を検討していた段階で突然死を来たし
場の参加者全体で討論する活発な CPC を目指してい
たため、死因について、また、人工透析中の患者で高
きたいと考えている。来年度も皆さん一緒に CPC で
度の動脈硬化症と肺高血圧症が同時に発生する病態に
勉強しましょう。
ついて、熱く討議がなされた。城北病院病理科の袖本
幸男先生は、臨床経過と所見から考えた症例の一般
的なアプローチ法として、Occam's razor( オッカム
のかみそり。全ての徴候を 1 つの原因で説明する一元
(病態診断医学 野島孝之記)
【病院】
金沢医科大学報
34
がん診療連携拠点病院研修会
第 18 回
第 19 回
がん性疼痛管理の基本と最前線
攻めの緩和
メタストロンによる癌性疼痛緩和
講師: 服部政治先生(癌研有明病院麻酔科(ペインク
リニック)医長)
講師: 黒田 功先生(埼玉医科大学国際医療センター
日時: 平成 21 年 11 月 20 日(金)午後 5 時 30 分
場所: 病院本館 C41 講義室
講師)
日時: 平成 21 年 12 月 4 日(金)午後 6 時
場所: 病 院 新 館 12 階 特 別 会 議
服部先生は大分医科大学卒業後、同病院麻酔科で研
室
修を受けられた。その後、米国一のがんセンターと評
判の高い、ニューヨークのスローン・ケタリング記念
黒田先生は平成 9 年に香川医
病院などで研修した後、国立がんセンター中央病院を
科大学を卒業後、同泌尿器科に
経て、現在は癌研有明病院で麻酔科医長として活躍中
入局され、平成 14 年より埼玉医
である。また、日本緩和医療学会の理事として、日本
科大学病院泌尿器科に勤務され
の緩和医療を先頭に立って引っ張っている一人でもあ
ている。平成 19 年には新設され
る。
た国際医療センターの包括的がんセンター泌尿器腫瘍
黒田 功先生
服部先生は麻酔科医、ペインクリニシャンとしての
科講師に就任され、泌尿器がんに対する治療と研究に
経歴を生かし、薬物療法に神経ブロックを加味して、
従事されている。主な研究内容に腎細胞癌に対する
積極的にがん患者さんの除痛を図っている。癌研有明
RFA 治療および分子標的療法、膀胱癌に対する蛍光
病院には緩和ケア科も存在するが、そこへ入院できる
内視鏡治療、前立腺癌に対する放射線治療の適応拡大
のは極めて限られた患者さんでしかない。しかし、が
などがある。今回の研修会では前立腺癌骨転移の疼痛
ん患者さんのほとんどは痛みに苦しむという現実があ
緩和に対するメタストロンの使用経験について講演し
る。今回の研修会においては、緩和ケア科に入院でき
ていただいた。メタストロンはストロンチウム− 89 と
ないものの痛みを持つ多くの患者さんに対して、先生
いう放射線同位元素を含んでおり、静脈注射された後、
がこれまでに実践してきた質の高い除痛方法が示され
骨転移部に長く留まり放出する放射線によって痛みを
た。特にくも膜下カテーテル留置による除痛法は、コ
和らげる作用がある。先生は前立腺癌、腎癌の骨転移
スト、患者さんの QOL などを考慮すると、当院緩和
に使用した経験例を数多く紹介され、その疼痛緩和効
ケアチームでも取り入れなければならない手技であろ
果が非常に有効であり、もっと広く用いられるべき治
うと筆者は考えている。
(緩和ケア委員会 土田英昭記)
療薬であることを強調された。メタストロンは本学病
院でも既に認可されているが、認知不足のためかまだ
数例の使用に留まっている。今回の研修会には各科ド
クターのほかコメディカル部門からも多くの出席者が
みられ、講演後の質疑応答でも活発な意見交換が行わ
れたことから関心の高さがうかがわれた。今回の研修
会を契機に本学病院においてもメタストロンが広く使
用されることを期待したい。(放射線診断治療学 利波
久雄記)
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
35
21 世紀集学的医療センター
第 12 回集学的医療セミナー
女性医療とライフスタイル
日時: 平成 21 年 11 月 11 日(水)午後 5 時 30 分
場所: 病院新館 12 階大会議室
平成 15 年に金沢医科大学総合診療科で神田享勉教
授のもと、赤澤純代講師、今村理子医師より、女性
外来が開設されはや 7 年が経過した。平成 20 年 4 月に
左から講師の増田美加さん、吉川千明さん、渡邊賀子先生、
鈴鹿有子教授、赤澤純代講師
は 21 世紀集学的医療センターに、松井 忍教授のもと、
見の大切さ、検診の重要性を具体的な検査・治療によ
鈴鹿有子教授、中西由美子講師、藤本由貴助教をはじ
り示され、予後や術後ケアについてお話された。ま
め、たくさんの先生方の協力を得て女性総合医療セン
た、子宮頸癌の原因であるヒトパピローマウィルス
ターとして発足した。女性総合医療センターの役割は、
(HPV )のワクチンが平成 21 年 10 月 16 日に承認され
臨床(性差医療の実践の場である女性外来ジェネラリ
たのを受け、検診とワクチンを組み合わせることで癌
ストからスペシャリストへ)、女性医師支援事業、一
による死亡を防ぐのに効果的であるなど若い女性への
般市民への啓発活動(厚労省の事業で、石川県との連
啓発活動について紹介した。
携による講演活動)という 3 本柱で構成されている。
最後の演者はオーガニックライフスタイルアドバイ
3 つ目の柱に関する今回のセミナーでは、3 つのテ
ザー兼美容家吉川千明さんで、女性なら誰しも興味の
ーマのもと、女性として知っておきたい女性特有の症
ある「女性として美しく生きる秘訣」をテーマに講演
状や病気について、さらに、長い生涯をいかに健康的
していただいた。吉川さんは日本に初めてオーガニッ
かつ美しく過ごすかについて、女性医療という立場か
ク化粧品、アロマセラピーのオーガニック商品を展開
らお話いただいた。
され、銀座ウィミンズウエルネスにおいて女性の患者
最初の演題は「女性医療と漢方」で慶應大学医学部
さん向けに作られているアロマセラピージェルによる
漢方医学センター講師渡邊賀子先生により講演してい
セルフマッサージなどを実演し、女性職員の方々にと
ただいた。先生は日本で初めて漢方によるアンチエイ
ても好評であった。
ジング外来・冷え症外来を提唱された方で、今回は女
今後も女性総合医療センターは女性のライフスタイ
性に良く効く漢方薬の当帰芍薬散、加味逍遥散・桂枝
ルと健康を重視し、女性にとって最適な医療提供を目
茯苓丸などを分かりやすくご説明された。
指すとともに、専門領域の知識に加え、性差医療や男
2 演題目は、女性医療ジャーナリスト増田美加さん
に講演していただいた。
「女性医療に期待するもの∼
乳がん自己体験から得たものをあなたへ∼」と題し、
自身の乳がん体験を通して、女性の乳がんの早期発
女参画といった社会的ニーズに対応できる医療従事者
の育成にも力を注ぎたいと思う。
(生活習慣病センター 赤澤純代記)
【病院】
金沢医科大学報
平成 21 年度
防災講習会・災害訓練
36
地震速報システム、近年の地震状況などについて説明
がなされ、火災・地震対応などの心構えに関する講演
が行われた。
次に、沢田 裕設備課課長代理から、病院新館を中
心にした防災設備等について説明がなされた。引き続
き、看護部の前野聡子副部長や各看護師長から、災害
平成 21 年 10 月 30 日(金)
、11 月 10 日(火)に、内灘
時の早期行動および病棟に配備されている防災用品や
町消防本部の協力を得て大学および病院合同の防災講
避難器具の使用方法等について、ビデオ等による説明
習会および災害訓練が実施された。
と実演による講習が行われた。
消防法第 8 条では、病院、デパート等の多数の者が
出入りする施設は特に厳しい防火管理体制が義務づけ
平成 21 年 11 月 10 日(火) られている。なかでも病院、老人福祉施設等は身体的
災害訓練
弱者を収容する施設として、災害が発生した場合に人
命危険度が高いとの理由から特定防火対象物として指
第 1 次災害訓練(時間内)827 名参加
定されている。本学病院では例年春に新入職員オリエ
地震後に火災が発生したとの想定で、病院本館・新
ンテーションの一環として防火講習会を、秋には職員
館・別館・第二新館の各階ごとに出火場所を設定し、
全体の防災講習会や防災実地訓練を実施している。
身体防御、通報連絡、初期消火、模擬患者の避難誘導
病院内では常に約 700 人の患者さんが入院している
などの訓練を実施した。病院新館 1 階防災センター前
が、そのうち単独歩行が可能な患者さんは約 200 人と
には、本部長の飯塚秀明病院長を始め、宮本孝子副院
ほぼ 3 分の 1 であるということ、また、日中の外来で
長(看護部長)、古居 滋病院事務部事務長等が参集し、
は 1,000 人を超える患者さんが来院されるなど、お見
災害対策本部が設置された。災害対策本部では、各階
舞や付き添いの方などを含めて、実に多くの方がいる
チーフから病院各部署の避難状況、被害状況等につい
ことを考えると、改めて訓練の重要性が認識される。
て報告する訓練が行われた。
また、災害時の人命優先はもとより、地震・火災によ
る直接的災害の抑制および二次災害の防止を訓練の中
で確実に行えるようにする必要がある。
災害訓練は、時間内訓練(第 1 次・第 2 次)と時間外
訓練の 3 回に分けて実施され、後日、反省会も開催さ
れた。時間内の第 2 次訓練では、内灘町消防本部から
も参加し、実際に訓練区域に煙を充満させることによ
り防火扉等の防災設備を作動させ、消火栓からの放水
も行うなど、本番さながらの火災を想定した災害訓練
を実施した。
訓練内容は以下のとおり。
平成 21 年 10 月 30 日(金) 143 名参加
防災講習会
第 2 次災害訓練(時間内)96 名参加
病院新館 4 階西病棟のダイニングで火災が発生した
との想定で、実際に発煙筒を点火して病棟に煙を発生
させて訓練を行った。煙が充満するなか排煙装置、防
火扉・防火シャッターを稼働させたほか、エレベータ
ーの自動緊急停止装置も作動させた。病棟スタッフに
よる初期消火の後、病院、大学から駆けつけた自衛消
防隊消火班による消火訓練、模擬患者の避難誘導など
を職員が与えられた役割に応じて連携しながら訓練を
行った。また、訓練通報により内灘町消防本部から消
防車が出動し、内灘町消防隊が病院新館 4 階に急行し
て、実際に放水を行う消火訓練などを病院と連携しな
がら総合災害訓練として実施した。
災害訓練(時間外)59 名参加
平成 21 年 10 月 30 日(金)15 時 30 分から本学大学グ
夜間に病院新館 7 階東病棟のダイニングで火災が発
ラウンドにおいて、消火器取り扱い訓練および内灘町
生したとの想定で、職員が手薄な時間帯における災害
消防本部の指導協力の下、煙中訓練が実施された。
発生時の通報連絡、非常呼集、避難誘導、初期消火な
また、同日 16 時 30 分から病院本館 4 階 C41 講義室
どの訓練を実施した。病棟での消火、避難訓練などの
において、防災講習会が開催され、最初に総括防火管
ほか、当直看護師長、時間外受付者が病院新館防災セ
理者の中農理博常務理事から、地震等の災害に対す
ンターに参集し、実際に金沢市消防局の指令センター
る注意事項並びに協力要請がなされた後、重島康人内
への訓練通報を行った。また、病院事務部や看護部の
灘町消防本部予防課長補佐から「災害時における心構
幹部職員への呼集連絡訓練を実際に自宅へ電話をかけ
え」をテーマに、病院火災の状況、出火原因や、緊急
るなど、時間外の連絡系統に添って行った。
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
災害訓練反省会(平成21年11月24日・火/46名参加)
井上 豊内灘町消防本部次長から、災害訓練を視察
しての感想や注意・検討事項などの講評がなされた
後、訓練参加フロアごとに反省点、今後の課題等が述
べられ、災害に備えた訓練内容の充実、防災設備・用
具の数量や使用方法、役割分担の再検討などについて
活発な意見交換が行われた。
引き続き、重島内灘町消防本部予防課長補佐から平
成 21 年 6 月の消防法改正に伴い、大規模高層建築物を
対象とした火災以外の災害(地震)訓練の実施を年 1 回
以上実施することが必要となり、平成 22 年度の災害
訓練から震度 6 強の地震災害を想定した訓練(エレベ
ーターの緊急停止や病棟窓ガラスの損壊など)を追加
するよう要請があった。
また、看護師宿舎の放送設備が整っていないことか
ら、時間外災害時の看護師宿舎入居者の非常呼集につ
いて、看護師宿舎の入居者の中から、交代制により宿
舎のフロアごとに班長(代表者、連絡係)を割り当て
て、実際の災害時や災害訓練での非常呼集時に当該班
長に緊急連絡を行い、班長が宿舎入居者に知らせるこ
とにより災害発生場所へ速やかに参集し、入院患者の
安全を確保する体制を構築することとした。
今回の災害訓練では内灘町消防本部から好評を得る
ことができたが、同時に今後の検討課題もいくつか指
摘があったため、平成 22 年度は災害対策マニュアル
を見直し、これに沿った訓練を徹底するとともに、来
年度から新たに追加される震度 6 強の地震訓練を実施
することで、より充実した訓練内容となるよう計画す
る必要がある。
(管理課 西島大輔記)
災害対策本部
37
【病院】
金沢医科大学報
第 17 回
病院ワークショップ 「患者さんへの接遇応対」
38
本」についての講演が行われた。接遇には「小さい事
ほど丁寧に、当たり前の事ほど真剣に」
、また、
「して
あげるから、受けていただく」という姿勢が大切であ
るとの説明であった。その後、患者サービス向上委員
会委員長の森本茂人高齢医学(老年病学)教授から ice
breaking「これまでの生涯で最も印象に残る体験」に
日時: 平成 21 年 11 月 20 日(金)、21 日(土)
ついての説明があり、それに基づき参加者全員でグル
場所: 志賀町「いこいの村能登半島」
ープ作業と発表が行われた。
その後、森本委員長から、KJ 法(データをまとめ
るための手法)の紹介、
「ワークショップとは」の説明
と課題の抽選が行われ午後 2 時からグループ討議が開
始された。
グループ討議は 1 グループ 5 名で 7 つのグループに
分かれ、与えられた課題について討議をし、各人の役
割に基づいて発表のための原稿や報告書を作成した。
夕食を兼ねた懇親会では、グループ討議を通じて知
り合ったメンバー同志で、職場紹介や課題に対する考
え方などについて、お互いに打ち解けたムードで話し
飯塚秀明病院長の挨拶
合う光景が見られた。
2 日目は、午前 8 時から全体討議に入り、与えられ
上記の通り、病院合同教育研修委員会が主催する金
沢医科大学病院ワークショップが開催された。このワ
た課題についてグループ発表が行われた。
グループ発表終了後、横山委員長と飯塚病院長が、
ークショップは「患者さんへの接遇応対」をテーマと
各グループの発表内容について詳細に講評した。その
するもので、今回、8 年ぶりに開催された。
中で「各グループとも、課題に対する分析・対策につ
医師 6 名、看護師 14 名、コ・メディカル職員 7 名、
いてよく討議され、即、実行できる案が提案されてお
事務職員 6 名およびテナント職員 1 名の計 34 名が参加
り持ち帰り検討したい」
、
「各グループで討議された内
し「外来待ち時間」、
「地球環境への配慮」
、
「接遇の改
容を職場の中でも議論していただき病院のミッション
善」
、
「禁煙の徹底にむけて」を課題として、グループ
の達成に努力していただきたい」、また、
「待ち時間の
討議と全体発表が行われた。
原因にはいろいろな要素もあるが、患者さんに待ち時
1 日目の午後 0 時 30 分、開会にあたり飯塚秀明病院
間を苦痛と感じさせない工夫が必要であり、患者さん
長から挨拶があり金沢医科大学病院のミッションおよ
への十分な説明が重要である。同時に患者さんへの
び病院の責任と姿勢について以下の説明があった。
待ち時間中の職員とのコミュニケーションも必要であ
【ミッション】
り、接遇応対はいかに重要であるかを認識し意欲をも
①学び手本位の真の教育病院となる
って取り組みを継続していくことが重要である」と述
②良き医療人を育成し地域・社会に貢献する
べ、午前 11 時 15 分にワークショップの全日程を終了
③人(患者と職員)中心の医療を行う
した。
【病院の責任と姿勢】
安心して職員が医療に取り組める環境を整えるよう
務めたい。そのため、①あらゆる職場は教育、研究業
務の場であることを理解してほしい、②医療の現場で
トレードオフの思考をせず、建設的に議論していただ
きたい。 引き続き、横山 仁合同教育研修委員会委員長(腎
機能治療学教授)からワークショップの目的と進め方
についてのオリエンテーションが行われた。タスク
フォースの紹介と患者サービス向上委員会の古府美
知子委員(診療支援課課長代理)による「接遇応対の基
グループ討議
(病院職員課 野澤幸雄記)
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
39
3 年次看護師宿泊研修
医療安全対策(Medical SAFER 分析)
講師: 前多一美(医療安全管理部門課長)
日時: 平成 21 年 10 月 16 日(金)∼17 日(土)
場所: いこいの村能登半島
3 年次看護師宿泊研修は、①医療現場で発生するイ
ンシデント・アクシデント事例を効果的に分析する手
グループワーク
法を、講義および実習(グループワーク)を通して学
ぶ、②宿泊研修会の場を通して他部署の看護職員との
効性」、
「実行可能」
、
「効果」を評価し、優先順位を挙
交流を深めることを目的に平成 20 年度より開催され
げることができ、課題は達成されていた。研修 2 日目
ている。
は、グループワークでまとめられた課題を発表し、無
21 年度は研修生 46 名を対象に、医療安全管理部門
事研修会は終了した。
の前多一美課長を講師に、医療安全管理の目的と分析
研修生からは、
「インシデントの原因を追及してい
方法と題した講演を行った。その後、8 グループに分
くと、人的、物的、システムの問題など様々なことが
かれオブザーバーと共に、
「抗生剤の取り違え」、
「イン
考えられ、それぞれの対策を考えることで勉強になっ
スリン投与ミス」の一事例を Medical SAFER 法を用
た」
、
「同期と関わり、お互いの成長が感じられ刺激と
いて分析した。まず、起こった事象を整理し、何がど
なった」、
「とても良い研修だった。インシデントに関
のように起こったかという事実を把握する作業から始
する「なぜなぜ分析」について今後も行っていきたい」
めた。開始時は頭を抱え込む姿も見られたが徐々に意
など、前向きな声が聞かれ有意義なものとなった。
見交換も活発となり、全てのグループが事例の抱える
(看護部 前野聡子記)
問題点に関する対策案を考え、
「コスト」
、
「労力」
、
「即
《本学スタッフ新刊著書》
本書は 2007 年にこのコーナーで紹介した「学生のた
めの漢方医学テキスト」に続くものであるが、ページ
社団法人日本東洋医学会学術教育委員会 編
数が 95 ページから 327 ページと大幅に増え、その内容
も専門医用の教材にふさわしく、古典や症例が詳しく
専門医のための
記載されている。漢方専門医をめざす方には日本東洋
漢方専門医研修カリキュラム準拠
医学会認定漢方専門医研修カリキュラムに準拠した本
書は必読書であり、専門医ではない多くの臨床医にと
って、漢方を処方する際に大いに役立つと思われる。
元雄良治 分担執筆
とくに実際の症例が数多く呈示されているので、観念
(Ⅳ.症候からみる漢方 コラム 的ではない漢方診療の実際が明快にわかるであろう。
がんと漢方:248 頁)
本書の編集においては、筆者もその一員を務めた日本
東洋医学会学術教育委員会が丹念に内容を検討してお
社団法人日本東洋医学会
り、偏った考え方は含まれず、現代医療の中の漢方と
A4 判、327 頁
いう位置付けをしている。本書の構成は、
「歴史からみ
定価(本体 6,000 円+税)
る漢方」、
「病態からみる漢方」
、
「方剤からみる漢方」
、
2009 年 12 月 10 日発行
「症候からみる漢方」
、
「鍼灸」
、となっており、トピッ
ISBN978-4-524-24799-8
クスを「コラム」として随所にちりばめてある。実際の
診療に必要と思われるところだけでも一読をお勧めし
たい。
(腫瘍内科学 元雄良治記)
漢方医学テキスト
【病院】
金沢医科大学報
釜石市から
本学の地域医療支援に感謝状
40
その結果、平成 19 年 4 月に市民病院は閉院、急性期
医療は県立釜石病院に統合し、慢性期医療は民間病院
に、外来・在宅医療などは 4 診療機関を機能別に開設
し、包括した医療特区を施行した。それから 3 年を経
て、各機関の経営も健全化した。この間の本学からの
釜石市民病院の膨大な赤字に苦しむ釜石市は、現在
支援に感謝する意味から、平成 21 年 11 月 20 日に野田
の高い高齢化率、9 万人から 4 万人という人口減少の
武則釜石市長から地域医療の貢献を感謝して学校法人
現状から、最新医療のできる大きな総合病院を目指す
金沢医科大学への感謝状が授与され、山下理事長が受
のではなく、地域の住民・社会事情にあった医療の再
け取った。
生を選択した。平成 15 年には市民病院の統廃合を決
また、市民の健康の向上の目的で金沢医科大学が今
定し、市の願いに理解を示した小田島粛夫理事長(当
後 5 年間にわたり、市民健康フォーラムを開き講師を
時)の英断により、本学の佐久間 勉呼吸器外科教授と
派遣することになった。今回第 1 回が開催され、
「うつ
栂 博久呼吸器内科学教授が市民病院の統廃合の支援
と高齢者の自殺」のテーマで本学神経精神医学地引逸
に乗りだした。その後、山下公一理事長に引き継がれ、
亀教授が講演した。
この間に一部の市民・組合の反対運動などの障害はあ
ったが医療の再生を説き、最終的には多くの市民の理
金沢医科大学がいろいろな形で地域医療の支援を行
ってきたその一つと考えたい。
(釜石市健康福祉部地域医療担当部長 高橋昌克記)
解を得た。
野田武則釜石市長から山下公一理事長に感謝状が手渡された
講演する地引逸亀教授
《本学スタッフ新刊著書》
光畑裕正 編
アナフィラキシーショック
For Professional Anesthesiologists
芝本利重 分担執筆
( 2.アナフィラキシーショッ
クの病態、生理学:21-38 頁)
克誠堂出版
B5 判、288 頁
定価(本体 8,400 円+税)
2008 年 11 月 7 日発行
ISBN978-4-7719-0344-9
アナフィラキシーショックは発生頻度は少ないもの
の、適切な処置の時機を失うと重篤な結果をもたらす
急性期疾患である。しかしながら、いままでに本疾患
についての網羅的な解説書は出版されていない。本書
はアナフィラキシーショックについて基礎編として、
病態を免疫学的および生理学的に解説され、臨床編と
して、臨床診断・治療、検査法、小児のアナフィラキ
シー、局所麻酔薬や放射線造影剤などの特定の薬物に
よるアナフィラキシーの特徴、病理診断、民事訴訟で
のアナフィラキシーの考え方など、解説されている。
臨床医が必要とするアナフィラキシーショックの知識
をひと通り網羅できるように編集されている。
(生理機能制御学 芝本利重記)
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
「ひだまりルーム」リニューアル
41
田辺光子、堀井康平)では、職場や家庭におけるさま
ざまな問題について、職員が安心して相談できる窓口
として機能させたいと考えている。もちろん相談内容
に関しては秘密は守られ、病院のスタッフが安心して
金沢医科大学病院新館 2 階に設置されている“ひだ
まりルーム”は、以前より看護師の職場適応のサポー
業務に就くことができる一助となればと、日々全力を
尽くしている。
(精神神経科学 北本福美記)
トを中心に、週 3 日間、ベテラン看護師 1 名と大学所
属臨床心理士 1 名が相談を受け付けてきた。今年 7 月
より管轄が病院職員課に変更となったのを契機とし
て、相談受付の対象を病院職員全体に広げ、スタッフ
も看護師 1 名、臨床心理士 1 名を増員し、毎日の相談
の受付、臨床心理士によるカウンセリング(心理的相
談)に対応できるよう拡大した。
現在、医療現場においては個々の医療従事者への負
担が大きくなっており、健康面を懸念する声も少なく
ない。健康の意味するところは、ただ単に疾病に罹患
していないことのみではなく、精神的にも、また社会
的にも、なんら差し障りのない状態(well being )で
あるということである。
ひだまりルーム(カウンセラー北本福美、高山静子、
ひだまりルームに設置されているボディソニック(音楽と振
動で心身のリラックスをはかる装置)
金沢医科大学氷見市民病院
りんごステーション開所
平成 21 年 11 月 18 日、金沢医科大学氷見市民病院講
堂にてりんごステーション開所式が行われた
りんごステーションは、若手看護師の職場環境の向
上を目指して設置されたもので、30 才以下の看護師
19 名がメンバーとなっている。
開所式には、りんごステーションのメンバー、高島
茂樹病院長、伊藤澄美子看護部長はじめ各師長、事務
りんごステーション
職員、報道関係者数名を含む約 50 名が集まった。は
じめに、高島病院長、伊藤看護部長から挨拶があり、
ョンに集まり、今後の活動予定などの打ち合わせを行
りんごステーションを設置した目的や、期待などがメ
い、最初の活動として看護師募集のためのビデオ撮影
ンバーに伝えられた。次に、りんごステーションの看
を行った。撮影は、院内の MRI 棟、2 病棟 1 階ナース
板とメンバー手作りのコルクボードが、りんごステー
ステーションで行われた。
ションのリーダー八箇多恵看護師、サブリーダー菊沢
病院として、若い看護師が集まり気軽に話し合うこ
克紀看護師に手渡された。八箇看護師が、りんごステ
とで、お互いのコミュニケーションを深める場となる
ーションを開所するにあたって、関係者への感謝の意
ことを願っている。
(氷見市民病院総務課 宮井公一記)
とこれから利用するにあたっての抱負を述べ、開所式
を終えた。
開所式の後、メンバーのうち 6 名がりんごステーシ
【病院】
金沢医科大学報
42
「北陸膠原病支援ネットワーク」
4 年間のあゆみ
北陸膠原病支援ネットワーク事務局 良永
幸恵
5 年前、梅原久範教授が本学に着任された時、
当地における患者様の一助になればと、北陸 3 県
におけるリウマチ膠原病の診療の向上およびリウ
マチ膠原病患者の支援を目的に「北陸膠原病支援
ネットワーク」を設立いたしました。この組織は、
富山県、石川県、福井県の北陸 3 県合同で、リウ
マチ膠原病患者を中心に、医療関係者および行政
担当部署が協力してリウマチ膠原病の啓蒙、診療
向上、生活支援に努めることを目標にしています。
その財政的援助や社会への啓蒙のために、製薬企
業の方々にも参加をしていただいています。
「私は、膠原病支援ネットワークが皆さんにとっ
ての『灯台』になることを夢見ています。進む方向
が分からなくなった時には目指す目標となり、暗
闇で不安になった時には安らぎになるような、そ
んな存在になれることを願っています」。これは、
「北陸膠原病支援ネットワーク」改訂版
4 年前に顧問の梅原教授が「北陸膠原病支援ネット
ワーク」の初版パンフレットのあとがきに書かれ
た言葉でもあります。そしてこの 4 年間で「北陸膠
って盛会に開催することができました。総会では、
原病支援ネットワーク」は、まさに患者さんの灯
『ステロイド治療法について』、
『リウマチ膠原病の
台となったのではないでしょうか。梅原教授が本
最新治療∼希望を明日に∼』といったテーマで医
学に着任されてまず思われたことは、北陸 3 県に
療講演会を開催し、患者さんの知識、情報に役立
はリウマチ膠原病の専門医や施設が少なく、患者
てていただきました。また医師、患者、行政、弁
さんへの膠原病についての正しい知識や診療情報
護士など様々な立場の代表者によるパネルディス
の提供が十分にできていないということでした。
カッションを行い、患者さんにとってより身近な
「膠原病友の会」の支部すらない現状のなか、患者、
悩みや問題等を取り上げ、互いに励まし合い知識
医師、行政、製薬企業の 4 者が協力して膠原病患
を得る機会とすることができました。
者を支援するネットワークを発足させようという
今回パンフレットの改訂を行うにあたり、より
呼びかけをされ、平成 17 年 11 月に多くの方々のご
多くの情報が皆様のお手元に届くように内容の充
支援・ご協力を得て、第 1 回「北陸膠原病支援ネッ
実に努めました。従来の情報の刷新に加え、膠原
トワーク総会」を開催することができました。
病疾患のリーフレット、これまでのネットワーク
2009 年 11 月 1 日(日)に第 4 回「北陸膠原病支援
ネットワーク総会」を多くの患者さんの参加をも
の活動状況などを追加しました。少しでもこれを
手にした方のお役に立てばと願っています。
第 141 号/ 2010.1
金沢医科大学報
43
研修医の頁
臨床研修医のための CPC(臨床病理検討会)
平 成 21 年 11 月 18 日( 水 )の 午 後 5 時 30 分 よ り、
病院本館 4 階臨床研修センターカンファレンスル
ームにおいて第 33 回臨床病理検討会(CPC )が行
われた。
第 33 回 CPC 平成 21 年 11 月 18 日(水)
〔症例 1 〕 悪性リンパ腫寛解後、肺癌を発症し多
発性転移を伴った 1 例
呼吸機能治療学(呼吸器内科
臨床提示 斎藤雅俊
臨床提示
司会者
副司会者
画像解説
野村裕子
高橋依子
島崎猛夫
甲斐田大資
釘抜康明
病理解説
杉江茂幸
学)医員
臨床研修センター研修医
臨床研修センター研修医
腫瘍内科学(腫瘍治療学)講師
臨床研修センター研修医
放射線診断治療学(放射線医
学)講師
腫瘍病理学(病理学Ⅰ)特任
教授
ミニレクチャー
甲斐田大資 臨床研修センター研修医 テーマ 「2 次発癌」
〈症例の概要〉 8 年前、び慢性大細胞型 B 細胞性リンパ腫に対
し化学療法後寛解となった。昨年、PET-CT にて
司会者
山谷秀喜
副司会者
画像解説
坂田祐一
釘抜康明
腎 機 能 治 療 学( 腎 臓 内 科 学 )
講師
臨床研修センター研修医
放射線診断治療学(放射線医
学)講師
病理病態学(病理学Ⅱ)教授
病理解説 上田善道
ミニレクチャー
坂田祐一 臨床研修センター研修医
テーマ 「ANCA 関連血管炎」
〈症例の概要〉 夜間に 38 度台の発熱が持続し、他院で悪性疾患
の可能性が否定できないと診断されたが、明らか
な腫瘍性病変は見つからなかった。その後、呼吸
困難、発熱、著明な腹水、DIC を認めるようにな
り、永眠された。質疑応答では、不明熱に対し、
どのようなアプローチで検査を進めていけばよい
のか、どのような治療計画を進めていけばよいの
かが論点となった。剖検では、中型から小型の血
管炎が腹膜の血管内に認められ、これが、著明な
腹水を引き起こした原因であると考察された。ま
た、腎には壊死性半月体形成性腎炎の像があり、
最終的に ANCA 関連血管炎と診断された。腹水で
発症したまれな血管炎症例であり、症例報告すべ
き症例と思われた。
肺・肝に多発性腫瘤が指摘され、原発性肺癌の多
発性転移と診断された。化学療法、放射線療法が
施行されたが、心筋梗塞、消化管出血、2 次性免
疫性血小板減少性紫斑病を併発し、永眠された。
質疑応答では心筋梗塞、消化管出血と腫瘍との関
連、肺の画像所見について活発に討論された。病
理では全身に肺癌が転移している様子が詳細に提
示され、高度の脾転移が見られた点が興味深く感
第 34 回 臨床研修医のための CPC
日 時: 平成 22 年 1 月 20 日(水)
17 時 30 分から
場 所: 研修センターカンファレンスルーム
じられた。今回我々は、担癌状態、またはそれに
類似した状態にある患者は、新たな癌発症のリス
クが高く常に広い視野で全身を診ておかなければ
ならないと胆に銘じた。
〔症例 2 〕 不明熱と難治性腹水貯留を来し死亡し
た高齢女性の 1 例
臨床提示 村井 裕
高齢医学(老年病学)助教
臨床提示 福本真理絵 臨床研修センター研修医
研修医には出席が義務づけられていますが、そ
れ以外の先生方、学生にも広く開かれていますの
で、ふるってご出席ください。
(病態診断医学 黒瀬 望記)
金沢医科大学報
44
図書館
新着図書の紹介( 2009.10 ∼ 2009.11 )
書名 / 出版社 / 出版年 / 請求記号の順で記載
学生用指定図書
(洋書)
Smith's general urology 17th ed( A Lange medical
book )/McGraw-Hill Medical/2008/WJ100
(和書)
びっくり先進国ドイツ(新潮文庫 :8099 )/新潮社/2007
/302.34
地頭力(じあたまりょく)を鍛える : 問題解決に活かす
「フェルミ推定」/東洋経済新報社/2007/336.2
「逆」引き統計学 : 実践統計テスト 100/講談社/2009/
417
どう読む ? 新聞の統計数字(ライフサイエンス選書)/ラ
イフサイエンス出版/2006/417
ドイツの犬はなぜ幸せか : 犬の権利、人の義務(中公文
庫)/中央公論新社/2000/645.6
ゼロから話せるドイツ語 : 会話中心 改訂版/三修社/
2008/847.8
ことたびドイツ語(ことばをもって旅に出よう ! )/白水
社/2003/847.8
クルマのない生活 : フライブルクより愛をこめて/白水
社/2008/914.6
イラストレイテッド微生物学 第 2 版/丸善/2008/QW4
標準微生物学 第 10 版(Standard textbook )/医学書院/
2009/QW4
戸田新細菌学 改訂 33 版/南山堂/2007/QW4
入門腫瘍内科学/篠原出版新社/2009/QZ200
インフォームド・コンセント : その誤解・曲解・正解/
医薬ビジランスセンター/2006/W85
公衆衛生マニュアル 27 版(2009 年版)/南山堂/2009/
WA39
学校保健マニュアル 改訂 7 版/南山堂/2008/WA350
医学・生物学のためのデータ解析入門 : 統計学からわか
る現代医療の問題点/コロナ社/2004/WA950
考える技術 : 臨床的思考を分析する/日経 BP 社 / 日経 BP
出版センター(発売)/2007/WB14
医療面接技法とコミュニケーションのとり方(新基礎
臨 床 技 能 シ リ ー ズ )/ メ ジ カ ル ビ ュ ー 社 /2009/
WB18.2
内科学書 改訂第 7 版 1. 内科学総論 臨床症状/中山書店/
2002/WB115
内科学書 改訂第 7 版 2. 感染性疾患 膠原病 , リウマチ性疾
患 アレルギー性疾患 , 免疫不全症 呼吸器疾患/中山
書店/2002/WB115
内科学書 改訂第 7 版 3. 循環器疾患 腎・尿路疾患/中山書
店/2002/WB115
内科学書 改訂第 7 版 4. 消化管・腹膜疾患 肝・胆道・膵疾
患/中山書店/2002/WB115
内科学書 改訂第 7 版 5. 内分泌疾患 代謝・栄養疾患/中山
書店/2002/WB115
内科学書 改訂第 7 版 6. 血液・造血器疾患 神経疾患/中山
書店/2002/WB115
内科学書 改訂第 7 版 別巻 . 基準値一覧 総索引 , 総目次/
中山書店/2009/WB115
ティアニー先生の診断入門/医学書院/2008/WB141
呼吸器外科学 改訂 4 版/南山堂/2009/WF980
先天性心疾患(新目でみる循環器病シリーズ :13 )/メジ
カルビュー社/2005/WG100
図解先天性心疾患 : 血行動態の理解と外科治療 第 2 版/
医学書院/2007/WG220
CKD 診療ガイド 2009/東京医学社/2009/WJ300
ジ ョ ス リ ン 糖 尿 病 デ ス ク ブ ッ ク / 医 学 書 院 /2007/
WK810
医学生・研修医のための神経内科学/中外医学社/2008
/WL100
ニ ュ ー ロ ン の 生 理 学 / 京 都 大 学 学 術 出 版 会 /2009/
WL102
標準脳神経外科学 第 11 版(Standard textbook )/医学書
院/2008/WL368
標準外科学 第 11 版(Standard textbook )/医学書院/
2007/WO100
新臨床外科学 第 4 版/医学書院/2006/WO100
TEXT 麻酔・蘇生学 改訂 3 版/南山堂/2008/WO200
標準小児外科学 第 5 版(Standard textbook )/医学書院
/2007/WO925
生殖医療ガイドライン 2007/金原出版/2007/WQ208
今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針 第 3 版/医学書
院/2008/WV168
耳科学アトラス : 形態と計測値 第 3 版/シュプリンガ
ー・ジャパン/2008/WV17
ICU ブック 第 3 版/メディカル・サイエンス・インター
ナショナル/2008/WX218
一般教養図書
(和書)
新しい家族社会学 4 訂版/培風館/1997 /361.4
基礎医学図書
(和書)
予防接種の手びき 第 12 版/近代出版/2008/QW806
臨床医学図書
(和書)
消化器 第 3 版(病気がみえる :v. 1 )/Medic Media/2008
/WB100
循環器 第 2 版(病気がみえる :v. 2 )/Medic Media/2008
/WB100
婦人科・乳腺外科 第 2 版(病気がみえる :v. 9 )/Medic
Media/2009/WB100
産科 第 2 版(病気がみえる :v. 10 )/Medic Media/2009
/WB100
心血管イベントのリスクファクターとその管理(新・心
臓病診療プラクティス :14 )/文光堂/2009/WG100
精神神経学用語集 改訂 6 版/新興医学出版社/2008/
WM15
脳・神経系疾患 第 2 版(看護のための最新医学講座 : 第 1
巻)/中山書店/2005/WY150
循環器疾患 第 2 版(看護のための最新医学講座 : 第 3 巻)
/中山書店/2005/WY150
緩和・ターミナルケア看護論(成人看護学)/ヌーヴェル
ヒロカワ/2005/WY150
看 護 白 書 平 成 20 年 版 / 日 本 看 護 協 会 出 版 会 /2008/
WY31
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
45
《本学スタッフ新刊著書》
根木 昭 編
大橋裕一 編
眼科プラクティス
眼科プラクティス
23 眼科薬物治療 AtoZ
28 眼感染症の謎を解く
福田正道 分担執筆
(Ⅵ . 副作用と毒性 4. 薬剤のメ
ラニン親和性の影響:452 頁)
福田正道 分担執筆
(Ⅳ . 戦略的に治療する! 1. 薬
物治療 1) 点眼 PK/PD の考え
方:276-277 頁、AQCmax と
その関連パラメーター:282283 頁)
文光堂
B5 判、673 頁
定価(本体 24,000 円+税)
2008 年 9 月 27 日発行
ISBN978-4-8306-5580-7
文光堂
B5 判、459 頁
定価(本体 18,000 円+税)
2009 年 7 月 27 日発行
ISBN978-4-8306-5585-2
本書は日常診療の座右の書として、瞬時に眼科薬物
本書は基本的な知識を系統立って整理されたもので
治療の知識を確認するための辞書として、また新薬や あり、最新の情報も網羅し、現時点における我が国の
現代の薬理学を学習する教科書として役立つものであ 眼感染症診療のスタンダードを最大限吸収できるよう
る。
(感覚機能病態学 福田正道記) なテキストである。
(感覚機能病態学 福田正道記)
樋田哲夫、江口秀一郎 編
秦野 寛 監修
薬物療法
抗菌薬サークル図
眼科診療のコツと落とし穴④
データブック 点眼剤編
福田正道 分担執筆
(結膜・角膜・強膜疾患 臨床
効果の予想指標−房水内最高
濃度( AQCmax ):4-5 頁)
中山書店
A4 変形判、172 頁
定価(本体 9,000 円+税)
2008 年 10 月 15 日発行
ISBN978-4-521-73062-2
本書は眼科臨床の最前線で活躍されている諸先生
が、めざましい進歩の内容を、おのおのの日常臨床の
なかでいかに取り入れ、どのように工夫をしているか
を多くの眼科医と共有することを目的として企画され
た一冊の本である。
(感覚機能病態学 福田正道記)
福田正道 分担執筆
(第 1 章総説 2 点眼剤の薬物
動態、3 点眼剤使用の留意
点:17-34 頁)
じほう
A6 判、86 頁
定価(本体 2,200 円+税)
2009 年 9 月 10 日発行
ISBN978-4-8407-4014-2
目的・内容・入手方法:本書は抗菌薬のプロフィ
ールが視覚的に把握できると好評を得た『抗菌薬サー
クル図データブック』の姉妹編で、抗菌点眼剤バージ
ョンである。眼科代表感染症を概説し、点眼薬の眼
内動態パラメータ Pharmacokinetic(PK )と抗菌作用
Pharmacodynamic(PD )パ ラメータが詳細に整理され
ている。
(感覚機能病態学 福田正道記)
金沢医科大学報
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管理・運営
小田島粛夫 前理事長
秋の叙勲で旭日重光章を受章
文化の日の 11 月 3 日、平成 21 年秋の叙勲の受章者
が発表された。
本学の小田島粛夫理事が永年にわたる大学教育の発
展に尽力され多数の人材を育成された功績により、旭
日重光章受章の栄誉に浴された。
小田島先生は昭和 6 年生まれ、金沢医科大学名誉教
授、医学博士。金沢大学医学部卒業後、金沢大学大学
院医学研究科で学び、金沢大学医学部助教授を経て、
昭和 49 年 9 月に本学の病理学Ⅰ教室の初代主任教授に
事業として病院新館の建設および医学教育海外交流基
就任し、以来 35 年間にわたり本学の「倫理に徹した人
金の創設、看護学部の新設などを積極的に進め、本学
間性豊かな良医の育成」の理念のもと、学生や医師の
の発展に多大な貢献をされている。
教育に貢献された。
この間、平成 5 年 11 月からは第 7 代学長として、ま
このたびの受章はご本人はもとより、本学にとって
もこの上ない喜びであり名誉とするところである。
た平成 11 年 7 月から第 7 代理事長として、将来を見据
(総務部人事部門 石田豊司記)
えた大学改革に取り組むと同時に、創立 30 周年記念
日本私立学校振興・共済事業団による
平成 20 年度経常費補助金に係る調査
また、午後には総合医学研究所やクリニカル・シミ
ュレーション・センター等の施設・設備見学も行われ
た。
「講評」では、熊谷賢次同事業団財務部次長から、
①特段の指摘事項および補助金に関する問題点はな
平成 21 年 11 月 11 日(水)に日本私立学校振興・共済
い、②看護学部は未完成で補助対象ではないので、医
事業団による「平成 20 年度私立大学等経常費補助金に
学部等の対象事業の経費と混同しないこと、③本学は
係る対象事業の実施状況等調査」が行われた。
平成 12 年度以来、会計検査院の検査を受けておらず、
調査では、事業団に提出した平成 20 年度経常費補
看護学部の完成年度の 2∼3 年後には検査を受ける可
助金に係る関係書類の内容確認等が行われ、総務部、
能性が高い旨の総括があった。 (総務課 中川喜雄記)
経理管財部および学事部等の各補助金事業担当部署が
対応した。
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金沢医科大学報
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平成 21 年度 医学教育等関係業務功労者
文部科学大臣表彰 平成 21 年度医学教育等関係業務功労者に対する、文部科学大臣表彰が、平成 21 年 11 月 25 日(水)東京都港区
ホテルフランシオン青山において行われ、本学からは長谷とし江さん(新館 4 階東准看護師)と山下義則さん(栄
養部課長代理)が表彰を受けた。表彰式では、川端達夫文部科学大臣から表彰状の授与と記念品が贈呈された。
大臣より挨拶があり、引き続き小川 彰全国医学部長病院長会議会長から来賓祝辞をいただいた。
この表彰は、国公私立大学における医学または歯学に関する教育、研究もしくは患者診療等に関わる補助的業
務に関し、顕著な功労のあった人に対して与えられるもので、今年度は全国で 102 名が対象となった。
長谷さんは昭和 53 年 4 月に看護部准看護師として入職され、その後 31 年余りにわたり、小児科外来および小
児科病棟での勤務を中心に精励され、現在に至っている。山下さんは昭和 52 年 4 月に栄養部調理師として入職さ
れ、その後、32 年余りにわたり、患者様の食事作りを中心に精励され、現在に至っている。
(職員課)
文部科学大臣表彰を受けて
看護部准看護師 長谷
とし江
栄養部調理課課長代理 山下
義則
昭 和 53 年 金 沢 医 科
昭和 52 年に金沢医科
大 学 に 入 職 し、 准 看
大学に栄養部調理師
護師として小児病棟
として入職し、早 30
に配属されました。
数年が過ぎようとし
厳しい小児医療の
ております。
現場で自分に与えら
当 初 は、 一 般 調 理
れた責任と看護を考
しか分からず、病院
え、看護の質の向上、
給食というものに飛
接 遇、 患 者 さ ん と そ
び込んでまいりまし
の家族との関わりなど自己研鑽を重ねてきまし
たが、この 30 年間、病院給食も大きく変わり、患
た。日々の勤務の中、看護は「ベッドサイドケア」、
者様のニーズに合わせたきめ細やかな食事の提
「心のケア・精神的サポート」にあると確信し、フ
供、徹底した衛生管理が求められるようになって
ィードバックしながら努めてきました。今まで業
きております。このたびは、文部科学大臣表彰式
務を続けてくることができ文部科学大臣表彰式と
という、思ってもいなかった式に参列させていた
いう晴れがましい場を与えてくださったと感謝し
だき、大変感謝しております。今後はこの賞に恥
ています。
じないよう、責任と自覚を持ち、後輩の指導を行
今後も人と人との関わりを大事に、小児の専門
い、患者様に少しでも安全で満足していただける
医療を行うチームの一員として、患者さん中心の、
ような食事が提供できるよう、日々精進していき
質が高く、安全で、優しい、こども達の未来を考
たいと思います。
えた、安心と満足が得られる看護が提供できるよ
う努力していきたいと思っております。
【管理・運営】
金沢医科大学報
平成 21 年度石川県私立学校教職員
教育功労者知事表彰
48
表者に表彰状と記念品が贈呈された。谷本知事から今
回表彰された方々に対するお祝いのことばと、今後さ
らに私学の発展に尽力していただきたい旨のことばを
いただいた後、金沢工業大学の新坂恭士教授が謝辞を
述べた。引き続き谷本知事との記念撮影が行われ表彰
平成 21 年度石川県私立学校教職員教育功労者の知
事表彰式が、平成 21 年 12 月 9 日(水)午後 2 時 00 分か
ら石川県庁特別会議室において行われた。この表彰は
県内の私立学校の振興・発展に長年貢献してきた私立
学校の教職員に贈られるもので、本年度は 43 名が表
彰され、本学からの対象者は下記の 15 名であった。
表彰式では、谷本正憲石川県知事から被表彰者の代
式を終えた。
(人事課 加藤勝人記)
本学の受賞者は以下のとおり(敬称略)。
甲野 裕之
北本 福美
廣瀬 信雄
坂元 仁志
吉野多美子
出村 昇
北 久直
金山登喜夫
大澤 学
間嶋めぐ美
公地 宗弘
松田 久夫
中谷 一也
村井 幸美
田中 一美
以上 15 名
谷本正憲石川県知事と記念撮影
《本学スタッフ新刊著書》
日本腎不全看護学会 編
日本腎臓学会、日本移植学会、日本泌尿器学会の 5 学
会により認定)の認定試験のための参考書として作成
され、その第 3 版である。内容は「末期腎不全トータル
第3版
ケア概論」として腎不全治療の歴史、腎の病態と治療
法、インフォームドコンセント、ケアネットワーク、
透析療法における看護師の役割などを、また「腎不全
患者の身体機能」として透析治療の原理、血液透析療
田村幸子 分担執筆
(第 1 章看護の基本姿勢の理 法、腹膜透析療法、合併症、高齢者透析、小児透析、
解 2.ケアリング:268-271 頁) 糖尿病性腎症の透析と治療全般を論じている。また「患
者および家族の理解のための理論」として危機理論、
医学書院
家族理論、ストレスコーピング理論、自己効力感など
B5 判、430 頁
の透析患者の自己管理を理解するために必要な理論を
定価(本体 4,200 円+税)
中心に論じ、更には自己管理行動を促進するため教育
2009 年 7 月 1 日発行
方法やカウンセリング技術などについて詳しく論じて
ISBN978-4-260-00843-3
いる。
「看護専門」では血液透析や腹膜透析治療に従事
する看護師が的確に身につける必要のある透析関連技
術として、ブラッドアクセス穿刺や観察技術、透析機
器の準備と管理、CAPD 関連技術である出口部ケアと
本書は 2004 年度から開始された「日本透析療法指導 観察技術、などについて図表を用いてわかりやすく論
看護師制度」
(日本腎不全看護学会、日本透析医学会、 じている。
(成人看護学 田村幸子記)
腎不全看護
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金沢医科大学報
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表彰式では勤続 35 年の松井 忍先進医療研究部門教
平成 21 年度
授が被表彰者を代表して、山下理事長から表彰状と記
永年勤続表彰
念品を贈呈された。理事長からは本学の歴史を振り返
りながら、35 年および 20 年の長きにわたり本学の発
展に寄与されたことに対するねぎらいとお祝いのこと
平成 21 年度本学教職員の永年勤続表彰式が 11 月 16
ばがあり、松井教授が謝辞を述べた。
日(月)午後 3 時 30 分から山下公一理事長、山田裕一
表彰式終了後、出席者全員で記念撮影が行われ、そ
学長、飯塚秀明病院長、竹越 襄副理事長、松本忠美
の後、会場を移し懇談会が催された。表彰された方々
副理事長、中農理博常務理事の出席のもと、病院新館
はそれぞれに本学に奉職した 35 年間、20 年間を振り
12 階大会議室において行われた。今年の被対象者は、
返りながら、和やかに歓談の時を過ごした。
(総務部人事部門 石田豊司記)
35 年永年勤続者が 47 名で、20 年永年勤続者が 29 名で
あった。
永年勤続表彰(勤続 35 年)
【勤続 35 年表彰】
松井 忍
吉竹 佳の
坂尾 光一
古府美知子
昔農 好子
知久田 博
恩道 正博
鈴木 孝治
中農 理博
野澤 幸雄
中居 邦克
根布長久江
魚谷 儀一
沢田 裕
廣瀬 優子
小平 俊行
中新 茂
疋田 雅枝
太田 昌代
小山 幸則
谷内 正人
堀 功
松下外志雄
大戸 和雄
中居 文子
藤田美紀子
村本 進司
角野 守
平口 哲夫
森 茂樹
堀 愉
小原 佳代
宮本まゆみ
喜多 芳己
松能 好子
【勤続 20 年表彰】
宮澤 克人
正木 康史
公地 宗弘
河野由美子
中川 香織
中村 充代
桝田 直美
澤野 正樹
柳田 善為
西田 栄子
山岸 裕子
神野亜紀子
橋爪 馨代
向井美貴子
南 清美
山田 千恵
清水 直美
南 光代
福江 祐巳
町田 裕美
緒方 有里
大島 順子
吉岡 悦子
小村美枝子
奥名美由紀
松井 祐二
吉本 栄治
持月みや子
加藤 康子
永年勤続表彰(勤続 20 年)
池田 照明
木村 晴夫
佐野 泰彦
道上 紀子
西田 清枝
荒木きみ枝
須貝外喜夫
寺井 明夫
橋本 外次
田村 信子
西尾 寛
清水由美子
【管理・運営】
金沢医科大学報
互 助 会
第 29 回
文 化祭
恒例の互助会文化祭が、平成 21 年 11 月 25 日(水)か
ら 11 月 30 日(月)まで開催され、会場となった病院新
館 1 階には、職員と患者さん他 64 名および 3 つのグル
ープから写真が 42 点、書が 13 点、絵画が 1 点、生け
花が 25 点、手工芸その他 14 点、計 95 点の出展があっ
た。作品の中には、手間ひまがかかったであろう細か
な細工による労作や作者のセンスが光る秀作が多くあ
り、期間中、職員のほか患者さんや来院者の方の目を
楽しませてくれた。
11 月 27 日(金)には表彰式が行われ、理事長賞、学
長賞、病院長賞、優秀賞、奨励賞、特別賞、特別参加
賞の受賞者に賞状と記念品が贈呈され、併せて土田壮
一文化実行委員会委員長から講評があった。
(労務厚生課 坂尾光一記)
入賞者の皆さんは次のとおり。
理事長賞
米田 紀子(臨床検査技術部門) 写真
学長賞
吉田 真弓(調理課)
生け花
病院長賞
上田 久子(患者)
手工芸
優秀賞
坂元 仁志(研究推進課)
写真
西村 榮子(看護部・外来Ⅰ)
写真
加藤 勝人(人事課)
写真
竹中 愛美(集学的医療センター事務課)
写真
山田 清美(生理機能制御学)
書
前多 一美(医療安全管理部門)
書
北村 純子(医事課)
生け花
音渡 明代(地域医療連携事務課)生け花
坂本 妙子(看護部・8 階東)
生け花
奨励賞
斉藤 久美子(薬剤部)
フォト川柳
中谷 渉(フォトセンター) フォト川柳
特別賞
別館 6 階リハビリ病棟(患者)手工芸等
新館 4 階東小児科病棟(患者)
手工芸
特別参加賞 川原 清(委託業者)
生け花
理事長賞を受ける米田紀子さん
理事長賞:米田紀子さん(写真)
学長賞:吉田真弓さん(生け花)
病院長賞:上田久子さん(手工芸)
50
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金沢医科大学報
互助会
51
秋のバス旅行
さな岬を廻り込むと、左手の崖の上にまるで嘘のよう
秘境の宿・大牧温泉紅葉狩り
に 1 軒の大きな建物が建っており、それが「大牧温泉
11 月 1 日(日)秋のバス旅行の企画として、
「秘境の
観光旅館」だった。船着場で船を降り、旅館へと入る。
囲炉裏が沢山ある大広間にとおされ、説明の後、自由
宿・大牧温泉紅葉狩り」が実施された。
集合時間は 7 時 45 分、出発は 8 時で、77 名の参加が
行動になった。
あった。大型バス 2 台に分乗して、最初の目的地「城
午前中は快い日の差す絶好の天気で、皆、散歩や露
端曳山会館」に出発。曳山会館では、江戸時代から使
天風呂などそれぞれ楽しんでいたようだ。私も露天風
われ続けている豪華な曳山を皆、興味深げに見ていた。
呂に入ったが、男性用は崖の中腹まで上っていかねば
この曳山は、引退して展示されているわけではなく、
ならず、木々が邪魔をして絶景を楽しむとまではいか
春に行われる祭りには実際に出動するのだという。曳
なかった。
山会館を後にして、いよいよ「船でしか行けない秘境」
というキャッチフレーズの大牧温泉へと向かう。
続いてお楽しみの昼食は、結構盛り沢山でお腹も
満足させることができた。しかし、昼食を終わるころ
小牧ダム湖の遊覧船乗り場から船に乗り、ダム湖を
から天気予報のとおり雨となり、散策を楽しむことは
ひたすら源流へと遡っていくこと約 30 分。天気予報
できなかったが、滞在時間に余裕がたっぷりあったた
では雨が心配されていたが、午前中は良い天気で、紅
め、普段と違うゆったりとした雰囲気の中で「何もし
葉にはまだちょっと早かったが、船に乗るという普段
ない」時間を楽しむことができた。
あまり縁の無いイベントを皆、十分に楽しんでいたよ
午後 3 時 40 分発の遊覧船で小牧ダム湖の乗り場へ戻
る。帰りは雨のため、外の景色を楽しむことはできな
うだ。
いよいよ、大牧温泉が見えてきた。船がダム湖の小
かった。船を降り、最後の目的地「ささら屋」で、煎
餅焼き体験やショッピングを楽しみ、予定通り、午後
6 時に帰着した。
とても楽しく癒される一日が過ごせたと思う。
(労務厚生課 坂尾光一記)
豪華な曳山
遊覧船にて景色を楽しむ
金沢医科大学報
52
随想・報告
報 告
米国 National Jewish Health
留学記
呼吸機能治療学(呼吸器内科学)講師 井口 晶晴
2008 年 10 月 か ら 2009 年 9 月 ま で 米 国 コ ロ ラ ド 州
デ ン バ ー 市(Denver, CO )に あ る National Jewish
Health(以下 NJH )にて、呼吸器病学の基礎研究留学
と診療見学をしましたので報告します。
1.NJH について
NJH は結核に罹患した患者達を診療する医療施設
として 1899 年にデンバー市で開設されたのが始まり
です。その後アレルギー、免疫疾患の診療および研究
も行われるようになり、全米で呼吸器診療において常
にトップにランクされる民間施設として広く知られて
います。組織としては大きく内科部門(Medicine )と
小児科部門(Pediatrics )に分かれており、さらに専門
分野ごとにそれぞれ診療と研究をおこなっています。
この中には睡眠センター、職業環境関連、リハビリテ
間質性肺疾患の専門外来にて。Dr. Swigris(右)は外来診療のほ
か医学生やフェロー
(研修医)の指導もされて多忙な中、外来見学
やカンファレンスでいろいろ面倒をみていただいた
2.研究について
ーションも含まれ、最近では肺癌、循環器診療、リウ
私が所属した研究室は Medicine の中で基礎研究に
マチなど膠原病診療を行うセクションも加わったとの
あたる Cell Biology に属していました。アレルギー学
ことです。また慢性疾患病児のための小学校も敷地内
や免疫学などの専門ごとに研究室がありますが、私は
で運営しています。メインキャンパスはデンバー市内
D. R. Voelker 教授の教室で基礎研究をさせていただ
ですが、他にもコロラド州内に 5 つの診療所を持って
きました。NJH では特に大学生の講義はありません
います。なおデンバー市はコロラド州の州都でマイ
が、Voelker 教 授 は University of Colorado の 医 学 部
ル・ハイ・シティ(Mile High City) とも呼ばれ標高が
で生化学の講義もされていました。教室では主に細胞
1 マイル(約 1,600 m)もあり、ホームページには全米
間リン脂質輸送に関する研究と、SP-A や AP-D など
から診察を希望して訪れる患者に対して高山病に対す
の肺サーファクタント蛋白に関する研究が行われてい
る対処方法が紹介されています。
ます。Voelker 教授の研究室には多いときで十数人の
培養実験室。クリーンベンチ、冷蔵庫、ふ卵器などがあり常時2
∼3人が細胞やウイルスを扱っている
気管支内視鏡検査室。検査前の準備をしているのは呼吸療法士。検
査中は医師の介助や機器のセッティングにあたり、患者の状態観察
は看護師が行う
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金沢医科大学報
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検査の見学をさせていただきました。いずれの外来診
療とも予約制で診察時間は 30 分、紹介で初診の場合
は 1 時間と日本の場合と比べ長く、医師と患者は終始
フレンドリーな印象を受けました。患者は皆自分の受
けている治療や薬の内容についてかなり正確に把握し
ており、病識の高い人たちが多いような印象でした。
また医学生の見学と一緒になった時があり、患者の中
には医学生の卒業後の研修制度について詳しい人もい
て普通に医学生と会話していることに驚いた覚えがあ
ります。診察時間の間、医師は電子カルテは過去の情
肺機能検査室。検査室は約 10 室あり、常に検査技師が 5∼6 人勤
務している。各部屋には患者専用ソファがあり、負担の大きい検
査では休憩をいれながら検査を行っている
報などを参照する程度でタイピングするのは紹介状の
作成と処方箋作成のときくらいでした。カルテの記載
はいつするのだろうと思っていると、診察後に医師が
「ポス・ドク」が研究しているそうですが、私がいた
集まっている記録室で電子カルテの検査結果を見なが
ときはアメリカ、日本、韓国、インドからの研究者や
ら院内電話から口頭で診療内容を録音し、後日専門の
留学生が研究に励んでいました。毎週月曜日の朝は抄
職員が記載入力をしているのだそうです。このような
読会や研究報告を行うラボ・カンファレンス と水曜
dictation は大きな病院では今では当たり前のようで、
日の朝に研究グループごとの研究ミーティングがあり
その分医師は次の患者の診察時間を十分に取ることが
ました。私の研究のテーマは肺サーファクタントリン
出来るため大変効率的なシステムだと感心しました。
脂質と肺に感染したウイルス抑制の関係についてでし
慢性呼吸不全の患者は日本以上に在宅酸素療法を受け
た。私はこれまで肺サーファクタントリン脂質の抽出
ている患者が多く街中にも酸素吸入をしながら買い物
も呼吸器感染ウイルスも実験で扱ったことがなかった
をする方をよく見かけますが、ほとんどの患者は液化
ため、他の研究員やテクニシャンに基礎から実験方法
酸素システムによる吸入療法を受けていました。正確
を教えていただきながらの研究でした。今回の研究で
な数値はわかりませんが私は日本では酸素濃縮器シス
私が扱ったウイルスは 2 種類だけでしたが、ウイルス
テムによる治療のほうが多いと思っていたため、この
実験として基本的な手技を時間をかけて学べたことは
ことについて医師に質問をしたところあまり明確な答
大変有意義であったと思います。
えは得られませんでした。おそらく患者の加入してい
3.診療見学について
る医療保険の関係で予め決められたものとして対応し
日本へ帰国する前に呼吸器診療の見学をしたいと
Voelker 教授に希望したところ、Medicine 部門の副部
ているのだろうと思いました。
4.最後に
長である K. K. Brown 教授を紹介していただきまし
以上にて私の米国での留学報告記とさせていただき
た。Brown 教授は間質性肺疾患が専門で、以前金沢
ます。今後はこの経験を研究や臨床に生かし、またこ
にも特別講演に来られた際に私が観光案内をしたこと
れから留学を考えている若い先生方に少しでも参考に
を覚えていらっしゃいました。NJH での診療につい
なれば幸いと思っています。最後にこの留学をお世話
てですが、以前は入院治療も行っていたそうですが現
いただいた当教室准教授の長内和弘先生と、送り出し
在では基本的に予約制外来診療が中心で、全米各地か
ていただいた栂 博久教授はじめ教室員の諸先生方に
らの紹介患者とその定期的なフォローアップを行って
改めて深謝いたします。
いるとのことでした。一般的にアメリカではかかりつ
けであるホームドクターが決まっていて、何か症状が
あるとまずホームドクターに診てもらいその後必要に
応じ専門医へ紹介されます。そのため呼吸器専門医が
診療を行う NJH では紹介または再診の外来患者が主
で、重症患者や入院治療が必要な患者は近くの救急病
院や大学病院へ紹介されていました。呼吸器専門医療
を行う施設のため、診療グループとして喘息、免疫疾
患、睡眠障害などがあり私は間質性肺疾患、慢性閉塞
性肺疾患の 2 つの専門外来とカンファレンスの見学、
感染症のカンファレンス、気管支内視鏡検査と肺機能
スキー場(Vail, Colorado )で他の日本人家族らとともに
【随想・報告】
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随 想
第 10 回国際シェーグレン症候群シンポジウム
@ Brest, France
血液免疫制御学(血液免疫内科学)准教授 正木 康史
さて、今回の第 10 回国際シェーグレン症候群シン
語を勉強しようと思い立ち、8 月より毎朝 4 時半に起
ポジウム(10 ISSS )は、フランスの Brest 大学 Pierre
きて 1 時間ほど勉強する事にした。毎日の予定だが、
Youinou 先生が会長となり、Brest という大西洋寄り
夜遅くまで仕事した翌日とか、二日酔いとか、三日
の海沿いの田舎町で開催された。前々回、菅井 進会長
酔いの時はパスである。
「ゼロから始める書き込み式
(名誉教授、前本学血液免疫内科学教授)のもと金沢音
フランス語 BOOK 」
(中田俊介著、川口裕司監修、成
楽堂で開催されたのが 2002 年 5 月、その次がアメリカ
美堂出版)というテキストを購入し、付録の CD より
の Washinton DC で、そして今回に至るが、金沢での
PC、カーステの HD および iPod に記録し、できるだ
ISSS から早くも 7 年が経過した。日々の仕事をこなし
け時間をみつけて聞く事にした。初めの意気込みは日
ている間に時間はすぐに経過し、どんどん医学も進歩
常会話くらいなんとかできるようにしよう…というも
して、新しい疾患概念や治療法も開発されてきた。
のだったが、すぐに挫折。単語に女性と男性があるだ
今 回 は 21 世 紀 に 入 り 本 邦 よ り 発 信 さ れ た 新 た
けで意気消沈。発音もリエゾンやらアンシェヌマンや
な 疾 患 概 念:IgG4 関 連 多 臓 器 リ ン パ 増 殖 症 候 群
ら、音が消えたり繋がったり復活したりするのである。
(IgG4+MOLPS )の布教活動として、何が何でも参加
目標を大幅に下げて、せめて挨拶と数字の数え方だけ
せざるをえない訪仏である。
でもマスターしようという事に変更。ところが、数字
Brestってどこ?∼フランス語特訓
も数え方が変則的で、特に 60 以上が混乱する。70 は
さてさて、誰に聞いても分らない。地球の歩き方ほ
60+10、80 は 4 × 20、90 は 4 × 20+10 になる。しかも、
か様々なガイドブックを調べても、地図に地名が載っ
そこにユーロがつくと、またまた音が繋がって聞き取
ているのみで、何の情報もなし。ブルターニュ地方の
りづらくなる。基本動詞の活用もなかなか覚えられな
田舎町らしい。Google で検索しても、誰かさんのブ
いので、せめて一人称と二人称だけでも使えるように
ログが一つヒットするだけ。
しようと思ったのだが、二人称でも丁寧な文章では複
こういう場合に一番危惧されるのが、果たして英語
数形になったりするので、一筋縄ではいかない。冷静
が通じるのか?という点。昨年スイスの Lugano(国
に考えれば、長年勉強している英語すら未だに上手に
際リンパ腫会議)では、イタリア語圏で英語すら全く
使いこなせないのに、僅か 2 カ月足らずで一つの言語
通じなくて困った事を思い出す。仕方ない、フランス
をマスターしようというのが、土台難しすぎる目標で
あった。
出発前夜(2009 年 9 月 29 日)
あれっ!海外に行く時って、何いるんだっけ… パ
スポートはあるし、着替えの下着は日数分準備したし、
後はえーと…
出発当日
2009 年 9 月 30 日(水)朝 4 時起き。早起きは慣れて
いるのだが、乗り遅れたら大変なので、緊張している
のか妙に早く目覚めてしまう。4 時 40 分、河南先生、
澤木先生とともにタクシーで金沢駅へ。金沢 5:38(サ
ンダーバード2)→ 7:55 京都 8:16(はるか 11 )→関西
空港。空港での時間は余裕がありそうで無い。
関西空港 11:50(エールフランス 291;12 時間 20 分
フランスにおけるパリ、ブレストそしてモンサンミッシ
ェルの位置関係
のフライト)→ 17:15 シャルルドゴール 21:20(エール
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フランス 7732 )→ 22:35Brest。飛行機の中は
狭いしお尻が痛い、ビジネスに座っている N
先生がうらやましい。その都度赤ワインかビ
ールを注文し結構出来上がりながらも、映画
(ターミーネーター4 )
、フランス語の勉強、
学会発表の再仕上げ、等々。ここ数カ月の朝
修行は何だったのというくらいに、機内放送
のフランス語は分からない。シルブプレ、マ
ダム、ムッシューくらいしかまともに聞き取
れない。先が思いやられる。
シャルルドゴール空港で菅井先生夫妻、沢
田先生、患者会メンバー2 人と合流。シャル
国際学会でオーラル・プレゼンテーションをした証拠写真
ルドゴール空港での待ち時間、妙に長くてく
いつもの日本の学会や研究会で合うメンバーが勢揃い
たびれるが、油断していて荷物を盗まれたりしないよ
で、すぐになごむ。少し開会より遅れて到着。既に会
うに緊張も保たねばならず、これが余計な疲労を生む。
は始まっていて、病因論のセッションの座長には菅井
Brest 空港では澤木先生の荷物が一つ出てこない事
先生の姿が見える。昨晩一緒に遅くに到着したので、
件発生。荷物紛失の届け出をして、タクシーの列へ。
噂に聞いていたのだが、田舎のためタクシーもなか
なか来ない。ようやく乗ったタクシーの運転手は、I
am a chat-man taxi とか言って、やたらと滅茶苦茶
早朝早々でお疲れの様子。
ランチは学会場のレストランで、これが結構美味し
い。さあ、今から頑張ろうぜ!
午後一番のセッションで、札幌医大の高橋先生によ
な英語で話しかけてくる。聞けば、どうも我々の前に
る IgG4 関連疾患に対する総説講演。30 分の口演後に
札幌の先生達を乗せたとか。普段はほとんど日本人の
30 分のディベートタイムあり。聴衆の興味関心を多
訪れない町に、急に日本人が押し寄せてきて驚いてい
大に惹き付け、多数の質問。我々日本からの IgG4 グ
る様子。
ループは会場前列に陣取り、援護射撃を。とりあえず
Le Gens De Mer Hotel へようやく到着。長い一日
がようやく終了。ビールでも飲んで寝よう。しかし部
は大成功。日本以外の臨床医にとってこの疾患の認知
度は未だ低く、的外れの質問も多かった事は確か。
屋には冷蔵庫もなく、近くに自販機もなさそう。ホテ
次は自分の出番。僅か 10 分の口演を完璧に覚えき
ルのレストランで交渉し、ビールと水(evian )をゲッ
れない自分が情けないが、一部は原稿を読みながら発
ト。evian は巨大な瓶 (2 ℓ? ) しかないという。まあ
表。私のセッションの座長はイタリア人、インド人、
いいや。ついでにインターネットをなんとかしよう
ブラジル人で、この人たちの英語が訛っていて?よう
と、電話プラグを引っこ抜いて繋げてみるもどうもう
聞き取れない。困った!討議開始。質問者の声がまた
まくいかない。結局またフロントへ。WiFi(高速ワイ
小さく、Could you speak up? と言っても、その直後
ヤレス・インターネット・アクセス・サービス)の環
だけマイクの近くで喋るものの徐々にマイクより遠ざ
境で、PC にはなぜかうまく繋がらないのだが、iPod
かり、声はフェイドアウトして殆ど聞き取れない。そ
Touch でようやく日本のメール受信。着きましたよ!
れを座長のインド人が勝手に翻訳するのだが、僅かに
メールを妻と医局へ。
聞き取れている質問者の意図と違うような気がする。
ああ、やっと眠れる…
IgG4 関連多臓器リンパ増殖症候群(IgG4+MOLPS )の
啓蒙
2009 年 10 月 1 日(木)朝は、ホテルで朝食。見事に
原住民のフランス語は聞き取れない事を再確認。
適当に返答したが、通じていたのだろうか??何はと
もあれ、役目を終える。
こうして今回の IgG4 の布教活動は無事?!成功裡
に終わり、後は皆でディナーを食べながら反省会(と
いう名の飲み会)。皆興奮していて、宴会は盛り上がる。
また、今回のホテルは海に近いロケーションで、学
タイタニックの室内楽が乗客の避難していく中でも演
会場(Le Quartz )からは離れている。直線距離は近
奏し続け、最後にそのリーダーが言う一言「君たちと
いのだが、高低差があり会場よりかなり低位置にある
こうして演奏できた事を誇りに思う」という場面があ
ため、左右のどちらかから回り込んで行かなければな
の映画の中では一番だが、僕自身も感極まり「君たち
らず、着くまでに結構汗をかく。
と一緒の時代に、新しい疾患概念を世界に発信できた
今回の ISSS は日本人参加者が多い。学会場では、
事を誇りに思う」と心の中でつぶやく。
【随想・報告】
金沢医科大学報
憧れの Mont St-Michel(モンサンミッシェル)へ
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話の chat time。
さて、Mont St-Michel へ行こうと出発前から決め
一度ホテルへ戻り、本日は学会の企画する懇親会と
ていて、いざとなったらレンタカーで一人でも行くつ
してのディナー。バスで Chateau へ。バグパイブ入
もりでいた(密かに国際運転免許も取得した)。地図
り鼓笛隊の少年達のお迎え。Chateau 内の見学ツア
で見るとパリよりは、Brest からの方が近そうに見え
ーからスタートし、ここはここで見ごたえあるのだが、
る(図 1 )。学会中に皆を誘っても、遠いからという理
既に寝不足&疲労&アルコールが蓄積している。よう
由で気のりしない様子。TGV(新幹線みたいなもので
やくディナーが始まったのが 8 時すぎ。そこからちん
す)で2時間もかかるのよって。地図で見たらこんな
たらと進行し、親父 2 人のギター&若い女性 2 人のコ
に近いじゃんと思うのは私だけ?一人での長旅も流石
ーラスの替え歌大会(シェーグレンの人これ聞いて怒
に危ないかなと諦めかけていたところに、夕食後の雑
らないのかしら?)。11 時近くなったので、そろそろ
談で急に同行希望者集まる。IgG4 の布教が無事終わ
失礼。ホテルまで歩いて帰る。
って高揚していたのもあるだろう。友杉先生、佐伯先
少しは学会へ
生(長岡赤十字病院)、松井先生(富山大学)の 4 人で
3 日目の朝は大寝坊。それでも何とか学会場へ辿り
「明日早朝より行こう!」と話が急にまとまり、Brest
着く。本日の最大の関心事は、次回はどこで開催かと
駅へ行き切符を購入。自販機だが結構難しい。朝 5 時
いう事。はっきり言及されなかったのだが、結局ギリ
台の電車で出発し、午後 2 時台の電車で帰るプランに。
シャのアテネらしい。今度はギリシャ語特訓か?
翌朝に備え早々に就寝したはずが、深夜より急に外
沢田先生、藤本さん、患者会メンバー2 人と、学
が騒がしくなり、眠れなくなる。どうも学生のお祭り
会 に 付 随 し た ア ト ラ ク シ ョ ン と し て バ ス に 乗 り、
らしく、外で叫んだり喚いたり歌ったりしている。一
Oceanopolis Brest という水族館へ。水族館は今や日
晩中うるさく、朝 4 時にあきらめて起きる。準備を整
本の水族館が様々な趣向を凝らして入場者を楽しませ
えて、ホテルを 4 時 20 分出発。外ではまだ酔っ払い
る努力をしているが、ここは昔からこうして展示して
(もしくはラリっている?)若者たちがたむろしてい
る。そのそばを、非常に怖い思いをしながら通り過ぎ、
いますというだけ。
そ の 後、 菅 井 先 生 夫 妻 と 合 流 し て デ ィ ナ ー。 フ
駅へ歩く。Brest 駅で、佐伯先生、松井先生、友杉先
生と合流。自販機で朝食用マドレーヌを買い、さあ乗
車。Rennes 駅まで小 2 時間の旅。TGV かと思いきや、
Ter という電車でした。電車内の 4 人掛けの席に陣取
り、4 人で学術的な話題&下世話な話題。各駅ではち
ゃんと WiFi が繋がる。この辺は JR も見習ってほしい
ものだ。
Rennes 駅ではうまく連結するバスが出ていない
(我々の到着が朝早すぎた)事が分かり、タクシーで
Mont St-Michel へ。このタクシーは非常に寡黙なタ
クシー(フランス語の通じへん日本人なんて相手にし
てられへんわ、という事だろうけど)。
Mont St-Michel 到着。それだけでまずは感激。こ
こは 8 世紀の初め、アヴァランシュの司教聖オベール
が、夢の中で大天使 St-Michel のお告げを聞いて建て
た修道院。その後は、長い歴史の中で要塞としての役
目、牢獄としての役目を果たした時代もあるという。
建築物そのものが巨大な芸術作品であり、行く先々の
景観が絵になる。歴史の重みを十分に実感した後、こ
この名物の巨大オムレツ(24 €)を。メレンゲが泡立て
られふっくら焼き上げられ、シフォンケーキのような
食感。4 人で赤ワインとともに堪能。
予定通りの時間 12:30 に迎えのタクシーに乗り込
み、帰路 Rennes 駅→ Brest 駅。再び、学術的&下世
モンサンミッシェルにて。左から筆者、松井先生(富山大学)、佐
伯先生(長岡赤十字病院)、友杉先生
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ラ ン ス 語 の メ ニ ュ ー は さ っ ぱ り 分 ら な い。 美 味 し
か っ た け ど、 出 て く る ペ ー ス が ゆ っ く り す ぎ て つ
い て い け な い。 こ ち ら の 人 は、 デ ィ ナ ー は ゆ っ く
り会話しながら楽しみましょうという文化らしい
が、 日 本 で は 速 攻 で 食 べ て、 さ っ さ と 風 呂 入 っ て
寝 る と い う 習 慣 で、 根 本 的 に 人 種 が 違 う の だ な と
改めて認識。ラディシオン・シルブプレ(お勘定お
願いします)と言ってから、だらだらと結局 30 分以
上 も 超 過。 も う 早 く 帰 っ て 眠 り た い だ け な の に …
TV では中川元大臣が亡くなったとニュースで流して
いる。が、おフランス語で、詳しい事はそれ以上さっ
ぱり分らず。
ついでにパリ観光を!
2009 年 10 月 4 日(日)朝 5 時にタクシーに乗り Brest
空港 6:30(エールフランス 7737) → 7:50 シャルルドゴ
ール空港(パリ)。タクシーで Normandy Hotel へ着
き、まず荷物だけ預ける。
本日はとりあえず皆で、Palais du Louvre(ルーブ
ル美術館)へ。第一日曜日は無料開放日らしく、早朝
から大混雑。広すぎる上に、人ごみに酔ってしまって
(大都会には住めない体質)
、主なもの(サモトラケの
ニケ、モナリザ、エロスの接吻で目覚めるプシュケ、
エッフェル塔の前で尖ってみました。右より河南先生、澤木先生、
筆者、藤本さん
ミロのビーナス等)を見たのでこれでいい事にして、
外に出る。それにしても中の美術品の数々は勿論素晴
らしいのだろうが、あれだけ宗教画が続くと、その宗
教的背景の分らない者にとっては、食傷気味である。
むしろ、このルーブル美術館そのものの壮大な景観に
見とれる。
天気も良いので散歩。Arc de Trimphe du Carrousel
最終日、帰途!
2009 年 10 月 5 日(月)朝、慌てて荷物を詰める。と
りあえず、check out し皆で集合。
My バス店より、バスでパリ半日観光コース。非常
に忙しい観光で、右に××、左に○○とあちこち説明
を受けるもついていけない。喋りすぎるガイドに酔っ
(カルーゼル凱旋門)はナポレオンが作らせたものの、
てしまう。エッフェル塔下で記念撮影。生憎の雨でさ
その小ささに落胆したというものだが、十分に美しい。
っさとバスに戻る。更に市内観光は続く。更に雨足は
Jardin des Tuileries( チュルイリー公園)を歩くと、
強まる。モンマルトル地区では、サクレ・クール聖堂
パリ市民が様々な形でくつろいでいる。空気が乾燥し
→テルトル広場他、ユトリロや、ダリや、様々な有名
ているところに、風が強いものだから、強烈な砂埃。
な芸術家などが生活してきた町。雰囲気はあるのだが、
その中をゆっくり散策。公園の西側にある、Muse de
雨が強くてねえ。これはこれで楽しむことにしよう。
l ’Orangerie(オランジュリー美術館)は、モネの睡蓮
半日観光コースが終わり、お決まりの免税品店に連
Nympheas が展示してあるところで、ここは小ぢん
れ込まれる。日本でも買える物を、わざわざ海外の免
まりとしていて良い。モネの睡蓮のほか、ピカソの若
税品店で買うという感覚が私には理解できないので、
かりし時代の作品など、丁度良いくらいの展示量で楽
さっさと避難。その後は、各自別れて自由行動。
しめた。
そこからの帰路、チェルイリー公園で、偶然にも佐
15 時に Normandy Hotel へ再度集合。タクシーで
シャルルドゴール空港へ。ここでまた時間があるので、
伯先生、松井先生と再遭遇。今回は仕事も遊びも大成
自分用にチーズを買う。DVT(深部静脈血栓症)予防
功の旅でしたね、今後も一緒に頑張りましょう、と言
の弾力ストッキングを見つけたので試しに購入。雨に
って別れる。
たたられたパリ観光で靴下がビショ濡れなので履き替
夜は、河南先生、澤木先生、藤本さんと近くのレス
える。
トランへ。僕はラビオリを注文し、それなりに美味し
シャルルドゴール 19:20(エールフランス 280 )→ 10
かったが、飽きてきた。更に、もう 1 軒、ビールを。
月 6 日(火)14:10 成田。周りが皆眠っている間、
「天使
【随想・報告】
金沢医科大学報
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と悪魔」を読み終える。なーるほど、とストーリーを
が、それが出来るくらいなら何故最初からそうしなか
理解した後、機内放送で映画「天使と悪魔」を見る。
ったのか。羽田と成田で完全に分業させてしまったの
これだけの長編を 2 時間程度にまとめるために、かな
は、国際化の流れの中では最悪の戦略ミスだろう。
り内容は修正されている。性的な描写は殆ど割愛され
羽田で、澤木先生、河南先生とビールで打ち上げの
乾杯。もう少しです。
ているし、最後の司教の運命も大きく異なる。
結局ほとんど眠らないうちに成田に到着。DVT 予
防の弾力ストッキングを履いていたおかげで、長時間
のフライト後にも係らず靴がさっと履ける。弾力スト
羽田 18:00 → 19:00 小松。荷物もあるので、皆で折半
してタクシーで帰宅。
久しぶりの我が家に到着。ごはん、焼き魚、肉じゃ
が、刺身など純和風定食を作ってくれた妻に感謝。本
ッキングの効果を実感。
成田からバスで羽田。これが本当に長くて辛い。羽
田をハブ空港にという話がその後ニュースを賑わせた
当に美味しいです。
ただいま。
報 告
East Asia International
Symposium on Medical Oncology
Short-term researcher,
Department of Medical Oncology
Qi Bian
ビャン
キ
(短期研究員・腫瘍内科学 卞 琦)
I attended this
symposium which
Prof. Motoo held here
in Japan on the 7th in
Nov. 2009 as a shortterm researcher in
Medical Oncology
Department. I am
honored to act as the
announcer of this
symposium. I studied
several reviews and
references with my
colleagues and medical
students so that I
進行アナウンスをした Bian さん
could be prepared for
the main themes of this symposium.
As to the symposium, there were four
themes as follow: NSCLC( non-small cell lung
cancer ), HCC( hepatocellular carcinoma ), gastric
cancer and pancreatic carcinoma. The progress of
treatment was so interesting and fascinating.
First, the introduction of RVS ( Rhus
verniciflua stokes )in treatment of NSCLC from
Korea, showed us the possibility and the efficacy of
traditional medicine, which can be combined with
chemotherapy. The chemotherapy of NSCLC is
sometimes harmful and causes the patient's refusal
of treatment. According to this study, the use of
traditional medicine could have the potentiality to
reduce the side effects of chemotherapy.
Both of the second and the third sessions
included the discussion about HCC. One was
about the treatment PAIT( percutaneous acetic
acid injection )of liver cancer in China and the
other was a summary of methods and the efficacy
about new medicines for liver cancer. As we know,
in the terminal liver cancer patients have met the
difficulties to receive any effective treatment of
chemotherapy and most of them suffer from pain. I
learned that the new medicines such as inhibitors
of VEGFR and mTOR could be used for the
terminal patients and for the patients after surgical
operation as adjuvant treatments.
The fourth session was about chemotherapy
for gastric cancer in Japan. Learning from this
session, S-1 can be used as first-line chemotherapy
of gastric cancer. The use of molecular targeting
agents-based regimens could take an important role
in the near future.
In the last session, we learned that the
current chemoradiotherapy with full-dose GEM
for pancreatic cancer is effective and feasible.
According to this treatment, we need to have a
thought of the use of G-CSF to treat the side effects
such as granulocytopenia.
As a doctor in medical oncology, I learned a
lot from this symposium. It is not only some new
information in oncology but also good experience for
me. It has enhanced my research mind. I appreciate
it that the opportunity had been given to me. I feel
hopeful of pursuing my studies. Thank you.
〈15 頁、21 頁に関連記事掲載〉
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金沢医科大学報
59
報 告
ロシア・ヤロスラブリ州立医科大学との
学術交流協定調印と消化器内視鏡治療分野の交流
内視鏡科教授 伊
藤 透
はじめに
本学とロシアのヤロスラブリ州立医科
大 学(Yaroslavl State Medical Academy )の学術交流協定書の調印を目的と
して、2009 年 11 月 28 日(土)から 12 月
4 日(金)の 7 日間、本学の山下公一理
事長、古本郁美国際交流センター事務
課課長、そして私の 3 人でヤロスラブ
リを訪ねた。この時期のモスクワは、
氷点下 10℃は当たり前で、車のドアを
素手で触ると皮膚がはがれるとか、通
常の冬服では寒いので十分な下着が必
要だと聞かされたので、今流行のヒー
トテック、皮の手袋も新調して出かけ
た。
モスクワへ
11 月 28 日(土)午後 1 時過ぎのアエロ
学術交流協定締結のニュースはコムソルスキー・プラウダ誌ヤロスラブリ版に
大きく報道された
フロート航空で成田を出発。新しく導
入したエアバス A330-200 機体はきわめて快適。約 10
野で林と森だけが続く。駅があるとその周辺には 50
時間のフライトでモスクワのシェレメーチェボ国際空
年は経過したのでないかと思われる古いビルが立ち並
港(時差 6 時間)に夕方 5 時ころ到着した。辺りはもう
び、そのまわりにダーチャと呼ばれるモスクワの人々
真っ暗で、オリンパスモスクワの角谷さんが空港に出
が週末に訪れる別荘(掘っ立て小屋様)が乱立してい
迎えてくださった。モスクワは予想に反して記録的な
る。モスクワの近代的な高層ビル、爆走する高級外車
暖冬で、気温は 3∼5℃前後で雪もない。
群を見ていると、同じ時代と思えずタイムカプセルに
11 月 29 日(日)は時差調整のためモスクワで休息、
乗っているようであった。一等客車は 2 両だけで、車
クレムリン周辺を散策した。
内販売も一等客車だけを回る。コーヒーを注文する
ヤロスラブリへ
と、300 円程度でインスタントネスカフェの小袋とビ
11 月 30 日(月)
、まだ暗い朝 8 時 24 分、モスクワの
ニールカップに熱いお湯をすりきりいっぱい入れてく
ヤロスラブリ駅をヤロスラブリ行きの特急列車で出発
れた。ヤロスラブリには昼過ぎに到着、Kashin 教授
した。変な言い方だが、ロシアでは日本と違って、目
が迎えてくれた。午後はゆっくりと昼食をとりヤロス
的地が出発駅の駅名となっている。ヤロスラブリ駅は
ラブリ市内の世界遺産の町並みやいろいろなスタイル
シベリア鉄道の起点でもあり、ここからウラジオスト
の教会、ボルガ河畔などを案内してもらった。
ック行きやピョンヤン行きが出るという案内も見た。
ヤロスラブリ医科大学学長室で調印式
駅には改札もなく、出発時のベルもない。各車両ごと
翌 12 月 1 日( 火 )午 前 10 時 に ヤ ロ ス ラ ブ リ 医 科 大
に女性の乗務員がおり、この人が切符の検札をするの
学 ア カ デ ミ ー の 学 長 室 で、 山 下 理 事 長 と 本 学 の 2
である。にこりともせず高飛車な態度で検札を行った。
人、Pavlov 学 長、Novkov 前 学 長、Baranov 副 学 長、
列車は特急でモスクワ−ヤロスラブリ間 280km を 4 時
Volovrenko 教務主任、Senin ヤロスラブリ癌研病院理
間で走る。モスクワを出て 30 分もすると、車窓は原
事長、Kashin 教授らが今後の学術交流について討議
【随想・報告】
金沢医科大学報
カンファレンスルームにライブ中継されている
60
ライブ中継画面。早期胃がんの内視鏡手術を行う筆者(右)
し、内容に合意が得られたので正式な調印が行われた
術の適応かどうか、適応でなければ開腹手術も視野に
(詳細は本誌「国際交流」の記事をご覧ください)
。こ
いれているとのことであったが、私は内視鏡治療可能
のようにして日ロの 2 大学間の交流協定書の調印が山
な早期胃癌であると判断した。しかし、前回 6 月の訪
下理事長と Pavlov 学長によって友好的に行われた。
問時に行った症例に比べると、位置的にもはるかに視
調 印 後、 同 日 の 午 後 2 時 に ヤ ロ ス ラ ブ リ 州 庁 の、
野が悪く、大きさもⅡ c 型病変(40mm 大)と大きいも
Victor Kostin 副知事(すでに 2008 年 11 月に交流の地
のであった。さらに前回と異なりオリンパス社の力強
固めのために本学を訪問している)を表敬訪問した。
いバックアップはなく、内視鏡の機材も日本で使用し
これは先方が州立大学であり、Pavlov 学長から副知
ている高性能型の治療用 GIF−Q260J ではなく、欧米
事に今回の調印について知らせてあり、副知事の方か
仕様の 160 系の通常内視鏡で、治療には私以外の日本
ら面会したいとの要請があったとのことである。日ロ
人助手はいない環境で行うということで、著しい不安
両国の医学の交流発展、そして、まずはがんで不幸な
が私を襲った。しかし、Kashin 教授が終始そばで助
転帰になる人を一人でも救うために内視鏡医の育成に
手と通訳を務めてくれたのは、何にもすぐる心強いこ
協力関係を樹立できたことに感謝の言葉をいただい
とであった。
た。両大学間の学術交流協定締結については、地元の
山下理事長、同行のオリンパスモスクワの角谷さん
テレビの取材を受け、翌日のコムソルスキー・プラウ
らは、手術を行っている癌センター内の内視鏡治療セ
ダ誌ヤロスラブリ版に記事が掲載された。
ンターと、隣接している新しい医師再教育センターの
早期胃がんの内視鏡手術を供覧
遠隔画像中継をしているカンファランスルームを行き
今回の訪問の機会に、前回と同様に早期胃癌の内
来して、1 時間余りの手術に付き合ってくださった。
視鏡治療(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)を地域の
山下理事長は Minimally Invasive Surgery の草分け
専門医に供覧をしてもらえないかと Kashin 教授から
で、私達が医学生であった頃、耳鼻咽喉科学の教授と
打診があった。これについて周囲からは医療事情の
して、内視鏡診断・治療を熱心に推進されておられた。
良く分からないロシアで危険な内視鏡治療を行うべき
理事長からは、難しい手術を根気よく丁寧に行って成
でないとのご意見も頂戴した。しかし、熟慮の結果、
功に導いたことと、清水の舞台から飛び降りる勇気を
Kashin 教授との間の信頼関係からこのような話が出
もったことを讃えていただいた。
たことを十分に感じていたので、私は手術の供覧に応
この大学の医師卒後再教育センターのフィロソフィー
じることを渡航前から決心していた。今後のより円滑
と設備は十分なものとは言えないまでも本学より進ん
な交流を図るためにも、どうしてもこのような信頼関
でおり、興味深いものがあった。今回も内視鏡治療セ
係を積み上げていくことが大切と考えたのである。
ンターで行われている内視鏡治療のライブ中継画像と
手術は、12 月 2 日(水)午前 10 時よりヤロスラブリ
音声を、再教育センターのカンファランスルームで相
癌研病院において、Kashin 教授らスタッフの支援の
互供覧討議し、集まっていた周辺地域の消化器内科専
下に行った。まず、今回予定された患者の胃病変が内
門医数十人と Kashin 教授、手術中の私との間でディ
視鏡下摘出が可能な早期胃癌であるかを実際の患者さ
スカッションを行いながら手術を進めた(写真)。
んの上部消化管内視鏡検査を行った上で、カンファラ
内視鏡診断・治療の医療機器、周辺機器、環境は
ンスで詳細に検討した。Kashin 教授は私に内視鏡手
日本と比べてまだ黎明期なので致し方ないと思われ
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
61
るが、ライブデモの中継システム、それを用いた学
本大使館の上月豊久公使からお誘いをうけていたの
生、研修医、現役の消化器内視鏡専門医、地域の卒後
で、指定された午後 2 時に大使館に公使を訪ねて調印
医師の再教育が active に運営されているのを見て、今
の内容を報告した。大使館の厳重なセキュリティに目
後我々も参考にすべきところが少なくないと強く感じ
を見張りながら公使の応接室に案内された。
た。また、Kashin 教授をはじめとする内視鏡診断・
公使からは「ヤロスラブリの医学アカデミーとの学
治療やそれに取り組む医師、コメディカルのスタッフ
術交流は、大変目のつけどころがいいですね」とのこ
の熱意ある真摯な態度と連携の良さにも感服した。し
とで、
「ヤロスラブリ市は来年建都 1000 年という歴史
かし切除された標本は日本のように、病院病理部に迅
的な都市であり、さらに、ネドベージェフ大統領やプ
速組織診断や正規の病理組織学的診断がルチンで行え
ーチン首相と関係が深い地域で、今、政治、商業、学
るというごく当たり前のシステムが構築されておら
術的にも内外から注目されています」と話された。そ
ず、今後我々が協力して解決できる課題が少なからず
して、
「このヤロスラブリとの交流はどのような経緯
あると思われた。
ではじまったのですか」と問いかけられた。前述のよ
ヤロスラブリ医科大学教授会であいさつ
うに、20 年来の内視鏡医学研究振興財団の関係の仕
同日午後 3 時から、ヤロスラブリ医科大学の教授会
事でロシアの消化器内視鏡医に尽力されていた恩師の
の席に、山下理事長、私、古本課長、角谷氏が招かれて、
故磨伊正義教授の功績の後を継ぐ形で交流を続けてき
今回の学術交流協定調印までの経緯が紹介された。山
たこと、そして本学の理事長、学長の英断によって大
下理事長の挨拶のあと、古本課長がパワーポイントを
学としての交流協定締結にまで至ったことなどを理事
用いて本学の紹介を行い盛大な拍手をいただいた。そ
長に説明していただいた。公使からは、日本大使館と
の後、夕方の列車でモスクワに戻った。列車の中では、
しても今後応援や協力をしましょうとの力強い言葉を
疲れとともに気持ちの良い充実感に浸った。
いただいた。
ヤロスラブリ滞在の 2 夜、ヤロスラブリ医科大学アカ
デミーの主要メンバーによる晩餐会やモスクワ対ヤロ
大使館を辞してシェレメーチェボ空港に直行して、
19 時 40 分発東京行きのアエロフロート機に乗り帰路
スラブリのアイスホッケー競技に招待していただいた。
についた。帰りは偏西風にのり、約 9 時間のフライト
在モスクワ日本大使館に報告
で、翌 4 日(金)の午前 10 時に成田空港に降り立った。
12 月 3 日(木)帰国の途につく前に、両大学間の学
術交流協定調印の情報を入手されていた在モスクワ日
快晴の明るい東京であった。 〈18 頁に関連記事掲載〉
【随想・報告】
金沢医科大学報
62
随 想
永年勤続に思う
勤続 35 年
勤続 35 年を振り返って
35 年勤続に感謝
一般教育機構(人間科学)教授 平口
哲夫
総務部付部長 松下
このたび 35 年勤続の表彰をいた
昭和 48 年に金沢医科大学に就職
だき感無量です。この間の思い出
し、早くも 35 年の歳月が過ぎまし
は尽きませんが、今回は本学に深
た。この 35 年を振り返ると、いろ
く感謝している事々から一つ選ん
いろな事が脳裏によみがえります。
で紹介させていただきます。
外志雄
私の心に一番色濃く残っている
平成 16 年 4 月 7 日夜の遅い時間
ことは、平成 8 年当時の病院病歴
帯に自宅で食事中、いきなり右腕
センターに配属された際、新カル
の力が抜けてしまい、救急車で本
テ管理システムの運用に携わった
学病院の救急医療センターに運び込まれて検査、脳梗
ことです。当時、開院以来使用してきた老朽化の著し
塞と診断され即入院となりました。翌朝、病室のベッ
いカルテ収納電動棚から、カルテの電子化を視野に入
ドの上で右腕を上げてみますと、指には力が入らない
れた新カルテ管理システムへの移行が検討されていま
けれども、腕自体はどうにか動かすことができました
した。当初、作業の煩雑さから新システムの移行が順
ので、これなら大したことなく回復できそうだと思い
調に進まず、業務が深夜におよぶ事態が 1ヵ月以上続
ました。
きました。しかし、病歴センターの課員全員は、この
とはいえ、当分入院していなければいけませんので、
間一致協力して、自分たちで考案した新システムを成
第 1 学年の宿泊研修や第 1 学期授業の担当は外させて
功させたいという強い意思のもと、家に帰る時間も惜
いただきました。お蔭様で二十日間ばかりで退院し、
しみ、頑張っていました。当時の事務部長からの激励
5 月のゴールデンウィーク明けには職場復帰。また、
および課員全員の仕事への情熱と頑張りで、新システ
5 月 30 日に高知県室戸市で開催された第 3 回日本伝統
ムへの移行も 2ヵ月程で完了し、課員と一緒に感じた
捕鯨地域サミットに参加し、パネリストを担当。さら
達成感と充実感が、今でも私の心の支えとなっており
に、7 月 3・4 日に石川県立生涯学習センターで開催さ
ます。それ以来、
「何事も、目的に向かって全員が一
れた日本海セトロジー研究会第 15 回大会を、研究会
致協力すれば成功する」ということが、私の仕事にお
代表・大会会長としてお世話することができました。
ける信念となっております。
8 月の盆過ぎには車の運転も再開できるまでに回復し
ました。
現在は、大学の別法人アカシア商会において、売
店やレストランなどの運営に携わり、教職員、学生へ
適切な治療・看護をしてくださった方々、当方を
のキャンパスライフのサーポートおよび病院での患者
支援してくださった方々に改めて厚くお礼申し上げま
サービスの向上に努めております。今まで無事に勤め
す。いまだ右指に麻痺が残っていますし、再発防止の
させていただいたのは、この職場で知り合うことがで
薬を飲み続けている身ですが、残りわずかな在職期間
きた、先輩、同僚の皆様の支えがあったおかげです。
に「有終の美」を飾ることができれば幸いに存じます。
今後も、当社の社是「One for All ― All for One:
一人は全体のために 全体は一人のために」を胸に刻
み、微力ながら大学に寄与したいと思っています。そ
して、私を支えて下さった多くの方々に深く感謝申し
上げます。
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
い設備全般の保守管理および修繕作業を行って現在
35 年勤務に思う
医療技術部放射線部門主任 魚谷
63
に至っております。
儀一
病院においては新館、第二新館と建設され、病院
および大学のライフラインとしての電気・蒸気等の
安定供給を、24 時間体制で支障をきたさないよう遂
昭 和 49 年 5 月 に 病 院 の 開 院(9
行しております。
月)に向けて準備に取り掛かりま
昨今、話題となっている省エネルギー対策では、
し た。 当 時 は 6 名 で 始 め ま し た。
第一種エネルギー管理指定工場として指定されてい
開院時には 2 名増えて、計 8 名で
るため、年平均 1%以上の消費原単位低減にむけて電
仕事に取り掛かりました。それか
気高圧機器、蛍光灯器具、各種ポンプのインバータ
ら 35 年経ち、現在はスタッフが 31
化等の工事を実施しています。職員の方々にも休憩
名になりました。開院当時は、患
時間や不在時には、照明ランプ消灯および冷暖房機
者数も少なく比較的のんびりして
いたように思います。現在は患者数も増え、さらに医
療技術および機器の進歩により、毎日忙しく勤務して
おります。
私は撮影、血管撮影、放射線治療、CT 撮影に従事
してまいりました。放射線治療を担当していた時は、
同じ患者さんと一ヵ月ぐらい毎日顔を会わせます。治
療をすすめ日ごとに良くなっていく患者さんをみて、
停止の省エネルギー活動に協力していただいており
ます。
また、各棟の設備も設置後約 35 年経過し、設備機
器の経年劣化による更新が順次進んでおり、工事作
業に伴う業務も増大しております。
35 年という歳月をあっというまに迎え、皆様方に
は、心からお礼を申し上げます。
なにかしら自分まで嬉しく感じます。しかし、日ごと
に悪くなっていく方もあり、その時はとても残念な
思いをしました。3 年程経ってから自分が治療してい
た患者さんに会って、
「その節は、ありがとう」と元気
な顔をみせてくれた時は、この仕事を選んで良かった
と思いました。これからも質の高い放射線治療および
画像の提供ができるよう取り組んでいきたいと思いま
す。私は、あと 3 年程で退職になりますが、残りの時
間を自分なりに精一杯頑張りたいと思います。
永年勤続に思う
看護部師長(新館 7 階西病棟) 清水
由美子
私は、昭和 49 年に国立金沢病院
付属高等看護学校を卒業後 4 月 1
日付けで当院に入職しました。当
時、アカシアが病院の裏手から海
まで広がり荒涼茫漠としていて、
とても現在の病院や内灘の目覚ま
しい発展を想像することは出来ま
永年勤続 35 年に思う
せんでした。真新しい看護師寮に
施設設備部設備課課長代理 沢田
裕
入り夢と希望に満ちた看護師としての人生がスタート
しました。その当時は、自分が 35 年の長きに渡って
このたびは、永年勤続 35 年の表
彰をいただき、誠に有難うござい
ます。
当大学病院にお世話になるとは夢にも考えておりませ
んでした。
「昔、わしが入院していた自衛隊病院は、回診があ
私は、昭和 49 年に総務部施設課
ると患者はベッドの上に正坐して院長先生が回ってく
電気係担当として採用され、電気
ると、最敬礼して○○異常ありません、と大声で報告
設備の保守管理を行っておりまし
したもんや。今は、患者様と呼ばれているけど」と一
た。当時は、現在の病院本館を建
人が話すと、
「そうや、そうや、僕ら入院していた病
築中で、建屋以外は一面の砂地で
院は一人に 1 個灰皿まで置いてあってね。今は敷地内
したが、今ではアスファルトの駐車場や庭園に様変
全面禁煙になったけど」と一人が話す。ある日の病室
わりしました。病院別館増築後、設備課の増員に伴
でのひとこまです。そう言えば、私にも思い当たる節
【随想・報告】
金沢医科大学報
64
があります。
「この患者さん、もう 13 年目ね。家はど
おり、基本的に個人や各部門が尊重されている。また、
こだったかしら。ご主人は亡くなられたのよね」とい
工場における製品や部品の生産と病院における医療サ
うような患者様がどの病棟にも 2・3 名いました。5 年
ービスの提供の端的な違いは、前者が生産技術の向上
目以上の長期入院患者様を退院させようと取り組み、
によって必ずしも熟練を必要としなくなったことに対
激しい抵抗にあったこともあります。入院が長期化し
して、後者は専門職から生み出される熟練そのものが
て家庭に居場所を失くした患者様達が在院日数を考え
組織の価値であることだ」
(病院 66 巻、2007 年 1 月)と
られない数値にしておりました。また、冬の時期に限
述べておりますように、力のある熟達した専門職は、
って入院される越冬隊と呼ばれる患者様が春になるま
組織の財産であり、経験豊かな看護師が率先垂範し自
で入院しておりました。患者様もどこか牧歌的で全体
分の部下を育成の視点でサポートすれば自ずと看護の
にのんびりとした雰囲気が漂っていました。夜勤の朝、
質向上へと繋がるという仮説の下、現場教育の重要性
患者様からコーヒーの蓋を開けてくれと頼まれ、蓋を
を語り、経験者がモチベーション高く看護業務に携わ
開けるやいなや玩具のヘビが飛び出したこともありま
れるよう、その価値をみとめ支え合う人間関係を築く
す。忘れもしませんが、ギター背中に入院された患者
ことを現在の目標として取り組んでおります。
様やアタッシュケースの中が全て缶ビールだった患者
しかし、職場風土に最も大きな影響を与える存在は
様、入院中に放水路で釣りをして釣果を笹に挿して持
誰でもなく、実は自分自身にあると私は考えています。
って来られた患者様など、バブルの弾ける前の面白く
職場風土は、自分そのものであり自分の鏡であると私
も勢いのある時代でした。
は認識し、残り数年、お互いに育ち支えあう職場風土
入職当時は、厳しさの中に温かなハートが感じられ
と現場教育に精進したいと考えております。
る新谷看護部長、岸本副部長、太田副部長から患者様
中心の看護を徹底して教育されたように思います。白
衣のポケットからレースのハンカチを覗かせたすらり
とした部長が通るとそれだけで爽やかな風が吹くと同
時に身の引き締まる思いを抱きました。身だしなみに
勤続 35 年に寄せて
も厳しく今のピアスなどは、不良のすることでした。
人生の半ばを過ぎその大半の時間を看護師として生
医療安全課課長代理 疋田
雅枝
き、現在は病棟を管理する立場を与えられ、残りの看
護師生活の目標は、質の高い看護師の育成が自分の使
このたび勤続 35 年の表彰をいた
命と考え取り組んでいます。それは、人間性豊かで質
だき、ありがとうございました。
の高い看護師の提供する看護は、患者満足度の向上を
今日まで健康で大過なく勤めるこ
もたらすという信念からです。
とができたことをとても嬉しく思
私は、看護師が活き活きと輝き、質の高い看護を提
供する基盤には、サービス提供者の生活全般が充足さ
っています。
私 が 就 職 し た 昭 和 49 年 4 月 は、
れ、人を思いやるゆとりが必要と考え様々な環境改善
9 月の病院開院に向けての準備が
を行って来ました。また、理念や目標を共通認識する
着々と進められていました。病院
目的で、毎朝方向性を語り、カンファレンスや業務ミ
棟が完成し、医事課に配属された私達も即戦力として
ィーティング・日々の反省会などを教育・支援指示・
期待(?)され、医療事務の研修や備品検収業務の応
意識統一の場と考え語り続けてきました。また、現在
援など院内を歩き回り忙しいながらも楽しい日々を過
の固定チームナーシングにサポータ制を導入し、その
ごしました。
役割を経験 3 年目以下の現場教育と業務量の多い看護
私は開院当日から整形外科外来に配置され、外来受
師の支援・教育者としました。業務怠業を無くす目的
付とレセプト業務を担当しました。初めての経験で失
で責任の所在のない雑務が残らないように業務計画表
敗の記憶ばかり(①医師の書いた指示内容や病名が読
を再導入し実施者を明示しました。
めなかった②リハビリのレセプトが全て差し戻された
「明石は、医療専門職の多くは、組織への帰属より
等)で、今思い返しても恥ずかしくなります。それで
も職務への帰属意識が強く、そして必ずしも組織の中
も先生方や他のスタッフ、患者さんとの交流を通じ、
での昇進を望むわけでもなく、何らかの行き詰まりな
医療機関で働く喜びと仕事に対する姿勢の基本を得る
どを感じると転職を考える。病院の各専門職は専門知
ことができました。
識に基づいて自発的に仕事を進めることが求められて
元来、内弁慶な私には、整形外科外来が居心地良く
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
て、1 日 1 回しか医事課に顔を出さなかったため、見
65
勤続 20 年
かねた上司によって僅か半年後の翌年 3 月に会計窓口
へ配置替えになりました。以来 34 年もの長い間、会
20 年勤続に思う
計・諸法担当として勤めさせていただき、窓口収納業
務、諸法業務、診療収入管理業務、未収金管理業務を
調理課主任 松井
祐二
担当しました。その間の時代の変化、医療制度の改変、
診療報酬改定、IT 化への変遷は驚くばかりです。
平成元年、金沢医科大学病院の
もしかして定年までこのまま会計かな ! と思ってい
調理師として配属され 20 年、多く
たら、平成 20 年 9 月に医療安全課へ異動となりました。
の皆様のご指導、ご協力をいただ
医療安全について何も分からず一気に自己嫌悪に落ち
き勤務することができました。改
入ったりもしましたが、周囲の方々に支援していただ
めて心より感謝したいと思いま
き 1 年経って今漸く順応できてきたように思います。
す。私は当初、ただ淡々と食事を
私は、4 月から日本医師会・医療安全養成者講座を
作ることだけを思い仕事に従事し
受講しており、永年勤続表彰の前日は東京での講習会
ていました。ある機会に患者様の
に出席していました。表彰式に間に合うようにと翌朝
食事されるところを拝見し、ご意見、ご不満、食事を
に戻る機上から明るく輝く北アルプスの山々を見て、
楽しみにしているということを、実際に聞き、自分の
しみじみと 35 年の幸せを痛感しました。皆様への感
仕事に対する姿勢が凄く恥ずかしく思いました。それ
謝の気持ちとこれからもご指導ご鞭撻をいただいて元
から患者様の立場になり食事を提供する心がけが、大
気に働いていきたいと心から願いました。
切であると実感しました。そして単に長く勤務すると
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
いうだけでなく、患者様中心の安全で質が高く、多種
多様なニーズに対応できる食事を提供するよう取り組
んでいきたいと思います。
(対象者多数のため、編集部により無作為に寄稿者を選び依頼、投稿されたものについて掲載)
《本学スタッフ新刊著書》
野村隆英、石川直久 編
シンプル薬理学
改訂第4版
本書は、臨床医学に必要な「薬物治療学」の基本
西尾眞友 分担執筆
( 第 8 章 腎 臓 作 用 薬:169-179
頁)
的知識を学ぼうとする読者を対象に編集された薬理
学の教科書である。その名の通りシンプルにまとめ
られており、講義室だけでなく病院実習の現場での
学習に役立つ内容となっている。今回の改訂で、
「漢
南江堂
B5 判、328 頁
定価(本体 2,800 円+税)
2009 年 12 月 15 日発行
ISBN978-4-524-25038-7
方の薬理」の章が新たに加わり、分子標的治療薬な
どの新しい薬物療法の動向、医薬品情報も吟味され、
取り入れられた。医師や看護師を目指す学生のみな
らず、歯科医師、薬剤師、栄養士、臨床検査技師、
診療放射線技師、理学療法士、作業療法士など医療
のプロを目指すたくさんの人に活用していただけれ
ば幸いである。
(生体情報薬理学 西尾眞友記)
金沢医科大学報
66
資 料
理事会
第 202 回 平成 21 年 10 月 13 日
議案
1 医学部長の選任について
〈報告事項〉
1 氷見市民病院新築の基本設計について
第 203 回 平成 21 年 11 月 26 日
議案
1 学校法人金沢医科大学職員給与規則の一部改正 に つ い
て
〈報告事項〉
1 金沢医科大学グランドデザイン第 1 期工事計画 の 進 捗
状況について
2 平成 21 年度上半期資産運用報告について
規程の改正・制定・廃止
金沢医科大学病院臨床研修奨励金貸与に関する規程
(平成 21 年 4 月 1 日制定)
金沢医科大学病院臨床研修奨励金貸与制度に関する規程
(平成 21 年 4 月 1 日廃止)
金沢医科大学病院医療技術部運営委員会規程
(平成 21 年 6 月 10 日改正)
金沢医科大学病院個人情報管理委員会規程
(平成 21 年 6 月 10 日改正)
金沢医科大学病院臨床研修管理委員会規程
(平成 21 年 6 月 10 日改正)
学校法人金沢医科大学経営会議規程(平成 21 年 9 月 1 日改正)
学校法人金沢医科大学における競争的資金等の取扱いに関す
る規程
(平成 21 年 10 月 1 日改正)
金沢医科大学携帯ネット .com に関する内規
(平成 21 年 10 月 9 日改正)
金沢医科大学医学部教務委員会規程
(平成 21 年 12 月 1 日改正)
医学部教授会
第 831 回(定例)
平成 21 年 10 月 8 日(木)
人事関連等議題
1 前回(第 830 回)議事録確認について
2 その他
〈報告事項〉
1 医学部学内講師委嘱について
2 辞職について
3 非常勤講師委嘱について
4 協力研究員委嘱について
5 移籍について
6 非常勤講師派遣について
7 昇任について(氷見市民病院)
8 客員教授委嘱について(氷見市民病院)
9 その他
教学関連議題
1 平成 21 年度学年末教務日程(案)について
2 平成 21 年度第 5 学年標準試験(随時試験)実施要領(案)
について
3 新型インフルエンザ罹患学生出現時の臨床実習評価の
取り扱いについて 4 その他
〈報告事項〉
1 第 5・6 学年第 1 回標準試験結果について 2 臨床教育担当教員による第 6 学年医師国家試験対策に
ついて
3 その他
その他
1 臨床感染症学教授候補者選考に係る公開面接について
第 832 回(臨時) 平成 21 年 10 月 22 日(木)
人事関連等議題
1 前回(第 831 回)議事録確認について
2 その他
〈報告事項〉
1 各種委員会委員の一部変更について
2 金沢医科大学氷見市民病院臨床准教授候補者について
3 移籍について
4 勤務先移動について
5 併任について
6 非常勤講師派遣について
7 その他
教学関連議題
1 平成 22 年度特別推薦入学試験(AO 入試)第 2 次選考合
格者の判定について
2 その他 〈報告事項〉
1 平成 21 年度学年主任・副主任の一部変更について
2 平成 21 年度教務関連各種委員会の一部変更について
3 第 1 回国際交流センター講演会とワークショップにつ
いて 4 その他
第 833 回(定例) 平成 21 年 11 月 12 日(木)
人事関連等議題
1 前回(第 832 回)議事録確認について
2 教員任用基準案について
3 その他
〈報告事項〉
1 辞職について
2 出向について
3 非常勤講師委嘱について
4 姉妹校プロジェクト研究員の受入について 5 外国人短期研究員の受入について
6 その他
教学関連議題
1 教務委員会規程の一部改正について
2 2010 年度共用試験 CBT 実施要領(案)について
3 平成 21 年度第 6 学年標準試験(随時試験)実施要領(案)
について
4 平成 21 年度第 6 学年実技試験(AdvancedOSCE )最終
随時試験実施要領 ( 案 ) について
5 平成 21 年度卒業判定委員について
6 新型インフルエンザによる講義及び各種試験欠席時の
取り扱いについて
7 いしかわシティカレッジ特別聴講学生の受入れについて
8 休学願提出学生の取り扱いについて
9 その他
〈報告事項〉
1 平成 22 年度医学部推薦入学試験に係る新型インフルエ
ンザ対策について
2 平成 22 年度医学部推薦入学試験出願状況について
3 父兄面談会の実施について
4 平成 22 年度教育・実習用機器の要望調査について
5 平成 22 年度科学研究費補助金の応募状況について
6 第 8 回 KMU 研究推進セミナーの開催について
7 金沢医科大学知財セミナーの開催について
8 バーモント大学交換留学生の受入について
9 第 1 回国際交流センター講演会とワークショップにつ
いて
10 平成 20 年度優良教員の表彰について
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
11 その他
第 834 回(臨時) 平成 21 年 11 月 26 日(木)
人事関連等議題
1 前回(第 833 回)議事録確認について
2 臨床感染症学教授候補者の選考について
3 教員任用基準案について
4 その他
〈報告事項〉
1 准教授候補者について
2 辞職について
3 出向について
4 その他
教学関連議題
1 平成 22 年度公募制及び指定校・指定地域推薦入学試験
合格者の決定について
2 平成 22 年度金沢医科大学医学部特別奨学金貸与者の決
定について
3 学生の表彰について
4 その他
〈報告事項〉
1 インフルエンザ対策講義について
2 その他
大学院医学研究科教授会
第 389 回 平成 21 年 10 月 8 日(木)
議題
1 前回(第 388 回)議事録確認について
2 金沢医科大学リサーチ・アシスタントに関する規程に
ついて
〈報告事項〉
1 第 37 回論文博士外国語試験について
2 平成 22 年度大学院第 1 次学生募集について
3 北陸がんプロ金沢医科大学市民公開講座について
第 390 回 平成 21 年 11 月 12 日(木)
議題
1 前回(第 389 回)議事録確認について
2 平成22年度大学院第1次募集選抜試験合否判定について
3 第 37 回論文博士外国語試験合否判定について
4 リサーチ・アシスタントの採用について
〈報告事項〉
1 北陸がんプロ東アジア腫瘍内科国際シンポジウムにつ
いて
2 平成 22 年度北陸がんプロ実施計画における企画の募集
について
3 その他
(1 )学位審査について
看護学部教授会
第 44 回(臨時) 平成 21 年 10 月 1 日(木)
〈議題〉
1 平成 22 年度看護学部編入学試験合格者の判定について
2 その他 第 45 回(定例) 平成 21 年 10 月 19 日(月)
〈報告事項〉
1 人事関係について
2 教務委員会からの報告
3 看護学部学生部連絡会からの報告
4 FD 委員会からの報告
5 研究推進会議からの報告
6 千葉大看護学教育ワークショップ参加報告
7 その他
〈議題〉
1 前回(第 43・44 回)議事録確認について
2 平成 21 年度保護者連絡会の開催並びに保護者会設立総
会開催について
3 その他
第 46 回(臨時) 平成 21 年 10 月 26 日(月)
〈議題〉
1 平成 21 年度前期授業科目及び平成 20 年度後期(保留)
授業科目の単位認定について
2 その他
第 47 回(定例) 平成 21 年 11 月 16 日(月)
〈報告事項〉
1 人事関係について
2 教務委員会からの報告
3 看護学部学生部連絡会からの報告
4 カリキュラム改正 WG からの報告
5 看護研究委員会からの報告
6 その他 〈議題〉
1 前回(第 45・46 回)議事録確認について
2 平成 22 年度看護学部奨学生選考委員会委員の選出につ
いて
3 新型インフルエンザ感染等に係る授業・試験等の欠席
に伴う特別措置について
4 その他
67
総合医学研究所教授会
第 239 回 平成 21 年 10 月 15 日(木)
〈審議事項〉
1 前回(第 238 回)教授会議事録の確認について
2 その他
〈報告事項〉
1 市民公開セミナーの開催結果について
2 平成21年度上半期の予算執行状況について
3 次回の教授会開催日時について
4 その他
第 240 回 平成 21 年 11 月 19 日(木)
〈審議事項〉
1 前回(第 239 回)教授会議事録の確認について
2 研究セミナー実施案について
3 総合医学研究所関係諸規程の改正案について
4 その他
〈報告事項〉
1 次回の教授会開催日時について
2 その他
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
69
同窓会・後援会
第 11 回
金沢医科大学
北斗会懇親・懇談会
第 11 回北斗会懇親・懇談会が平成 21 年 11 月 25 日
(水)午後 7 時から、ホテル金沢において 150 名を超え
る会員の出席のもと開催された。最初に 、 奥名洋明会
長から開会の挨拶があり、続いて、公務で欠席された
山下公一理事長に代わり竹越 襄副理事長が来賓を代
竹越 襄副理事長による挨拶
表して挨拶された。その後、勝田省吾学長補佐の乾杯
とした笛の音と透きとおるようなメゾソプラノのコラ
の発声で懇親の宴が始まった。
ボレーションに心が洗われるようであった。
歓談の後、春の叙勲で瑞宝双光章を受章された山口
また、今年の 35 年永年勤続表彰の対象者 39 名を招
徹さんに奥名洋明会長から花束が贈られ、会員一同か
待し、出席された 19 名の方に会長から記念品が贈呈
ら大きな拍手が贈られた。
された。今年のお楽しみ大抽選会では竹越副理事長に
アトラクションは、金沢出身の横笛奏者で、金沢の
財産である邦楽の発展、伝承のため活躍されている藤
お手伝いをお願いし、大いに盛り上がった。午後 9 時
新谷喜美子副会長の挨拶で閉会した。
舎眞衣さん、金沢大学教育学部で声楽を専攻されたメ
(教育研究事業支援課 堀 愉記)
ゾソプラノ原田香織さんに演奏と歌をお願いした。凛
勝田省吾学長補佐による乾杯
メゾソプラノ原田香織さん(左)と横笛奏者
藤舎眞衣さん(右)
奥名洋明会長(左)から瑞宝双光章受章の山口 徹さん(右)に花
束が贈られた
勤続 35 年表彰を受けた方々
金沢医科大学報
70
●コラム/最近のニュースから
① 医学部入学定員
医学部入学定員の変遷
○第 2 次世界大戦後の国公私立の医育機関数は 46 校であった。しかし、医療の進歩に伴って医師の仕事量が
急激に増大するに至り、政府は医師の増員は社会的にも国家的にも重大事項との認識のもと、昭和 45 年度
(1970 年)から 54 年度(1979 年)の間に 34 校の医大の新設を行った。
○昭和 56 年度(1981 年)入学定員は 8,280 名となった。
(第 1 次ピーク)
○昭和 57 年度(1982 年)9 月「今後における行政改革の具体化方策について」閣議決定:医師の過剰を招かぬ
よう配慮し、適正な水準となるよう合理的な養成計画の確立について政府部内で検討を進めた。
○昭和 61 年度(1986 年)厚生省「将来の医師需給に関する検討委員会」最終意見:平成 7 年を目途として医師
の新規参入を最小限 10% 削減すべきとした。
○平成 9 年度(1997 年)
「財政構造改革の推進について」閣議決定:大学医学部の整理・合理化も視野に入れ
つつ引き続き医学部定員の削減に取り組む。削減後の定員は 7,625 名となった。
○平成 18 年度(2006 年)
「新医師確保総合対策」:平成 20 年度から、医師不足が深刻な県(青森、岩手、秋田、
山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重)及び自治医科大学の計 11 大学を対象に最大 110 名の期限付
き増員を認めた。 ○ 平成 19 年度(2007 年)
「緊急医師確保対策」
:最大 285 名(各都府県最大 5 名(北海道は 15 名まで)の期限付
き増員)となる。
○平成 20 年度(2008 年)
「経済財政改革の基本方針 2008 」:「これまでの閣議決定に代わる新しい医師養成の
在り方を確立」、
「早急に過去最大程度まで増員する」とした。
○平成 21 年度(2009 年)8,486 名となった。
○平成 22 年度(2010 年)8,846 名となる(増員期間は平成 31 年度(2019 年度)までの 10 年間に限定)
。
「地域枠」
:都道府県ごとの県内外大学の配分枠を撤廃し 10 人を上限に増員を認める。奨学金を設定すること。
「研究医枠」:各大学 3 名以内、全国 10 人を超える増員を認める。奨学金を設定する。
「歯学部定員振替枠」:全国 30 名を上限とする。 (㈳日本私立医科大学協会資料より)
② 日本医学会から「陳情書」上申
日本医学会・全国医学部長病院長会議から内閣総理大臣に「陳情書」上申
陳情書
全国国公私立大学医学部 80 大学において教育・研究・診療に従事している医師は、長年の医療費抑制策に
より日常的に過剰な臨床業務に追われております。その結果、大学、大学病院は国民に高度医療を提供する
とともに、研究を通じ医療の質を維持向上させるという本来の機能を失いつつあります。特に臨床に従事す
る若手医師の負担は極めて大きく臨床研究に必要な時間を割く事が出来ない状態にあります。その結果、世
界の一流学術誌に掲載される我が国の論文数の著しい減少を見るに至っています。この状況は医学・医療の
停滞を通じ国民の福祉の後退に通じるものと全国の医学部・医科大学関係者は憂いております。
政府は民主党がマニフェストに示された方向で診療報酬の増額を決めました。しかし、十分な増額とは言
い難く、医育、高度診療の提供を通じ国民の健康に大きく関与している大学病院の高度医療と研究の維持、
発展のため、更なる診療報酬の引き上げと、大学に対する十分な財政措置を強く求めるものです。
政府の皆様には、私共の思いを諒とせられ、国民の健康と福祉を守るため大学病院医療の改善のために、
第 141 号/2010.1
金沢医科大学報
71
お力添え頂きます様、衷心よりお願い申し上げます。
平成 21 年 12 月 24 日
擱筆
日本医学会会長 高久史麿
全国医学部長病院長会議会長 小川 彰
内閣総理大臣
鳩山 由紀夫 先生 玉案下
この「陳情書」は次の方々に届けられた。
内閣総理大臣 鳩山由紀夫殿
厚生労働大臣 長妻 昭殿 厚生労働副大臣 細川律夫殿・長浜博行殿
厚生労働大臣政務官 山井和則殿・足立信也殿
文部科学大臣 川端達夫殿 文部科学副大臣 中川正春殿・鈴木 寛殿
文部科学大臣政務官 後藤 斎殿・高井美穂殿
(㈳日本私立医科大学協会資料より)
③ 自民党から診療報酬改定及び医療関係予算確保の申し入れ
平成 22 年度診療報酬改定及び医療関係予算の確保に関する申し入れ
厚生労働大臣
長妻 昭 殿
平成 21 年 12 月 16 日
自由民主党
厚生労働部会 診療報酬ワーキンググループ
国際的にも高い評価を受けていた我が国の医療制度は、医師不足が深刻化し、地域医療を支えてきた病院
や診療所の閉鎖が相次ぎ、地域医療の崩壊と言われる危機的な状況に陥っている。また、経済環境、雇用環
境の悪化から、患者の受診抑制も懸念されている。
地域医療の崩壊と言われる現状を改善し、医療を提供する側、受ける側の双方が安心できる環境を整える
ことは喫緊の課題となっており、国民が経済的負担を心配することなく、いつでもどこでも、安心して質の
高い医療を受けることができる社会の実現が求められている。
そこで、現下の日本の医療をめぐる厳しい状況を早急に解消し、国民医療を守るために必要な事項を緊急
に取りまとめた。平成 22 年度予算編成に当たって、こうした課題に誠心誠意取り組み、直ちに実現するよう
強く申し入れるものである。
Ⅰ 平成 22 年度診療報酬改定について
1. 地域医療の崩壊を食い止め、その再生を図るため、診療報酬を大幅に引き上げること。
その際、地域医療全体が健全化し、病院と診療所、各診療料間の医師がより連携を強めることができ
るよう、診療報酬の全体的な引上げを行うこと。
2. 診療報酬の改定に当たっては、救急、産科、小児、外科等の医療の再建及び病院勤務医、へき地医療に
従事する医師等の負担の軽減について重点的に配分すること。
その際、医師の業務を減少させる取組として、医療クラークの配置、看護師、薬剤師等の医師以外の
医療職が担う役割の評価など医療従事者の増員に努める医療機関に対して適切な評価を行うこと。
3. がん医療や認知症医療のほか、肝炎対策、新型インフルエンザ等の感染症対策、質の高い精神料入院医
療等の取組を進める医療機関が適切に評価されるよう配慮すること。
4. 口腔の健康の適切な管理が全身の健康に及ぼす影響を踏まえ、要介護者等に対する在宅歯科医療、かか
りつけ歯科医の機能を踏まえた初診・再診料の引上げなど適切な評価を行うこと。
金沢医科大学報
72
5. 後発医薬品の使用促進を図るための取組を進めるとともに、薬局における後発医薬品の取扱いに係る負
担等を踏まえて調剤技術料の引上げなど適切な評価を行うこと。
6. 薬価制度については、医薬品の流通・管理に要する費用としての調整幅 2% を維持するとともに、国内
製薬企業における希少医薬品や画期的新薬等の開発能力を向上させるための方策について早急に検討す
ること。
Ⅱ 平成 22 年度医療関係予算について
1. 診療報酬の引上げに伴う国民の負担増を抑制するよう国庫負担の拡大など適切な措置を講ずること。
2. 協会けんぽの財政状況の改善に向けて国庫負担割合の引上げなどの負担軽減策を講ずること。
その際、協会けんぽに対する国庫補助率引上げのための財源確保を名目として、健康保険組合、共済
組合になし崩し的に負担を肩代わりさせることについては断固反対する。
3. 国民健康保険における財政基盤強化策については、引き続き継続し、一層の拡充強化を行うこと。
4. 安心で質の高い医療を確保し、地域で医療を支えていくための総合的な施策、女性医師が働き続けられ
る環境整備等のきめ細やかな施策に要する十分な予算を確保すること。
5. 行政刷新会議の事業仕分けにおいては、地域医療の再生に欠くことのできない医師確保対策、救急・周
産期対策に係る補助金の削減を決定したことは、医療の実情、患者の苦しみを無視した単なるパフォー
マンスでしかない。このため、診療報酬の引上げでは対応が困難な NICU(新生児集中治療室)等の増床
を進めるため、当初の概算要求額に沿った必要な予算を確保すること。
また、漢方薬等の市販類似薬の保険外しは、患者負担増による受診抑制、国民皆保険体制の崩壊につ
ながることから、これを行わないこと。
平成 12 年度から実施してきた 8020 運動特別推進事業は、
「健康日本 21 」の目標を既に達成する項目が
あるなど国民の口腔保健の推進に寄与しており、これを縮減するなどの事業の見直しは認められない。
引き続き都道府県を国が先導すること。
「健康日本 21 」の目標の達成と「食育」の推進は、国民運動として取り組む課題であり、その中心であ
る食生活改善推進員等の活動支援を充実強化すること。
6. マニフェストに掲げた財源確保のために行った平成 22 度補正予算の執行停止により、未適用医薬品の適
用拡大に要する治験実施費用を支援する予算が削減された。これにより、多くの患者、家族の希望が絶
たれた状況におかれていることから、早急に必要な予算を確保すること。
また、地域医療再生基金の突然の縮小により、多くの地方自治体が負担を肩代わりしている状況があ
ることから、必要な予算措置を講じ、地方の負担を軽減すること。
(㈳日本私立医科大学協会資料より)
④ 診療報酬 10 年ぶりにプラス改定
診療報酬 10 年ぶりにプラス改定
2010 年度の診療報酬の改定率をめぐる長妻 昭厚生労働大臣と藤井裕久財務大臣の最終の大臣折衝が平成
21 年 12 月 23 日に行われ、ネットで 0.19% のプラス改定とすることで合意した。ネットでプラス改定は 10 年
ぶり。(メディファックスより)
過去の診療報酬の改定率(ネット)は次の通り。
平成 14 年度 ▲ 2.70%
平成 16 年度 ▲ 1.05%
平成 18 年度 ▲ 3.16%
平成 20 年度 ▲ 0.82%
平成 22 年度 + 0.19%
(㈳日本私立医科大学協会資料より)
第 141 号/ 2010.1
金沢医科大学報
73
金沢医科大学学術振興基金募金について
金沢医科大学学術振興基金募集趣意書
本学は、日本海側では初めての私立医科大学として、昭和 47 年に設立され、倫理に徹した人間性豊かな良医を育成する
こと、医学の深奥をきわめ優れた医療技術を開拓すること、人類社会の医療と福祉に貢献することを建学の精神として掲
げて着実に歩み続けてまいりました。
大学、特に医科大学は国の内外を問わず日進月歩の医学・医療をリードする大切な役割を担っていることは皆様充分に
ご承知のことであります。本学でも最高の教育・研究設備に加えて、先進医療機器の充実に意を尽くすとともに、基礎・
臨床医学講座並びに総合医学研究所の各部門において、医学の進歩に貢献できる人材の育成と研究の推進に日夜努力いた
しております。
教育面では、教育スタッフとしてすぐれた人材を配し、学生の教育に専念しており、昭和 53 年に第 1 回の卒業生が誕生
して以来、数多くの医師を世に送り出し、それぞれ国内国外の医学・医療の最先端で活躍しております。
研究面では、平成元年に従来の人類遺伝学研究所、熱帯医学研究所及び共同研究室を母体とし、難病治療など医療の先
端的な分野の開拓を目的とした総合医学研究所を設置し、臓器置換・難治疾患・癌・人類遺伝学・熱帯医学・基礎医学・
共同研究の各部門を中心にプロジェクト研究の推進を図っております。また、国際舞台においても躍進を続けており、欧
米の一流大学や研究所との研究員の交流、海外からの研究員・留学生の受け入れなどを通じて国際レベルの学術環境の整
備にも意を尽くしております。
診療面では、金沢医科大学病院は日本海側随一の規模を誇るまでに成長し、最新の医療機器を整備し、医学教育のみな
らず、文字どおり地域医療の基幹病院として順調に発展し、地域社会の要請に応えるべく最新レベルの医療サービスを提
供することにも十分な配慮をしてまいりました。
また、国際医療協力隊の派遣、世界各地域の種々の難病に対する国際医療協力に早くから取り組み、わが国の医科大学
の中ではトップクラスの実績を持っております。
しかしながら、この様な積極的な教育、学術及び医療活動を維持継続していくためには巨額の資金が必要で、学納金、
国庫補助金、附属病院の医療収入などの収入だけでは健全な経営は不可能であり、教育、研究、診療活動を萎縮させる恐
れがあります。
このために、本学では文部科学省の許可を得て学術振興基金の募集を行っており、広く本学教職員、卒業生、学生の父
兄をはじめ、民間企業、篤志家の多くの皆様のご支援をお願い申し上げる次第であります。
日進月歩の医学の進歩に即応した最新の教育、研究及び診療環境を維持するにとどまらず、未来に向けてさらなる貢献
と飛躍を目指して、全学を挙げて努力いたし、社会的使命を果たし得たいと念願しております。
本趣旨にご理解、ご賛同を頂き、ご協力を賜りますれば誠に幸甚に存じます。
学校法人金沢医科大学 理事長 山 下 公 一
募集要項 学術振興基金は次の要領で広く一般の方々からご協力をお願いしております。
1. 目 的: 金沢医科大学の教育・研究の振興と医
療の充実のため活用させていただきます。
2. 目標額: 10 億円
3. 募集先: 在学生、同窓生及びその父兄、教職員、
一般有志者並びに医学研究機関及び医療関係企
業・団体等
4. 学術振興基金へのご寄付は、
「特定公益増進法人寄
付金(個人のご寄付)」及び「受配者指定寄付金(法
人のご寄付)
」による所得税、法人税の優遇措置を
受けることが出来ます。
5. 応募方法: 寄付申込書等を本学教育研究事業推
進室あてにご請求ください。折り返し、手続方法、
税務に関することなどについてご説明いたします。
TEL 076-286-2211 内線 2720 ∼ 2724
FAX 076-286-8214
金沢医科大学学術振興基金への寄付者ご芳名(過去 1 年間の分、敬称略)
内山 安弘(群馬県)
神山 俊彦(愛媛県)
中村 俊子(福岡県)
三治 秀哉(石川県)
林 暁(神奈川県)
加來 朝王(神奈川県)
佐藤 意生(大分県)
藤城 道義(愛知県)
佐々木真一(京都府)
医療法人かぶとやま会(福岡県)
医療法人社団小川医院(石川県)
医療法人社団大西医院(兵庫県)
(有)トレント(石川県)
鈴木 比佐(大阪府)
山邉 忠厚(佐賀県)
平岩 照久(東京都)
山根 基(広島県)
上田 明(広島県)
足立 謙蔵(北海道)
高原 光弘(広島県)
川西 泰子(大阪府)
平場 吉治(石川県)
持田日出子(神奈川県)
島田 通子(富山県)
小川 滋彦(石川県)
中山 治樹(京都府)
街 保敏(大阪府)
山口 修(山形県)
小野 直見(三重県)
鈴木 昭男(愛知県)
村上賢一郎(京都府)
萩原 秀男(静岡県)
荒木 壯(福島県)
髙橋 一(栃木県)
坂部 徹(神奈川県)
内田 信三(長崎県)
朝倉 信一(千葉県)
大山 充徳(群馬県)
(有)アカシア商会(石川県) (有)八田物産(石川県)
医療法人後藤耳鼻咽喉科(大阪府)医療法人社団大誠会(岐阜県)
(株)アクト (石川県)
医療法人社団沖野会(石川県)
広渡レディスクリニック(愛知県) 丸文通商(株)
(石川県)
医療法人社団国府台整形外科(静岡県)
財団法人保堂会教育福祉財団(福井県)
第 141 号/ 2010.1
74
金沢医科大学報
学報 141 号全目次
年頭挨拶 理事長………………………………………………2
学 長………………………………………………5
病院長………………………………………………7
■学事
平成 22 年度医学部推薦入学試験終わる ……………………8
平成 22 年度看護学部編入学試験・推薦入学試験終わる …8
第 37 回 解剖体合同追悼慰霊祭 ………………………………9
平成 21 年度天寿会総会 ………………………………………9
平成 20 年度優良教員表彰 ………………………………… 10
平成 21 年度看護学部保護者連絡会、看護学部保護者会
設立総会 ………………………………………………… 11
平成 21 年度看護学部学生と教職員との交流会 ………… 11
<学生のページ>
学生の表彰…………………………………………………… 12
2009 年バーモント大学からの交換留学報告 …………… 13
体験報告:東アジア腫瘍内科国際シンポジウムに参加して 15
クラブ紹介:バレーボール部、写真部…………………… 16
■国際交流
ロシア・ヤロスラブリ州立医科大学と学術交流協定に調印 18
第 1 回講演会・ワークショップ …………………………… 20
交流カフェ ………………………………………………… 20
Kaleidoscope ……………………………………………… 20
■学術
第 59 回日本泌尿器科学会中部総会 ……………………… 21
東アジア腫瘍内科国際シンポジウム……………………… 21
第 2 回日台交流腫瘍内科国際シンポジウム ……………… 22
第 8 回 KMU 研究推進セミナー …………………………… 23
大学院医学研究セミナー…………………………………… 24
平成 21 年度実験動物慰霊祭 ……………………………… 28
ひらめき☆ときめきサイエンス…………………………… 28
産学官連携:金沢医科大学知的財産セミナー…………… 29
北國がん基金研究助成授与される………………………… 30
総合医学研究所 20 周年記念誌発行 ……………………… 31
■病院
第 15 回金沢医科大学病院地域医療懇談会 ……………… 32
平成 21 年度保険講習会 …………………………………… 33
金沢医科大学病院第 12 回 CPC …………………………… 33
がん診療連携拠点病院研修会 第 18 回・第 19 回 ………… 34
第 12 回集学的医療セミナー ……………………………… 35
平成 21 年度防災講習会・災害訓練 ……………………… 36
第 17 回病院ワークショップ ……………………………… 38
3 年次看護師宿泊研修 ……………………………………… 39
釜石市から本学の地域医療支援に感謝状………………… 40
「ひだまりルーム」リニューアル …………………………
金沢医科大学氷見市民病院りんごステーション開所……
「北陸膠原病支援ネットワーク」4 年間のあゆみ ………
<研修医の頁>
臨床研修医のための CPC(臨床病理検討会)……………
■図書館
新着図書の紹介………………………………………………
■管理・運営
小田島粛夫前理事長 秋の叙勲で旭日重光章を受章 ………
日本私立学校振興・共済事業団による平成 20 年度経常費
補助金に係る調査 …………………………………………
平成 21 年度医学教育等関係業務功労者文部科学大臣表彰…
平成 21 年度石川県私立学校教職員教育功労者知事表彰 …
平成 21 年度永年勤続表彰 …………………………………
互助会:第 29 回文化祭 ……………………………………
秋のバス旅行………………………………………
■随想・報告
米国 National Jewish Health 留学記 ……………………
第 10 回国際シェーグレン症候群シンポジウム …………
International Symposium on East Asia Medical Oncology
ロシア・ヤロスラブリ州立医科大学との学術交流協定
調印と消化器内視鏡治療分野の交流……………………
永年勤続に思う………………………………………………
■資料
理事会…………………………………………………………
規程の改正・制定・廃止……………………………………
教授会…………………………………………………………
人事……………………………………………………………
■同窓会・後援会
第 11 回金沢医科大学北斗会懇親・懇談会 ………………
■コラム/最近のニュースから……………………………
■本学スタッフ新刊著書
「専門医のための漢方医学テキスト」
(元雄) ……………
「アナフィラキシーショック」
(芝本) ……………………
「眼科プラクティス 眼科薬物治療 AtoZ 」
(福田)…………
「眼科プラクティス 眼科感染症の謎を解く」
(福田)……
「薬物療法」
(福田) …………………………………………
「抗菌薬サークル図」
(福田) ………………………………
「腎不全看護」
(田村) ………………………………………
「シンプル薬理学」
(西尾) …………………………………
■人物往来
小松崎 篤教授 ………………………………………………
□金沢医科大学学術振興基金募金について………………
表紙写真
あおさぎ、雪の大池にて
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金沢医科大学報 第 141 号
中谷 渉
奥卯辰山の大池。静かな冬の陽光を受けて一羽の青
鷺が佇んでいた。じっと動かず、遠くを見つめるその
姿は哲学者のようだ。何を思っているのだろうか。
平成 22 年 1 月 15 日発行
発行者
金沢医科大学理事長 山 下 公 一
編 集
金沢医科大学概要・学報編集委員会
編集委員長 米倉秀人 副委員長 原 亮
委 員
(辺本、坂口)
片足立つ鷺しんしんたる寒波 石黒英進
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41
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(現代俳句協会より)
発行所
印 刷
松井 忍
八田稔久
相野田紀子
小平俊行
中谷 渉
北 久直
中嶋秀夫
岡山 均
坂口友紀子
元雄良治
岩渕邦芳
竹田浩一
森 茂樹
丸谷 良
加富喜芳
島 智一
辺本智恵美
佐野友美
北村 修
甲野裕之
中山正喜
前野聡子
笠間孝一
坂尾光一
中川美枝子
木下英理
金沢医科大学出版局
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