≪季刊(年3回発行)≫ 夏 号 Vol.17

≪季刊(年3回発行)≫
夏
号
Vol.17
企画・編集:こどもとまち支援の専門ネットワーク
ある不登校の女の子に関わって 2 年経つ。とても素直な可愛らしい子で、
何故この子が悩まねばならないのか?と考える。唇をきゅっと結び、何かを
我慢している。たった 10 歳の子どもが自尊心を失おうとしている。目の前
の子どもが岐路に立たされているとき、私たち大人はどうしたらよいかうろたえる。
「皆と同じでなくても良い。好きな事を言ってごらん。
」
私たちはこういう時、未来に想いを馳せよう。可能性はどこまでも続く。あなたのいいところはここ!誰
でも等しくあるのだ。
NPO法人まちのエキスパネット代表 治郎丸慶子
学童保育「玉川子どもの家」
(玉野台)
玉川小学校の敷地内にある学童保育「玉川子どもの家」
(NPO 法人学童保育所イルカクラブ運営)
では、子どもたちの自主性を重んじ、個性を生かした“ありのまま”の姿を大切にし、指導員は子
どもたちと接しています。
テレビやゲーム機には頼らず、外遊びが大好きな子どもたち。昔懐かしい「ポコペン」や「缶蹴
り」、
「ドッジボール」などは人気の遊びです。段ボール、牛乳キャップなどの廃材を利用して、剣
や手裏剣(しゅりけん)など、自分たちが“これ欲しい、使いたい”と感じた小道具などは、仲間
と一緒になって手作りします。秘密基地、探検ごっこなどのルール作りも自分たちなりに考え、創
造性豊かに楽しみます。
「何でも話せる環境を」と、メンタル面のケアにも配慮し、子どもたちは、学校や家ではなかな
か口にしにくい愚痴なども、指導員にはこっそりと打ち明けスッキリとすることも度々。自尊心が
芽生えはじめ繊細な学童期ですが、個人の成長に合った指導や、アドバイスで信頼関係がしっかり
とできています。職員たちは「子どもたちが素の自分が出せるよう、スタッフ同士も密に打合せを
し、情報を共有するようにしています」と話し見守ります。
(サ)
【学童保育 玉川子どもの家】
・保育時間:月曜~金曜(放課後~19 時)
土曜(8時~19時)
・お問い合わせ先:34-8457
(NPO 法人学童保育所イルカクラブ)
~1~
熱中症の季節です
小児科医・片山 道弘
(こどもゆめクリニック院長・白山町)
熱中症が増える季節になりました。
暑くなると、人は体にたまった熱を逃すために多くの汗をかきます。汗は皮膚の血管に流れ
る血液からつくられますので、汗をかくと水分とともに体の中の成分、特に塩分が失われる
ことになります。
一方、人の体の 60%(おとな)~80%(子ども)は水分でつくられていて、細胞の中
と外の水分の分布が一定に保たれていることが必要です。その役割の中心になっているのが
塩分ですので、汗をかいた時は水分だけではなく失われた塩分の補給がとても重要になりま
す。
もし、汗を多くかいた時に塩分を取らず水分だけをどんどん飲んでしまうと、血液の濃度
(浸透圧といいます)がうすくなり、細胞がちゃんと働かなくなったり筋肉がけいれんを起
こしたりしてしまいます。また、喉の渇きがなくなりますので腎臓から尿がより多く出てし
まい(自発的利尿)脱水症を起こしやすくなると言われています。
つまり暑い時に汗をかいて熱を逃がし体温を上げないようにすることは、身体を一時的に
犠牲にする仕組みとも言えます。
ちなみに糖分もいっしょに飲んだ方が、腸からの塩分の吸収が良いことがわかっています
ので、いわゆるイオン飲料には味付けのためだけではなく、適度な糖分が含まれています。
<プロフィール>昭和 58 年国立旭川医科大学を卒業。名鉄病院小児科に勤務後、春日井市で小児
科医院片山こどもクリニックを開業。(平成 24 年 9 月 1 日から医院名を「こどもゆめクリニック」
に変更。)
日本小児科学会、小児感染症学会会員。
~2~
“猫を追うより皿を引け”
助産師 笠岡 直子(中央台)
私が小さい頃、祖父が言っていた『猫を追うより皿(魚)を引け』という諺(こ
とわざ)…(物事の根本原因を正さなければ効果がないといったたとえですが)今頃になって時々思
い出しています。
例えば、
『おもちゃを片付けられない』場合、
「片付けなさい!!」と何度も子どもを叱ったり、お
もちゃの箱を工夫したり、親と一緒に片付けたりしても…。直ぐにお部屋が元通り。そんな時にも、
視点?見方?角度?を変えて『片付けない原因は何?』と、おもちゃの方に目を向ける。おもちゃの
数が多過ぎたら買い物カゴ1杯分だけにする。と、サッサと片付けられる『出来の良い我が子の姿』
を目にすることも出来ますよ。
お母さん自身も、あれも、これも、それもとやる事が一杯で時間に追われていると感じた時には「私
は猫を追う方に目を向けているのでは?」、「この忙しさの原因は何?」と立ち止まって考えてみる。
意外な解決の糸口が見つかるような気がします。
それと、もう一つ『ブタのシッポ』という詩を思い出します。簡単に言うと…ブタのシッポはいつ
もクルクルと忙しそうに回っているけど、大した役には立っていない。が、馬や牛がシッポを動かす
時は、大抵アブやハエを追っぱらっている…といった内容でした。
時折、我が身を振り返り「今、私の忙しさはブタのシッポになっていないかしら?」と考えること
にしています。意味のある事ならば、その時、精一杯に頑張ってみる価値は大いにあると思いますよ。
充実した時間を使って益々楽しい人生を送ることができますように。
<プロフィール>
昭和 47 年から名古屋大学病院で助産師として勤務。退職後は愛知県看護協会理事などの職を歴任後、平成 5 年に「か
さおか母乳・育児相談所」を開所。現在は、母乳相談を中心に認定心理士、思春期相談士として、仲間と共に「性教
育」や「命」についての講演活動などを行う。
「わくわくパレット」OPEN!
幼児教室
幼児期のちびっこは「
?」や「!」がいっぱい!さまざまな経験
は、豊かな心と身体を育てます。親子で楽しくわくわくしましょう!
経験豊かな保育士と相談支援専門員の3人で対応します。
子育ての些細な悩みも相談OK。お気軽にご予約ください♪
日
時:7 月 27 日・8 月 24 日(毎月第4月曜日)
10:15 受付 10:30~11:30
対
象:未就園児とその保護者(定員 10 組)
参加費:500 円(材料費込)
会
場:東部ほっとステーション(サンマルシェ南館1階)
予約先:NPO 法人まちのエキスパネット(0568-52-7315)
~3~
リズムあそびや新聞ビリビリ、
フィンガーペインティングなど★☆★
石田 義忠:1969 年愛知県心身障害者
私のはじまり
コロニー心理判定員。以後愛知県内で児童
相談所長を歴任。現在、愛知県各所で発達
相談アドバイザーとして活躍。
シリーズ6
発達の道すじ(7歳から10歳)
具体的操作思考へ
この時期は、小学校低・中学年の子どもたちです。学校生活の適応と、読む・書く・計算などの具体
的操作思考が可能になります。別な言い方をすれば、この時期の言語発達を「2次言語期(読み書き言
語への対応)」と言います。幼児期は、「1次言語期(生活の中で言葉を覚える)」です。この時期の思
考の特徴を次に述べます。
1.
向かい合った人の右手はどちらか
知能テストで、左右の区別は5歳半頃の課題です。7歳の年齢の子に、向かい合った人の右手が、反
対側になることを教える場面を想定してください。2つの方法があります。ひとつは相手を自分と同じ
向きにして教えます。
(対象回転)他方は、自分が回転して、相手と同じ向きになります。
(自己回転)
さて、どちらが効果的な方法でしょうか。結論は、対象回転の方が、自己回転より早く学習します。し
かし、長期的な学習保存効果で見ると、自己回転のほうが成績は良いのです。
2.
この時期の子どもの道徳観
ピアジェ(発達心理学者)の実験を紹介します。A君は、父親のペンのキャップが開いたままだった
のでキャップをしようとして、インクを1滴落とし、大きなシミを作りました。B君は、父親のペンで
遊んでいて、小さなシミを作りました。A君とB君、
「どちらが悪いでしょうか」の質問に、
「大きなシ
ミを作ったA君が悪い」と答えるのです。そうではなくて、道徳的行動は結果でなく動機で考えます。
重要なことはこのことを丁寧に教えることです。
3.
中間反抗期
発達心理学では、8,9歳頃を「中間反抗期」と呼んでいます。この時期子どもたちは外への興味が
広がり、一見、外交的に見えます。遠出をしたり、いろいろな物を集めたりします。それが行き過ぎて、
「盗み」の行為が出ることがあります。
またこの時期は、
「ウソをつく」ことも多くなってきます。これもまた一方では、内的世界の発達で
す。これらの行動特徴を称して、
「中間反抗期」と言います。
たぬき先生の子育て個別相談やってます♪
子どもの発達で気になることがある。思春期の子どもへの対応が分からないなどどんな些細なことでも
個別に相談できます。お子さん連れでも大丈夫です。元児童相談所長の石田先生(たぬき先生)が、相
談にのってくださいます。一人で悩まないで、何でも相談してくださいね。
(毎週火曜日・相談料 1,000 円)
予約・お問い合わせは、NPO法人まちのエキスパネット 0568-52-7315
~4~
編集スタッフの
ちょこっとコラム
「人間が本来持っている学ぶ喜びはどこへ…」
編集部員 上野サナエ
某国営放送の TED というプレゼンテーション番組をご存知でしょうか?
私はこの番組が結構好きで、興味のあるテーマの時は録画をしてチェック
したりもしています。先日も気になる主題で、ハーバードのビジネススクー
ルで社会心理学を教える女性がプレゼンをしていました。
内容は、ボディーランゲージで人間はメンタル面も変えられるといったもの。たった2分間
のポーズで、パワフルでストレスにも強い性格になれるらしい。一種の自己暗示でしょう。同
じようなことをこれまでにも、耳にしたことはあります(2分間という時間をキチンと明確に
したところがさすがですが…)
。
このように今まで何となくは認識していたことではあるが、実験しデータを取って立証した
ものを目のあたりにすると、ストンと入ってきます。こういったことは結構あると思います。
ひと頃、ちまたを騒がせ話題となった、フランスの経済学者ピケティ著の「21世紀の資本」
もそう。ざっくりと言ってしまうと、資産家に富は集中し、そのため格差がより格差を生むと
いった内容。
“下剋上”はなかなか期待できない、ということですね。これも遠い昔から一般的
に知られていることで、ピケティはこれを 200 年以上さかのぼってデータを分析し、世間を
うならせました。
このように人は経験から「当たり前」と感じていることが多々ありますが、その「当たり前」
に着目し、真剣に向き合って研究結果を出せる人はなかなかいません。やはり“凡人”にはな
い発想が出来るからこそ偉業を残せるのでしょうが。こういう探究心の旺盛な人たちは自ら学
び、主体的に物事に取り組める人たちです。
でも、そもそも、人間は新たな学びに喜びを感じ成長するものだと思います。赤ちゃんはそ
の典型。すごいスピードで母国語を習得し、周囲の大人を見て所作を真似、かなりの情報を収
集しきちんと身に付けます。それが、どこからか成長するにつれその意欲は減退してしまう。
残念なことです。
人間本来のポテンシャルを引き出し、維持するにはどうしたら
いいのでしょうか。先例のように世界的に有名にならないにして
も、人生をより充実させ、生きやすくなるためにも子どもたちに
は、いや大人も「自ら学ぶ楽しさ」を実感、実践し、成長し続け
ていきたいものです。
~5~
まちのお知らせ
「発達障がい関係者養成講座」
*アスペルガー、ADHD、学習障害などの本質を理解し、学齢期に 2 次障害を起こさないように乳幼
児期からの適切な支援について学習します。入試、就職などの最新情報もあります。
時 : 平成 27 年8月18日(火)~毎週火曜日(全8回)
10:00~12:00
場 所 : ・東部ほっとステーション ・古民家「和っか」
講 師 : 石田 義忠(元・児童相談所長)
講座料 : 15,000円
*要予約です。申し込みは、NPO法人まちのエキスパネット(☎0568-52-7315)まで。
日
講演会「発達障がいの新しい視点~人間の進化と教育・療育
日 時 : 平成27年8月2日(日)午後1時~午後4時頃まで
場 所 : 東部ほっとステーション(サンマルシェ南館 1 階)
参加料
:
500 円(資料代含む)
*生物・人間の進化の過程を知ることによって、発達障がいの人たちの行動への理解を試みます。
また、子どもの発達にも、人間の進化の過程が関わっているようです。
「進化」という視点から教育や療育について考えます。
予約:NPO法人まちのエキスパネット(☎0568-52-7315)
★ライブ・パーティー・コンサートなどの
貸切できます♪
ピアノ・音響設備のレンタル有ります♪
本格的イタリアンピッツァとパスタのお店♪
提
示
し
て
ね
夏休みお子様限定割引チケット★
(H27.7.18~8.31 のみ有効)
♪
お子様のお食事注文1回に付き 200 円引!
<編集後記>次回より、
あれこれ考え中です。次回からの
切
り
取
り
か
営
業: 月曜日~金曜日 9:30~17:00
JR高蔵寺駅北口ロータリー西側
(青山駅前ビル1F)
[TEL] 090-3838-1662
(Pは店裏に 3 台分有)
はリニューアル予定です。どのようになるかはお楽しみ。
も、よろしくご愛読くださいますようお願いします。
(浅)
*NPO法人まちのエキスパネット:高蔵寺ニュータウンとその周辺の活性化を目指して活動中。目指すは「インクルー
ジョン=共生」支えあう地域です。
<事業内容>まちづくり支援事業―高蔵寺ミュージックジャンボリー・高蔵寺きてみん祭 in サンマルシェ
障がい児者就労支援事業―児童発達支援・放課後等デイサービス・就労継続B型・地域活動支援センター
広報誌発行事業―まちツボニュース(毎月)
・こどもま~ち(年3回)
*
は、子育てとまちづくりの支援活動をおこなっています。
<発行元>子どもとまち支援センター(NPO法人まちのエキスパネット内)
(住所)春日井市大留町 5 丁目29-16
(TEL・FAX)0568-52-7315
(Mail)[email protected]
*「こどもま~ち」の印刷は、
(一社)あいち障がい者自立支援協会 就労移行支援事業所「ベスト」の訓練生が行いました。
~6~