創干Jに寄せて産業医科大学小児科学教室白幡聡近年の凝固因子製剤の進歩は目を瞳るものがあります。発症当初からこれら安仝で止血効果が優れた製剤の恩恵を受けた若年血友病患者の多くは、重症型であっても健常者と大差ない生活を送ることができるようになりつつあります一方、その恩恵に与ることができなかった世代の重症型血友病患者は、程度の差こそあれ、ほとんどの患者が血友病性関節症に罹患しており、QOL低下の大きな原因となつています。私も参加している「血液凝固異常症の関する . QOLに研究班 Jの調査によると、しつかりしゃがみこめる患者さんの害」合は 30歳代で 3害 J近くまで低下しています。同様に 30歳代の患者さんで不自由なく動き回れると解答したのは 4害 1に過ぎません。産業医利大学病院では、1984年に血友病センターを槍J設し、包括的サポートを目指して活動してきましたが、患者 QOLの向上に対する理学療法の役害」の大きさを痛感させられました。そして、血友病の理学療法の意義を全国の医療者と患者に知って欲しいと常々感じていました。しかし、(1)我が国では 5,000人程の血友病患者が 1,000施設近くの医療機関に分散している、(2)欧米と違って、それぞれのエリアに充実した血友病センターが存在し中核的機能を果たす体制になつていない、(3)どうしようもなくなって整形外科医に助けを求めることはあつても、その前段階での理学療法の意義を、血友病専門医と患者が十分に理解していない、など様々な理由で、血友病の理学療法は FFられた施設で細々と行われてきたのが実情と思います。そうした経緯の中、この度産業医科大学病院北部九州血友病センターで、長年、理学療法に携わってこられた大峯三郎先生が中心となり、血友病理学療法研究会が発足したことは誠に喜ばしいことであります。全国各地で血友病のリハビリテーションに携わる理学療法士の皆様が、本研究会のもとでネットワークを作り、スキルの標準化をはかるとともに、血友病患者に対する理学療法の要性を、全国の血友病担当医と患者に喚起していただきたいと思います。そのことが血友病患者にとって大きな福音となることを確信し、血友病理学療法 2、研究会発足のお祝いのメッセージとさせていただきます .