基調報告 - よりよい介護をめざすケアマネジャーの会 ケアマネの会

3.23介護サービス利用制限問題を考えるヘルパー・ケアマネジャーシンポジウム
基
調
報
大阪社会保障推進協議会
告
介護保険対策委員会
日下部雅喜
はじめに
2006年度に介護保険制度が改悪されて2年。
「予防重視」と「給付の適正
化」を名目として、介護サービスの利用制限が強められています。
2008年度から3年間の「給付適正化事業」が全自治体で開始されます。
また、2009年度は介護報酬改定の年でもあり、各自治体の第4期介護保険
事業計画策定に向けた検討も今年行われます。
私たちは、こうした動きを見据えながらも、利用者の生活に必要なサービス
を確保するために努力することが求められています。
今日のシンポジウムは、この介護サービス制限問題について、①厚生労働省
や大阪府、そして各自治体の動きを把握するとともに、②利用者の生活に必要
なサービスを確保するために、ヘルパーやケアマネジャーがどのように行動す
るべきかを考える場です。
1
介護保険制度改悪とサービス制限問題
2006年度の介護保険制度改悪は、在宅サービスについて大幅な利用抑制
の仕組みを持ち込みました。
第1は、要支援の方を中心とした軽度者に対するサービスの制限と取り上げ
です。
「予防サービス」は地域包括支援センターが一元的管理すること、予防訪問
介護や予防通所介護は月額定額制の報酬であるため、必然的に過少サービスに
なる傾向にあります。要介護1以下の軽度者の福祉用具貸与の制限は、数多く
の介護ベッド・車椅子の取り上げと「自費サービス」化を生み出しました。
第2は、大阪府や各自治体の「給付適正化」のための指導による介護サービ
スの制限強化です。
通院介助における院内介助の一律制限は、利用者の医療を受ける機会を奪っ
ています。事業所も長時間のヘルパー派遣の経費が保険給付の対象外となるた
め「自費サービス」を導入するところさえ表れています。外出介助の制限や、
生活援助サービスの制限は、利用者の在宅生活に新たな困難を生み出していま
す。大阪府や各自治体が勝手に「禁止事項」を作って、根拠のない規制を強め
1
る「ローカルルール」が横行し、ケアマネジャーや事業者は実地指導での「報
酬返還指導」を恐れ、萎縮し、サービスを自己規制する傾向が広がっています。
その結果、利用者は必要なサービスをあきらめたり、自費で有償サービスを利
用したり、ケアマネジャーが無償でサービス代行するなどの事態が生まれてい
ます。
高い介護保険料を取られ、要介護認定を受けたにもかかわらず必要なサービ
スが利用できない、まさに「保険料あって介護なし」の由々しき事態です。介
護保険制度が当初にうたい文句にしていた「介護の社会化」
「利用者本位」はど
こへ行ったのでしょうか。
しかし、そうした中でも、注目すべき変化も最近起こっています。
昨年12月20日、厚生労働省は、同居家族の存在を理由に一律に訪問介護
の生活援助を給付対象外とすることについて「不適切」とする事務連絡を出し
ました。東京都や京都府などで吹き荒れた「同居家族がいたら生活援助はダメ」
という勝手な指導を厚生労働省がたしなめたものです。
また、自治体の行き過ぎた指導監督については、昨年12月3日の「介護事
業の適正化に関する有識者会議報告」において「法令の規定を過度に厳格にと
らえたり、介護報酬の返還のみの指導に偏っていたりするなど、各自治体や担
当者ごとに判断にバラツキが見られる」と批判されました。
これを受けて、今年2月27日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会
議では、厚生労働省は、
「自治体独自の考え方によって法に基づかない指導監督
を実施している自治体が多数見受けられることは誠に遺憾」、「介護サービス事
業者に適正な法令遵守を求めるかぎり、介護サービス事業者に対する行政の関
与においても法令に基づいて実施するのは当然なところである」と指摘しまし
た。
2
大阪府の動向
大阪府は、2003年頃から指導監督を強化し、通院介助や外出介助の範囲、
生活援助サービスの範囲と内容について報酬返還を含む指導を強めてきました。
同居家族のいる利用者への生活援助サービス規制については東京都などと比較
すればよりましな対応をとってきましたが、それでも実地指導の場面では、利
用者の実態をみない報酬返還指導の乱発などが見られます。
昨年8月に大阪府が行った「居宅介護支援事業者集団指導」で配布された「介
護保険サービスに係る Q&A 集」は、かつて大阪府が作成した Q&A 集で、「提供
可」としてきた散歩介助サービスについても「不可」とするなど、あらたな規
制を強める内容でした。
とくに、「訪問介護サービス内容に関する Q&A 集」は、不正確な表現が多く、
その趣旨が正しく伝わらないばかりか根拠なく一律に規制する内容があり、一
部の自治体では、訪問介護サービスを不当に制限する口実になるものでした。
2
大阪府の実地指導の実態
大阪社保協で、大阪府に対し情報公開条例に基づき、大阪府が、昨年8月以
降に実地指導を行った訪問介護事業所121ヶ所のうち95ヶ所の実地指導結
果通知などを公開させて分析を行いました。その内38件がサービス内容に関
して「不適切」とされ、報酬返還を指導されています。
「移動
内容で圧倒的に多いのが通院・外出介助での「院内での単なる付添い」
の車中での単なる付添い」を身体介護の時間に含めている、というものでした。
ここで注意したいのは、「単なる待ち時間」ではなく、「単なる付添い」と言い
換えていることです。直接身体に触れなくてもヘルパーが常時介護できる状態
で見守ることは身体介護にあたることは厚生労働省の通知でも明らかにですが
(自立支援のための見守り的援助)、これをすべて「単なる付添い」として給付
外にするならば、外出介助の多くは介護保険の対象となりません。また、移動
の車中を給付外とする根拠もありません。
中には、
「利用者の身体に直接接触して行うサービスが行われていない」とし
てヘルパーが外出同行した事例を報酬返還の対象とした指導がありました。ま
た、医療機関内でヘルパーが実際に移動・排泄介助を行ったものを「院内介助
は原則として医療機関のスタッフにより対応すべき」として「当該サービス提
供に係る介護報酬算定はできない」とし返還を指導された事業所もあります。
通院の帰り道の買物、病院から病院への通院介助についても返還の指導を受
けています。
他の外出介助では、
「散歩」と「散髪」
・
「美容院」、
「銭湯」についても報酬返
還を指導されています。
買物の外出介助では、
「気分転換のための買物介助」は不適切だとして報酬返
還を指導されている事例、
「遠方への買物」についても同様に返還の対象とされ
ています。
生活援助については指摘数は多くはありませんが、「カーペットの敷き代え」
を「訪問介護サービス内容とは認められない」として返還指導を受けています。
厚生労働省によれば、事業者に対する「指導」は、
「利用者の自立支援及び尊
厳の保持を念頭に置き、制度管理の適正化とよりよいケアの実現に向けて、介
護サービス事業者のサービスの質の確保・向上を図る」ことを主眼としている
はずですが、大阪府の実地指導は、大阪府の描いたサービス制限の基準の押し
付けと報酬返還に偏ったものと言わざるを得ません。
3
大阪社保協の取り組みを通じて明らかになったこと
大阪社保協は、昨年7月~9月にかけて開催した「マスターケアマネジャー
養成講座」を受けて、大阪府に対して、10月に「介護保険サービスについて
の質問・要望」を提出し、11月22日には、大阪府の担当課と懇談会を行い、
要望に対する基本回答を示させ、やりとりを通じていくつかの点を確認させま
3
した。
11月22日の大阪府事業者指導課等との懇談で確認したこと
「Q&A集」は府の一般基準にすぎない 個々の事例は保険者判断
大阪府の「新Q&A集」の性格について、府側は「府の行う指導監査の内部基準と
して厚生労働省に確認した一般的な基準をまとめたもの」「地域の実情に応じた各保険
者の取扱いを行っていただく」としました。
やりとりの中で、「新Q&A集」で「算定できない」となっている「金融機関内の介
助」は、実際は府としては「自動支払機の操作は金融機関のスタッフだが、金融機関内
でも訪問介護員は介助出来る」と考えているなど、文章表現上も不正確な部分があり、
趣旨が伝わりにくく、一人歩きする危険性があることが明らかになりました。
社保協側は、「不正確で誤解を与える新Q&A集は訂正すべきである」と求めました
が、府側は「指導の中で補足説明していきたい」と答えるにとどまりました。
外出介助の目的地は1箇所に限らない
通院介助の帰りに道沿いのスーパーでの買物も「介護保険の対象とならない」と「新
Q&A集」に記載されていることについて、社保協側は「真夏に熱中症にならないよう
水分補給のため茶を買うこともダメなのか」など事例を示して質問。府側は、「そうし
た趣旨でない」と回答し、事実上「新Q&A集」の内容を修正する答弁を繰り返しまし
た。
また、病院から調剤薬局に立ち寄る、または、ある医院から別の病院に検査のため行
く、というような一連の外出介助についても、
「個別に必要性があれば可能である」こ
とを明言しました。さらに、「居宅からの外出について目的地を1箇所に限定する法的
根拠はない」という社保協側の指摘についても「一連の外出であれば可」と複数目的地
の外出介助について、府として目的地を1箇所に限定する指導はしていないことを認め
ました。
外出先は「日常生活上の必要性」で判断
「新Q&A集」で、市役所への申請・届出や選挙の投票、社会保険庁等への年金調査
の外出介助は「対象になる」「算定できる」としながら、警察・裁判所は「対象となら
ない」としていることについて、社保協側は「公共機関の種別で区分するのか」と追及
しました。府側は「日常生活を送る上で必要であれば算定できる」と返答し、外出先の
種別にかかわらず、日常生活上の必要性で判断するという趣旨であることを明らかにし
ました。
散歩介助も個別の必要性と保険者判断
従来の府のQ&Aで認めていた「散歩介助」について、
「新Q&A集」では、認知症
高齢者の気分転換の外出も医師の指示による公園までの外出も「介護保険の対象となら
ない」と記載していることについて、社保協側は、「以前認めていた散歩介助を一律対
象外とするのか」と追及。府側は「まず訪問介護以外の手段を検討すべきという趣旨で
4
一律というものでない」と返答。やりとりの中で、保険者が可としている事例について
府としても尊重すること、他の手段を検討しても訪問介護でしか対応できないような個
別事例については散歩の外出介助は可能であることを認めました。
生活援助の家事範囲も「日常生活上の必要性」で判断
「新Q&A集」が、
「電球交換」は算定できるが、
「冷暖房機の出し入れ」は算定でき
ないとし、ヘルパーが出来る家事の範囲を機械的に狭めている点について質疑を行いま
した。社保協側は「高所に上って蛍光灯の取り替えは認めるのに、押し入れからヒータ
ー一つ出すこともヘルパーはできないのか」と追及しました。府側は、
「日常生活を送
る上で必要な援助にあたるのであれば可能」であるという趣旨とし、機械的・一律的に
線引きをするものでないことを認めました。
懇談参加のケアマネジャーからは、
「府はそのように言うが、市役所に確認すると『Q
&Aで認められていないからダメだ』と言われる。府として指導の趣旨を保険者に徹底
するべき」という府の無責任さを追及する声が上がりました。また、「ケアマネジャー
が適切なプランで『日常生活上の必要性』を認めているサービスは尊重すべき」との追
及がなされました。
府側は、
「ケアマネジャーの裁量・専門性は尊重する」としながら、
「一部の不正・不
適正があり、こうしたことを言わざるを得ない立場も理解してほしい」などと述べまし
た。
院内介助の「自費サービス化」、不適切な場合は指導
医療機関における院内介助について規制が強化されているために、一部で介護保険給
付の対象になる介助までも「自費サービス」扱いされ、利用者の過大な負担になってい
る問題について質疑を行いました。
府側は、
「不適切なものは指導する」としましたが、自費サービスとして費用徴収す
る場合に守るべき要件についても指導していないこと、府は、保険給付外については放
置していることなどを指摘して、責任を果たすよう求めました。
院内介助を算定するのに、必要な医療機関の介助態勢の確認について、やりとりした
結果、府は「電話での確認でもいい」としました。
大阪社保協は、この懇談で示された「大阪府基本回答」と懇談会議事録を作
成し、大阪府に確認・修正させた後、ホームページに掲載し広く周知したほか、
府内全自治体の介護保険担当課にも送付しました。
さらに、今年1月29日、大阪府に対し、
「訪問介護サービス内容に関するQ
&A集訂正を求める要望書」を提出しました。
5
「訪問介護サービス内容に関する Q&A」の訂正について(要望)
昨年 10 月 17 日に要望書を提出し、11 月 22 日に貴府担当課職員との懇談を行わせてい
ただきました。その中での質疑をつうじて、貴府が昨年 8 月に作成された「介護保険サービス
に係りQ&A集の別添「訪問介護サービス内容に関するQ&A」について、改めて問題が明ら
かになりましたが、貴府担当課職員は、「補足説明する」と回答するのみでした。
この「訪問介護サービス内容に関するQ&A」は、不正確な表現が多く、その趣旨が正しく
伝わらないばかりか根拠なく一律に規制する内容があり、一部の自治体では、訪問介護サー
ビスを不当に制限する口実になっています。
当該Q&Aについて、次のとおり訂正し、府内自治体及び事業者に周知されますよう
要望します。
なお、本要望に対する回答は、2月29日までにいただきますようお願いします。
記
1 通院の帰りの「立ち寄り」について
Q&A1 番の内容は、通院の帰りの「立ち寄り」について一律に介護保険の対象外と
する不正確な表現である。自宅から一連の外出行為であり、日常生活上必要と認められ
るものであれば、介護保険給付の対象となるものであり、この設問及び回答を削除すべ
きである。
2 公共機関等への外出先の制限について
Q&A7番については、公共機関への外出について、一律に警察や裁判所は対象外とす
る根拠のない制限を課すものであり、13番の選挙、20番の社会保険庁等への年金調
査との整合性もない。府担当課職員も認めたように「利用者の日常生活に必要な手続き
等のための外出」とした表現に改めるべきである。
3 金融機関内の介助について
Q&A集8番の表現は、府担当課職員の説明では、金融機関内の移動等の介助でなく、
自動支払機の操作のことであるとのことである。しかし、この表現では金融機関内の介
助そのものが保険給付の対象とならないかのような誤解を与えるものであり、削除すべ
きである。
4 いわゆる散歩介助について
Q&A集9番及び10番の内容は、散歩介助の一律禁止であり、訪問介護員の外出介
助を通じた「自立支援のための見守り的援助」を否定する表現である。府が平成14年
に3月に作成した「訪問介護サービスの計画作成とサービス提供にあたって」に収録さ
れているQ&Aでは散歩介助について「日常生活に欠かせない介護の一部としてケアプ
ランに適切に位置づけたサービスである場合は可」としていることと比較しても根拠の
ない制限である。
また、府担当課職員も認めるように他の手段を検討しても訪問介護でしか対応できな
い場合は可であり、そのような内容に即して訂正すべきである。
5 生活援助の範囲について
Q&A集25番では季節的に使用する冷暖房器の出し入れを一律に「対象外」として
いるが、個別の事情を無視した一律制限につながるものである。31番で電球の取替え
や掛け時計の電池交換など高所作業を「算定可」としていることからも明らかなように、
6
日常生活上の必要がある行為については保険給付の対象となるものである。
府担当課職員も認めているように、生活援助については要介護者の自立した日常生活
を営む上で不可欠なもので他に代替手段がない場合は保険給付の対象となることを明
確にすべきである。生活援助にかかる設問・回答はこのような趣旨から訂正すること。
これに対し、大阪府は2月29日に文書回答を行いましたが、内容は、今年
5月開催予定の集団指導の場でQ&A集の内容を補足し説明を行う、というだ
けのものでした。自らQ&A集の訂正の必要性は認めざるを得ないにもかかわ
らず、5月まで待たせるというのは不誠実で無責任きわまりない対応と言えま
す。
事業指第1648号
平成20年2月29日
大阪社会保障推進協議会
会長
井上 賢二
様
大阪府健康福祉部
医務・福祉指導室長
「訪問介護サービス内容に関するQ&A」の訂正について(回答)
2008年1月29日付けで要望のあった標記について、1から5の項目に対し
て、平成20年度介護保険指定事業者集団指導(平成20年5月開催予定)において
必要に応じて、当該Q&A集の内容を補足するとともに、その説明を行います。
同時に大阪府事業者指導課に、本日のシンポジウムへの出席も要請していま
したが、大阪府は2月21日に、断ってきました。その理由は ①Q&Aにつ
いては昨年8月の指定居宅介護支援事業者集団指導の場で説明済み ②シンポ
ジウムでは質問が出てくるが個別の質問には答えられない ③要望については
今年5月の集団指導の場で補足し説明する というものでした。当方が介護サ
ービス制限問題について、大阪府の説明を聞き、シンポジウム参加者でともに
考えようと真摯な姿勢を見せているにも関わらず、きわめて傲慢かつ怠慢な態
度と言わざるを得ません。
4
大阪府内市町村の動き
大阪府は、この間、ことあるごとに「個別事例は保険者判断による」として
きました。そこで、大阪社保協として府内の全自治体に訪問介護サービス内容
に関する考え方のアンケートを行いました。
3月19日時点で41自治体(保険者)中38から回答がありました。
(未回
答:和泉市、羽曳野市、富田林市)
7
訪問介護サービス内容でとくに制限が問題となっている項目について自治体
の取扱いとその考え方を調査しました。
①通院帰りの買物
大阪府のQ&A
1
通院の帰りに、道沿いにあるスーパーや
訪問介護では、居宅もしくは居宅を介して行う必要性が
商店に立ち寄って買い物をする。
あるため、ケアプラン上で買い物同行が位置づけられて
いたとしても、医療機関からスーパー等への移動の介助
は介護保険の対象とならない。
自治体の取扱い
回答内容
1一律対象外
2原則認めないが場合により認める
3ケアプランに必要性明記されば算定可
4その他
未記入
自治体数
8
19
8
1
2
大阪府のQ&Aでは、ケアプランに位置づけがあっても保険給付の対象とな
らない表現であったが、8自治体がケアプラン上明記されれば、算定可と回答
し、「原則認めないが場合により認める」が19であった。
考え方では、
「ケアプランに必要性が位置づけられ、結果的に別々にサービス
提供するより時間の短縮が図られる等、個々の理由により認めている」
(茨木市)、
「度々外出することが利用者の負担となる場合等」
(摂津市)など、合理的な個
別判断をしている自治体もいくつかある。
②通院の際の院外薬局に立ち寄り
自治体の取扱い
回答内容
1一律対象外
2原則認めないが場合により認める
3ケアプランに必要性明記されれば算定可
4その他
未記入
自治体数
0
7
26
3
2
一律対象外とした自治体はゼロで、多数(26自治体)は「ケアプラン上必
要性明記されれば算定可」であった。考え方でも院外処方薬局については通院
と一連の行為と解する自治体が多かった。
8
③1回の外出で2ヶ所の医療機関に通院
自治体の取扱い
回答内容
1一律対象外
2原則認めないが場合により認める
3ケアプランに必要性明記されれば算定可
4その他
未記入
自治体数
6
14
14
3
1
一律対象外との自治体は6自治体にとどまり、多数は「原則認めないが場合
により認める」(14自治体)、「ケアプランに必要性明記されれば算定可」(1
4自治体)であった。
考え方では、
「同日に内科と整形外科というように受診科が複数になる場合も
想定できますので、当市では、ケアプランに必要性が明記されていれば算定可
能(通院という一連の行為なので)とします」
(吹田市)という考え方や、複数
受診は必要性があれば認めるが、病院から病院への移動介助は算定不可(大阪
市、東大阪市など)というものがある。
④通院介助における院内介助
大阪府Q&A
19 医療機関における院内の介助については、基本的には医療機関当のスタッフにより対応す
べきとされているが、介護保険において院内の介助が認められるのはどのような場合か
院内介助については、原則として医療機関のスタッフにより対応されるべきである。ただし、
例外的に院内介助が算定できるのは、適切なアセスメントやサービス担当者会議を通して、具
体的な院内介助の必要性が確認されていて、医療機関により病院内の介助が得られないことが
介護支援専門員により確認されている場合には、算定の対象となる。
この場合においては、居宅介護サービス計画に、
① 適切なアセスメントに基づく利用者の心身の状態から院内介助が必要な理由
② 必要と考えられる具体的なサービス内容(例えば、院内での移動時に転倒しないよう側
について歩く(介護は必要時だけで事故がないように見守る)場合や、多科受診のため
の移動時の車いすの介助)
③ 介護支援専門員によって、院内介助については、原則として医療機関のスタッフにより
対応すべきであるが、当該医療機関等のスタッフによる病院内の介助が得られないこと
が確認された経緯(何時、誰に、確認した内容)
を記載する必要がある。
この場合においても、診療時間、単なる待ち時間を除いた時間とするものである。なお、訪
問介護員が診察室に同行して病状の説明を行うことや医師の指示等を受けることは、利用者が
認知症であるなどの理由があっても、介護保険の算定の対象とはならない。また、訪問介護事
9
業所においては、具体的な介助内容及びその標準時間を訪問介護計画に定めると共にサービス
提供記録に記録する必要がある。
自治体における扱い
回答内容
自治体数
1院内は一律対象外
0
2原則認めないが医療機関のスタッフが対応 32
できない場合は対象とする
3その他
5
未記入
1
院内は一律対象外とした自治体はゼロであったが、大半は大阪府の3要件と
同様の考え方を採用し、また算定時間から「待ち時間」等を差し引いた取扱い
を行っているところが多数である。
⑤通院等乗降介助の車両への家族同乗
大阪府Q&A
25 通院等乗降介助に家族が利用者の診療内容を確認するため、同乗することは可能か。
訪問介護の通院等乗降介助は利用者の家族の同乗を想定したものではなく、あくまでも訪問
介護員等による乗車又は降車の介助を必要とする利用者に対し行うものである。通院時に家族
が同行する場合で、その家族が乗車又は降車の介助もできるのであれば、訪問介護員による通
院等乗降介助の必要性はないと考えられる。ただし、高齢者や障害者の家族が同行するような
場合について、その家族だけでは安全に乗車又は降車の介助をすることが出来ず、通院等乗降
介助の必要性が明確であれば通院等乗降介助を位置づけることは可能であり、そのような場合
にまで訪問介護員が運転する車両に家族が同乗することを否定するものではない。
自治体における扱い
回答内容
自治体数
1家族同乗は認めない
5
2原則認めないが医療機関のスタッフが対応 30
できない場合は対象とする
3その他
2
未記入
1
これも院内介助と同様に、大阪府の考え方を採用していると考えられる自治
体が多数であった。
⑥公共機関等(裁判所・警察へ)の外出介助
大阪府Q&A集
警察、裁判所に出頭する。
7
利用者が自立した日常生活を営む上で必要なものとは考
え難いため、対象とならない。
10
自治体における扱い
回答内容
1保険給付対象としない
2日常生活上必要であれば対象とする
3その他
未記入
自治体数
9
23
4
2
大阪府Q&Aと同様の判断の自治体は9自治体で、23自治体は、日常生活
上の必要性で対象と判断するとの回答であった。
考え方では、「日常生活上必要な外出であれば対象」(能勢町)、「個別ケース
で判断」(交野市)などの考え方が多かった。
⑦買い物外出
利用者の希望により、遠方の特定した店
単に利用者の希望による場合は算定できない。日常生活
へ買い物に行く。
上、必要な物品が、遠方まで行かなければ購入できない
3
とは考えがたいが、地域の特性等に応じてどうしても遠
方へ行かなければ購入できない等のやむを得ない理由が
ある場合に限っては、算定することもできる。
4
利用者の趣味嗜好品を買いに行く。
介護保険は適用できない。趣味嗜好のものとは、例えば、
酒、たばこ、中元、歳暮の品等。
自治体における扱い
回答内容
自治体数
1利用者の日常生活に必要な物の買物しか認
30
めない
2自立生活支援の見守り的援助の観点からと
2
くに制限を設けない
3その他
4
未記入
2
30自治体が「日常生活に必要な物しか認めない」との回答であったが、
「特に
制限はしていない」
(高石市)、
「自立支援の観点から、積極的に認めている」
(岬
町)などの考え方も見られた。
⑧いわゆる散歩介助
大阪府Q&A集
9
認知症等の利用者が、精神的に不安定に
気分転換のための外出は、介護保険の対象とはならない。
なったとき、落ち着くために外出する。
10 医師からの指示による下肢筋力低下予 訪問介護で位置づけるべきではなく、他のサービス提供
防や、認知症による徘徊予防のために、 を検討すべきである。
近くの公園まで行く。
11
自治体における扱い
回答内容
1自立した日常生活に必要な場合は給付対象とする
2給付対象としない
未記入
自治体数
7
27
4
27自治体が「給付対象としない」との回答であったが、7自治体は「日常
生活に必要な場合は給付対象とする」との回答であった。
考え方では「閉鎖的な生活状況にある利用者等の意欲の向上のための自立支
援の一部として、主治医の意見を求め、必要性をケアプランに位置づけて算定
可能」
(松原市)や「散歩介助は基本的対象外だが、主治医の意見を踏まえ、散
歩することによって心身状況が安定し、在宅生活が維持できている場合、ケア
プランに位置づけし認めている」(泉南市)などの判断も見られる。
大阪府自身が2002年のQ&Aで散歩介助について「ケアプランに位置づ
ければ可能」としていたことを考えれば当然の判断と言える。
大阪府内自治体は、大枠の傾向としては、大阪府の考え方や判断基準を採用
しながらも、通院帰りの買物、複数医療機関への通院介助、公共機関(裁判所・
警察)への外出介助、散歩介助などでは一部の自治体は大阪府と異なる現実的
な判断や考え方をとっている。
5
訪問介護を中心に「日常生活の援助」を考える
サービスの取上げを許さず、利用者主権を確立させる
「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる
よう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」
(介護保険
法第1条)
〇「適正化」という名のサービスの取り上げ・締め付け
・給付適正化事業
〇訪問介護の締め付けに見る自治体の犯罪的役割とケアマネジャー・事業者の
萎縮・自主規制
・ 生活援助
・ 通院外出介助
〇利用者サービスを守る現場での取り組みが決定的
・ 「たたかうケアマネ」、「たたかうヘルパー」へ、「制度の趣旨」を活用
・ 「日常生活」のとらえ方、援助に際しての人権思想、人間性
おわりに
12
参考資料
老計第10号
平成12年3月17日
各都道府県介護保険主管部(局)長 殿
厚生省老人保健福祉局
老人福祉計画課長
訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について
訪問介護の介護報酬については、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する
基準(訪問通所サービス及び居宅療養管理指導に係る部分)及び指定居宅介護支援に要す
る費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月
1日付厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、その具体的な取扱いをお示ししてい
るところであるが、今般、別紙の通り、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分及び個々
のサービス行為の一連の流れを例示したので、訪問介護計画及び居宅サービス計画(ケア
プラン)を作成する際の参考として活用されたい。
なお、「サービス準備・記録」は、あくまでも身体介護又は生活援助サービスを提供する際の
事前準備等として行う行為であり、サービスに要する費用の額の算定にあたっては、この行
為だけをもってして「身体介護」又は「生活援助」の一つの単独行為として取り扱わないよう留
意されたい。
また、今回示した個々のサービス行為の一連の流れは、あくまで例示であり、実際に利用
者にサービスを提供する際には、当然、利用者個々人の身体状況や生活実態等に即した取
扱いが求められることを念のため申し添える。
(別紙)
1 身体介護
身体介護とは、(1)利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる
準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)、(2)利用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲
の向上のために利用者と共に行う自立支援のためのサービス、(3)その他専門的知識・技術
(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門
的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスをいう。(仮に、介
護等を要する状態が解消されたならば不要※となる行為であるということができる。)
13
※ 例えば入浴や整容などの行為そのものは、たとえ介護を要する状態等が解消されて
も日常生活上必要な行為であるが、要介護状態が解消された場合、これらを「介助」
する行為は不要となる。同様に、「特段の専門的配慮をもって行う調理」についても、
調理そのものは必要な行為であるが、この場合も要介護状態が解消されたならば、流
動食等の「特段の専門的配慮」は不要となる。
1-0 サービス準備・記録等
サービス準備は、身体介護サービスを提供する際の事前準備等として行う行為であ
り、状況に応じて以下のようなサービスを行うものである。
1-0-1 健康チェック
利用者の安否確認、顔色・発汗・体温等の健康状態のチェック
1-0-2 環境整備
換気、室温・日あたりの調整、ベッドまわりの簡単な整頓等
1-0-3 相談援助、情報収集・提供
1-0-4 サービス提供後の記録等
1-1 排泄・食事介助
1-1-1 排泄介助
1-1-1-1 トイレ利用
○トイレまでの安全確認→声かけ・説明→トイレへの移動(見守りを含む)→脱衣→
排便・排尿→後始末→着衣→利用者の清潔介助→居室への移動→ヘルパー自身
の清潔動作
○(場合により)失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助、便
器等の簡単な清掃を含む)
1-1-1-2 ポータブルトイレ利用
○安全確認→声かけ・説明→環境整備(防水シートを敷く、衝立を立てる、ポータブ
ルトイレを適切な位置に置くなど)→ 立位をとり脱衣(失禁の確認)→ポータブルトイ
レへの移乗→排便・排尿→後始末→立位をとり着衣→利用者の清潔介助→元の場
所に戻り、安楽な姿勢の確保→ポータブルトイレの後始末→ヘルパー自身の清潔動
作
○(場合により)失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助)
1-1-1-3 おむつ交換
14
○声かけ・説明→物品準備(湯・タオル・ティッシュペーパー等)→新しいおむつの準
備→脱衣(おむつを開く→尿パットをとる)→陰部・臀部洗浄(皮膚の状態などの観察、
パッティング、乾燥)→おむつの装着→おむつの具合の確認→着衣→汚れたおむつ
の後始末→使用物品の後始末→ヘルパー自身の清潔動作
○(場合により)おむつから漏れて汚れたリネン等の交換
○(必要に応じ)水分補給
1-1-2 食事介助
○声かけ・説明(覚醒確認)→安全確認(誤飲兆候の観察)→ヘルパー自身の清潔動
作→準備(利用者の手洗い、排泄、エプロン・タオル・おしぼりなどの物品準備)→食
事場所の環境整備→食事姿勢の確保(ベッド上での座位保持を含む)→配膳→メニ
ュー・材料の説明→摂食介助(おかずをきざむ・つぶす、吸い口で水分を補給するな
どを含む)→服薬介助→安楽な姿勢の確保→気分の確認→食べこぼしの処理→後
始末(エプロン・タオルなどの後始末、下膳、残滓の処理、食器洗い)→ヘルパー自身
の清潔動作
1-1-3 特段の専門的配慮をもって行う調理
○嚥下困難者のための流動食等の調理
1-2 清拭・入浴、身体整容
1-2-1清拭(全身清拭)
○ヘルパー自身の身支度→物品準備(湯・タオル・着替えなど)→声かけ・説明→顔・
首の清拭→上半身脱衣→上半身の皮膚等の観察→上肢の清拭→胸・腹の清拭→
背の清拭→上半身着衣→下肢脱衣→下肢の皮膚等の観察→下肢の清拭→陰部・
臀部の清拭→下肢着衣→身体状況の点検・確認→水分補給→使用物品の後始末
→汚れた衣服の処理→ヘルパー自身の清潔動作
1-2-2 部分浴
1-2-2-1 手浴及び足浴
○ヘルパー自身の身支度→物品準備(湯・タオルなど)→声かけ・説明→適切な体位
の確保→脱衣→皮膚等の観察→手浴・足浴→身体を拭く・乾かす→着衣→安楽な姿
勢の確保→水分補給→身体状況の点検・確認→使用物品の後始末→ヘルパー自
身の清潔動作
1-2-2-2 洗髪
15
○ヘルパー自身の身支度→物品準備(湯・タオルなど)→声かけ・説明→適切な体位
の確保→洗髪→髪を拭く・乾かす→安楽な姿勢の確保→水分補給→身体状況の点
検・確認→使用物品の後始末→ヘルパー自身の清潔動作
1-2-3 全身浴
○安全確認(浴室での安全)→声かけ・説明→浴槽の清掃→湯はり→物品準備(タオ
ル・着替えなど)→ヘルパー自身の身支度→排泄の確認→脱衣室の温度確認→脱
衣→皮膚等の観察→浴室への移動→湯温の確認→入湯→洗体・すすぎ→洗髪・す
すぎ→入湯→体を拭く→着衣→身体状況の点検・確認→髪の乾燥、整髪→浴室から
居室への移動→水分補給→汚れた衣服の処理→浴槽の簡単な後始末→使用物品
の後始末→ヘルパー自身の身支度、清潔動作
1-2-4 洗面等
○洗面所までの安全確認→声かけ・説明→洗面所への移動→座位確保→物品準備
(歯ブラシ、歯磨き粉、ガーゼなど)→洗面用具準備→洗面(タオルで顔を拭く、歯磨
き見守り・介助、うがい見守り・介助)→居室への移動(見守りを含む)→使用物品の
後始末→ヘルパー自身の清潔動作
1-2-5 身体整容(日常的な行為としての身体整容)
○声かけ・説明→鏡台等への移動(見守りを含む)→座位確保→物品の準備→整容
(手足の爪きり、耳そうじ、髭の手入れ、髪の手入れ、簡単な化粧)→使用物品の後
始末→ヘルパー自身の清潔動作
1-2-6 更衣介助
○声かけ・説明→着替えの準備(寝間着・下着・外出着・靴下等)→上半身脱衣→上
半身着衣→下半身脱衣→下半身着衣→靴下を脱がせる→靴下を履かせる→着替え
た衣類を洗濯物置き場に運ぶ→スリッパや靴を履かせる
1-3 体位変換、移動・移乗介助、外出介助
1-3-1 体位変換
○声かけ、説明→体位変換(仰臥位から側臥位、側臥位から仰臥位)→良肢位の確
保(腰・肩をひく等)→安楽な姿勢の保持(座布団・パットなどあて物をする等)→確認
(安楽なのか、めまいはないのかなど)
1-3-2 移乗・移動介助
16
1-3-2-1 移乗
○車いすの準備→声かけ・説明→ブレーキ・タイヤ等の確認→ベッドサイドで端座位
の保持→立位→車いすに座らせる→座位の確保(後ろにひく、ずれを防ぐためあて
物をするなど)→フットレストを下げて片方ずつ足を乗せる→気分の確認
○その他の補装具(歩行器、杖)の準備→声かけ・説明→移乗→気分の確認
1-3-2-2 移動
○安全移動のための通路の確保(廊下・居室内等)→声かけ・説明→移動(車いすを
押す、歩行器に手をかける、手を引くなど)→気分の確認
1-3-3 通院・外出介助
○声かけ・説明→目的地(病院等)に行くための準備→バス等の交通機関への乗降
→気分の確認→受診等の手続き
○(場合により)院内の移動等の介助
1-4 起床及び就寝介助
1-4-1 起床・就寝介助
1-4-1-1 起床介助
○声かけ・説明(覚醒確認)→ベッドサイドでの端座位の確保→ベッドサイドでの起き
あがり→ベッドからの移動(両手を引いて介助)→気分の確認
○(場合により)布団をたたみ押入に入れる
1-4-1-2 就寝介助
○声かけ・説明→準備(シーツのしわをのばし食べかすやほこりをはらう、布団やベッ
ド上のものを片づける等)→ベッドへの移動(両手を引いて介助)→ベッドサイドでの
端座位の確保→ベッド上での仰臥位又は側臥位の確保→リネンの快適さの確認(掛
け物を気温によって調整する等)→気分の確認
○(場合により)布団を敷く
1-5 服薬介助
○水の準備→配剤された薬をテーブルの上に出し、確認(飲み忘れないようにする)
→本人が薬を飲むのを手伝う→後かたづけ、確認
1-6 自立生活支援のための見守り的援助(自立支援、ADL向上の観点から安全を確保し
つつ常時介助できる状態で行う見守り等)
○利用者と一緒に手助けしながら行う調理(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
○入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分
の確認などを含む)
○ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時
だけ介助)
17
○移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないよう
に常に見守る)
○車イスでの移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
○洗濯物をいっしょに干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとと もに、転
倒予防等のための見守り・声かけを行う。
○痴呆性の高齢者の方といっしょに冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴
の喚起を促す。
2 生活援助
生活援助とは、身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援
助(そのために必要な一連の行為を含む)であり、利用者が単身、家族が障害・疾病などのた
め、本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行われるものをいう。(生活援助は、本人の
代行的なサービスとして位置づけることができ、仮に、介護等を要する状態が解消されたとし
たならば、本人が自身で行うことが基本となる行為であるということができる。)
※ 次のような行為は生活援助の内容に含まれないものであるので留意すること。
(1) 商品の販売・農作業等生業の援助的な行為
(2) 直接、本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為
2-0 サービス準備等
サービス準備は、生活援助サービスを提供する際の事前準備等として行う行為であ
り、状況に応じて以下のようなサービスを行うものである。
2-0-1 健康チェック
利用者の安否確認、顔色等のチェック
2-0-2 環境整備
換気、室温・日あたりの調整等
2-0-3 相談援助、情報収集・提供
2-0-4 サービスの提供後の記録等
2-1 掃除
○居室内やトイレ、卓上等の清掃
○ゴミ出し
○準備・後片づけ
2-2 洗濯
18
○洗濯機または手洗いによる洗濯
○洗濯物の乾燥(物干し)
○洗濯物の取り入れと収納
○アイロンがけ
2-3 ベッドメイク
○利用者不在のベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
2-4 衣類の整理・被服の補修
○衣類の整理(夏・冬物等の入れ替え等)
○被服の補修(ボタン付け、破れの補修等)
2-5 一般的な調理、配下膳
○配膳、後片づけのみ
○一般的な調理
2-6 買い物・薬の受け取り
○日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む)
○薬の受け取り
19
老企第
36
号
平成12年3月1日
各都道府県介護保険主管部(局)長 殿
厚生省老人保健福祉局企画課長
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス及び居宅療養
管理指導に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定
に伴う実施上の留意事項について
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第
19号)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚
生省告示第20号)については、本年2月10日に公布されたところであるが、この実施
に伴う留意事項は下記のとおりであるので、その取扱いに遺憾のないよう関係者に対し、
周知徹底を図られたい。
なお、本通知は、指定居宅サービス介護給付費単位数表(以下「居宅サービス単位数表」
という。)のうち訪問介護費から通所リハビリテーション費まで及び福祉用具貸与費、並
びに指定居宅介護支援介護給付費単位数表(以下「居宅介護支援単位数表」という。)を
対象とするものであり、居宅サービス単位数表のうち短期入所生活介護費から特定施設入
所者生活介護費までについては追って通知するものである。また、指定施設サービス等に
要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第21号)についても追
って通知するものであることを申し添える。
記
(略)
2 訪問介護費
(1)
「身体介護」及び「生活援助」の意義について
注2の「身体介護」とは、利用者の身体に直接接触して行う介助並びにこれを行うため
に必要な準備及び後始末並びに利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための
介助及び専門的な援助であり、1人の利用者に対して訪問介護員等が1対1で行うものを
いう(特別な事情により複数の利用者に対して行う場合は、1回の身体介護の所要時間を
1回の利用者の人数で除した結果の利用者1人当たりの所要時間が(4)にいう要件を満
たすこと。その具体例としては、例えば、
「食事介助」の場合には、食事摂取のための介助
のみならず、そのための一連の行為(例:声かけ・説明→訪問介助護員等自身の手洗等→
利用者の手拭き、エプロンがけ等の準備→食事姿勢の確保→配膳→おかずをきざむ、つぶ
す等→摂食介助→食後安楽な姿勢に戻す→気分の確認→食べこぼしの処理→エプロン・タ
オルなどの後始末・下膳など)が該当するものであり、具体的な運用にあたっては、利用
20
者の自立支援に資する観点からサービスの実態を踏まえた取扱いとすること。
(具体的な取
扱いは「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」
(平成 12 年 3 月 17 日老計
10 号)を参照すること。
)
また、「利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援
助」とは、利用者の日常生活動作能力などの向上のために利用者の日常生活動作を見守り
ながら行う手助けや介助に合わせて行う専門的な相談助言を言うこと。
注3の「生活援助」とは、身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの
日常生活の援助とされたが、次のような行為は生活援助の内容に含まれないものであるの
で留意すること。(具体的な取扱いは「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」
(平成 12 年 11 月 16 日老振 76 号)を参照すること。)
[1] 商品の販売や農作業等生業の援助的な行為
[2] 直接本人の援助に該当しない行為
・主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行
為当であると判断される行為
[3] 日常生活の援助に該当しない行為
・訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為
・日常的に行われる家事の範囲を超える行為
(2)訪問介護の区分
訪問介護の区分については身体介護が中心である場合(以下身体介護中心型」という。)
、
生活援助が中心である場合(以下「生活援助中心型」という。
)の2区分とされたが、これ
らの型の適用に当たっては、1回の訪問介護において「身体介護」と「生活援助」が混在
するような場合について、全体としていずれかの型の単位数を算定するのではなく、
「身体
介護」に該当する行為がどの程度含まれるかを基準に、30 分を1単位として、「身体介護」
と「生活援助」を組み合わせて算定することとする((3)に詳述)。この場合、身体介護
のサービス行為の一連の流れを細かく区分しないよう留意すること。例えば、「食事介助」
のサービス行為の一連の流れに配下膳が含まれている場合に、当該配下膳の行為だけをも
ってして「生活援助」の一つの単独行為として取り扱わない。
いずれの型の単位数を算定するかを判断する際は、まず、身体介護に要する一般的な時
間や内容からみて、身体介護を構成する個々の行為を
[1] 比較的手間のかからない体位変換、移動介助、移乗介助、起床介助(寝床から起こ
す介助)、就寝介助(寝床に寝かす介助)等
の「動作介護」
[2] ある程度手間のかかる排泄介助、部分清拭、部分浴介助、整容介助、更衣介助等の
「身の回り介護」
[3] さらに長い時間で手間のかかる食事介助、全身清拭、全身浴介助等の「生活介護」
に大きく分類することとし、その上で、次の考え方を基本に、訪問介護事業者は、居宅サ
ービス計画作成時点において、利用者が選択した居宅介護支援事業者と十分連携を図りな
がら、利用者の心身の状況、意向等を踏まえ、適切な型が適用されるよう留意するととも
に、訪問介護計画の作成の際に、利用者又はその家族等への説明を十分に行い、その同意
21
の上、いずれの型かを確定するものであること。
[1] 身体介護中心型の所定単位数が算定される場合
・専ら身体介護を行う場合
・主として「生活介護」や「身の回り介護」を行うとともに、これに関連して若干の
生活援助を行う場合
(例)簡単な調理の後(5分程度、食事介助を行う(50 分程度)場合(所要時間 30
分以上1時間未満の身体介護中心型)。
[2] 生活援助中心型の所定単位数が算定される場合
・専ら生活援助を行う場合
・生活援助に伴い若干の「動作介護」を行う場合
(例)利用者の居室から居間までの移動介助を行った後(5分程度)、居室の掃除(50
分程度)を行う場合(所要時間 30 分以上1時間未満の生活援助中心型)。
なお、訪問介護の内容が単なる本人の安否確認や健康チェックであり、それに伴い若干
の身体介護又は生活援助を行う場合には、訪問介護費は算定できない。
(3)1回の訪問介護において身体介護及び生活援助が混在する場合の取扱い
従来、身体介護及び家事援助がそれぞれ同程度行われる場合(以下「複合型」という。
)
については、1回の訪問介護につき、身体介護と家事援助のいずれが中心とも言いがたい
場合も存在することから、利用者と事業者の間での混乱を避けるために設けられ、
「身体介
護中心型」、「家事援助中心型」の2区分のいずれかへの区分が困難な場合に適用されてき
た。しかし、利用者の自立支援に資する観点から適切にサービスが行われていないという
指摘がある。
こうした現状を踏まえ、今回の見直しにおいては、
「複合型」を廃止することとし、1回
の訪問において身体介護及び生活援助が混在する訪問介護を行う必要がある場合は、居宅
サービス計画や訪問介護計画の作成に当たって、適切なアセスメントにより、あらかじめ
具体的なサービス内容を「身体介護」と「生活援助」に区分してそれに要する標準的な時
間で位置付けることとし、30 分を1単位として、
「身体介護」と「生活援助」を組み合わせ
て算定することとする。なお、身体介護に生活援助を加算する方式となるが、実際のサー
ビスの提供は身体介護の後に引き続き生活援助を行う場合に限らない。1回の訪問介護の
全体時間のうち身体介護に要する時間を合計して判断するため、例えば、生活援助の後に
引き続き身体介護を行ってもよい。
(例)寝たきりの利用者の体位変換を行いながら、ベッドを整え、体を支えながら水差し
で水分補給を行い、安楽な姿勢をとって
もらった後、居室の掃除を行う場合(所要時間1時間以上1時間 30 分未満。
〔従来の取扱い〕複合型1時間以上1時間 30 分未満を算定
〔見直し後の取扱い〕
「身体介護」に該当する行為がどの程度含まれるかを基準に以下のい
ずれかの組み合わせを算定
・身体介護中心型 30 分未満(231 単位)+生活援助加算 30 分(83 単位)×2
・身体介護中心型 30 分以上1時間未満(402 単位)+生活援助加算 30 分(83 単位)×
22
1
(この場合、身体介護中心型(30 分未満又は 30 分以上1時間未満)と生活援助中心型(30
分以上1時間未満)に分けて、それぞれ算定することはできない。)
(4)訪問介護の所要時間
訪問介護の所要時間ごとの単位については、所要時間 30 分未満の身体介護中心型などの
単位数を引き上げたが、1日に複数回の短時間の訪問をすることにより、在宅介護のサー
ビス提供体制を強化するために設定したものであり、在宅の要介護者の生活パターンに合
わせて訪問介護を行うものである。したがって、単に1回の長時間の訪問介護を複数回に
区分して行うことは適切でなく、訪問介護を1日に複数回算定する場合にあっては、算定
する時間の間隔は概ね2時間以上とする。
また、所要時間 30 分未満の身体介護中心型を算定する場合の所要時間は 20 分程度以上
とする。所要時間とは、実際に訪問介護を行った時間をいうものであり、訪問介護のため
の準備や利用者の移動に要した時間等は含まない。
1日において1人の利用者に対して行われる訪問介護が複数回にわたる場合であっても、
それぞれの所要時間が所定の要件を満たさない場合には算定対象とならない。ただし、複
数回にわたる訪問介護が一連のサービス行為とみなすことが可能な場合に限り、それぞれ
の訪問介護の所要時間を合計して1回の訪問介護として算定できる。例えば、午前に訪問
介護員等が診察券を窓口に提出し(所要時間 30 分未満)、昼に通院介助を行い、午後に薬
を受け取りに行く(所要時間 30 分未満)とした場合には、それぞれの所要時間は 30 分未
満であるため、生活援助(所要時間 30 分以上1時間未満)として算定できないが、一連の
サービス行為(通院介助)とみなして合計して1回の訪問介護(身体介護中心型に引き続
き生活援助を行う場合)として算定できる。
なお、一人の利用者に対して複数の訪問介護員等が交代して訪問介護を行った場合も、
1回の訪問介護としてその合計の所要時間に応じた所定単位数を算定する。訪問介護員等
ごとに複数回の訪問介護として算定できない。
(5)
「生活援助中心型」の単位を算定する場合
注3において「生活援助中心型」の単位を算定することができる場合として「利用者が
1人暮らしであるか又は家族等が障害、疾病等のため、利用者や家族等が家事を行うこと
が困難な場合」とされたが、これは、障害、疾病のほか、障害、疾病がない場合であって
も、同様のやむを得ない事情により、家事が困難な場合をいうものであること。
なお、居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合には、居宅サー
ビス計画書に生活援助中心型の算定理由その他やむを得ない事情の内容について記載する
とともに、生活全般の解決すべき課題に対応して、その解決に必要であって最適なサービ
スの内容とその方針を明確に記載する必要がある。
(6)
「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定する場合
[1] 指定訪問介護事業者が注4の「通院等のための乗車又は降車の介助」にいう介助を
行う場合には、当該所定単位数を算定することとし、
「身体介護中心型」の所定単位数は算
23
定できない。当該所定単位数を算定するに当たっては、道路運送法(昭和 26 年法律第 183
号)等他の法令等に抵触しないよう留意すること。なお、移送行為そのものすなわち運転
時間中は当該所定単位数の算定対象ではなく、移送に係る経費(運賃)は、引き続き、評
価しない。
[2] 注4において「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定することができ
る場合、片道につき所定単位数を算定する。よって、乗車と降車のそれぞれについて区分
して算定することはできない。
[3]
複数の要介護者に「通院等のための乗車又は降車の介助」を行った場合であって、
乗降時に1人の利用者に対して1対1で行う場合には、それぞれ算定できる。なお、効率
的なサービス提供の観点から移送時間を極小化すること。
[4] 利用目的について「通院等のため」とは「身体介護中心型」としての通院・外出介
助と同じものである。
[5]
サービス行為について、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」、「乗車前
若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先若しくは外出先での受診等
の手続き、移動等の介助」とは、それぞれ具体的に介助する行為を要することとする。例
えば、利用者の日常生活動作能力などの向上のために、移動時、転倒しないように側につ
いて歩き、介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る場合は算定対象となるが、
乗降時に車両内から見守るのみでは算定対象とならない。
また、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」に加えて、「乗車前若しくは降車
後の屋内外における移動等の介助」を行うか、又は、
「通院先若しくは外出先での受診等の
手続き、移動等の介助」を行う場合に算定対象となるものであり、これらの移動等の介助
又は受診等の手続きを行わない場合には算定対象とならない。
[6]
「通院等のための乗車又は降車の介助」は、「自らの運転する車両への乗車又は降
車の介助」、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先若しく
は外出先での受診等の手続き、移動等の介助」を一連のサービス行為として含むものであ
り、それぞれの行為によって細かく区分し、
「通院等のための乗車又は降車の介助」又は「身
体介護中心型」として算定できない。例えば、通院等に伴いこれに関連して行われる、居
室内での「声かけ・説明」・「目的地(病院等)に行くための準備」や通院先での「院内の
移動等の介助」は、
「通院等のための乗車又は降車の介助」に含まれるものであり、別に「身
体介護中心型」として算定できない。
なお、一人の利用者に対して複数の訪問介護員等が交代して「通院等のための乗車又は
降車の介助」を行った場合も、1回の「通院等のための乗車又は降車の介助」として算定
し、訪問介護員等ごとに細かく区分して算定できない。
[7] 「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定するに当たっては、適切なア
セスメントを通じて、生活全般の解決すべき課題に対応した様々なサービス内容の1つと
して、総合的な援助の一環としてあらかじめ居宅サービス計画に位置付けられている必要
があり、居宅サービス計画において、
ア 通院等に必要であることその他車両への乗降が必要な理由
イ 利用者の心身の状況から乗降時の介助行為を要すると判断した旨
ウ
総合的な援助の一環として、解決すべき課題に応じた他の援助と均衡しているこ
24
と
を明確に記載する必要がある。
(7)
「通院等のための乗車又は降車の介助」と「身体介護中心型」の区分
要介護4又は要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うこと
の前後に連続して相当の所要時間(20~30 分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護
を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。
この場合には「通院等のための乗車又は降車の介助」の所定単位数は算定できない。
(例)
(乗車の介助の前に連続して)寝たきりの利用者の更衣介助や排泄介助をした後、ベ
ッドから車いすへ移乗介助し、車いすを押して自動車へ移動介助する場合。
(8)
「通院等のための乗車又は降車の介助」と通所サービス・短期入所サービスの「送迎」
の区分
短期入所サービスにおいて利用者の居宅と当該事業所との間の送迎を行う場合は、当該
利用者の心身の状況により当該事業所の送迎車を利用することができないなど特別な事情
のない限り、短期入所サービスの送迎加算を算定することとし、
「通院等のための乗車又は
降車の介助」は算定できない。
(9)訪問介護計画上3級ヘルパーの派遣が予定されている場合に3級ヘルパー以外の訪
問介護員等により訪問介護が行われた場合の取扱い
訪問介護計画上、3級ヘルパーが派遣されることとされている場合に、事業所の事情に
より3級ヘルパー以外の訪問介護員等が派遣される場合については、所定単位数に 100 分
の 70 を乗じて得た単位数を算定すること。
(10)2人の訪問介護員等による訪問介護の取扱い等
[1] 2人の訪問介護員等による訪問介護
2人の訪問介護員等による訪問介護について、所定単位数の 100 分の 200 に相当する単
位数が算定される場合のうち、厚生労働大臣が定める者等(平成 12 年厚生省告示第 23 号。
以下「23 号告示」という。
)第2号イの場合としては、体重が重い利用者に入浴介助等の重
介護を内容とする訪問介護を提供する場合等が該当し、同号ハの場合としては、例えば、
エレベータのない建物の2階以上の居室から歩行困難な利用者を外出させる場合等が該当
するものであること。したがって、単に安全確保のために深夜の時間帯に2人の訪問介護
員等によるサービス提供を行った場合は、利用者側の希望により利用者や家族の同意を得
て行った場合を除き、所定単位数の 100 分の 200 に相当する単位数は算定されない。
なお、通院・外出介助において、1人の訪問介護員等が車両に同乗して気分の確認など
移送中の介護も含めた介護行為を行う場合には、当該車両を運転するもう1人の訪問介護
員等は別に「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することはできない。
[2] 訪問介護員等のうち1人が3級ヘルパーである場合の取扱い
派遣された2人の訪問介護員等のうちの1人がいわゆる3級ヘルパーで、1人がそれ以
25
外の者である場合については3級ヘルパーについては所定単位数に 100 分の 70 を乗じて得
た単位数を、それ以外のヘルパーについては所定単位数を、それぞれ別に算定すること(し
たがって、結果として、所定単位数に 100 分の 170 を乗じて得た単位数が算定されるもの
であること。)。
(11)早朝・夜間、深夜の訪問介護の取扱い
居宅サービス計画上又は訪問介護計画上、訪問介護のサービス開始時刻が加算の対象と
なる時間帯にある場合に、当該加算を算定するものとすること。なお、利用時間が長時間
にわたる場合に、加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提
供時間に占める割合がごくわずかな場合においては、当該加算は算定できない。
(以下略)
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(老振第76号 平成12年11月16日)
保険給付として不適切な事例への対応について
指定訪問介護事業者が、利用者宅への訪問時に、別紙に掲げる一般
的には介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例のよ
うに、保険給付として適切な範囲を逸脱したサービス提供を求められ
た場合や、生活援助中心型を算定できない事例において生活援助中心
型の訪問介護を求められた場合における、指定基準第9条の運用につ
いては、以下のとおり取り扱うこととする。
① 訪問介護員から利用者に対して、求められた内容が介護保険の給付対
象となるサービスとしては適当でない旨を説明すること。その際、利
用者が求めているサービスが保険給付の範囲として適切かどうかや、
生活援助中心型の訪問介護の対象となるかどうかについて判断がつか
ない場合には、保険者(市町村)に確認を求めること。
なお、担当の訪問介護員の説明では利用者の理解が得られない場合
には、サービス提供責任者が対応すること。
② 利用者が、保険給付の範囲外のサービス利用を希望する場合には、訪
問介護員は、居宅介護支援事業者又は市町村に連絡することとし、希
望内容に応じて、市町村が実施する軽度生活援助事業、配食サービス
等の生活支援サービス、特定非営利活動法人(NPO法人)などの住
民参加型福祉サービス、ボランティアなどの活用を助言すること。
③ ①及び②の説明を行っても、利用者が保険給付の対象となるサービス
としては適当でないサービス提供を求めた場合には、指定訪問介護事
業者は、求められた内容のサービス提供を行わずとも、指定基準第9
条には抵触しないものと解する。
なお、これらの保険給付の範囲外のサービスについて、利用者と事
業者との間の契約に基づき、保険外のサービスとして、保険給付対象
サービスと明確に区分し、利用者の自己負担によってサービスを提供
することは、当然、可能である。
また、こうした事例への対応については、居宅サービス計画の策定
段階において利用者に十分説明し、合意を得ることが重要であること
から、指定居宅介護支援事業者にあっても、十分に留意して居宅サー
ビス計画の作成に当たることが必要である。
(別紙)
一般的に介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例
2
1.「直接本人の援助」に該当しない行為
主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断さ
れる行為
・ 利用者以外のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し
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・ 主として利用者が使用する居室等以外の掃除
・ 来客の応接(お茶、食事の手配等)
・ 自家用車の洗車・清掃 等
2.「日常生活の援助」に該当しない行為
①訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される
行為
・ 草むしり
・ 花木の水やり
・ 犬の散歩等ペットの世話 等
②日常的に行われる家事の範囲を超える行為
・
・
・
・
・
家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え
大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ
室内外家屋の修理、ペンキ塗り
植木の剪定等の園芸
正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理 等
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介護報酬等に係るQ&A
平成12年3月31日
Ⅰ(1)②2
通院介助には、待ち時間もサービス時間に含まれるか。
含まれる。したがって、場合によって長時間にわたることも考えられるので、利用者の立場に
立ち、極力効率的にサービス提供がなされるよう工夫が必要。
Ⅰ(1)②3
通院介助について、効率的なサービス提供の観点から待ち時間を極小化するために、朝ヘルパ
ーが診察券を窓口に提出(所要時間30分未満)
、昼に通院介助(往復時間+診察時間)
、後で薬
をヘルパーが取りに行く(所要時間30分未満)とした場合、朝・夕のサービスに対する報酬は、
それぞれを家事援助の1時間未満として算定するのか、朝・夕を一連の行為として合計して家事
援助の延長単価を用いて算定するのか。
これらは、通院介助として、一連の行為とみなすことも可能なものであることから、利用者に
対する適切な説明を行い、ご理解いただいた上、朝・夕のサービスを居宅サービス計画上では、
昼の通院介助に含めて一回の訪問とみなし報酬の対象として差し支えない。ただし、このような
取扱は通院介助に限定されるものである。
WAMNET
Q&A (公開版)
保険給付の対象となる通院・外出介助について
平成12年3月31日付「介護報酬に係るQ&A」では、通院介助の待ち時間をサービス提供
時間に含むとしていますが、平成13年3月28日付「運営基準に係るQ&A」では、通院・外
出介助のサービスを提供する場合において、例えば病院において要介護者が受診している間な
ど、介護等を行わずに単に待っている時間については保険給付の対象としない見解が示されてい
ます。
本市では、平成13年3月28日付「運営基準に係るQ&A」については、いわゆる「介護タ
クシー」に限ったものではないと解釈し、全ての訪問介護事業者が提供する通院・外出介助に適
用してよいでしょうか。
貴見のとおり。病院での受診の待ち時間については、要介護者等の状況により常に見守り等を行
う必要がある場合等は、外出介助の一環として保険給付の対象となることもありうるが、見守り
等を行わない単純な待ち時間は保険給付の対象とはならない。
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