ホーチミン現地受信の旅 福永 光洋 勤務先で、連続7日間

ホーチミン現地受信の旅
福永 光洋
勤務先で、連続7日間(休日除く)の休暇を取得できることになったことから、2003 年 11 月 25
日
11 月 30 日に、ベトナム南部の大都市ホーチミンを旅行した。何故ベトナムかというと、まず第
一に同国のテレビ放送方式がよくわかっておらず現地で確かめたいということ、第二に 2001 年秋に
スプレッド F 伝搬で受信した 105.7MHz 日本語を現地確認したいこと、という2つの大きな願望が次
第 に自 分 の 中で 強 くな っ て きた か ら であ る 。も ち ろ ん、 ベ トナ ム と いう 国 、 その 歴 史( 特 に ベト ナ
ム戦争)に大 いなる興味を抱いてき たという背景もある。本 当は、2003 年の黄金週間 当たりに行き
たかったが、SARS の猛威で延期していた。
1.機材の準備
旅行の延期によって、逆に準備期間をたっぷりとることができた。2003 年8月 24 日はア放研総会
の 日で あ る ので 、 この 機 会 にと 、 時 間前 に 秋葉 原 の 山菊 ポ ータ ブ ル に出 向 き 、2 つ のハ ン デ ィ・ タ
イ プ受 信 機 を購 入 し た。 ICF-PRO70(SONY)を 長ら く 使 って い た が、 そ ろ そろ 新 し いも の が 欲し く な
ったので、IC-R10(icom)と比較し悩んだ末、DJ-X2000(ALINCO)をまず選び、また、2インチ TFT カ
ラー 液晶モニ ター搭 載の IC-R3ss(icom)も 気にな ってい たので、 これら 2機種の まとめ 買いをし た。
当然のことながらまとめ買いによる合価値下げと熊本までの送料無料を交渉し勝ち取った。
購入後使ってみてわかったことだが、DJ-X2000 は純正バッテリー切れが割と早く訪れるなと感じ
た。音が小さくなるのではなく音が突然出なくなる。IC-R3ss は TV 受像ではかなりバッテリー消耗
が早いらしいが、AC-DC アダプター直接続では作動するようにはなってなく充電池あるいは乾電池
のみを電源としていることには少したじろいだ。側面にある DC6V-IN は作動用ではなく充電用であ
った。そこで、DJ-X2000 が AC 電源で使えるように AC アダプタ、IC-R3ss の急速充電ユニットとス
ペアのバッテリーを地元のハムショップ・イズミで注文・購入した。DJ-X2000 のスペアのバッテリ
ーも注文したが、未だに連絡がなく、どうも製造していないらしい。この他、DJ-X2000 では中波短
波で 感度不足 を感じ るときが あったの で、AH-C7(Maldol)という延 ばすと 1.3m にもな るハンデ ィ機
用アンテナ(ローディング・コイル付き)も購入した。
問題は、ベトナムでの AC 電源の変換ソケットと変圧器であるが、これらはホテルに用意されてい
る、現地調達も可能、ということを旅行ガイドで読んでいたので、日本での購入は控えておいた。
これでベトナム現地受信用機材が揃った。受信機は ICF-PRO70、DJ-X2000、IC-R3ss の3台。録音
は AIWA の小型ラジカセ JS380 を3台。DJ-X2000 と JS380 は AC アダプタ計4個、さらに DJ-X2000
と IC-R3ss は充電ユニットも準備した。単三電池もたくさん購入し用意した。カメラは、テレビ撮影
用に一眼レフ OM-10(三脚、レリーズも)、観光用にデジカメ1台。カセットテープは 90 分 13 本。
あと、 テーブル ・タップ 1本、イ ヤフォン 6つ!、 録音コー ド3本。 かなりの 過剰装備 に思えた が、
めったにないこと、と、十分なまでに整えた。
2.初日から FM・テレビ三昧
11 月 25 日、福岡空港 1100 発のベトナム航空 VN961 便に乗り、ノン・ストップでホーチミンのタ
ン・ソン・ニャット空港へ。[ここからベトナム時間] 空港では現地ガイドのフクさんが待っていた。
ホテルまで 30 分くらい車に揺られた。フクさんによると、12 月3日からベトナムで初めて開催され
る東南アジア諸国スポーツ大会 “SEA GAMES 2003”のため、ホーチミンでも市内清掃や看板、旗、
な どで 準 備 が慌 た だし く 、 また 、 日 本か ら の出 発 が もう 何 日か 遅 か った ら ど のホ テ ルも 予 約 でい っ
ぱいだったとのこと。午後3時頃、宿泊するホテルであるニュー・ワールド(New World Hotel Saigon)
に到着。部屋 は 738 号室。日本式に言 えば8階。窓からはホー チミン市街がよく見え る絶好のロケ
ーション。夕方には、夕陽が右方向に見えた。
早 速 、部 屋 の 机を 可 能 な限 り 窓 際に 寄 せ て、 機 器 類 、資 料 類 を揃 え シ ャッ ク の 準備 に 入 った 。 電
源 系統 を 整 える べ く、 ル ー ム・ サ ー ビス に 電話 し 、 変圧 器 と変 換 ソ ケッ ト を 持っ て きて も ら った 。
持参したテーブル・タップを使って、DJ-X2000 とテレコ2台をセット。ICF-PRO70 は電池で受信。
ひととおり FM 帯をサーチする。1542 に 104.5、99.9MHz をすぐに受信。104.5MHz はリストによれ
ば VOV3 系統。99.9MHz は 1600 からフランス語番組となった。ホーチミン市人民の声放送である。
さらに、90.2、92.5、96.5、97.5、101.0、102.5MHz が聞けた。ICF-PRO70 では、99.1、96.1、102.3、
103.3MHz で 99.9MHz とパラの局が聞こえたが、DJ-X2000 では聞こえないので、PRO70 自体で発生
しているスプリアスだと思う。また、90.2MHz とパラの番組が両方の受信機で 90.4MHz でも受信で
きたが、これは 90.2MHz の送信機起因のスプリアスの可能性が高い。90.2MHz の 1700 のアナウンス
を録音しておき、翌日、ガイドのタンさんに聞いてもらったところ、Vinh Long のラジオ局であるこ
とが判明した。帰国後、録音をよく聞くと、1700 前後で“dai phat thanh Vinh Long”と3回も言ってい
た。3回めは、“…cua dai phat thanh Vinh Long, chuong trinh ナイド phat than ラーsong AM chin tram nam
muoi kHz ヤッ FM chin muoi ファッ hai MHz”と周波数アナが出たがリストにある 954kHz の 4 を省
略し 950kHz と、FM は点 “.”が辞書にある cham または diem などとは到底聞こえない。中波も聞い
てみたが、ノイズがひどい。大都市のしかもホテルの部屋は中波には不向きであるが、558、612、657、
711、747、783、873kHz をログ。1750 には 94.3MHz でもベトナム語放送を確認(PRO70、DJ-X2000
双方で受信)、1800 からは 96.5MHz とパラの VOV ニュースとなった。1720 からは、部屋設置のテレ
ビ(Philips Multisystem)でも 受信を 開始。 すぐに 、HTV7、 HTV9 が見 れた。 ホーチ ミンの テレビ 局で
ある。HTV7 では、紙おむつ(パンパース)、洗剤、化粧品、頭痛薬などの CM も見れた。下記①
⑥に、HTV9 の受像写真を紹介する。右上にはずっと “HTV9”のロゴがある。①は 2030 すぎで、左
上 “THOI SU”はニュース、まばゆいばかりのアオザイ姿の女性アナウンサーが印象に残る。③は翌
朝 0529 の開始前。注目すべきは、③④⑤の “TRUYEN HINH QUAN KHU 7”の番組。 “TRUYEN HINH”
は テ レビ 、 “QUAN”は 「官 」、 “KHU” が 区 。 ホ ー チミ ン の 地 図 や行 政 区 画 本を み る と 、 数字 の つ
いた 区は1 区
1 2区ま であり 、 “QUAN1
7”と いう 表記で ある。 ある特 定区の ニュー スをし てい
る のだ ろ う か。 制 服姿 の 女 性ア ナ ウ ンサ ー は自 ら 現 地報 告 も担 当 し てい た 。 もし か して 、 ホ ーチ ミ
ン市人民委員会の広報番組か? 課題が残った。
①HTV9 のニュース ②HTV のロゴ・マーク ③3行め「5 時 30 分に開始」
④HTV9 何かのマーク ⑤QUAN KHU 7 のテロップ ⑥QUAN KHU 7 のニュース
衛 星テ レ ビ では 、 TV5(仏 )、NHK、 RAI、ABC( 豪 州)、 BBC、 CCTV-4、 HBO、 Arirang、 鳳凰 衛
視、CNN、DISCOVERY、STAR MOVIES、STAR WORLD、abc(米国)、DW が見れた。以下に、撮
影したものを紹介する。⑨では、右上に “Arirang”とある。帰国して写真を眺めてわかったことだが、
⑨のアナウンサーのバックには “MBC NEWS”のロゴが見えた。MBC ニュースの中継?
⑦CCTV4 のニュース ⑧CCTV4 ⑨Arirang のニュース
⑩鳳凰衛視のニュース ⑪鳳凰衛視の局マーク ⑫豪州 ABC のニュース
さて、主目的は、地上波テレビである。2216 から HTV7/9 の映像キャリアと音声の周波数を DJ-X2000
で 調査 。ス プリ アス 的な 電波 もあ った が、 翌日 も再 調査 した 結果 、HTV7 が映 像 183.25MHz/音 声
189.75MHz、HTV9 が映像 199.25MHz/音声 205.75MHz と確認した。映像キャリアは AM モードで
ブ ルブ ル 音 を聞 き なが ら 実 際の 映 像 が動 く とき や 切 り替 わ る同 じ タ イミ ン グ でブ ル ブル 音 も 微妙 に
変わるという点もとらえておいた。HTV7 と HTV9 にいっとき耳目を奪われた後、少し冷静に考えた。
全国網の VTV が見れないことにほどなく気付いた。ホテルの設備係に電話したら、このホテルでは
VTV は見れないとの返事。時間とともに、だんだん納得いかなくなってきた。
でも、まあ、気をとりなおし、2250 から再び FM をワッチ。45
76MHz にもテレビ電波が出てい
ないかサーチしたが何も受信できなかった。92.5MHz は 2259 に放送終了。90.2、96.5、97.5、99.9、
101.0MHz はすでに放送終了していて受信できず。105.7MHz は 2300
2330 海外向けと同じ英語番組、
2330 は VOV5 のニュース。104.5MHz はベトナム語の歌、音楽など、0106 にも音楽が聞けた。104.5MHz
は遅くまで放送している。2309、気まぐれに中波 558kHz を聞いたところ、英語講座をやっていて、
“How do you do”などと聞けた。この日はここでワッチ終了。
3.現地ガイド、ホテル技術者の活用!?
11 月 26 日は早起きして FM 各局の開始時をワッチ。0540 頃、すでに放送していたのは、90.2、92.5、
94.3、96.5、97.5MHz。99.9MHz はキャリアが 0540 には出ていて、0556 トーン、ほどなく IS、開始
曲をバックに 0559 に ID 男女各1回、0600 時報、時刻アナウンス、放送開始となった。0559 の ID
は “Day la Dai Tieng Noi Nhan Dan Thanh Pho Ho Chi Minh phat thanh テンタイラン song AM bon tram
chin muoi mot met(491m) sau tram muoi(610)kHz ヤ FM chin muoi chin ホイ chin (99.9)MHz”と中波、FM
両方の周波数告知があった。時刻アナウンスは “Bay gio sau gio”と出て、 “…chuong trinh phat thanh
チン song FM chin muoi chin ホイ chin (99.9)MHz…”、 “Dai la Saigon ブーサン chuong trinh phat
thanh…. phat thanh song FM chin muoi chin ホイ chin (99.9)MHz cua Dai Tieng Noi Nhan Dan Thanh Pho
Ho Chi Minh”などと FM のみの放送が開始された。104.5MHz は 0600 からハノイからのニュースで、
96.5MHz とパラ。0620、101.0MHz もすでに放送があっていた。
こ の 日は 、 ホ ーチ ミ ン 市内 の 観 光。 私 1 人の 観 光 に 、運 転 手 、ガ イ ド のタ ン さ ん、 計 2 名が つ く
なん とも豪 華版。前 日に、 電器店 、本屋、 CD 店、 新聞屋 ?、など とリク エスト しておい たので 、順
番に回ってくれた。CD 店の目的は、VOV 開始曲である「ファシストを殲滅しよう」の原曲の CD か
テ ープ を 探 すこ と 。何 店 か まわ っ た が残 念 なが ら な かっ た 。そ の か わり 、 ベ トナ ム 国歌 な ど が入 っ
ている CD やテープを購入した。新聞は、もちろんテレビやラジオの番組覧のあるものを入手するた
め 。露 天 商 のお ば ちゃ ん に 声を か け て、 カ フェ に 入 り、 コ コナ ッ ツ ・ジ ュ ー スを 飲 みな が ら 、お ば
ち ゃん 、 タ ンさ ん 、私 の 3 人で 、 新 聞を ば さば さ と めく っ た。 何 故 か、 ラ ジ オの 番 組覧 が あ るも の
はみつからなかった。テレビ覧があった新聞は次のとおり。“tuoi tre”(VTV1/2/3、HTV/7/9、Dong Nai、
Long An、BTV1/2)、 “THANH NIEN”(VTV1/2/3、HTV7/9、Da Nang、Can Tho、BTV1/2/3)、英字紙 “Viet
Nam News”(VCTV、VTV1/2/3、HTV7/9、衛星の DISCOVERY、ESPN、STAR MOVIES)。おばちゃん
は、雑誌 “TRUYEN HINH”(VTV 発行、VTV1/2/3/4、VCTV、Ha Noi、Ha Tay、Phu Yen、Hue、Da Nang、
Can Tho)を持ってきた。また、この日観光の中央郵便局で “Nhan Dan”(VTV1/2/3、Ha Noi、HTV7/9)
を 入手 し た 。本 屋 では 、 ラ ジオ ・ テ レビ 関 連の も の をタ ン さん と い っし ょ に 探し た が、 ず ば りの も
のはなかった。とりあえず、電気関連本3冊とベトナム戦争本1冊を購入した。
ホーチミン最大の 市場、ベン・タイン市場は、何 でも揃ういわば平屋の「デパー ト」。ここで、ソ
ニーのポケット・ラジオ(POCKET RADIO と箱に記述あり)ICF-SW38(写真⑬)を見つけ、思わず
購入した。中波、FM に、短波の 7MHz
21MHz 帯までの7つの放送バンドが受信可能。選局はダイ
ヤル式だが、デジタル表示。短波は 100kHz 単位の表示。製造国が示されていないが、ベトナムで作
っ てい るの だろ うか 。 もし かし て模 倣品 ? こ の店 では 、 他に 、ソ ニー 製の ダ イヤ ル式 小型 ラジ オ
(型名未記録)、MASON の 5BAND RADIO ICF-F400( 写真⑭)、LOKE?の 12BAND RM-103、KEY WONG
の AM,FM/TV 3BAND のラジオなどがあった。いずれも中国製と記憶している。FM は 64
108MHz
と、低い周波数が 64MHz となっている。どのラジオもアナログで、FM の目盛りのすぐ近くには、
2、3、4、5の目盛り表示が別途ある。バンド切り替えは TV 単独ではなく、FM/TV と一緒にな
っているのと、各数字が示している FM 周波数から、この数字は中国チャンネルの2
5を示してい
ることが帰国後写真をよおく見て判った。購入した ICF-SW38 はテレビ・バンドはない。ガイドには、
テレビ局に興味があると前日から言っておいたところ、HTV に連れていってもらった(写真⑮⑯)。
⑬ICF-SW38 の箱 ⑭ICF-F400
⑮HTV の正門? ⑯テレビ画面の形をした HTV 表札
正門?の隣にビデオ・CD 店があったからだ。HTV の門は閉められていて、歩行者用の門から入っ
て すぐ の 所 に守 衛 室が あ っ た。 門 の 写真 を バチ バ チ 撮影 し てい る と 、守 衛 の 人が 、 門の 中 は 撮影 し
てはいけないとガイドに伝えていた。アンテナ鉄塔がものすごく高いのも印象に残った。
市 内観 光最 後の カフ ェ・ タイ ム。 ガイ ドの タン さ んと 二人 で紅 茶な どを 飲み なが ら雑 談す る。 話
はやはりテレビの話となり、タンさんの家では、VTV や HTV はもちろんのこと、Dong Nai、Long An、
Binh Duong などのテレビも見れるという。ううむ、ホテルのテレビのチャンネル設定のおかげで HTV
し か見 れ な いの は 悲し い 。 ラジ オ は 聞く か と訪 ね る と、 聞 いて い る のは 年 寄 りぐ ら いだ ろ う とい う
返事。やはり、ベトナムのラジオ放送は退屈なものらしい。
17 時すぎにホテルに戻る。再び FM をワッチ。96.5, 92.5, 94.3MHz はパラで、ハノイからのニュー
ス。90.2MHz は別プロ。99.9MHz は英語プロ。101.0MHz は英語で “World News”。105.7MHz は電波
が出ていなかったが、1910 には英語プロが出ていた。2000 からは仏語、2030 からはお待ちかねの日
本語(日本向け短波放送と同じ番組)が聞けた。この英語→仏語→日本語の順番、及び、時間(+2 時
間で日本時間)は、日本での受信と同じだった。104.5MHz は 1900 に ID“…cua dai Tieng Noi Viet Nam”
を確認。2153、96.5MHz は入感なし。101.0、104.5、99.9MHz がパラ。97.5MHz は 2258 放送終了し 2300
に s/off。2301 に 92.5MHz はすでに入感なし。
テレビも、音声と映像キャリアを DJX-2000 でサーチした。477.75、493.75、517.75、533.75、557.75、
581.75、594.75、597.75、629.75、637.75、661.75、669.75MHz と結構多くの音声が受信できた。片っ
端か ら音 声周 波数 と映 像キ ャリ ア周 波数 を記 録し てい った 。こ のう ち、 517.75MHz で は日 本語 アニ
メ にベ ト ナ ム語 ナ レー シ ョ ンを か ぶ せて い た。 女 の 子「 ミ ーシ ャ 」 が登 場 す るア ニ メ。 世 界 のテ レ
ビ ・シ ス テ ム、 チ ャン ネ ル の一 覧 表 は持 参 して な か った の で、 予 断 なし に ロ グで き た。 帰 国 後、 そ
れらの周波数、音声と映像キャリアの周波数差を調べると、なんと、System D であることが判った。
つ まり チ ャ ンネ ル はロ シ ア 方式 を 採 用し て いる の で あっ た 。こ れ に は全 く 驚 いた 。 また 、 映 像キ ャ
リアの AM モード受信音からフィールド周波数は 50Hz と判別できた。帰国後、映像キャリアのブル
ブル音の周波数を音声解析ソフトで調べると、49Hz とその高調波であった。50Hz には 1Hz マイナ
スだが、録音→再生によってわずかに変動したものと考えている。
夕食後、再度、 設備係に電話して、VTV を見たい のでポータブル・テレビがあっ たら持ってきて
欲 しい と 無 理な こ とを 頼 ん だ。 電 話 の相 手 がど う 理 解し た か知 ら な いが 、 ほ どな く して 、 技 術者 ら
し き男 性 が やっ て きて 、 テ レビ の プ リセ ッ トを は じ めか ら やり 直 し 始め た 。 そし て 、こ こ の ホテ ル
のテレビで、ベトナムのテレビは HTV7/9 しか見れないことを彼は私に説明した。では、私の受信機
でテレビ音声がいろいろ聞こえるがどこの局かわかるか?、と DJ-X2000 で受信しながら音声を聞い
てもらった。そのおかげで、477.75MHz Binh Duong Station(may be)、493.75MHz Ben Tre、597.75MHz Bien
Hoa(Dong Nai)、629.75MHz BTV, BinhDuong Station, 637.75MHz HTV Saigon(TV)とメモしてもらうこ
とができた。音楽や映画 の音声のチャンネルはどこの局かわからないとの こと(当然)。もっと聞い
てくれと迫ったが、「忙 しいから」という理由で、部屋を去っていった。 ホテルの設備係に電話して
テ レビ 関 係 の技 術 者を 呼 ん でテ レ ビ 局名 を 確認 し て もら う とい う 旅 行前 に は 想像 も しな か っ た確 認
手法が実現した。外国語の理解が困難な場合の確認方法の奥の手! 技術者さん、ありがとう。
テレビ音声がたくさん受信できていたので、21 時すぎに IC-R3ss で受像を試みた。まずは、一番
強力な HTV7/9。IC-R3ss によるテ レビ受信にまだ慣れていないので、持参し た取説を見ながら映像
周波数を合わせた。像が見えた、と思った途端、像が上から下に流れた。しかも白黒。IC-R3ss は NTSC
仕様なので、映像を正しく復調できず、また、垂直同期もずれたまま、同期調整ツマミもないので、
これ 以上 どう するこ とも できな い。 この 時点で 、HTV7/9 は NTSC ではな いこ とがは っき りし た。
HTV7/9 の他は、もう受像する気がなくなったのでテレビ・ワッチはこの日は中断。ベトナムまでき
て VTV が見れないとは、と欲求不満がたまった。
2301、HTV9 でも CM を見れた。477.75MHz VTV1 では 2330 から 2345 まではフランス語番組であ
った。493.75MHz は 2344 s/off。HTV9 は 2347 にテスト・パターンが見れて 10 秒程して s/off。HTV7
はスポーツ番組が続いていた。533.75MHz は 2359s/off。0004 には、581.75、557.75、594.75、597.75、
629.75、637.75、661.75、669.75MHz はすでに電波が出ていなかった。
4.HTV テスト・パターンと旧大統領官邸
11 月 27 日は 0426 からテレビ・ワッチ。669.75、533.75、493.75MHz はパラのサッカー番組。「ラ
ウル」「ロナウド」などの選手名が聞けたので、レアルマドリードの試合。661.75、637.75、629.75、
594.75、581.75、517.75、477.75MHz は電波がまだ出ていない。0454、気まぐれに 104.5MHz を聞い
たところ歌 、トークなどが聞け 、101.0MHz とパラ。0459、HTV7/9 でテストパターンが 見れたので
撮影(写真⑰⑳)。HTV/7/9 は 0530 に開始(写真⑱⑲ 21 22 )、HTV7 と HTV9 は別々の体操番組と
なった。477.75MHzVTV1 は 0523 音楽、0530 に合唱、番組案内、そして体操(HTV7/9 の体操とは別)。
493.75MHz もパラの体操。0600 を過ぎると HTV7 や 597.75MHz は別々のサッカーとなった(493.75MHz
とも 別)。さ すがベト ナムで最 も人気の あるス ポーツで ある。HTV7 だったと 思うが、 国内のサ ッカ
ー試合のようだった。
⑰HTV7 のテスパタ ⑱HTV7 開始直前の時計 ⑲HTV7 開始時のロゴ
⑳HTV9 のテスパタ 21
HTV9 開始直前の時計 22
HTV9 開始時のロゴ
594.75MHz は 0620 には電波が出ていなかったが 0627 にはすでに始まっていて、0628 にはこの局
もサッカーになった(他局とは違う試合)。
0655 頃 CCTV-4 の映像を撮影していると、0658 に、ICF-SW38 がスイッチ・オンし 105.7MHz の
開始音楽がなり出した。びっくりしたが、ICF-SW38 のタイマー機能が働いたのだった。そのままに
していると、0700
0730 は中国語(北京語)番組となった。ID は「越南之声広播電台」2回、最初
「報告新聞」。0730 からは VOV5 英語、0830 から仏語。0832 から中波、短波をワッチ。558、612、657、
711、747、783、873、7210、9530、9875kHz をログ。
この日は 全日自由行動 。昨日購入し たラジオ ICF-SW38 は、 ホテルで聞い ている間に、 スライド
式 のバ ン ド 切り 替 えが 機 械 的に は 動 いて も 電気 的 に 切り 替 わら な い とい う 不 具合 に 気付 い た ので 、
こ の日 、 買 った 店 を再 度 訪 ね、 別 の 同型 の もの に 交 換し て もら っ た 。移 動 手 段は シ クロ 。 道 路は バ
イ クの 多 い こと 多 いこ と 。 昨日 、 タ ンさ ん の後 ろ を つい て 道路 を 歩 いて 横 断 して い たと き で さえ 、
自転車とぶつかってしま い(バイクでなくてよかった)、道路横断の困難 さを味わった。ツアー会社
と 契約 し て いる シ クロ 以 外 はト ラ ブ ルに な る場 合 が 多い と 知っ て い たが 、 こ の日 は つい つ い 気軽 に
声をかけてきたシクロに載っていった。最初、ベン・タイン市場でのラジオ店のみと思っていたが、
た くみ な ( 大変 聞 き取 り に くい な ま りの あ る英 語 ) 誘い に 載っ て し まっ て 、 昨日 時 間切 れ で 行け な
かった統一会堂(旧大統領官邸)や戦争証跡博物館に案内してもらった。
統 一 会堂 は 是 非訪 ね た かっ た 。 ベト ナ ム 戦争 で の サ イゴ ン 陥 落の 象 徴 的な 場 所 なの で 。 旧サ イ ゴ
ン 政権 の 大 統領 執 務室 な ど 、多 く の 部屋 が 見学 で き た。 戦 車で ゲ ー トを 突 破 し、 官 邸に 進 入 した 兵
士 が持 って いた 銃、 ヘッ ドギ ア、 無線 機、 小物 入 れ(弁当 箱?)、降 ろし たサ イゴ ン政 権の 旗な ども 、
ガ ラス ケ ー ス内 で 展示 さ れ てい た 。 さら に 目を 引 い たの は 、地 下 室 。ま ず 、 映画 室 。映 画 室 のス タ
ジオ?は狭かったが、レコード・プレーヤや音 を調整する機器があった。”Nichion”のロゴが見えた。
なんと日本製?。少々複雑な気持ちになった。スタジオの操作パネルを見ていると、目盛りがあった。
よく見ると、ラジオのダイヤル表示である。中波 5.35
16
100KC と短波 3.5
10MC の”TUNING”。
映画の前後に、ラジオ局の音楽などを流していたのだろう。FM がないことから、映画室建設当時は
FM 放送がまだなかったのであろう。つまむ部分が碍子製の電源スイッチ(250V,20A)もあり生々しい。
地 下 室は ほ か に作 戦 室 、電 話 室 、タ イ プ 室な ど が あ った が 、 送信 室 、 受信 室 に は俄 然 注 目し た 。
表示プレートの記述とともに簡単に紹介する。”THE SPARE RADIO STATION”にはでっかい送信機な
どがあった。”FIXED RECEIVING SITE SECTION”には、ハマーランド HQ180 らしき1台、R-725 ら
しき2台、コリンズ R390 らしき3台、不明2台(2種類)などがあったのには驚いた。こんなんで
当時、傍受していたのかあ。他に、”HIGH FREQUENCY RADIO ROOM”、”FIXED TRANSMITTING SITE
SECTION”, “MOBILE RADIO SECTION”など、いかにも昔の軍用といった無線機がたくさん展示され
て いた 。 屋 上に も 登っ た 。 サイ ゴ ン 陥落 時 に、 戦 車 が進 撃 した レ ・ ユア ン 通 りと そ の脇 の 樹 木類 が
印象に残った。(写真 23
23
29 )
統一会堂(旧大統領官邸) 24
25 ラジオ “TUNUNG” 26 電源 SW
28 THE SPARE RADIO STATION
統一会堂から望むレ・ユアン通り
27 屋上のアンテナ
29 FIXED RECEIVING SECTION
5.メコン川クルーズ、テレビの現地調達
11 月 28 日は、メコン川クルーズとミー・トー市のお寺の観光。大阪から来たという女性2人と一
緒 にな っ た 。ガ イ ドは ジ ー さん 。 ホ ーチ ミ ンか ら 車 で片 道 2時 間 く らい 乗 っ てい た 。や は り 、ど う
しても?、家屋のアンテナに目がいく。殆どが UHF で、たまに VHF ハイ・チャンネルをみかける程
度 。行 き の 行程 で 車に 揺 ら れな が ら ふと 「 ホー チ ミ ンで 売 られ て い るテ レ ビ を買 え ばホ テ ル の部 屋
で HTV/7/9 以外も受像できるハズ」という至極当然なことを思い付いた。さすがにテレビを現地調
達 なん て 旅 行前 は 考え も し なか っ た のだ が 。小 型 の 液晶 テ レビ な ら 手ご ろ な 値段 で 購入 で き るだ ろ
うということで、ジーさんにリクエストしておいた。
30 ミー・トーのテレビ塔 31 狭い水路のクルーズ
メコン川クルーズ の起点である桟橋に到着すると 、クルーズのガイド “リンさん ”が待っていた。
青いアオザイがま ぶしい。10 人乗り程度のエンジ ン・ボートで中州のトイ・ソン 島を目指す。対岸
は みえ ず 、 みえ る のは 中 州 の島 、 メ コン 川 はと て つ もな く 広い 。 川 の色 は 茶 色。 船 内で は コ コナ ッ
ツ ・ジ ュ ー スで 喉 を潤 す 。 水上 の ガ ソリ ン ・ス タ ン ドも あ る。 ミ ー ・ト ー 市 街側 を みる と で かい 鉄
塔 が立 っ て いた 。 リン さ ん に質 問 す ると ミ ー・ ト ー 市の テ レビ 局 と いう こ と であ っ た。 ト イ ・ソ ン
島に到着後、レストランでフルーツをいただく。ICF-SW38 を持参していたので、すかさずダイヤル
を合わせる。ホーチミンでも入感した 90.2MHz がよく入る。リンさんが同席してきたので、試しに
90.2MHz を聞いてもらった。やはり、Vinh Long のラジオ局だとの返事。96.0AMHz でも強い局が受
信できたので、これも聞いてもらうと、Tien Gang のラジオ局ということだった。もっと聞いてほし
か った が 、 観光 ル ート へ と 出発 と な り受 信 はこ こ ま で。 途 中の カ フ ェで は 、 民族 音 楽バ ン ド の生 演
奏 が聞 け た 。バ ン ドが 演 奏 した 曲 の 録音 テ ープ を 購 入。 こ の日 の 圧 巻は 、 手 漕ぎ 船 での 、 ニ ッパ ヤ
シが左右に生い茂る狭い水路のクルーズ。こんなところで戦争やってたのかと思うとぞっとなった。
クルーズを終 了した後、1849 年に開か れたというヴィン・チャ ン寺を見学。中国、フ ランスの建築
様 式が ま ざ った 独 特な 寺 。 ガイ ド の ジー さ んに よ る と、 か つて 、 戦 争で 親 を 失っ た 多く の 子 供達 が
この寺に入り修行生活をしていたそうだ。
さ て 、い よ い よホ ー チ ミン へ 帰 る。 大 阪 の女 性 達 は 、ベ ン ・ タイ ン 市 場で 車 を 降り る 。 また 、 1
人 だけ の 豪 華な 買 い物 。 ジ ーさ ん の 案内 で 、電 気 店 へ直 行 した 。 早 速展 示 棚 を見 る と、 車 載 用の 液
晶テレビが何種類かあり、一番安くて小さいもの、といっても 5.5 インチの TFT LCD がある MT-608R
を購入した。MICROTEL という社名?のロゴがあり、取説によれば CASIO の技術が使われているそ
うだ。ホテルに戻り、電源、アンテナをセットし、早速テレビ・ワッチ。HTV7/9 はカラーで受像で
き るこ と を 確認 し 、他 に ち ょっ と で も受 像 でき た チ ャン ネ ルを ま ず はプ リ セ ット し 、そ の 後 各映 像
を注意深く見ていった。1607 に LA34 と画面左上に表示のある局をカラー受像、ドラマ「鏡花縁」
で、中国語の元音声にベトナム語のナレーションが重なって聞こえる。LA34 は 1800 すぎにはセサ
ミ ・ス ト リ ート を 放映 し て いた 。 こ の番 組 は英 語 の 元音 声 のみ で 、 ナレ ー シ ョン は ない 。 次 に、 画
面左上に K26UHF、右上に TTV のロゴの見える局を白黒受像、戦争ものの映画で、元音声の英語に
ベトナム語をかぶせていた。1658 にはサッカーとなりほどなくしてカラー受像できた。1614 には、
ようやく VTV1 が画面左上に見える局を受像。ニュース番組。スノーノイズがあり、白黒。1631、HTV9
より少し上で、TV11 とのデザイン・ロゴが画面いっぱいにみれた。TTV の上では画面左上に VTV3
の見える局をカ ラー受像。しかしゴーストがひ どく楽しめる状態ではない。こ の VTV3 より上のチ
ャンネルでは受像できる局はなかった。1702 には、画面左上に THVL とある局を受像。中国ドラマ
(or 映画)をやっていた。1846 に TTV で、 “THONG BAO”と見れたのですぐさま撮影したが、他
のテレビ局でもこの文字 が出るときがあった。帰国後、辞書で調べると、「通報する、報告する、公
表する」の意で、地名や局名ではなかった。TTV、HTV9、THVL、LA34 では 1900 から VTV1 のニ
ュースの中継となった。
6.イケイケ、テレビ・ワッチ
11 月 29 日は 0526 からテレビ・ワッチ。最初に VTV1 のテスト・パターンを受像。次に TTV のテ
スト・パターン。後者は撮影したがうまく映ってなかった。0530 には LA34 の開始パターン、0531
には Vinh Long と中央に大きな文字、直後に THVL のロゴ(中央)。0540、画面右上に BRT のマーク
の“新局 ”を 受像 。下の ほう に、 “UHF41”と見 えた 。41 チャ ンネル の意 味に 間違い ない 。ベ トナ ムの
公式リストによると、 “Ba Ria – Vung Tau”に channel 41(5Kw)があるのでこの局と推定した。0556 に
は BRT は体操となっていて、0600 から VTV1 のニュース中継。0602 には VTV3 の番組案内。
32
VTV1(R11ch)のテスパタ
33 Long An (R34ch)開始時のロゴ
34 Vinh Long(R34ch)の開始時
35 Vinh Long のロゴ “THVL”
36 TTV(R26ch)のロゴ 37
TTV 中継の VTV1 ロゴ
0611 にはサッカーとなった。BRT の VTV1 中継は 0631 に終了。0700 には “DN RTV”と中央部に
出 る 局 を 受 像 。 最 初 “DN”が 大 き く 示 さ れ 、 次 に 、 DN 直 下 に “RTV”が 示 さ れ た 。 音 声 周 波 数 は
597.25MHz。この局では、0852 画面中央に “DAI P-T TH DONG NAI”、画面右上に“DN RTV”のロゴ・
マークが見えて局名確認。40ch の BTV では元音声が英語のサッカー、よく聞いていると、「イナモ
ト」と3回聞けたので、英国プレミア・リーグだったのだろう。時間的に、録画放映と思う。0740、
TV11 では、ESPN の番組を流していた。この TV11 の音声周波数 221.75MHz、映像キャリア周波数
215.25MHz をようやく確認した。0919 には TV11 のロゴ・マークが画面中央に見えた。1245、LA34
は台湾ドラマ、1302 には画面中央に “Thoi Su” “Long An”(背景はロン・アン省地図)と出てニュー
スとなった。1313、 “CARTOON NETWORK”の英語アニメ/ベトナム語ナレーション、1415 は台湾
の東森電視台の料理番組が見れた(漢字字幕)。1447、41ch の BRT ではカラー・バーが見えた。ほ
どなくして、BRT の文字が画面中央で次第に大きくなる開始パターンが見れ、1452 頃にはニュース
となる。1846、LA34 は “SEA GAMES 2003”の放映予定が画面下から上へのスクロールで案内されて
いた。 “tiep song VTV3”と見えたので、VTV3 の中継で放映される。1900 から、HTV7、TTV、THVL、
LA34、BRT、TV11 では、VTV1 のニュース中継となった。
FM 放送も、ID 確認できていない局を中心に録音しまくった。92.5MHz は 1236 に ICC(旅行会社)
の CM の後、 “…chuong trinh qua tang am nhac cua dai phat thanh Binh Duong phat tren song FM chim hai
フィ nam MHz…”と出た。97.5MHz は 1411 に “…phat thanh チューヒ DongNai phat tren song chim bay
フィ nam MHz…”と出た。1605 には 107.9MHz では民謡を流す局が受信できた。1654 には SEA GAMES
のテーマ・ソングが聞けその後も延々と流していた。
ワッチは 1900 すぎに終了し、帰国準備をしシャワーを浴びた。2220 頃にホテルを出て、送迎バス
で空港へ。ガイド はフクさん。30 分ほどで空港着 。フクさんが、バスから降りた 6名を見送った後
を見計らって、 事前に準備しておいた、92.5、96.5、97.5、99.9MHz の聞き取りをお 願いした。最後
の最後も現地ガイドを有効利用。96.5MHz は、ID と思っていた箇所は、土地の話をしており局名は
出ていないとのことだった。また、テレビ受信で見れた、略称の省名の確認を求めた。BRT は “Ba Ria”、
THVL の VL は “Vin Long”、で予想通り OK、TTV は、当初、Tra Vinh と考えていたが、 “Tay Ninh”
とのことだった。しかし 、本屋で買った家電の使い方みたいな本を帰国後 よく眺めていると、 “Tay
Ninh”のテレビ局は “kenh 11 VHF”(2kW)の記述があるのを見つけた。つまり、TV11 が Tay Ninh
であることが確実になった。では、TTV はやはり Tra Vinh かと推定している。現地ガイドの利用も、
別な確証を得ないと確実なものにはならないなと感じた。
7.まとめ
今回の最大の成果は、テレビ方式が System D でロシア・チャンネル方式を採用していることがわ
かった点である。カラー方式は、文献によると 1991 年に PAL に統一した(南北で)とわかっていた
ので、その確認となった。また、ホーチミンとその周辺では VHF の 45
76MHz はテレビには使用
していないことや、VHF-High と UHF のチャンネルが使われていることも確認できた。
し か し、 旧 南 ベト ナ ム 地域 で は 、サ イ ゴ ン陥 落 当 時 に米 国 方 式の テ レ ビ局 を 接 収し て お り、 少 な
くとも 1980 年代までは南北のテレビ方式は統一されていない。それがどのような経緯で、現在のテ
レビ方式になったかはよくわかっておらず、ベトナムのテレビ放送史の研究課題である。
FM 放送では、105.7MHz の日本語等を確認することができた。FM 全体の印象としては、大都市
ホーチミンであるにもかかわらず、受信できる局が意外に少ないと感じた。VOV のパンフによると、
FM 局はベトナム全土で 319 局もあるそうなのでもっと聞こえると思っていた。中波は、1000kHz 以
上で聞こえる局がなかったことが印象的である。何か事情があるのかとも思う。
FM、中 波の番組 自体は、ガ イドのタン さんが漏 らしたよう に退屈なも のである 。テレビも 外国製
の 映画 、 ド ラマ 、 ドキ ュ メ ンタ リ ー が多 く 、あ ま り 楽し い もの で は ない 。 逆 に言 え ば、 い わ ゆる 欧
米 文化 を 制 限し て いる 成 果 では あ る だろ う 。た だ 、 ドイ モ イ政 策 は 放送 界 に も少 な から ず 影 響を 与
えているハズであり、今後もベトナムの放送界の動きには注目していきたい。
尚 、ベ トナ ム語 には 、ハ ノイ での 北部 標準 語と は 異な る、 ホー チミ ンの 南部 標準 語( 南部 方言 )
の 存在 を 知 った 。 また 、 中 部方 言 も ある こ とや 、 ハ ノイ 市 をち ょ っ と離 れ れ ば北 部 標準 語 と はま た
違 う方 言 が ある こ とや 、 ホ ーチ ミ ン を少 し 離れ た メ コン 川 地域 で は 南部 標 準 語が 通 じな い 方 言が あ
るなど、ベトナム語方言の複雑な事情があることも知った。
“Mekon Delta in Vietnam”(http://cantho.cool.ne.jp/socio/viet/south.html)の 「 南 部ベ ト ナ ム 語 」と い う
ページに若干の説明があった。HTVでは、南部標準語を使っているとのこと。ホーチミンやその周辺
のラジオ局も南部標準語を使っていることは想像にかたくない。ということは、ベトナム国内局を受
信したときに、それがどこの方言かがわかればロケーションの推定にかなり役に立つものになると考
える。最近、単行本「こうすれば話せる CDベトナム語̶南部標準語中心」の存在を知ったので、ア
マゾンに注文中。
ここで、帰国後の録音解析で、南部標準語として聞くと理解できた点を記しておく。
Binh Duong ;テレビとラジオ双方とも受信できた省名。北部標準語では「ビンズン」だが、南部
標準語では「ビンユン」。92.5MHz の ID では、たしかに「ビンユン」と聞こえる。ガイドの方や、
ホテルのテレビ技術者も「ビンユン」と言っていた。
Nhan Dan ;「Da」は北部標準語では「ザッ」、南部標準語で「Da」は「 イ ヤー」。この方式でいく
と、「人民」の Nhan Dan は、北部標準語で「ニャンザン」。99.9MHz の 0559 の ID では「ニャンザン」
と北部標準語で聞こえるが、0600 後の ID や終了時には確かに「ニャン イ ヤン」のように聞こえる。
「ニャン イ ヤン」は、南部標準語であるようだ。
song、 sau
; 南部 標準語 で「s」は「 シュ」、北 部標準 語では サ行の 発音。 南部 標準語 で周波 数の
直前に言っている song(波の意)は「ション」、数字の6である sau は「シャウ」と聞こえる。
gio ;時刻アナウンスのときに出てくる「○時」の「時」のこと。北部標準語では「ジオー」だが、
南部標準語では「イオー」。今回聞いたラジオ局の時刻アナウンスでは全て「イオー」と言っていた。
8.受信リスト
Ch
v.carrier/audio (MHz)
station, location
R7
183.25 / 189.75
HTV7, Ho Chi Minh
R9
199.25 / 205.75
HTV9, Ho Chi Minh
R11
215.25 / 221.75
TV11, Tay Ninh
R21
471.25 / 477.75
VTV1, ?
R26
511.25 / 517.75
TTV, Tra Vinh?
R28
527.25 / 533.75
VTV3, ?
R31
551.25 / 557.75
THVL, Vinh Long
R34
575.25 / 581.75
LA34, Long An
R35
588.25 / 594.75
Ben Tre,
R36
591.25 / 597.75
DN RTV,Dong Nai
R40
623.25 / 629.75
BTV, Binh Duong
R41
631.25 / 637.75
BRT, Ba Ria
R44
655.25 / 661.75
unid, ?
R45
663.25 / 669.75
VTV3, ?
正規の R35ch の周波数は 583.25/ 589.75 だが、何故か違う。
MHz
station/location
90.2
Vinh Long
92.5
Binh Duong
96.0A
Tien Gang, received in My Tho
96.5
unid
97.5
Dong Nai
99.9
Tieng Noi Nhan Dan Thanh Pho Ho Chi Minh,
104.5
VOV3, Ho Chi Minh
105.7
VOV5, Ho Chi Minh
107.9
unid, music only