東京 学ピアノの会 演奏会

東京大学ピアノの会
一月演奏会
板橋区立文化会館小ホール
2017 年 1 月 7 日(土)・8 日(日)
————ごあいさつ
本日は大変お忙しい中、東京大学ピアノの会一月演奏会にお越しいただき、誠にありがとうございます。
昨年 12 月に私たち新四役が正式に就任し、今回が初めての演奏会となります。まだまだ慣れない部分
も多いですが、これから始まるピアノの会の1年間の最初として最高の演奏会となるように努力して参
りたいと思っております。
今回も厳しい日程の中、多くの出演者の方々にエントリーをしていただきました。本当に感謝してお
ります。ピアノの会らしく多彩で魅力の溢れるプログラムとなっていますので、ぜひ楽しんでいただき
たいと思います。
年明け早々寒空のもとではありますが、この演奏会で心温まる時間を過ごしていただければ嬉しく思
います。
2017年度東京大学ピアノの会会⾧
一月演奏会運営責任者
方
大樹
————お客さまへ
プログラムに先立ちまして、お客さまにお願い申し上げます。
会場内でのご飲食・ご喫煙・フラッシュのご使用はご遠慮ください。
会場への出入り・お席の移動は、演奏と演奏の間にお済ませください。
携帯電話や PHS、時計のアラーム等の電源は、予めお切りください。
すべてのお客さまに、快適に演奏をお楽しみいただけますよう、以上の点にご協力お願いいたします。
※プログラムの中で、「文Ⅰ」
「理Ⅰ」などは、それぞれ教養学部文科一類・同理科一類などを表します。
※演奏者の学年で「M」「D」
「L」は、それぞれ修士課程・博士課程・法科大学院生であることを表します。
————目次
♪プログラム♪………………………………
3
1 日目(Ⅰ~Ⅳ)……………………
3
2 日目(Ⅴ~X)……………………
7
♪FP(from performers)♪………………… 12
I
……………………………… 12
II
……………………………… 14
III
……………………………… 15
IV
……………………………… 17
V
……………………………… 21
VI
……………………………… 22
VII
……………………………… 22
VIII
……………………………… 23
IX
……………………………… 23
X
……………………………… 24
2
2017 年 1 月 7 日(土)
会場: 板橋区立文化会館小ホール
13:15 開場 13:30 開演 18:30 終演
I
13:30~14:40
1 シューマン
アラベスク ハ⾧調 Op.18
安富 湖々
(東女-1)
2 ドビュッシー
喜びの島
芝池 円香
(藝大-2)
反乱軍のテーマ
⿁原 里菜
(立正-2)
田中 麻子
(学習院-4)
田中 麻子
(学習院-4)
⿁原 里菜
(立正-2)
杉本 眞子
(桐朋-2)
白波瀬 優
(文進-2)
逸見 さおり
(教育-4)
植松伸夫=
3
中山博之
12 の練習曲 Op.10 より 第 4 曲 嬰ハ短調・
4 ショパン
第 5 曲 変ト⾧調 「黒鍵」
ワルツ 第 6 番 変ニ⾧調 Op.64-1 「小犬」
5 下村陽子
Vase di Fantastica (FAINAL FANTASY 15)
12 の練習曲 Op.10 より 第 8 曲 ヘ⾧調
6 ショパン
12 の練習曲 Op.25 より 第 11 曲 イ短調 「木枯らし」
ルクー
7 サティ
奥村一
3 つの小品 より 第 1 曲
「グノシェンヌ」 第 1 番
ピアノのためのトッカータ 「工事現場」
パガニーニによる大練習曲集 S.141 より
8 リスト
第 3 曲 嬰ト短調 「ラ・カンパネッラ」
3
II
14:55~15:45
ショスタコーヴィ
1
24 の前奏曲とフーガ Op.87 より 第 4 曲 ホ短調
木田 美聖
(農-3)
2 ショパン
夜想曲 第 8 番 変ニ⾧調 Op.27-2
宮武 哲也
(工-3)
3 ショパン
ノクターン第1番
小島 真奈
(日大-3)
4 久石譲
Hope & Legacy
小瀬 理恵
(宇都宮-3)
5 ショパン
ポロネーズ 第 7 番 変イ⾧調 Op.61 「幻想」
坂本 優希
(理-3)
チ
Op.9-1 変ロ短調
4
III
16:00~17:05
1 フォーレ
ヴァルス・カプリス 第 4 番 変イ⾧調 Op.62
結城 貴和
(医-5)
2 ショパン
夜想曲 第 13 番 ハ短調 Op.48-1
阿部 祥歩
(茶女-4)
森 大輔
(農-4)
内山 健
(工-4)
鈴木 智充
(工-4)
岡田 昌士
(文-4)
石井 祐子
(茶女-4)
水彩画による 8 つの思い出 Op.1 より
第 1 曲 「欠けた月」・第 2 曲 「飛び跳ねる豆」・
3 譚盾
第 3 曲 「牧童の歌」・第 4 曲 「青い衣の尼」・
第 7 曲 「浮き雲」・第 8 曲 「狐の嫁入り」
平均律クラヴィーア曲集 第 2 巻 より 第 15 曲 ト⾧調
J.S.バッハ
BWV.884
4
J.S.バッハ=
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第 2 番 ニ短調
菊地裕介
BWV.1004 より 第 3 曲 サラバンド
5 シューマン
ピアノソナタ 第 2 番 ト短調 Op.22 より 第 1 楽章
24 の前奏曲 Op.28 より 第 13 曲 嬰ヘ⾧調・
6 ショパン
第 14 曲 変ホ短調・第 15 曲 変ニ⾧調 「雨だれ」・
第 16 曲 変ロ短調
24 の前奏曲 Op.28 より 第 4 曲 ホ短調
7 ショパン
即興曲 第 1 番 変イ⾧調 Op.29
5
IV
17:20~18:30
1 シューマン
「クライスレリアーナ」 Op.16 より 第 7 曲・第 8 曲 杉本 真奈
(東音-4)
ピアノソナタ 第 21 番 ハ⾧調 Op.53
2 ベートーヴェン
由井 杏奈
(工-M1)
榊原 侑利
(工-M2)
大澤 進
(北大院-D3)
田村 和也
(総合-M2)
「ワルトシュタイン」 より 第 1 楽章
ジャック・ギボン
3
Song without words Op.45
ズ
ピアノソナタ 第 8 番 ハ短調 Op.13 「悲愴」 より
4 ベートーヴェン
第 1 楽章
巡礼の年 第 1 年 「スイス」 S.160 より
5 リスト
第 6 曲 「オーベルマンの谷」
巡礼の年 第 2 年 「イタリア」 S.161 より
6 リスト
内山 祐里奈 (人文-M1)
第 1 曲 「婚礼」
7 ラヴェル
「クープランの墓」 より 第 3 曲 「フォルラーヌ」
6
松麿 勝利
(総合-M2)
2017 年 1 月 8 日(日)
会場:板橋区立文化会館小ホール
9:00 開場 9:30 開演 17:30 終演
V
9:30~10:30
1 ショパン
ワルツ 第 1 番 変ホ⾧調 Op.18 「華麗なる大円舞曲」 宮澤 要二
(理Ⅰ-1)
「謝肉祭-4 つの音符による面白い情景」 Op.9 より
2 シューマン
韓 亜美
(理Ⅱ-1)
武重 真優子
(東外大-1)
熊谷 公太
(文Ⅰ-1)
藤澤 燦
(理Ⅰ-1)
櫻井 結衣
(理Ⅰ-1)
大町 和海
(文Ⅲ-1)
藪田 萌
(理Ⅱ-1)
第 12 曲 「ショパン」
3 ショパン
スケルツォ 第 2 番 変ロ短調 Op.31
「子供の領分」 より 第 1 曲
4 ドビュッシー
「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」
メトネル
2 つのおとぎ話 Op.20 より 第 1 曲 変ロ短調
5
ショパン
6 スクリャービン
12 の練習曲 Op.10 より 第 7 曲 ハ⾧調
幻想曲 ロ短調 Op.28
2 声のインヴェンション より 第 11 曲 ト短調
J.S.バッハ
BWV.782
7
大町和海
8 ショパン
習作小練習曲 4
ピアノソナタ 第 3 番 ロ短調 Op.58 より 第 1 楽章
7
VI
10:45~11:40
1 フォーレ
言葉のない 3 つのロマンス Op.17 より 第 3 曲
荒木 太志
(理Ⅰ-1)
組曲 「くるみ割り人形」 Op.71a より
嶋田 有紗
(桐朋-1)
嶋村 鮎
(桐朋-1)
巴里で四月に
渡邊 貴弘
(理Ⅱ-1)
「憾(うらみ)」
三輪 哲大
(理Ⅰ-1)
方 大樹
(理Ⅰ-1)
2 チャイコフスキー
第 2 曲 「行進曲」・第 4 曲「ロシアの踊り」
トレネ=
3
ワイセンベルク
4 滝廉太郎
カプースチン
8 つの演奏会用練習曲 Op.40 より 第 1 曲 「前奏曲」
5
ドビュッシー
喜びの島
6 村松海渡
コンポージション
村松 海渡
(理Ⅰ-1)
7 スクリャービン
ピアノソナタ 第 5 番 Op.53
岡田 柚香
(東音-1)
8
VII
11:55~13:15
13 の前奏曲 Op.32 より 第 10 曲 ロ短調
1 ラフマニノフ
服部 宜成
(教養進-2)
楽興の時 Op.16 より 第 4 曲 ホ短調
ブラームス
ハンガリー舞曲集 より 第 2 曲 ニ短調
北島 萌絵
(工進-2)
佐々木邦雄
大洋の鼓動
北島 紗恵
(早大-2)
藤江 教貴
(工進-2)
池田 百合香
(薬-3)
松下 祐介
(理進-2)
森 章彩子
(経-3)
塩井 悠太郎
(工進-2)
2
「ピアノのために」 より 第 1 曲 「前奏曲」・
3 ドビュッシー
第 3 曲 「トッカータ」
4 ショパン
大町和海
バラード 第 1 番 ト短調 Op.23
随想 13
5
ドビュッシー
6 シューベルト
ショパン
前奏曲集 第 2 集 より 第 5 曲 「ヒースの草むら」
4 つの即興曲 D.935 より 第 3 曲 変ロ⾧調
24 の前奏曲 Op.28 より 第 24 曲 ニ短調
7
上原ひろみ
The Tom and Jerry Show
9
VIII
13:30~14:50
1 モーツァルト
2 ルトスワフスキ
芝池 円香
(藝大-2)
平松 拓馬
(医-6)
角野 隼斗
(工-3)
村松 海渡
(理Ⅰ-1)
西郷 満美
(東音-3)
2 台のピアノのためのソナタ K.448 より 第 1 楽章
パガニーニの主題による変奏曲
ストラヴィンスキ
ペトルーシュカからの 3 つの断章 より 第 1 曲
ー
「ロシアの踊り」・第 2 曲 「ペトルーシュカの部屋」 佐藤 優
3
4 ドビュッシー
(東音-3)
南 克彦
(理-3)
萩森 秀太
(工-3)
「牧神の午後」への前奏曲
ピアノ協奏曲 第 2 番 ハ短調 Op.18 より 第 1 楽章・ 川羽田 真奈
(東音-3)
第 3 楽章
西川 凌
(経-3)
本荘 悠亜
(文-3)
伊藤 圭祐
(理Ⅰ-1)
5 ラフマニノフ
6 スクリャービン
交響曲第 4 番 Op.54 「法悦の詩」
10
IX
15:05~16:05
夜想曲 第 9 番 ロ⾧調 Op.32-1
1 ショパン
角野 隼斗
(工-3)
萩森 秀太
(工-3)
マズルカ風ロンド ヘ⾧調 Op.5
2 カプースチン
8 つの演奏会用練習曲 Op.40 より
第 8 曲 「フィナーレ」
3 モーツァルト
ロンド ニ⾧調 K.485
高倉 眞優子
(工-3)
4 モンポウ
歌と踊り より 第 7 番
南 克彦
(理-3)
5 ショパン
スケルツォ 第 2 番 変ロ短調 Op.31
能城 秀彬
(総合-M1)
和田 有希
(理-M2)
前奏曲
6 ラヴェル
ソナチネ
X
16:20~17:30
1 ブラームス
ピアノソナタ 第 3 番 ヘ短調 Op.5 より 第 2 楽章
石橋 颯己
(農-3)
2 リスト
ハンガリー狂詩曲 S.244 より 第 2 曲 嬰ハ短調
平田 俊太郎
(経-4)
桑原 淳
(工-4)
石神 一貴
(理-M1)
江島 駿
(数理-M1)
平松 拓馬
(医-6)
3
ショパン
12 の練習曲 Op.25 より 第 5 曲 ホ短調
ショパン=
ショパンの練習曲に基づく 53 の練習曲 より
ゴドフスキー
第 34 番 「マズルカ風」
4 ゴットシャルク
演奏会用パラフレーズ 「ユニオン」 Op.48
ソナチネ より 第 1 楽章
5 ラヴェル
「クープランの墓」 より 第 3 曲 「フォルラーヌ」
6 スクリャービン
ピアノソナタ 第 5 番 Op.53
11
FP (from performers)
I
2 芝池 円香
ドビュッシー 喜びの島
こんにちは。私は東京藝術大学で音楽学を勉強しています。ですので毎回申し上げていますが、ピアノの実力
に関しましては暖かい目、いや耳、を傾けていただければと思っております。
今回演奏する《喜びの島》は、ドビュッシーには珍しく即興的な要素がある点が、恋に我を忘れたり心が飛び
跳ねたり驚くほど優しい気持ちになる様子が見事に表されていると思います。ドビュッシーを弾いていると、
自分の体がふわりと浮かんでパラレルワールドに迷い込み、粒子となって解き放たれていく不思議な感覚にな
ります。
見たこともない色彩と光で満ち溢れている世界を目指して心を込めて演奏します。
3 ⿁原 里奈
植松伸夫=中山博之 反乱軍のテーマ
1988 年にスクウェアエニックスより発売されたロールプレイングゲーム、 FINAL FANTASY Ⅱ (以下 FF2)
より、反乱軍のテーマを演奏します。ファイナルファンタジー(以下 FF)シリーズの第 2 作目にあたります。
第 1 作目は 1987 年に発売されているので、FF シリーズは今年で 30 周年を迎えます! おめでたいですね。
30 年前私はまだ生まれていませんが、今こうやって同じ時代を生きることができて嬉しく思います。
FF2 は敵サイドが帝国軍、主人公および仲間達が帝国軍に抵抗する反乱軍の協力者という位置付けです。当
時の RPG では異例と言えるほど複雑な人間関係や命の尊さなどを描いている物語だそうです。また、本作で
はレベルアップの概念がなく、戦闘中に負ったダメージの量や武器や魔法を使用した回数によって個々のキャ
ラのステータスや熟練度が上がるシステムだそうです。第 1 作目の FF を制作している頃、作曲者である植松
伸夫さんはまさかこのゲームがシリーズになるとは考えていなかったそうで、FF2 にはあの有名な FF メイン
テーマ Final Fantasy が入っていません。第 3 作目からは再び使われるので、この楽曲が使われないのは FF2
だけということになります。ちなみに FF シリーズでお馴染みとなるチョコボやシドは本作で初登場します
よ!
反乱軍のテーマは、反乱軍のアジトで流れる BGM です。勇壮ながらもどこか哀しみを感じられる楽曲で、
FF2 随一の人気を誇っています。ファミコン版の原曲、リメイク版のアレンジ共に人気が高いです。私はこの
ピアノアレンジ版を聴いてこの曲を知ったのですが、「なんてかっこいい曲なんだ…!」と、一目惚れならぬ
一聴き惚れをしました。FF の音楽を弾くようになるきっかけとなったうちの 1 曲でもあります。大好きな曲
なので、この楽曲をご存知でない方にもこの楽曲の勇壮感、悲壮感といった良さが伝わるように頑張ります!
12
5 田中 麻子
ショパン 12 の練習曲 Op.10 より 第 4 曲 嬰ハ短調・第 5 曲 変ト⾧調 「黒鍵」
ショパン ワルツ 第 6 番 変ニ⾧調 Op.64-1 「小犬」
夏の演奏会で納得のいく演奏ができなかったので、再チャレンジです。
6 田中 麻子 ⿁原 里菜
下村陽子 Vase di Fantastica (FAINAL FANTASY 15)
FINAL FANTASY XV (以下 FF15)は、2016 年 11 月 29 日にスクウェアエニックスより発売されたアクション
RPG です。ファイナルファンタジー(以下 FF)シリーズ第 15 作目の最新作です。ストーリーコピーは『父と
子。そして王の物語。』であり、主人公は王国の王子ノクティスです。ノクティス含め 4 人での旅となります。
まだ発売されて間もないので物語についてはこれ以上触れないようにしておきますね!
FF15 は FF シリーズ初の「オープンワールド」を採用していて世界が非常に広いため、レガリアという名前
の車が旅の主な移動手段です。また、「リアル」と「ファンタジー」の融合により生み出される世界観とグラ
フィックが特徴的です。キャンプ中やレストランに行くとご飯が食べられるのですが、本物みたいでとても美
味しそうなんです。序盤にレストランで美味しそうなご飯を眺めていたら間違えて注文してしまい一文無しに
なるくらいですよ(実話)。釣りをすることや写真を撮ってもらうこともでき、今までの FF シリーズよりもず
っと自由度があるので、探索すればするほど楽しくなるゲームだと思います。
今回演奏する楽曲は、イタリアのヴェネツィアがモチーフとなっている水の都で流れる BGM です。フィー
ルド曲の 1 つでもあります。FF15 の体験版「プラチナデモ FF15」でも聴くことができます。壮大であり、
耳に残りやすいメロディーです。作曲者である下村陽子さんらしさがよく出ており、「下村節」とも言われて
おり、FF15 の中でかなり人気の高い楽曲です。私達もこの楽曲が大好きです!
FF15 公式ピアノアレンジの
アルバムはまだ発売されていませんが、先日発売されたサウンドトラックに、特典としてこの楽曲を含む 6 曲
のピアノアレンジが収録されていたので、それを元にピアノとバイオリン合奏にアレンジして演奏いたします。
7 杉本 眞子
ショパン 12 の練習曲 Op.10 より 第 8 曲 ヘ⾧調
ショパン 12 の練習曲 Op.25 より 第 11 曲 イ短調 「木枯らし」
こんにちは!
新年 1 発目はショパンのエチュード 2 曲です。
Op.10-8 は軽快で爽やかな曲。F dur という調性も、程よい明るさがあって 1 月に合っていると思います。
対する Op.25-11 は、緊張感を感じる曲です。緊張感といってもただの(試験まえみたいな)緊張ではなくて、
力強さで張ってるほうの感じです。
さて、この本番をはじめとして、この 1 月は毎週 2~3 コの本番があります。幸先良いスタートが切れますよう
に。そして、聴いて下さった方に爽快感と疾走感が届きますように!
13
8 白波瀬 優
ルクー 3 つの小品 より 第 1 曲
サティ 「グノシェンヌ」 第 1 番
奥村一 ピアノのためのトッカータ
「工事現場」
八月演奏会で取り上げようとして断念、駒場祭大演奏会で取り上げようとして断念した、
奥村一がメインです。
副会⾧の任期を終え、一般の会員として久々にエントリーできるのが不思議な気持ちです。
さて、曲紹介を少しいたします。
まず、ルクーの曲について。そもそも、ルクー is 誰?
という方も多いと思うので、ルクーの説明をしまし
ょう。ギヨーム・ルクーは 1870 年ベルギーに生まれ 1894 年に夭逝した作曲家で、私が最も愛する作曲家の
一人であるフランクの弟子です。師の作風と似た作曲家なのですが、まともなピアノの曲はこの小品とピアノ
ソナタくらいしかありません。しかし、そのどちらもたいへん素晴らしいので演奏会で取り上げようと思って
いました。今回弾く小品は短いのですが美しい曲なので、ぜひこの機会にルクーの名を覚えていってもらいた
いです。
次に、サティですが、ジムノペディが有名すぎるせいか、グノシェンヌの方はあまり取り上げられていないよ
うです。演奏記録がなさそうなので、私の好きな第一番を弾きたいと思います。不気味な曲ですが、サティら
しい曲です。ただ、奥村一の方に気を取られていてあまり練習していないので期待しないでください。
最後に、奥村一のピアノのためのトッカータ「工事現場」について。音がめちゃめちゃ多いので体を壊しそう
な曲です。もともと腱鞘炎持ちなのに大丈夫なのか非常に不安ではありますが、まともな録音がないので頑張
って取り組みたいと思います。この曲は、工事現場の騒音をヒントに作曲されたそうですが、うまくそれが表
れていると思います。脱力しないと間違いなくスタミナが切れてしまうので、熱くなりすぎないように落ち着
いて、脱力して弾きたいと思います。
と、
いろいろ書いたはいいものの、土曜の最初の部はあまり人が来ないので布教できなさそうなのが残念です。
II
1 木田 美聖
ショスタコーヴィチ 24 の前奏曲とフーガ Op.87 より 第 4 曲 ホ短調
この曲はそばに寄り添うとほっとするような冷たさのある曲だなぁと思います。相手を傷つけない、ただそこ
にあるだけの冷たさみたいな感じがします。前奏曲は、夜のわずかにうごめく霊気の塊のようで私にはとても
居心地が良いです。フーガは、前奏曲の流れを引き継いで夜も深まり、荘厳な響きと共に暗闇に染み渡るイメ
ージです。どうぞお付き合いください。
14
5 小瀬 理恵
久石譲 Hope & Legacy
今回は、羽生結弦選手が、今シーズンの FS で使用している曲を演奏させて頂きます。この曲は、久石譲の「View
of Silence」と「Asian Dream Song」という2曲をフリーのプログラム用にミックス編集したものになってい
ます。
私は久石さんの作品が大好きなので、今回羽生選手が久石さんの曲を選んだことによって、多くの人が久石さ
んの曲を耳にする機会が増えると思うと、とても嬉しいです。
現在「Hope & Legacy」という楽曲としての公式楽譜はないため、手元にあった 2 曲の楽譜をベースに、楽譜
と異なる部分や楽譜にない部分を追加しながら、なるべく忠実になるよう意識して自分でピアノソロ用に編曲
させて頂きました。
7 坂本 優希
ショパン ポロネーズ 第 7 番 変イ⾧調 Op.61 「幻想」
出身国ポーランドに強い愛情を寄せるショパンによる 7 番目のポロネーズは、当初は自由な構成をもつ「幻
想曲」として作曲され、ポロネーズの名を冠する作品としては変わった曲想をもちます。気のおもむくままに
寄せては引いていく旋律や和声の数々が、じつは息をのむほど緻密に結び付けられ、⾧大ながら端正な一作品
をつくり出しています。ちりばめられた規律正しいポロネーズの形式は、仕方もなく拡がっていく絶望的で美
しい夢幻を押しとどめようとするようにも、あるいは温かくこだまし包み込むようにも聴こえます。フラン
ツ・リストに「この痛ましい幻影は芸術の域を超えている」と言わしめた、ショパンの晩年の傑作です。冬だ
というのに感傷に浸るひまもないような最近の生活のなかで、この作品に指を載せている時間が、わたしを最
も正直にさせる時間であるように感じます。
III
2 森 大輔
譚盾 水彩画による 8 つの思い出 Op.1 より 第 1 曲 「欠けた月」
・第 2 曲 「飛び跳ねる豆」
・第 3 曲 「牧童
の歌」・第 4 曲 「青い衣の尼」
・第 7 曲 「浮き雲」
・第 8 曲 「狐の嫁入り」
本日は一月演奏会にお越しくださり、ありがとうございます。
さて、本日演奏するのは、現代中国を代表する作曲家、譚盾(Tan dun、1957~)の作品です。譚盾の作品は、
オーケストラから室内楽、オペラから映画音楽まで多岐にわたりますが、ピアノ独奏曲は今回演奏する「水彩
画による 8 つの思い出」のみのようです。
この作品は、詩的なタイトルを持つ、非常に描写的な 8 つの小曲からなる組曲です。作品番号からも伺える
通り、おそらく作曲家としてのデビュー作となった作品で、作曲者が 21 歳か 22 歳のころに作曲されています。
1 曲 1 曲が短く、習作のような雰囲気もありますが、僕は以前から非常に気に入っている作品です。
少し音楽的な話をすると、曲全体を通して、五音音階とよばれるアジアに伝統的な音階が使われているのが
特徴的です。また、曲によっては拍子が指定されていなかったり(部分的には小節線さえありません)、楽譜に
書き込まれた指示も少なかったりと、全体的に自由な作風が目立ちます。
15
なお、今回は時間の都合により、第 5 曲「紅の荒野」・第 6 曲「古代の埋葬」を省略して演奏します。ご了
承ください。以下、各曲を簡単に紹介したいと思います。
♩第 1 曲「欠けた月」 / Missing moon
音の置き方が非常に自由で、ドビュッシーなどに代表される印象派の影響を感じさせられます。東洋的で近代
的な和声と旋律が、神秘的で幻想的な雰囲気を作り出します。
♩第 2 曲「飛び跳ねる豆」 / Staccato beans
曲名通りの飛び跳ねるようなリズムと、まさに中国といった感じの旋律が特徴的です。快活さと躍動感に溢れ
る曲です。
♩第 3 曲「牧童の歌」/ Herdboys song
のどかで牧歌的な曲。非常に自由で開放的な雰囲気があります。笛を模したような旋律と、こだまのような響
きが印象的です。
♩第 4 曲「青い衣の尼」 / Blue nun
組曲の中で唯一、対位法的な書法で書かれています。非常に音数が少ないことが特徴的です。静謐で、どこか
崇高な雰囲気があります。
♩第 7 曲「浮き雲」 / Floating clouds
美しいアルペジオに乗って、息の⾧い旋律が奏でられます。メンデルスゾーンの無言歌のような、洗練された
美しさがあります。
♩第 8 曲「狐の嫁入り」 / Sun rain
気象学的には「天気雨」というそうです。4 度の音程がほぼ全曲を支配し、非常に東洋的な曲調を作り出して
います。終曲に相応しい派手さがあります。
さて、ピアノの演奏会というと、主にヨーロッパの作曲家の曲がプログラムに並ぶのが通例です。少なくと
もアジアの作曲家の作品がプログラムに載ることは滅多にありません。まあ、作品数が少ない上にどれもこれ
も知名度が低いので、当然といえば当然なのですが。
ですが、隠れた名作と言える作品が多いのも事実だと思っています。今回、中国のピアノ曲を聴くという稀
有な体験を通して、皆様がこういった音楽に興味を持っていただければ、嬉しい限りです。
16
5 鈴木 智充
シューマン ピアノソナタ 第 2 番 ト短調 Op.22 より 第 1 楽章
心を押し潰す不安、焦燥、絶望。
漏れ出す嗚咽。
安穏と歓楽に満ちた追憶。
ご来場ありがとうございます。来る 3 月 11 日及び 12 日、ルーテル市ヶ谷ホールにて、2013 年度入会生によ
る卒業演奏会が開催されます。私もその場で、この曲を全楽章通して弾かせていただく予定です。お時間ござ
いましたら、足をお運びいただければ幸いです。
7 石井 祐子
ショパン 24 の前奏曲 Op.28 より 第 4 曲 ホ短調
ショパン 即興曲 第 1 番 変イ⾧調 Op.29
今回の一月演奏会の出演をもって、新人演奏会からの皆勤賞を達成しました!
…だからと言って偉いとか、何か褒美がもらえるとか、そういうわけではないのですが(笑)
大学 4 年間ピアノを続ける上で、ピアノの会の演奏会に出演することは私のなかでとても大きなモチベーショ
ンになっていました。会全体の演奏会としては最後の出演になりますが、楽しんで演奏したいと思います♪
以下宣伝にはなりますが、
1/29(日)
お茶の水女子大学ピアノ班卒業演奏会@お茶の水女子大学本館キイン堂
3/11(土)-12(日)
東京大学ピアノの会 2013 年度入会生による卒業演奏会@ルーテル市ヶ谷
に出演します!4 年間の集大成として一生懸命演奏するので、お時間のある方はぜひお越し下さい(^^)
IV
4 大澤 進
ベートーヴェン ピアノソナタ 第 8 番 ハ短調 Op.13 「悲愴」 より 第 1 楽章
10 年前の 4 月のことでした。東大に3回目の入学を果たした僕は、運動部の活動のためにすべてを賭けて
勉強をおろそかにしていた過去2回の東大生生活に悔いはないものの、今度こそは研究者を目指して勉強にす
べてを賭けるためにサークル活動はやめておこうと思っていました。ところが、偶然通りかかったキャンパス
プラザの入り口で、東大ピアノの会の新入会生募集の立て看板を見て、吸い込まれるように会室へ足を運び、
会室にいた2年生に「入会します。
」と言って名前を書いていた自分がいたのです。
⾧いブランクを経てのピアノ再開でした。その頃は、バイエルくらいのレベルまで下がっていたでしょう。
少年時代に演奏していた曲が全く弾けなくなっていて、情けない思いをしていました。それに周りの会員の腕
前が素晴らしく、劣等感を感じていました。それでも授業が終わった後、毎日会室で練習し、少しずつ、少し
ずつ、前進していったと思います。
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今日演奏するベートーヴェンの悲愴ソナタは、2007 年度入会生による卒業演奏会で演奏する予定だった曲で
す。卒業演奏会で弾く曲は「悲愴」しかないと、早くから決めていて、入会3年目の終わり頃から練習を始め
ました。4年目の夏に九大の大学院を受験して合格した後は、卒業演奏会の準備のためにピアノ漬けの生活を
送りました。
ところが、病気のため僕は卒業演奏会に出演できなかったのです。2011 年3月のことです。あれから6年、
東大ピアノの会での最後の演奏会では、あの日、演奏できなかった「悲愴」を弾くんだ、と思い続けてきまし
た。そして、とうとうその日が来ました。悔いの残らない演奏をして、東大ピアノの会を卒業します。
この 10 年間、楽しいことや、辛いこと、いろいろなことがありました。その間、東大ピアノの会は常に自
分の心の支えでした。今まで本当にありがとうございました。
大澤
進
6 内山 祐里奈
リスト 巡礼の年 第 2 年 「イタリア」 S.161 より 第 1 曲 「婚礼」
ラファエロの絵画「聖母の婚礼」にインスピレーションを得て書かれたといわれる、格調高く美しい曲です。
約 8 年間のブランク明けで目下リハビリ中ですが、楽しんでいただけるよう心をこめて演奏したいと思いま
す。
7 松麿 勝利
ラヴェル 「クープランの墓」 より 第 3 曲 「フォルラーヌ」
最後の演奏会なので今まで弾いた曲を振り返りながら 6 年間を思い出してみようと思います。
1.J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第 1 巻 より 第 1 曲 ハ⾧調 BWV.846 より 前奏曲(1 年秋コン)
記念すべき P 会での最初の演奏機会は演奏会ではなく秋のコンサートパーティでした。というのも入会当時は
ピアノの技術が非常に低く(習ったこともなかった)、演奏会に出せるような曲を用意できないと思っていたか
らです。特に譜読みの力が非常に問題で、それまでに弾けた曲というのは、一小節ごとに楽譜を解読していっ
て指に動きを覚え込ませ、できたら次の小節へ...というやたら根気が必要な方法で習得していました。そんな
中で先輩に紹介してもらったこの曲は非常に譜読みが楽で、当時の自分でも譜面を見ながら演奏することがで
きました。譜面を見ながら演奏するという(少なくとも暗譜するまでの段階では)当たり前のことを経験でき
たのは、今後の練習に繋がっていったと思います。以降、ブルグミュラーを練習したり駒場のピアノ教室に通
い始めるなどピアノ生活をスタートすることになります。
ちなみにその 5 年後、M2 の六連オールデュオコンサートで「アヴェ・マリア」の伴奏(Vn.田中麻子さん)とし
てこの曲を再演できたのはよかったです。
2.J.S.バッハ:2 声のインヴェンション より 第 13 曲 イ短調 BWV.784
ショパン:ワルツ 第 19 番 イ短調 遺作(1 年一月演奏会)
初めて演奏会に出ることができたのは 1 年の一月演奏会、入会して 1 年近く経とうとしている時でした。ブル
グミュラーのような子供向けの教材ではなく、演奏会で弾けそうな易しい曲を探した結果この 2 曲にしました。
ただしインヴェンションは今でも結構難しいかもしれません...。
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3.ベートーヴェン:ピアノソナタ 第 8 番 ハ短調 Op.13 「悲愴」
第 1 楽章(2 年五月祭)
第 3 楽章(2 年駒場祭)
第 2 楽章(3 年五月祭)
初めての演奏会に出演してから、さあ次は何を弾こうと考えていたところ、なぜか突然「悲愴」の一楽章に挑
戦することになってしまいました。無謀なチャレンジをしたい年齢だったのかもしれません。もっとも、小さ
い頃から練習しないと上手くなれないと言われているピアノを大学生になってからどうにかしようと思うこ
と自体が無謀だったのかもしれませんが。とりあえず通して弾けるように(?)なったので、2 年の五月祭で
弾きました。次に 3 楽章に挑戦したのですが、3 楽章は常に動きのある曲なので 1 楽章より取り組みづらかっ
たかもしれません。ゆっくりで易しいと言われている 2 楽章は最後に取り組むことになったのですが、早めの
テンポの曲とは違った難しさがあったので、自分にとっては簡単ではありませんでした。
4.ベートーヴェン:ピアノソナタ 第 12 番 変イ⾧調 Op.26 「葬送」
第 1 楽章(3 年八月演奏会)
第 1 楽章・第 2 楽章(3 年駒場祭)
「悲愴」を弾いて以来ベートーヴェンにはまっていたので、おすすめの曲として先輩(野中さん)に紹介して
もらったのがこの曲です。1 楽章は変奏曲形式になっており、(一部の変奏を除いて)テンポも遅めなので規模
は大きいですが取り組みやすい気がしました。2 楽章はテンポが速く困難な箇所もあるのですが、短いので勢
いで弾いてしまいました...。ちなみに 4 楽章構成ですが 3,4 楽章は弾いていません。
5.ベートーヴェン:ピアノソナタ 第 27 番 ホ短調 Op.90 より 第 1 楽章(3 年一月演奏会・4 年五月祭)
ベートーヴェンの後期の作品に興味を持ったので、弾けそうなものを探していて出会ったのがこの曲です(厳
密には中期に入るらしい)
。どこか寂しげな印象のあるこの楽章は当時の心情に合っていたのかもしれません。
6.ショパン:バラード 第 3 番 変イ⾧調 Op.47(4 年八月演奏会・4 年駒場祭・卒業演奏会)
ピアノの会では定番の大曲としてよく演奏されるショパンのバラードですが、その中で自分に合っていてなん
とか弾けそうな 3 番を選んで取り組んでみました。もちろんまともに仕上げるのは無理でしたが、卒業演奏会
では自分なりの演奏をすることが出来たと思います。以降難しい曲を目指していくのは控えようかな、と思う
ようになった転機でもあります。
7.J.S.バッハ:カンタータ「心と口と行いと命もて」 BWV.147 より 第 10 曲「主よ、人の望みの喜びよ」
ブラームス:ワルツ集 Op.39 より 第 15 曲 変イ⾧調(卒業演奏会)
卒業演奏会で野島(2011 年度会⾧)との 2 台ピアノをすることになり演奏した曲です。大学院に残るとはいえ
一つの節目となる卒業演奏会で、良い思い出ができました。ちなみに人と合わせて演奏するのは初めてだった
のでかなりのプレッシャーがありましたが、本番はなんとかなりました。
8.ラヴェル:ハイドンの名によるメヌエット(M1 一月演奏会)
「クープランの墓」は最後に回すとして、こちらを先に紹介します。一月演奏会で「クープランの墓」のメヌ
エットに加えて一曲追加しようと思い選んだのがこの曲です。何となく暖かい雰囲気のあるこの曲は冬の季節
に合っていたような気がします。1 分程度の短い曲です。
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9.デュティユー:
「波のまにまに」 より 第 1 曲 「子守歌風の前奏曲」
・第 3 曲 「即興曲」
・第 4 曲 「無窮動」
(M2 五月祭)
現代の作曲家の曲を弾いてみたいと思っていたということもあり、この曲を選んでみました。とても印象に残
る曲で、自分が 1 年生のときにとある先輩が演奏していたのをよく覚えています。なかなか指に馴染まない弾
きづらい曲で、本番は失敗したような気がしますが、こういう曲に取り組めたこと自体はよかったかなと思い
ます。
10.ラヴェル:
「クープランの墓」
第 1 曲 「前奏曲」(M2 駒場祭)・第 3 曲「フォルラーヌ」(M1 駒場祭・M1 二月六連サロン・2010 年度入会
生による OBOG 演奏会のレセプション)・第 4 曲「リゴードン」(M2 八月演奏会)・第 5 曲「メヌエット」(M1
五月祭・M1 一月演奏会)
卒業演奏会が終わり、何か今までとは違った曲を弾いてみようと思い選んだのが「クープランの墓」の「メヌ
エット」です。メヌエットを選んだ当時は修士 2 年間ずっと「クープランの墓」に取り組み続けるとは思って
いませんでした。
修士 2 年間を振り返って、演奏会における一番の思い出は「フォルラーヌ」を弾いたときでしょうか。十分な
練習をできたかどうかは微妙なところでしたが、演奏が終わってから多くの人に感想を伝えてもらえました。
上手くはなくとも印象に残るような演奏ができたのかなと思います。
「リゴードン」は譜読みは比較的楽ですがやはり難しい曲でした。冒頭の手が交差する部分や、速い動きが必
要な部分、手を広げないと届かない和音など。しかし弾いていて楽しい曲でもあります。
「前奏曲」は第 1 曲ではありますが今まで弾いた 4 曲のうち最後に取り組むことになりました。自分には難し
すぎる部分もある曲ですが、自分なりに取り組んでみました。最後の駒場祭で弾きました。最近のことです。
以上、雑な文章だったかもしれませんが一通り振り返ってみました。6 年間、つまり自分の人生の 4 分の 1 は
P 会員として過ごしたことになります。ピアノに関してはどうしても平均的 P 会員のようには弾けず、レイト
スターターとしての限界を感じたり、そもそもやる気が出ずにあまり練習しない時期が多かったりと、つらさ
を感じることもありましたが、東大ピアノの会という素晴らしい環境でピアノに取り組めたことは一生の財産
です。ありがとうございました。そんな思い出を振り返りながら、今回は「クープランの墓」の「フォルラー
ヌ」を演奏します。去年の駒場祭の時に比べて練習時間も少なくなってしまいますが(演奏の日、修論締め切
り 5 日前なんですよね......)
、何かしら印象に残るような演奏をできたらいいなと思います。
さて、現役会員として参加できるのはこの一月演奏会が最後ですが、3/4 には汐留ベヒシュタインサロンで
2011 年度入会生による OBOG 演奏会があります。OBOG 演奏会が本当の最後ということになります。そち
らの方もどうぞよろしくお願いします。
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V
3 武重 真優子
ショパン スケルツォ 第 2 番 変ロ短調 Op.31
スケルツォ第 2 番は、私が中学生の時に上手く弾けずに後悔が残った時からずっとリベンジしたいと思ってい
た曲です。皆さんにこの曲の華やかさや優雅さ、力強さなどの様々な音色を感じてもらえたら嬉しいです。
7 大町 和海
J.S.バッハ 2 声のインヴェンション より 第 11 曲 ト短調 BWV.782
大町和海 習作小練習曲 4
ト短調は、私がバッハの二声インヴェンション 15 曲の中で最高傑作だと思っている作品です。たった二声で
ここまで奥深い音楽を作れるということに驚嘆を禁じ得ません。そんな名曲の後に自作曲を弾くのは本来ため
らうべきことですが、調性の取り合わせなどを考え敢えてこの順で弾くことにしました。拙い演奏になると思
いますが、バッハの(作曲上の)超絶技巧と私の作曲への思いが皆様に少しでも伝われば、それ以上の幸いは
ありません。
以下は自作について、私自身の解釈を簡単に述べさせて頂きたいと思います。
全体は大きく三部に分かつことができると思います。
Ⅰ部は右手と左手が上品に語り合うような、清潔感があると思います。響きは機能和声法にしたがっており、
イ⾧調に始まり素早い転調を経てイ⾧調に回帰します。
Ⅱ部は一転してハ⾧調で切り出され、並行や半音進行によって調性感がやや曖昧な響きへと導かれます。これ
にしたがって音楽の表情もどこか割り切れないものとなっています。それを経て、Ⅲ部への少し意外性のある
推移は一つの聞きどころではないでしょうか。
Ⅲ部はⅠ部の再現です。音としては末尾を除いてⅠ部と変わらない(これは作品としての作り込みの浅さと言
わざるを得ませんが)ので、せめて演奏表現の上で変化を付けられるよう努めたいです。
全体を通しては、モティーフを(しばしばリズムや音の昇降を変化させて)反復すること、時おり変拍子的な
リズムが差し挟まれることが特徴といえるでしょう。お聞き下さった皆様からも、もし何かご意見を頂けまし
たら、大変有難いことと思います。
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VI
5 方 大樹
カプースチン 8 つの演奏会用練習曲 Op.40 より 第 1 曲 「前奏曲」
ドビュッシー 喜びの島
カプースチンはウクライナの作曲家で、一時期ジャズ・オーケストラとして旅をしていたこともあり、ジャズ
とクラシックを組み合わせた曲を多く作曲しました。今回演奏する8つの演奏会用エチュード「前奏曲」もジ
ャズの要素が多く含まれている曲です。この曲は2代前の会⾧である萩森さんの演奏を聴いて気に入りました。
萩森さんのように軽快な演奏を目指して頑張ります。
2曲目の喜びの島は有名な曲なので説明は省略します。キラキラするような豊かな音色が魅力の曲だと思うの
で、良い音をしっかり出したいと思います。
VII
3 藤江 教貴
ドビュッシー 「ピアノのために」 より 第 1 曲 「前奏曲」・第 3 曲 「トッカータ」
ドビュッシーを弾くのは高 2 以来、ピアノの会に入ってからでは初めてになります。技術面においても、表現
的な面においても、独特の響きを出すのが非常に難しくて、限られた時間の中で四苦八苦しています。ドビュ
ッシー好きの方は私の演奏に怒りを覚えるかもしれませんが、頑張りますのでどうかお許し下さい…
5 松下 祐介
大町和海 随想 13
ドビュッシー 前奏曲集 第 2 集 より 第 5 曲 「ヒースの草むら」
大町和海 ― 随想 13
当会のクリスマスパーティーで作曲者からこの曲の楽譜をプレゼントされたので、演奏することを決めました。
白鍵を基調とする音の並びからとりとめのない心の動きが浮かび上がるような、不思議な曲です。
ドビュッシー ― 前奏曲集 第 2 集 より 第 5 曲 「ヒースの草むら」
延々と続く平坦な荒地に目にも鮮やかな紫色の花を咲かせるヒースは、可憐でありながらどこか悲痛な印象を
与えます。この曲の描く温かさと寒々しさの入りまじる情景をお届けできれば幸せです。
7 塩井 悠太郎
ショパン 24 の前奏曲 Op.28 より 第 24 曲 ニ短調
上原ひろみ The Tom and Jerry Show
今回のテーマはトムとジェリーです。
ランランがピアノを始めたきっかけとも言われているトムジェリの中の一つの作品「ピアノ・コンサート」は、
僕自身幼心に見ていてとても感動しました。
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前半の曲は、その作品のオープニング曲として使用されており、僕にとってはショパンの前奏曲のラストを飾
る曲というよりも、トムとジェリーが仲良く喧嘩し始める前兆という気がしてなりません。
後半の曲は言うまでもなく、上原ひろみがトムとジェリーのドタバタ劇をイメージして作られた曲です。トム
が壁にぶつかる様子やジェリーがちょろちょろと逃げ回る模様が見事に表現されています。
リスト作曲のハンガリー狂詩曲第2番も演奏出来れば更なるトムジェリ感だったのですが制限時間が…(笑)
精一杯演奏するのでぜひお楽しみください。
VIII
5 南 克彦 萩森 秀太
ドビュッシー 「牧神の午後」への前奏曲
そよとも動かず
気だるいままに
爽やかな朝も、
熱気に
せせらぎもなく、
生気も失せて、
抗おうにも息は詰まり、
呟くものは、
草むらに、 わたしの笛の
音の調べの
注いだ水。
二つの管より立ち昇り、
音をたちまち
乾いた雨と 撒き散らす
この風ばかり、
一筋の皺も 動きはせぬ
水平線に、
まざまざと見える
息が
今再び、
澄みきった
天上界へと
霊感の
露に濡れた
風は
巧みの
昇ってゆく。
(ステファヌ・マラルメ 『半獣神の午後』 (渡辺守章 訳) より 抜粋)
IX
4 南 克彦
モンポウ 歌と踊り より 第 7 番
スペイン・バルセロナ出身の作曲家フェデリコ・モンポウ (1893-1987)のライフワークとも言える作品『歌
と踊り』は、彼の生涯にわたって全 15 曲が作曲されています。いずれの作品も、ゆっくりとメロディーが歌
われる「歌」と活発な「踊り」から構成され、ほとんどの作品にカタルーニャ地方の民謡が用いられています。
今回演奏する第 7 番もその一つで、
「歌」には『カニゴーの山(天の恵みの山)』が、
「踊り」には『あととり息
子のリエラ』の主題が取り入れられています.モンポウの手によって素朴な旋律に繊細な和声が彩られ、民謡
の持つ無垢な美しさがより一層のものに感じられるような気がします。
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X
3 桑原 淳
ショパン 12 の練習曲 Op.25 より 第 5 曲 ホ短調
ショパン=ゴドフスキー ショパンの練習曲に基づく 53 の練習曲 より 第 34 番 「マズルカ風」
新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。
・ショパン 練習曲 Op.25-5
説明不要の屈指の名曲です。
・ゴドフスキー ショパンの練習曲に基づく 53 の練習曲 より 第 34 番 「マズルカ風」
ゴドフスキーによって好き勝手に編曲されているショパンエチュードですが、Op.25-5 も多分にもれずやら
れています。今回演奏するのは 3 バージョンあるうちの 1 つです。ほかのゴドフスキー編エチュードと比べて
技巧的に易しく、また曲自体も気に入ったので演奏することにしました。編曲というよりかは改作ではないか
といえるほどにやりたい放題変えられており独自の雰囲気を持っているため、原曲から続けて聴いても飽きな
いと思います(飽きさせないように頑張ります)。
ショパンとゴドフスキーそれぞれの良さを伝えられるような演奏をしたいです。
4 石神 一貴
ゴットシャルク 演奏会用パラフレーズ 「ユニオン」 Op.48
ルイス・モロー・ゴットシャルクは 19 世紀に活躍したアメリカ合衆国出身の作曲家です。ほとんど取り上
げられる機会のない作曲家ですが、ショパンやシューマンの影響を受けた作品の他、中南米やカリブ海の民族
音楽を取り入れた独特な作品も多く残しました。
今回演奏する「ユニオン」は南北戦争の頃に書かれた作品で、アメリカ合衆国の 3 つの国民的な歌を基にし
たパラフレーズです。皆さんもどこかで聴いたことがあるメロディーではないかと思います。この曲の面白さ
を伝えられるよう精一杯演奏しますので、どうぞお聴きください。
6 平松 拓馬
スクリャービン ピアノソナタ 第 5 番 Op.53
スクリャービン(1872-1915)は 1904 年に妻ヴェラや子供たちとともにスイスのジュネーヴ湖畔に居を構
えたが、間もなく愛人タチアナをロシアより呼び寄せて近くに住まわせ、二重生活を始めた。しかし翌 1905
年 5 月、スクリャービンは妻の許を去って、タチアナとパリへ旅立ってしまう。2 人はパリから北イタリアの
ボリアスコ、ふたたびジュネーヴ、ローザンヌ、……と西ヨーロッパを転々とした。
1906 年に出版社と決裂して経済的窮地に陥ったスクリャービンは同年に単身でアメリカへと演奏旅行に行
き各地で大成功を収めるが、寂しさに耐えかねて 1907 年に呼び寄せたタチアナが正式の妻ではなくて愛人だ
ったことから大スキャンダルとなり、予定されていた演奏会はすべてキャンセルされて、2 人はほとんど無一
文でパリへ逃げ帰ったのだった。このとき、タチアナはすでに 2 人目の子供を身籠っていた。
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このアメリカ旅行中に構想され、1907 年末にローザンヌでわずか 6 日間のうちに書き上げられたのが、本日
演奏する《ピアノソナタ第 5 番 Op.53》である。
《ピアノソナタ第 4 番 Op.30》の頃から明らかになってきた機能和声の弱体化はさらに進み、調整ぎりぎり
の尖鋭な和声技法と神秘主義的音楽表現によって、全く独自の境地に足を踏み入れていることが告げ知らされ
ている。そして宗教的哲学的理念と音楽とを結合させようとする意図も露わになりつつある。1903 年に構想
されながら未完に終わったオペラによれば、芸術のもたらす法悦においてこそ人間は世界を会得しうる、と考
えていたようだ。神智学に出会ってからは神秘体験(神との合一)の法悦という理念を受け取り、音楽の内包
するところを拡げ、後期ロシア象徴主義者へと脱皮していったのである。このソナタの楽譜中への書き込みに
は、スクリャービンの神秘思想への傾倒ぶりが見てとれる。スクリャービンは自作の詩『法悦の詩』の一部を
この作品の冒頭に添えた。
私はお前を生へと招く、おお神秘の力よ!
創造の精神の模糊とした深みにしずむ、
生のおどおどした胎児。
そのお前に、私はいま大胆さをもたらす。
このソナタの一楽章制は、以後の全てのソナタや管弦楽曲で引き継がれる。スクリャービンの好んだ Fis dur
で始まるが、伝統的なソナタ形式とは違って自由に転調してゆき、終結部は Es dur で書かれている。
導入部では、冒頭の飛翔のパッセージの後、機能和声の弱体化した浮遊するような和声で、「倦怠」の楽想
が支配する。提示部(47 小節目から)は、軽快で躍動感に満ちた第一主題で始まる。96 小節目で登場する「尊
大な imperioso」第二主題は、特徴的な下行の跳躍をもつが、間もなく(114 小節目で)堂々たる上行の音形
に変わる。推移部の甘美な主題(第三主題、120~127 小節目)や、唐突に現れる動機(140~141 小節目)は、
後にクライマックスを築くうえで、重要な役割を果たすことになる。
展開部(157~328 小節目)では、導入部と第一主題、第二主題の諸動機が組み合わされながら、やがて飛
翔の性格を帯びてゆく。メノ・ヴィーヴォでの、第三主題を軸とする甘美な楽想を経て、第二主題や第三主題
が高々と歌われる、熱情的な陶酔境にいたる。
再現部に続くコーダ(401 小節目から)では、目まぐるしく熱狂的な楽想が生みだされる。第二主題(上行
の音形)、そして導入部の主題が熱烈に奏でられ、燦然たるクライマックスが築かれた後、プレスティッシモ
の飛翔のパッセージで楽曲が閉じられる。
気付いたらサークル最後の演奏会になってしまいました。この 6 年間はとても楽しく、あっという間だった
気がします。何を弾こうか悩みましたが、昨年一番練習したスクリャービンのソナタ 5 番(通称「ビン 5」
)
を弾くことにしました。大学生活を締めくくる演奏ができたらと思います。
最後に演奏会の宣伝をさせてください。3 月 14 日(火)に同期の田村和也くんとジョイントリサイタルを
させていただくことになりました。初めてのリサイタルで不安や緊張もありますが、同じくらいワクワクして
おります。精一杯がんばりますので、ご来場いただけると嬉しいです。
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< 田村和也・平松拓馬 Joint Recital >
【日時】2017 年 3 月 14 日(火)
19:00 開演(18:30 開場)
【会場】杉並公会堂 小ホール
(JR 中央線・東京メトロ丸ノ内線「荻窪駅」北口より徒歩 7 分)
全席自由 500 円
【チケットお問い合わせ】Mail : [email protected]
【後援】一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
東京大学ピアノの会
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東京大学ピアノの会
一月演奏会
日時
2017 年 1 月 7 日(土)
、8 日(日)
場所
板橋区立文化会館小ホール
主催
東京大学ピアノの会
(http://www.p-kai.net)
会⾧ 方 大樹
(連絡先:[email protected])
プログラム・表紙作成
渡邊 貴弘
次の演奏会は、2017 年 5 月 20 日(土)
・21 日(日)に東京大学本郷キャンパスにて開催される、
五月祭大演奏会です。皆さま奮ってお越しください。