141 - 日本臨床検査専門医会

Lab.Clin.Pract.,20(2):141-142(2002)
第 12 回 春季大会記録
パネルディスカッション : 病院検査室と臨床検査医の未来ビジョン
未来ビジョン検討委員会の未来ビジョン
東京医科歯科大学医学部附属病院検査部
(同 委員会事務局) 西 堀 眞 弘
未来ビジョン検討委員会は,年々強まる検査専
遺伝子検査標準化のためのアクションプラン
門医の危機感を,検査医会として正面から受け止
(他学会等の動きや遺伝子検査実施状況の調査,
めるため,大場康寛前会長と河野均也現会長の英
精度保証と EBM の視点からの検討,標準化マニ
断により,高木 康会員を委員長として 2000 年 1
ュアルの作成等を含む)を 2001 年 8 月 25 日の幹
月に設置された.その主旨に対しては,このよう
事会に提出後,それを実践する新たな枠組みとし
なビジョンは委員会で検討するようなものではな
て,2002 年 1 月 2 日に遺伝子検査精度保証研究
く,検査医会が一丸となって難局に当たる旗印と
会(http://sqamt.umin.jp/)を設立した.
してリーダーが掲げるべきものだ,というご意見
○ISO 認証取得支援 WG
があるかも知れない.しかし少し見方を変えれば,
(チーフ : 西堀眞弘委員)
多様なビジョンの中から,各々が自ら信じるもの
ISO 認証取得支援のためのアクションプラン
に運命を託し,少しでも成功するチャンスを多く
(取得要件の調査,講習会の開催および立入指導
残すという方法も,絶えず生存競争にさらされて
を含む)を 2001 年 8 月 25 日の幹事会に提出後,
きた,生命 38 億年の知恵と言えよう.
それを実践する新たな枠組み作りを進めている.
本委員会では,まず検査専門医並びに検査医会
○健診における検査専門医の役割検討 WG
が将来に向けて掲げるべきビジョンについて,意
(チーフ : 市川徹郎委員)
見の列記という形で,約 8 千字からなる報告書を
健診事業参入検討 WG として取りまとめた企
2001 年 1 月の幹事会に提出した.次いでこの中
画書を 2001 年 8 月 25 日の幹事会に提出後,WG
から実際に取り組むべき課題のピックアップに移
の名称を標記のように変更したうえ,引き続き健
り,一時難航したが,自発的なワーキンググルー
診事業のなかでの検査医の役割と責務について検
プ(WG)の立候補を求め,作業を絞り込むという
討している.
工夫で乗り切った.このような経緯で,本稿執筆
○広報委員会設置提案 WG
時までに次の 7WG が設置され,活動している.
(チーフ : 市川徹郎委員)
臨床検査の適切な使用法および検査専門医の存
○臨床検査医学教育プログラム WG
在意義を啓蒙するため,広報委員会(臨床医のみ
(チーフ : 下 正宗委員)
ならず一般市民の認知を得るための広報業務を行
臨床検査医学教育プログラム開発のためのアク
う)を設置すべきである,との提案書を 2001 年 8
ションプラン(シラバスの作成,教科書の作成,
月 25 日の幹事会に提出し,具体化に向け運動し
卒後基礎研修および教育技法の講習会を含む)の
ている.
取りまとめを進めている.
○検査専門医による新診療科開拓 WG
○遺伝子検査標準化 WG
(チーフ : 〆谷直人委員)
(チーフ : 舩渡忠男委員)
検査専門医が活躍できる新たな診療科の開拓を
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Lab.Clin.Pract. (2002)
目的に設置され,11 月中旬を目処に新診療科提
実践することは,会員ひとりひとりの生き残りを
案書の取りまとめを進めている.その固有の診療
かけた試行錯誤に任されている.そこで本委員会
機能として,疾病治療に重点を置いた従来の診療
では,新メンバーの参加や新たなビジョンの提案
科と,優等生的健康状態を前提とする健診事業と
を随時受け付けており,次のような手続きを
の隙間を埋めるべく,各人のおかれた医学的状況
JACLaP NEWS No. 65 と JACLaP WIRE No. 47 で
と各人が持つ多様な価値観との調和を重視し,各
アナウンスしたので,積極的にご応募頂きたい.
人毎に最適な検査指標値を設定して,各人に相応
しい健康維持を目指すという案が検討されている.
1.新たなワーキンググループの設置を希望する
○AP/CP の活動支援 WG
会員は,下記書式に沿った提案書を事務局に
(チーフ : 村田哲也委員)
提出する.本委員会で妥当と認められた場合
従来より検査専門医の活躍が望まれている市中
は,本委員会より幹事会に提案し,了承され
病院こそ,AP/CP の本領発揮の場である,とい
た場合に設置される.
うことを啓蒙する目的で設置された.2002 年末
・名称
を目処に,AP/CP の現状分析,病理専門医と臨
・チーフ1名(メールアドレスを持っている会員,
床検査医学会双方へのアピール,AP/CP 育成カ
リキュラムの作成などを進めている.
自薦,他薦いずれも可)
・チーフ以外のメンバー(いなくても可,メー
ルアドレスを持っている会員)
なお,各ワーキンググループのメンバーおよび
・目的とするプロダクト
活動内容の詳細については,次のホームページに
・作業完了予定期日
掲載されているので,ご参照頂きたい.ただし,
・必要経費見積り
このページは会員専用となっており,すべてのコ
2.各ワーキンググループのメンバーは,メール
ンテンツは,第 3 者にアドレスを知られないよう
アドレスを持つ会員の中からそれぞれのチー
配慮すると共に,別サイトから直接リンクを設定
フが人選する.委員以外の会員がメンバーと
しないようご注意願いたい.
なった場合は同時に委員となる.会員から自
http://jaclap.umin.ac.jp/vision/
薦のメンバーも随時受け付けるが,採否はチ
ーフが決定する.
以上に紹介した通り,本委員会は,自発的な動
機付けによる,具体的かつ実践的なビジョンの策
最後になったが,厳しい条件の中,献身的にご
定を特徴としている.しかしながら,あくまでビ
尽力いただいている未来ビジョン検討委員会各位
ジョンの提示までが使命であり,これらを選択し
に,事務局として心から感謝と敬意を表したい.
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