国外勤務日数控除の申請 適格銀行口座の仕組み

国外勤務日数控除の申請
適格銀行口座の仕組み
英国の税務上の居住者で、国外勤務日数控除の
対象となっている方は、雇用関連所得の受給場所
の検討が必要です。なぜならば、国外勤務日数控
除の適用において、国外の勤務日数にかかる収入
の支払いおよび留保先が英国外であることが主な
条件の一つであるからです。 十分な所得が国外に
留保されているかどうかの判断には「ミックスファンド
ルール」という規定が適用され、英国に送金される
所得の種分けが行われます。
2013年4月6日より「特別ミックスファンドルール」
(SMFR)という法令が導入されました。これにより、英
国内、英国外両方の勤務日に係る雇用所得に対し
てミックスファンドルールをこれまでよりも容易に適
用することができるようになっています。SMFR に
よって各個人が英国への送金額を年間ベースで計
算することができるようになるため、事務負担を節約
できるほか、英国への支払い過剰により国外勤務
日数控除額の減少を招くリスクを軽減することがで
きます。
SMFRの適用を受けるためには、雇用関連所得が
「適格口座」に振込まれていることが条件となりま
す。
適格口座を持つために必要な条件は?
普通の銀行口座であること
当座預金あるいは普通預金口座の使用が必要です。配偶者やパートナーとの共
同名義にすることは可能ですが、当該口座に所得を振込めるのはご本人だけで
す。
英国外の口座であること
英国外に所在する口座でなければなりません。マン島、ガーンジー島、ジャー
ジー島の口座も、国外勤務日数控除に関しては適格口座として認められます。
最初の雇用関連所得の振込
み時の残高が10ポンド未満
であること
英国内外の勤務日数にかかる雇用関連所得が振込まれた時点で、初めてその口
座は適格口座となります。さらにこの最初の振込み時点の残高が10ポンド未満
であることが必要です。また、口座の適格性を当該課税年度の初めに遡って求
めることはできません。
過去の国外勤務日数控除に関する規定(下記参照)を満たせば、既存の口座を整理
し、雇用関連所得の振り込み時の残高を10ポンド未満にして使うことは可能です。そ
れ以外の場合は新たな海外口座の開設が必要となります。
これまでに国外勤務日数控
除対象所得の振込みがない
口座であること
国外勤務日数控除を受けるために、翌課税年度以降も引き続き同じ適格口座を
使用することは可能です。しかし多くの場合、課税年度ごとに新口座を開設す
ることがより望ましいといえます。
国外勤務日数にかかる所得が過去に振込まれた実績のある海外口座を使用する
ことはできません。かつて国外勤務日数控除を受けたことのある方が英国に帰
国した後、再び国外勤務日数控除の対象となった場合がこれに相当します。
2012/13課税年度に国外勤務日数控除を申請した方々は、現課税年度以降も同じ
口座を使い、通達書「Statement of Practice 1/09」のルールを引き続き適用すること
ができます。(詳細は後述。)
雇用関連所得以外の振込み
が一切ないこと
雇用関連所得、株式インセンティブ制度からの利益および口座残高にかかる利
息収入は当該口座に振込むことができます。それ以外の所得、売却益あるいは
資金の振込みは一切禁じられています。
申告書の所定欄に記載され
た口座であること
毎年作成する納税自己申告書の中の所定欄(”white space” )に、当該口座の
詳細が記載されていることが適格口座の条件となります。
課税年度中に本人が適格口座を変えた場合は、新旧両方の口座の詳細を記載し
なければなりません。
適格口座から送金された所得の計算
注意事項
適格口座を持つことの利点は、英国への送金額を年間
ベースで計算できるSMFRの適用を受けられることです。
口座に投資所得、売却益またはその他の資金が 振込ま
れている場合
英国への送金順序としては、先ず、英国勤務日数にかか
る雇用関連所得、続いて英国外の勤務日数にかかる所
得、そして利子所得の順で行われたと見なされます。
報酬として提供されるベネフィットあるいは株式報酬も
優遇措置の対象となる場合があります。しかし、英国内
で提供されるベネフィット、英国で登録された株式につ
いては、自動的に英国への支払いと見なされるため、国
外勤務日数控除を最大限に受けるためには、現金支給さ
れる雇用所得のうち、海外で支払い、あるいは留保され
るべき金額が相対的に増加します。
通達書Statement of Practice 1/09 (SP 1/09)の適用
2013年4月6日以前の国外勤務日数控除を請求する場合
は、 通達書SP 1/09に規定された条件を満たす必要があり
ました。2013/14と2014/15課税年度にも引き続き国外勤務
日数控除を申請できる方々は、希望によりSP 1/09の継続
適用、またはSP 1/09に代わってSMFRを適用することが可能で
す。後者を選択した場合、 SMFRの下での適格口座の条件を
満たすためには残高が10ポンド未満になるよう、お持ちの海外
口座を整理する必要があります。
適格口座に振込めるのは雇用関連所得(株式インセン
ティブ制度からの利益を含む)とそれらの資金にかか
る利息のみです。 禁止されている資金が振込まれた場
合、口座名義人はそれを感知してから30日以内にその
金額を振替えなければなりません。30日以内にこの是
正措置が採られなかった場合は、当該口座は適格性を
失い、通常のミックスファンドルールが適用されま
す。
違反は年間(12ヶ月)二回まで是正することが認めら
れていますが、それを超えると不適格口座となりま
す。12ヶ月間に三度目の違反があった場合は、例えそ
れが是正されても、適格口座としての地位を失いま
す。
既存の海外口座を使用する場合
既存の海外口座を使用する場合は、雇用関連所得が振
込まれ、適格口座になる前の残高が10ポンド未満であ
ることが条件です。従って、雇用関連所得が振込まれ
る前にお持ちの口座の残高を整理しておく必要があり
ます。
重要なポイントは、過去の課税年度において国外勤務
日数にかかる所得が振込まれた実績がある場合、その
口座を適格口座にすることはできないことです。例外
は2012/13課税年度 に使用されたSP 1/09 口座です。
本人のパートナー、配偶者ともに国外勤務日数控除の
申請資格があり、同じ口座を使用することができま
す。
適格口座は一人につき一口座のみ認められています。
パートナー双方が国外勤務日数控除の対象で、それぞ
れが適格口座の所有を希望する場合は、各自が別々の
口座を開設する必要があります。
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