リチウムイオン電池とリチウム電池

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木村の理論化学小ネタ
リチウムイオン電池とリチウム電池
リチウムイオン電池(リチウム二次電池)
リチウムイオン電池の放電
抵抗
負極
正極
e-
e-
Li +
LiC n
Li
有機溶媒
正極の反応: Li + + e - ® Li
負極の反応: LiC n ® Li + + nC + e 正極材料物質:CoO2
負極材料物質:黒鉛
リチウムイオン電池の充電
正極
負極
e-
eLiC n
Li +
Li
有機溶媒
1
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充電された負極の構造
充電は放電の逆反応だから,
負極の充電反応は
Li + + nC + e - ® LiC n
このとき,リチウムイオンは,黒鉛の層間に取り込まれる。
したがって,下図のような層構造になる。
黒鉛の平面網目層
リチウムの層
黒鉛の平面網目層
リチウムの層
黒鉛の平面網目層
リチウムの層
よって,層構造の繰り返し単位は,
黒鉛の平面網目層
リチウムの層
である。
これを下図のように平面層の真上から見ると図 2 となる。
黒鉛の平面網目層
リチウムの層
2
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たとえば,下図のようになったとすると,
破線で囲まれた部分が最小繰り返し単位となるから,組成式は LiC6
よって,負極の充電の反応式は, Li + + 6C + e - ® LiC 6
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
補足
1.化合物 LiC n , LiCoO 2 はアルカリ金属(Li)の化合物だから,水と容易に反応してしまう。
そのため,電解液の溶媒には有機溶媒を使う。
2.正極材料は CoO2 で,実際には,Li ではなく LiCoO2 が生成する。
3.放電のときはリチウムイオンが正極材料物質(CoO2)中に入り込み,
充電のときはリチウムイオンが負極材料物質(黒鉛)中に入り込む。
つまり,リチウムイオンが電極間を移動する。
したがって,リチウム二次電池は,リチウムイオン電池とも呼ばれる。
これに対し,リチウム電池は一次電池である。
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リチウム電池(リチウム一次電池)
負極:Li
正極:MnO2,フッ化黒鉛などいろいろある
電解液:有機溶媒にリチウム塩を溶解させたもの
代表的なリチウム電池は,正極が MnO2 の二酸化マンガンリチウム電池である。
正極の反応: MnO 2 + Li + + e - ® MnO 2 Li
負極の反応: Li ® Li + + e -
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