アマゾン西部における アグロフォレストリー普及に関する調査・セミナー

アマゾン西部における
アグロフォレストリー普及に関する調査・セミナー
報告書
2009 年 2 月
特定非営利活動法人 HANDS
序文
本報告書は、平成 20 年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施した
「アマゾン西部におけるアグロフォレストリー普及に関する調査・セミナー開催」の成果報告書
として作成されたものである。HANDS が 2001 年より地域保健を中心としたプロジェクト活動を実
施してきたアマゾナス州マニコレ市の遠隔地コミュニティは、アマゾン河支流のマデイラ川と、
さらにその支流沿いに点在し、キャッサバ芋栽培と淡水漁業を主な産業とし、半自給自足的に人々
が生活する地域である。人々は、栽培したキャッサバを加工して主食とし、余剰分を売ってわず
かな現金収入を得ている。野菜や果物なども栽培されているが、その量は少なく、生活を向上さ
せるようなものとはなっていない。川と森という地球の豊かな恵みのなかで生活しながら、彼ら
は、その恵みを十分には享受できていないと言えよう。
国際保健 NGO である HANDS は、長年の活動の中で、この地で「森をつくる農業」とも言われる
アグロフォレストリーを行うことには人々の生活向上とそれに伴う保健状況の改善、さらには環
境保全にもつながる大きな可能性が秘められているのではと考え、持続的農業・農村開発という新
たな挑戦を開始した。アグロフォレストリー先進地域であるアマゾン東部のトメアスー市より専
門家を招聘し、アグロフォレストリー導入のための現況視察調査と、農民などを対象としたセミ
ナーを実施するという今年度の活動は小さな第一歩かもしれないが、これがマニコレ市にアグロ
フォレストリーを根づかせる契機となり、また、アグロフォレストリー手法の導入を検討してい
る他のアマゾン奥地に対し一つの材料を提示するものになればと考えている。
調査にご協力いただいた小長野道則氏、活動全体に対する助言をいただき、本報告書の監修に
ご協力いただいた東京農工大学山田祐彰氏、ならびに関係者の方々にはこの場を借りて心より御
礼を申し上げたい。
特定非営利活動法人 HANDS
執筆担当:
定森徹
(ブラジルプロジェクト・
マネージャー)
溝上芳恵(プログラム・オフィサー
(ブラジル事業担当))
安藤裕子(アシスタント・オフィサー
(ブラジル事業担当))
i
専門家メッセージ
この度、マニコレへ行って現状を知り、コミュニティでのアグロフォレストリーが大きな可能
性を秘めていると感じました。私はマニコレでのアグロフォレストリー導入のお手伝いができた
ことを大変光栄に思っています。また、それが必ずや成功し、川辺のコミュニティに住む人々の
生活を改善することになると信じています。
個人的には、アグロフォレストリーという手法をこの地で用いるのは簡単なことだと思います。
多くの人が既にいくつもの植物の混植、つまり、既に一種のアグロフォレストリーシステムを実
践しており、これをトレーニングなどを通じて改善していけば良いからです。
私はマニコレで HANDS と IDEAS1が開催した「第一回マデイラ川流域アグロフォレストリーセミ
ナー」において、皆様と力をあわせ、協力することができて非常に満足しています。
今回の経験を通じ、多くの農民に対し、農法は変わりつつあり、その新しいものがアグロフォ
レストリーなのだと示さなければならないのだと感じました。
農民の関心は実に高く、セミナーでアグロフォレストリーの話をしている間、常に熱心に聴い
てもらうことができ、セミナーは大きな成功を収めました。主催者である HANDS そして IDEAS の
皆様に心よりお祝いを申し上げます。そして、セミナーと調査に関する本報告書は、マニコレ農
村部へのアグロフォレストリー導入にきっと役立つものだと信じています。
もし疑問などがありましたら、トメアスー総合農業協同組合までお問い合わせください。皆様
方をトメアスーで歓迎したいと思います。
皆様のご多幸とお仕事の成功をお祈りいたします。セミナーに参加し、またコミュニティで私
の訪問を受け入れてくださった方々によろしくお伝えください。私を招待してくださった方々へ
心から感謝いたします。
ありがとうございました。またいつかお会いしましょう。
小長野道則
トメアスー市農業局長/トメアスー総合農業協同組合理事
HANDS アグロフォレストリープロジェクト専門家
1
Instituto de Desenvolvimento Amazonese Sustentavel:アマゾン持続的開発協会。HANDS のローカルスタッフ
が中心となり結成され、HANDS が組織化を支援してきた NGO。現在は HANDS のパートナー団体として活動の実質的
な部分を担っている。
ii
目次
序文
専門家メッセージ
第1章
活動概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1.活動名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.対象地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
3.活動の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
4.活動の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
5.目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
6.活動の実施方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
7.活動により期待できる効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
第2章
アグロフォレストリー概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
1.定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2.アマゾンにおける遷移型アグロフォレストリー・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
参考:アマゾンにおけるアグロフォレストリー先進地であるパラー州
トメアスー市農業の歴史・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
第3章
マニコレにおけるアグロフォレストリー手法導入のための視察調査・・・・・・・・10
1.調査日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.訪問先の概要および小長野氏の所見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
第4章
第一回マデイラ川流域アグロフォレストリーセミナー・・・・・・・・・・・・・・14
第5章
マニコレにおいて導入可能なアグロフォレストリー技術・・・・・・・・・・・・・16
1.苗作り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
2.農薬代用品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
3.剪定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
4.天狗巣病対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
5.高品質カカオの収穫方法および発酵プロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
資料1:マニコレ市の主な栽培作物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
資料2:セミナー資料①
トメアスー市農業局活動紹介・・・・・・・・・・・・・・・・31
資料3:セミナー資料②
トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介・・・・・・・35
第1章
活動概要
平成 20 年度に HANDS とパートナー団体 IDEAS が実施したアグロフォレストリー活動の概要は以
下の通りである。
1.活動名
アマゾン西部におけるアグロフォレストリー普及に関する調査・セミナー開催
2.対象地域
ブラジル連邦共和国アマゾナス州マニコレ市
マニコレ市は、日本より空路で約 26 時間、アマゾナス州の州都であるマナウスより 333 キロ南
西に位置しており、九州ほどの面積に約 4 万人が居住するアマゾン西部地域の小都市のひとつで
ある。マニコレ市市街地から船で 30 分から十数時間の場所にある「遠隔地」と呼ばれる地域には
200 以上の村が点在しており、そこに住む約 2 万 5 千人がキャッサバ芋生産と淡水漁業に頼る半
自給自足の生活を送っている。
1
3.活動の趣旨
本活動では、アマゾン東部でアグロフォレストリーを実践する日系農業技術者の招聘により、
現代的なアグロフォレストリー実践例の極めて少ないマニコレ市においてその適切な実践方法を
紹介し、一般農家へと普及する。本活動は、持続的農業の開発による生活基盤の安定化を通して
「森の番人(steward)」である伝統的住民の都市流出を防ぎ、アマゾンの貴重な森林を守り、そ
の豊かな生物多様性と遺伝子資源を次世代に継承することを主眼とするものである。
4.活動の背景
マニコレ市遠隔地では、電気や水道などの基礎的な社会インフラが多くの場合未整備であり、
焼畑によるキャッサバ芋生産と淡水漁業に頼る住民の生活状態は総じて良いものとは言えない。
住民は、野菜や果実の摂取不足や塩分・糖分の摂取過多という偏った栄養習慣を長年保持して
おり、これに起因する成人病や虫歯などの健康問題を抱える。また、上記の産業で得られる現金
収入はわずかであり、仕事とより良い収入を求めて住民が都市に流出する傾向も年々強まってい
る。
「森の番人」である住民の都市流出により無人となった土地には木材伐採業者や牧場開発者が
流入しており、アマゾン地域の「森林破壊の防波堤」とも呼ばれるマニコレ市もまた、大規模で
無秩序な環境破壊の対象となりつつある。さらには、焼畑によるキャッサバ芋の栽培面積の拡大
により環境への負荷が高まっており、焼畑農業の持続性は農民の間でも大きな懸念材料となって
いる。
すなわち、マニコレ市には、キャッサバ芋に偏る農業生産の改善による作物の多様化と収入向
上に対するニーズが存在していると言える。
HANDS は、マニコレ市において 2001 年より地域保健向上のために活動を実施してきたが、
近年、
保健の枠組みにとらわれない総合的な活動により保健向上を目指すアプローチの必要性を強く認
識している。具体的な方策のひとつとして、アマゾン東部の日系人入植地を中心に実施されてき
たアグロフォレストリー手法を、持続的開発の推進と住民の生活向上を図るものとして導入する
ことを検討し、2007 年には、果樹、薬樹、材木樹などの苗作りと焼畑への混植実験という試験的
活動を実施した。
こうした経緯により、マニコレ市におけるアグロフォレストリーの可能性はある程度証明され
ていると言えるが、マニコレ市の存するアマゾン西部には、アマゾン地域のアグロフォレストリ
ーの中心的な担い手である日系農家が少ないこともあり技術の導入が進んでいないのが現状であ
る。そこで、活動の本格的展開に向けた環境を整備するため、豊かな実践経験を有するアグロフ
ォレストリー専門家の協力のもと、マニコレ市において視察調査とこれに基づく啓発活動を行う
必要性は高いと考えられる。
5.目標
1) マニコレ市における適切なアグロフォレストリー実践方法を同定する。
2) マニコレ市の農業関係者にアグロフォレストリーに関する知識の普及啓発を行う。
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6.活動の実施方法
1) 専門家選定:HANDS アドバイザーの紹介などから、マニコレ市に招聘するアグロフォレスト
リー専門家(アグロフォレストリー実践者)を選定する。
2) 専門家によるプロジェクトエリア視察:マニコレ市にアグロフォレストリー専門家を招聘し、
視察結果に基づきマニコレ市でのアグロフォレストリー普及に向けた問題点などを確認し、
導入の具体的方策を検討する。
3) 専門家による啓発普及セミナー:マニコレ市農業生産局、アマゾナス州農牧開発公社職員、
および一般農家を対象とするセミナーを開催し、知見を共有する。また、希望農家に対し苗
作り指導を行う。
7.活動により期待できる効果
1) マニコレ市における適切なアグロフォレストリー実践方法が選定され、具体的な方策が提示
される。(視察調査・セミナー報告書の作成および日伯関係者への配布とフィードバック)
2) マニコレ市の農業開発関係者や一般農家に対しアグロフォレストリーに関する知識を普及
できる。
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第2章
アグロフォレストリー概要
1.定義
アグロフォレストリーとはある土地に少なくとも一種類の木本性作物(用材樹種、果樹、香木、
蔓植物、ヤシ類などを含む)を草本性作物や家畜、養殖魚と組み合わせて栽培する農法である。
木本性や多年生植物の成長度合いに応じて、一年生作物や動物を短期間あるいは長年にわたって
栽培、飼育し、植物資源を常に保有しつつ土地を有効に利用し、生産するシステムである。
(Martin
and Sherman 1992;内村 2000 p.9)
上記の定義は一般的なものであるが、実際にはそれぞれの土地でそれぞれの実態に即した方法
が生み出され、世界中で実践されている。主な実施地域としては、アフリカ、東南アジア、中南
米などの熱帯地域、カナダなどがある。日本の里山をアグロフォレストリーのひとつとして捉え
る議論もある。
2.アマゾンにおける遷移型アグロフォレストリー
ブラジルのアマゾンおよび東北部沿岸地方では日系人が中心的な担い手となり、地場市場から
国際市場までを対象に「遷移型アグロフォレストリー」
(図1)が実践されてきた(Subler 1993,
山田 2005 p.125)。
図1:遷移型栽培の概念図(Subler 1993 に拠る)
遷移型アグロフォレストリーとは、二次林の植生遷移を模して有用植物の時系列的栽培を行う
もので、植え付けから収穫までの期間の異なる以下の作物要素により構成される。
・ 植え付け後 1 年以内に収穫のある短期作物(キャッサバ芋、メイズ、陸稲、豆類、瓜類等)
・ 1~2 年目から数年間収穫のあるコショウやパッションフルーツなどの蔓性木本作物、バナナ
等
・ 数年で収穫の始まる果樹(カカオ、クプアスー、アサイー等)
・ 8 年前後で非木材林産物の収穫の始まる多目的高木(パラゴム、アンジローバ、ブラジルナッ
4
ツ等)
・ 7 年~数十年で伐採できる材木用高木(パリカー、アンジェリン、チーク、マホガニー等)
図2に示すように、伐採開墾した土地(写真 a)に一年生作物を植え、適時に多年生作物、果
樹、用材樹種などを植え込んでいく(写真 b)。二年目以降には多年生作物や果樹などの収穫が始
まり、被陰により次第に一年生作物は栽培できなくなる。その後、一定期間果樹などから収穫が
上がり(写真 c)、次第に上層の用材樹種と中下層の果樹からなる複層林(アグロフォレスト)と
なっていく(写真 d)。数十年が経過した時点で再び伐採を行い、同じサイクルを繰り返す。
→
a.伐採
b.更地へ植えつけたコショウ、バナナ、カカオ
↑
↓
←
c.カカオ、アサイー、バナナ
d.マホガニー、カカオ等
図2:遷移型アグロフォレストリーの事例
遷移型アグロフォレストリーには、以下のような利点がある。
・ 毎年収入が上がり、定着農業が可能(焼畑移動耕作が不要)。
・ 焼畑に比べ単位面積あたりの収入が高い。
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・ 牧畜に比べ単位面積あたりの収入が高い。
・ 牧畜に比べ雇用吸収力が高い。
・ モノカルチャー(単一作物栽培)に比べ病害虫などによる被害を受けにくい。
・ モノカルチャーに比べ農作物価格相場変動の影響を受けにくい。
・ 森林保護、土壌保護、生物多様性保護につながる。
トメアスーの日系アグロフォレストリーは農地一筆(25ha)の農業収入が、同地域の牧場経営
単位といわれる 1,000ha のそれに匹敵する(Yamada and Gholz 2002)。また前者では、常雇労働
力換算で 1 耕地あたり年間 10~20 人を必要とし、これらは農場内居住労働者家族に加え隣接する
小農集落や小農場から雇用される。コショウや果物の収穫時には女性や子どもも多数畑に出る。
一方、後者はこれまでアマゾンにおける土地開発手段の主流であり続けてきたが、1,000ha の管
理は 3、4 人の住み込み牧童が行い、年に 1、2 度の除草用臨時労働力は請負師が主に都市周縁部
から調達する。(山田 2005 p.128)
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参考:アマゾンにおけるアグロフォレストリー先進地であるパラー州トメアスー市農業の歴史2
1895 年(M28):
日本ブラジル修交通商条約締結
1904 年(M37):
日露戦争(~1905 年。日本の勝利と満州への進出)
1906 年(M39):
日本政府、南満州鉄道会社設立
アメリカで日本人移民排斥運動強まる
1907 年(M40):
日米紳士協定(日本は新規の米国への移民を自主規制し、アメリカは排日的な
移民法を作らないとの協定)
1908 年(M41):
第一回日本からのブラジル移民船笠戸丸到着
1913 年(T2):
ブラジル拓殖株式会社設立
1914 年(T3):
第一次世界大戦開始(~1918 年。日米は戦争景気に沸く)
、前田光世来伯
1916 年(T5):
ベレーンにペルー下り日本人移民の居住開始
1917 年(T6):
前田光世(コンデ・コマ)ベレーン定住
1924 年(T13):
アメリカで排日移民法制定。日本における反米機運の上昇
日本政府によるブラジルへの渡航費全額補助開始(第一次世界大戦後の不況。
国策移民)
1925 年(T14):
パラー州ベンテス知事による日本移民の招聘、前田光世仲介
1926 年(T15):
鐘紡調査団アマゾン派遣
1927 年(S2):
海外移住組合法公布。道府県ごとの海外移住組合設立
1928 年(S3):
米国フォード社、アマゾン中流域に巨大なゴム栽培入植地 Fordlandia 開設(南
アメリカ葉枯病により壊滅。1946 年に撤退)
南米拓殖株式会社設立
1929 年(S4):
世界恐慌
コンパニア・ニッポニカ・デ・プランタソン・ド・ブラジル(ブラジル日系プ
ランテーション会社。南米拓殖株式会社の現地代行機関)設立
第一回アマゾン日本移民 43 家族 189 名、トメアスーに到着
1931 年(S6):
満州事変
アカラ野菜組合設立(後のトメアスー総合農業協同組合(CAMTA))
1932 年(S7):
満州国建国宣言
ブラジル移民渡航支度金支給開始
1933 年(S8):
ブラジル移民年間 2 万人超
第 13 回トメアスー入植船によるシンガポールのコショウ持込
トメアスーでのマラリアの爆発的流行
1934 年(S9):
2
ブラジル政府「移民二分制限法」(ブラジル排日移民法。年間の移民数を過去
角田(1966)、アマゾン日本人移住 60 年記念史委員会(1994)などを元に作成。
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50 年間の入国数の 2%に限るというもの。実質的に日本人移民制限を目的とす
る)公布
この年の移民は 2 万人を越えたが、以後年間 3 千人以下に制限
1935 年(S10):
南米拓殖株式会社、経営不振から整理縮小。退耕者続出(~1942 年)
アカラ野菜組合が改組されアカラ産業組合となる。その後発展し自治行政機関
的性質まで帯びる
1939 年(S14):
第二次世界大戦勃発
1941 年(S16):
真珠湾攻撃(この時点までのブラジルへの日本移民は約 20 万人)
1942 年(S17):
アメリカの日本人移民強制収用
ブラジル、日本と断交
日本人移民の集会禁止・日本語教育禁止
南米拓殖株式会社完全撤退
べレーンで日本人住居焼打ち発生
アカラ植民地(後のトメアスー)、北ブラジル地域枢軸国人軟禁地区に指定され
る
1943 年(S18):
米軍によるトメアスーでのマラリア治療実験開始
この後、トメアスーのマラリアは次第に下火に
1945 年(S20):
第二次世界大戦終結
1946 年(S21):
アジアの産地壊滅によるコショウ相場高騰
トメアスーでのコショウ栽培本格化
1949 年(S24):
アカラ産業組合、トメアスー総合農業協同組合(CAMTA)に改名
1950 年代:
トメアスーにコショウ景気到来
1950 年(S25):
コショウがトメアスーの生産物の第 1 位になる
1952 年(S27):
日本の南米移民再開
トメアスーのコショウ黄金時代
1953 年(S28):
戦後初の日本からトメアスーへの移住者
1957 年(S32):
コショウ相場大暴落、生産費を割る価格に
1959 年(S34):
コショウ輸出為替自由化(輸出にドル建ての取引が可能に)
コショウ価格回復
トメアスーがアカラ市から独立してトメアスー市となる
市議会議員 7 人中 3 人が日系に
トメアスー植民地3開拓 30 周年祭
1960 年代:
コショウの根腐病(Fusariose)、トメアスーの一部で発生
1960 年(S35):
コショウ価格高騰
3
戦後の日本では「植民地」という言葉はネガティブなイメージが強く、「入植地」や「移住地」がより適切な語
と思われるが、当時はまだ「トメアスー植民地」と呼ばれていた。
8
三井鉱山、離職者のブラジル移住を進める
1963 年(S38):
トメアスー市長に日系人(ブラジルに帰化した一世)が選出
1969 年(S44):
コショウの病害が蔓延し始める
1970 年代
コショウの根腐病、トメアスー全域に広がる
栽培植物の多様化、アグロフォレストリーの試み開始
1971 年(S46):
神戸移住センター閉鎖。大規模な移住は終焉。戦後の南米移住者 53,555 人
改良種カカオとアグロフォレストリー、トメアスーに導入
1972 年(S47):
トメアスー・べレーン間道路開通
1974 年(S49):
大水害発生とともにコショウの根腐病大発生
コショウ栽培に壊滅的打撃
栽培植物多様化開始(カカオに続いてパッションフルーツ、パパイヤ、メロン
の導入)
1980 年代:
コショウの暴騰(1987 年)と暴落(1988 年)
栽培植物の多様化、アグロフォレストリーが少しずつ進展
CAMTA 果汁工場の設立
1984 年(S59)~1987 年(S62):
果汁工場・冷凍施設建設
1990 年(H2):
CAMTA、脱コショウ、熱帯果樹への転換を決議
2002 年(H14):
CAMTA 第 2 果汁工場設立
日本、アメリカ合衆国、ドイツへの果汁輸出開始
2006 年(H18):
CAMTA 果汁工場冷凍庫容量増設、容量 2 千トンへ
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第3章
マニコレにおけるアグロフォレストリー手法導入のための視察調査
2008 年 7 月上旬、トメアスー市農業局長/トメアスー総合農業協同組合理事で日系準 2 世の小
長野道則氏をアグロフォレストリープロジェクト専門家としてマニコレ市に招聘し、現況視察調
査を実施した。
1.調査日程
7 月 6 日~7 日
・ マナウス市場視察調査
7月8日
・ マニコレ到着
・ IDAM ( Instituto de Desenvolvimento Agropecuário do Estado do
Amazonas:アマゾナス州農牧開発公社)訪問
・ COVEMA(Cooperativa Verde de Manicore:マニコレ緑組合)訪問
・ COOPEMA(Cooperativa dos Produtores Agropecuarios e Extrativistas
dos Recursos Naturais do Municipio de Manicore:マニコレ市農牧
畜生産者・自然資源採集者組合)代表ヴァウテル・ペリン氏訪問
7月9日
・ マラビーリャ村訪問
・ ジェニパッポ村訪問
・ ポルト・セグロ村訪問
・ カショエイリーニャ村訪問
7 月 10 日
・ カパナンジーニョ湖サンフランシスコ村訪問
・ カパナンジーニョ湖テーハ・プレタ村訪問
・ カパナンジーニョ湖ナザレ村訪問
7 月 11 日
・ 第一回マデイラ川流域アグロフォレストリーセミナー開催
7 月 12 日
・ マニコレ出発
2.訪問先の概要および小長野氏の所見
1) IDAM 訪問:
・
IDAM(Instituto de Desenvolvimento Agropecuário do Estado do Amazonas:アマゾナス
州農牧開発公社)は、州の農業指導機関である。
・
IDAM には農民への技術支援やキャパシティビルディングのためのコースを実施する能力
と経験が備わっている。HANDS および IDEAS は IDAM と積極的に連携することで、その力を
利用していくべきであろう。
2) COVEMA 訪問:
・
COVEMA(Cooperativa Verde de Manicore:マニコレ緑組合)は、マニコレ市のナッツ採集者
組合である。
・
COVEMA はまだ新しい組合でこれから事業を展開していく過程にあるが、優れた能力を持っ
ている。COVEMA との連携は、将来多くの農村生産者を援助することにつながるだろう。
10
3) COOPEMA 代表ヴァウテル・ペリン氏訪問:
・
COOPEMA(Cooperativa dos Produtores Agropecuarios e Extrativistas dos Recursos
Naturais do Municipio de Manicore:マニコレ市農牧畜生産者・自然資源採集者組合)は、
主にブラジル南部からマニコレへの移住者が中心となって作った組合である。マニコレの
農業生産物のマナウスなど大都市への販売などを始めている。
・
ペリン氏のこれまでの活動や現在行っている活動は大変興味深いものである。
・
野菜栽培は、今後一層奨励されるべきものである。マナウスのスーパーなどの視察で、野
菜や果物のほとんどがアマゾナス州外から来たものであることが分かった。マニコレでも
野菜や果物の供給は不足している。したがって、市場は十分に存在していると言える。
4) マラビーリャ村訪問:
・
土地種類:高台(Terra Firme)4、および川岸の氾濫原(Varzea)5にはカムカム6が自生。
・
概況:農民はキャッサバ芋、バナナ、スイカを主に栽培。
・
混植と殺虫剤使用減を推奨する必要がある。
・
適切な混植の例:
・
①
キャッサバ芋+カカオ+ブラジルナッツ+セドロ+アンジローバ
②
バナナ+カカオ+アンジローバ+ブラジルナッツ+セドロ
スイカ栽培には農薬の代わりに以下を 7 日ごとに使用すると良い結果が得られる:
① 尿 2 リットル+水 18 リットル
②
トゥクピ73 リットル+水 17 リットル
5) ジェニパッポ村、ハイムンド・デ・ソウザ・ベゼーハ氏農園訪問:
・
土地種類:氾濫原
・
概況:ハイムンド氏はバナナ、スイカ、パッションフルーツを栽培。ネッタイクズ(Pueraria
phaseoloides)による緑肥を利用した優れたシステムを使用。以前他の土地で知り合いか
ら方法を聞き、自分で試行錯誤しながらやっているとのことであった。このように土壌を
保全し、環境汚染をもたらさないシステムは普及するべきである。
— バナナ栽培:ネッタイクズとともに栽培され、非常に力強く育っている。
— スイカ栽培:ネッタイクズを生やし、雨季の増水につかって枯れたものを切っただけ
で野焼きせずに畑にしている。この方法は、ネッタイクズによる固定窒素を天然の肥
料に利用したもので、野焼きをしないことで成分を最大限利用。結果として、スイカ
は病気もなく非常に力強く育っており、虫害も受けていない。
— パッションフルーツ栽培:非常に良く育っている。価格は一袋(50 リットル)20 ブラ
ジルレアル(約 800 円)
。
4
雨季・乾季とも水につかることのない土地。
雨季に水につかる土地。
6
学名 Myrciaria dubia,アセロラに似た実がなる。ビタミン C 含有量が極めて高く、またジュースは鮮やかなピ
ンク色で冷凍してもその鮮やかさが変化しないなど優れた性質があるため、ジュース業界で注目されている。
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キャッサバ芋粉生産の際に大量に出る液状副産物。一般に調味料として使用。
5
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6) ポルト・セグロ村、アデリアス氏農場訪問:
・
土地種類:氾濫原
・
概況:アデリアス氏はカカオ 3,000 本、セドロ 800 本、アサイー500 本、スイカなどを栽
培し、農場は実質的なアグロフォレストリーシステムとなっている。樹間距離が近すぎる
こと、剪定が全く行われていないことなどの技術的問題はあるが、容易に克服・改善でき
るものと思われる。
7) カショエイリーニャ村、ウジソン氏農場訪問:
・
土地種類:高台
・
概況:主な作物はオレンジであるが、樹脂病(Gomose)という病害が発生。他には、アン
ジローバ、ゴム栽培と牧畜(牛)が平行して行われており、アグロフォレストリーシステ
ムとなっている。改善によりアグロフォレストリーモデルとすることが可能であろう。ウ
ジソン氏は焼畑でない農業をしたいとの意思を持っているため、今後もフォローしていく
必要があろう。
・
推奨される樹間距離:
① オレンジ:5×5 メートル
② アサイー:5×5 メートル
・
必要とされる施肥:
① 堆肥:5~10 リットル/樹
②
灰:シャベル 1 杯
③
NPK18-18-188:50g/月(雨季のみ)
④
尿 2 リットル+水 18 リットルもしくはトゥクピ 3 リットル+水 17 リットルを
毎週噴霧
8) カパナンジーニョ湖サンフランシスコ村、氏名不詳者農園訪問:
・
土地種類:高台
・
概況:ププーニャとブラジルナッツが栽培され、自然な形のアグロフォレストリーシステ
ムになっていると言える。
・
キャッサバ芋の栽培エリアにカポエイラ(焼畑放棄後に出てくる二次林)樹種やアサイー
を導入すると良いだろう。その場合、アサイーの植栽間隔は 5×5 メートルが良い。
9) カパナンジーニョ湖サンフランシスコ村、テレーザ・ソアーレス・ドス・サントス氏農園訪
問:
・
土地種類:高台
・
概況:柑橘類の苗を作っている。初歩的とはいえ既に苗作りをしていることから、これを
さらに推進し、混植の方法を教えていくべきである。
・
8
推奨される樹間距離:
窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)がそれぞれ 18%含まれる肥料。
12
① 柑橘類:5×5 メートル
② ブラジルナッツ:10×10 メートルもしくは 12×12 メートル
③ アサイー:5×5 メートル
④ カカオ:4×4 メートル
10) カパナンジーニョ湖テーハ・プレタ村、プラシアーノ氏・ヴィヴァウド氏農園訪問:
・
土地種類:高台
・
概況:特に農業機関からの指導なしで、除伐のみで焼畑をせず、穴にカカオ種を 1、2 個
ずつ直播している。被陰樹を何本か残せばうまく行くであろう。
・
オレンジとトマトの接木指導を実施。
11) カパナンジーニョ湖ナザレ村、アウグスト氏農園訪問:
・
土地種類:高台
・
概況:主な農業形態は焼畑によるキャッサバ芋栽培。しかし、現在は人口が多くなり農地
が不足。なお、各家庭の庭がホームガーデンになっている。
・
ホームガーデンにおいてクプアスー、アセロラ、アラサ・ボイ(Eugenia stipitata)、プ
ルイー(Alibertia edulis)などの剪定作業を実演指導。
13
第4章
第一回マデイラ川流域アグロフォレストリーセミナー
2008 年 7 月 11 日、マニコレ市街地の市営イベント会場 EXPOMANI にて、「第一回マデイラ川流
域アグロフォレストリーセミナー」を開催し、マニコレ市農業機関関係者や一般農民など 65 名が
参加した。
内訳は、遠隔地農民 45 名、近隣市農民 2 名、マニコレ市環境局 3 名、マニコレ市農業生産局 1
名、IDAM(アマゾナス州農牧開発公社)3 名、ゴム採集者組合 1 名、カトリック教会シスター1 名、
マニコレ市農業組合 1 名、ロンドニア州アグロフォレストリー実践農業組合 1 名、小長野道則氏、
HANDS/IDEAS 6 名であった。
セミナー内容は、
①
小長野氏によるアグロフォレストリー講演
② トメアスー市での営農実践、トメアスー市総合農業協同組合・トメアスー市農業局活動紹
介
③
果樹剪定および接木実習
④
ロンドニア州アグロフォレストリー実践農業組合代表者による活動紹介
⑤
マニコレ市農業組合代表者による活動紹介
などであった。
小長野氏の講演
果樹剪定・接木の指導をする小長野氏
果樹剪定・接木の説明に聞き入る参加者
ロンドニア州アグロフォレストリー実践
農業組合代表者による活動紹介
14
マニコレ市の農業組合による活動紹介
農民は全体に、
「今の方法(焼畑)のままではいつかは森林資源を枯渇させてしまうのではない
か」という恐れを抱いており、アグロフォレストリーに強い興味を持っていることが窺われた。
また、豊富な写真を通じてマニコレでもなじみのある果樹を植えている様子を見ることで、
「自分
たちにもできそうだし、収入も改善しそう」との感触を抱いているようであった。
調査の結果、土地自体について言えば、マニコレ市はトメアスー市より土質なども良いとのこ
とで、アグロフォレストリーの導入は十分可能であり、マニコレ市の場合には、カカオを軸とす
るアグロフォレストリーを推進するのが適切であると分かった。その準備のためマニコレ市農民
のトメアスー市での農業技術研修に向け、小長野氏の協力を継続して得られることとなった。
15
第5章
マニコレ市において導入可能なアグロフォレストリー技術
マニコレ市においてアグロフォレストリーを進める上で必要な技術について、小長野氏の指導
を受けた主なものについて以下に挙げる。
1.苗作り
主な作物の苗作り方法の要点を示す。
袋幅
袋深さ
厚み
植え替えまでの期間
(cm)
(cm)
(ミクロン)
(月)
カカオ
18
28
12
6~8
アサイー
18
28
12
8~10
クプアスー
18
35
12
6~8
ブラジルナッツ
18
35
12
6~8
木材種各種
18
35
12
6~8
パッションフルーツ
15
23
8
3~4
コショウ
15
25
8
3~6
植物種
図3:主要作物の苗作り方法
<苗用土準備>
① 黒土に少量の粘土を混ぜる(苗袋を破ってしまった場合、黒土のみだと崩れてしまうが少
量の粘土が混じっていれば崩れないため)。
② 1 立方メートルの土ごとに 30 リットルの鶏糞と 3~5 キロのリンを混ぜ、網で漉して小石
などを取り除く。
③
5 から 10 程度の横列を作る(それ以上多いと手入れがしにくい)。
④
寒冷紗9またはパーリャ(椰子の一種の葉)を使用し、2~2.5 メートルの高さで屋根を葺く
(乾季の強い太陽を和らげるため)
。
⑤
乾季には毎日水をやる。
⑥
二週間に一回、殺虫剤(トゥクピか尿で代用可)を噴霧。
なお、苗作り用のビニール袋に土を入れる際、食用油の 900ml 缶(ブラジルで一般的なもの)の
蓋と底を取り除いて筒状にしたものを袋に入れ、ほぐした土の山に押し付ければ土を簡単に入れ
ることが可能である。
9
被覆資材の一種。綿や麻、ナイロンなどを網状に粗く織った薄い布で遮光などを目的とする。
16
苗袋準備
寒冷紗の屋根例
食用油缶と苗用ビニール袋
2.農薬代用品
アマゾン奥地では、多くの住民が読み書きに不自由があり、適切な農薬の使用法などを十分理
解できず危険な使用となっているケースが多い。今回の調査でも、本来の必要量よりもはるかに
多量の農薬を使用していた例が多く見られた。結果として、健康被害も出ていることが想像され
る。また、農薬の購入は農民にとって経済的な負担ともなっている。
こうした状況下では、自然物を農薬の代用として使用することは農民の健康上・経済上の負担
を軽減する一つの有効な方法である。例としては、トゥクピや人尿を使用する方法がある。
<代用品使用方法>
・
尿 2 リットル+水 18 リットル、もしくは
・
トゥクピ 3 リットル+水 17 リットル
を噴霧器で 7 日ごとにスイカ等に噴霧する。
なお、代用品は苗作りや果樹に対しても有効である。
17
3.剪定
マニコレ市においては果樹の剪定は全く行われていない。剪定という概念が農民の間にほとん
どないためで、結果として多くの果樹が以下の状態を呈している。
・
不必要に高く成長している(=実が効率的に採取できない)
・
枝が密集し有効に日光が当たらない(=結実量の減少)
・
枝が多すぎて栄養分が十分に行き渡らない(=結実量の減少)
果樹に対しては、収穫ごとに、収穫終了と同時に剪定を行うべきである。農民に対する指導に
際しては「女の人が働いた後に髪を切ったり爪を手入れしてあげるのと同様に果樹もきれいに手
入れするのが剪定」との説明方法が最も受け入れられやすく、分かりやすいようであった。
4.天狗巣病対策
カカオやクプアスーに発生する天狗巣病10(Vassoura de Bruxa)は、Crinipellis perniciosa
菌を原因とするもので、重大な問題となっている。マニコレ市でもほぼ全域で病害発生が見られ
た。
しかし、ほとんどの農民が天狗巣病を見分けることができていなかった。指導機関の技術者も
詳しい知識を持っておらず、対策を農民に伝えていなかった11。
天狗巣病にかかった木の枝部分の写真については以下参照のこと。さらに進行すると完全に茶
色に枯れ、乾燥した状態となる。
やがて枯死する
茎・枝が異常に密生
対策としては、病気の部分を焼却するのが理想ではあるが、広大なカカオ林中の多くの場所で
こうした作業を行うのは、手間や火事の危険などから考えて現実的ではない。その場合、病部を
切り取り、落ち葉などで覆い、カビの胞子が飛散するのを防ぐ方法が有効であるという。これは、
10
日本では Taphrina wiesneri 菌を原因としてサクラの木に発生するものなどがよく知られている。
11
ある技術者は「マニコレには天狗巣病は存在していない」と言い切っていた。
18
完全に天狗巣病を取り除くことはできないが、負担はそれほど大きくなく、効率的にこの病気を
コントロールできるそうである。
5.高品質カカオの収穫方法および発酵プロセス
マニコレ市では、カカオは一切の発酵プロセスを経ずに乾燥したものが外部へ出荷されている。
こうしたカカオはチョコレートやココアなどの直接原料としては使用できず、カカオバターと呼
ばれる油分の抽出にしか使用できないため価格が低い。
しかし、適切な発酵プロセスを経たものは高級なチョコレート原料として使用できることから
価格が高くなる。そのため、マニコレ市でも発酵プロセスを普及させる必要があろう。また、カ
カオは発酵後に乾燥させておけば貯蔵が可能となり、運搬にある程度の時間がかかっても問題な
い。したがって、交通が極めて不便なマニコレ市においてアグロフォレストリーを普及させる場
合には、カカオを中心品目とすることを考えるべきであろう。
カカオの収穫から出荷までの一連のプロセスは以下の通り12。
① 十分に熟したカカオを収穫する(写真 a)。
② 地面に直接置くか積み上げた状態で 2 日間置く。
③ 中の種を傷つけないように殻を割る。
④ 種の周りに果肉が付いた状態のものを発酵槽(写真 b)へ入れる。
⑤ 発酵槽の中で種と果肉を 20 センチの層にする。
⑥ 層ごとにバナナの葉で覆う(バナナの葉に付着する菌により発酵を進める)(写真 c)。
⑦ カカオとバナナの葉の層を 3 層(計 60 センチ)作る。その状態で 48 時間ひっくり返さず
置いておく(写真 d)。
⑧ 48 時間後以降は 24 時間ごとに完全に混ぜ合わせる(写真 e)。
⑨ 混ぜ合わせ作業を 6~7 日間続ける(甘く良い香りがしてくるまで)。
⑩ 黒もしくは青のシート上で、1 時間ごとに混ぜ合わせながら 4 日間天日干しにする(水分量
が約 8%になるまで)(写真 f)。
12
発酵・乾燥・保管・運搬の各プロセスにおいて衛生状態を保つことが重要である。また、質の良い原料カカオ
と低品質のもの(殻内部で発芽が始まってしまっているもの)は分ける必要がある。
19
a. 熟したカカオ
b. カカオ発酵槽
c. 発酵槽の中で種と果肉を 20 センチの層にし、
層ごとにバナナの葉で覆う
d. 発酵時のガス抜きの穴。
暖かい空気が立ちのぼる
e. カカオの混ぜ合わせ作業
f. 発酵したカカオの乾燥用設備。屋根がレール
可動式となっており、雨が降っても乾燥中
のカカオを簡単に覆うことができる。こう
した投資が難しい場合はブルーシート上で
乾燥を行い、雨が降ったらシートを畳んで
濡れないようにする。
20
参考文献
アマゾン日本人移住 60 年記念史委員会(1994)『アマゾン―日本人による 60 年の移住史』、汎ア
マゾニア日伯協会。
内村悦三(2000)『実践的アグロフォレストリー・システム』、財団法人国際緑化推進センター。
角田房子(1966)『アマゾンの歌』、毎日新聞社。
国際協力事業団(編)(2002)『ブラジル国別援助研究会報告書』、国際協力事業団。
田中律子(1997)
「熱帯農業における多角化の展開とアグロフォレストリーに関する一考察」
、
『北
海道大学農徑論叢』、vol.53、151~163 頁。
山田祐彰(2005)「日系人のアマゾン農業開発とアグロフォレストリー」、西澤利栄・小池洋一・
本郷豊(編)
『アマゾン―保全と開発』、朝倉書店。
Martin, F. W. and S. Sherman (1992) “Agroforestry Principles”, ECHO Technical Note,
http://www.worldagroforestry.org/treesandmarkets/inaforesta/documents/agrof_cons_b
iodiv/Agroforestry_principles.pdf
Subler, S.(1993) Mechanism of Nutrient Retention and Recycling in a Chronosequence of
Amazonian Agroforestry System: Comparison with Natural Forest Ecosystems (Ph.D.
Dissertation), The Pennsylvania State University, State College.
Yamada, M. and H. L. Gholz (2002) “An Evaluation of Agroforestry Systems as a Rural
Development Option for the Brazilian Amazon”, Agrogforestry Systems, Vol.55, No.2,
pp.81-87.
21
資料
資料1:マニコレ市の主な栽培作物
資料2:セミナー資料①
トメアスー市農業局活動紹介
資料3:セミナー資料②
トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
資料1:マニコレ市の主な栽培作物
マニコレ市の主な栽培作物
和名(学名)
ブラジル名
主な利用法
キ ャ ッ サ バ 芋 ( 毒 の あ る も の )( Manihot
esculenta)
Mandioca
Maniva
・
キャッサバ芋(毒のないもの)
Macaxeira
スイカ(Citrullus lanatus)
Melancia
ファリーニャ(アマゾン地
域の伝統的主食。キャッサ
バ芋を炒ることで毒抜き
して作る粉)
・ タピオカ(ファリーニャ生
産時に出る副産物のでん
ぷん)
・ トゥクピ(ファリーニャ生
産時に出る副産物の液体。
辛味のある調味料として
用いる。農薬にもなる)
・ 毒のあるものと同様な利
用ができる。
・ 毒がないため芋をそのま
ま茹でたり揚げたりして
食べることも可能。
・ 生食用
コショウ(Piper nigrum)
Pimenta de
Reino
・
・
25
調味料
ほとんどが輸出
資料1:マニコレ市の主な栽培作物
パパイヤ(Carica papaya)
Mamão
・
パッションフルーツ(Passiflora edulis)
Maracujá
・ 果汁を飲用。
・ 鎮静効果があることから、
実や葉を鎮静剤・薬草茶な
どに利用。
ガラナ(Paullinia cupana)
Guaraná
・
アセロラ(Malpighia glabra)
Acerola
・
26
生食用
エキスを清涼飲料水の原
料とする。
・ ガラナシロップ(フルーツ
ジュース等と混ぜて飲用)
・ カフェインが多く含まれ
覚醒作用があることから、
精力剤などに利用。
果汁を飲用。
資料1:マニコレ市の主な栽培作物
カカオ(Theobroma cacao)
Cacau
・
ココナッツ(Cocos nucifera)
Côco
・ ココナッツ水を飲用。
・ 殻内部の白い果肉を削っ
てパウダー状にしたもの
を菓子原料に利用。
・ 殻の固い部分を磨いて民
芸品に(磨くと光沢が出
る)。
・ 殻の荒い繊維質の部分を
利用して工業製品材料に
(たわし、マット等)。
ププーニャ(Bactris gasipaes)
Pupunha
・ やし科の植物
・ 茹でた実を食用に(栗に似
た味と食感)
。
・ 木の先端部の芯はパウミ
ット(Palmito)というタ
ケノコに似た食感の食用
に(サラダ用)。
デンデ(Elaeis guineensis)
Dendê
・
・
27
カカオバターを化粧品、食
品などに利用。
・ チョコレート、カカオ原料
にする。
やし科の植物
油を採取(食用、工業用(特
に近年バイオ燃料用とし
て注目))
資料1:マニコレ市の主な栽培作物
アサイー(Euterpe oleracea)
Açaí
・ やし科の植物
・ 果汁を飲用。
・ 木の先端部の芯はパウミ
ット(Palmito)というタ
ケノコに似た食感の食用
に(サラダ用)。
・ 種を磨くと大きさ・色とも
に真珠状になるため、民芸
品やアクセサリー原料と
する。
クプアスー(Theobroma grandiflorum)
Cupuaçu
・ 果汁を飲用。
・ 果肉を菓子に利用。
・ 種をカカオ同様に処理し
チョコレート(クプレー
ト)に。
・ 種から油を採取し化粧品
原料に利用。
ブラジルナッツ(Bertholletia excelsa)
Castanha
Pará
do
・
・
・
28
実を食用にする。
実から油を採取(食用・化
粧品用)。
巨木になり良い材木が取
れるが、現在では法律で一
切の伐採が禁じられてい
る
資料1:マニコレ市の主な栽培作物
セドロ(Cedrela odorata)
Cedro
・
パラゴム(Hevea brasiliensis)
Seringa
・
アンジローバ(Carapa guianensis)
Andiroba
・
29
木材
採取した樹液をゴム原料
に。
・ 種を魚養殖のエサとする。
種から油を採取し薬用に
(傷薬、虫除け、かゆみ止
めなど)。
・ 種から油を採取し化粧品
原料に利用。
資料1:マニコレ市の主な栽培作物
ネッタイクズ(Pueraria phaseoloides)
Pueraria
・
デスモジウム(Desmodium sp.)
Desmodio
・ 緑肥(窒素固定)
・ 土の湿気維持
生木支柱
Tutor Vivo/
Gliricidia
・
・
30
緑肥(窒素固定)
枝を切って土に刺してお
くだけで簡単に根が生え
る。
生きたままつる植物、特に
コショウの支柱として利
用。
資料2:セミナー資料① トメアスー市農業局活動紹介
セミナー資料① トメアスー市農業局活動紹介
DEPARTAMENTO DE AGRICULTURA
MECANIZAÇÃO AGRÍCOLA:
PREFEITURA MUNICIPAL DE TOMÉ-AÇU
300 HECTARES PREPARADOS
500 FAMÍLIAS BENEFICIADAS
ADM.: FRANCISCO EUDES
SECRETARIA MUNICIPAL DE AGRICULTURA
SECRETÁRIO DE AGRICULTURA: MICHINORI KONAGANO
PRODUÇÃO DE MUDAS
VISITAS SEMANAIS AS ASSOCIAÇÕES RURAIS
APROXIMADAMENTE 1.000.000 DE MUDAS PRODUZIDAS E
DISTRIBUIDAS AOS AGRICULTORES FAMILIARES
ASSUNTOS DISCUTIDOS:
MERCADO E COMERCIALIZAÇÃO DE PRODUTOS
DISSEMINAÇÃO DE TECNOLOGIA
PRESERVAÇÃO AMBIENTAL
Espécies: CACAU, CUPUAÇÚ, AÇAÍ, MÓGNO, ANDIROBA, IPÊ, NIM, ETC.
CAPACITAÇÃO DE PRODUTORES
CARAVANA DE PRODUTORES RURAIS AO
FRUTAL AMAZÔNIA: 2006, 2007 E 2008.
MAIS DE 40 CURSOS
DIAS DE CAMPO
CURSO DE PISCICULTURA
CURSO DE DERIVADOS DO CACAU
PARCEIROS: SENAR, CEPLAC, EMBRAPA, EMATER, SEBRAE
31
資料2:セミナー資料① トメアスー市農業局活動紹介
DIA DE CAMPO CULTURA MILHO E ARROZ
DIA DE CAMPO CULTURA MILHO E ARROZ
SISTEMA AGROFLORESTAL (SAF)
SISTEMA AGROFLORESTAL
FREIJÓ
25 ANOS
CASTANHA-DO-PARÁ
26 ANOS
AÇAÍ
18 ANOS
CACAU
28 ANOS
CACAU
27 ANOS
SISTEMA AGROFLORESTAL
SISTEMA AGROFLORESTAL
O OBJETIVO DO SAF É
TENTAR IMITAR A
NATUREZA , RECRIANDO
UM AMBIENTE O MAIS
PRÓXIMO POSSÍVEL DO
NATURAL .
RECUPERANDO A
FAUNA E FLORA...
MÓGNO
AÇAÍ
BANANA
CACAU
...E SEM DEIXAR DE TER
RENDA
32
資料2:セミナー資料① トメアスー市農業局活動紹介
DEPARTAMENTO DE PECUÁRIA
PISCICULTURA
APICULTURA
ASSOCIAÇÃO MARUPAÚBA CULTIVO DE TAMBAQUI EM
TANQUE REDE
AUMENTAMOS A PRODUÇÃO DE 1,5 TONELADA PARA
18 TONELADA
PARCEIROS: CAMPANHIA VALE DO RIO DOCE
SEC. MUNICIPAL DE ASSISTÊNCIA SOCIAL
ESCOLA DE TRABALHO E PRODUÇÃO DO PARÁ
PARCERIA: POEMA
PROJETO AVICULTURA
PROJETO AVICULTURA
FRANGO DE CORTE
GALINHAS POEDEIRAS
ASSOCIAÇÃO Km 40
PARCEIRO: SAGRI
PARCEIRO: SAGRI
PROJETO
OVINOCULTURA
PARCEIROS:
CAMPANHIA VALE DO RIO DOCE
ESCOLA DE TRABALHO E PRODUÇÃO DO
PARÁ
CONTATOS: (91) 37341552
(91) 9166-5086
E-mail: [email protected]
33
資料3:セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
Histórico
SISTEMA AGROFLORESTAL
(AGRICULTURA QUE FAZ A
FLORESTA) EM TOMÉ
TOMÉ-AÇU PA
1929 – Chegada dos primeiros imigrantes em
Tomé
Tomé-Açu;
1933 – Introduç
Introdução de mudas de PimentaPimenta-dodo-Reino;
‹ Iní
Início da dé
década de 50 – Melhor cotaç
cotação da
PimentaPimenta-dodo-Reino;
‹ Final da dé
década de 60 – Começ
Começo da doenç
doença
fusariose. Por esse motivo começ
começou a introduzir
outras Culturas;
‹ 1971 – Introduç
Introdução da Cultura do Cacau Hí
Híbrido;
‹ 1974 – Introduç
Introdução das Culturas de Maracujá
Maracujá,
Mamão e Melão;
‹ 1978 – Pico nas Produç
Produções. Principalmente de
Maracujá
Maracujá;
‹ 1984 – 1987 – Construç
Construção da Fá
Fábrica de Polpa
Congelada – CAMTA;
‹ 2002 – Inauguraç
Inauguração da 2ª
2ª Unidade Fabril da CAMTA.
‹
‹
Michinori Konagano
HISTÓRICO
‹
‹
‹
‹
‹
‹
‹
‹
‹
1929 – Chegada dos primeiros imigrantes em Tomé
ToméAçu;
1933 – Introduç
Introdução de mudas de PimentaPimenta-dodo-Reino;
Iní
Início da dé
década de 50 – Melhor cotaç
cotação da PimentaPimenta-dodoReino;
Final da dé
década de 60 – Começ
Começo da doenç
doença fusariose.
Por esse motivo começ
começou a introduzir outras culturas;
1971 – Introduç
Introdução da Cultura Cacau Hí
Híbrido;
1974 – Introduç
Introdução das Culturas de Maracujá
Maracujá, Mamão e
Melão;
1978 – Pico das Produç
Produções. Principalmente de Maracujá
Maracujá;
1984 – 1987 – Construç
Construção da Fá
Fábrica de Polpa
CongeladaCongelada- CAMTA;
2002 – Inauguraç
Inauguração da 2ª
2ª Unidade Fabril da
CAMTA.
35
資料3:セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
Por que surgiram e como se
desenvolveram os Sistemas
Agroflorestais em Tomé
Tomé-Açu?
Doenç
Doença dos Pimentais
Cacau
Sombra
‹ Crise na Agricultura
‹ Introduç
Introdução de outras culturas
‹ Baixar o custo
Consó
Consórcio
‹ Agroindú
Agroindústria em funcionamento
‹
Atividade Madeireira
‹ Consciência Ambiental
‹
‹
Bananeira x PimentaPimenta-dodo-Reino x Cacau x Taperebá
Taperebá x
CastanhaCastanha-dodo-Brasil X Andiroba x Mogno
Bananeira x Cupuaç
Cupuaçu x PimentaPimenta-dodo-Reino x
Taperebá
Taperebá x Mogno x Bacuri
PimentaPimenta-dodo-Reino x Cupuaç
Cupuaçu x Aç
Açaí x Paricá
Paricá
Quais são os benefícios e
vantagens do manejo em SAFs?
Quais são as dificuldades do
manejo em Sistemas Agroflorestais?
‹ Proteç
Proteção
do Solo
‹ Retenç
Retenção de Umidade
‹ BiodiversidadeBiodiversidade-Equilí
Equilíbrio
‹ Pouca agressão ao ambiente
‹ Ambiente agradá
agradável para trabalho
‹ Colheita/Renda escalonada
‹ Pouco ou não uso de defensivo
‹ Produç
Produção saudá
saudável de alimentos
‹Complexidade
do Sistema
-Na administraç
administração
-Combinaç
Combinação de plantas
-Espaç
Espaçamento
-Colheita
‹Falta
de pesquisa
‹Certificaç
Certificação
36
資料3:セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
Cacau x PimentaPimenta-dodo-Reino x Freijó
Freijó
Cacau x Banana x Aç
Açaí
Açaí x Cacau x Paliteira x CastanhaCastanha-dodo-Brasil
Cupuaç
Cupuaçu x PimentaPimenta-dodo-Reino
Bananeira x PimentaPimenta-dodo-Reino x Taperebá
Taperebá x
Cupuaç
Cupuaçu x Feijão Guandu
Bananeira x PimentaPimenta-dodo-Reino x Feijão Guandu x
Cupuaç
Cupuaçu
37
資料3:セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
Bananeira x Cupuaç
Cupuaçu
PimentaPimenta-dodo-Reino x Cacau x Capim Citronela
PimentaPimenta-dodo-Reino x Gliricidia
Bananeira x PimentaPimenta-dodo-Reino x Mogno Africano
PimentaPimenta-dodo-Reino x Cupuaç
Cupuaçu x CastanhaCastanha-dodoBrasil
PimentaPimenta-dodo-Reino x Arroz x Patchouli
38
資料3:セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
PimentaPimenta-dodo-Reino x Maracujá
Maracujá x Patchouli x Cacau
Mandioca x Cacau x Aç
Açaí
Cacau x CastanhaCastanha-dodo-Brasil
PimentaPimenta-dodo-Reino x Teca
Cacau x Aç
Açaí x Andiroba x Mogno
Pimental Decadente x Acerola
39
資料3:セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
Cupuaç
Cupuaçu x Essências Florestais
Cacau x Aç
Açaí x CastanhaCastanha-dodo-Brasil
Cacau x Aç
Açaí x Andiroba x Mogno
Cacau x Mogno
Cacau x Cupuaç
Cupuaçu x CastanhaCastanha-dodo-Brasil x Andiroba x
Mogno x Seringueira x Bacuri x Sapucaia
Taperebá
Taperebá x Cacau x Aç
Açaí x Bananeira
40
資料3:セミナー資料② トメアスー市アグロフォレストリーシステム紹介
Cacau x CastanhaCastanha-dodo-Brasil x Aç
Açaí x Paliteira
Cacau x Mogno x Aç
Açaí
TRABALHO SOCIAL
A nossa produção agrícola visa
menor impacto ambiental
valorizando o cultivo de
espécies nativas no arranjo em
Sistemas Agroflorestais (SAF’s),
formando um mosaico de
biodiversidade e enriquecendo
a fauna e flora da região.
MUITO OBRIGADO!!!
Cooperativa Agrí
Agrícola Mista de Tomé
Tomé-Açu
CNPJ 05.753.983/000105.753.983/0001-50 - Insc. Estadual 15.006.07015.006.070-0
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Tomé
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アマゾン西部におけるアグロフォレストリー普及に関する調査・セミナー報告書
編集・発行:特定非営利活動法人 HANDS(Health and Development Service)
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Tel:03-5805-8565
Fax:03-5805-8667
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助成:平成 20 年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金
発行年月:2009 年 2 月
本報告書は、平成 20 年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の
助成を受けて作成しました。