2012年度活動報告(PDF形式)

はじめに
平成24年度長岡造形大学デザイン研究開発センター受託プロジェクトの活動報告をいたしま
す。当年度は15件と、前年度の8件からプロジェクト数が増加しました。今年度はプロジェクト
の受託要件として、大学ならではの地域貢献が出来る内容に絞り込む方針を明確にしました。そ
うした方針のもとで、プロジェクト数が増えたのは、地域の認識が高まりつつある証左であると
考えております。
また今年度は、NPO法人長岡産業活性化協会NAZEの交流部会に、卒業・修了研究展を見学い
ただき、NAZE会員の目から見た製品化に結びつけたい作品の選出を行なっていただくという、
新しい産学連携の試みも実施しております。
こうした事業を進めるために、大切になるのが知的財産の管理です。今年度は長岡造形大学と
して、教職員および学生の知的財産に対する基本的な考え方の整理、および規約の整備などにも
着手しました。今後受託するプロジェクトについては、徐々に、こうした知的財産管理の着眼点
から、さらに大きなデザイン効果が生み出せるようなプロジェクトへと羽ばたける案件を生み出
していきたいと考えております。
最後に、平成24年度委託いただいたクライアントの皆様に深く感謝いたします。平成6年の長
岡造形大学開学と共に歩んできた長岡造形大学デザイン研究開発センターは、これからもデザイ
ンで企業や地域社会の発展に貢献できるよう活動してまいります。今後ともご支援の程よろしく
お願いいたします。
平成25年7月
デザイン研究開発センター長
渡 辺 誠 介
受託プロジェクト報告
ライオン株式会社ブース展示物のイラストレーション制作業務 … 2
投影型測長器のデザイン研究開発業務
… 6
ステンレス製生活用品のデザイン研究開発業務
… 7
ごみと資源物の分け方・出し方 DVD 編集・制作業務
… 8
長岡市都市景観賞銘板制作業務
… 10
新潟写真文化賞トロフィー制作業務
… 11
歴史的建造物調査業務
… 12
小千谷市歴史的建造物調査業務
… 14
歴史的建造物詳細調査業務委託
… 18
見附市新規住宅地街区基本設計業務
… 22
産業遺産調査研究業務
… 26
新潟薬科大学ロゴマーク制作業務
… 28
新潟日報メディアシップ内ギャラリー&カフェデザイン業務
… 32
デザイン研究開発センターへの相談
相談フローチャート
… 34
担当教員
… 35
相談申込書
… 36
受託事業名:
ライオン株式会社ブース展示物のイラストレーション制作業務
発注者:株式会社創文
受託期間:平成 24 年 9 月 18 日~平成 24 年 11 月 30 日
プロジェクト主査:長谷川 博紀(視覚デザイン学科 教授)
プロジェクトメンバー:北沢 朋美、風間 みさき(以上、学部学生)
1.受託事業概要
芳幸、アカウントディレクター 高松 功、ア
東京ビッグサイトで開催される日本最大級の環境展示
カウントディレクター 金子 敏朗、ディレク
会「エコプロダクツ2012」に出展するライオン株式会社の
ター 中村 孝二
展示ブースに於いて大型のPOP-UP絵本のイラストレー 〈ブース施工〉株式会社ディー・ファクトリー / 佐久間
ションの制作を行った。
雄治
〈POP-UP 本製作〉有限会社 高田紙器製作所 / 高田
2.エコプロダクツ 2012 概要
〈名 称〉エコプロダクツ 2012 第 14 回
照和
〈POP-UP 本イラストレーション制作〉長岡造形大学 視
〈会 期〉平成 24 年 12 月 13 日[木]〜 15 日[土]10:
00 〜 18:00(最終日は 17:00 まで)
覚デザイン学科 / 長谷川 博紀、北沢 朋美、
風間 みさき
〈会 場〉東京ビッグサイト[東展示場1〜6ホール]
〈主 催〉
(社)産業環境管理協会、日本経済新聞社
4.本受託事業に至る経緯
〈後 援〉経済産業省、文部科学省、国土交通省、農林
エコプロダクツ2012ライオン株式会社ブースの実施企
水産省、厚生労働省、
(一社)日本経済団体連
画・運営を行った株式会社 創文から出展者であるライオ
合会、
(公社)経済同友会、日本商工会議所、
ン株式会社へPOP-UP本イラスト制作に関する提案がな
東京商工会議所、
(独)宇宙航空研究開発機
され、本学デザイン研究開発センターへ当該業務の委託
構(JAXA)
、
(独)新エネルギー・産業技術
が行われた。提案内容を以下に記す。
総合開発機構、日本貿易振興機構(ジェトロ)
、
東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県
今回製作するPOP-UP本用のイラストは下記の理由に
〈入場料〉無料
より、大学との連携による制作を提案する。
〈提案理由〉
・
〈来場対象〉◎企業経営者、企業の購買部門、環境管理
POP-UP本用のイラストであるため親しみやすさの中に
部門、製品・商品開発部門、経営戦略部門、
も迫力のある色使いやトーン、タッチなどを予め決定し、
社会貢献部門など◎自治体・官公庁の地域振
完全に指定した上で制作する必要がある。イラストレー
興部門、購買部門、環境部門など◎各業界団体、 ター及び監修者がライオンの企業カラー、アイデンティ
地域産業・商工団体など◎環境 NPO・NGO、 ティをしっかりと把握した上で制作することが重要であ
市民グループ、環境に関心のある一般消費者
(ファミリー、主婦、学生、小・中・高生)
る。描き起こすイラストの量が多い。イラストの制作期
間が約1ヶ月間とタイトである(ストーリーが決定次第、
〈出展規模〉760 社・団体/ 1,750 小間
順次制作に入る)
。イラストの修正頻度が多くなることが
〈来場者〉17 万 8,501 人 ライオン株式会社ブース来場
予想される。
〈提携大学候補〉長岡造形大学デザイン研究
者約1万 1,000 人
開発センター〈選考理由〉
同センターは、平成6年開学と
同時に大学の附属機関として設立、以来、地域社会との
3.運営体制
密着をテーマに活動を展開し、特に企業との共同開発を
〈出展者〉ライオン株式会社 CRS 推進部 /CRS 推進部 積極的に推進している。平成22年度に16件、平成23年度
部長 飯田 教雄、環境保全推進室 室長 波
に8件のプロジェクトを受託。実績は十分であり、連携
多 賢治、環境保全推進室 化学部物質管理専
のための組織体制も整備されている。また長谷川博紀教
任部長 角谷 治夫、環境保全推進室副主任部
授がライオン株式会社のアイデンティティや企業カラー
員 武井 俊晴、環境保全推進室副主任部員 を熟知していることも同校を推薦する大きな理由である。
羽鳥 桂子、環境保全推進室副主任部員 島崎 (実施計画書 株式会社 創文 2012.8.2から抜粋)
博子、環境保全推進室 加藤 久仁子
〈企画・運営〉株式会社 創文 / プロデューサー 相田
2
この提案を経て本学デザイン研究開発センターに株式
会社 創文より依頼がなされ、長谷川 博紀を主査とし
(よりイメージに近づけるように修正)→ プロジェクト制作業務の受託に至った。
6)
A 5サイズホワイトダミー再提出)→ 7)
確認 → 5.ブース制作
〈テーマ〉エコプロダクツ 2012「エコ LION ものがたり」
POP-UP 展示ブース
〈ブース制作の目的〉◎「エコプロダクツ展」の展示を
8)
OK 後、イラストレーター出力の展開図作成 →
9)
展開図へデザイン当てはめ作業 → 10)
入稿後、カラーでの A 5サイズダミー提出 →
11)
確認 (カラーサンプルでの確認)
→ 通して、LION のエコ活動の根本となる思想の
12)
勘合テスト → 理解と浸透を押し広げる。◎その考え方を覚
13)
最終 OK →
えてもらうため単純化したインパクトのあるプ
14)
本番製作スタート
レゼンテーションが必要・商品との連動・展
示内容の分かりやすさ・独自性を発信。◎大
人から若者まで楽しめる展示→意外性。
面白さ・
7.総括
制作業務はPOP-UP本の原画制作を長谷川博紀の監修
記憶・好感度= POP-UP による伝達力の強調。 のもとに行った。最初にイメージラフを10数点提出し、
〈ブースコンセプト〉全体構成は、中央のメインテーマと
その中からライオン株式会社と株式会社創文の担当者が
4カ所のサブテーマにゾーンを分け、来場し
2点を選出して方向性を決定した。その方向性に沿って、
たお客様に自ら触れていただく展示で、LION
中央の大型POP-UP本の原画2点の制作を北沢 朋美が担
とのコミュニケーションを図る。
当し、中型POP-UP本の原画8点の制作を風間 みさき が
[中央メインテーマ]ブースのシンボルとして、ほぼ人間
担当した。原画制作はPhotoshopで下絵を描き、それを
の等身大に近い大型のPOP-UP本
(1500mm×1000mm)
を
Illustratorでパスに変換しデータを入稿納品する方法で
中央に設け→持続可能な社会の実現の考え方、商品と毎
行った。最終的には、そのデータを元に高田紙器製作所
日のエコ、地球と水などをPOP-UPで表現。ページをめ
が実物を作成した。
くりながら簡単なコメントとともに来場者とのコミュニケ
ーションを図る。
原 画 制 作 で は、 制 作 上 の ネ ッ ク と な っ て い た
Photoshopのデータを、いかにしてパス化するかという
[4つのサブテーマ]4つのコーナーには、それぞれに中
点に関して様々な試行錯誤を重ねた。当初Photoshopで
型のPOP-UP本(720mm×510mm)を設置しコーナー毎に
描かれた絵を手作業でパスを取っていく方法を検討した
テーマの
「仕掛け」
を制作。来場者はPOP-UP本を直に触り、 が、膨大な時間と労力が必要となるためその案は却下し
印象を深めていく。テーマとしては①商品を通じた環境
た。それを受けて原寸のPhotoshopデータ作成の可能性
配慮②生物多様性保全の考え③容器・包装削減のための
を探った。しかしそのような方法では今度はデータ量が
「3R」④水資源保護活動。これら4つのコーナーでは「ク
多くなり出力機が対応できないことが判明した。そこで
イズラリー」を展開し、商品として試供品と小型のPOP-
Illustrator C S 5 からの新しい機能であるオートトレース
UP本
(170mm×170mm)
を差し上げる。
を試行した結果、Photoshopで行った描画を容易にパス
化することが可能であることが判った。この機能の導入
6.POP-UP 本 製作フロー
によって短時間の制作期間にもかかわらず業務が遂行で
1)
ストーリー及びイメージ確定 きたのは僥倖であった。一連の作業を通してグラフィッ
(立体イメージを作成)
→ クデザインのツールであるPhotoshopやIllustratorに関す
2)
ラフ画作成(製作の可否をラフ画上で検討)
→
る可能性の研究を常に探ることが、いかに重要であるか
3)
A 5サイズの基本的なホワイトダミー製作 →
を改めて認識した。
4)
確認 (イメージに沿っているかを確認)→ 5)
A 5サイズホワイトダミー修正 3
大型POP-UP本(原画)
大型POP-UP本
大型POP-UP本
大型POP-UP本
大型POP-UP本(部分)
4
中型POP-UP本
中型POP-UP本
展示ブース(ディスプレイ)
中型POP-UP本
展示ブース
5
受託事業名:
投影型測長器のデザイン研究開発業務
発注者:株式会社近藤製作所
受託期間:平成 24 年 7 月 23 日~平成 24 年 10 月 31 日
プロジェクト主査:土田 知也(プロダクトデザイン学科 教授)
プロジェクトメンバー:河野 高寛、西山 文子(以上、学部学生)
1.受託概要
3.デザイン案
投影型測長器とは対象をカメラで撮影し、そのデータ
数回にわたるデザイン案の提示の上で最終案を選定、
を基に寸法を高精度で測る機械である。いわば、精度の
3DCGによりモデリングし最終イメージを制作した(図
高いオートマティックなノギスと言える。
2)
。同時に、3Dデータを近藤製作所に渡して、内蔵す
既に国内でも数社から発売されているが、数百万円も
する高価な機器が多い。そこで、工場や事務所に置いて
気軽に使える、安価な投影型測長器の開発を目指した。
る基盤との3次元的な干渉等の検討を行った。
●最終案(図2)
近藤製作所では過去に、より本格的な用途の試作機を
製作しており、その開発経験を生かしたプロジェクトで
もある。
2.デザインの方向性
発注者から提示された基本レイアウト図面及び試作用
の構造モデル(図1)を基にアイデアを展開しながら、以
下の様なデザインの方向性を固めていった。
・事務所に置いても違和感を覚えないような柔らかいイ
メージとすること。
・高価な成形方法を要するようなカタチにはしない。
・ピント調節は右手で自然に操作できる位置に配置し、
電源ボタンは正面の目につく位置にレイアウトする。
●試作用構造モデル(図1)
4.その後
近藤製作所は基本的にはオーダーでNC旋盤、マシニ
ングセンターなどの各種工作機械の開発を行っており、
本プロジェクトは言わば本業から外れた、業務分野の拡
張を目指したものであった。
その後、主たる業務において開発依頼が相次ぎ、測長
器の開発が中断している間に、市販の測長器は進歩し、
コンセプトの見直しを迫られる状況になった。
本デザインが商品化されなかったのは残念であるが、
近い将来に、より商品力の高いものを市場に投入できる
ものと考えている。
6
受託事業名:
ステンレス製生活用品のデザイン研究開発業務
発注者:株式会社ダイシン製作所
受託期間:平成 24 年 9 月 18 日~平成 24 年 12 月 31 日
プロジェクト主査:土田 知也(プロダクトデザイン学科 教授)
プロジェクトメンバー:金澤 孝和(プロダクトデザイン学科 准教授)
佐藤 遼太郎、嶋田 雅紀、新保 美咲、高橋 大、永田 夏樹(以上、学部学生)
1.受託概要
B案
ダイシン製作所はステンレスを加工して、空調用の部
主にスニーカーのマニアを対象にして、靴のディスプ
品や設置型のゴミステーションを製作している会社であ
レイと元箱の収納場所を兼ねたラックの提案。パンチン
る。過去(平成15年)に、このステンレスの加工技術を生
グメタルの板に、靴を支えるステーを好きな位置に装着
かしてインテリア用品を学生と提案したことがあり、今
する。また板の背後に箱を置くように意図している。
回は、この時に提案した品目の一つである独身世帯用の
シューズラックにターゲットを絞り、新たな提案を行っ
たものである。
2.開発の進め方
デザイン案の制作は学生主体で行い、週1回のペース
で土田と金澤がアドバイスをしてアイデアをまとめた。
最後に各自の提案(計5案)をプレゼンテーションし、
内2案についてダイシン製作所側で実際に試作した。
3.デザイン案
A案
木のフレームとステンレスの棚板で構成した落ち着い
たデザイン。フレームと棚の間の3角形の空間には、小
物やグリーンを置くことができる。
4.終わりに
学生にとってはデザイン案を現実のものとするための
図面化や指示など、今までにない有意義な経験ができた
プロジェクトであったと思う。
実際の商品化のためには、ディテールを洗練させるこ
と、価格帯を明確化してコストダウンを図るなどの必要
があると考える。
7
受託事業名:
ごみと資源物の分け方・出し方 DVD 編集・制作業務
発注者:長岡市
受託期間:平成 24 年 5 月 16 日~平成 24 年 8 月 31 日
プロジェクト主査:ビューラ ヨールグ
プロジェクトメンバー:井口 恵美、高橋 智史、川口 史織、星野 梓
「家庭から出されるごみ」
説明映像、14分35秒、NTSC SD 4:3、カラー
平成25年4月から長岡市では家庭から出されるごみの
分け方と出し方が変わり、バイオガスを作り出すために
「生ごみ」を新しく可燃物と別に収集することになった。
発生したバイオガスは発電に利用される。
このエコロジーの観点ですばらしい改変により一般市
民の日常生活には大きな変化が起こる。ごみの分別と収
映像のタイトル画面:黄緑と水色と灰色のキーカラー から
スタートする。
集の方法が変更されることは生活に直接関わることであ
る。従って、ごみの処理を担当する長岡市環境業務課は、
市民に先ず変更点を分かりやすく伝え、次にそのルール
をきちんと守ってもらえるように喚起することを目指し
ている。
その目標のために市役所はさまざまなメディアを利用
している:各家庭に配られている「長岡市 家庭ごみと資
源物の収集カレンダー」
や
「市政だより」
、チラシ、新聞記
事、インターネット上の情報ページなど。さらに、各公
民館での説明会とその際に再生する映像(6年前からその
平成19年の映像の不燃物の代表品目は今年度の制作まで
の間の一般市民からのフィードバックにより変更された。
映像の制作をデザイン研究開発センタープロジェクトと
してビューラ研究室が担当している。
)
平成19年に18分のごみの分別と出し方を表わす初めて
のバージョンを学生と一緒に完成させた。廃棄物処理の
ルールを説明するだけではなく、市民にきちんと規制を
守ってもらえるように作品の構成を計画した。ごみと資
源物のそれぞれの処理場で行われる作業を紹介し、本来
の廃棄物と異なる物が混ざっていてスタッフが困ってい
る様子を見せ、市民の協力を求めるアピールをしている。
その翌年は、映像の何カ所かを調整しながら、字幕と
メニュー画面のデザイン:ぐるぐる回るメニューから右か
ら左への横スクロールメニューに変更した。生ごみのキー
カラーは指定袋と同じくピンク色。
ふりがな付きの子供や耳の不自由な方のバージョンを制
作した。
平成24年まで5年間使用され、長岡市の各地の公民館
やイベントで問題なく何回も再生された。平成25年4月か
ら新規に分別収集される廃棄物「生ごみ」に対応するため
に今まで使われた映像の新しいバージョンが必要になっ
た。何を入れ、何を入れないかという生ごみの定義から、
「生ごみ」に入る物が左から登場する。パッと見てすぐわか
り悩まなくてもよいイラストが必要であった。
8
収集後の処理やメリット、変更される収集日程までの情
報を既に使用されている映像に追加することが必要にな
った。平成24年の制作期間中は生ごみの処理施設はまだ
建設中であったので、前回のバージョンと同様の実写で
は表現できなかった。そして今回、マナーの喚起より分
別の詳細な情報を伝えなければいけない条件であったこ
とから、アニメーションが適切な技術と考えた。視覚デ
ザイン学科ヴィジュアルデザインコースの学生が原画の
イラストを制作し、ビューラ研究室の映像分野の学生が
アニメーションと仕上げまでの映像制作を担当した。
生ごみからバイオガス発生過程の説明のディテール:選
別機で異物を分別する。
さらに、前回のバージョンから長岡市環境業務課で持
ち上がった廃棄物に関しての変更点と公民館での経験を
含めて変更希望もあったことから、全体の構成変更と新
規ナレーション、5分の引き締め、メニューデザインの変
更と新しい資源物の「生ごみ」カテゴリーに重点を置き今
回のバーションを制作した。そして今回は公民館等での
説明会用のDVDだけではなく、市役所のホームページ用
の映像としても使用することとなった。
長岡市ホームページ
バイオガス発生過程。それぞれのディテール説明の最後
に全体図が表示される。
http://www.city.nagaoka.niigata.jp/kurashi/gomi/
kateigomi-dvd.html
このプロジェクトでは学生は主に、既にある情報をど
のようにして動画で表現するのかを学ぶことができた。
他分野の学生とのコラボレーションと実社会での事務的
なやりとりで実際の仕事の具体的な部分を見ることもで
きた。ローカルな地域の環境をグローバルな問題
「エコ」
として映像で上手くデザインできるかがこのプロジェク
トの主な研究挑戦と動機であった。
生ごみの収集日は今までの可燃物収集日の回数を調整し、
変更される。
エンドロールのデザイン。平成19年から協力したメンバ
ーの皆さん。
ご苦労さまでした!
9
受託事業名:
長岡市都市景観賞銘板制作業務
発注者:長岡市
受託期間:平成 24 年 6 月 28 日〜平成 24 年 12 月 28 日
プロジェクト主査:長谷川 克義(美術・工芸学科 准教授)
プロジェクトメンバー:黒目 利江、小川 夏美、池山 崇宏(以上、工房職員)
●受託概要
本件は、平成15年度から創設された「長岡市都市景観
賞」において、受賞者(団体)に贈呈される銘板および楯
を鋳物で制作(複製)するものである。また、これまで使
用してきたシリコーンによる雌型は、経年劣化が著しい
ためその複製も行う。
今年度の受賞は、長生橋、長岡造形大学、もみじ園、
長岡市立和島小学校、越後みしま竹あかり街道(三島ラ
イトアップ実行委員会の活動)
、はちすば通り(和島島崎
地区まちづくり協議会の活動)
であった。
●制作工程および日程
⑴シリコーン雌型の作成
(9月中旬〜 11月初旬)
楯の蠟原型制作状況。
シリコーンによる雌型を複製する。そのために旧シリ
コーン型から蠟原型を作成・鋳造を行い仕上げる。
⑵蠟原型・鋳型制作・鋳造
(11月初旬〜 12月中旬)
新シリコーン型より蠟原型を制作する。順次、鋳造・
仕上げを行い、銘板4点、楯2点の制作を行った。
⑶木枠、プレート作成
(12月中旬)
木枠のデザインは第1回時のデザインとし、プレート
は真鍮板にシルクスクリーンにて文字を摺り入れる。
⑷着色
(12月下旬)
緑青を生成した後、顔料で塗色を施す。
⑸受渡
(12月28日→1月8日)
楯を木枠に固定、プレートを取り付け、長岡市に受け
渡す。
銘板の仕上後、緑青を人為的に生成し、調色した顔料を塗布する。
●まとめ
寸法 :銘板 H315×W315×D35㎜
楯 H250×W210×D87㎜(木枠含)
材質 :ブロンズ <BC-6>
楯木枠 :タモ
楯プレート:真鍮板
(t= 1㎜)
なお、この制作は前回時に制作したものの複製であり、
詳しくはデザイン研究開発センター報告書平成21年度版
を参照されたい。
最後になるが、鋳造関係を黒目利江、楯プレートを小
川夏美、楯木枠を池山崇宏の3名に協力を仰いだ。感謝
する次第である。
10
楯の完成状況。
受託事業名:
新潟写真文化賞トロフィー制作業務
発注者:新潟写真文化賞実行委員会
受託期間:平成 24 年 6 月 8 日〜平成 24 年 7 月 27 日
プロジェクト主査:長谷川 克義(美術・工芸学科 准教授)
プロジェクトメンバー:黒目 利江(工房職員)
●受託概要
本件は、
「新潟写真祭 フォトフェスタ 2012」
における写
真文化賞受賞者に贈呈されるトロフィーの制作を、新潟
写真文化賞実行委員会より依頼されたものである。
●制作条件
本業務の条件として、以下のことが挙げられた。
・前回時と同様の形であること。
・台座については石材を使用すること。
この条件を踏まえて、蠟による原型制作、石膏埋没鋳
型による鋳造を行い制作した。
トロフィーと石製台座との接続部分の蠟原型制作状況
●制作工程および日程
⑴原型制作
(6月中旬)
前回時に制作したシリコーン雌型を使用し、蠟原型を
制作する。
⑵湯道方案・鋳型制作
(6月下旬)
鋳造における金属の流れる経路を考え、原型と同様に
蠟で制作し取り付ける。その後、石膏埋没鋳造用の鋳型
を作成する。
⑶鋳造
(7月初旬)
窯内にて脱蠟、焼成を行い、ブロンズにて鋳造する。
⑷仕上・表面処理
(7月中旬)
鋳造したものを鋳浚えや仕上加工を行い、表面処理と
鋳造後、酸化皮膜をサンドブラストで除去した状況
して、ミソ焼き(硫黄粒による銅分の腐蝕)を施し風合い
を出す。また、石製台座との取付け用に別鋳したパーツ
をトロフィー下面に溶接する。
⑸着色・組立・発送
(7月下旬)
緑青により全体に色付けおよび、塗色する。また、石
製台座にネジにて取付け、依頼者へ発送する。
●まとめ
寸法(台座含む)
:H430×W130×D130㎜
材質:ブロンズ <BC-6>
石材:黒御影石
なお、この制作は前回時に制作したものと同様であり、
詳しくはデザイン研究開発センター報告書平成20年度版
授賞式(8月1日)の様子 〈写真:内山晟氏提供〉
を参照されたい。
最後になるが、鋳金工房職員の黒目利江に多大な協力
を仰いだ。感謝する次第である。
11
受託事業名:
歴史的建造物調査業務
発注者:長岡市
受託期間:平成 24 年 8 月 6 日~平成 25 年 3 月 31 日
プロジェクト主査:平山 育男(建築・環境デザイン学科 教授)
プロジェクトメンバー:西澤 哉子(デザイン研究開発センター研究員)
1. 本年度の活動内容
長岡造形大学では、平成14 〜 16(2002 〜 04)年度にか
クラは平屋建の土間であるが、東側の壁際1間半程が
2階となる。
け、長岡市からの依頼で旧長岡市内における歴史的建造
物の悉皆調査を実施し、平成18(2006)年には旧長岡市域
4 河合家住宅主屋、クラの建築年代及び復原考察
から10件の国登録有形文化財を出すに至った。
・建築年代
一方、長岡市は平成18(2006)年度までに栃尾市など周
主屋からは建築年代を記す一次資料は見出されなかっ
辺9市町村、平成22(2010)年には川口町と合併した。こ
たが、小屋裏からは長さ2.5尺、無記名で洋釘止めの幣串
れらを受け、平成19(2007)年度からは旧長岡市域以外に
が見出された。当家で主屋は明治30(1897)年頃の建築と
おける歴史的建造物の悉皆調査の実施が長岡造形大学に
伝承される。建物からは和釘が見出せず、小屋裏では手
委託され、平成19(2007)年度には栃尾、山古志地域、平
挽鋸の挽痕が見出されたことから、明治時代後期頃の建
成20(2008)
年度は越路、小国地域、平成21
(2009)
年度は
築と考えて妥当である。
寺泊、与板地域、平成22(2010)年度は、中之島町、和島
クラからも一次資料は見出されなかったが、長さ3.14尺、
村地域、平成23(2011)年度は三島、川口地域において歴
無記名で洋釘とめの幣串3本が見出された。クラにも和
史的建造物について悉皆調査を実施した。
釘は使用されず、手挽鋸の挽痕が確認された。幣串が主
平成24(2012)年度では以上の悉皆調査を受け、当該地
域の中から特色ある建物を抽出し、精密な調査を実施し
屋よりやや大振りである点などを考慮して、明治時代末
頃の建築と考えるべきであろう。
た。本報告においては、寺泊地区に所在する河合家住宅
主屋、クラについての調査概要を報告する。
5 主屋の吹き抜け
主屋では土間の背面とチャノマを二階までの吹き抜け
2. 河合家について
とする。そして、東妻面には高窓を設けチャノマと土間
河合家住宅は長岡市寺泊に所在する。聞き取りによれ
境には内法上から吹き抜けの天井まで二段に及ぶ障子窓
ば町内の本家から分家した初代が安永6(1777)年に没し
を設ける。また、吹き抜けとなる土間の階段部分では二
たとされる。
階に渡廊下を設けるなど特徴的な構成を示す。類似の構
もともとは佐渡などからの物産を扱う廻船問屋を営み、 成は、大正時代末頃建築の三条市つるがや主屋、明治時
近代以後は米雑穀、各地木炭卸、各社産出コークス石炭
代前期頃建築の柏崎市吉田家住宅主屋などにも見られる。
特約のほかロウソクなどの販売も行った。
但し、これらは切妻妻入の主屋で、二階渡廊下は背面側
の部屋に続く。一方、河合家住宅主屋は切妻平入形式で
3 河合家住宅主屋、クラの概要
背面側へ部屋の接続はないものの、渡廊下を設けるなど、
・概要
つるがやなどに見られる構成を意識したものとなってい
土蔵造の主屋は旧道に面して切妻造平入桟瓦葺の形式
ると判断できる。
で、正面の桁行7間、梁行4間で正面側に幅5尺程の下
屋を持つ。クラは切妻造平入の形式で妻面を東面させ、
切妻造桟瓦葺とする。桁行4間半、梁行4間半の規模で、
6 さいごに
河合家住宅主屋の調査から明らかとなるのは以下の点
北側に間口4間半、奥行2間の規模で蔵前を設ける。
である。
・平面
1)主屋の建築年代は、住宅に伝承される明治30(1897)
主屋は総2階建とする。入口は北側に寄って幅1間半
の土間が背面まで通して配される。上手の床上は田の字
年頃と考えてよい。
2)主屋は切妻平入ではあるが、土間-チャノマ境を吹き
型に4室を配する。2階への階段は土間と床上に配され、
抜けで障子とする構成は広く中越から下越にかけて見
2階は土間裏側とチャノマ部分が吹き抜けとなる3室の
られる特徴的なものである。
構成となる。
12
3)
クラは明治時代後期頃の建築と判断される。
河合家住宅主屋 外観 南東より
河合家住宅主屋 チャノマ 西より
河合家住宅主屋 土間 南西より
いずれも田村収撮影
13
受託事業名:
小千谷市歴史的建造物調査業務
発注者:長岡市
受託期間:平成 24 年 5 月1日~平成 25 年 3 月 31 日
プロジェクト主査:平山 育男(建築・環境デザイン学科 教授)
プロジェクトメンバー:西澤 哉子(デザイン研究開発センター研究員)
1 はじめに
小千谷市教育委員会から長岡造形大学へ対して小千
谷市内に所在する歴史的建造物の調査が依頼された。対
宗の寺院である。
観音堂は街道に面した駐車場から北に折れ、児童公園
を抜けた場所に南面する。形式は正面柱間3間、
側面3間、
象は市民から寄せられた築後50年を経た建造物でこの内、 正面向拝1間向唐破風付で、入母屋造平入、金属板葺と
所有者の同意の得られた物件に対して建築的調査を行っ
する。建築年代は寺に保管される棟札より文化14
(1817)
た。以下、調査を実施した8件について概要を報告する。 年と判断され、内陣奉納札にも文化14(1817)年の銘が残
る。棟札によれば大工棟梁は細貝新吾左衛門、同副棟梁
2 慈眼寺 山門、観音堂
和田利八、以下同彫師和田丈八などとされる。宮殿には
小千谷市平成2丁目の慈眼寺は真言宗智山派の寺院で、 文政4(1821)年の墨書があり、建物の建築後に宮殿が造
山門、観音堂の調査を実施した。
山門の形式は三間一戸楼門で、
正面桁行3間、
側面梁行
られたと判断できる。なお、観音堂の組物は外周、内外
陣境とも片蓋で直接小屋組の梁を受ける形式とする。
柱間は2間とする。屋根は入母屋造平入の金属板葺とす
るもので、
正面背面の両側に軒唐破風を配する。
建築年代は、 5 東忠 本館、別館、ウエノクラ、マエノクラ
彫刻絵様の編年から明治25
(1892)
年頃と見ることができた。
東忠は小千谷市元町の割烹店である。店の名前である
ひがしちゅうべえ
観音堂は、山門の背面50m程の場所に北面して建つ。 “東忠”は1770年に没したとされる初代東忠兵衛に因み、
形式は正面柱間3間、側面4間、正面向拝1間向唐破風
4代目までが忠兵衛を名乗り現在は10代目とされる。敷
付で、全体としては入母屋造平入、金属板葺とするもの
地は信濃川の支流で、山本山から流れ出る湯殿川縁に建
である。建築年代は発見された棟札の記載から、安永5
ち、界隈は茶屋などが軒を連ねた。湯殿川に公道を挟ん
(1776)年とすることができる。当初平面は正面3間、側
で南面して店舗兼住宅がとなる本館が建ち、やや東に振
面4間、内陣奥行2間、外陣奥行2間で、内陣中央背面
れて別館が接続する。本館の背面にカミノクラ、本館東
に須弥壇を設けるもので、両脇の壇は中古となる天保14
側敷地にマエノクラが配される。本館は切妻造金属板葺
(1843)年に設けられた。なお、観音堂の組物は外周、内
3階建とする。規模は梁行が4間、桁行12間半とする。
外陣境とも片蓋形式で直接小屋組の梁を受ける形式で、
別館は本館の東側に位置し、入母屋造桟瓦葺2階建で梁
当該地域における特色ある工法と見ることができる。
行4間、桁行6間程の規模となる。カミノクラは本館の
裏側に位置し、本館からは西側へ20°
程振れて配される。
3 おっこの木 主屋
2階建切妻造金属板葺で梁行2間半、桁行3間の土蔵造
農家民宿おっこの木は、小千谷市真土、若栃集落に位
の前後に蔵前部分が1間程度接続して妻入とする。マエ
置する。主屋は所有者から集落へ譲渡されたもので、新
ノクラは2階建切妻造金属板葺妻入の形式である。本館
潟県道56号小千谷大沢線からやや西側の丘陵に登った地
は茶の間以南が少なくとも19世紀に遡る建築と考えるこ
に位置する。主屋建物の形式は典型的な中門造で、桁行
とができる。別館は昭和時代初期頃の建築と判断される。
7間半14.60mに梁行5間8.47mの規模となる寄棟造の本
ウエノクラは2階屋根に多数、和釘の使用を見ることが
屋部分正面に、切妻造妻入の形式で前中門と後中門が接
できたため、少なくとも19世紀中期までの建築と言えよう。
続する。屋根は本屋部分が茅葺上に金属板被覆、前後の
聞き取りによればウエノクラは撞球場として一時改装し
中門部分は金属板葺とする。主屋は慶応3(1867)年の奉
たとする。マエノクラは土蔵入り口戸枠に
“昭和五年六月
納札を持ち、この頃が建築年代と考えられた。なお「お
建築”の墨書があり、土蔵2階地棟上には無記名の幣串
っこ」
とはイチイ
(一位)
の異名であり、当住宅西側に3本
に上棟式の祝詞が副えられていた。
のイチイの庭木を見ることができる。
6 渡辺家住宅 主屋
4 潮音寺 観音堂
聚山潮音寺は小千谷市小栗田の南西部に位置する曹洞
14
渡辺家住宅は小千谷市元町に位置する住宅である。こ
の建物は江戸時代においては小千谷陣屋の郷宿とされ、
野澤家の住宅としても利用されたが、維新後は小千谷本
本堂は寄棟造平入金属板葺で東面する。規模は桁行8
町に住んでいた渡辺家が度重なる大火を嫌い、この住宅
間、梁行6間、正面中央に向拝が取り付く。建物は寛文
を求め、明治時代中期頃から移り住んだとされる。
7(1667)年頃の建築で、宝暦2(1752)年の火災後、宝暦
主屋は切妻造平入形式の金属板葺で公道に北面する。 11(1761)年頃に改修を受けて現在に至ると判断される。
なお南西角に廊下が取り付き背面の土蔵へ接続する。主
当初の平面形式は六ッ間取で、前後の部屋境では1間間
屋の規模は梁行5間半、桁行6間半の規模で、各面に半
隔で密に柱が立つ形式に復される。
間程度の規模で下屋が取り付く。主屋はやや奥まって西
観音堂は入母屋造金属板葺平入の形式で正面桁行3
側に寄って玄関が開かれる。1間幅のドマが4間奥まで
間、奥行4間半で正面中央に向拝1間を設ける。堂は、
続き、突き当たりがダイドコロ、背面下屋の廊下を介し
安永5(1776)年に長岡関原の大工である高木甚兵ヱによ
て風呂、便所で、廊下が土蔵に接続する。床上は2列で
り建築されたと記録に残り、中古、背面に棚が張り出し
配される。
て設けられ、昭和36
(1961)
年に屋根の葺替えが行われた。
建築年代は従来、慶応3(1867)年と伝承されたが、小
仁王門は観音堂前に立ち東面し、正面桁行3間、奥行
屋裏より安永5(1776)年の建築を示す棟札が今回の調査
2間とする。
“仁王門建立覚書”によれば門の建立は弘化
で発見され、従来よりおよそ90年遡る建築年代であるこ
2(1849)年で、大工は片貝町吉井伝八、建築費は38両38
とが確認された。
歩と記録される。その後、昭和39(1964)年に屋根の葺替
えがあり、平成元
(1989)
年に銅板葺に改められた。
7 観音寺 観音堂
観音堂は小千谷市片貝地区の南部に位置し、敷地は片
なお、観音堂、仁王門とも組物を片蓋形式として、柱
が直接、小屋組を受ける形式とする特徴的な構成とする。
貝の町を南北に貫通する通りが南東に曲がる場所に参道
を設ける。観音堂は入母屋造平入の金属板葺で北面する。 9 浅原神社 本殿、拝殿−中殿
建物の東側には廊下が取り付き、庫裏に接続する。観音
浅原神社は小千谷市片貝地区の中程、西側の山寄りに
堂の規模は正面桁行3間、奥行となる梁行3間で背面に
東面して位置する。社はかつて若一王子大権現と称され、
下屋が半間取り付く規模で、正面中央に向拝が一間取り
吉原家の氏神であったが、18世紀中期頃、村の鎮守とさ
付く。建物は寛政12(1800)年から建築を始めて3年目の
れた。現社号の浅原神社は、旧の浅原荘に因み、天保15
戌年、即ち享和2(1802)年7月16日に入仏があり、8月 (1844)
年に神宣を受けた。
6日まで開帳を行い、以後は13年目に一回の開帳を籤で
本殿は一間社流造の形式で、金属板葺で東面し、正面
決めたものとされる。以後は17年目の天保9(1838)年、
柱間8.00尺とする。建築年代は寛政9(1797)年で、文化
12年目の嘉永2(1849)年に改修などがあった。なお、こ
3(1806)年になって天井画が整備され、安政5(1858)年
れとは別に大正14(1925)年に茅葺を瓦葺に改めたことを
に本殿、拝殿の建物は西側へ25m程移築を受けた。
記す木札があり、向拝には昭和60(1985)年に屋根を銅板
拝殿は入母屋造平入正面千鳥破風付金属板葺の形式
葺としたと記録する扁額が掲げられていた。なお、この
で正面に1間の向拝が取り付き東面する。拝殿の裏側に
建物も組物は外周、内外陣境とも片蓋形式で直接小屋組
中殿が切妻造妻入金属板葺の形式で接続する。平面規
の梁を受ける形式である。
模は、正面桁行3間、側面梁行2間とするもので、背面
の中殿は正面2間、奥行3間である。拝殿の建築年代は、
8 真福寺 本堂、観音堂、山門
文政3(1820)年と判断される。拝殿は当初、3間に2間
真福寺は小千谷市片貝地区の南端部付近に位置し、敷
の規模で、背面に間口1間、奥行3間の中殿を接続した
地は、片貝の町並みからはやや外れ、県道236号線の北
ものと判断される。現状の中殿は今回の調査で発見され
側に位置する。寺は仁王門、観音堂、本堂、庫裏などか
た棟札より、大正7(1918)年の改造で、洋小屋組で建築
らなり、観音像は大同2
(807)
年に近隣の池から出現した
がなされ、昭和53(1983)年に拝殿、中殿の屋根が改修さ
とする由緒を持つとされる。
れたことを知ることができる。
15
慈眼寺 山門 北より
潮音寺 観音堂 南より
慈眼寺 観音堂 北西より
潮音寺 観音堂内陣 南より
慈眼寺 観音堂内陣 北東より
東忠 本館 南西より
おっこの木 主屋 南西より
東忠 別館内部 南西より
16
渡辺家住宅 主屋 北東より
真福寺 観音堂 北東より
観音寺 観音堂 北より
真福寺 観音堂 東より
観音寺 観音堂 北より
真福寺 本堂 南東より
真福寺 山門 東より
浅原神社 拝殿-中殿、本殿 北東より
撮影:田村収
17
受託事業名:
歴史的建造物詳細調査業務委託
発注者:三条市
受託期間:平成 24 年 10 月 24 日~平成 25 年 1 月 10 日
プロジェクト主査:平山 育男(建築・環境デザイン学科 教授)
プロジェクトメンバー:西澤 哉子(デザイン研究開発センター研究員)
1.はじめに
平成24
(2012)
年度、三条市から長岡造形大学へ三条市
栄地区における建造物調査を委託された。本稿では平成
24
(2012)
年度に実施した2調査の概要を述べる。
は建具で仕切られることとなる。また、両脇1間は側面
の廻廊、更に外の柱には風食が確認されることから縁が
回っていたものと判断される。
なお、外陣と正面廻廊の外回りの建具は、現状の床か
らやや上がった高さに中敷居が多くの箇所で確認された。
2.
三条市光善寺本堂、山門建造物調査
この床面よりやや高い位置に窓としての開口部が復原さ
・光善寺の概要
れることとなる。外周の擬宝珠金具には文化7(1810)年
浄土真宗の光善寺は、寺伝によれば地頭佐々木氏の高
の刻銘が残る。向拝廻りの彫刻絵様も内陣、外陣のもの
綱が親鸞の越後流配時に帰依したとことに始まるとされ
を明らかに下ることから、19世紀初期において向拝廻り
る。庵は信濃筑摩郡栗林村に編み、15世紀末頃、子孫の
の改造があったものと判断される。
了善が矢田へ移り光善寺を開いたとされる。後に寺は本
・山門
山との関わりを強め、貞享2(1685)年には中本寺として
山門は西面し、三間一戸二重門で入母屋造平入桟瓦葺
の寺格を備え、本山直末として“矢田の御坊”と呼ばれる
の形式で、下層、上層とも間口3間、奥行2間の規模と
に至り、末寺5寺を抱えたとされる。
する。下層は中央の間口が8.5尺とやや広く、脇間は5.30尺、
寺の敷地は県道212号線からやや奥まった旧道に沿う。 奥行は5.30尺の2間とする。扉は持たないが扉口は正面
参道は谷筋に沿って延び、敷地入口に山門があり、これ
柱筋から2.65尺奥まった位置にあり、両脇に2.65尺巾で板
を潜ると北側に鐘楼、本堂、庫裏が西側から順に建つ。
壁の小壁を設ける。背面を除き側廻りは横板壁とする。
・本堂
上層桁行中央間は8.5尺と逓減はないが、その他の桁行脇
本堂は入母屋造平入桟瓦葺で南面し、間口10間、奥行11
間で正面に間口3間の向拝が取り付く。平面は内陣と外陣か
間、梁行各間は4.75尺と下層に対して1割程の逓減となる。
上層へは下層北側に梯子をかけ登る。上層は1室で、周
らなり、周囲に廻廊が配され、背面に和室と便所が配される。 囲に縁が配される。なお、上層床中央部分が格子状に開
本堂の建築年代を直接示す資料を調査に際して見出すこ
けられている。
とはできなかったが、彫刻絵様の編年から見ると江戸時代
山門の建築年代を直接示す資料を調査に際して見出す
初期までは遡らず、17世紀中期から後期と見るのが妥当であ
ことはできなかった。彫刻絵様から建築年代を見ると頭
る。外周組物、妻飾、向拝廻りはやや年代が降り、19世紀
貫木鼻、組物拳鼻、妻飾虹梁の渦紋は比較的古風で、編
初期頃の改修であろう。更に大正9
(1920)年には屋根を桟瓦
年では17世紀後期から末頃の様相を呈する。また、山門
葺に改め、平成18
(2006)
年に屋根の葺替えを実施した。
は本堂と同じく大正時代頃に屋根廻りの改修があり、平
本堂の平面を見ると内陣と外陣は、床が最近の改修で
成18
(2006)
年にも屋根及び塗装の改修が行われた。
板敷に改められるが当初の平面形式をよく示す。内陣は
山門上層中央間の敷梁中央には、かつて梵鐘を吊った
須弥壇が移動を受けている。現状では当内陣背面中央間
穴が残り、上層床中央にも格子状とする部分がある。こ
が引違で出入りできるが、両脇の柱側面には板溝が残り、 れはかつて上層に梵鐘を配したためであろう。現状では
現状の天井上に古い天井痕跡が残る。これらのことから、 上下層小屋組がやや新しい。恐らく大正時代、本堂と同
当初は内陣背面が棚で、三間仏間の形式であったと考え
時期に茅葺から桟瓦葺への改造があり、この際に小屋組
られる。また、内陣両脇の各部屋は中古の改造によるも
も改められ、更に平成18(2006)年の改修で、屋根と塗装
のであり、背面の廊下も含め当初は1間程度の規模を有
の工事が行われたと考えられる。上層で側面正面寄りの
する廊下であったものと考えられる。外陣は内陣寄りの
柱間には菱形の格子窓が入るが、仕様はいずれも新しく、
柱の両側面に柵の取り付いた痕跡が確認された。内陣正
当初は竪格子に復されるのであろう。下層中央柱間には
面を囲うように柵が復される。外陣の正面規模は内陣と
蹴放の取り付いた痕跡が残るものの、扉装置の痕跡はな
同じ7間、奥行は4間で、この内外に内法長押が廻される。 いことから、当初から扉を持たぬ門の形式であったもの
外陣と正面廻廊境はいずれも鴨居に2本溝が残り、両者
18
と考えることができよう。また、下層表側の両側面柱に
図1 光善寺 本堂 平面図
図2 光善寺 山門 平面図
写真1 光善寺 本堂・山門
写真2 光善寺 本堂
写真1,2撮影:田村収
19
は塀の取り付いた痕跡があり、当初は門の両側に板塀が
外部:外部とは水倉壁仕上の更に外側の仕様を指す。形
取り付いていたものと判断される。
式としては上屋となる鞘として本体の外壁から離して覆
うもの、壁面を直接羽目板で覆うもの、羽目板と構造体
3.
三条市栄地区渡前 芹山 中曽根新田水倉調査
が一体となる3形式に分類することができた。鞘は18棟、
・地区の概要
羽目板11棟、一体型が13棟であった。鞘形式は明治時代
この集落は貝喰川中流域、低湿地の微高地に位置する。 に12棟、大正時代に4棟、昭和戦前期に2棟と古いもの
各集落の成立は中世に遡るが、古くから氾濫に悩まされ、 に多い。羽目板は明治時代のものに3棟、
大正時代に1棟、
退転を繰り返した。江戸時代中期にはこの地域に水難を
昭和戦前期に5棟、昭和戦後期に2棟となり昭和戦前期
避けるため、水囲1,350間が設けられた。明治時代の水害
のものに多い。一体型は明治時代に1棟、
大正時代に1棟、
後、土盛りをした敷地に、洪水時に避難するための水倉
昭和戦前期に9棟、昭和戦後期に2棟となり、昭和戦前
が建設されたという。
期に多く、なお、最近の修理で一体型へ変更したものも複
・水倉
数棟確認された。時代との相関では明治、大正時代に鞘
調査では外観調査、聞き取り調査をこの集落に73戸の
住宅に対して実施した。集落では73戸の住宅の内、35戸
形式が目立ち、以後、羽目板、一体型となるようである。
・主屋
(48%)に水倉が存在し、別の3戸には最近まで水倉が建
対象となる住宅の主屋では茅葺が2棟で、建築年代が
ったと考えられる場所が確認された。なお、複数棟の水
江戸時代中期に遡るものが1棟、明治時代後期が1棟で
倉を所有する住宅もあり、水倉の総数は38棟となる。
あった。以下、昭和戦前期が1棟、昭和戦後期が28棟、
建築年代:移築を受けたものが38件中4件と1割を超え
平成が6棟であり、昭和戦後期、急速に主屋の建て替え
た。建築年代は明治時代後期が13棟、大正時代7棟、昭
が行われたことが分かる。聞き取りによれば水倉ではか
和戦前期13棟、昭和戦後期5棟であり、維新後に建築が
つて米のタンクを置いて米を貯蔵したが、水倉が建設さ
進んだと考えることができた。
れる以前、米は主屋に置かれていたという。
地盤高:目視による高さで平均0.7m程であったが、1.8m
・農舎
に及ぶものも散見された。水倉の多くは公道を背にし、
のうしゃ
対象住宅では1戸を除いて37戸において農舎が確認さ
敷地内では最も高い場所に配されものが目立った。
れ多くが2階建であった。農舎は農業用の作業場で現在
規模:規模の平均は梁行2間が29棟で、
2間半が8棟、3
では脱穀機、乾燥機などの機械を設置する。かつて屋内
間が1棟と大半が2間であった。桁行は1間半が1棟、2間
の農作業場は主屋下手の土間で行われていたものが、農
半が8棟、3間が13棟、3間半が6棟、4間が8棟、
4間半
業作業において電気機械が導入されたこと等を契機とし
が1棟、
5間が1棟で、
平均は3間程度であった。
て農舎が別棟として設けられたようである。聞き取りに
形式:38棟全てが切妻造平入の形式で、いずれも出入口
より明らかなった農舎の建築年代は昭和戦後期が多い。
は主屋に近い側に設けられていた。
特に昭和40(1965)年代に主屋の下手を農舎として改築し
壁の仕様:外壁の仕様では建物全体の木部を塗り込める
たり、農舎の建築を機に、主屋自体の建て直しが進んだ
大壁造が22棟、木部の一部、特に屋根廻りを塗り込め、
とされ、それが上述した現主屋の建築年代に付合する。
一部を真壁造とするものが5棟、真壁造が11棟であった。
なお、大壁とする22棟中20棟が大正時代までの建築と考
えられる。また、真壁土蔵5棟中、3棟が昭和戦前期、
つまり、水倉、農舎を独立させて建築することにより、
調査地では主屋において農作業のための空間、即ち土間
2棟が昭和戦後期、真壁造は11棟中7棟が昭和戦前期、 (いわゆるニワ)を維持する必要条件が消滅した。そのた
4棟が昭和戦後期の建築となり、壁の仕様と建築年代に
め主屋では特に下手側の土間における改造・建て替えが、
はある程度の関係を見ることができそうである。
農舎の建設が特に盛んに行われた昭和戦後期になって進
壁仕上:38棟中4棟が中塗仕上、34棟が漆喰などによる
み、併せて主屋全体の建て替えも実施され、茅葺主屋の
仕上としていた。
急速な消滅が進んだと見ることができよう。
20
表1 渡前、芹山、中曽根新田における主屋、水倉、農舎
農舎
主屋
水倉
査
建築時期
建築時期
移 地 規模
番
江明明大昭昭平
明大昭昭
築 盤 梁 桁
大一真
鞘 羽
一
号
戸治治正和和成
治正和和
高 行 行
壁部壁
目
体
時前後時戦戦
後
戦戦
真
板
代期期代前後
期
前後
[ ]
[ ]
調 名前
渡前
○
S40(1965)頃
m
形式
壁仕様 仕上 外部
[ ]
1 SH
番地
間 間
1.0
2 3.5 切妻平入 ○
中塗 ○
○
1.0
2
4 切妻平入 ○
中塗 ○
0.4
2
3 切妻平入
渡前
○
S43(1968)
3 SS
渡前
○
昭和戦後
○ S60(1985)頃
4 YT
渡前
5 SM
渡前
6 NS
渡前
7 NZ
芹山
○
昭和戦後
8 KT
芹山
○
昭和戦後
9 TS
芹山
○
昭和戦後
10 IR
芹山
○
昭和戦後
11 KK
芹山
○
昭和戦後
0.8
12 HM
芹山
江戸時代中期 ○
0.7
2
3 切妻平入 ○
13 TT
芹山
○
昭和戦後
0.2
2
3 切妻平入
14 TK
芹山
○
昭和戦後
15 ST
芹山
16 FY
昭和14(1939)
○
○
○
○
0.4 2.5 4.5 切妻平入
○
○
0.6 2.5
○
3 切妻平入 ○
○ 漆喰
○
漆喰
腰
○
0.6 2.5 1.5 切妻平入
○ 漆喰 ○
○
0.2
2
3 切妻平入
○ 漆喰
明治後期
○
0
2
4 切妻平入
○ 漆喰
○
○
○
○
鉄板
4 切妻平入 ○
0.4
2
3 切妻平入
○ 漆喰
○ 昭和22(1947)
0.4
2 3.5 切妻平入
○ 漆喰
○
○
0.6
2
3 切妻平入
○ 漆喰
○
○
S40(1965)頃
なし
0.5 2.5
○
間にミソグラ
漆喰 ○
S55(1980)
○
建築年代
壁
○
2 SF
備考
漆喰 ○
○
鉄板
○
○
○
築山のみ
漆喰 ○
○ 漆喰
○
敷地内で移築 車庫
○
○
○
○
0.3 2.5
4 切妻平入 ○
漆喰 ○
○
○ 平成
○
0.6
2
3 切妻平入 ○
漆喰 ○
○
芹山
不明
○
0.3
2
3 切妻平入 ○
漆喰 ○
○
17 KK
芹山
○ 平成
○
0.3
2 3.5 切妻平入 ○
漆喰 ○
18 KI
芹山
○
昭和戦後
19 OK
中曽根新田
○
昭和戦後
20 HK
中曽根新田
○
S45(1970)頃 ○
0.9 2.5
5 切妻平入 ○
漆喰 ○
○
21 ET
中曽根新田
○
昭和戦後
○
1.0
2
3 切妻平入 ○
漆喰 ○
○
○
1.0
2
3 切妻平入 ○
漆喰 ○
○
1.5
2 2.5 切妻平入 ○
漆喰
○
移築は昭和初期? ◎ 1.4
2 2.5 切妻平入 ○
漆喰
○
0.9
2 3.5 切妻平入 ○
漆喰 ○ ○
0.4
2 2.5 切妻平入 ○
漆喰
洗出
○
漆喰
鉄板
○
漆喰
鉄板
○
○
昭和戦後
○
0.8
○
0.7
築山のみ
2 2.5 切妻平入
22 HK
中曽根新田
23 OM
中曽根新田
24 NK
中曽根新田
25 OY
中曽根新田
26 SM
中曽根新田
○
昭和戦後
○
1.0
2 2.5 切妻平入
27 OF
中曽根新田
○
昭和戦後
○
0.5
2 2.5 切妻平入 ○
28 OT
中曽根新田
○
昭和戦後
0.4
3
29 KE
中曽根新田
0.5
2 2.5 切妻平入 ○
30 KT
中曽根新田
○
昭和戦後
○
0.5
2
31 KK
中曽根新田
○
S44(1969)年
○
32 OY
中曽根新田
○
S35(1960)頃
○
33 KB
中曽根新田
○
昭和戦後
○
34 OY
中曽根新田
35 SM
中曽根新田
○
昭和戦後
36 OK
中曽根新田
○
昭和戦後
37 HK
中曽根新田
○
昭和戦後
38 OM
中曽根新田
○
昭和戦後
○
漆喰
○
○
○
間数組合番付 ○
○
ミソグラあり
○ 平成
○
昭和戦後
○ 平成
○ 平成
○
○
○
○ 平成
S29(1954)移築
S40(1965)頃移築
○
◎ 0.4
4 切妻平入
○
○ 漆喰
2 2.5 切妻平入 ○
2
4 切妻平入 ○
◎ 1.2
2
4 切妻平入 ○
2 3.5 切妻平入
漆喰
○
○
○
漆喰 ○
漆喰
S40(1965)頃
○
○
洗出
0.4
○ 昭和15(1940)頃 ◎ 0.2
○
○
○
○
漆喰 ○
○
漆喰
○
○
鏝絵良好
1.2
○
○
漆喰 ○ ○
3 切妻平入
1.0
1.0
○
○
築山のみ
○
○
3 切妻平入
○ 中塗
○ 幣串あり
○
2 3.5 切妻平入
○ 漆喰
○
昭和29(1954)
2
1.8 2.5
4 切妻平入 ○
中塗 ○
○
平均 0.7 2.1 3.2
写真3 渡前 SH家
写真4 渡前 SS家
21
受託事業名 見附市新規住宅地街区基本設計業務
発注者 : 見附市
受託期間 : 平成24年7月1日~平成25年3月31日
プロジェクトメンバー
プロジェクト主査 : 上野裕治
デザイン総括
: 山下秀之
土木設計担当
: 大原技術株式会社 担当 藤巻英俊、樋口寛昭
住宅開発アドバイザー : 株式会社高田建築事務所 代表取締役社長 高田清太郎
せせらぎ、
フットパスのある裏庭の風景
□ はじめに
平成20年度に、
「見附市柳橋町における新規住宅地街区計画策定の検討」
を、見
附市から受託した
(主査:山下秀之、
デザイン研究開発センター平成20年度活動
報告書p38~41に掲載)。以下3つの視座のバランス地点で、計画案を策定した。
1 21世紀の居住の中核を担う概念と言われる
「北欧エコ・ヴィレッジ」
上:デッキウォークは散歩道、住宅敷地との境界には垣根や塀を設えてもよい
下:畑や水緑豊かな裏庭では、
となりの庭が連なり、大きな緑地となる
り、住宅地として恵まれた条件を備えている。
なお当該地区は、耕地整備により一
次造成は完了している。
□ 地区計画の目標
見附市の将来構想も加味し、
当該住宅地開発はワンランク上の住宅環境の創造
2 新潟でもまだ現存する
「日本型集落」
を目指すべき土地である。
そこで、緑ゆたかで、住環境としても生態学的環境とし
3 一般的で実践的な
「現代住宅地」
ても優れ、
また省エネルギーや地域コミュニティーの構築といった、将来へ向けて
本業務は、
その計画案に基づく
「見附市新規住宅地街区基本設計」
である。最大
の特徴だった
「裏庭の水緑豊かな場」
の提案は維持される。
□ 地区の概要
持続性のある理想的な住宅地の創造を目指すものである。
すなわち、
「環境と人
が響き合う街」、ECHO TOWN(エコー・タウン)
の創造を目標とする。
□ 基本設計書の目次
第1章
当該地区は見附市の中心部に位置し、既に開発が済んでいる
「柳橋地区 地区計
画」区域に隣接している。
また、JR見附駅や国道8号線への良好な交通利便性に
加え、
貝喰川遊歩道を通ってイングリッシュガーデンへのアクセスにも恵まれてお
22
準備・前提条件整理
(現地調査/資料収集)
第2章
街区基本設計
(街区設計/造成地内水理計算/洪水調整池計画/公
留意事項 : 本報告書に掲載されているすべての計画内容と表現は、
あくまでも基本
設計の段階であり、今後、実施するかも含め、
内容変更の可能性がある
レイアウトデザイン : 山下秀之
CGパース制作
: 建築・環境デザイン学科3年 担当 石塚多恵、風間ひかる、加藤千裕、八子悠、渡邉瑞樹
模型製作
: 建築・環境デザイン学科2年 担当 今井博康、入澤佑哉、佐藤圭真、柳生田昂仁
見附市新規住宅地街区
柳橋 1341
マスタープランニング
上:中央の幹線道路のカツラ並木、
日照確保のため各建物を千鳥状に配置
下:調整池の上に太陽光発電を設置
第3章
園緑地等計画/消防水利施設計画/電線地中化計画
・電線地中化と中央道路の端正なカツラ並木
/消雪施設計画/公益施設計画)
・ガーデンが連続する裏庭のグリーンベルト
事業費概算
・
「みつけイングリッシュガーデン」
へと連続する緑地と園路
(概算事業費総括表/概算事業費算出/算出根拠)
第4章
デザインガイドライン
(設計コンセプト/緑地計画/建物の配置や形の制限
第5章
中央並木道に平行な2列の裏庭、住宅の雁行はデザインガイドライン
・住宅地の顔をつくるカフェやまちかどガーデン
2 あたらしい里地・里山をつくる
・生態系ゆたかな裏庭や緑地のつながり
について/柳橋1314地区計画)
・みんなで育てる水辺の生き物たち
打合せ簿
・安心して遊べる裏庭の緑地と水辺
・みんなでまもり分け合う山菜やキノコ
□ デザインガイドライン
3 エコテクなまちをつくる
基本設計の第4章では、
「デザインガイドライン」
の策定を提案した。
まちづくりに
・調整池を利用した共同太陽光発電
あたり、
あらたに家を建てようとする人、
これから居住しようとする人が、
より良い
・光ケーブルによる情報インフラ整備
町としていくための指針を示すものである。
テーマは、以下のとおり。
・雨水貯留とガーデニング
・住宅地全体の電線地中化
・家並みの千鳥配置による日照、通風、落雪への配慮
家路、
いろどり。
しあわせみつけた、
エコロジカル・コリドール
□ 緑地計画:せせらぎのある裏庭
1 品格ある住宅地をつくる
せせらぎは、見附市のちょっと山の中に入ったあたりにある棚田の水路をイメー
23
〈第1案〉採用案
(2) 道路計画
①区域下流端の計画高は、見附駅西口団地調整池天端高 14.13m から、測量誤差を考慮
開発区域界
水路
宅地
道路 6500
6000
、最大水
④貝喰川及び才川排水路の常時水位及び洪水位が高いことが予想されること、排水先
(2) 基本条件
周辺の側溝は、開発地が平坦なため、勾配が自由に調整でき、U型側溝より経済
樹種(景観、維持管理)等の全体のイメージを考慮して決定する。
③交差点計画:既設市道との交差点
(土地改良区及び地域整備部)との協議がこれからで不確定要素があることから、
2.5%
区域内の排水を最短で計画の洪水調整池へ流下するように計画する。
排水先は、北側の才川排水路とする。
(土地改良区の同意が必要)
植栽帯(植樹桝)については、設置位置(歩道と車道の間 or 歩道端)
、帯 or 桝、
的な自由勾配側溝を採用する。
車道幅員 6m であるが、交差点取付部は一時停止車両等のすれ違いを加味し8mで
側溝の大きさは、維持管理上の作業性に考慮し水路幅を最小300m/mとする。
計画する。実施は、警察協議により決定する。
吐口管底高とした。
2.5%
る。
(1) 排水系統
面積率 40%未満)とする。整備後は、見附市に帰属管理する。
歩者道境界及び転落防止等の構造については、実施時に再検討する。
出来る限り高い位置での排水を考え、才川排水路コーピング天端− 0.33m を放流管
14.30
造成地内水理計算は、基本設計時における、水路断面を概定するため、水理計算
を行う。尚、計画図は、水利計算時の最新図面のため最終の基本設計図面とは異な
見附市下水道計画の強度式を使用する。
②洪水調整池:1/30 確率洪水時に対応可能な規模とし、開発後の流出係数は 0.9(不浸透
②附帯施設:歩車道境界、転落防止等
位 13.900m となる。
造成地内水理計算
議の結果 1/10 確率時の構内雨水を調整池に導水できるように計画する。
降雨強度式は、
歩道はフラット構造の考えもある。
(現在、見附市で道路構造の技術基準の見直し
を行っており、その結果で実施時に対応する。
)
天端高 14.20m とすると、暫定計算の結果、1/30 洪水時調節容量 2,762
1.2
①構内雨水排水:一般的な道路側溝では、3〜5 年確率の整備水準となるが、見附市との協
幅員 車道6m歩道3m。
端プラス 30cm=14.50m とした。造成勾配 0.12%
③又、調整池計画では、
調整池底高 12.55m(12.55m〜12.75m)、放流管の管底高 12.25m、
500
(3) 排水計画
①道路規格:道路幾何構造
し今回の計画高を H=14.20m とした。
②区域最上流部計画高は、排水勾配(特に供用庭に計画する循環流れ)を考慮し下流
④フットパスの幅員
【参考に、見附駅西口団地 1 号調整池(貝喰川沿い)は、池底高 12.33m、HWL=13.83m、
(算 定 式)
幅員は、2mと3mとする。
:見附市
下水道計画
降雨強度式
天端高 14.130m】
2.0%
消雪パイプ
VS300×800
950
1150
VS300×800
表 層 工 密粒度アスコン t=5cm
上層路盤工 粒調砕石φ40 t=10cm
下層路盤工 RCφ40 t=15cm
路 床 工 砂質土 t=100cm
13.71
13.57
100 1250
100 30
13.60
地先境界ブロック
⑤これにより、供用庭循環水路の深さが、上流端 15cm で水路勾配 0.3%(排水路の当
As
(降雨強度)
社実績勾配)とした場合、下流端で 51cm となる。洪水時には調整池からの背水影響
:r10=4268 / t + 38
12.58
L型擁壁
H=1250
松丸太
φ120mm L=5.00m
11.19
(流出係数)
:流出係数は「下水道施設設計指針」による工種別基礎流出係数を基
1-1
才川排水路
DL=10.000
に排水区毎に工種別面積を算出し、加重平均により算出する。
尚、宅地部分については、建ぺい率60%から、60%を建物(屋根)
残りの40%を舗装20%+緑地20%として計算した。
宅地
開発区域界
2-3
As
0.85
2-16
開発区域界
道路 6500
6000
500
水路
2-17
2-20 内空0.34
-0.44
内空0.57
-0.67
内空0.66
-0.76
内空0.57
-0.67
内空0.72
-0.82
-0.30
-0.76
-0.67
0.110
0.138
0.166
0.985
0.919
0.955
流れ
VS300×
0.300
600〜700
VS300×
0.300
300〜600
VS300×
0.300
700〜800
内空0.44
-0.54
内空0.36
-0.46
内空1.30
-1.40
-0.30
-0.54
-0.30
-0.30
-0.95
-0.44
0.110
0.058
0.058
0.084
0.220
0.328
0.919
0.810
0.873
0.810
1.058
1.017
0.300
500〜1300
900〜1000
VS300×
0.300
300〜400
VS300×
0.300
400〜600
VS300×
0.300
300〜500
VS300×
0.300
300〜400
VS300×
0.300
t1=7分(5〜10分の中数)
最上流内空を20cmとする
t2:暫定的にに仮定流速
1.0m/sで計算
暫定的に道路高をLEVELと
する(道路高H=14.20m)
排水勾配は0.30%とする
内空0.94
-1.04
内空0.41
-0.51
内空0.52
-0.62
内空0.65
-0.75
内空0.75
-0.85
内空0.73
-0.83
内空0.85
-0.95
-0.75
-0.30
-0.51
-0.30
-0.30
-0.85
0.193
0.166
0.166
0.110
0.138
0.084
0.919
0.873
1.003
0.985
0.985
0.955
流れ
流れ
VS300×
0.300
300〜400
0.013
VS300×
終 点
(m)
0.028
VS300×
0.300
500〜600
VS300×
0.300
300〜700
VS300×
0.300
700〜800
VS300×
0.300
300〜800
VS300×
0.300
800〜900
備 考
4,268/t+38
内空0.83 側溝天端(道路
-0.93 面)からの深さ
0.193
(m3/s)
-0.30
起 点
(m)
下 水 管 渠
流
地 盤 高
(渠 底 高)
量
流
速
(m/s)
1.003
(%)
緑地全体計画は、下図のように中央のカツラ並木、2本のせせらぎのある裏路地、そ
して各コーナー部のまちかどガーデンが骨格となるように計画する。
0.010
0.077
89.1
0.65
0.041
89.8
0.55
0.036
92.1
90.8
0.31
0.77
9.6
9.0
0.029
0.024
0.004
0.072
0.188
0.011
92.1
83.5
86.9
93.0
0.85
90.7
93.3
0.72
0.59
0.81
0.79
0.76
0.064
0.159
0.096
0.052
88.6
0.042
89.1
87.8
92.4
91.5
89.8
0.32
90.3
88.8
0.68
0.52
0.64
0.76
0.29
0.77
0.77
0.028
3
(2) 幹線道路植栽
幹線道路の両側歩道部に、植栽計画を行う。
30.0 153.0
9.9
8.3
80.0
せるカツラ並木とした。
21.0 174.0
122.0
0.13
7.8
9.1
7.9
8.3
30.0 246.0 11.1
78.0 123.0
54.0
45.0
79.0
287.0 366.0 13.1
1.32
0.15
0.12
0.05
9.3
9.9
9.5
8.2
8.7
10.2
33.0 184.0 10.1
32.0 216.0 10.6
175.0
190.0
(I)
(Q)
(mm/hr) (m3/s)
0.26
0.21
0.48
Q
O
S
P
0.02
R
Q
K
0.43
H
N
L
J
K
雨 水 量
3
3
(m /s)
流 出 量 (m /sec)
汚
地 下 水
水
量 残留水量
3
総
水
量
(m /s)
断
面
(mm)
VS300×
0.300
300〜900
0.016
下 水 道 流 量 調 査 表 (1) 緑地全体計画
(m /s)
N
0.72
O
=
0.02
37.0 137.0
0.81
0.15*0.76+0.05*0.81+0.23*0.68
0.15+0.05+0.23
0.43
⑭
2-20
2-17 2-16 一級河川貝喰川
勾
配
0.05
⑪+⑫+⑬
N
71.0
⑫
L
M
M
0.41
0.78
4.15
151.0
0.85
0.54
0.09
0.43
100.0
0.01
0.11
0.35
0.06
0.61
0.02
0.14
1.4 公園緑地等計画
計画では、この街の景観的シンボルとなるように、新緑から黄葉まで様々な表情を見
0.27
0.05
0.01
0.29
0.76
0.17
0.01
0.04
28
29
0.15
0.32
0.02
27
⑪
K
0.96
0.82
0.78
0.59
0.34
0.06
0.43
=
0.14
0.04
0.15
1.32
E
0.02
0.28
0.68
0.32
水路H+⑨+⑩
F
24
25
J
C
(B)
0.85
I
0.33
0.03
F
0.32
E
0.02
H
0.26
0.96*0.68+0.35*0.32+0.01*0.85
0.96+0.35+0.01
B
0.04
0.03
0.35
D
22
0.76
⑨
I
88.0
0.85
0.77
0.53
0.04
0.28
=
流出係降雨強度 流出量
0.04
0.06
0.64
0.61*0.64+0.34*0.76+0.01*0.85
0.61+0.34+0.01
0.96
数(C)
0.85
水路F+⑦+⑧
H
流
達
時
間
0.77
0.01
=
0.34
(分)
0.21
0.01
0.77
0.32*0.52+0.27*0.77+0.02*0.85
0.32+0.27+0.02
0.61
⑦
G
0.52
0.27
水路D+⑤+⑥
10.5
0.85
0.05
23
26
表 層 工 密粒度アスコン t=5cm
上層路盤工 粒調砕石φ40 t=10cm
下層路盤工 RCφ40 t=15cm
路 床 工 砂質土 t=100cm
表 層 工 密粒度アスコン t=5cm
路 盤 工 RCφ40 t=15cm
路 床 工 砂質土 t=50cm
0.31
0.01
=
F
C
松丸太
φ120mm L=5.00m
DL=10.000
3-3
VS300×800
0.13
0.14*0.77+0.17*0.29+0.01*0.85
0.14+0.17+0.01
0.32
⑤
E
t=t1+t2
No. 1
消雪パイプ
VS300×800
0.22
0.01
②+③+④
D
G
1150
1350
地先境界ブロック
0.85
0.78
0.29
延 長(m)
各
最
線
長
消雪パイプ
0.81
0.68
0.11
0.17
fm
0.53
0.77
209.0
20
0.76
0.05
0.23
0.02
0.01
0.16
0.32
0.85
0.15
0.10
0.01
18
0.76
0.85
0.01
0.06
0.02
16
19
0.34
0.01
0.35
0.02
0.03
17
③
C
平均流出係数 逓下
0.07
0.14
各 線
L型擁壁
H=1500
0.02
0.12
②
流出量換算面積
(A×C)
1500
14.40
0.29
0.03
0.17
21
11.90
一級河川 才川
2.5%
13.78
13.59
100
150 30
13.15
2.5%
0.77
0.85
0.02
①
0.12
2.5%
0.27
0.02
0.13
14
0.85
0.06
0.04
15
0.29
0.01
ha
A
B
0.77
0.17
0.02
0.01
0.02
13
水路毎の集水面積
水路番号
備 考
0.53
0.14
0.01
12
fm
0.12 ha
逓下
開発区域界
宅地
ha
0.01
面 積 (ha)
0.32
9
11
水路
道路 6000
区域面積
f= 1.00
ha
0.15
排 水 面 積
(A)
7
8
10
駐車場 9070
0.6*0.9+0.2*0.85+0.2*0.2=0.75
水 面
f= 0.20
0.06
各 線
0.21
6
500
ha
0.03
0.01
0.01
5
空地・緑地
f= 0.85
0.06
見附市柳橋
ha
0.11
3
4
流
入
水
路
番
号
舗 装
f= 0.75
1
2
水
路
番
号
宅 地
用途
集水区域
柳橋 水 路 毎 の 集 水 面 積 及 び 流 出 係 数
宅地流出係数:
柳橋 集水区域一覧表
2-2
ガーデニング広場・緑地
DL=10.000
見附駅西口団地
2-13
2-13 As
VS300×400
松丸太
φ120mm L=5.00m
14.09
2-8
A
14.15
市 道
As
60%*0.9+20%*0.85+20%*0.2=0.75
2-8 2-7 排水区分
650
L型擁壁 750
H=750
2-7
2-3 14.40
1:1
.5 13.98
100 750
100 30
13.81
とする。
降雨強度式(見附市)は、見附市との協議により新10年確率とする。
が 21cm となる。
(HWL13.90-13.69=0.21m)
2-65
2-65 宅地
消防水利施設計画位置
(4) 水循環施設計画
<地中化>
<裏配線>
<柱状型機器付き街路灯>
<軒下配線>
緑地・緑道の流れ部分は、水循環により、水の流れをつくりだす計画とする。
流れ部分は、下記の断面をイメージする。
2.5%
13.70
循環する計画である。
流れ標準断面図
13.04
BF300
12.38
L型擁壁
H=1250
950
1150
消雪パイプ
VS300×800
4-4
VS300×800
松丸太
φ120mm L=5.00m 表 層 工 密粒度アスコン t=5cm
上層路盤工 粒調砕石φ40 t=10cm
下層路盤工 RCφ40 t=15cm
路 床 工 砂質土 t=100cm
柳橋江支線用水路(推定)
FRPMφ1000
10.94
調整池脇に水循環施設(浄化装置+ポンプ)を設けて、パイプラインにより圧送し、
14.30
地先境界ブロック
As
遊歩道
12.21
一級河川 貝喰川
2.5%
DL=10.000
全体配置図
防火水槽規格及び用地
宅地
防火水槽の規模は 40m3 級とする。防火水槽設置に必要な用地は、下記の面積以上を
確保する。
2500
1箇所当たり A = 48.16 m2 (5.6m×8.6m)
消火栓規格及び用地
植栽帯
1000
植栽帯
1000
車道
6000
消火栓については、75mm以上の配管に設置され、消防水利の基準(昭和39年1
宅地
2月10日消防庁告示第7号)第3条を満たすものとする。消火栓設置に必要な用地は、
下記の面積以上を確保する。
1箇所当たり A =
2.5%
1.0%
消・融雪施設でこれまで最も多く整備されてきた施設は地下水を散水する散水消雪施
設(消雪パイプ)であるが、近年は地下水位の低下、枯渇、地盤沈下等が重要な課題とな
っている地域があり、規制によって地下水の保全と有効活用が図られてきている。
融雪施設については、化石エネルギーを熱源とする施設を中心に普及が図られてきた
が、環境問題や高価なランニングコストの課題等から、近年は生活廃熱などのローカル
エネルギーや、その地域に賦存する自然エネルギーなどを利用した融雪施設が導入され
一般的に道路や駐車場の除雪対策としては、機械除雪や消・融雪施設によるものが上
つつある。
げられる。
これらの消・融雪施設の概要と特徴を次頁の比較表に示す。それぞれの施設の特徴を
機械除雪は、経済性・機動性に優れ、積雪地域では、機械除雪による体制を主体とし
十分理解した上で計画を進める必要がある。
て整備されている。しかし、機械除雪後の堆雪スペースが確保できないような家屋連担
部や狭隘部など除雪による堆雪が困難な箇所は、機械除雪の採用が難しい。
消・融雪施設は、路面に積もった雪を融かして除去する施設であり、その導入効果は
12.58
2-77
数量
単位
直接工事
単価 費
(千
(千円)
円)
諸経費
31,000
28,000
38,000
5,000
31,000
28,000
38,000
5,000
1.7
1.7
1.7
1.7
52,700
47,600
64,600
8,500
173,400
1
式
74,000
74,000
1.7
125,800
125,800
1
ポンプ電気設備含む
3,900
3,900
1.7
6,630
6,630
5
8
20
25
15
25
15
10,000
15
20
8,000
19,000
23,200
1,600
1,000
1,500
10,000
36,000
10,000
8,400
9,800
8,000
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
1.7
32,300
39,440
2,720
1,700
2,550
17,000
61,200
17,000
14,280
16,660
13,600
218,450
3 箇所
1600 m
7,700
17
23,100
27,200
1.7
1.7
39,270
46,240
85,510
1
ガス・水道管工事
ガス
水道
式
100,000 見附市より
100,000
基
式
調整池1
t=135cm
2257.38
5243.56
m3
3966.09
m3
1689.78
m3
272.75
街灯47基、ゴミ置場3箇所 他
掘削
調整池2
t=75cm
30,000
30,000
小 計
その他事業費
名 称
規 格
底版コンクリート
18-8-25 t=15cm
m3
2.47
(2.0×0.05+(1.10+1.00)/2×0.26)×10.0
m3
一般型枠
0.10×10.0×2+0.30×10.0×2+0.368
A=310.08m2
合計
1,131,790
DL=10.000
A=1968.17m2
48.75
型 枠
14479.8
基礎材
m3
418.61
m3
418.6
m3
1476.13
m3
1476.1
3-3
上:造成計画断面図と洪水調整池基本設計図
右:基本設計図書の抜粋
RC-40 t=20cm 2.47×10.0×0.20
松丸太
φ120 L=5.00m
算 式
単位
m2
数 量
2341.66
体積
2341.66×0.15
m3
3.73
型枠
一般型枠
859.87×0.15
m2
m2
8.37
路盤工
RCφ40 t=20cm
m3
4.94
目地材
エラスチックフェラー
t=10mm
859.87×0.15
m2
128.98
本
20.00
溶接金網
m2
2341.66
目地材
エラスチックフェラー
t=10mm
(0.21+0.30)÷2×2.15+2.27×0.34
m2
1.32
つなぎ鉄筋上側
(SD345) D16
1.04×1.560×80=129.79kg
t
0.130
つなぎ鉄筋下側
(SD345) D13
0.94×0.995×80=74.82kg
t
0.075
配力鉄筋
(SD345) D13
9.9×0.995×10×98.51kg
t
0.099
0.075+0.099
t
0.174
m2
D6 150×150 底版コンクリートと同じ
重量
松丸太
351.25
128.98
2341.66
3.11kg/m2×2341.66=7282.56kg
t
7.28
A=2341.66m2 5本/25m2
本
469.00
1894.7
418.6+1476.1
3-15
3-3 松丸太
φ120mm L=5.00m
3-40
3-41
3-40 3-15 3-41 No. 3-48
66, 671, 540
844, 800
1, 795, 200
38, 891, 840
13, 200
13, 200
50A
50A
691, 200
1, 468, 800
27, 779, 700
10, 800
50A
64
10, 800
50A
136
1, 220
440, 000
1, 320, 000
4, 400, 000
1, 598, 400
1, 760, 000
6, 153, 840
6, 393, 600
4, 000, 000
3, 564, 000
5, 170, 000
1, 452, 000
22, 000
22, 000
22, 000
100A
100A
100A
1, 188, 000
3, 600, 000
1, 080, 000
18, 000
18, 000
100A
60
18, 000
100A
100A
66
200
22, 000
22, 000
79, 920
79, 920
22, 000
22, 000
200, 000
79, 920
200A
100A
200A
200A
200A
100A
100A
100A
360, 000
882, 000
3, 395, 700
3, 528, 000
3, 000, 000
2, 916, 000
4, 230, 000
1, 440, 000
18, 000
18, 000
44, 100
44, 100
44, 100
18, 000
18, 000
150, 000
100A
100A
100A
100A
100A
100A
100A
100A
20
80
77
80
20
20
3-180
3-171 162
235
経費含む
( m)
50,000
25,000
26,000
20,000
71,000
1110.3
383.9
63.7
現場打ち・車道
現場打ち・駐車場
現場打ち・土中
<概算工事費計>
m
m
m
500,000
39,012,900
1基当の金額
1,000,000
1,500,000
[配管工]
散水管工
散水管工
送水管工
仕様
3-171
配管工(荷重平均) (1110.3×25,000+383.9×26,000+63.7×20,000)÷(1110.3+383.9+63.7)=25,042
25,042÷1.5(当初の諸経費)=16,695≒17,000円/m(直接工事費)
単価
1
750,000
0
単位
1,430,000
536,250
76,000
126,000
2,168,250
92,810
92,810
35,300
日
日
式
供用日
人
単 位
3-48 見附地内 消雪施設概算工事費
カやカエル、
そのほか多くの生き物たちが棲息する。
その風景は、私たちのおじい
さんやおばあさんたちが、子供のころ普通にみていた風景である。
1
1.00
0.05×10.0×2
1
0.61
m2
一般型枠
1
0.26
m3
数 量
5.0
0.30
m3
54,715
備考
摘 要
金 額
14,500
単 価
型枠
数 量
個
m3
ブルドーザ運転(敷均し)
21t級[普通・排出ガス対策型]
単位
(0.30×(0.05+0.15)÷2)×10.0
0.51×0.05×10.0
工種 施工名称
算 式
18-8-25
18-8-25
RC-40 t=10cm 0.61×10.0=6.1m2,6.1m2×0.10=0.61m3
特殊運転手
規 格
300×400 L=2.0m
基礎材
代価 第5067号
10m当り
名 称
自由勾配側溝
調整コンクリート
27,757,500
散水量 2674 l/min
9,981,400
1,274,000
自由勾配側溝300×400
基礎コンクリート
ジしている。流れの縁は、芝を中心に様々な水生植物が茂っていく。
そこにはメダ
m3
m3
個
1式当り
5.00
0.68
2.47×0.10×10.0
18-8-25
1.55
2200
2400
合 計
数 量
m3
18-8-25
100,000
100,000
測量設計費 他
小 計
表 層 工 密粒度アスコン t=5cm
上層路盤工 粒調砕石φ40 t=10cm
下層路盤工 RCφ40 t=15cm
路 床 工 砂質土 t=100cm
単位
2.27×0.03×10.0
基礎コンクリート
現場打ちコンクリート
【 合計 】
水路用L型
H=1600
算 式
1:3
358.96
363.11
計
12.70
規 格
H=2.2m(1種)
m3
m3
200,000 見附市より
200,000
小 計
公益施設工事
10m当り
名 称
水路用L型
敷きモルタル
A=797.68m2
A=806.9m2
計
電線地中化工事
279.40
m3
m3
A=108.33m2
20,000 見附市より
2,000 見附市より
22,000
底版コンクリート
数 量
m3
A=606.12m2
1,011,000
480,000
1,491,000
底版コンクリート 18-8-25 t=15cm
路盤工 RCφ40t=20cm
2
2
単位
A=8813.54m2
A=3755.06m2
諸雑費
底版コンクリート 18-8-25 t=15cm
路盤工 RCφ40t=20cm
2000
1320
1210
2.5%
消防水利施設工事
防火水槽
消火栓
小 計
算 式
A=5016.39m2
A=11652.36m2
合計
14,500
.78
EC
2.5%
14.20
30,000 見附市より
40,000 見附市より
70,000
23,595
IP.78
.78
SP
200 30100
100130
BC
1500
HHWL 13.90
1100
配力鉄筋 D13 ctc250 L=9900 N=12/10.0m
.78
式
式
小 計
つなぎ鉄筋下段 D13 ctc250 L=1150 N=75/10.0m
+50
1
1
規 格
宅地,緑地,その他
A=620.89m2
t=45cm
盛土
No. No. 1
6000
名 称
143
.00
2-83
2-83 水路用L型H=2.2m
1
1
川
消雪施設工事
さく井工
配管工
式
3800 m2
2900 m2
80 本
40 本
100 本
400 m2
2400 m2
1 式
560 m
490 m
1 式
小 計
植栽帯
2000
所
No. 1
35.75
1
1
喰
貝
川
河
級
緑地工事 他
緑地(供用庭)
緑地(公園、ガーデニング広場)
街路樹(カツラ並木)
植樹(緑地の高木)
植栽(緑道の中高木)
ピンコロ石舗装
路盤含む
フットパス
路盤含む
ポンプ&濾過及び配管、電気工事
親水護岸(供用庭)
親水護岸(市道沿い)
サイン、ファニチャー等
小 計
小 計
600
適 要
土量計算書(造成工事)
側溝含む
区域外工事
区域外施設工
小 計
S=1:100
金額
(千円)
1 式
1 式
1 式
1 式
小 計
下水道工事
下水道
転落防止柵
H=1100
つなぎ鉄筋上段 D13 ctc250 L=1260 N=75/10.0m
短
基
m
組
基
1270
12.60
水路用L型
H=2200
松丸太
φ120mm L=5.00m
C - C 断面
項目
小 計
0
ポンプ
&濾過
施設
工種
造成工事
土 工
擁壁工
調整池工
仮設その他
道路工事
道路工
㍑
一
DL=10.000
配力鉄筋 D13 ctc250 L=9900 N=10/10.0m
HHWL 13.90
.7
12
防犯灯は、交差点及び30m毎に 1 箇所の設置を標準とする。
中央道路(両側歩道)は両側、その他は片側とする。
見附市柳橋町 新規住宅地街区 概算事業費 つなぎ鉄筋下段 D13 ctc250 L=940 N=80/10.0m
2200
m
植
m
.7
L=
L=
00
16
11
H=
H=
L型
柵
用
止
防
落
路
12.38
柳橋江支線用水路(推定)
FRPMφ1000
10.94
転
水
00
.7m
61
69
L=
69
00
.7
22
栽
帯
H=
12.21
開発面積が5ha 未満であることから、集会施設用地は確保しない。
(3) 防犯灯
2-79
基
L型
一級河川 貝喰川
ごみ集積施設は、計画戸数30戸に1箇所の割合で設置する。本計画は、約90戸を
予定していることから、3箇所の計画とする。
(2) 集会施設用地
2-79 面
式
つなぎ鉄筋上段 D16 ctc250 L=1040 N=80/10.0m
14.80
As
遊歩道
公益施設は、
「開発行為の手引き 見附市開発行為指導要綱」に準じるとともに、見附
市との協議により決定する。
(1) ごみ集積施設
13.71
As
300
13.70
所
金額
用
路
水
一級河川貝喰川
C
長
2-78 165
路
水
用
B
1.8 公益施設計画
S=1:100
開発区域界
線
支
江
橋
柳
B - B 断面
C
洪水調整池
2
貯水面積 A=2280m
B
計画概要
2-78
2-77 水路用L型 H=2200 L=20.5m
ブルドーザ[普通・排出ガス対策型(第1次基準値)]
21t級 24〜26t
A
.130
NO
消・融雪施設比較表
11.19
才川排水路
12.70
軽油
12.50
13.57
松丸太
φ120mm L=5.00m
門扉
3000
10%
2.0%
水路用L型
H=2200
2270
2470
DL=10.000
1
5000
7,700,000
直接工事費
÷1.5
底版コンクリート 18-8-25 t=15cm
路盤工 RCφ40t=20cm
スロープ 20500
15500
【 単位当り 】
才川排水路
水路用L型 H=2200 L=81.8m
13.74
数量
10030
200 260
2200
HHWL 13.90
2000
1100
1000
1180
300
配力鉄筋 D13 ctc250 L=9900 N=10/10.0m
名称
つなぎ鉄筋下段 D13 ctc250 L=940 N=80/10.0m
消 雪 施 設(散水)
開発区域界
つなぎ鉄筋上段 D16 ctc250 L=1040 N=80/10.0m
.00
洪
HP 水吐
φ80 工
0
近年では、積雪地域における冬期の活発な活動を支援することを目的として、歩行者
空間の確保に対して消・融雪施設の整備がすすめられている。
A
+50
非常に高い。その反面、機械除雪よりもコスト高である。
が多い中心市街地や通学路、高齢者が利用する福祉施設周辺や公共施設周辺等の歩行者
φ600 プレキャストタイプⅡ
S=1:300
S=1:100
φ100×15kw
φ100 さび止め
ケーブル含む
15kw×35.75m
A - A 断面
第7号揚水機場
① 路面を暖める時間が必要なため、運転時間は消雪施設よりも長くなる。
② 化石エネルギーを利用する施設は気象条件の制約を受けないが、ランニ
ングコストは高い。
③ 自然エネルギーを直接利用する場合には、適用条件の制約が大きい。
④ 舗装全面に配管の埋設が必要であり、工事規摸が大きくなる。
⑤ 融雪施設は、どの方式でも消雪施設と比べてイニシャルコストが高い。
⑥ 熱源によってはCO2排出量の多いものもある。
(2) 消・融雪施設の細分類
見附市では消雪パイプの設置を抑制する方向にある。よって、消融雪施設について基本
事項を整理する。整理にあたっては、
「路面消・融雪施設等設計要領」を参考・引用し整
理した。尚、実施にあたっては、詳細な比較検討が必要である。
(1) 除雪対策
① 化石エネルギーを熱源とする場合、気温による適用地域に制約を受けな
い。
② 路面全体を暖めるため、路面のわだちなどによる融け残りがほとんどな
い。
③ 路面に散水しないため、水はねの心配が少なく、歩行者の利便性が確保
しやすい。
④ ローカルエネルギーあるいは、自然エネルギーを利用できる場合は、ラ
ンニングコストは低くなる。
その他道路
1.7 消雪施設計画
平面図
2-76
2-76 ① 路面に直接地下水を散水するため消雪能力が高い。
② 対象面積に対し現道上での工事範囲が小さく、施工性が良い。
③ ランニングコストはポンプ電力が主であり、効率的に稼動することで経
済的な除雪対策となる。
④ にじみ出し方式の場合、地下水が直接舗装面に散水されないため、水は
ねによる歩行障害がなく、快適な歩行性が確保される。
⑤ にじみ出し方式の場合、ノズルが路面に露出しないため、道路の景観に
配慮することが可能である。
⑥ CO2 排出量が少ないため地球温暖化への影響が少ない。
① 冬の気温により適用地域、利用水源に制約を受ける。
② 地域によっては地下水位の低下、枯渇、地盤沈下等の問題が発生する。
③ 路面のわだちなどの状態によっては、融け残りが多く発生する。
④ 路面の排水が悪いと車両による水はねが発生し、歩行の障害となる場合
がある。
⑤ 低温時に散水した水が凍結して、通行に支障をきたすことがある。
⑥ 散水ノズルのメンテナンスが悪いと、散水が歩行の障害になる場合があ
る。
⑦ にじみ出し方式の場合、舗装の強度が小さいため、乗入口等では破損し
やすくなる恐れがある。また、舗装内の空隙の目詰まりで、その透水性が
低下する。
⑧ 地下水に含まれる鉄分の影響で路面が赤茶色に染まる。
表 層 工 密粒度アスコン t=5cm
上層路盤工 粒調砕石φ40 t=10cm
下層路盤工 RCφ40 t=15cm
路 床 工 砂質土 t=100cm
15kw 屋外壁掛け・検知機付
建柱・装柱
中央道路
2-75
2-75 VS300×800
VS300×800
表 層 工 密粒度アスコン t=3cm
路 盤 工 RCφ40 t=10cm
路 床 工 砂質土 t=50cm
2-71
2-71 地先境界ブロック
[電気設備工]
制御盤
受電設備工
消雪パイプ
表 層 工 密粒度アスコン t=5cm
上層路盤工 粒調砕石φ40 t=10cm
下層路盤工 RCφ40 t=15cm
路 床 工 砂質土 t=100cm
2-69
地先境界ブロック
歩車道境界ブロック
VS300×800植樹桝
1.0 m2 (1.0m×1.0m) ・・・実施時再確認
2-69 [取水工]
水中ポンプ
揚水管
電極
ポンプ設置費
地先境界ブロック
歩車道境界ブロック
植樹桝
VS300×800
2.5%
融 雪 施 設(無散水)
地先境界ブロック
2.5%
路面の下に熱媒体を通過させるパイプ等を敷設して、そのパイプから路面
地下水や下水処理水など、水を配管に通し、散水したい箇所に小さいノズ
ルを設置することで、散水箇所の雪を融かして除去する方式である。その他、 に熱を間接的に与えることで路面の雪を融かして除去する方式。熱媒体とし
散水ノズルを排水性舗装内に埋め込み、散水した水をにじみ出させることで ては、ヒーター・不凍液・地下水等があり、熱源としては化石エネルギー、
ローカルエネルギー、自然エネルギーに大別される。
路上の雪を融かして除去するにじみ出し方式もある。
2.5%
1.0%
1000 l/min本と推定
宅地
4,700,000
歩道
4000
7,000,000
植栽帯
1500
本
車道
6000
植栽帯
1500
φ250×70m VP
歩道
4000
[ポンプ室工]
ポンプ室設置
2500
[さく井工]
さく井工
宅地
3-185
3-185 3-180 このせせらぎは、生態系に配慮し水の循環に塩素殺菌処理を行わない。私たち人
1.3 緑地計画
間だけではなく、多くの生物といっしょに生活していくのが、
この街の考え方であ
幹線道路のカツラ並木
柳橋 1341 の緑地は、図のように中央のカツラ並木、2 本のせせらぎのある裏庭、そして各
街の入口にはカフェやパン工房などともに、住民の皆さんがくつろぐことのできるまちかど
カツラの木は四季折々、新緑から黄葉まで様々な表情を見せてくれます。この街の景観的シ
ガーデンがあります。またその他の 3 つのコーナーにも、もう少し小さなまちかどガーデン
ンボルといえます。
があります。春から夏にかけて白い花の咲く花木が、まちの人々ファッションを引き立てて
コーナー部のまちかどガーデンが骨格となり、各住戸のガーデンがこれらをつなぎます。
くれます。
る。 裏庭のせせらぎ沿いには、
フキノトウ、
ワラビ、
ツクシなどの山菜も出てくるだ
カツラ並木のイメージ
せせらぎのある裏庭
ろう。木陰では、住民の皆さんでシイタケやナメコの栽培も可能である。住民の皆
せせらぎは見附市のちょっと山の中に入ったあたりにある棚田の水路をイメージしてい
ます。流れの縁は芝を中心に様々な水生植物が茂っていくでしょう。そしてそこにはメダカ
やカエル、そのほか多くの生き物たちが棲息します。その風景は、私たちのおじいさんやお
ばあさんたちが、子供のころ普通にみていた風景です。
よって、このせせらぎは生態系に配慮し水の循環に塩素殺菌処理を行いません。私たち人
花木のイメージ(コブシ、ウワミズザクラ、ヤマボウシ、エゴノキ)
間だけではなく、多くの生物といっしょに生活していくのが、この街の考え方です。
さんでお互いに話し合いながら育てていくことが、
この住宅地の本質となる。
せせらぎのイメージ
裏庭のせせらぎ沿いには、フキノトウ、ワラビ、ツクシなどの山菜も出てくるでしょう。
そして木陰では住民の皆さんでシイタケやナメコの栽培も可能です。これらは住民の皆さん
でお互いに話し合いながら育てていくことを期待しています。
裏庭の入口には、
カフェやパン工房などともに、住民の皆さんがくつろぐことので
きるまちかどガーデンを計画する。春から夏にかけて白い花の咲く花木(コブシ、
柳橋町 1341 番地
ガーデニング広場のビオトープのイメージ
全体模型
まちかどガーデン
中央並木道と両側にせせらぎのある裏庭
デザインガイドライン
4-1
P4-1
4-5
P4-5
デザインガイドライン
デザインガイドライン
4-6
P4-6
4-7
P4-7
デザインガイドライン
ウワミズザクラ、
ヤマボウシ、
エゴノキ)
が、
まちの人々のファッションを引き立てて
くれる。
ビオトープは、
ちょうど大学展示館わきのビオトープをイメージしている。
1.4
建物の配置や形の制限について
1.
建物の用途
3.
5.
壁面位置
建物の用途は、A 地区では住宅のみとします。ただし住居と併用したお茶やお花などの教室、
この街で建物の壁面位置は、道路境界より 2m と 6m が交互につながるようになっていて、
英会話教室など、小規模のものは可能です。ただし、騒音や駐車など近隣の住宅への影響を与
変則的ですがとても重要な項目です。各建物を千鳥状に配置することによって、各住戸に等し
えない範囲としてください。
く日照を確保することができ、風通しも良くなります。また冬季の屋根からの落雪が同じ場所
B 地区では、この街の利便性と魅力を向上させるようなパン屋、花屋、カフェなどの店舗とし
建物の形や色
建物の屋根形状は、おもな屋根の部分を勾配屋根(3/10~10/10)としてください。建物(屋
根を含む)の色彩は、原色、蛍光色、縞柄など刺激的な色彩を避けてください。
に重ならないように配慮する意味もあります。
ます。
なお中央の幹線道路のカツラ並木や裏庭の緑と住戸の庭の緑が一体となり、緑の幅にも変化
6.
かきやさく
が出て、野鳥ほか多様な生物のすみかにもなることでしょう。
かきやさくは生け垣または高さ 1.5m 以下のフェンスなど、透けて見えるような材料・構造にし
て下さい。また生け垣のプラントボックスやフェンスの基礎を設置する場合は、その高さを
60cm 以下として下さい。
かきやさくとともに、前面道路に面した前庭は、この街全体の顔ともいえる場所です。歩道空
間と一体となった美しい町並となるようなガーデニングを心がけましょう。
左はパン工房、右奥はカフェ
2
パン工房のイメージ
敷地面積
この住宅地の敷地面積は、分譲時の最小面積 210m2、最大面積 414m2 となっていますが、
購入後、将来にわたって再分割することはできません。
<面積一覧表>
24
4.
建物の高さ
建物の高さは、前面道路面から 12.5m を最高限度とします。
デザインガイドライン
4-8
P4-8
デザインガイドライン
4-9
P4-9
デザインガイドライン
4-10
P4-10
デザインガイドライン
4-11
P4-11
見附市新規住宅地街区
見附市新規住宅地街区
柳橋 1341
柳橋 1341
中央並木道イメージ
入口イメージ
柳橋 1341
柳橋 1341
CG パース 03
CG パース 04
せせらぎは憩いの空間、それを見下ろす住宅テラスも憩いの空間
せせらぎのある裏庭、せせらぎ脇とデッキウォークは公共空間
柳橋 1341
柳橋 1341
柳橋 1341
柳橋 1341
CG パース 05
CG パース 06
CG パース 09
中央並木道の入口、左はパン工房と薫製工房、右はカフェとバス小屋
ガーデニング広場、左はカフェ、右はバス小屋、奥はビオトープ
パン工房の内観、窓の外には田んぼ越しに向こうの山まま
CG パース 08
カフェの内観、窓の外はテラス越しのバス小屋とガーデニング広場
柳橋 1341
柳橋 1341
模型写真 01
模型写真 05
マスタープラン図と同じ向きの鳥瞰
斜めから、裏庭のせせらぎとそれを挟む家並み
柳橋 1341
柳橋 1341
柳橋 1341
CG パース 07
模型写真 09
模型写真 07
ガーデニング広場にあるバス停とビオトープとカフェ
入口付近の駐車場、手前はパン工房、奥が薫製工房
柳橋 1341
模型写真 10
裏庭のせせらぎの中間部分
柳橋 1341
ガーデニング広場のビオトープ、左はバス小屋、右はカフェ、奥はパン工房
柳橋 1341
模型写真 12
中央並木道の終点にある調整池(ソーラーパネルを設置した場合)
柳橋 1341
模型写真 13
模型写真 14
中央並木道の終点から右方向に川沿いの遊歩道
左は川沿いの遊歩道、下方向がイングリッシュガーデン
□ さいごに
日経BPインフラ総合研究所が、
本計画に着目している。
同研究所は、
「プロジェク
ト エコー・シティ」
と銘打ち、
より良い街づくりに挑戦する意欲のある各界のキー
パーソンがつながるための媒介となり、
新たな街づくりの可能性を追求する多角
的な活動を行っている。
本計画に対して、
「この開発計画中の街区を題材に、
ディ
スカッションを開催することとなりました。
業種・業態を越えて産・官・学が
「つな
がる」
ことにより、
この街区、
さらには見附という街に、
他の街にはない、
どのような
新たな価値をもたらすことができるのか。
それを現実のものとしていくための課題
解決の突破口は―。
こうした視点で議論を進めたいと考えています。」
(日経BP
社)
とのことで、
見附市と日経BP社をあげてのプロジェクトになりつつある。
すで
に大きなディスカッションが平成25年4月に開催され、
次回が計画されている。
25
受託事業名:
産業遺産調査研究業務
発注者:特定非営利活動法人ふれあいパーク久賀美
受託期間:平成24年10月1日~平成25年3月31日
プロジェクト主査:和田 裕(プロダクトデザイン学科 教授)
プロジェクトメンバー:金 夆洙(デザイン研究開発センター研究員)
1.概要
本プロジェクトは、燕市産業史料館(以下、
「史料館」
と称する)に収蔵されている約 15,000 本の燕産金属洋
食器を体系的に分類し、検索ができるシステムを構築し、
一部資料を入力することにある。プロジェクトは平成
24 年 12 月から平成 25 年 3 月までの約4か月にわたり、
長岡造形大学の研究員 1 名及び史料館の 2 名のスタッフ
にて作業を進行した。
対象の金属洋食器は、主に国外輸出用として昭和 40
年代から平成初期まで燕地域で生産された約 15,000 本
であり、本来、燕市金属洋食器工業組合(以下、
「洋工」
と称する)が保管していたが、全て登録カードと共に史
料館に寄贈されたものである(図1・2)
。これらは、
かつて意匠登録のために企業から洋工へサンプルとして
提出されたものであった。
本プロジェクトで構築するシステムの主な利用者は、
燕市産業史料館関係者、金属洋食器製造関係者、及び金
属洋食器関連研究者として設定した。利用者において業
務及び研究の両面に対応できるシステムの構築を目指し
たものである。
2.作業プロセス
2.1.基礎調査(平成 24 年 12 月~平成 25 年 2 月)
まず基礎調査として文献調査とインタビュー調査を
行った。文献調査としては金属洋食器分類に関して過去
に洋工が作成した各種書類とデザイン台帳(33 冊)が
対象となった。インタビュー調査としては 2013 年 1 月
中旬から 2 月中旬まで金属洋食器製造社と洋工の関係者
図1 燕産金属洋食器
(燕市産業史料館収蔵)
26
8 人を調査し、本システムに関する情報、意見などを収
集した。その調査内容を基に製造社、寸法、洋工への登
録年度などの基礎情報を含め「機能的な要素」
「頭部と
柄部の形状」
「模様の種類」を中心として分類方法とシ
ステムの構築を行った(図3)
。
2.2.分類・検索システムの設計(平成24年12月~平成25年2月)
分類・検索システムのデータベースソフトはファイル
メーカー(FileMaker Pro 11)を利用した。ファイルメー
カーは、データをファイリングするためのソフトであり、
完成したシステムは 3 つの構成になっている(図4~
6)
。入力システムは概ね 3 つの画面に分け「現品入力」
「カード入力」
「備考」で構成した。
2.3.入力作業(平成 25 年 3 月~)
入力する対象資料は、金属洋食器現品と登録カードの
2 種類である。金属洋食器を撮影するスタジオを構成し、
対象品の写真撮影を実施した。基本的には現品と登録
カード両方が存在することを想定したが、初期入力の段
階でどちらかしか存在しない場合が多く見られた。本シ
ステムを用いて約15,000本の洋食器の分類、
入力を進め、
平成 25 年度には概ね入力作業が完了することを目指し
ている。また、入力データの分析を行い、燕地域の金属
洋食器産業の全体像を把握する作業がスタッフにより進
められている。
2.4.フィードバック作業(平成 25 年 3 月)
入力作業の中で把握した問題点を検討し、その結果を
図2 登録カード(燕市産業史料館収蔵)
上ぶくれ
ストレート
中ぶくれ
ひょうたん型
下ぶくれ
オール型
ティーパー
フレア
逆ティーパー
逆フレア
図3 分類基準の例(柄部の形状)
図4 分類・検索システムの「現品入力」画面
図5 分類・検索システムの「カード入力」画面
システムに反映した。システムの設計時には想定できな
かった問題が多数発生し、細かい分類と作業者の入力し
やすい環境との両方を満たすことが難しい点であった。
また分類基準に当てはまらないものを多数発見したこと
も重要な経験であった。
2.5.マニュアルの作成(平成 25 年 3 月)
本システムは、短期間に教育を受けた作業者(分類者)
が、簡単な測定装備を用いて短時間で大量の金属洋食器
データを処理することを目指して設計したものである。
その一環としてシステムの使用マニュアルを作成した。
3.成果
これまで進められずにいた洋食器分類検索システムの
開発が本業務によって成し遂げられたことが一番の成果
といえる。
単純に金属洋食器の分類検索システムを作るだけでは
なく、当該洋食器がもつ時代的な意味や価値を把握する
ことができた。特に洋食器生産 100 年を経過した当地域
では金属洋食器に対する固有の専門用語、文化が強く構
成されており、現在まで綿密に伝えていることが分かっ
た。
また、調査対象の金属洋食器は戦後アメリカを中心と
した諸国へ輸出するため OEM として製造されたものであ
るが、燕地域の確かな技術とものづくりへの情熱が読み
取れる結果となった。
4.考察・展望
現在燕地域のオリジナルブランドが国内外で活躍して
いるが、今回対象となった洋食器はその状態を裏付ける
貴重な資料であるといえる。全体を通しての具体的なデ
ザインの変遷は、今後入力が完成すれば明らかになると
図6 分類・検索システムの「備考」画面
思われる。
従来使用されていた金属洋食器の分類基準は非常に複
雑であったことから、現場での活用において改善が求め
られていた。今回は細密な数値的設定よりも少しでもシ
ンプルな設定を心がけた。
また、今後は年代、流通範囲など分類対象を広げて本
システムに適用し、その分析作業と併せて継続していく
ことが望ましい。
27
受託事業名:
新潟薬科大学ロゴマーク制作業務
発注者:新潟薬科大学
受託期間:平成24年8月1日∼平成25年3月31日
プロジェクト主査:吉川 賢一郎(視覚デザイン学科 准教授)
プロジェクトメンバー: 矢尾板 和宣(デザイン研究開発センター研究員)
●概要
30年以上の歴史を持つ新潟薬科大学は、開学以来校章やスローガンと楕円を組み合わせたマークはあったものの、大学の考え方
を造形的に表したロゴマーク
(=シンボルマークとロゴタイプの意味。以下省略)
はなく、開学35年の節目にあたる平成24年にロゴマ
ークの制定を行うこととなった。
また、
この制定に伴い、学内におけるロゴマークを中心としたビジュアルアイデンティティの統一化も
行い、社会において新潟薬科大学と県内他大学もしくは同分野他大学との差別化を図ることが目的である。
●調査・分析
ロゴマークを制作するにあたり、
キーワードとキービジュアルを検討するため、次の3項目
(1.新潟薬科大学について/2.全国の大
学における薬科大学、薬学部、応用科学部について/3.薬学系、応用生命科学系分野について)
について時間を掛けて多角的に調査
・分析を行った。
デザインする対象の分野を深く掘り下げて調査・分析することにより理解を深めることによって、本質を見極めたデザ
イン案を提案することができる。
●完成までの流れ
(8月上旬)
(9月)
オリエンテーション → 制作 10月中旬の大学祭では、
10点による参考投票が行われた
(10月上旬)75案
(11月中旬)5案
(12月中旬)1案
(3月下旬)
→ 商標登録類似調査 → 最終案決定 → マニュアル完成
(10月下旬)5案
→ プレゼンテーション → 最終案候補決定
●全国の薬科大学分布図
青森大学薬学部
北海道国際大学薬学部
北海道医療大学薬学部
北海道薬科大学
岩手医科大学薬学部
新潟薬科大学
東北大学薬学部
東北薬科大学
岡山大学薬学部
立命館大学薬学部
京都大学薬学部
京都薬科大学
同志社女子大学薬学部
就実大学薬学部
福山大学薬学部
武庫川女子大学薬学部
姫路獨協大学薬学部
広島大学薬学部
広島国際大学薬学部
富山大学薬学部
金沢大学薬学部
奥羽大学薬学部
北陸大学薬学部
神戸学院大学薬学部
神戸薬科大学
いわき明星大学薬学部
高崎健康福祉大学薬学部
兵庫医療大学薬学部
城西大学薬学部
国際医療福祉大学薬学部
安田女子大学薬学部
九州大学薬学部
岐阜薬科大学
日本薬科大学
日本大学薬学部
福岡大学薬学部
第一薬科大学
城西国際大学薬学部
松山大学薬学部
長崎大学薬学部
長崎国際大学薬学部
熊本大学薬学部
崇城大学薬学部
静岡県立大学薬学部
徳島大学薬学部
徳島文理大学薬学部
徳島文理大学香川薬学部
九州保健福祉大学薬学部
大阪大学薬学部
近畿大学薬学部
大阪大谷大学薬学部
大阪薬科大学
摂南大学薬学部
名古屋市立大学薬学部
東京大学薬学部
慶応義塾大学薬学部
明治薬科大学
名城大学薬学部
星薬科大学
愛知学院大学薬学部
金城学院大学薬学部
昭和大学薬学部
北里大学薬学部
鈴鹿医療科学大学薬学部
東京薬科大学
東京理科大学薬学部
東邦大学薬学部
千葉大学薬学部
千葉科学大学薬学部
帝京平成大学薬学部
帝京大学薬学部
横浜薬科大学
昭和薬科大学
武蔵野大学薬学部
2012年8月制作
28
●制作の手順
●提案したデザイン案
新潟薬科大学の関係者のインタビュー、新潟薬科大学の図
書館、Webサイトで入手した資料をもとに、
デザインの考え方
のもととなるキーワードとキービジュアルを探していく。
その両
者を融合させ、新潟薬科大学のマークにふさわしいデザインの
コンセプトとテーマを導き出していき、造形的なアイデアに繋げ
た。
キーワード:
生命の尊厳/人々の健康の増進/環境の保全/国際交流や
地域社会の発展/高い専門性/NUPALS/進化/科学/化
学/天秤/白衣/食薬/薬食同源/食薬/食品/ポケット
/化学式/模索/研究/発見/坂/シャーレ/グラフ/デー
タ/顕微鏡/新津丘陵/アザレア/ツツジ/地域貢献/産官
学連携/最小と最大の間/バランス/部分→全体/細胞→
地球環境/マクロとミクロの間/ヒト/ヒトノゲム/DNA/
RNA/螺旋構造/細胞/原子と分子/染色体/生命科学/
バンドパターン/パワーズオブテン/マトリョーシカ/生き残
る/六角形五角形/オノマトグラフ/AGCT/AUGC/アミ
ノ酸/水/生化学/新潟の基幹産業/農と食/健康と環境
/ロハス/活気ある/お洒落/理系女子/知性溢れる/地
域医療/健康増進/自然豊かな/地域の経済活性化/生活
の直結/地域再生の核/2つをひとつに/文理融合/地域に
認められる大学/貢献/人々の健康/高品位
抽出されたキーワードとビジュアル:
グラフ/波形/NUPALS/ヒト/ひと/HUMAN/LIFE/ト
ンネル/細胞/染色体/化学式/分子の集合体/アザレア/
新津丘陵/天秤/トーナメント
デザインコンセプト:
イメージビジュアル:POWERS OF TEN
http://www.powersof10.com/
29
●二次選考デザイン案・最終デザイン案候補
1 地域に根ざした大学
=最終デザイン案5点
「大学の拠点=新津丘陵の山並み」と、研究の象徴=実験結果のグラフの波形を組み合わせて表現している。
2 NUPALS の DNA
「遺伝子情報=そのヒトらしさ」
が詰まっている細胞内の DNA 二重らせん構造をモチーフに、NUPALS を「遺伝子情報=大学らしさ」に見立てて表現している。
3 ヒト=無限大
研究対象としてのヒトと斬新な視点で研究し教育する大学の可能性は無限大といえる。ひと筆書きで描かれたの
「ヒ」
と「ト」
で無限の可能性を表現している。
4 最小と最大のあいだ
大学の幅広い研究対象は
「ヒトの細胞=最小単位」から
「ヒトが暮らす環境=最大単位」
にまでおよぶことから、最小と最大のあいだを三角形で表現している。
5 NUPALS トンネル 大学の研究対象は、細胞から地球環境におよび、最小と最大のトンネルを行き来している。未知の可能性をさぐり続ける大学の姿勢を、不思議な形のトンネルに見立てて表現している。
6 大学の原点 「薬学の象徴=天秤」
と「大学の拠点=新津丘陵」を 2 つの三角形と5つの半円に見立てて
「大学の原点=初心」
を忘れない謙虚さを表現している。
7 生命の水 水はヒトの生命を維持するために不可欠な存在であり、大学もそのような存在を目指している。「世の中にとって不可欠な存在=大学」を、有機的で動きのある水の形で表現している。
8 咲き誇るアザレア 新津を代表する花、アザレア。咲き誇る花とDNA二重らせん構造をモチーフに地域を大切にする大学の姿勢を表現している。
9 NUPALS 細胞 自然豊かな新津丘陵で育まれた細胞を学生に見立てて、自然の中にある有機的な形と、伸びていこうとする自由でおおらかな動きで、柔軟さと活発さを表現している。
10 ヒトからひとへ 「研究対象=ヒト」
から
「心が通い合う仲間=ひと」へ。大学はひとを思いやるやさしい気持ちで進化し続けている。単純化した「ヒ」
と
「ひ」を組み合わせ、幸せなひとの笑顔を表現している。
最終段階の選定においては、
シンボルマークだけを造形的な観点から検討するため、
イメージカラーをモノクロに変換したロゴタイ
プと組み合わせてデザイン案を提案した。大学のイメージカラーは、
ロゴマークの造形的要素から一度切り離すことで、意味、
目的、使
い方をふまえ再検討することとした。
学内のロゴマーク検討委員会において上記10案から5案にデザイン案候補を絞り、各マークに優先順位を付けて弁理士に商
標登録の類似調査を依頼し、造形的に類似したロゴマークがないか確認した。
30
●最終デザイン/バリエーション
大学の英語名Niigata University of Pharmacy and Applied Life Sciences の略称「NUPALS」
を、
生命の源であるDNAをモチーフに、新たに原点を見つめて進むことを込め、
このロゴマークが選定された。
Nupals Red
(ニューパルスレッド)
大日本インキ DIC197
CMYK C:14 M:100 Y:88 K:11
RGB R:179 G:28 B:49
HTML
#B31C31
マンセル値
5.3 R 3.9/12.8
イメージカラーは落ちついた、あざやかな赤を規定します。
この赤を本学の英語名の略称「NUPALS(ニューパルス)」から
Nupals Red(ニューパルスレッド)
と称します。
利便性のため、学部を区別して表示する必要のある場合には、規定した色で各学部を示すことができる。
薬学部を明るいブルー=薬学部ブルー、応用生命科学部をあざやかなグリーン=応用生命科学部グリーンと称す。
31
受託事業名:
新潟日報メディアシップ内ギャラリー&カフェデザイン業務
発注者:新潟日報社
受託期間:平成 24 年 6 月 20 日~平成 24 年 7 月 30 日
プロジェクト主査:森 望(建築・環境デザイン学科 教授)
1.業務概要
本プロジェクトは、新潟日報新社屋メディアシップの
立体作品を展示できる展示台と、平面作品を飾れる壁
2階に計画されたギャラリー&カフェのインテリアデザ
面を設け、カフェ部分は客席を32席、カウンター席を3席
インを提案したものである。
設置し心地よい空間に仕上げた。
カフェから入口方向
入口からカウンター方向
応接から展示スペース方向
展示・応接スペース
12800
1700
1700
100
4450
3050
100
200
H900
H900
1200
450
700
5300
1700
4600
H900
500
1450
900
650
H900
1300
1100
2130
680
400 300
900
900
300
200
1700
900
1700
32
1350
700
200
900
1700
100
2750
900
2250
平面図
デザインの産学連携を推進、地場産業の新製品企画に寄与
デザイン研究開発センターは、平成6年の長岡造形大学開学と同時に大学の附属機関として発足しました。本
学の教育研究成果を広く企業等に伝えると共に、企業等との共同研究を推進することにより、本学の教育研究の
発展と地域社会における創造的研究開発の推進に寄与することを目的としています。
また、本学では産学連携などの社会連携活動について、活動方針や知的財産の取扱いなどのポリシーを制定し、
適正な管理・運営に努めています。
センターでは、寄せられたデザイン相談の内容に応じて様々なメニューを用意しており、長岡造形大学の全教
員が各自の専門・研究分野の特性に応じて、プロジェクトに関与します。
1.相談受付から業務終了までのフロー
デザイン相談の受付
デザインに関する相談は、
電話・FAX等でデザイン研究開発センター窓口
(総務企画課)
にて随時受け付けています。
まずはお気軽にお電話下さい。 TEL 025
電 話
311㈹
「デザイン相談申込用紙」にご記入いただきFAX又はEメールにて
お送りください。
312
FAX
025
Eメール kikaku@nagaoka-i
d.
ac.
j
p
FAX・Eメール
内部協議 ∼ 両者打合せ
頂いた相談内容をセンターで把握し、打合せにて詳細内容を再度お伺いいたします。
その後、ご相談内容に沿った最も適切な方策をご提案いたします。以下が主なメニューとなります。
①受託研究・委託によ
るデザイン提案
②外部デザイン事務所
の紹介
③学生コンペ
④教員による専門的ア
ドバイス等
委託契約に基づき、担
当する教員が調査研究
又はデザインを提案い
たします。メンバーに
は学生も参加します。
ご相談内容に応じて外
部デザイン事務所を紹
介いたします。
学生に広くデザイン案
をお求めの場合は、本
学学生を対象に学内コ
ンペを行ないます。
デザイン全般に関して
専門的知見からアドバ
イス及びコンサルティ
ングをいたします。
「①委託によるデザイン提案」の場合、以下のとおり業務が進行いたします。
主査の決定 ∼ 業務委託契約
ご相談内容に応じて本学教員の中から適任者(主査)を決定します。
業務の方法、期間、予算等について、両者で協議を重ね、業務委託契約を締結し、業務がスタートします。
ただし、授業その他の学事が優先されますのでご了承ください。
成果物の提出・業務終了
成果物を提出し、委託元の検収後、業務終了となります。
34
2.プロジェクト担当教員
学長・教授
教授
和田 裕
専門分野
インダストリアルデザイン
専門分野
グラフィックデザイン
(エディトリアルデザイン)
教授
言語技術教育、特別支援教育
建築・インテリア・
プロダクトのデザイン
教授
プロダクトデザイン
表象文化論、比較文化論、
外国語教育
教授
グラフィックデザイン、広告全般、
イラストレーション
専門分野
金属工芸(鍛金造形)
教授
堀田 正
専門分野
彫刻
教授
教授
結城和廣
専門分野
美術科教育、総合学習
専門分野
都市計画、観光まちづくり
グラフィックデザイン
専門分野
グラフィックデザイン、
イラストレーション
教授
ヨールグ ビューラ
専門分野
映像、マルチメディア、
アート教育
教授
森田 守
専門分野
知的財産権制度の内、意匠法
山下秀之
専門分野
建築意匠・建築設計
准教授
准教授
金澤孝和
専門分野
プロダクトデザイン(家具・
生活小物)
川越ゆかり
専門分野
服飾デザイン、製作
准教授
准教授
中村和宏
専門分野
ガラス工芸
長谷川克義
専門分野
金属工芸(鋳金)
准教授
真壁 友
メディアアート
都市計画、都市防災
専門分野
教授
澤田雅浩
専門分野
彫刻
建築史、民家史、社寺建築、
水道史、文化財の保存・修復
准教授
小林花子
准教授
専門分野
油彩、版画(銅板、リトグラフ、
木版)
准教授
吉川賢一郎
専門分野
岡谷敦夫
専門分野
長瀬公彦
平山育男
准教授
渡辺誠介
准教授
専門分野
ディスプレイデザイン
教授
教授
森 望
専門分野
写真
プロダクトデザイン
教授
松本明彦
建築・都市設計
専門分野
アンドリュー
バン ゴーサム
TESOL(英語教授法)
後藤哲男
土田知也
教授
専門分野
教授
教授
鈴木均治
馬場省吾
教授
専門分野
教授
テキスタイルデザイン(染色)
建築構造
専門分野
建造物保存修復
専門分野
専門分野
木村 勉
専門分野
金属工芸(彫金)
江尻憲泰
教授
菅野 靖
教授
長谷川博紀
専門分野
教授
菅原 浩
専門分野
ランドスケープデザイン、
生物棲息環境
専門分野
教授
上野裕治
専門分野
西洋美術史
教授
境野広志
専門分野
専門分野
川口とし子
専門分野
教授
石原 宏
教授
大森 修
専門分野
教授
天野 誠
御法川哲郎
専門分野
イラストレーション
※職名及び専門分野は平成25年4月1日現在
35
E-mail
36
E-mail
長岡造形大学デザイン研究開発センター
平成24年度活動報告
発行日:平成25年7月1日
発 行:長岡造形大学デザイン研究開発センター
940-2088 新潟県長岡市千秋4丁目197番地
T E L:0258-21-3311(代表)
F A X:0258-21-3312
U R L :http://www.nagaoka-id.ac.jp/
E-mail:[email protected]
表紙デザイン:キム ボンス
デザイン研究開発センター 20年の歩みを象徴とする
豊口理事長をモチーフに、様々な要素を組み合わせ
ることで、デザイン領域の多様性を表現した。
本書の図版及び文章の無断転載を禁じます。
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※長岡造形大学デザイン研究開発センターのこれまでの
活動報告については上記URLからご覧いただけます。