僅かな金で体を売る娼婦たち 国境無き国境地帯 色鮮やかな民族衣装と

世界の旅シリーズ
写真・文 佐藤 文彦
中国の辺境を旅する
僅かな金で体を売る娼婦たち
国境無き国境地帯
色鮮やかな民族衣装と奇祭
「三月街」での踊り。
白族の子供たち。
﹁三月街﹂のパレード。
名所「胡蝶泉」と白族の女性。
﹁三月街﹂のオープニング。
すでに水をかぶった女性達。
ドラゴン・ボートレース。
売られて行く牛。
オ
リンピックや万博の開催を控えて
高度成長の波に乗り、先進国への道を必
死に走る現代中国。北京や上海、広東など
の大都会はビルの建設ラッシュで、その
パワーの凄まじさはかつての日本をも凌
ぐ勢いだ。
だが、中国は広い。ミャンマー(ビルマ)
やベトナム、ラオスとの国境地帯には、古
くからの伝統を守り、土着の生活をおく
る少数民族の人々がいる。そんな人たち
が多く住む雲南(ゆんなん)省まで足をの
ばしてみた。
最近では日本のマラソン選手が合宿
をはる地として有名で、省都昆明(くん
みん)は地方の小都市である。だが、こ
こから数百キロの瑞麗(ルイリー)は盲
腸のようにミャンマー側に突き出した
町だ。この町は国境貿易による不思議な
活気に満ちていて、阿片密輸基地との
噂も根強い。麻は田んぼの畦道に自然
に生えているので、大麻も容易に入手
できる。ただ公安警察のチェックも厳
しい。
そんな町で、ミャンマーからの出稼ぎ
売春婦が集まる旅館があった。何と一家
中で出てきていて、当然、子どもや旦那
も。
“商売”をする時には家族は外で時間
をつぶすそうだ。そしてその料金は日本
円で700円ほど。勿論、エイズなどの性
病の心配は大きいのだが、物好きな日本
人旅行者が熱心に料金交渉をしていた。
タイ系少数民族の奇祭『水かけ祭り』
、
日本人や米作文化のルーツではないかと
言われる白族の祭り『三月街』
(観音市)な
ど、民俗学的に貴重な風俗・習慣も多い。
最近空港が出来て行きやすくなったのだ
が、新型肺炎や鳥インフルエンザが暗い
影を落とす。さらに国内の貧富の差がこ
れ以上広がれば、社会不安も増すだろう。
この平和な辺境の地が少数民族の文化を
大切にしながらも、順調に発展すること
を願いつつ、この地を離れた。
華やかな飾り船。
売春婦と交渉する日本人たち。